JP4114701B2 - 熱延鋼帯の冷却装置と、その冷却方法および熱延鋼帯の製造方法 - Google Patents
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Description
たとえば、鋼帯の上面冷却をなすため、円管状のラミナー冷却ノズルを鋼帯搬送用の搬送ロール(ローラテーブルとも呼ばれる)上方部位で、かつ鋼帯の幅方向に亘って直線状に備え、この冷却ノズルから複数のラミナー冷却水を注水する。なお、上記ランナウトテーブルは、上記搬送ロールが複数、集まったものである。
一方、近年は、結晶粒径が細かい熱延鋼帯が、加工性に優れることと、低Cepでも強度が高いこと等から求められており、そのための急速な冷却(強冷却)が必要となっている。このように、熱延鋼帯に対して急速冷却を行うにあたって、従来の冷却装置では以下のような問題がある。
さらに、幅方向についても冷却水が鋼帯端部からライン両側へ流出するので、鋼帯中央部に比べて端部が過冷却になり易く、温度停止時間がばらついていた。その結果、材質が均一にならなかった。
[特許文献4]の冷却水用ガイドと鋼帯表面とを所定間隔に保持するため、ガイドにガイドロールを設けて鋼帯へ押圧する装置では、鋼帯の先端が上下に波打ち振動しながら搬送されるので、冷却水用ガイドと鋼帯表面とを均一間隔にすることが難しい。薄物鋼帯の場合、先端が搬送ロールに接触すると通板が妨げられて鋼帯が詰まるトラブルが発生し易い。
以上の第1および第2の発明による熱延鋼帯の冷却装置と、その冷却方法のいずれかを用いて、熱延鋼板を冷却する冷却工程を備えた、熱延鋼帯の製造方法を提供しようとするものである。
さらに、鋼帯の先端の通過と同時に、先端の上下面を水切りロールと搬送ロールとでピンチし、このピンチとともに鋼帯の上下面から冷却水を所定の条件で噴射して鋼帯を冷却する熱延鋼帯の冷却装置と、その冷却方法である。
さらに、搬送ロール相互間と、同伴ロール相互間に通板用ガイドを設け、これらガイド間に鋼帯を通板させる。ガイドに対して鋼帯と反対側に冷却ノズルを設けて、鋼帯の上下から冷却水を噴射し冷却する。このような冷却装置を最終仕上げ機の後方で、巻き取り機の前方のランナウト中に設ける。
(1)鋼帯の先端から後端に至るまで均一な冷却条件で冷却でき、特に長手方向と幅方向とで冷却停止温度が一定となり、材質のバラツキが低減し、均一で、かつ疵のない鋼帯が得られるので、品質が安定する。それにともなって、先端部の切捨て代が少なくなり歩留まりが高い。
(2)鋼帯が無張力の状態で冷却装置を通過しても、鋼帯の走行が安定しているので、詰まりや操業停止のトラブルが少ない。
(4)無張力で搬送冷却される鋼帯先端の長さが短くてすみ、鋼帯の中央部とほぼ同様の冷却を施せるので、材質のばらつく部分が短くなる。冷却中の鋼帯の走行が安定するので、詰まりや操業停止などのトラブル発生が少なくてすむ。
図1は、第1の実施の形態での熱延鋼帯の製造設備を概略的に示し、図2は、第1の冷却装置を概略的に示す。
粗圧延機で圧延された粗バー1は搬送手段をなす搬送ロール上を搬送されて、連続的に7つの連続仕上げ圧延機2で所定の厚みまで圧延された後、最終仕上げ圧延機2Eの後方のランナウトテーブル3に導かれる。このランナウトテーブル3のほとんど大部分に冷却装置(冷却手段)が配置されていて、ここで冷却されたあと、巻き取り機4で巻き取られ、熱延コイルとなる。
上記冷却装置として、このランナウトテーブル3の上流側には第1の冷却装置5が配置され、この下流側には第2の冷却装置6が配置される。
上記第1の冷却装置5は、最終仕上げ圧延機2Eの後方約10mの位置から約25mの位置に亘って設けられていて、後述するように構成される。
さらに、最終仕上げ圧延機2Eと第1の冷却装置5との間には、鋼帯温度計9およびγ線の板厚計10が設置されている。
また、強冷却が必要でない鋼帯については、第1の冷却装置5の急速冷却の作動を停止して、従来型の緩冷却である第2の冷却装置6のみでの冷却処理をなすことができ、材料としての鋼帯の作り分けが可能である。
図2に示すように、第1の冷却装置5の配置スペース内において、長手方向に約800mmピッチで、直径350mmの搬送手段を構成する搬送ロール11が配置されていて、これら搬送ロール11は鋼帯の下面側に位置している。
一方、上記第1の冷却装置5における鋼帯13の上面側には、下面冷却ボックス12と相対する位置に、かつ全く同じ長さと幅寸法に設定された上面冷却手段をなす上面冷却ボックス14が、下面冷却ボックス12と同じ数だけ配置されている。
そして、フレーム18には空気シリンダー15が連結されていて、これらで上部冷却ブロック20が構成される。
また、第1の冷却装置5が作用しない非冷却時は、鋼帯の先端が通過するタイミングを合わせて空気シリンダー15が作動し、上面冷却ボックス14と水切りロール16をライン上方約500mmの位置まで上昇させ、これらを鋼帯13から退避するようになっている。通常の、鋼帯13に対する冷却作用時には上下両面冷却ボックス14、12間の距離が、鋼帯13の板厚+100mmとなるように設定されている。
この実施の形態では、上面冷却ボックス14と水切りロール16が同時に移動するように設定したが、より冷却の応答性を上げるためには、鋼帯13の先端通過と連動して、上流側の上部冷却ブロック20から順次作動して、それぞれの水切りロール16と上面冷却ボックス14の下降を開始することが望ましく、そのために上面冷却ボックス14と水切りロール16を互いに独立して昇降可能としてもよい。
さらに、通板性安定のために、鋼帯13下面については下面冷却ボックス12と搬送ロール11との間に、かつ鋼帯13上面については上面冷却ボックス14相互間に、いわゆるスノコ状のガイド17が設けられていて、特に鋼帯13の先端が各隙間に引っ掛かることのないように工夫されている。
なお、第1の冷却装置5から冷却水を噴射しない場合において、この面が高温にならないように冷却水を鋼帯に届かない範囲で冷却水を噴射しておくことが効果的である。また、望ましくは水切りロール16も同様の樹脂材でロール表面がコーティングされており、疵の発生を抑制する工夫がなされている。
最終仕上げ圧延機2Eから搬出された熱延鋼帯13の先端が第1の冷却装置5を通過するのと同時に、対応する位置の上部冷却ブロック20が作動して上面冷却ボックス14と水切りロール16を下降させる。そして、下降した上面冷却ボックス14およびこのボックスと対応する位置の下面冷却ボックス12から冷却水が噴射される。
このような工程の設定は、鋼帯の先端が通過する以前に上下面冷却ボックス14、12から冷却水を噴射すると、冷却水が鋼帯先端に対する通過の抵抗となり、先端の通板性を阻害する虞れがあることによる。
なお、鋼帯13先端が第1の冷却装置5に入ってこの先端と対応する上下面冷却ボックス14、12から冷却水を噴射するが、このとき上面冷却ボックス14を上昇位置に保持したままでもよい。そして、通板性が安定した段階で上面冷却ボックス14と水切りロール16を降下させても、既に通過した鋼帯部分およびこれから通過しようとする鋼帯部分の通板性に悪影響を及ぼすことはない。
そして、水切りロール16が完全に降下し、鋼帯13を水切りロール16と搬送ロール11によってピンチした状態で鋼帯13に一定の張力が働くようにこれらの回転を制御すれば、熱延鋼帯の安定通板を確保する機能を持たせることができ、上記水切りロール16と鋼帯13とのスリップによる疵の発生防止に有効となる。
すなわち、鋼帯13の先端の通過と同時に、先端の上下面を水切りロール16と搬送ロール11とでピンチする工程と、このピンチ工程とともに鋼帯13の上下面から冷却水を所定の条件で噴射して鋼帯を冷却する工程とを具備する。
あるいは、鋼帯13の先端の通過と同時に、先端の上下面を水切りロール16と搬送ロール11とでピンチする工程と、このピンチ工程とともに鋼帯13の上面にかかる流体圧と下面にかかる流体圧とがほぼ等しくなるように冷却水を噴射して鋼帯を冷却する工程とを具備する。
第1の冷却装置5を構成する上下面冷却ボックス14、12と鋼帯13との距離を、ここでは50mmに設定したが、これは以下のような理由による。
すなわち、冷却手段と鋼帯との距離をより離間すれば、冷却水の勢いが鋼帯と冷却手段との間に存在する流体(冷却水)によって吸収されてしまい弱まる。逆に、冷却手段と鋼帯との距離をより接近させれば、冷却水の勢いが強まるために鋼帯は上面から噴射される冷却水から受ける面圧と下面から受ける面圧とがバランスする位置を通過して、鋼帯の振動や片寄った走行を矯正しセンタリングする効果が働く。
この距離は、ラミナー流のノズル出口の直径が2〜5mm程度であれば30〜100mmが好ましい。たとえば、100mm以上では冷却水流の勢いが弱まり強冷却が不可能になる。逆に、30mm以下に近づき過ぎると、冷却水の行き場がなくなり良好な水流が得難くなる。したがって、急速冷却が不可能となり、あるいは冷却水の流れが鋼帯の中央部と端部とで大きく異なって冷却ムラが発生する。
さらに、通板性を安定させるために、第1の冷却装置5の入り側にも、冷却装置出側に設けたのと同じ昇降可能な水切りロール16をさらにもう1組設けて、入り側の通板安定性確保を図ってもよい。ただし、鋼帯の搬送速度が速いので、入り側の水切りロール16は冷却水の漏出を防止する効果よりも、むしろ通板安定性への寄与が大きい。
鋼帯の加速時は、第1の冷却装置5と第2の冷却装置6の水量を増加することで、巻き取り温度が一定となる制御を行った。そのとき、鋼帯は先端から後端まで安定して各冷却装置5、6を通過し、所定の冷却が行われた。しかも、各冷却装置5、6の前後に冷却水の漏出はなく、また疵の発生もなかった。
その結果、ほぼ先端から後端まで結晶粒径が微細で一定した熱延鋼帯を安定して製造できた。巻き取り温度の変動が先端から後端までで15℃以内であり、安定した冷却が実現された。各温度計の実測値から鋼帯13の冷却速度を推定すると、第1の冷却装置5では500℃/sの急速冷却が実現することとなる。
その結果、冷却装置5の下流側の鋼帯13上に冷却水が残留することなく過冷却を防止でき、冷却停止温度が鋼帯13の幅方向と長手方向に一定となり、冷却中の上面と下面の冷却条件が全く同じとなって、冷却中の曲がりや冷却後の残留応力の発生を少なくするばかりか、鋼帯13の長手方向、幅方向、厚み方向に結晶粒径がそろった均一な熱延鋼帯13の安定した製造を得る。
また、鋼帯13の先端が巻き取り機に巻き取られる前の張力がかからない状態においても、冷却水を張力がかかった鋼帯13中央部と同じ冷却条件で注水することが可能で、材質が上下に均一で、しかも長手方向に亘って均一となり、製品の歩留まりが高く、鋼帯13の品質が安定する。
比較例として、第1の実施の形態と同様の圧延設備で仕上げ板厚3mmの熱延鋼帯を圧延し、そのあと以上述べた第2の冷却装置6で安定通板を妨げない範囲で最大流量の冷却を行った場合を説明する。
仕上げ板厚3mmの鋼帯をスレッディング速度650mpm、加速率9mpm/sで加速し、最大1200mpmまで加速後、減速して650mpmで鋼帯後端を尻抜けさせた。このとき、第2の冷却装置6のみで安定通板が可能な範囲で、かつ最大の冷却水量で冷却を施す、急速冷却をなした。
その冷却速度は70℃/sであり、特に鋼帯の上面と下面で、その結晶粒径のバラツキが大きく、また先端から後端にかけてバラツキがみられた。結果として、この鋼帯は先端部と後端部のそれぞれ70mが所定の材質が得られず切り捨てられることとなり、歩留まりが落ちた。
図3(A)は、第2の実施の形態での熱延鋼帯の製造設備を概略的に示しており、図3(B)は、この製造設備における冷却装置(冷却手段)の詳細を示している。
なお、この実施の形態は板厚3mmの熱延鋼帯を冷却する条件であって、最終仕上げ圧延機から離れた位置に冷却装置が配置され、かつストリップガイドおよび入り側・出側のピンチロール対が存在しない場合に適用される。
すなわち、粗圧延機Aで圧延された粗バー1は搬送テーブル上を搬送されて、連続的に7つの連続仕上げ圧延機2で所定の厚みまで圧延された後、最終仕上げ圧延機2E後方のランナウトテーブル3に導かれる。このランナウトテーブル3のほぼ中央部には冷却装置(冷却手段)50が配置され、ここで鋼帯13は冷却されたあと、後方の巻き取り機6で巻き取られて熱延コイルとなる。
ランナウトテーブル3における最終仕上げ圧延機2Eより5mの位置から20mの位置に亘って、上記冷却装置50が配置される。冷却装置50の入り側には、図示しない厚み計や仕上げ温度計等のセンサー類が配置されている。
冷却装置50には、517mmピッチで複数の搬送ロール11が配置されている。それぞれの搬送ロール11上には、上下方向に駆動可能な同伴ロール51が搬送ロール11と平行に配置されている。
そして、同伴ロール51と対向する搬送ロール11との隙間は、通板される熱延鋼帯13の板厚+約5mmに設定されている。通板性を考慮すると、鋼帯13の板厚+30mm以内が適当である。
そして、より通板性を高めるため、鋼帯13先端において前へ引張る力がかかるように、鋼帯13の搬送速度の5〜20%速い速度に設定するのが、張力がかからない鋼帯先端の通板をより安定させるために、より好ましい。
冷却装置50自体の長さは約15mあり、したがって同伴ロール51と搬送ロール11は、それぞれ30本設置されている。上記同伴ロール51は昇降自在であり、鋼帯13が搬送されてくる以前に上方に退避できるようになっている。
下面側冷却装置50aには、各搬送ロール11相互間に平板状の通板ガイド(通板用ガイド体)52が架設され、このガイドの下方に複数のスプレーノズル53が配置されている。上記通板ガイド52には、スプレーノズル53から噴射される冷却水が通過する孔部が設けられている。
上面冷却装置50bには、各同伴ロール51相互間に平板状の通板ガイド(通板用ガイド体)52が架設され、このガイドの上方に全く同一構造のスプレーノズル53が設けられてなる。上記通板ガイド52には、スプレーノズル53から噴射される冷却水が通過する孔部が設けられている。
最適量だけ接近すれば、冷却水の勢いが強まるために、鋼帯13は上面から噴出する冷却水による面圧と、下面から噴出する冷却水による面圧とがバランスする位置を通過する。したがって、鋼帯13の振動抑制をなすとともに、上下方向に片寄っている鋼帯13をセンタリングする。
つぎに、連続仕上げ圧延機3で圧延された鋼帯13を冷却装置50で冷却する冷却工程について説明する。
遅くとも、熱延鋼帯13の先端が連続仕上げ圧延機2Eから搬出される以前に、冷却装置50を構成する上下のスプレーノズル53から冷却水を噴射する。このとき、スプレーノズル53の鋼帯13の上面と下面に作用する噴射条件が同一なるように、噴射圧や流量を調整する。
そして、全ての同伴ロール51および搬送ロール11を回転駆動して、鋼帯13の搬入を待機する。上述したように、これらロール51、11の回転方向は、いずれのロール51、11も鋼帯13を圧延機2から巻き取り機4へ導く方向であり、周速は鋼帯13の通板速度と同じか、もしくはそれよりも若干は速くなるように調整されて搬送されている。
上記冷却装置50において、搬送ロール11と同伴ロール51との隙間を8mmに設定し、かつ両ロール11、51の周速が680mpmになるように回転駆動している。
冷却装置50内に搬入される鋼帯13は、その先端が同伴ロール51もしくは搬送ロール11に衝突することもあるが、これらロール51、11はともに回転しているので、鋼帯13先端は円滑に同伴ロール51と搬送ロール11との隙間に滑り込む。また、上下のスプレーノズル53による上面側と下面側からの冷却水の圧力によって、鋼帯13のパスラインが一定に保持される。
冷却装置50を抜け出た位置での鋼帯13温度は700℃であった。そのあと、鋼帯13先端は下流側に配置される搬送ロール11上を通板されるが、冷却装置50内を通板中の鋼帯13が振動したり、片寄ったりすることがない。通板中での鋼帯温度のバラツキはなく、鋼帯13先端が巻き取り機4に巻き取られたあとも、通板・冷却は安定して継続される。
なお、鋼帯13の上下面を冷却するノズルとしてスプレーノズル53を用いたが、柱状の円管ラミナー方式や噴流方式であってもよい。鋼帯13の上面と下面に作用する流体圧でセンタリング効果を得るための条件は、各冷却方式によって異なるので、その冷却方式に応じて決定すればよい。
すなわち、たとえば冷却水が冷却装置50から前後方向に流出すると、鋼帯13に対して局所的な過冷却を引き起こす。また、冷却水は幅方向に流れて、鋼帯13側端部から落下するので、幅方向に不均一な冷却となる。水切りロールの機能を持たせた同伴ロール51を備えることにより、このような不具合の発生を防止する。
この実施の形態は第2の実施の形態より通板性が悪い、板厚1.6mmの熱延鋼帯、いわゆる薄物熱延鋼帯を冷却する条件であって、最終仕上げ圧延機から離れた位置に冷却装置が配置され、かつストリップガイドおよび入り側と出側にピンチロール対が設けられる場合に適用される。なお、上記薄物熱延鋼帯とは、一般に板厚2mm以下の鋼帯を言う。
このランナウトテーブル3のほぼ中央部には冷却装置(冷却手段)50Aが配置され、ここで鋼帯13は冷却されたあと、後方の巻き取り機4で巻き取られて熱延コイルとなる。
冷却装置50Aの入り側直前位置と、出側直後位置には、鋼帯13をピンチするピンチロール対55A、55Bが設けられている。これらピンチロール対55A、55B間で鋼帯13をピンチし、鋼帯がピンチロール対を通過するのと同時に、鋼帯13に対して張力を付与するようになっている。これらピンチロール対55A、55Bのロール相互間隙は、鋼帯13の板厚−0.1mmに設定されていて、互いに同方向に回転駆動される。
これらピンチロール対55A、55Bは、鋼帯13に対する張力を制御する機能と、ピンチ後の鋼帯13が左右に蛇行しないように、左右の押付け力を調整する機能を有している。
冷却装置50Aにおいて、517mmピッチで複数の搬送ロール11が配置されている。各搬送ロール11上には、上下方向に駆動可能な同伴ロール51が搬送ロール11と平行に配置されている。
上記冷却装置50A自体の全長は約15mあり、したがって同伴ロール51と搬送ロール11は、それぞれ30本づつ設置されている。上記同伴ロール51は昇降自在であり、鋼帯13が搬送されてくる以前に上方に退避できるようになっている。
つぎに、連続仕上げ圧延機2で圧延された鋼帯13を冷却装置50Aで冷却する冷却工程について説明する。
遅くとも、熱延鋼帯13の先端が連続仕上げ圧延機2から搬出される以前に、冷却装置50Aを構成する上下のスプレーノズル53から冷却水を噴射する。このとき、スプレーノズル53の鋼帯13の上面と下面に作用する噴射条件が同一となるように、噴射圧や流量を調整する。
そして、全ての同伴ロール51および搬送ロール11を回転駆動して、鋼帯13の搬入を待機する。これらロール51、11の回転方向は、いずれのロール8、7も鋼帯13を圧延機2から巻き取り機4へ導く方向であり、周速は鋼帯13の通板速度と同じか、もしくはそれよりも若干は速くなるように調整されていることは、ここでも変わりがない。
上記冷却装置50Aにおいて、搬送ロール11と同伴ロール51との隙間を7mmに設定し、かつ両ロール7、8の周速が680mpmになるように回転駆動している。
最終仕上げ圧延機2Eから通板される鋼帯13は、ストリップガイド56a、56aによってガイドされ、その先端は円滑で、かつ確実に入り側のピンチロール対55Aに挟持される。
そのあと鋼帯13は、最初(第1番目)の同伴ロール51と搬送ロール11との間に導かれる。このとき、鋼帯13先端が上記同伴ロール51に衝突するようなことがあっても、同伴ロール51が回転しているうえ、ピンチロール対11Aによって鋼帯13は上下の動きが拘束されているので、同伴ロール51と搬送ロール11の隙間に円滑に滑り込み、折れ込みや突っかかりを生じない。
冷却装置50Aを抜け出た位置での鋼帯13の温度は400℃であった。そのあと、鋼帯13の先端は出側のピンチロール対55Bで再びピンチされ、張力が付与される。
鋼帯13先端が巻き取り機4に巻き取られるまで下流側の搬送ロール11上を通板されるが、その間、冷却装置50A内を通板中の鋼帯13は振動したり、片寄ったりすることがない。冷却装置50Aを出たところでの鋼帯13温度のバラツキはなく、鋼帯13先端が巻き取られたあとも、通板・冷却は安定して継続される。
このように、上記冷却装置50Aを備えたランナウトテーブル3においては、板厚が1.6mm程度の薄物鋼帯13の先端から中央部と、それ以降および終端部に亘って同じ熱履歴を実現でき、製品であるコイル全体の材質のバラツキが小さく、強度、伸びが一様となる。
冷却装置50Aの出側にピンチロール対55Bを備えたことにより、冷却装置50Aから出た後の鋼帯13が巻き取り機4に至るまでの間に鋼帯先端が振動しても、その影響が冷却装置50A内の鋼帯13にまで及ぼさずにすむ。
そして、鋼帯13が一旦ピンチロール対55Bに挟持されたあとは、冷却装置50A内における鋼帯に張力が付与されるので、安定した冷却を施すことができる。
なお、この実施の形態は、先に説明した第2の実施の形態より通板性が悪い板厚1.2mmの熱延鋼帯を冷却する条件で、最終仕上げ圧延機直後に冷却装置を配置した場合に適用される。
このランナウトテーブル3のほぼ中央部には冷却装置(冷却手段)50Bが配置され、ここで鋼帯13は冷却されたあと、後方の巻き取り機4で巻き取られて熱延コイルとなる。
そして、ランナウトテーブル3上には周速が搬送ロール11と同じで鋼帯13を圧延機2から巻き取り機4へ送る方向に回転する同伴ロール51が、最終仕上げ圧延機2Eより20mの位置に亘って連続的に配置されている。
上記冷却装置50Bには、上記搬送ロール11が500mm間隔で配置されている。それぞれの搬送ロール11の上には、上下方向に駆動可能な同伴ロール51が搬送ロール11と平行に配置されている。
最終仕上げ圧延機2E出側より冷却装置50B出側に至る長さは約20mあり、したがって同伴ロール51は40本設置されている。これら同伴ロール51は昇降自在であるところから、鋼帯13が搬送されてくる以前に上方に退避できるようになっている。
また、最終仕上げ圧延機2Eと最初(第1番目)の搬送ロール11との間と、それ以降で冷却装置50Bの最終端までにおける各搬送ロール11相互間には、通板ガイド(通板用ガイド体)52bが設けられる。
上記冷却装置50Bについて説明すると、最終仕上げ圧延機2Eの出側5mの位置から20mの位置までに亘って配置されていて、通板される鋼帯13の下面側に位置する冷却装置50aと、上面側に位置する冷却装置50bとから構成される。
一方、上面冷却装置50bは、各同伴ロール51相互間に架設された通板ガイド52aの上方に、同一構造のスプレーノズル53が設けられている。この通板ガイド52aには、スプレーノズル53から噴射される冷却水が通過する孔部が設けられている。
ただし、最適量だけ接近すれば、冷却水の勢いが強まるために、鋼帯13は上面から噴出する冷却水による面圧と、下面から噴出する冷却水による面圧とがバランスする位置を通過する。したがって、鋼帯13の振動抑制をなすとともに、上下方向に片寄った鋼帯13をセンタリングする。
遅くとも、熱延鋼帯13の先端が最終仕上げ圧延機2Eから搬出される以前に、冷却装置50Bを構成する上下のスプレーノズル53から冷却水を噴射する。このとき、スプレーノズル53の鋼帯13の上面と下面に作用する噴射条件が同一となるように、噴射圧や流量を調整する。
そして、全ての同伴ロール51および搬送ロール11を回転駆動して、鋼帯13の搬入を待機する。これらロール51、11の回転方向は、いずれのロール51、11も鋼帯13を圧延機2から巻き取り機4に導く方向であり、周速は鋼帯13の通板速度と同じか、もしくはそれよりも若干は速くなるように調整されている。
最終仕上げ圧延機2Eからピンチロール対55までの間は、鋼帯13の先端は自由端となり、かつ無張力であるために、鋼帯13は自由に振動して弛みが発生する虞れがある。そこで、ピンチロール対11の回転数を10%程度のリード率(鋼帯の搬送速度に対するロール周速の先行率のこと)となるべく、搬送速度を720mpmに設定している。
冷却装置50B内に搬入される鋼帯13は、その先端が同伴ロール51もしくは搬送ロール11に衝突することもあるが、これら同伴ロール51および搬送ロール11ともに回転しているので、鋼帯13先端は円滑に同伴ロール51と搬送ロール11との隙間に滑り込む。
以上を総括すると、所定の噴射条件で冷却水を噴射した状態で熱延鋼帯を搬送し、この熱延鋼帯の先端を冷却装置の入り側および/もしくは出側直後および/もしくは冷却途中の位置でピンチロール対がピンチし、鋼帯先端が下流側のピンチロール対あるいは巻き取り機4などの張力付与手段に到達するのと同時に、上流側のピンチロール対から順次、熱延鋼帯を解放することになる。
なお、鋼帯13の上下面を冷却するノズルとしてスプレーノズル53を用いたが、これに限定されるものではなく、柱状の円管ラミナー方式や噴流方式などであってもよい。そして、鋼帯13の上面と下面に作用する流体圧でセンタリング効果を得るための条件は、各冷却方式によって異なるので、その冷却方式に応じて決定すればよい。
すなわち、同伴ロール51と搬送ロール11の隔間を鋼帯13の板厚と同じか、それ以下にすると、同伴ロール51に負荷がかかってしまう。安定した通板を行うためには、同伴ロール51に対する詳細な回転数制御が必要となり、また同伴ロール51を支持している両軸受けの押付け力をバランスさせないと、鋼帯13がそれ以降で蛇行するおそれがある。
そこで、同伴ロール51と搬送ロール11の隔間は、鋼帯13の板厚を越えて板厚+30mm以下とする。望ましくは、鋼帯13の板厚+約5mmがよいとの結論が得られることになる。
冷却を施しても、鋼帯13が折り込んだり、またアコーディオン状になったりせず、上下の流体圧によって鋼帯のパスラインが一定となるので、疵発生の防止にもつながる。
先に述べた第2〜第4の3つの実施の形態と同一の製造設備で、以下に説明する8つの比較例を実施した。
比較例1は、第2の実施の形態の同伴ロールと通板ガイドを設けず、これらに代って同じ位置にスプレーノズルを設け冷却水を噴射した状態で、板厚3mmの鋼帯を冷却装置へ送って鋼帯先端から冷却した場合である。
比較例2は、第2の実施の形態の同伴ロールは設けたが、通板ガイドは設けず、これに代って同じ位置にスプレーノズルを設け冷却水を噴射した状態で、板厚3mmの鋼帯を冷却装置へ送って鋼帯先端から冷却した場合である。
比較例4は、第3の実施の形態において、冷却装置の入り側に備えたストリップガイドが存在しない場合である。比較例5は、同じく第3の実施の形態において、入り側のピンチロール対が無い場合である。比較例6は、同じく第3の実施の形態において、出側のピンチロール対が無い場合である。
以上の結果を、表1にまとめて示す。
なお、同伴ロールと鋼帯との隙間から漏出する冷却水は、同伴ロール後方直後において、たとえば水切りスプレーから噴射される高圧のスプレー水によって鋼帯の一側縁から吹き飛ばすのが好ましい。
比較例2では、先端が第1の同伴ロールに噛み込めても、通板ガイドが無いために、同伴ロールと冷却ノズルとの間に鋼帯先端が突っ込む虞れがあり、安定した通板ができない。
比較例4では、比較例3の冷却装置の入出側に鋼帯をピンチするピンチロール対を設けたが、ストリップガイドが無いために鋼帯先端がピンチロール対の隙間に噛み込まれない場合があり、そのときは先端が冷却装置に到達した時点でアコーディオン状の詰りが発生した。
比較例6は、冷却装置の入り側にストリップガイドと出側にピンチロール対を設けたが、入り側にピンチロール対が無いために、仕上げ圧延機から冷却装置までに先端がフリーな状態で搬送される。その結果、圧延機から冷却装置までの間に発生した鋼帯の弛みがアコーディオン状に成長して詰りが発生した。
この弛みは、ピンチロール対の回転数をリード率をもって設定することにより、ある程度は解消するが、どちらか1方のピンチロール対では取りきれない、あるいは取れるまでに時間がかかり、その間冷却が安定しない、振動する、もしくはガイドとの接触による疵付きが多発する等の問題がある。
比較例8は、第4の実施の形態で圧延機の後5mの部分に同伴ロールがない場合で、比較例9は、通板ガイドがない場合であるが、いずれも板厚1.2mmの鋼帯の先端が詰まって、安定通板ができなかった。
Claims (11)
- 粗圧延機で圧延された粗バーを仕上げ圧延機で所定の厚みまで圧延し巻き取り機で巻き取ることにより製造される熱延鋼帯の製造設備における最終仕上げ圧延機の後方に設けられ、所定間隔を存して配置され熱延鋼帯を搬送する複数の搬送ロールからなる搬送手段と、
この搬送手段の上面側に配置され、熱延鋼帯上面に対して冷却水を噴射し冷却する少なくとも1つ以上の上面冷却手段と、
この上面冷却手段と搬送される熱延鋼帯を介して下面側に配置され、熱延鋼帯下面に対して冷却水を噴射し冷却する少なくとも1つ以上の下面冷却手段とを具備し、
上面冷却手段は、昇降自在であるとともに、少なくともその出側で、かつ上記搬送ロールと相対する位置に水切り手段を備え、
上記上面冷却手段と上記下面冷却手段とは、熱延鋼帯を介して互いに対向する位置に配置され、上記上面冷却手段と熱延鋼帯上面との距離を、上記下面冷却手段と熱延鋼帯下面との距離に等しくなるように調整可能としたことを特徴とする熱延鋼帯の冷却装置。 - 上記水切り手段は、水切りロールを備えたことを特徴とする請求項1記載の熱延鋼帯の冷却装置。
- 上記上面冷却手段および上記下面冷却手段と熱延鋼帯との距離を、それぞれ30〜100mmとすることを特徴とする請求項1および請求項2のいずれかに記載の熱延鋼帯の冷却装置。
- 粗圧延機で圧延された粗バーを仕上げ圧延機で所定の厚みまで圧延し巻き取り機で巻き取ることにより製造される熱延鋼帯の製造設備における最終仕上げ圧延機の後方において、鋼帯の先端の通過と同時に、先端の上下面を水切りロールと搬送ロールとで鋼帯をピンチする工程と、このピンチ工程とともに、鋼帯の上面にかかる流体圧と下面にかかる流体圧とがほぼ等しくなるように冷却水を噴射して鋼帯を冷却する工程と、を具備したことを特徴とする熱延鋼帯の冷却方法。
- 上記鋼帯をピンチする工程では、鋼帯の先端の通過と同時に、水切りロールを降下させて先端に当接させ、下面の搬送ロールとで、互いに同一の周速で鋼帯をピンチすることを特徴とする請求項4記載の熱延鋼帯の冷却方法。
- 粗圧延機で圧延された粗バーを仕上げ圧延機で所定の厚みまで圧延し巻き取り機で巻き取る熱延鋼帯の製造設備に設けられ、仕上げ圧延機で熱間圧延された鋼帯を搬送する複数の搬送ローラからなる搬送手段と、上記鋼帯を冷却する冷却手段を備えた熱延鋼帯の冷却装置において、
上記搬送ロールと搬送される鋼帯を介して対向する位置に、鋼帯の板厚を越え板厚+30mm以内の隙間をもって、上記搬送ロールとほぼ等周速で回転し、もしくは鋼帯の搬送速度以上の周速で回転する同伴ロールが配置されることを特徴とする熱延鋼帯の冷却装置。 - 上記各搬送ロール間および上記各同伴ロール間には、それぞれ通板用ガイド体が設けられ、
上記冷却手段は、所定間隔を存して設けられ冷却水を噴射する複数の冷却ノズルであって、この冷却ノズルは上記通板用ガイド体と鋼帯を介して対向する位置に配置されることを特徴とする請求項6記載の熱延鋼帯の冷却装置。 - 上記冷却手段の入り側直前位置に設けられ、鋼帯をピンチして冷却手段に導くピンチロール対と、
このピンチロール対の入り側直前位置に設けられ、搬送される鋼帯を上記ピンチロール対の隙間に案内するストリップガイドとを具備したことを特徴とする請求項6または請求項7のいずれかに記載の熱延鋼帯の冷却装置。 - 上記冷却手段の冷却途中あるいは出側直後の位置に、鋼帯をピンチするピンチロール対が設けられることを特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の熱延鋼帯の冷却装置。
- 粗圧延機で圧延された粗バーを仕上げ圧延機で所定の厚みまで圧延し、冷却装置で冷却したあと巻き取り機で巻き取ることにより製造される熱延鋼帯の冷却方法であって、
所定の噴射条件で冷却手段から噴射した状態で熱延鋼帯を搬送し、この熱延鋼帯の先端を冷却手段の入り側および/もしくは出側直後および/もしくは冷却途中の位置でピンチロールがピンチし、鋼帯先端が下流側のピンチロールあるいは巻き取り機などの張力付与手段に到達するのと同時に、上流側のピンチロールから順次、熱延鋼帯を解放することを特徴とする熱延鋼帯の冷却方法。 - スラブを加熱する加熱工程と、
前記加熱工程にて加熱されたスラブを粗圧延する粗圧延工程と、
前記粗圧延工程で粗圧延された粗バーを仕上げ圧延する仕上げ圧延工程と、
前記仕上げ圧延工程により仕上げ圧延された鋼帯を、請求項1ないし請求項3、請求項6ないし請求項9の冷却装置のいずれか、または、請求項4、請求項5、請求項10の冷却方法のいずれかによって冷却する冷却工程と、
前記冷却工程にて冷却された鋼帯を巻き取る巻き取り工程と、
を有することを特徴とする熱延鋼帯の製造方法。
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