JP4097127B2 - リチウムイオン二次電池用負極材料、その製造法、リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用負極材料、その製造法、リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、Li、希土類元素、Snを主成分とした合金等からなるリチウムイオン二次電池用負極材料、その製造法、該負極材料を用いた負極及び該負極を備えたリチウムイオン二次電池に関し、更に詳しくは、初期充放電効率が高く、放電容量が大きく、サイクル特性に優れ、且つ工業的な生産性に優れたリチウムイオン二次電池用負極、その原材料となる負極材料、その製造法及びリチウムイオン二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
リチウムイオン二次電池は、理論エネルギー密度が他の二次電池と比較して格段に高いため、携帯電話・電子機器に用いられる高性能電池のみならず、最近では電気自動車の新型電池として強い関心が寄せられている。現在、実用化されているリチウムイオン二次電池の負極活物質としてリチウムイオンをインターカレートさせた黒鉛系炭素材料等が使用されている。しかしながら黒鉛系炭素材料は、炭素6原子に対してリチウム1原子をインターカレートさせるのが限界であり、炭素材料の理論的な電気容量は372mAh/gが限界である。従って、今後の二次電池に必要な高容量特性を充足するために新たな負極材料の開発が望まれている。
このような状況のもと、Si(密度:2.33g/cm3)とSn(密度:7.3g/cm3)等は1原子あたり最大4.4個のLiを吸蔵できるため非常に魅力的な材料である。しかし、Si及びSnは、Liの吸蔵時、3倍以上の非常に大きな体積膨張を引き起こす。その結果、微粉化が生じ、電極からの脱離等が引き起こされ、十分な導通が保てなくなり、数サイクル程度で初期放電容量の1/5以下まで容量が低下してしまう。
そのような背景のもと現在、体積膨張率の異なる(Liと合金化し難い)元素とSi又はSnとをナノレベルで複合化、もしくは合金化することで微粉化を抑制し、サイクル寿命を延ばす試みが精力的に行われている。例えば、リチウムイオン二次電池の負極活物質として、Si系ではFeSi2、NiSi2、CoSi2、VSi2、MnSi2、またSn系ではNi3Sn2、Ni3Sn、Ni3Sn4、FeSn2、FeSn、CoSn2等の金属間化合物の使用可能性が検討されている。しかし、上記体積膨張率の異なる元素と合金化している金属間化合物も、現状においては電池設計時に非常に重要なファクターである初期充放電効率(初回充電容量に対する初回放電容量の割合)が低く、放電容量も小さく、更にサイクル特性も良好とは言えない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、初期充放電効率に優れ、充放電に伴うサイクル劣化を抑制し、黒鉛系炭素材料の理論容量である372mAh/gを大きく超える放電容量を実現したリチウム二次電池用負極、該負極に用いる負極材料、その製造法及び該負極を備えたリチウム二次電池を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
発明者らは上記課題を解決するため、強い極性を有し、微粉化し難いRSn3相(R=希土類元素等)に着目し、更に初回の充放電により合金中に残留するLiを予め、吸蔵(充電)させたRSn3-Lix(0≦x≦13)を基本骨格とした合金を高周波溶解法により作製した。その結果、高い放電容量及び優れたサイクル特性を達成した。次いでLiの充放電容量を増加する添加元素とサイクル寿命を向上させる添加元素について鋭意検討を行った結果、特定の元素を適正量添加することにより、更に放電特性が向上しうることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明によれば、式(1)で表される組成を有する合金を含み、且つ該合金が酸素を0.05〜5質量%及び/又は窒素を0.0005〜2質量%含むリチウムイオン二次電池用負極材料が提供される。
(Li)x(R)y(Sn)z(Ma)w(Mb)v・・・(1)
(式中、RはY、Scを含むランタノイド系列LaからLuまでの元素からなる群より選択される1種又は2種以上、MaはB、C、Si、P、Al、Zn、V、Mn、Cu、Ag、In、Sb、Pb及びBiからなる群より選択される1種又は2種以上、MbはTi、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、B、Mg、Zr、Hf、Nb、Ta及びMoからなる群より選択される1種又は2種以上でMa≠Mb。x、y、zはそれぞれモル比で、0≦x≦13、0.70≦y≦1.10、2.20≦z≦3.50、0≦w≦0.70、0≦v≦0.70、0≦w+v≦0.70である。)
また本発明によれば、式(1)で表される組成を有する合金を含むリチウムイオン二次電池用負極材料が提供される。
(Li)x(R)y(Sn)z(Ma)w(Mb)v・・・(1)
(式中、RはY、Scを含むランタノイド系列LaからLuまでの元素からなる群より選択される1種又は2種以上、MaはB、C、Si、P、Al、Zn、V、Mn、Cu、Ag、In、Sb、Pb及びBiからなる群より選択される1種又は2種以上、MbはTi、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、B、Mg、Zr、Hf、Nb、Ta及びMoからなる群より選択される1種又は2種以上でMa≠Mb。x、y、zはそれぞれモル比で、0≦x≦13、0.70≦y≦1.10、2.20≦z≦3.50、0<w≦0.70、0≦v≦0.70、0<w+v≦0.70である。)
更に本発明によれば、式(1)で表される組成を有する合金を含むリチウムイオン二次電池用負極材料が提供される。
(Li)x(R)y(Sn)z(Ma)w(Mb)v・・・(1)
(式中、RはY、Scを含むランタノイド系列LaからLuまでの元素からなる群より選択される1種又は2種以上、MaはB、C、Si、P、Al、Zn、V、Mn、Cu、Ag、In、Sb、Pb及びBiからなる群より選択される1種又は2種以上、MbはTi、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、B、Mg、Zr、Hf、Nb、Ta及びMoからなる群より選択される1種又は2種以上でMa≠Mb。x、y、zはそれぞれモル比で、0≦x≦13、0.70≦y≦1.10、2.20≦z≦3.50、0≦w≦0.70、0<v≦0.70、0<w+v≦0.70である。)
更にまた本発明によれば、式(1)で表される組成を有する合金溶湯を製造する工程(a)、
(Li)x(R)y(Sn)z(Ma)w(Mb)v・・・(1)
(式中、RはY、Scを含むランタノイド系列LaからLuまでの元素からなる群より選択される1種又は2種以上、MaはB、C、Si、P、Al、Zn、V、Mn、Cu、Ag、In、Sb、Pb及びBiからなる群より選択される1種又は2種以上、MbはTi、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、B、Mg、Zr、Hf、Nb、Ta及びMoからなる群より選択される1種又は2種以上でMa≠Mb。x、y、zはそれぞれモル比で、0≦x≦13、0.70≦y≦1.10、2.20≦z≦3.50、0≦w≦0.70、0≦v≦0.70、0≦w+v≦0.70である。)
製造した合金溶湯を冷却固化する工程(b)、及び冷却固化した合金を、0.07〜10MPaの希ガス及び/又は水素ガス中において100〜1150℃の温度範囲で1分〜100時間保持する工程(c)を含む上記リチウムイオン二次電池用負極材料の製造法が提供される。
また本発明によれば、上記負極材料を活物質として含むリチウムイオン二次電池用負極が提供される。
更に本発明によれば、上記負極を備えるリチウムイオン二次電池が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の負極材料は、リチウムイオン二次電池負極とした際に従来の炭素材の理論容量より、はるかに高い放電容量、同等以上の初期充放電効率を示し、またサイクル特性も従来の合金系負極材よりはるかに優れたサイクル特性を示すことが可能であり、前記式(1)で表される組成を有する合金を含む。
【0007】
式(1)中、RはY、Scを含むランタノイド系列LaからLuまでの元素からなる群より選択される1種又は2種以上(以下、希土類(R)と略す)である。該希土類(R)は、Snとの組み合わせにおいて電気陰性度の差が大きく、強い極性を有してイオン結合的にSnと合金化するためサイクル寿命の向上が望める。
希土類(R)の中でもCeは、Snとの組合わせにおいて最も電気陰性度の差が大きな部類に属し、非常に微粉化し難い合金系の達成を可能にする。またCeは、4価までの酸化数を有するのでLiの配位能が大きく、種々ある希土類(R)の中で最も充放電容量が大きい合金系の製造を可能にする元素に属する。
従って、希土類(R)は、Ce単独であるか、もしくはCeと、90mol%未満、特に50mol%未満のCe以外の希土類(R)とからなる構成が好ましい。希土類(R)は、Snと金属間化合物を主に形成するが、希土類(R)自体で存在してもLiの吸蔵・放出に伴う体積膨張を緩和することができる。希土類(R)の量が多すぎると充放電容量の低下を招き、少なすぎると微粉化を抑制できなくなるため、式(1)において希土類(R)の量を示すyの範囲は、0.70≦y≦1.10、好ましくは0.90≦y≦1.05である。
【0008】
式(1)においてLiは、所望の合金組成の初期充放電効率を考慮して、その含有割合を適宜選択することができ、後述する負極の構成によっては必ずしも含有されてい無くても良い。Liの含有割合が多すぎると取り扱いが困難になると共に、充放電容量の低下を招く恐れがある。従って、式(1)においてLiの量を示すxの範囲は、0≦x≦13、好ましくは4.0≦x≦8.0である。
【0009】
式(1)においてSnは、Liを吸蔵する金属である。Snの含有割合は少なすぎると充放電容量が小さくなる。また多すぎると容量は増加するが他の元素と合金化できない残留金属Snの割合が増加し、微粉化が促進され、サイクル寿命が低下する恐れが生じる。従って、式(1)においてSnの量を示すzの範囲は2.20≦z≦3.50、好ましくは2.70≦z≦3.10である。
本発明の式(1)で表される組成を有する合金において許容できる残留金属Snの割合は、粉末X線回折におけるSnの(2 0 0)面のピーク強度が、RSn3相(Rは式(1)中のRと同様である)に由来するピーク中で最強ピーク強度の30%以下、好ましくは15%以下、更に好ましくは5%以下となる割合である。
【0010】
式(1)において置換元素Maは、B、C、Si、P、Al、Zn、V、Mn、Cu、Ag、In、Sb、Pb及びBiからなる群より選択される1種又は2種以上である。該置換元素Maの使用によりLi吸蔵量及び放出量を増加させることができ、結果として充放電容量を増加させうる。その理由は、置換元素MaのうちのB、Cは格子間に侵入でき、またSi、P、Al、Zn、V、Mn、Cu、Ag、In、Sbは原子半径がCeもしくはSnより小さいため、格子にひずみを与え、格子欠陥を発生させることができ、この欠陥又はひずみ場にLiが吸蔵されうるためと推測される。また置換元素MaのうちAl、Zn、V、Cu、Ag、Inは、CeもしくはSnより導電率が大きいので、合金自体の導電率を向上させることができ、その結果、充放電容量が増加すると考えられる。
式(1)において置換元素Mbは、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、B、Mg、Zr、Hf、Nb、Ta及びMoからなる群より選択される1種類又は2種類以上であり、且つMa≠Mbである。該置換元素Mbの使用によりサイクル寿命を延ばすことができる。
【0011】
前記置換元素(Ma、Mb)は、その置換元素単体、もしくは置換元素(Ma、Mb)と、希土類(R)及び/又はSnとの金属間化合物を形成し、それらが複合的に合金中に分散し、Liの充放電に伴うSnの体積膨張を緩和していると推定される。これら置換元素(Ma、Mb)の含有割合を適正値に調整することにより、放電特性のバランスを制御することができる。Maの含有割合が多いとLi吸蔵量は増加するが、サイクル寿命が低下する傾向がある。またMbの含有割合が多いとサイクル寿命は向上するが、Li吸蔵量が低下し、放電容量も低下する傾向がある。従って、式(1)においてMa又はMbの量を示すw又はvの範囲は、それぞれ0≦w≦0.70、0≦v≦0.70、0≦w+v≦0.70である。
【0012】
本発明において、式(1)で表される合金の組織は、主にCu3Au構造を有するRSn3相であることが好ましい。RSn3相はR-Sn系二元系合金では最もSn結合数が多い相である。言い換えるなら最も放電容量が大きい相である。式(1)で表される合金の組織は、サイクル寿命の向上、並びに適度の活性度を得る目的で他の相を含んでいても良い。但し、Sn単相を含む場合は特性の劣化が著しいので好ましくない。RSn3相以外の相の含有割合は、合金の組織観察を行った場合の面積率で0.5〜30%、特に2〜5%が好ましい。RSn3相以外の相としては、Maと希土類(R)との金属間化合物相、Mbと希土類(R)との金属間化合物相、MaとSnとの金属間化合物相、MbとSnとの金属間化合物相、希土類(R)とSnとの金属間化合物相等が挙げられる。また置換元素Mb、Maは、元素単体で存在していても良い。これら金属間化合物もしくは置換元素単体は、複合的に合金中に分散し、Liの吸蔵・放出に伴う合金の体積膨張を緩和する効果がある。前記金属間化合物相は、1種又は2種以上存在していても良い。
【0013】
前記Mbと希土類(R)との金属間化合物相としては、例えば、Ce2Fe17、Ce2Fe2、Nd2Fe17、Pr2Fe17、PrFe2、Sm2Fe17、SmFe3、SmFe2、Ce24Co11、CeCo2、CeCo3、Ce2Co7、Ce5Co19、Ce2Co17、CeCo5、LaCo13、LaCo5、La5Co19、α-La2Co7、β-La2Co7、La2Co3、La2Co1.7、LaCo、Nd2Co17、NdCo5、Nd5Co19、Nd2Co7、NdCo3、NdCo2、α-Nd2Co3、β-Nd2Co3、Nd2Co1.7、Nd7Co3、Nd3Co、Pr2Co17、PrCo5、Pr5Co19、PrCo3、Pr2Co7、PrCo2、Pr2Co1.7、Pr5Co2、Pr3Co、α-Sm2Co17、β-Sm2Co17、SmCo3、SmCo2、Sm9Co4、Sm3Co、Ce7Ni3、CeNi、CeNi2、CeNi3、Ce2Ni7、CeNi5、La3Ni、La7Ni3、LaNi、La2Ni3、La7Ni16、LaNi3、α-La2Ni7、β-La2Ni7、LaNi5、Nd3Ni、Nd7Ni3、NdNi、NdNi2、NdNi3、Nd2Ni7、NdNi5、Nd2Ni17、Pr3Ni、Pr7Ni3、PrNi、PrNi2、PrNi3、Pr2Ni7、PrNi5、Sm3Ni、SmNi、SmNi2、SmNi3、Sm2Ni7、Sm5Ni19、SmNi5、Sm2Ni17、CeCu6、CeCu4、CeCu2、CeCu、LaCu6、LaCu、NdCu6、NdCu5、NdCu4、Nd2Cu7、NdCu2、NdCu、PrCu6、PrCu4、PrCu5、PrCu2、PrCu、SmCu6、SmCu4、SmCu5、Sm2Cu7、SmCu2、SmCu、CeB4、CeB6、LaB4、LaB6、LaB9、Nd2B5、NdB4、NdB6、NdB66、Sm2B5、SmB4、SmB6、SmB66、CeMg12、Ce5Mg41、CeMg3、CeMg2、CeMg、CeMg10.3、LaMg12、La2Mg17、LaMg3、LaMg2、LaMg等が挙げられる。
【0014】
前記MbとSnとの金属間化合物相としては、例えば、Ti3Sn、Ti2Sn、Ti5Sn3、α-Ti6Sn5、β-Ti6Sn5、V3Sn、V2Sn3、Fe5Sn3、Fe3Sn2、FeSn、FeSn2、α-Co3Sn2、β-Co3Sn2、CoSn、CoSn2、Ni3Sn、Ni3Sn2、Ni3Sn4、Cu6Sn5、Cu3Sn、Mg2Sn、Zr4Sn、Zr5Sn3、ZrSn3、Hf5Sn3、Hf5Sn4、HfSn、HfSn2、Nb3Sn、Nb6Sn5、NbSn2、Mo3Sn、MoSn2等が挙げられる。
【0015】
前記Maと希土類(R)との金属間化合物相としては、例えば、CeB4、CeB6、LaB4、LaB6、LaB9、Nd2B5、NdB4、NdB6、NdB66、PrB4、PrB6、Sm2B5、SmB4、SmB6、SmB66、Ce2C3、α-CeC2、β-CeC2、La2C3、α-LaC2、β-LaC2、Pr2C3、α-PrC2、β-PrC2、Ce5Si3、Ce3Si2、Ce5Si4、CeSi、Ce3Si5、CeSi2、Nd5Si3、Nd5Si4、NdSi、Nd3Si4、α-Nd2Si3、β-Nd2Si3、α-Pr5Si3、β-Pr5Si3、Pr5Si4、PrSi、Pr3Si4、α-PrSi2、β-PrSi2、Sm5Si3、Sm5Si4、SmSi、Sm3Si5、α-SmSi2、β-SmSi2、PrP、PrP2、PrP5、PrP7、α-Al11Ce3、β-Al11Ce3、Al3Ce、Al2Ce、AlCe、α-AlCe3、β-AlCe3、α-Al11La3、β-Al11La3、Al3La、Al2La、AlLa、AlLa3、α-Al11Nd3、β-Al11Nd3、Al3Nd、Al2Nd、AlNd、AlNd3、α-Al11Pr3、β-Al11Pr3、Al3Pr、Al2Pr、α-AlPr、β-AlPr、AlPr2、α-AlPr3、β-AlPr3、Al3Sm、Al2Sm、AlSm、AlSm2、CeZn、CeZn2、CeZn3、Ce3Zn11、Ce13Zn58、CeZn5、Ce3Zn22、Ce2Zn17、CeZn11、LaZn、LaZn2、LaZn4、LaZn8、LaZn13、NdZn、NdZn2、NdZn3、Nd3Zn11、Nd13Zn58、Nd3Zn22、NdZn11、NdZn12、Nd2Zn17、PrZn、α-PrZn2、β-PrZn2、PrZn3、Pr3Zn11、Pr13Zn58、Pr3Zn22、α-Pr2Zn17、β-Pr2Zn17、PrZn11、SmZn、α-SmZn2、β-SmZn2、SmZn3、Sm3Zn11、Sm13Zn58、Sm3Zn22、Sm2Zn17、Nd6Mn23、NdMn2、Mn23Pr6、Mn23Sm6、Mn2Sm、Cu6Ce、Cu5Ce、Cu4Ce、Cu2Ce、CuCe、α-Cu6La、β-Cu6La、Cu5La、Cu4La、Cu2La、CuLa、Cu6Nd、Cu5Nd、Cu4Nd、Cu7Nd2、Cu2Nd、CuNd、Cu6Pr、Cu4Pr、Cu2Pr、CuPr、Cu6Sm、Cu5Sm、Cu4Sm、Cu7Sm2、Cu2Sm、CuSm、Ag4Ce、Ag51Ce14、α-Ag2Ce、β-Ag2Ce、γ-Ag2Ce、α-AgCe、β-AgCe、α-Ag5La、β-Ag5La、Ag51La14、Ag2La、AgLa、Ag51Nd14、α-Ag2Nd、β-Ag2Nd、AgNd、Ag5Pr、Ag51Pr14、α-Ag2Pr、β-Ag2Pr、AgPr、Ag51Sm14、α-Ag2Sm、β-Ag2Sm、AgSm、Ce3In、Ce2In、Ce3In5、CeIn2、CeIn3、In3La、In2La、In5La3、InLa、InLa2、InLa3、Nd3In、Nd2In、NdIn、Nd3In5、NdIn3、Pr3In、Pr2In、Pr3In5、PrIn3、Sm3In、Sm2In、SmIn、Sm3In5、SmIn3、Ce2Sb、Ce5Sb3、Ce4Sn3、CeSb、CeSn2、La2Sb、La3Sn2、LaSb、LaSb2、Nd2Sb、Nd5Sb3、Nd4Sn3、NdSb、NdSb2、Pr2Sb、Pr5Sn3、Pr4Sb3、α-PrSb、β-PrSb、Sb2Sm、SbSm、Sb3Sm4、α-Sb3Sm5、β-Sb3Sm5、La5Pb3、La4Pb3、La5Pb4、α-La3Pb4、β-La3Pb4、LaPb2、LaPb3、Ce2Pb、CePb、CePb3、Pb3Pr、Pb2Pr、Pb4Pr3、Pb10Pr11、Pb4Pr5、Pb3Pr5、PbPr3、Pb3Sm、Pb2Sm、Pb10Sm11、Pb4Sm5、Pb3Sm5、PbSm3、La2Bi、La5Bi3、La4Bi3、LaBi、LaBi2、Ce2Bi、Ce5Bi3、Ce4Bi3、CeBi、CeBi2、Bi2Pr、BiPr、Bi3Pr5、BiPr2、Nd2Bi、Nd5Bi3、Nd4Bi3、NdBi、NdBi2等が挙げられる。
【0016】
前記MaとSnとの金属間化合物相としては、例えば、Sn4P3、Sn3P4、SnP3、V3Sn、V2Sn3、Mn3Sn、Mn2Sn、MnSn2、Cu6Sn5、Cu3Sn、Ag3Sn、Ag4Sn等が挙げられる。
【0017】
前記希土類(R)とSnの金属間化合物相としては、RSn3-X(X=有理数、0<X<3)の条件を満たす相が挙げられ、例えば、Ce3Sn、α-Ce5Sn3、β-Ce5Sn3、Ce5Sn4、Ce11Sn10、Ce3Sn5、Ce3Sn7、Ce2Sn5、α-La5Sn3、β-La5Sn3、La5Sn4、La11Sn10、LaSn、La2Sn3、La3Sn5、PrSn3、α-Pr5Sn3、β-Pr5Sn3、Pr5Sn4、PrSn、α-Pr3Sn5、β-Pr3Sn5、Nd5Sn3、Nd5Sn4、Nd11Sn10、NdSn、Nd3Sn5、NdSn2、Nd2Sn7、Nd2Sn5、Sm5Sn3、Sm4Sn3、Sm11Sn10、Sm5Sn4、Sm2Sn3、SmSn2、SmSn3が挙げられる。該RSn3-X相は、RSn3相と比較してSn含有量が少ない相である。言い換えればSnの吸蔵量が小さい相であり、RSn3相と比較してLiの吸蔵・放出に伴う体積膨張が小さい。この相は合金中での割合が大きくなると充放電容量の低下を引き起こすが、ある程度合金中に存在するとLiの吸蔵・放出に伴う体積膨張を緩和する効果がある。
【0018】
式(1)で表される合金を負極材料の活物質として使用するには、通常、粉末の形態で使用でき、該粉末の微粉化を抑制するため、その平均粒径は0.1〜25μmであることが好ましい。該粉末状の合金に含まれる結晶の平均粒径は、サイクル劣化を抑制するために15μm以下が好ましく、特に10μm以下が望ましい。該結晶の平均粒径が0.1μm未満では、合金粉末の微粉化は抑制されるものの表面積が増大し、酸素値が極端に増加するため、充放電効率の低下、充放電容量の低下を招いてしまうので好ましくない。
【0019】
式(1)で表される合金には、式(1)の組成以外に、その製造工程等に起因して酸素及び/又は窒素等が含まれることがある。該酸素は、主として希土類(R)又はSnとの酸化物として合金粒子表面に存在し、酸化物皮膜を形成してLiの充放電に伴う合金の体積膨張を緩和する作用を示す。このような酸化物の存在割合が少なすぎるとサイクル劣化が激しくなり、また、多すぎるとLiイオンの合金中への拡散を阻害し、充放電容量が低下すると共に吸蔵したLiを酸化し、充放電効率の低下を招いてしまう。従って、合金中に含有する酸素元素の含有割合は、0.05〜5質量%が好ましく、更には0.10〜3質量%が特に好ましい。
同様に合金に含まれる窒素も、適性量の含有によりサイクル寿命を向上させることができる。従って、合金中に含有する窒素元素の含有割合は、0.0005〜2質量%が好ましく、更には0.0005〜0.5質量%が特に好ましい。
【0020】
本発明の上記負極材料の製造は、例えば、式(1)で表される組成を有する合金溶湯を製造する工程(a)と、該合金溶湯を冷却固化する工程(b)と、冷却固化した合金を特定条件で加熱処理する工程(c)とを含む本発明の製造法等により得ることができる他、前記工程(a)及び(b)を含み、工程(c)を含まない方法等によっても得ることができる。
【0021】
前記工程(a)において、合金溶湯の原料は、式(1)で表される組成を構成する金属単体の混合物でも良いし、予め合金化した母合金を用いても良い。合金溶湯の製造は公知の方法が採用できるが、高周波溶解法が好ましく、アーク溶解法やメカニカルアロイング法は、得られる合金の残留金属Snが多くなる傾向にあるので好ましくない。合金溶湯を製造する際の雰囲気は、溶湯の酸化を防ぐため不活性ガス雰囲気が望ましい。また、原料の歩留まりを向上させるために個々の原料を投入する時期をずらして溶融しても良い。
【0022】
工程(b)において、合金溶湯の冷却は、例えば、金型鋳造法、アトマイズ法、ロール冷却法、回転電極法等の公知の冷却方法を用いることができる。合金溶湯を冷却する際の雰囲気は、得られる合金の酸化を防ぐため不活性ガス雰囲気が望ましい。
工程(b)により得られる冷却固化した合金の組織は、Sn単相を含まないことが望ましいが、次工程等によりSn単相を削減することができるので、工程(b)の段階ではSn単相を含んでいても良い。従って、工程(b)においてSn単相の含有割合が少ない場合等には、必ずしも工程(c)を行う必要はない。
【0023】
工程(c)は、工程(b)で得られる冷却固化した合金の組織の均質化、結晶性の向上、残留金属Snの低減等を目的とする熱処理工程である。工程(c)は、前記冷却固化した合金の酸化を防止するために、また、活性度を向上させる目的で、0.07〜10MPaの希ガス及び/又は水素ガス雰囲気において行うことができる。希ガス及び水素ガスの混合ガスを用いる場合には、水素ガス5容量%以上を含む混合ガスが好ましい。前記雰囲気ガスの圧力が、0.07MPa未満の高い減圧下の場合、合金中のSnが熱処理により表面に析出する傾向があり、そのような材料で電池を作製して評価した場合、サイクル寿命を低下させてしまう傾向がある。
工程(c)では、前記雰囲気において、工程(b)で冷却した合金を100〜1150℃の温度範囲で1分〜100時間保持する。熱処理温度が100℃未満では、残留金属Sn、Liの拡散が極めて起こり難く、熱処理の効果が得られない。一方、1150℃を超えると合金自体が再溶融するため、冷却固化した合金同士の溶着等が生じ、所望の目的が達成できない。熱処理時間は、処理する合金の組織、量、形状、使用する熱処理装置等によって上記範囲から適宜選択できる。1分未満では熱処理の効果が現れず、100時間を超えると経済性を損なう。好ましくは30分〜48時間である。
【0024】
工程(b)により得られる合金が、サイクル特性に悪影響を及ぼす残留Sn単相を含む場合、上記工程(c)により低減できるが、更に残留Sn単相を削減するために、工程(c)で得られた合金を、粉砕後、篩分する工程(d)を行うこともできる。
工程(d)において粉砕は、機械粉砕等で行うことができる。粉砕した合金からSn単相を篩分により除去することができるのは、金属Snの延性が合金中の金属間化合物より大きいため、金属間化合物の方が優先的に粉砕され、Sn単相の粒径が大きくなるためである。篩分する際の粒径の目安は25〜200μmが好ましく、特に50〜100μmが望ましい。
【0025】
本発明のリチウムイオン二次電池用負極は、上記本発明の負極材料を活物質として含み、周知の任意の電極製造法にしたがって得ることができる。例えば、本発明の負極材料の粉末に、適当なバインダを混合し、必要に応じて導電性向上のために適当な導電粉を混合する。この混合物に、バインダが溶解する溶媒を加え、必要であればホモジナイザー等で充分に撹拌してスラリー状にする。得られたスラリーを圧延銅箔、電解銅箔等の電極基板(集電体)に、ドクターブレード等を用いて塗布し、乾燥した後、ロール圧延等で電極活物質を圧密化させる方法等により製造することができる。
【0026】
前記バインダとしては、例えば、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の非水溶性の樹脂、ならびにCMC(カルボキシメチルセルロース)、PVA(ポリビニルアルコール)等の水溶性樹脂が挙げられる。
前記溶媒としては、例えば、NMP(N-メチルピロリドン)、DMF(ジメチルホルムアミド)等の有機溶媒、又は水が挙げられる。
前記導電粉としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛等の炭素材;Ni等の金属が挙げられる。特に炭素材は、その層間にLiを吸蔵できるので、導電性に加えて負極の充放電容量にも寄与でき好ましい。
【0027】
本発明の負極を製造するにあたり、活物質として用いる本発明の負極材料は、活物質中に通常50〜100質量%、特に80〜100質量%含有させることが好ましい。特に、本発明の負極材料において、式(1)で表される組成を有する合金が、Liを含有しないか、もしくは、所望の組成合金で必要な初期不可逆分に満たないLiしか含有していない合金である場合には、活物質として本発明の負極材料に加えて、金属Li、LiH(水素化リチウム)、Li3N(窒化リチウム)等のリチウム供給源を含ませることができる。
このようなリチウム供給源を用いることにより、初回充放電時の不可逆分のLiが補償されるが、負極活物質中におけるリチウム供給源の含有割合が多くなりすぎると、取扱い性に問題が生じる恐れがある。また、前記リチウム供給源は、密度が小さいため、負極活物質中の含有割合が多くなりすぎると電池のエネルギー密度を低下させてしまう。従って、リチウム供給源を用いる場合の活物質中における含有割合は、合金組成の初期充放電効率を考慮して、50質量%未満、特に、20質量%未満が好ましい。
【0028】
本発明のリチウムイオン二次電池は、上記本発明の負極を備えておれば良く、通常、基本構造として、本発明の負極、正極、セパレータ及び非水系の電解質、例えばポリマー電解質を含む。これら電池構成材料は、負極を除いて公知のものを適当に組合わせて構成させることができる。二次電池の形状は特に制限されず、円筒形、角型、コイン型、シール型等のいずれでも良い。
【0029】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが本発明はこれらに限定されない。尚、例中に使用した原材料は99.5%以上の材料を使用した。また、ミッシュメタル(Mm)は、質量比でLa:Ce:Nd:Pr:Smが28:51:16:4:1の(株)三徳製の希土類合金を使用した。
実施例1〜11及び比較例1〜2
リチウムイオン二次電池用負極材料合金の作製
表1に示す組成を構成する金属混合物を高周波溶融した後、得られた溶湯を銅鋳型を用いた金型鋳造法(金型法)もしくは、回転ロールにタンデッシュを介して溶湯を注湯するストリップキャスト法(SC法)でフレーク状の合金片を得た。次いで、表1に示す条件で熱処理を施した。熱処理を施していない各合金片及び熱処理を施した各合金片を、アルゴンガス雰囲気下において機械的粉砕法により粉砕体し、篩を用いて25μm以下に分級し負極材料合金を製造した。尚、合金溶湯の製造及び合金溶湯の冷却はそれぞれアルゴンガス雰囲気中で行った。
次に、得られた各粉体合金の組成を元素分析法により測定し、表1に示す組成であることを確認した。また、各粉体合金の構成相を粉末X線回折(XRD)により測定し、構成相中の残留金属Snの析出割合を(W)とし、以下の式により算出して評価した。結果を表1に示す。
(W)=(金属Sn(2 0 0)面のピーク強度/RSn3に由来するピーク中で最強ピーク強度)×100
【0030】
リチウムイオン二次電池用負極の作製及び充放電試験方法
負極活物質としての上記調製した合金粉末と、導電助剤としてのケッチェンブラックと、結着剤としてのPVDFとを質量比で85:5:10に混合し、適量のNMPを加えて混練した後、18μmの厚さを有する電解銅箔に塗布し、60℃の乾燥機において仮乾燥した後、ローラープレスにより圧密化した。それを直径1.0cmの大きさに打ち抜き、130℃で真空乾燥することにより試験電極を作製した。
得られた試験電極と、セパレータとしてのポリプロピレン多孔質フィルムと、対極としての金属リチウムと、電解液としての、エチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC)=1:2(体積比)の混合溶媒にLiPF6を1mol濃度で溶解させた溶液とを用いて2極式セルを作製した。このセルを温度25℃において電流密度0.2mA/cm2で0〜1.0V vs. Li/Li+の電位範囲において定電流充放電試験を行った。また、最大放電容量を50サイクル目にどれだけ維持したかを示す指標としての容量維持率(S)を以下の式により算出して評価した。
(S)=50サイクル目の放電容量/最大放電容量×100(%)
更に、初回充電容量に対する初回放電容量の割合を示す指標としての初期充放電効率(Z)を以下の式により算出して評価した。
(Z)=初回放電容量/初回充電容量×100(%)
以上の結果を表1に示す。尚、セルの組立てと充放電試験は、アルゴンガス雰囲気下のグローブボックス内で行った。
【0031】
比較例 3
試験電極として人造黒鉛を用いた以外は、実施例1と同様に充放電試験を行った。結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
Figure 0004097127
【0033】
表1より実施例1〜11 は、初期放電容量及び初期充放電効率が優れている。特に熱処理を施すことによりサイクル寿命が向上することが判る。希土類元素を含有しない組成の比較例1及び2では、放電容量、サイクル特性ともに低いことが判る。また実施例1〜11の重量あたりの放電容量は、比較例3の黒鉛より1.5倍以上高い値となり、また初期充放電効率も黒鉛とほぼ同等の値となり、本実施例の負極が優れた放電特性を示すことが判る。
【0034】
実施例12 23及び比較例4〜5
合金組成を表2に示す組成に代え、合金片の熱処理条件を表2に示す条件に代えた以外は実施例1と同様に、残留金属Snの析出割合(W)の測定、セルの作製及び充放電試験(初期放電容量及び初期充放電効率)を行った。結果を表2に示す。
【0035】
【表2】
Figure 0004097127
【0036】
表2より、実施例12 23は、置換元素(Ma)の割合が本発明の範囲外である比較例4及び5に比して明らかに初期放電容量が増加していることが判る。
【0037】
実施例24 45及び比較例6
合金組成を表3に示す組成に代え、合金片の熱処理条件を表3に示す条件に代えた以外は実施例1と同様に、残留金属Snの析出割合(W)の測定、セルの作製及び充放電試験(初期充放電効率及び50サイクル目の容量維持率)を行った。結果を表3に示す。
【0038】
【表3】
Figure 0004097127
【0039】
表3より本発明における置換元素(Mb)以外の置換元素を有する比較例6では、置換元素(Mb)を有する実施例24 45に比して明らかに容量維持率が劣ることが判る。また、熱処理を施した合金を用いたサイクル寿命が向上している実施例では、XRD測定により、置換元素(Mb)と希土類(R)との金属間化合物相、置換元素(Mb)とSnとの金属間化合物相、RSn3相(R<0)、置換元素(Mb)単体が複合的に析出していることが確認された。
【0040】
実施例46 59及び比較例7〜8
合金組成を表4に示す組成に代え、合金片の熱処理条件を表4に示す条件に代えた以外は実施例1と同様に、残留金属Snの析出割合(W)の測定、セルの作製及び充放電試験を行った。結果を表4に示す。
【0041】
【表4】
Figure 0004097127
【0042】
置換元素(Ma、Mb)を含む実施例46 59では、Snの含有割合が本発明の範囲より低く、かつ置換元素(Ma、Mb)の含有割合が本発明の範囲よりも高い比較例7及び8に比して、高い初期放電容量を示すことが判る。
【0046】
実施例60 61
5に示す酸素量及び窒素量を含む合金片を実施例1と同様に調製し、残留金属Snの析出割合(W)の測定、セルの作製及び充放電試験を行った。結果を表5に示す。
【0047】
【表5】
Figure 0004097127
【0048】
【発明の効果】
本発明のリチウムイオン二次電池用負極は、特定組成の合金を含む本発明の負極材料を活物質とするので、初期充放電効率に優れ、充放電に伴うサイクル劣化が抑制され、特に優れた放電容量が達成される。また、本発明の負極材料は、このような負極の製造に有用である。従って、本発明の負極材料及び負極は、現在、実用化されている炭素材料負極を用いたリチウムイオン二次電池をより高容量化・コンパクト化させることが可能となり、産業上の利用価値が極めて高い。

Claims (15)

  1. 式(1)で表される組成を有する合金を含み、且つ該合金が酸素を0.05〜5質量%及び/又は窒素を0.0005〜2質量%含むリチウムイオン二次電池用負極材料。
    (Li)x(R)y(Sn)z(Ma)w(Mb)v・・・(1)
    (式中、RはY、Scを含むランタノイド系列LaからLuまでの元素からなる群より選択される1種又は2種以上、MaはB、C、Si、P、Al、Zn、V、Mn、Cu、Ag、In、Sb、Pb及びBiからなる群より選択される1種又は2種以上、MbはTi、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、B、Mg、Zr、Hf、Nb、Ta及びMoからなる群より選択される1種又は2種以上でMa≠Mb。x、y、zはそれぞれモル比で、0≦x≦13、0.70≦y≦1.10、2.20≦z≦3.50、0≦w≦0.70、0≦v≦0.70、0≦w+v≦0.70である。)
  2. 式(1)で表される組成を有する合金を含むリチウムイオン二次電池用負極材料。
    (Li)x(R)y(Sn)z(Ma)w(Mb)v・・・(1)
    (式中、RはY、Scを含むランタノイド系列LaからLuまでの元素からなる群より選択される1種又は2種以上、MaはB、C、Si、P、Al、Zn、V、Mn、Cu、Ag、In、Sb、Pb及びBiからなる群より選択される1種又は2種以上、MbはTi、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、B、Mg、Zr、Hf、Nb、Ta及びMoからなる群より選択される1種又は2種以上でMa≠Mb。x、y、zはそれぞれモル比で、0≦x≦13、0.70≦y≦1.10、2.20≦z≦3.50、0 w 0.70、0≦v≦0.70、0 w+v 0.70である。)
  3. (1) で表される組成を有する合金を含むリチウムイオン二次電池用負極材料。
    (Li)x(R)y(Sn)z(Ma)w(Mb)v ・・・ (1)
    ( 式中、 R Y Sc を含むランタノイド系列 La から Lu までの元素からなる群より選択される 1 種又は 2 種以上、 Ma B C Si P Al Zn V Mn Cu Ag In Sb Pb 及び Bi からなる群より選択される 1 種又は 2 種以上、 Mb Ti V Cr Fe Co Ni Cu B Mg Zr Hf Nb Ta 及び Mo からなる群より選択される 1 種又は 2 種以上で Ma Mb x y z はそれぞれモル比で、 0 x 13 0.70 y 1.10 2.20 z 3.50 0 w 0.70 0 v 0.70 0 w+v 0.70 である。 )
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の式(1)のRが、Ce単独、もしくはCeと90mol%未満のCe以外のY、Scを含むランタノイド系列LaからLuまでの元素からなる群より選択される1種又は2種以上とからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の負極材料。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項記載の式(1)で表される合金の粉末X線回折におけるSnの(2 0 0)面のピーク強度が、RSn3相(Rは式(1)中のRと同様である)に由来するピーク中で最強ピーク強度の30%以下である請求項1〜4のいずれか1項記載の負極材料。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項記載の式(1)で表される合金が、Maと希土類(R)との金属間化合物相、Mbと希土類(R)との金属間化合物相、MaとSnとの金属間化合物相、MbとSnとの金属間化合物相、希土類(R)とSnとの金属間化合物相の少なくとも1種の金属間化合物相を有する請求項1〜のいずれか1項記載の負極材料。
  7. 希土類(R)とSnとの金属間化合物相が、RSn3-X(Rは式(1)中のRと同様)、X=有理数で、0<X<3)で示される金属間化合物相である請求項記載の負極材料。
  8. 請求項1〜3のいずれか1項記載の式(1)で表される合金の形態が、平均粒径0.1〜25μmの粉末である請求項1〜のいずれか1項記載の負極材料。
  9. 式(1)で表される組成を有する合金溶湯を製造する工程(a)、
    (Li)x(R)y(Sn)z(Ma)w(Mb)v ・・・ (1)
    ( 式中、 R Y Sc を含むランタノイド系列 La から Lu までの元素からなる群より選択される 1 種又は 2 種以上、 Ma B C Si P Al Zn V Mn Cu Ag In Sb Pb 及び Bi からなる群より選択される 1 種又は 2 種以上、 Mb Ti V Cr Fe Co Ni Cu B Mg Zr Hf Nb Ta 及び Mo からなる群より選択される 1 種又は 2 種以上で Ma Mb x y z はそれぞれモル 比で、 0 x 13 0.70 y 1.10 2.20 z 3.50 0 w 0.70 0 v 0.70 0 w+v 0.70 である。 )
    製造した合金溶湯を冷却固化する工程(b)、及び冷却固化した合金を、0.07〜10MPaの希ガス及び/又は水素ガス中において100〜1150℃の温度範囲で1分〜100時間保持する工程(c)を含む請求項1〜8のいずれか1項記載のリチウムイオン二次電池用負極材料の製造法。
  10. 工程(a)における合金溶湯の製造を、高周波溶解法により行う請求項9記載の製造法。
  11. 工程(c)により製造した合金を粉砕後、篩分し、Sn単相部を除去する工程(d)を含む請求項9又は10記載の製造法。
  12. 請求項1〜8のいずれか1項記載の負極材料を活物質として含むリチウムイオン二次電池用負極。
  13. 活物質が、金属Li、LiH及びLi3Nからなる群より選択される1種又は2種以上を更に含む請求項12記載の負極。
  14. 請求項1〜8のいずれか1項記載の負極材料の活物質中における含有割合が、50重量%以上である請求項12又は13記載の負極。
  15. 請求項12〜14のいずれか1項記載の負極を備えるリチウムイオン二次電池。
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