JP4116728B2 - 電子機器ケースのシール構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車車室外の、例えば雨水、洗車時の水分等を受けやすい個所に設備される電子機器ケースのシール構造であって、特に電子機器を構成しているケース本体、その蓋体及びコネクタの間の防水シールの確実性と経済性を高めると共に、電子機器ケースからワイヤハーネス引き出し方法をコネクタ構造となして電子機器ケース全体のコンパクト化を可能とする電子機器ケースのシール構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車に設備される電気ブレーキコントローラ等の電子機器モジュールは、例えば雨天走行時におけるしぶきや洗車時のしぶき等がかかりやすい、すなわち防水的に環境の悪い車体裏側外側面に取付けられることから、上記電子機器モジュールの機器ケースにあっては、高い防水性が要求される。
【0003】
このような電子機器モジュールの防水性機器ケースの先行例として、例えば図15で示す如き構成のものがある。即ち1は底壁2及び周囲の側壁3で形成された機器ケース本体であって、この機器ケース本体1の側壁3には、ワイヤハーネス4を機器ケース本体1の内部から、その外部へ引き出すためのワイヤハーネス引出口5が形成されている。6は上記機器ケース本体1内に収納固定される電子機器モジュールであり、この電子機器モジュール6には上記のワイヤハーネス4がコネクタ7を介して接続されるようになっている。
【0004】
8は上記機器ケース本体1に形成されている水平開口縁9に係合位置される環状の防水パッキンであり、機器ケース本体1の開口縁9上に上記の防水パッキン8を介して蓋体10が防水状態で被着される。また上記ワイヤハーネス4には水密的にブッシュ11が取付けられており、さらにこのブッシュ11の外周面と上記機器ケース本体1に形成されているワイヤハーネス引出口5の垂直開口縁12及び蓋体10との間が防水グロメット13を介して水密構造となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、先行例で示される電子機器モジュール6を防水するために使用される機器ケースにあっては、機器ケース本体1の水平開口縁9に防水パッキン8を介在させて蓋体10との水密性を保持、また機器ケース本体1の垂直開口縁12にはグロメット13を介在させてブッシュ11との水密性を保持しているものである。
【0006】
ところが、上記のような電子機器モジュール防水のための機器ケース防水構造では、機器ケース本体1の水平開口縁9と蓋体10との間の水密性を保持せしめるための防水パッキン8と、機器ケース本体1の垂直開口縁12とブッシュ11との間の水密性を保持せしめるためのグロメット13とにそれぞれ異種のシール材を使用しなければならず、これが原因でそれらシール材の成形費用、管理費用が嵩むという欠点があった。
【0007】
また上記機器ケース防水構造では、機器ケースの組付完了後において、防水パッキン8とグロメット13との干渉部分(接合部分)が生じるが、この干渉部分、つまり防水パッキン8とグロメット13との接合部分の防水信頼性が低い。さらには機器ケースからワイヤハーネス4が引き出されていることから、ワイヤハーネス4に取付けられたグロメット13を機器ケースに取付けなくてはならないことから、そのための取付構造が必要となり得るために、機器ケースの全体形状が大型化されてしまい、これが原因で上記電子機器モジュールの取付けに不便を起すという欠点もあった。
【0008】
本発明は、かかる問題点に着目してなされたもので、機器ケース本体に形成されている水平開口縁に係合される環状の防水パッキンと、機器ケース本体の側壁に形成されている垂直開口縁に係合される防水グロメットを一体構造となして、防水シール材の使用部品点数を削減し、組立作業性及びその製作経済性を高めると共に環状の防水パッキンと防水グロメットとの間の防水シール性を高めることを第1の目的とする。
【0009】
また本発明では、機器ケース本体及び該機器ケース本体に被着される蓋体と、防水シール材との水密的接圧変形を容易ならしめる構成となして、機器ケース周辺全体と防水パッキン材との間の防水シール性能を高めることを第2の目的とする。
【0010】
さらに本発明では、電子機器ケースの内部電気回路と、電子機器ケースの外部ワイヤハーネスとを、電子機器ケースの内部に位置せしめたコネクタを介して接続して、ブッシュの使用を省き、これにより上記電子機器ケースの全体形状を小型化すると共に、上記電子機器ケースを含む制御機器構体の取扱い及びその取付作業性等を高めることを第3の目的とする。
【0011】
【問題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明では、底壁(22)及びその周囲を囲む側壁(23)とにより上面が開口し、該開口縁全周に亘って防水パッキン部嵌入溝(25)が形成されてなり、かつ上記側壁(23)に略U字形の切欠き(27)が形成され、該切欠き縁に沿ってグロメット部嵌入縦溝(28)が形成されてなる機器ケース本体(21)と、上記切欠き(27)内を貫通する筒状をなすコネクタハウジング(40)と、上記機器ケース本体(21)の上記開口に被着される蓋体(36)と、上記機器ケース本体(21)の防水パッキン部嵌入溝(25)内に嵌合位置される環状の防水パッキン部(31)及び上記切欠き(27)のグロメット部嵌入縦溝(28)内に嵌入されるグロメット部(32)とが一体に形成されてなる防水シール材(30)とからなり、上記機器ケース本体(21)の防水パッキン部嵌入溝(25)及びグロメット部嵌入縦溝(28)に嵌入された防水パッキン部(31)及びグロメット部を、上記機器ケース本体(21)と蓋体(36)とで挟圧することを特徴とする電子機器ケースのシール構造であって、
上記防水パッキン部(31)の上面中央部に、その全周に亘って連続する断面略かまぼこ形状の突条(33)を一体形成し、さらに該防水パッキン部(31)の下面と、グロメット部(32)の左右両側面及びその底面の各面の中央部に、その全長に亘って連続する断面略かまぼこ形状の突条(33)を一体形成し、
上記グロメット部(32)の中央部に、上記コネクタハウジング(40)を嵌入するコネクタ嵌入口(34)を設けると共に、該コネクタ嵌入口(34)の内周縁にコネクタ嵌入溝(35)を設けて、該コネクタ嵌入溝(35)に、上記コネクタハウジング(40)の外周面に形成されているリブ(42)を水密的に嵌入せしめ、さらに、上記機器ケース本体(21)の略U字状の切欠き(27)形成部に対応する蓋体(36)の端部に、上記グロメット部(32)の外方向への変形を阻止するように、該蓋体(36)の端部から、直角に延長された変形規制片(38)が形成されている電子機器ケースのシール構造であることを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を図面に示す実施の形態に基いて詳細に説明する。
【0015】
先ず機器ケース本体21の構成について図1乃至図4で説明すると、機器ケース本体21は底壁22と、その底壁22の周囲を囲む側壁23とによって後述する電子回路基板39を収納する収納空間24を形成した上面開口形状となっている。
【0016】
この機器ケース本体21の開口縁上には、全周に亘って後述する防水シール材30の防水パッキン部を密嵌入するための防水パッキン部嵌入溝25が形成され、その防水パッキン部嵌入溝25の外側に後述する蓋体36の取付ねじ孔26が形成されている。
【0017】
また機器ケース本体21の側壁23のうちの一側壁には、前記開口縁から底壁22に向って略U字形に切り欠かれている切欠き27が形成されており、この切欠き27の周縁には、その全長に亘って後述するグロメット部32が密嵌入される凹形状のグロメット部嵌入縦溝28が形成されている。なお29は電子回路基板の取付ねじ孔を示す。
【0018】
次に上記防水シール材30の構成について図5乃至図9で説明すると、この防水シール材30はゴム等からなる可撓弾性を有する材質で形成されており、この形状は、上記機器ケース本体21に形成されている防水パッキン部嵌入溝25内に嵌入される環状の防水パッキン部31と、上記グロメット部嵌入溝28内に嵌入されるグロメット部32が一体形成されている。つまり上記防水パッキン部31を水平位置させたとき、その防水パッキン部31に対し、グロメット部32が垂直位置されるようにして一体に形成されている。
【0019】
そして上記防水パッキン部31の幅(W)は、上記防水パッキン部嵌入溝25の溝幅(W’)と略等しく形成し、またグロメット部32の厚さ(L)は、上記グロメット部嵌入溝28の溝幅(L’)と略等しく形成している。さらに上記防水パッキン部31の高さ(H)は防水嵌入溝25の溝深さ(H’)より若干大きくなるように形成しており、また、それぞれは環状に形成されている。
【0020】
上記防水パッキン部31の上面には、その環状方向に沿って連続する断面略かまぼこ形状の突条33が一体形成されており、また防水パッキン部31の下面とグロメット部32の左右両側面及びその下側面に亘って、上記突条33と断面同形状の突条33が連続形成されている。
【0021】
上記グロメット部32の中央部には、後述するコネクタハウジングを嵌入するためのコネクタ嵌入口34が形成されており、さらにこのコネクタ嵌入口34の内周縁には、コネクタハウジングが密嵌入されるコネクタ嵌入溝35が形成されている。
【0022】
次に上記機器ケース本体21の開口部に被着される蓋体36の構成を図10乃至図12に基いて説明する。この蓋体36は、上記機器ケース本体21の上側開口部を閉塞する形状である略偏平形状であって、その表面側周囲と裏面中央部には、蓋体36の強度を高めるためのリブ37が形成されている。さらに上記蓋体36において、上記機器ケース本体21に設けられている切欠き27との対応位置に、上記グロメット部32の上縁部を嵌入する溝部43と、グロメット部32の上縁部上面に当接されるグロメット部32の変形規制片38が形成されている。
【0023】
以上が電子機器ケース構成部材の形状説明であるが、次にその作用について述べると、図13で示すように、所定の電子回路基板39に所定のコネクタハウジング40を接続端子41を介して半田付けする。次いでコネクタハウジング40の周面に、上記防止シール材30に設けられているグロメット部32のコネクタ嵌合口34を嵌合して、コネクタハウジング40に防水シール材30を結合させる。このときコネクタハウジング40の外周面に形成されているリブ42がコネクタ嵌入溝35内に水密的に嵌入される。
【0024】
次にその防水シール材30のグロメット部32の左右両側縁部及びその下縁部を、機器ケース本体21に設けられている切欠き27の周縁に形成されているグロメット部嵌入縦溝28内に挿入し、さらにその防水シール材30の防水パッキン部31を機器ケース本体21に設けられている防水パッキン部嵌入溝25内に嵌合せしめる。
【0025】
次に機器ケース本体21及び防水シール材30の上部から、その機器ケース本体21上面の開口部を閉塞するように蓋体36を被せ、上記防水シール材30を挟んで蓋体36と機器ケース本体21とを取付ねじ44で締着することで機器ケース本体21内部の防水性が保持される。
【0026】
このように本実施の形態にあっては、機器ケース本体に設けられている上面開口部と、コネクタ嵌合用の切欠き27のそれぞれを、単体である防水シール材30を介して、蓋体36及びコネクタハウジング40を水密的に閉塞することができるので、その機器ケース本体の防水組付作業が円滑に行なえると共に防水シール材30の部品点数の削減が可能であって、経済性にも優れるものがある。
【0027】
また、防水シール材30の機器ケース本体21との嵌合面及び蓋体36との接合面の全べてにおいて、連続する断面略かまぼこ形状の突条33が形成されており、しかも蓋体36にはグロメット部32の外方向への変形を阻止するための変形規制片38を用いているので、機器ケース本体21と蓋体36との締結押圧力で上記突条33が機器ケース本体21及び蓋体36とのシール面全長に亘って確実なる密接力が生起され、これによって防水シールの確実性が高められる。
【0028】
また上記防水シール材30は、機器ケース本体21に設けられている防水パッキン部嵌入溝25及びグロメット部嵌入縦溝28の全長に亘って密嵌入され、その上で機器ケース本体21と蓋体36との締結に伴なう押圧力を受けるために、その押圧力に伴なう防水シール材30の弾性変形で該防水シール材30の外側面と上記溝25及び28の内側面との圧接力が高められ、これによっても防水シールの確実性が維持される。
【0029】
また上記機器ケース本体21内に内装されている電子回路基板と、機器ケース本体21外部のワイヤハーネスとは、機器ケース本体21に組付けられているコネクタ40を介して接続される構成となしているので、常時機器ケース本体21からワイヤハーネスを引き出しておく必要がなく、このために機器ケースを含む制御機器筐体の取扱い及び車体への取付作業が容易であり、しかも上記制御機器筐体にブッシュ等を突設させる必要がないので、その制御機器筐体の全体形状をコンパクト化することができる。
【0030】
【発明の効果】
以上のように本発明の電子機器ケースのシール構造によれば、機器ケース本体21に形成されている水平方向の開口と垂直方向の開口を単体である防水シール材でシールすることができ、これによって防水シール材の部品点数の削減が可能であり、これにより特に防水シール材の部品点数の削減及びその組付工数の削減等により経済性が大幅に向上する。また上記構成の防水シール材を用いることで機器ケース本体と蓋体との間、さらには機器ケース及び蓋体とコネクタとの間のそれぞれの防水シール性が確保できる。また機器ケース本体には、防水シール材を介してコネクタを設けており、このコネクタを介して制御機器筐体にワイヤハーネスを接続せしめることができるように構成しているので、ワイヤハーネスを接続する以前の制御機器筐体の取扱いが便利となる等の作用効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシール構造に用いられる機器ケース本体の実施形態を示した平面図。
【図2】図1の正面図。
【図3】図1における III−III 線断面図。
【図4】図1の右側面図。
【図5】本発明のシール構造に用いられる防水シール材の実施形態を示した平面図。
【図6】図5の正面図。
【図7】図5の右側面図。
【図8】図6における IIX−IIX 線断面図。
【図9】図5におけるIX−IX線断面図。
【図10】本発明のシール構造に用いられる蓋体の実施形態を示した平面図。
【図11】図10におけるXI−XI線断面図。
【図12】図10の正面図。
【図13】電子回路基板とコネクタと防水シール材との組合せ手順を示した側面図。
【図14】電子回路基板とコネクタを組付けた防水シール材を、機器ケース本体に組付けるときの説明正面図。
【図15】従来の電子機器ケースのシール構造を示した斜視図。
【符号の説明】
21…機器ケース本体
22…底壁
23…側壁
24…収納空間
25…防水パッキン部嵌入溝
26…取付ねじ孔
27…切欠き
28…グロメット部嵌入縦溝
29…取付ねじ孔
30…防水シール材
31…防水パッキン部
32…グロメット部
33…突条
34…コネクタ嵌入口
35…コネクタ嵌入溝
36…蓋体
37…リブ
38…変形規制片
39…電子回路基板
40…コネクタハウジング
41…接続端子
42…リブ
43…溝部
44…取付ねじ
Claims (1)
- 底壁(22)及びその周囲を囲む側壁(23)とにより上面が開口し、該開口縁全周に亘って防水パッキン部嵌入溝(25)が形成されてなり、かつ上記側壁(23)に略U字形の切欠き(27)が形成され、該切欠き縁に沿ってグロメット部嵌入縦溝(28)が形成されてなる機器ケース本体(21)と、
上記切欠き(27)内を貫通する筒状をなすコネクタハウジング(40)と、
上記機器ケース本体(21)の上記開口に被着される蓋体(36)と、
上記機器ケース本体(21)の防水パッキン部嵌入溝(25)内に嵌合位置される環状の防水パッキン部(31)及び上記切欠き(27)のグロメット部嵌入縦溝(28)内に嵌入されるグロメット部(32)とが一体に形成されてなる防水シール材(30)とからなり、
上記機器ケース本体(21)の防水パッキン部嵌入溝(25)及びグロメット部嵌入縦溝(28)に嵌入された防水パッキン部(31)及びグロメット部を、上記機器ケース本体(21)と蓋体(36)とで挟圧することを特徴とする電子機器ケースのシール構造であって、
上記防水パッキン部(31)の上面中央部に、その全周に亘って連続する断面略かまぼこ形状の突条(33)を一体形成し、さらに該防水パッキン部(31)の下面と、グロメット部(32)の左右両側面及びその底面の各面の中央部に、その全長に亘って連続する断面略かまぼこ形状の突条(33)を一体形成し、
上記グロメット部(32)の中央部に、上記コネクタハウジング(40)を嵌入するコネクタ嵌入口(34)を設けると共に、該コネクタ嵌入口(34)の内周縁にコネクタ嵌入溝(35)を設けて、該コネクタ嵌入溝(35)に、上記コネクタハウジング(40)の外周面に形成されているリブ(42)を水密的に嵌入せしめ、
さらに、上記機器ケース本体(21)の略U字状の切欠き(27)形成部に対応する蓋体(36)の端部に、上記グロメット部(32)の外方向への変形を阻止するように、該蓋体(36)の端部から、直角に延長された変形規制片(38)が形成されていることを特徴とする電子機器ケースのシール構造。
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