JP3642031B2 - 熱延鋼帯の冷却装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱間圧延された高温の鋼帯を冷却する、熱延鋼帯の冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、熱延鋼帯は加熱炉においてスラブを所定温度に加熱し、加熱されたスラブは粗圧延機で所定厚みに圧延して粗バーとし、ついでこの粗バーを複数基のスタンドからなる連続熱間仕上げ圧延機において仕上げ圧延して所定厚みの鋼帯となす。そして、この熱延鋼帯をランナウトテーブル上の冷却スタンドにおいて冷却した後、巻き取り機で巻き取ることにより製造される。
【0003】
このような圧延された高温の鋼帯をライン上で搬送し、かつ巻き取り機で巻き取られる以前に連続的に冷却するオンラインの冷却装置では、第1に鋼帯の通板性を考慮しなければならない。
【0004】
たとえば、鋼帯の上面冷却をなすため、円管状のラミナー冷却ノズルを鋼帯を搬送する搬送ロール直上部位で、鋼帯の幅方向に亘って直線状に備え、各冷却ノズルからラミナー冷却水を注水している。したがって、鋼帯が水圧によって上から押されても、鋼帯パスラインからはみ出るように押し込まれずにすむ。
【0005】
一方、鋼帯の下面冷却として、搬送ロール間にスプレーノズルが設けられ、ここから冷却水を噴射する方法が一般的である。このような冷却形態では、鋼帯の上下面に対する冷却が厳密には上下対称とならず、鋼帯の冷却は間欠的となり、急速な冷却(たとえば、板厚:3mmで冷却速度200℃/s以上)はほとんど不可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、結晶粒径の微細な熱延鋼帯が、加工性に優れることと、低Ceqでも強度が高いことなどから求められており、そのための急速な冷却(強冷却)が必要となっている。
【0007】
特に、極低炭素鋼のようにカーボン濃度が低い鋼では、圧延後のオーステナイト粒は再結晶によって結晶粒径が急速に拡大してしまい、粗粒化を引き起こす。したがって、この種の鋼では、Ar3温度以上から冷却速度が200℃/sを越えるような急速冷却を必要としている。
【0008】
また、鋼帯先端は圧延機を出てから巻き取り機に至るまでフリーな状態で搬送されるので、鋼帯は上下に振動しながら波打つ状態になり易い。そこで、鋼帯を安定通板させるため、搬送ロールを密に配置し、鋼帯下面の冷却装置として、搬送ロール間にスプレーノズルを設置している。
【0009】
しかしながら、このような冷却装置では、厳密には連続的な冷却とは言えず、冷却能力自体も低いものであった。
【0010】
たとえば、特開昭62−259610号公報では、搬送ロール間に冷却装置を配置している。この冷却装置は平面状の噴射面を持ち、冷却水噴射孔を複数列、パスラインに対して向かう角度を変えて穿設されたノズルを鋼帯に近接させて備えている。
【0011】
しかしながら、この冷却装置では熱延鋼帯の通板性を安定のために、充分にガイドを鋼帯に近接させると、ノズルの噴射孔が鋼帯に近接することになるので、噴射された冷却水は鋼帯と冷却水噴射面との狭い間隔を流れる。
【0012】
結局、冷却水は冷却装置の搬送前後側と搬送ロールとの間隔および鋼帯の幅方向両側端部から排出されるが、冷却水が円滑に流出できず、いわゆる新陳代謝が悪く非効率な冷却であり、冷却水の温度が上昇して鋼帯の幅方向に温度ムラが生じ易い。
【0013】
また、鋼帯とガイドとの接触が避けられず、噴射ノズルの目詰まり等が発生し、熱延鋼帯の均一な冷却ができなくなる。すなわち、ガイドに穿設されたノズル孔は数ミリと小さいため、鋼帯との接触でノズル孔が変形したり、異物がノズル孔に付着し易くなる。
【0014】
さらに、下面のみの冷却であるため、場合によっては熱延鋼帯の、特に板厚の薄い鋼帯では浮き上がりが生じ、冷却能が変化して、均一な冷却ができないという問題点もある。
【0015】
つぎに別の例として、特開平4−238618号公報では、鋼帯のパスラインを超えない高さのガイドを設け、このガイドと前後側ロールとで囲まれた水面が鋼帯下面に接触するように滞留水を形成する冷却方法が開示されている。
【0016】
この場合、上記ノズルから噴射された水の勢いが、この滞留水の層内を通過する際に滞留水により吸収されてしまい、衝突力が低下して冷却能力が落ちてしまう。
【0017】
また、鋼帯に接触して高温となった冷却水がノズルと鋼帯との間に滞留するので、滞留水の温度が上昇てして冷却能力が低下するとともに、局所的に冷却が膜沸騰状態となって冷却ムラが発生する。
【0018】
そこで、滞留水帯の水温が上昇しないように、滞留水の体積を増大すると、熱延鋼帯とガイドとの距離が離れてしまい、その結果、鋼帯の通板安定性が妨げられる。
【0019】
本発明は、上記の事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、熱延鋼帯を安定して通板するとともに、急速冷却を可能とした熱延鋼帯の冷却装置を提供しようとするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数の搬送ロール間に平面状のエプロンガイドを搬送される鋼帯から10〜30mmの間隔を存して設け、このエプロンガイドに冷却水通過用のガイド孔を設ける。エプロンガイドのガイド孔の直径は冷却手段の冷却水噴射孔径の3〜10倍に設定する。このような冷却手段を搬送される熱延鋼帯の上下に配置し、ガイド孔を介して熱延鋼帯へ柱状の冷却水を噴射して、鋼帯に対して上下対称に冷却する。
【0021】
したがって、熱延鋼帯を先端から安定して走行させることができ、かつ急速な冷却が可能となる。冷却中の熱延鋼帯の上面と下面の冷却条件が全く同一となり、冷却中の曲がりや、冷却後の残留応力の発生が少なくなる。
【0022】
エプロンガイドを、搬送される熱延鋼帯の幅方向の中央部にのみ設置することにより、冷却水の新陳代謝が向上して、滞留水による冷却ムラの発生や冷却能力の不足を解消する。結果として、幅方向と、長手方向および厚み方向に均質な熱延鋼帯が安定して得られる。
【0023】
また、鋼帯の最先端が巻き取り機に到達するまでの間でも、巻き取り機により張力がかかった状態で冷却されるのと同一条件で冷却する。したがって、製品の歩留まりが高く、鋼帯の品質が向上する。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0025】
第1の実施の形態として、図1(A)は熱延鋼帯の製造設備を概略的に示し、図1(B)は冷却装置を示す。
【0026】
粗圧延機1で圧延された粗バー2は、7つの連続仕上げ圧延機3に連続して導かれ、順次、所定の厚みまで圧延される。最終仕上げ圧延機3Zから搬出される高温の熱延鋼帯は、この圧延機3Zの直後に設けられたランナウトテーブル5に導かれる。
【0027】
このランナウトテーブル5には、後述する冷却装置(冷却手段)4が配置されていて、高温の熱延鋼帯Pはここで急速に冷却されたのち、さらに後方の巻き取り機6に導かれて巻き取られ、熱延コイルとなる。
【0028】
上記ランナウトテーブル5は、熱延鋼帯Pの搬送方向に沿って500mmピッチに配置される直径310mmの搬送ロール7からなる。各搬送ロール7相互間に1組づつで、合計12組の冷却ボックス8が設けられ、上記冷却装置4の一部を構成している。
【0029】
搬送ロール7の相互間隔は狭いほど鋼帯の通板が安定するが、狭すぎると冷却ボックス等の冷却手段を設けるスペースがなくなるので冷却長が短く、冷却効率が悪くなる。そこで、搬送ロール7相互間距離は、ロール直径+100mmからロール直径の3倍程度のピッチであることが望ましい。
【0030】
各冷却ボックス8は、熱延鋼帯Pの搬送方向に沿う長さ方向が180mm、長さ方向とは直交する幅方向が1860mmある。冷却ボックス8端面と搬送される熱延鋼帯Pとの間隔は、80mmに設定される。
【0031】
上記冷却ボックス8の鋼帯Pに相対する面に、板厚16mmの鋼板が嵌め込まれる。この鋼板に縦、横各40mmの間隔で4mmφの孔が千鳥状に設けられ、冷却水を噴出するようになっている。上記鋼板の板厚が厚く、孔はストレートの切り孔であるので、これら孔から冷却水が噴射されると、冷却水は柱状のラミナー流となる。
【0032】
図2にも示すように、上記冷却ボックス8と、搬送される上記熱延鋼帯Pとの間には、エプロンガイド10が設けられる。エプロンガイド10の端面と鋼帯Pとが、10mm〜30mmの間隔を存するよう設定される。
【0033】
たとえば、エプロンガイド10と熱延鋼帯Pとの間隔を30mm以上に設定すると、図3(A)に示すように、冷却装置を通過する際に、鋼帯P先端が下側へ折れ込んで次の搬送ロール7に衝突し、跳ね上がる。鋼帯Pの先端が進行するのにともなって、鋼帯の上下振動が助長され、安定通板を損ねる。最悪のケースでは、図3(B)に示すように、鋼帯Pがほぼアコーディオン状に折れ曲がってしまい、ついには走行不能に陥る虞れがある。
【0034】
エプロンガイド10と熱延鋼帯Pとの間隔を10mm以下に設定すると、鋼帯Pが常にエプロンガイド10に接触することとなり、鋼帯が疵付いたり、冷却水が抜け難くなって冷却効果が極端に悪化する。
以上の理由から、エプロンガイド10と熱延鋼帯Pとの間隔を、10〜30mmに設定するとよい。
【0035】
エプロンガイド10の熱延鋼帯Pに対向する面は、鋼帯がエプロンガイドに接触しても、鋼帯に疵が発生しないよう、鋼帯より柔らかい材質、たとえば合成樹脂製の板を選択する。
【0036】
図4(A)ないし(D)に、上記エプロンガイド10の互いに異なる形態を示す。(A)は上述の形状構造のエプロンガイド10Aであり、(B)は簀状に形成されるエプロンガイド10Bであり、(C)は格子状に形成されるエプロンガイド10Cであり、(D)はエクスパンドメタルからなるエプロンガイド10Dであって、いずれも採用可能である。
【0037】
たとえば、熱延鋼帯Pがエプロンガイド10に接触すると、接触部分が狭い場合には点接触と同様となって、接触部位の面圧が上り、焼き付きや、押し込みマークが発生し易い。
【0038】
このことから、上記エプロンガイド10には、先に図2で示したように、冷却装置から噴射される冷却水が円滑に通過する、必要最小限の直径のガイド孔11を設ける。
【0039】
エプロンガイド10の厚みは材質にもよるが、鋼製の場合は5mm以上とする。薄い方がよいが、特に5mm未満の場合は、搬送される熱延鋼帯Pが衝突することにより破損もしくは変形をなし、冷却に支障をきたすからである。
【0040】
剛性を備えるために厚みを増すことが考えられるが、厚すぎると、冷却ボックス8と鋼帯Pとの距離が離れて冷却能力が弱まってしまう。後述するが、冷却ボックス8と熱延鋼帯Pとの間隔は冷却能力の関係から100mmという上限があり、この条件内に収まる範囲が上限となる。
【0041】
そこで、エプロンガイド10は、板厚30mmの合成樹脂板をベースとして、この裏面に板厚10mmの鋼板を補強板として張り合わせてなり、全体厚み40mmのエプロンガイド10としている。ただし、これに限定されるものではなく、上記厚みの範囲内で種々の鋼板と樹脂板の組合わせをなすことができる。
【0042】
エプロンガイド10のガイド孔11は、冷却ボックス8に千鳥状に設けられる上記冷却水噴射孔の中心軸と同軸に開口している。このガイド孔11の直径は、冷却水噴射孔径の3倍以上に設定される。
【0043】
ガイド孔11の直径が冷却水噴射孔径の3倍未満では、図5(A)に示すように、鋼帯Pとエプロンガイド10との間に充満し、行き場を失った冷却水の逆流によって噴射孔から噴射される冷却水の勢いが妨げられ、よって冷却能力が減衰する。
【0044】
ただし、直径が大き過ぎるとエプロンガイド10が孔だらけになってしまい、鋼帯Pが接触した場合に、鋼帯の接触面積が狭くなって面圧が上り、焼き付きや、押し込みマークが発生し易くなるので、この直径にはノズルピッチ程度の上限が存在する。通常のノズル口径2〜10mm程度のノズル配置であれば、冷却水噴射孔径の10倍程度に相当する。
【0045】
ガイド孔11の直径が好適な場合を図5(B)に示す。この図は、ガイド孔11の直径が冷却水噴射孔径の4倍の場合であるが、ガイド孔11の直径が冷却水噴射孔径の3倍以上あれば、一部の冷却水がガイド孔の側壁に沿って抜けるため、エプロンガイドと鋼帯間に冷却水が滞留することがない。また、冷却水の噴射を妨げるほどのガイド孔へ冷却水の勢いはない。
【0046】
以上の理由から、冷却ボックス8の冷却水噴射孔の中心軸と同軸に、エプロンガイド10に設けられるガイド孔11の直径は、冷却水噴射孔径の3倍以上、ノズルピッチ程度にするとよい。また、さらに好ましくは、冷却水噴射孔径の3〜10倍に設定するとよい。
【0047】
なお、上述の実施の形態において、上記エプロンガイド10と冷却ボックス8端面との間隔を、30mmに設定している。これは、以下の理由による。
エプロンガイド10と冷却ボックス8端面との隙間を5mm以下に設定すると、逆流の逃げ場がなくなり、冷却水は鋼帯Pとエプロンガイド10との間に滞留し、この部分の圧力が上昇して、いわゆる水の抜けが悪くなり、噴射冷却水の勢いが弱まる。
【0048】
ある程度の逆流を生じさせ、冷却水の抜けを良くするためには、エプロンガイド10と冷却ボックス8との隙間は5mmは必要であり、望ましくは10mm以上を確保する。ただし、あまり離しすぎると、冷却ボックス8と鋼帯Pとの距離が離れて冷却能力が弱まってしまう。冷却ボックス8と熱延鋼帯Pの間隔には、冷却能力の関係から100mm以上という上限があり、この条件内に収まる範囲が冷却ボックス8とエプロンガイド10の隙間の上限となる。ここでは30mmに設定しているので、何らの問題も生じない。
【0049】
極端な例を、図6に示す。これは、エプロンガイド10と冷却ボックス8を一体化して隙間を無くした場合であるが、噴射された冷却水Aのほとんどがガイド孔11と鋼帯Pとの周辺に滞留し、この部分の圧力が上昇して、いわゆる水の抜けが悪くなり、噴射冷却水の勢いを著しくそそぐ。そのため、鋼帯Pへの衝突速度がさらに低下して冷却能力が落ちる。
【0050】
一方、鋼帯Pを冷却した冷却水は、鋼帯とエプロンガイド10との隙間を通って、エプロンガイド10と搬送ロール7との間隔、あるいは冷却ボックス8の両側部から流出する。
【0051】
上述したように、冷却ボックス8端面と搬送される熱延鋼帯Pとの間隔を80mmに設定しているが、これは以下の理由による。
【0052】
冷却ボックス8と鋼帯Pの間隔をより拡大すれば、噴射される冷却水の勢いが鋼帯Pと冷却ボックス8との間に存在する流体(冷却水)によって吸収され、弱まる。逆に、近づき過ぎると冷却水ノズルの本数を増やさないと鋼帯の全面をカバーしきれなくなり、面積当たりのノズル本数を増やしたり、冷却水量を増やしたりする対応を取らざるを得なくなり、非効率で、不経済となる。
【0053】
理想として、鋼帯Pは上面からの冷却水から受ける面圧と下面から受ける面圧とがバランスする位置を通過させなければならず、このことにより鋼帯Pの振動や片寄った走行をセンタリングする効果が働く。
【0054】
種々の実験で、流体(冷却水)が鋼帯Pに作用する圧力である面圧が、0.01〜0.2kg/cmG程度であれば、上述のセンタリング効果が期待できる結果が得られた。
【0055】
このとき、ラミナー状の冷却水で鋼帯Pを冷却するためには、冷却ボックス8と鋼帯Pの間隔を所定値以上離すことはできない。ラミナー流をなす冷却水噴射孔の直径が2〜5mmの場合、冷却ボックス8と鋼帯Pの間隔を30〜100mmとする。
【0056】
100mm以上では、冷却水流の勢いが弱まって強冷却が不可能になる。逆に、30mm以下に近づき過ぎると、冷却水ノズルの本数を増やさないと鋼帯の全面をカバーしきれなくなり、面積当たりのノズル本数を増やしたり、冷却水量を増やしたりする対応を取らざるを得なくなり、非効率で、不経済となる。
【0057】
これらのことから、冷却ボックス8端面と搬送される熱延鋼帯Pとの間隔を、上述したように80mmに設定するとよい。
【0058】
再び図1(B)および図2に示すように、鋼帯Pの下面を冷却する装置として冷却ボックス8を配置したが、鋼帯Pの上面についても同等の冷却を行うべく、鋼帯の上方部位にも冷却手段である上面冷却ボックス12が配置される。
【0059】
そして、鋼帯Pの搬送走行をサポートし、搬送ロール7と同じ周速で反対方向、すなわち鋼帯Pを仕上げ圧延機3から巻き取り機6へ送る方向へ回転するドライブロール14が備えられる。
【0060】
上面冷却ボックス12と搬送される熱延鋼帯Pとの間には、上面側エプロンガイド13が設けられる。このエプロンガイド13の形状構造と、冷却ボックス12の冷却水噴射条件と、冷却ボックス12とエプロンガイド13および鋼帯Pとの相対位置関係は、下面側における条件と全て同一に設定されている。
【0061】
なお、鋼帯Pの冷却のためラミナー流として噴射される冷却水の水量は、鋼帯の片面1mに対して約3500L/minmとなるように調整してある。このとき、冷却水の温度は25℃であった。
【0062】
上述のように構成される冷却装置4において、圧延後の板厚が3.2mmで、幅1500mm、温度900℃の熱延鋼帯Pを、搬送速度600pmで搬送しながら導き、冷却したあと搬出した。
【0063】
冷却装置4の出側において、鋼帯Pの温度が710℃に低下し、幅方向と長手方向での温度差は約20℃の範囲内であり、ほとんど均一な温度分布の鋼帯が得られた。
【0064】
しかも、鋼帯Pの先端は安定状態で上下面側の冷却ボックス8,12間を通過し、常に鋼帯Pに対する冷却が安定して行われた。また、鋼帯P先端を含めて、全体的に疵や押し込みマークの発生はなかった。
【0065】
つぎに、第2の実施の形態を説明する。
冷却手段としての冷却装置が、第1の実施の形態における冷却ボックスに代って、冷却ノズルが用いられる。この冷却ノズルは、柱状の冷却水を噴射する円管ラミナーノズルである。
【0066】
図7(A)に、冷却装置4Aの詳細を示す。下面側の冷却装置しか図示していないが、第1の実施の形態と同様、下面側冷却装置と同一構造の上面側冷却装置が配置されている。
【0067】
長手方向に第1の実施の形態と同一ピッチで設けた同一直径の搬送ロール7の間にヘッダー16が配置され、それぞれのヘッダー16に冷却水噴射孔径4mm、直管部長さ100mmの円管ラミナーノズル15が、幅方向および長手方向に40mmの間隔で千鳥状に配置されている。
【0068】
円管ラミナーノズル15の先端と鋼帯Pとの間隔は80mmに設定されていて、円管ラミナーノズル15から噴射された冷却水の流れは、柱状のラミナー流Aとなって鋼帯Pへ到達する。
【0069】
上記円管ラミナーノズル15の先端と鋼帯Pとの間には、厚み40mmのエプロンガイド10が設けられている。このエプロンガイド10と鋼帯Pとの間隔は10mmに設定されている。エプロンガイド10の鋼帯Pに対する面は、鋼帯Pとの接触によって鋼帯に疵が発生しないよう、鋼帯より柔らかい材質、たとえば合成樹脂製の平板からなる。
【0070】
エプロンガイド10には、円管ラミナーノズル15から噴射された柱状の冷却水Aが通過するのに必要最小限の直径のガイド孔11が設けられる。エプロンガイド10の厚みは材質によるが鋼製の場合は5mm以上とする。薄い方がよいが、特に5mm未満の場合は、搬送される熱延鋼帯Pが衝突することにより破損もしくは変形をなし、冷却に支障をきたすからである。
【0071】
また、エプロンガイド10は剛性を備えるために厚みを増すことが考えられるが、厚すぎると、円管ラミナーノズル15と鋼帯Pとの距離が離れて冷却能力が弱まったり、円管ラミナーノズル15の直管部長さが長くなって冷却能力上支障をきたす。後述するが、円管ラミナーノズル15先端と熱延鋼帯Pとの間隔は冷却能力の関係から80mmという上限があるため、この条件内に収まる範囲が上限となる。
【0072】
そこで、エプロンガイド10は、板厚30mmの合成樹脂板をベースとして、この裏面に板厚10mmの鋼板を補強板として張り合わせてなり、全体厚み40mmのエプロンガイド10としている。ただし、これに限定されるものではなく、上記厚みの範囲内で種々の鋼板と樹脂板の組合わせをなすことができる。
【0073】
円管ラミナーノズル15の冷却水噴射孔の中心軸に対して、エプロンガイド10のガイド孔11は同軸に設計され、このガイド孔11の直径は、冷却水噴射孔径の4倍、すなわち16mmである。
【0074】
なお、ガイド孔11の直径は円管ラミナーノズル15の噴射孔径の3〜10倍に設定されている。直径が3倍以下では、ガイド孔11を通過する間に流動抵抗を受けて流速が低下し、鋼帯への衝突速度が減衰する。直径が10倍以上では、鋼帯Pとエプロンガイド10との間に充満した冷却水の逆流が、噴射冷却水の勢いを妨げ鋼帯に対する衝突速度が減衰してしまう。
【0075】
さらに直径が大き過ぎるとエプロンガイド10が孔だらけになり、鋼帯Pと接触した場合の接触面積が狭くなって、面圧が上がる。そして、焼き付き、押し込みマークなどが発生し易くなる。
【0076】
上記円管ラミナーノズル15は、その冷却水噴射孔径と直管部の長さの比を、5〜20の範囲に設定してある。
【0077】
すなわち、円管ラミナーノズル15先端の冷却水噴射孔位置と、エプロンガイド10下面のガイド孔11の入口面との高さが、互いに一致するように配置されている。
【0078】
エプロンガイド10のガイド孔11の中に、先に説明した随伴流を生じさせると、柱状になった冷却水流の減衰が少なくてすみ、鋼帯Pに対する衝突点での冷却水の衝突速度が上り、高い冷却効率を得られる。
【0079】
これに対して、図7(B)に示すように、円管ラミナーノズル15のヘッダー16とエプロンガイド10との間隔を5mm以下にすると、随伴流がほとんどなくなってガイド孔11において鋼帯側から冷却ボックス側へ冷却水が逆流し、ガイド孔を通過する柱状の冷却水流は著しく減衰してしまう。
【0080】
十分な随伴流を形成するためには、円管ラミナーノズル15のヘッダー16とエプロンガイド10との間隔が5mmを超え、望ましくは10mm以上の間隔が必要である。
【0081】
図8(A)に示すように、エプロンガイド10と円管ラミナーノズル15のヘッダー16とが密着していると、上記ノズル15から噴射された水がガイド孔11と鋼帯Pの周辺から逆流し、噴射された冷却水の勢いを抑制するので、柱状冷却水の鋼帯に対する衝突速度が小さくなり、冷却能力が落ちる。
【0082】
図8(B)に示すように、エプロンガイド10と円管ラミナーノズル15のヘッダー16との間隔を大きく採ると、円管ラミナー15の円管部分の長さを極端に長くしなければならない。そのため、流動抵抗が増えてしまい、冷却水の供給圧力を上げなければならないので、経済的でない。また、円管ラミナーノズル15先端と鋼帯Pとの距離が離れて冷却能力が弱まってしまう。円管ラミナーノズル15先端と熱延鋼帯Pとの間隔は冷却能力の関係から100mmという上限があり、この条件に収まる範囲が円管ラミナーノズル15のヘッダー16とエプロンガイド10の隙間の上限となる。
【0083】
逆に、円管ラミナー15の円管部分が短か過ぎると、柱状の冷却水流にならず、乱れて鋼帯への衝突力が弱まる。したがって、円管ラミナーノズルの冷却水噴射孔径と直管部の長さの比は5〜20とするとよい。
【0084】
5未満では、柱状の冷却水流とならず乱れた流れで、ノズル出口で水流が拡がり、鋼帯に到達する前に冷却水の勢いが弱まってしまう。一方、20超えでは、直管部が長くなって流動抵抗が増えるので、柱状の冷却水流を得るのに高い噴射圧力が必要となる。
【0085】
一方、鋼帯Pを冷却した冷却水は、鋼帯Pとエプロンガイド10との間の隙間を通り、エプロンガイド10と搬送ロール7との隙間、冷却装置4の両側部、あるいはエプロンガイド10のガイド孔11の側壁に沿って流出する。
【0086】
円管ラミナーノズル15先端と鋼帯Pの間隔(80mm)は、以下のようにして決定した。
【0087】
すなわち、ノズル15と鋼帯Pの間隔を極端に離せば、冷却水の勢いが鋼帯Pとノズル15との間に存在する流体によって吸収され、弱まってしまう。逆に近づき過ぎると、冷却水ノズルの本数を増やさないと鋼帯の全面をカバーしきれなくなり、面積当たりのノズル本数を増やしたり、冷却水量を増やしたりする対応を取らざるを得なくなり、非効率で、不経済となる。
【0088】
理想として、鋼帯Pは上面から受ける面圧と下面から受ける面圧とがバランスする位置を通過することになり、鋼帯Pの振動や片寄った走行をセンタリングする効果が働く。
【0089】
流体(冷却水)が鋼帯Pに作用する圧力が、0.01〜0.2kg/cmG程度であれば、上述のセンタリング効果が期待できる。このとき、ラミナー状の冷却水が鋼帯Pに到達して、鋼帯を冷却するためには、冷却装置と鋼帯の間隔を必要以上に離すことはできない。
【0090】
円管ラミナーノズル15の冷却水噴射孔径が2〜5mm程度であれば、円管ラミナーノズル先端と鋼帯の間隔は、30〜100mmが好ましい。
100mm以上とすると、冷却水流の勢いが弱まり強冷却が不可能になる。逆に、30mm以下に近付き過ぎると、冷却水の行き場がなくなって良好な水流が得難くなり、急冷却が不可能で、かつ冷却水の流れが鋼帯の中央部と側端部で異なり、冷却ムラが発生してしまう。
【0091】
すなわち、円管ラミナーノズル15先端と鋼帯Pの間隔は、80mmとするのが最適である。
【0092】
なお、この実施の形態において、鋼帯Pの片面1mに対し、冷却水の水量は約7300L/minmを確保するように調整した。冷却水の温度は25℃であった。
【0093】
このようにして構成される冷却装置4Aに、圧延後の板厚が5.7mmで、板幅が1200mmあり、圧延後の温度が870℃の鋼帯Pを、搬送速度450pmで通過させながら冷却した。
【0094】
このとき、冷却装置4A出側では、鋼帯Pの温度が725℃に低下し、幅方向と長手方向の温度差は約20℃の範囲に入って、ほぼ均一な温度分布の鋼帯が得られた。
【0095】
また、鋼帯Pは安定した状態で冷却装置4Aを通過し、かつ先端部に対する冷却は安定していた。そして、鋼帯P先端を含めて疵や押し込みマークの発生はなかった。
【0096】
つぎに、上述した第1の実施の形態の比較例として、図9(A)、図9(B)に、冷却装置4Zの概観図と、断面図を示して説明する。
【0097】
エプロンガイド10Zに冷却水噴射孔bが直接設けられ、この噴射孔bから冷却水を噴射するようになっている。エプロンガイド10Zの両端部には、鋼板ガイド18が設けられる。
【0098】
上記冷却装置4Zは、同一条件の搬送ロール7間に1組づつ、合計12組が配置される冷却ボックス17からなっていて、幅1860mmある。冷却ボックス17の冷却水噴射面と鋼帯Pとの間隔は、鋼帯先端を安定して通板させるためにパスラインから10mm下がった位置にあり、この冷却水噴射面がエプロンガイド10Zを兼ねている。
【0099】
冷却ボックス17には、4mmφの孔が縦40mm、横40mmで千鳥状に設けられている。鋼板の板厚が厚く、孔はストレートのガイド孔であるので、噴射された冷却水は柱状のラミナー流となる。
【0100】
上記鋼板ガイド18は、搬送ロール7相互間に冷却水を溜めて滞水帯を形成するよう、鋼帯Pの両側部に対向してパスラインの高さに設けられている。したがって、鋼帯Pを冷却した冷却水は、水位調整用排水口4、鋼帯Pと鋼板ガイド18との隙間、鋼板ガイド18と搬送ロール7との隙間、あるいは冷却装置の両側部から流出する。
【0101】
特に図示しないが、下面冷却ボックス17の上方に同一構造の冷却ボックスを対向して設け、同一噴射条件で冷却水を噴射して鋼帯上面の冷却をなす。なお、鋼帯上面の冷却について、滞水帯を形成するための鋼板ガイド18は必要ないので設けていない。
【0102】
この比較例において、熱延鋼帯Pに対する冷却条件は、鋼帯の片面1mに対して約3500L/minmの冷却水を噴射するように調整した。冷却水の温度は25℃であって、これら冷却条件は第1の実施の形態と同一である。
【0103】
上記4Z冷却装置に対して、圧延後の板厚が3.2mm、板幅1500mm、温度900℃の鋼帯を、搬送速度600pmで先端から通過させて冷却した。しかるに、冷却装置4Zの出側では鋼帯の温度は860〜720℃にしか低下せず、幅方向と長手方向の温度差は約120℃もあって、極めて大きい。そして、幅方向にはすじ状の温度ムラが発生していた。
【0104】
すなわち、鋼帯Pの走行性を優先させるため、エプロンガイド10Zを鋼帯Pに近づけたので、エプロンガイド10Zと冷却ボックス17との間に循環流が生じて、この流れが噴射冷却水の勢いを著しく阻害する。
【0105】
この循環流が、鋼帯Pを冷却するため鋼帯に衝突しようとしている冷却水の邪魔をなす。そこで、行き場を失った冷却水が何度も狭い領域内に留まるため、滞留水の水温が上昇し、冷却水の衝突点は良く冷えるものの横流れ領域では滞留水によって冷却が弱くなり、ムラが生じるためと考えられる。
【0106】
冷却水量を鋼帯の片面1mに対して約7300L/minmまで増加しても、すじ状の温度ムラは解消しなかった。また、冷却ボックス17を鋼帯から30mm以上離間させると、鋼帯先端が振動してしまい先端の安定通板が難しくなる。2mm以下の薄い鋼帯の場合は、冷却ボックスを30mm以上鋼帯から離すと通板しなかった。
【0107】
つぎに、第3の実施の形態の冷却装置を説明する。
【0108】
先に図1(A)(B)に示したような圧延設備と、冷却装置が用いられる。すなわち、冷却装置4は上面、下面とも長手方向に各搬送ロール7の間に1組づつ、合計15組が設けられる冷却ボックス8,12を備えている。
【0109】
特に、冷却ボックス8と鋼帯Pとの間隔は80mmに設定されていて、冷却ボックス8の鋼帯Pに対する面には、板厚が20mmの鋼板が嵌め込まれている。この鋼板には内径4mmfの孔が幅方向40mm、長手方向に40mmの間隔で千鳥状に配置されている。鋼板の板厚が厚く、孔はストレートの切り口であるので、噴射された冷却水は柱状のラミナー流となる。
【0110】
冷却ボックス8と鋼帯Pとの間には、図10(A)(B)に示すようなエプロンガイド10Sが設けられている。
上記エプロンガイド10Sは、厚みdが40mm、幅kが200mmであり、ガイド下面の長さmが冷却ボックス8の長手方向長さと同じ180mm、上面側の長さnは330mmの、断面ほぼ台形状に形成される。
【0111】
このエプロンガイド10Sと鋼帯Pとの間隔は10mmに設定されているが、10〜30mmの範囲であればよい。エプロンガイド10Sの鋼帯Pに接触する面は、疵を発生させないよう鋼帯より柔らかい材質(たとえば樹脂製)がよく、その形態は先に図4で説明したようなものから選択すると良い。
【0112】
エプロンガイド10Sの形状は、幅方向の両サイドの角を落とし、丸く仕上げるのがよい。したがって、鋼帯Pがエプロンガイド10S端部に接触した場合の面圧を抑制でき、擦り疵の発生を防止する。
【0113】
また、上記エプロンガイド10Sは、搬送される鋼帯Pの幅方向における中心部、すなわち、冷却ボックス8の幅方向における中心部Lに対向して配置されている。
【0114】
たとえば、エプロンガイド10Sを幅方向の全面に亘って設置した場合は、噴射された冷却水が鋼帯に衝突したあと、冷却ボックス8とエプロンガイド10Sとの間、およびエプロンガイド10Sと鋼帯Pとの間、および鋼帯の両側端部から流れ出る。
【0115】
しかしながら、幅方向全面にエプロンガイド10Sを設置しているために、特に鋼帯の幅方向中心部付近で冷却水が滞留し易くなり、冷却水の新陳代謝が悪くなって冷却水温が上昇し、冷却が非効率になる。さらに、逃げ場を失った滞留水の影響によって、冷却ボックス8から噴射された冷却水の鋼帯Pへの衝突速度が減衰してしまう。
【0116】
この第3の実施の形態におけるエプロンガイド10Sの設置条件の場合と、冷却ボックス8の幅方向全面に亘って対向するようエプロンガイドを設置した場合との、鋼帯への衝突圧力を冷間実験において測定し比較した。
【0117】
その結果、第3の実施の形態の条件を採用すれば、エプロンガイド設置の有無による圧力差はほとんどなく、鋼帯Pの幅方向全面に亘って、ほぼ均一な衝突圧力であった。
【0118】
一方、幅方向全面に亘るエプロンガイドを設置した場合は、衝突圧力は幅方向でほぼ均一であったが、全面に亘ってエプロンガイドがない場合に比べ、30%程度衝突圧力が低くなっていた。これは上記したように、エプロンガイドと冷却装置との間、エプロンガイドと鋼帯との間の滞留水による影響と考えられる。
【0119】
したがって、搬送される鋼帯の幅方向中央部に対向してエプロンガイド10Sを設置するとよい、との結論が得られることとなる。
【0120】
また、上記実施の形態で用いた幅200mmのエプロンガイドを、幅方向に3分割し、鋼帯Pの幅方向端部からそれぞれ100mmの位置と幅方向中心部に設置し、鋼帯への衝突圧力について冷間実験によって測定した。
【0121】
その結果、中央部に設置したのみの場合と比べて、分割エプロンガイドを設置した位置での衝突圧力が15%程度減少した。すなわち、分割エプロンガイドを鋼帯の幅方向の端部に設置することにより、端部における冷却水の抜けが、中央部のみに設置した場合に比べて悪化してしまう。以上のことからも、エプロンガイド10Sは搬送される鋼帯の幅方向中央部にのみ設置するとよい。
【0122】
使用するエプロンガイド10Sの幅を、200mmばかりでなく、400mm、600mm、800mm、1000mm、1200mmとして、それぞれの鋼帯Pへの衝突圧力を冷間実験にて求めた。
【0123】
その結果、エプロンガイドの幅を400mm〜1000mmとしたの場合の衝突圧力が幅200mmのものとほぼ等しく、鋼帯の幅方向における他の部分での衝突圧力もほぼ均一であった。
【0124】
一方、エプロンガイドの幅が1200mmの場合には、エプロンガイド設置位置での衝突圧力が、エプロンガイドを設置していない領域に比べて、15%程度減少していた。
【0125】
このように、エプロンガイド10Sの幅寸法を増加させると、鋼帯Pの幅方向中心部L付近で冷却水が滞留し易くなる。さらに、この滞留水の影響によって、冷却ボックス8から噴射される冷却水の鋼帯への衝突速度が減衰され、衝突圧力が減少することが判明した。
【0126】
概念的には、鋼帯Pの幅方向に設置するエプロンガイド10Sの幅寸法を、鋼帯を搬送する搬送ロールの幅寸法の少なくとも1/2以下とするのが望ましい。なお、鋼帯P先端の通板性はガイド幅が200mm〜1000mmで特に差はなく、いずれも良好であった。
【0127】
エプロンガイド10Sと冷却ボックス8との間に、30mmの隙間を設けている。上記隙間を5mm以下とすると、随伴流が少なくなり、エプロンガイドのガイド孔11には鋼帯Pから冷却ボックス8側へ逆流が生じ、ガイド孔11を通過する柱状の冷却水流は著しく減衰する。
【0128】
エプロンガイド10Sと冷却ボックス8との間に隙間がない場合は、ガイド孔11に冷却水が常に溜まり、噴射された冷却水はガイド孔を通過する際に圧力損失を生じて、鋼帯に衝突する際の衝突速度が減衰する。
【0129】
冷間実験において、冷却ボックス8とエプロンガイド10S間に隙間がある場合と、隙間が全くない場合について、鋼帯Pに冷却水が衝突する圧力を測定した結果、隙間がない場合には、隙間がある場合に比べ、1/2以下まで衝突圧力が減衰していた。
【0130】
冷却ボックス8と鋼帯Pとの間に隙間がない場合に、幅方向中央部Lにのみエプロンガイド10Sを設置しても、幅方向での冷却水の衝突圧力が不均一となり、結果的に鋼帯の幅方向で温度ムラが生じてしまう。
【0131】
以上のことより、この実施の形態のエプロンガイド10Sを設置する際には、冷却ボックス8とエプロンガイド10S間で、少なくとも10mm以上の隙間が必要となる結果が得られた。
【0132】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば次のような効果を得ることができる。
【0133】
(1)安定した鋼帯の通板を保ちながら、鋼帯の長手および幅方向に均一で、強冷却が可能となった。
【0134】
(2)鋼帯の幅方向及び長手方向の温度ムラが少なくなって、製品の品質が安定し、材質バラツキが減り、熱歪による形状不良がなくなった。
【0135】
(3)鋼帯の最先端部から安定した冷却がなされて、歩留まりが大幅に向上することとなった。
【0136】
(4)冷却装置の通板トラブルが減って、設備の稼働率がアップした。鋼帯において疵の発生率が大幅に低下し、疵付くことがなくなった。
【0137】
(5)材質はずれによる歩留まりロスが減って、クズ発生率が低減した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における第1の実施の形態の、圧延装置の概略構成を示す図と、冷却装置の概略構成を示す図。
【図2】同実施の形態の、冷却装置とエプロンガイド間を通板する鋼板先端の通板状況を示した図。
【図3】鋼帯の搬送不具合状態を説明する図。
【図4】各種のエプロンガイド形態を示した図。
【図5】同実施の形態の、鋼帯に対する冷却装置とエプロンガイドの配置構成およびラミナー流形状を説明する図。
【図6】比較のための、鋼帯に対する冷却装置とエプロンガイドの配置構成を説明する図で、3倍未満の不具合のある例と、好適範囲の例。
【図7】本発明における第2の実施の形態の、冷却装置とエプロンガイド間を通板する鋼板先端の通板状況を示した図。
【図8】比較のための、鋼帯に対する冷却装置とエプロンガイドの配置構成を説明する図。
【図9】比較例の、冷却装置(エプロンガイド兼用)の斜視図と、概略の断面図。
【図10】第3の実施の形態の、冷却装置の平面図と、概略の断面図。
【符号の説明】
3Z…最終仕上げ圧延機、
P…熱延鋼帯、
7…搬送ロール、
10…エプロンガイド(下面側)、
11…ガイド孔、
4…冷却装置(冷却手段)、
8…冷却ボックス(下面側)、
12…冷却ボックス(上面側)、
13…エプロンガイド(上面側)、
15…円管ラミナーノズル(冷却ノズル)。

Claims (5)

  1. 所定間隔を存して配置され、最終仕上げ圧延機から導かれた高温の熱延鋼帯を搬送する複数の回転する搬送ロールと、
    これら搬送ロール相互間で、かつ搬送される熱延鋼帯に近接した位置に配置される平面状のエプロンガイドと、
    それぞれのエプロンガイドに設けられる冷却水通過用のガイド孔と、
    このエプロンガイドと間隙を存して配置され、エプロンガイドの上記ガイド孔を介して熱延鋼帯へ柱状の冷却水を噴射する冷却手段とを具備した熱延鋼帯の冷却装置であって、
    上記搬送される熱延鋼帯と上記エプロンガイドとの間隔が10〜30mmに設定され、上記エプロンガイドのガイド孔の直径は上記冷却手段の冷却水噴射孔径の3〜10倍に設定されることを特徴とする熱延鋼帯の冷却装置。
  2. 上記冷却手段の端面と上記エプロンガイドとの隙間が、5mm以上に設定されることを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼帯の冷却装置。
  3. 上記冷却手段は円管ラミナー冷却ノズルであって、
    上記円管ラミナー冷却ノズルは、冷却水噴射孔径と、直管部との長さの比が5〜20に設定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱延鋼帯の冷却装置。
  4. 上記搬送ロールとエプロンガイドは、搬送される熱延鋼帯を介して上下両面側に、それぞれ対称位置に設けられることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の熱延鋼帯の冷却装置。
  5. 上記エプロンガイドは、搬送される熱延鋼帯の幅方向中心部に対向して配置されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の熱延鋼帯の冷却装置。
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