JP4118196B2 - 半導体素子、その製造方法および半導体装置 - Google Patents

半導体素子、その製造方法および半導体装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば半導体装置の静電破壊を防止するためなどに用いられる静電破壊保護用ダイオードなどの半導体素子、その製造方法、およびこの半導体素子を用いた半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の半導体装置では、静電気などによる高電圧のサージ電圧が印加されて内部回路が破壊されるのを防ぐために、電圧入力部にダイオードなどの半導体素子からなる静電破壊保護素子が設けられている。半導体装置に高電圧のサージ電圧が入力されるときには、この静電破壊保護素子を介して回路内部に電圧が供給されるため、内部回路には高電圧のサージ電圧が直接印加されず、内部回路が静電破壊から保護される。
【0003】
図5は、従来の静電破壊保護素子としてのダイオードの基本的構造を示す断面図である。
【0004】
図5において、このダイオードは、所謂プレーナ技術を用いて製造されたダイオードであり、P型半導体基板に設けられたP型ウェル領域1の表面側に、アノード領域となるP型不純物層2と、カソード領域となるN型(N+)不純物層3とが所定の間隔を開けて設けられており、アノード領域とカソード領域間は、素子分離領域(ロコス酸化膜)7によって分離されている。これらのアノード領域、カソード領域および素子分離領域上は絶縁膜9に覆われており、その上にアノード電極5およびカソード電極6が設けられている。これらのアノード電極5およびカソード電極6はそれぞれ、絶縁膜9に設けられたコンタクトホールを介してアノード領域およびカソード領域と電気的にそれぞれ接続されている。
【0005】
このダイオードの降伏電流の経路11は、PN接合の突端部(湾曲部;カソード領域の端部)12に集中して流れる。この現象は、PN接合の湾曲部12では電界強度が大きくなるため、PN接合の湾曲部12の降伏電圧が、PN接合の底面部13の降伏電圧よりも低くなることに起因するものである。
【0006】
一方、静電破壊保護素子としてのダイオードでは、サージ電圧などの高電圧が印加されても、素子が破壊されないことが好ましい。ここで、降伏電流はPN接合の湾曲部12に流れ、狭い面積の領域に電流が集中して流れることで熱が集中して発生する。このために素子が破壊され易くなる。素子が破壊されると、静電破壊保護素子として機能しなくなる。
【0007】
また、面積が狭いPN接合の湾曲部12に降伏電流が集中して流れるため、少しの降伏電流しか流すことができない。降伏電流の量を多くするためには、PN接合の底面部13で電圧降伏(ブレークダウン)を生じさせるようにする必要がある。
【0008】
これを解決するために、面積が大きなPN接合の底面部13にPN接合の降伏電流を流すようにすることにより、素子の破壊を防ぐようにした従来技術として、MOSトランジスタのブレークダウンによる素子破壊を防止するための技術が例えば特許文献1に開示されている。以下では、特許文献1に開示されている従来技術を用いて作製されたダイオードについて説明する。
【0009】
図6は、特許文献1に開示されている従来技術を用いて作製されたダイオードの構造を示す断面図である。なお、図6のダイオードと図5のダイオードとの違いは、カソード領域となるN型不純物層3下に、P型ウェル領域1よりも高濃度のP型不純物層4が設けられている点である。
【0010】
図6において、このP型不純物層4は、PN接合の底面部13下側のP型不純物濃度を高くすることによって、PN接合の底面部13でブレークダウンを生じさせ、ここに図5の従来例のものよりも大きな電流を流すことができるようにするためのものである。
【0011】
このように、カソード領域であるN型不純物層3の下側にP型不純物層4が設けられたダイオードでは、電圧を更に加えると、それによる電界はPN接合の湾曲部12に集中する。しかしながら、PN接合の底面部13の下側にP型高濃度不純物領域14が形成されているため、PN接合の底面部13の耐圧がPN接合の湾曲部12の耐圧よりも小さくなり、PN接合の湾曲部12でブレークダウンが起こる前に、P型高濃度不純物領域14が設けられているPN接合の底面部13でブレークダウンが起こる。
【0012】
これによって、このダイオードの降伏電流は、図6に示すように、PN接合の底面部13を流れるようになる。したがって、降伏電流がPN接合の湾曲部12のように狭い領域に集中することなく、PN接合の底面部13の広い領域を流れるために、より大きな電流を流すことが可能となる。よって、サージ電圧などの高電圧が印加されても、素子破壊が大幅に抑制される。
【0013】
【特許文献1】
特開昭59−94873号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術(特許文献1)を用いてダイオードを作製する場合には、熱履歴やウェル濃度が異なるために、P型高濃度不純物領域14を形成するために追加される不純物濃度の最適値が異なる。したがって、個々に追加される不純物濃度を設定する必要があり、不純物濃度を制御することが容易ではなく、製造工程が煩雑になるという問題がある。
【0015】
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、製造工程が煩雑にならず、面積が広いPN接合の底面部に降伏電流を流すことで静電破壊を大幅に抑制できる半導体素子、その製造方法および半導体装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体素子は、半導体基板に設けられたP型ウェル領域上の素子分離領域と、前記素子分離領域に隣接して前記P型ウェル領域の表面側に設けられたN型不純物層と、該N型不純物層の下側に設けられたP型高濃度不純物層とを有するカソード領域と、前記N型不純物層とは前記素子分離領域にて分離された状態で前記P型ウェル領域の表面側に設けられたP型不純物層を有するアノード領域と、前記カソード領域内の外周部に、該カソード領域の中心部を囲んで設けられたトレンチ領域と、該トレンチ領域内に埋め込まれた絶縁膜とを有し、そのことにより上記目的が達成される。
【0020】
さらに、好ましくは、本発明の半導体素子におけるトレンチ領域の幅は0.2μm以上5μm以下に設定されている。
【0021】
さらに好ましくは、前記トレンチ領域の深さは、前記カソード領域を構成する少なくとも前記P型高濃度不純物層の深さに設定されている。
【0022】
さらに、好ましくは、本発明の半導体素子はアノード領域とカソード領域とによって構成されたダイオード素子である。
【0023】
本発明の半導体素子の製造方法は、半導体基板にP型ウェル領域を形成する工程と、該P型ウェル領域におけるカソード領域となる領域およびアノード領域となる領域以外の領域に素子分離領域を形成する工程と、前記素子分離領域が形成されていない前記P型ウェル領域の表面におけるカソード領域となる領域にP型不純物を導入してP型高濃度不純物層を形成する工程と、前記カソード領域となる領域にN型不純物を導入して前記P型高濃度不純物領域上にN型不純物層を設けることによりカソード領域を形成する工程と、
前記アノード領域となる領域にP型不純物を導入してP型不純物層を形成することによりアノード領域を形成する工程と、前記カソード領域内における外周部に、該カソード領域の中心部囲むトレンチ領域を形成する工程と、前記素子分離領域、前記カソード領域および前記アノード領域を覆うように絶縁膜を形成すると共に、前記トレンチ領域内を該絶縁膜で埋め込む工程と、該絶縁膜上に、前記カソード領域に接続されているカソード電極および、前記アノード領域に接続されているアノード電極を形成する工程とを包含し、そのことにより上記目的が達成される。
【0025】
本発明の半導体装置は、請求項1〜7の何れかに記載の半導体素子が静電破壊保護素子として電圧入力部に設けられており、そのことにより上記目的が達成される。
【0026】
上記構成により、以下に、本発明の作用について説明する。
【0027】
本発明においては、アノード領域とカソード領域とが素子分離領域で分離されたダイオードにおいて、カソード領域内の素子分離領域近傍位置に、絶縁物で構成された電流経路変更手段(例えば絶縁物で埋め込まれたトレンチ領域)を設けたので、面積が狭いPN接合の湾曲部(突端部)と、PN接合の面積が広い底面部とがトレンチ領域によって分離されることによって、降伏電流経路は、面積が狭いPN接合の湾曲部(突端部)側よりは、PN接合の面積が広い底面部側になり、PN接合の底面部側でブレークダウンを生じさせることが可能となる。
【0028】
また、カソード領域をその外周に沿って囲むようにそのトレンチ領域(深い溝)領域を設ければ、面積が狭いPN接合の湾曲部(突端部)と、PN接合の面積が広い底面部とは完全にトレンチ領域によって分断されて、降伏電流経路は、面積が狭いPN接合の湾曲部(突端部)側には流れず、PN接合の面積が広い底面部側に流れて、より完全にPN接合の底面部側でブレークダウンを生じさせることが可能となる。
【0029】
PN接合の面積が広い底面部側に降伏電流経路を向けるために、カソード領域のN型不純物層の下にP型高濃度不純物領域を設けても、従来のように熱履歴やウェル濃度によって個々に追加される不純物濃度を設定するまでの必要はなく、カソード領域の全域に、第1導電型不純物をイオン注入した後に、さらに第2導電型不純物をイオン注入するだけでよく、製造工程は煩雑にならない。
【0030】
このように、PN接合の底面部下のウェル濃度を高くすれば、そのウェル濃度の高い高濃度不純物領域により降伏電流経路がより容易にPN接合の底面部側になって、PN接合の底面部側でより容易にブレークダウンを生じさせることが可能となる。
【0031】
これによって、従来のように面積が狭いPN接合の湾曲部(突端部)に電流が集中して流れて発熱していたのを、面積が広いPN接合の底面部側に降伏電流が流れ、流れる降伏電流量をより多く流すことが可能となり、そこからの発熱量は少なくなる。これによって、従来のような素子破壊が大幅に抑制され得る。
【0032】
この場合のトレンチ領域は、カソード領域を囲む素子分離領域の全域に沿うように形成されるので、狭いPN接合の湾曲部に流れる電流をなくすこともできる。トレンチ領域の幅は、0.2μm以上5μm以下に設定することが好ましい。また、カソード領域において、トレンチ領域の深さは、カソード領域を構成する第2導電型不純物層(N+/Pウェルダイオードの場合にはN+層、P+/Nウェルダイオードの場合にはP+層)の深さ以上(少なくとも第2導電型不純物層の深さ)に設定することが好ましい。また、トレンチ領域の深さは、第2導電型不純物層の下に第1導電型ウェル領域よりも高濃度の第1導電型不純物層を設けた場合であっても、第2導電型不純物層の深さ以上に設定することが好ましい。
【0033】
さらに、本発明のダイオードを静電破壊保護素子として設けることによって、静電気などによる高電圧が印加されても、内部の回路が破壊されることを防ぐことが可能となる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の半導体素子の実施形態をN+/Pウェルダイオードに適用した場合について図面を参照しながら説明する。
【0035】
図1は、本発明のダイオードの一実施形態における要部構成を示す平面図であり、図2は図1のダイオードのD−D線断面図である。
【0036】
図1および図2において、本実施形態のダイオードは所謂プレーナ技術を用いて製造されたダイオードである。このダイオードは、P型半導体基板に設けられたP型ウェル領域1の表面側に、アノード領域AとなるP型不純物層2とカソード領域BとなるN型(N+)不純物層3とが所定の間隔を開けて設けられている。このN型不純物層3の下側に、P型ウェル領域1よりも高濃度のP型不純物層4が設けられている。アノード領域Aとカソード領域Bとの間は、素子分離領域7(ロコス酸化膜)によって分離されている。これらのアノード領域A、カソード領域Bおよび素子分離領域7上は絶縁膜9に覆われており、その上にアノード電極5およびカソード電極6がそれぞれ設けられている。これらのアノード電極5およびカソード電極6はそれぞれ、絶縁膜9に設けられたコンタクトホール9a,9bをそれぞれ介してアノード領域Aおよびカソード領域Bと電気的にそれぞれ接続されている。
【0037】
カソード領域B内であってロコス酸化膜7の近傍位置に、絶縁物で構成された電流経路変更手段としてのトレンチ8(深い溝部のトレンチ領域;面積が狭いPN接合の湾曲部(突端部)と、PN接合の面積が広い底面部とを分断する分断手段として作用する)が設けられている。このトレンチ8は、カソード領域Bの外周を囲むロコス酸化膜7の周囲全域に沿って、カソード領域Bを囲むように平面視リング状に設けられている。このトレンチ8は、その上に形成された絶縁膜9によって埋め込まれている。トレンチ8の幅は、露光技術の限界から下限は0.2μm以上とし、上限は降伏電流を流す底面部の面積の確保から0.5μm以下に設定する。また、トレンチ8の深さは、N+/PウェルダイオードではN型不純物層3の深さ以上に形成される。また、P+/Nウェルダイオードの場合には、P型不純物層の深さ以上に形成される。また、トレンチ内への絶縁物の埋め込み技術の限界を考慮すると、トレンチ深さの上限は約3μmとなる。なお、図2の場合にはN型不純物層3の下側のP型不純物層4よりも若干深く形成されている。
【0038】
このように構成された本実施形態の半導体素子の製造方法について、図3を用いて説明する。
【0039】
図3(a)〜図3(e)は、図1および図2のダイオードの各製造工程を示す断面図である。
【0040】
図3(a)に示すように、シリコンからなる半導体基板1aにボロンなどのP型不純物を導入することによってP型ウェル領域1を形成する。本実施形態では、イオン注入法によりボロンをエネルギー150keV、ドーズ量3×1012/cm2〜5×1012/cm2で注入した。ロコス酸化を行って厚み300nm〜1000nmのロコス酸化膜7を形成する。これによって分離が行われ、素子領域AおよびBがそれぞれ形成される。素子領域A(アノード領域)にはダイオードのアノード領域が形成され、素子領域B(カソード領域)にはカソード領域が形成されることになる。
【0041】
次に、図3(b)に示すように、フォトリソグラフィー技術によって素子領域B以外の部分をレジスト膜20aで覆った後、素子領域BにP型不純物21aを導入する。本実施形態では、イオン注入法によりボロンをエネルギー200keV、ドーズ量5×1012/cm2で注入した。このP型不純物21aの注入は、P型高濃度不純物領域14(P型不純物層4)を形成して降伏電圧を低くするために行われるものである。
【0042】
その後、同じレジスト膜20aを用いて、リンや砒素などのN型不純物21bを導入することによって、カソード領域BとしてN型不純物層(N+型拡散層)3を形成する。本実施形態では、イオン注入法により砒素をエネルギー40kev、ドーズ量2×1015/cm2〜5×1015/cm2で注入した。
【0043】
さらに、図3(c)に示すように、レジスト膜20aを除去し、フォトリソグラフィー技術によって素子領域(アノード領域A)以外の部分をレジスト膜20bで覆った後、素子領域(アノード領域A)にボロンや二弗化ボロンなどのP型不純物21cを導入することによって、アノード領域を形成する。本実施形態では、イオン注入法により二弗化ボロンをエネルギー30keV、ドーズ量1×1015/cm2〜3×1015/cm2で注入した。
【0044】
さらに、図3(d)に示すように、レジスト20bを除去し、800℃〜850℃、30分〜60分のアニール処理を行うことによって、注入された不純物21a〜21cを活性化させ、P型不純物層(P型拡散層)2および4、N型不純物層(N+型拡散層)3を形成する。
【0045】
その後、フォトリソグラフィー技術によってトレンチ形成領域以外の部分をレジスト膜20cで覆った後、トレンチ8を形成する。本実施形態では、RIE法によって、エッチングガスとしてHBr、Cl2、O2などを使用し、HBrおよびCl2の流量は10sccm〜100sccm、O2の流量は0sccm〜50sccmで、RF Powerは400kW〜1000kW、圧力は0.5Pa〜10Paとしてエッチングを行ってトレンチ8を形成した。トレンチ8の深さは約0.5μm〜2μm、幅は0.2μm〜5μmとした。なお、トレンチ8の形成後にアニール処理を行うと、トレンチ近傍に歪が生じ、その歪部で降伏が生じてしまうため、トレンチ形成工程はアニール処理後に行う必要がある。
【0046】
次に、図3(e)に示すように、SiO2などの絶縁性材料をCVD法などによって堆積させ、絶縁膜9を形成する。これによって、トレンチ8内が絶縁膜9で埋め込まれる。
【0047】
その後、フォトリソグラフィー技術とエッチングによって、絶縁膜9にコンタクトホール9aおよび9bを形成する。Al膜やAl/TiW積層膜などの金属膜をスパッタリングし、フォトリソグラフィー技術とエッチングによってアノード電極5およびカソード電極6をそれぞれ形成して、コンタクトホール9aおよび9bをそれぞれ介してアノード領域Aおよびカソード領域Bと電気的にそれぞれ接続させる。
【0048】
以上によって、本実施形態のダイオードが作製される。なお、図3(e)の点線で囲んだ部分Xは、図2に示す部分に相当する。
【0049】
本実施形態のダイオードにおいては、トレンチ8が設けられていることによって、図2に示すような降伏電流経路11となって、PN接合の底面部13に電流が流れてブレークダウンが生じる。これによって、本実施形態のダイオードの降伏電流は、面積が狭いPN接合の湾曲部12ではなく、面積が広いPN接合の底面部13を流れることになり、流れる降伏電流の量をより多くすることができる。これによって、狭い面積の湾曲部に降伏電流が集中することによる素子破壊が防止される。
【0050】
図3に示すようにして作製した本実施形態のダイオードの電圧―電流特性を、図4に示している。図4には、比較のために、トレンチ8を設けていない従来のダイオードの電圧−電流特性も同時に示している。図4の縦軸には電流、横軸にはカソード電圧を示している。
【0051】
図4に示すように、カソード領域Bにトレンチ8が設けられている本実施形態のダイオードによれば、トレンチ8が設けられていない従来のダイオードの場合と比較して、より大きな電流を流すことが可能である。例えばカソード電圧が18V〜20V付近において、カソード領域Bにトレンチ8が設けられている本実施形態のダイオードでは、トレンチ8が設けられていない従来のダイオードと比較して、1.6倍〜1.7倍の電流を流すことが可能となった。これは、同じ電流を流すために、ダイオードの素子面積を約60%程度に縮小することができるということを意味するため、素子面積の縮小化を図ることができる。
【0052】
これは、上述したように、トレンチ8が設けられていない従来のダイオードの降伏電流は面積が狭いPN接合の湾曲部12に集中して流れるのに対して、カソード領域Bにトレンチ8が設けられている本実施形態のダイオードの降伏電流は、面積が広いPN接合の底面部13を流れるためである。
【0053】
このように構成された本実施形態のダイオードを、静電破壊保護素子として用いて、半導体装置の電圧入力部に設けることによって、半導体装置の面積を大幅に増大することなく、半導体装置の静電破壊を防ぐことが可能となる。
【0054】
したがって、本実施形態によれば、図3に示すように、半導体基板1a上に素子分離領域7を形成する工程と、カソード領域Bに不純物21aおよび21bをイオン注入する工程と、アノード領域Aに不純物21cをイオン注入する工程と、カソード領域Bの外周部に沿って、電流経路変更手段としてのトレンチ8を形成する工程と、絶縁膜9を形成してトレンチ内を埋め込む工程と、絶縁膜9にコンタクトホール9a,9bをそれぞれ形成し、カソード電極5およびアノード電極6を形成してカソード領域とアノード領域とを電気的にそれぞれ接続する工程とを行って本実施形態の半導体素子としてのダイオードを作製する。このように、カソード領域の外周部分にトレンチ8が設けられた本実施形態の静電破壊保護素子において、面積が広いPN接合の底面部に流し得る電流量が多くなるため、ここでの発熱も抑えられて半導体素子の静電破壊を大幅に抑制することができる。
【0055】
PN接合の面積が広い底面部側に降伏電流経路を向けるために、カソード領域BのN型不純物層3の下にP型不純物層4を設ける場合、従来のように熱履歴やウェル濃度によって個々に追加される不純物濃度を設定するまでの必要はなく、カソード領域の全域に、P型不純物をイオン注入した後に、さらにN型不純物をイオン注入するだけでよく、トレンチ8を設けない従来のように製造工程が煩雑になることはない。
【0056】
なお、本発明の電流経路変更手段としてのトレンチ8の他に、ジャンクションの濃度を高くすることにより降伏耐圧を下げる方法があり、これらを併用することができる。
【0057】
【発明の効果】
以上により、本発明によれば、カソード領域の周囲に電流経路変更手段としてのトレンチ領域が設けられているため、カソード領域の周囲外(トレンチ外)の面積が狭いPN接合の湾曲部を介して電流が集中して流れるのではなく、面積が広いPN接合の底面部を介して電流が流れるため、トレンチ領域が設けられていない従来の半導体素子よりも大きな電流を流すことができる。これによって、発熱による半導体素子の静電破壊を大幅に抑制することができ、かつ素子面積の縮小化をも図ることができる。
【0058】
また、カソード領域のN型不純物層の下にP型高濃度不純物領域を設けて、PN接合底面部のウェル濃度を高くしてその底面でブレークダウンを生じさせる従来の半導体素子のように、不純物濃度を個々に追加される不純物濃度を設定するまでの必要がないため、従来のように製造工程が煩雑化することもない。
【0059】
さらに、本発明の半導体素子を静電破壊保護素子として電圧入力部に設けることによって、半導体装置の静電破壊を大幅に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体素子の一実施形態であるダイオードの要部構成を示す平面図である。
【図2】図1のダイオードのD−D線断面図である。
【図3】(a)〜(e)は図2のダイオードの各製造工程を示す断面図である。
【図4】本発明および従来のダイオード電圧−電流特性を示すグラフである。
【図5】従来の静電破壊保護ダイオードにおける要部構成例を示す断面図である。
【図6】従来の静電破壊保護ダイオードにおける他の要部構成例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 P型ウェル領域
2 P型不純物層(アノード領域A)
3 N型不純物層(カソード領域B)
4 P型不純物層
5 アノード電極
6 カソード電極
7 素子分離領域(ロコス酸化膜)
8 トレンチ(トレンチ領域;溝部または溝手段)
9 絶縁膜
9a、9b コンタクトホール
11 降伏電流の経路
12 PN接合の湾曲部(突端部)
13 PN接合の底面部
14 P型高濃度不純物領域
20a、20b、20c レジスト膜
21a、21b、21c 不純物

Claims (6)

  1. 半導体基板に設けられたP型ウェル領域上の素子分離領域と、
    前記素子分離領域に隣接して前記P型ウェル領域の表面側に設けられたN型不純物層と、該N型不純物層の下側に設けられたP型高濃度不純物層とを有するカソード領域と、
    前記N型不純物層とは前記素子分離領域にて分離された状態で前記P型ウェル領域の表面側に設けられたP型不純物層を有するアノード領域と、
    前記カソード領域内の外周部に、該カソード領域の中心部を囲んで設けられたトレンチ領域と、
    該トレンチ領域内に埋め込まれた絶縁膜と
    を有する半導体素子。
  2. 前記トレンチ領域の幅は0.2μm以上5μm以下に設定されている請求項1に記載の半導体素子。
  3. 前記トレンチ領域の深さは、前記カソード領域を構成する少なくとも前記P型高濃度不純物層の深さに設定されている請求項1または2に記載の半導体素子。
  4. 前記アノード領域とカソード領域とによって構成されたダイオード素子である請求項1〜の何れかに記載の半導体素子。
  5. 半導体基板にP型ウェル領域を形成する工程と、
    該P型ウェル領域上におけるカソード領域となる領域およびアノード領域となる領域以外の領域に素子分離領域を形成する工程と、
    前記素子分離領域が形成されていない前記P型ウェル領域の表面におけるカソード領域となる領域にP型不純物を導入してP型高濃度不純物層を形成する工程と、
    前記カソード領域となる領域にN型不純物を導入して前記P型高濃度不純物領域上にN型不純物層を設けることによりカソード領域を形成する工程と、
    前記アノード領域となる領域にP型不純物を導入してP型不純物層を形成することによりアノード領域を形成する工程と、
    前記カソード領域内における外周部に、該カソード領域の中心部を囲むトレンチ領域を形成する工程と、
    前記素子分離領域、前記カソード領域および前記アノード領域を覆うように絶縁膜を形成すると共に、前記トレンチ領域内を該絶縁膜で埋め込む工程と、
    該絶縁膜上に、前記カソード領域に接続されているカソード電極および、前記アノード領域に接続されているアノード電極を形成する工程とを包含する半導体素子の製造方法。
  6. 請求項1〜4の何れかに記載の半導体素子が静電破壊保護素子として電圧入力部に設けられている半導体装置。
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