JP5318129B2 - 非水電解質電池用電極材料およびその製造方法、非水電解質電池用電極および非水電解質電池 - Google Patents

非水電解質電池用電極材料およびその製造方法、非水電解質電池用電極および非水電解質電池 Download PDF

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Description

本発明は、非水電解質電池用電極材料及びその製造方法と、この電極材料を備えた非水電解質電池用電極と、この電極を負極として備えた非水電解質電池とに関するものである。
近年、負極活物質として金属リチウムを用いた非水電解質電池が高エネルギー密度電池として注目されており、正極活物質に二酸化マンガン(MnO2)、フッ化炭素[(CF2)n]、塩化チオニル(SOC12)などを用いた一次電池は、既に電卓、時計の電源やメモリのバックアップ電池として多用されている。さらに、近年VTR、通信機器などの各種電子機器の小型、軽量化に伴い、それらの電源として高エネルギー密度の二次電池の要求が高まり、リチウムを負極活物質とするリチウム二次電池の研究が活発に行われている。
リチウム二次電池としては、金属リチウムを含む負極と、炭酸プロピレン(PC)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、テトラヒドロフラン(THF)などの非水溶媒中にLiClO4、LiBF4、LiAsF6などのリチウム塩を溶解した非水電解液あるいはリチウム伝導性固体電解質と、リチウムとの間でトポケミカル反応をする化合物(例えば、TiS2、MoS2、V25、V613、MnO2など)を正極活物質として含む正極とを備えるものが研究されている。
しかしながら、上述したリチウム二次電池は現在まだ実用化されていない。この主な原因は、負極に用いられる金属リチウムが充放電を繰り返すうちに微粉化し、反応活性なリチウムデンドライドとなって電池の安全性が損なわれるばかりか、電池の破損、短絡、熱暴走を引き起こす恐れがあるからである。そのうえ、リチウム金属の劣化により充放電効率が低下し、また、サイクル寿命が短くなるという問題点を有する。
このようなことから、金属リチウムの代わりに、リチウムを吸蔵・放出する炭素質物、例えばコークス、樹脂焼成体、炭素繊維、熱分解気相炭素などを用いることが提案されている。近年、商品化されたリチウムイオン二次電池は、炭素質物を含む負極とLiCoO2を含む正極と非水電解質とを備えるものである。このリチウムイオン二次電池においては、昨今の電子機器のさらなる小型化や長時間連続使用の要求により、単位体積当りの充放電容量をさらに向上させることが要望され、開発が進められているが、まだ十分でない。このため、高容量電池の実現には新しい負極材料の開発が必要である。
炭素質物よりも高容量が得られる負極材料として、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、などの単体金属を用いることが提案されている。特に、Siを負極材料として用いると、単位重量(1g)当り4200mAhという高容量が得られる。しかしながら、これら単体金属からなる負極では、Liの吸蔵放出を繰り返すことにより、元素のミクロ的な微粉化が生じるため、高い充放電サイクル特性を得られない。
これらの問題を解決するために、リチウムと合金を形成しない元素T1(例えば、Ni、V、Ti、Crなど)とリチウムと合金を形成する元素T2とを含む合金を負極材料として用いることにより、充放電サイクル寿命の向上を図ることが行われている。また、サイクル特性の劣化の要因となる微粉化を抑制するために、例えばリチウムと活性な相(例えば、元素T2相)と不活性な相(例えば、元素T1相)をナノスケールで分散させることにより体積膨張を抑制させたり、あるいは、合金相全体をアモルファス化させるなどといった手法も行われている。
上述したいずれの負極材料においても、負極材料とリチウムの間で合金化反応が生じることにより負極材料にリチウムが吸蔵される。初回の充電反応の一例を下記(A)式に示す。
T1xT2y + Li → xT1 + LiT2y (A)
初回の充放電反応後、2回目以降の充放電反応は、下記化1の(B)式に示す反応で進行する。
Figure 0005318129
2回目以降の反応過程(B)が完全に可逆的に反応が進行しないため、合金内部にLiが留まり、サイクルを繰り返していくうちにリチウム供給源がなくなり、その時点でサイクル不可能となる。なお、アモルファス合金においては、初期の段階では反応が円滑に進行するものの、サイクルを重ねると結晶化が進み、その段階でサイクル劣化が発生する。
また、充電時にリチウムとの合金化反応を生じる負極材料は、エチレンカーボネートのような非水溶媒を含む非水電解質との反応性が高く、負極材料中のリチウムと非水電解質との反応により負極表面にLi2CO3などの皮膜が形成されるため、充放電サイクル中における負極のクーロン効率が低下する。さらに、LiCoO2のような既にLiの量が限られている正極活物質を用いると、充放電サイクルが進行した際に供給源のLiが枯渇するため、明らかな容量劣化が観測される。
この充電時にリチウムとの合金化反応を生じる負極材料の一例として特許文献1には、非化学量論比組成の非晶質Sn・A・X合金を主成分とした粒子を含有するリチウム二次電池用負極電極材(Aは、遷移金属の少なくとも一種を示し、XはO,F,N,Mg,Ba,Sr,Ca,La,Ce,Si,Ge,C,P,B,Bi,Sb,Al,In,S,Se,TeおよびZnからなる群から選ばれた少なくとも一種を示す。上記式の各原子の原子数において、Sn/(Sn+A+X)=20〜80原子%)が記載されている。特許文献1に記載された非晶質合金では、リチウムとの合金化反応によりリチウムの吸蔵・放出が生じるため、充放電サイクルの繰り返しにより不可逆容量が生じ易く、充放電サイクル寿命が短くなる。
また、上記負極材料の別な例として、非特許文献1は、メカニカルアロイング(MA)により金属リチウムを母体合金(CeSn3)に添加することにより、リチウムの挿入−脱離に伴う体積変化を緩和することを開示している。
しかしながら、非特許文献1に記載のLixCeSn3合金では、図3(Fig.3)に示されている通りに充放電サイクル寿命がせいぜい10サイクル程度と短いという問題点がある。
また、特許文献2には、強い極性を有し、微粉化し難いRSn3相(R=希土類元素等)に着目し、更に初回の充放電により合金中に残留するLiを予め吸蔵(充電)させたRSn3−Lix(0≦x≦13)を基本骨格とした合金を高周波溶解により作製し、高い放電容量及び優れたサイクル特性を達成したリチウム二次電池が開示されている。特許文献2の実施例では、RSn3相を得るためにCo,Ni,Fe,Cu,V及びCrのような遷移金属元素を全く添加しないか、もしくは添加しても少量にしており、また、これら遷移金属元素の含有量が多くなると、初期放電容量が著しく低くなることも記載されている。
しかしながら、特許文献2に記載のRSn3相を含む合金は、非特許文献1に記載の合金と同様にリチウムの挿入−脱離に伴う体積変化が大きいため、十分な充放電サイクル寿命を得られないという問題点がある。
特開2000−311681号公報 特開2003−346793号公報
第44回電池討論会要旨集(平成15年11月4日)の430、431頁に掲載された鳥取大工の赤阪有一らによるメカニカルアロイングによって合成されたLi−Ce−Sn化合物のリチウム二次電池負極特性
本発明は、初回の充放電効率と体積当りの放電容量と充放電サイクル特性とに優れている非水電解質電池と、この非水電解質電池を実現することが可能な非水電解質電池用電極材料およびその製造方法と非水電解質電池用電極とを提供することを目的とする。
本発明者らは上述した課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の結晶構造を有する合金を使用することにより、充電反応をリチウムのインターカレーションで生じさせることができ、同時に放電時のリチウムのデインターカレーションを促進させることができるため、初回の充放電効率と体積当りの放電容量と充放電サイクル特性とに優れた非水電解質電池を実現できることを見出したのである。
すなわち、本発明に係る第1の非水電解質電池用電極材料は、Gd3Ni8Sn16型の結晶構造を有する合金を含むことを特徴とするものである。また、本発明に係る第1の電極は、前述した第1の非水電解質電池用電極材料を含むことを特徴とするものである。さらに、本発明に係る第1の非水電解質電池は、前述した第1の非水電解質電池用電極材料を含む負極と、正極と、非水電解質とを具備することを特徴とするものである。
また、本発明者らは上述した課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、R元素、Sn、M元素及びZ元素の含有量を特定の範囲にすると、R元素、Sn、M元素及びZ元素で構成された金属間化合物を主相とする合金が得られ、この合金によると、充電反応をリチウムのインターカレーションで生じさせることができ、同時に放電時のリチウムのデインターカレーションを促進させることができるため、初回の充放電効率と体積当りの放電容量と充放電サイクル特性とに優れた非水電解質電池を実現できるという知見も得た。
すなわち、本発明に係る第2の非水電解質電池用電極材料は、R元素、Sn、M元素及びZ元素を必須成分とする金属間化合物相を主相とし、かつ下記一般式(2)で表される組成を有する合金を含むことを特徴とするものである。
aSnbcdefg (2)
但し、Rは希土類元素から選ばれる少なくとも1種類の元素、Mは、Co,Ni、Fe,Cu、Mn、V及びCrよりなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素で、Tは、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo及びWよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素で、Xは、Si、Al、Sb及びInよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、AはMg,Ca、Sr及びBaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、ZはC,N,B及びPよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、a,b,c,d,e、f、gはそれぞれ、a+b+c+d+e+f+g=100原子%、5≦a≦35、38≦b≦55、8≦c≦30、0≦d≦10、0≦e≦20、0≦f≦20、12≦g≦30である。
本発明に係る第2の非水電解質電池用電極材料は、単相からなる金属間化合物相が好ましいが、それ以外に少なくとも1種の異なる相があってもよい。前者は充放電サイクル寿命特性に優れ、後者は高容量化に優れるとともに初期充放電効率に優れる。また、該結晶相の平均結晶粒径は特に定めないが、平均結晶粒径は100nm〜10μmの範囲にあることが好ましい。
本発明に係る第2の電極は、前述した第2の非水電解質電池用電極材料を含むことを特徴とするものである。また、本発明に係る第2の非水電解質電池は、前述した第2の非水電解質電池用電極材料を含む負極と、正極と、非水電解質とを具備することを特徴とするものである。
本発明に係る第2の非水電解質電池用電極材料の製造方法は、R元素、Sn及びM元素を必須成分とする金属間化合物相を主相とする合金を、下記一般式(2)で表される組成となるように、CあるいはNを含むガス成分を含む雰囲気中で200℃以上、800℃以下の温度範囲で熱処理を施す工程を具備することを特徴とするものである。
a Sn b c d e f g (2)
但し、Rは希土類元素から選ばれる少なくとも1種類の元素、Mは、Co,Ni、Fe,Cu、Mn、V及びCrよりなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素で、Tは、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo及びWよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素で、Xは、Si、Al、Sb及びInよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、AはMg,Ca、Sr及びBaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、ZはC及びNよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含み、a,b,c,d,e、f、gはそれぞれ、a+b+c+d+e+f+g=100原子%、5≦a≦35、38≦b≦55、8≦c≦30、0≦d≦10、0≦e≦20、0≦f≦20、12≦g≦30である。
本発明によれば、初回の充放電効率と体積当りの放電容量と充放電サイクル特性とに優れている非水電解質電池と、この非水電解質電池を実現することが可能な非水電解質電池用電極材料およびその製造方法と非水電解質電池用電極とを提供することができる。
本発明に係わる非水電解質電池の一実施形態である円筒形非水電解質二次電池を示す部分断面図。 本発明に係わる非水電解質電池の別な実施形態である薄型非水電解質二次電池を示す部分切欠斜視図。 実施例1の非水電解質二次電池における初期状態(電極作製前、後)、充電状態、の3種類の状態での負極活物質のX線回折パターンを示す特性図。
まず、本発明の第1の実施形態に係る非水電解質電池用電極材料について説明する。この非水電解質電池用電極材料は、Gd3Ni8Sn16型の結晶構造を有する合金を含む。
結晶構造内部にリチウムがインターカレーションする合金としては、La3Co2Sn7型の結晶構造を有する負極材料やCeNiSi2型結晶構造を有する負極材料が挙げられる。しかしながら、これらの負極材料は充電時にリチウムがインターカレーションするものの、放電時にデインターカレーションしないリチウムが多く存在する、いわゆる初期効率の問題がある。これらの構造を持つ負極材料は、初期効率が70%前後と初回の充放電における容量劣化が大きいため、その優れたサイクル性能と体積当たりの容量を十分に発揮することが困難である。
Gd3Ni8Sn16型の結晶構造を有する合金を含む電極材料は、充放電時にリチウムがインターカレーション/デインターカレーションするため、充電時における格子の体積変化を小さくすることができ、優れたサイクル特性を示すことができる。同時に、リチウム放出特性を改善することができるため、初回充電容量に対する放電容量を大きくすることができる。従って、この電極材料を非水電解質電池の負極材料として使用することにより、体積当りの容量を高い値に維持しつつ、初回の充放電効率と充放電サイクル特性を向上することができる。
Gd3Ni8Sn16型の結晶構造を有する合金は、Gd3Ni8Sn16型の結晶相からなる単相合金でも良いし、あるいはGd3Ni8Sn16型の結晶相以外の相を含んでいても良い。具体的にリチウムがどのような機構で格子内部に挿入されるかを判断するのは困難であるが、X線回折により結晶格子が等方的に膨張していることを確認できることから、リチウムインターカレーションに伴う相転移は起こっていない。
Gd3Ni8Sn16型の結晶構造を有する合金は、下記(1)式で表わされる組成を有することが望ましい。
LizLn3M1xM2y (1)
但し、Lnは結晶における原子半径が1.6×10-10m以上、2.2×10-10m以下の元素から選ばれる少なくとも1種類の元素であり、M1は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn及びNbよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素であり、M2はP、Si、Ge、Sn及びSbよりなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素であり、x、y及びzはそれぞれ、原子比で7.5≦x≦8.5、15.5≦y≦16.5、0≦z≦3.0である。
結晶における原子半径が1.6×10-10m以上、2.2×10-10m以下の元素から選ばれる少なくとも1種類の元素をLnとして用いることにより、結晶の層間にリチウムイオンが容易に挿入するようになる。Lnとして2.2×10-10mを超えるか、あるいは1.6×10-10m未満の元素を用いると、Gd3Ni8Sn16型の結晶構造を維持することが困難あるいは層間にリチウムイオンが挿入しなくなる可能性がある。
元素Lnのうち好ましい元素としては、La(原子半径は1.88×10-10m)、Ce(原子半径は1.83×10-10m)、Pr(原子半径は1.83×10-10m)、Nd(原子半径は1.82×10-10m)、Pm(原子半径は1.80×10-10m)、Sm(原子半径は1.79×10-10m)、Mg(原子半径は1.60×10-10m)、Ca(原子半径は1.97×10-10m)、Sr(原子半径は2.15×10-10m)、Ba(原子半径は2.18×10-10m)、Y(原子半径は1.82×10-10m)、Zr(原子半径は1.62×10-10m)、Hf(原子半径は1.60×10-10m)等を挙げることができる。
Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn及びNbからなる群から選択される少なくとも1種類の元素M1を合金中に含有させることによって、Gd3Ni8Sn16型の結晶構造を安定化させることができる。但し、元素M1の原子比xを7.5未満あるいは原子比xが8.5を超えると、Gd3Ni8Sn16型の結晶構造を得られない恐れがあるため、原子比xは7.8以上、8.4以下にすることが望ましい。元素M1の中でも好ましいのは、Co及びNiのうちの少なくとも一種である。
元素M2の原子比yを15.5未満にすると、Gd3Ni8Sn16型以外の結晶構造の比率が多くなる可能性がある。一方、元素M2の原子比yが16.5を超えると、大量にリチウムと合金化反応をする相(例えば、LnSn相)が生成するため、充放電サイクル寿命が短くなる恐れがある。原子比yのより好ましい範囲は15.7〜16.4である。元素M2の中でも好ましいのは、Sn及びSiのうちの少なくとも一種である。
Gd3Ni8Sn16型の結晶構造を有する合金には、リチウムを予め添加することができる。リチウムを予め添加することにより、放電容量をそのままに初期効率を高めることができる。リチウムを添加する量としては前述した化学式(1)のzにおける範囲が0≦z≦3.0であることが好ましい。リチウム組成zが3.0を超えるような高濃度でリチウムを含有すると共にGd3Ni8Sn16型構造を有する合金は空気中での安定性が低く、容易に酸化するために初回の不可逆容量が増加するなどの問題を生じる恐れがあるからである。
Gd3Ni8Sn16型の結晶構造を有する合金は、例えば、高周波溶解法で作製される。高周波溶解法では、鋳造する際に回転する冷却板上に溶湯を流し込めば良く、堆積する厚さを溶湯供給量と冷却板の移動速度で調整することによって冷却速度を制御することができる。得られた試料には、組織や組成の均質化を図るために熱処理を施すことができる。合金のリチウム含有量にも依存するが、熱処理温度としては600℃以上、700℃以下が好ましく、さらに好ましいのは650℃で5分〜10分間の熱処理である。
次いで、本発明の第2の実施形態に係る非水電解質電池用電極材料について説明する。この非水電解質電池用電極材料は、R元素、Sn、M元素及びZ元素を必須成分とする金属間化合物相を主相とし、かつ下記一般式(2)で表される組成を有する合金を含む。
aSnbcdefg (2)
但し、Rは希土類元素から選ばれる少なくとも1種類の元素、Mは、Co,Ni、Fe,Cu、Mn、V及びCrよりなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素で、Tは、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo及びWよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素で、Xは、Si、Al、Sb及びInよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、AはMg,Ca、Sr及びBaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、ZはC,N,B及びPよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、a,b,c,d,e、f、gはそれぞれ、a+b+c+d+e+f+g=100原子%、5≦a≦35、38≦b≦55、8≦c≦30、0≦d≦10、0≦e≦20、0≦f≦20、0<g≦30である。
前述した電極材料を負極活物質として含む負極を備えた非水電解質二次電池は、体積エネルギー密度、初回充放電効率及び充放電サイクル寿命を同時に満足することができる。
すなわち、上述の合金は、(a)負極内、具体的には例えば負極合金の結晶粒界あるいは結晶粒内にリチウムが存在、あるいは(b)結晶格子内へリチウムが例えばインターカレーションする、(a)および(b)のうち少なくともいずれかが生じることで充放電を行なうことができ、いわゆる合金化反応(例えば、下記化2に示す反応)による充放電が起こり難いため、充放電サイクルの進行に伴う不可逆容量の増加を抑制することができ、二次電池の充放電サイクル寿命を向上することができる。また、前記合金はSnの重量比率が高いため、リチウム吸蔵量を増加させることができ、二次電池のエネルギー密度を増加させることが可能である。
さらに、この合金は、R元素、Sn及びM元素から構成された結晶格子内にZ元素が侵入した金属間化合物相を主相としているため、リチウム放出性を向上することができ、初回充放電効率を高くすることができる。
Figure 0005318129
本発明で用いる合金は、結晶質であることが望ましく、中でも単相からなる金属間化合物が好ましいが、少なくとも2つの結晶相からなるものであってもよい。基本相はR、Sn、M、Zの4元素を必須とする相であり、これに組成比の異なるR、Sn、Mの3元素を必須とする相、あるいはR−Sn相、Sn−M相、R−M相から選ばれる少なくとも1相が加わると、複相となる。単相の場合は極めて安定な充放電サイクルを実現できる。
R元素、Sn、M元素及びZ元素を必須成分とする金属間化合物相及びR元素、Sn及びM元素を必須成分とする金属間化合物相(以下、これら金属間化合物相をR−Sn−M相と称す)は、例えばインターカレーション反応によってLiの充放電サイクルを繰り返すことができるため、長寿命化に寄与することが可能である。なお、R−Sn−M相は、組成比の僅かなずれにより、主たる相以外の相が形成され、その相が下記(C)に示す合金化反応が上記した例えばインターカレーション反応と並行して生じることがある。
ここで言うインターカレーションとは、X線回折パターンを充電時から放電時にいたるまで、繰り返し測定したときに、所定の回折線が可逆的に変化することである。
一方、R−M相はLiとの反応能力はないが、それ以外の相はLiとの反応速度に差はあるものの、いずれも反応能力をもち、高容量へ寄与することができる。R−Sn相及びSn−M相では、それぞれ、下記の(A),(B)に示す合金化反応が可能である。ただし、これらの相は少ないことが好ましい。
R-Sn+xLi→R+LixSn LixSn→xLi+Sn (A)
Sn−M+xLi→M+LixSn LixSn→xLi+Sn (B)
R−Sn−M+xLi→RM+LixSn LixSn→xLi+Sn (C)
従って、使用時における負極内の相構成はM相、R−M相、R相が徐々に存在するようになり、充放電サイクル回数によっては、R−Sn相あるいはM−Sn相が消失することもある。また、前述した(A)〜(C)におけるSnとLiの結合分離する可逆反応の中で、一部合金化を生じ、Li−Sn合金が存在する場合もある。
R元素、Sn、M元素及びZ元素を必須成分とする金属間化合物相が主相である合金とは、この金属間化合物相の存在量が最も多い合金を意味する。金属間化合物相の存在量は、例えば、X線回折強度や電子顕微鏡写真における占有面積比率で確認することができる。
R元素、Sn、M元素及びZ元素を必須成分とする金属間化合物相の結晶構造は、斜方晶系(R3Co2Sn7型、R3Ni2Sn6型など)、あるいは立方晶系(R3Ni8Sn16型)のいずれかが好ましいが、正方晶系でもよい。金属間化合物相には、RとSnとMの3種類の元素群を基本として構成する結晶構造を有するもののみならず、RとSnとMの基本元素を異なる各種元素(たとえば必須元素以外であるT元素、A元素、X元素)で置換してもその結晶構造を維持する場合を包含する。
R元素、Sn、M元素及びZ元素を必須成分とする金属間化合物相において、R元素、Sn及びM元素の組成比(原子比)は、3:2:6か、3:2:7または3:8:16を基本とすることが望ましい。ここで、3:2:6、3:2:7または3:8:16を基本とする組成とは、組成比が3:2:6、3:2:7および3:8:16から若干ずれたものを許容することを意味している。
合金中に含まれる結晶相の種類は1種類または2種類以上にすることができるが、充放電サイクル寿命の観点から単相が好ましい。
合金の結晶相の平均結晶粒径は100nm以上、10μm(10000nm)以下の範囲であることが望ましい。これは以下に説明する理由によるものである。結晶粒が細かい場合、材料の機械的強度が増すため、充放電による格子膨張、収縮に伴う微粉化劣化が抑制され、寿命向上に結びつくと考えられるものの、平均結晶粒径を100nm未満と小さくすると、放電容量の立ち上がりが大幅に遅れる恐れがある。また、前述した金属間化合物相を主相とし、かつ前記(2)式で表される合金は、充放電時にインターカレーション反応が生じるため、充放電時の格子の膨張、収縮による歪がもともと小さいことから、結晶粒径の大きい方は、負極作製のために必要な合金粉末の大きさに粉砕したときの平均粉末粒径、すなわち10μm程度でもよい。
前記(2)式で表される合金は、Sn、R元素及びM元素を必須元素として所定の結晶構造を構成し、組織制御、相制御を行うことにより、高容量、長寿命を両立させる特性を得るものであり、さらにZを必須成分として初期の充放電効率を向上させるものである。各構成元素の存在理由は以下の通りである。
1)Sn(スズ)
Snはリチウムと合金を形成することが可能な元素であり、充放電特性を生じる基本の元素である。Sn量bが38原子%以上、55原子%以下の範囲で、優れた充放電特性をもつ、単相あるいは複相からなる組織の制御ができる。bを38原子%未満にすると組織制御が容易でなくなり、高容量が得られ難くなる。一方、bが55原子%を超えるとSn相が析出し始めるため、充放電サイクルにおいて長寿命が得られない。さらに好ましい範囲は、40原子%以上、52原子%以下である。
2)R(希土類元素)
Rは希土類元素から選ばれる少なくとも1種類の元素であり、希土類元素としては、例えばY、La、Ge、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等を挙げることができる。Rはリチウムとの合金化が起こり難い元素であり、この元素は充放電反応の特に放電に寄与する元素である。Snを45原子%以上、60原子%以下にし、かつR元素の量aを35原子%以下にすることによって、単相あるいは複相から成る組織制御をすることができる。aが35原子%を超えると、R−Sn基合金の材料の融点が高くなりすぎ、組織制御が容易でなくなり、高容量あるいは長寿命が得られ難くなる。一方、aが5原子%未満ではSn相が析出し始めるため、充放電サイクルにおいて長寿命が得られない。より好ましい範囲は、7≦a≦28である。特に、A元素が合金中に含まれる場合には、A元素とR元素の合計原子%が11原子%以上あればよい。
R−Sn相として、原子比でRSn3、R3Sn5、R2Sn3、RSn、R2Sn5、R3Sn7、R11Sn10相などが挙げられるが、その存在量は少ない方が好ましい。
特に、La、Ce、Pr、NdはSnとの共晶組成が得られるため、超急冷法による組織制御、結晶粒径制御が容易にでき、長寿命化には好ましい。
3)M元素
MはRと同様にLiと合金化し難い元素であり、R−Sn合金に添加することにより、結晶粒の微細化と相制御ができ、長寿命化できる。その量cは原子%で30原子%以下である。30原子%を超えると容量が低下する。含有量があまり少なすぎると効果が十分でないので、好ましくは8〜30原子%であり、さらに好ましくは10〜25原子%である。長寿命化の観点からするとM元素のうち、Co,Ni,Cu,Fe,Mnが好ましい。M元素の添加により、R−Sn−M相、例えば原子比でR3Sn72相、R3Sn62相、R36Sn18相を形成することが可能であるが、これ以外の整数比の化合物相、あるいは整数比から外れた化合物相であっても本発明から外れるものではない。
4)T元素
T元素はR−Sn相、R−Sn−M相、Sn−M相、R−M相に固溶あるいは新規な相(例えばXとの複合添加でX−T相)の形成等の効果によって、サイクル寿命特性を向上することができる。合金中のT元素の含有量は、原子%で0≦d≦10であることが望ましい。これは、dが10原子%を超えると、高容量が得られないからである。より好ましくは8原子%以下である。また、下限値としては0.1原子%以上が好ましい。T元素の中でもTi,Nb,Moが特性向上の点では好ましい。
5)X元素
X元素もLiと合金を形成することが可能な元素であり、この元素の存在によって、放電容量をあまり低下させずに長寿命化することができる。その量は原子%で0≦e≦20である。eが20原子%を超えると徐々に容量低下が見られるようになる。この容量低下の一因として、負極活物質の密度低下による単位体積当りの放電容量の低下が挙げられる。また、下限値としては0.1原子%が好ましい。好ましくは、15原子%以下である。X元素のうち、Si、Al、Inが好ましい。
6)A元素
A元素は特に結晶構造中のR元素の位置を占める、その量は20原子%以下であり、これを超えると容量が低下する。より好ましい範囲は0≦f≦15である。また、下限値としては0.1原子%以上が好ましい。特性向上の観点からするとより好ましくはMg,Caである。Snと、R元素(希土類元素)およびA元素(例えばCa)と、遷移金属それぞれの原子比率は、Sn>R元素(希土類元素)およびA元素(例えばCa)>遷移金属の順番にすることが望ましい。これにより、合金中のSn重量比率を高くすることができるため、高容量を得ることができる。
特に、R元素をLa,Ce,Pr及びNdよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とし、A元素をCa及びMgのうちの少なくとも一方の元素を含有するものとし、12≦a+f≦35とすることが容量とサイクル寿命の点で好ましい。中でも、A元素としてCaを選択し、aとfの合計を15≦a+f≦35にすることがさらに好ましく、この場合、a≧fであるとなお好ましい。
7)Z元素
Z元素は、初期充放電効率の向上に有効な元素であり、そのメカニズムは明確ではないが、R,M,Snを基本とする結晶構造(たとえば斜方晶)の原子間位置(interstitial site)に侵入し、Liが入る位置の一部を占めることにより、初期効率を向上させるものと考えられる。Z元素はC,N,P,Bから選ばれる少なくとも1種であり、好ましくはC,Nである。その量gは、30原子%以下で初期効率の向上に効果的であり、30原子%を超えると容量低下を招く。好ましくは25原子%以下である。
なお、元素T、元素X、元素Aの含有量を示すd値、e値、f値は共に0(ゼロ)を含むものである。d値およびまたはe値が0のときは初期容量を大きくすることができる。一方、d値およびまたはe値を所定の範囲内にすると初期容量はやや低下するがサイクル寿命が向上する。従って、初期容量またはサイクル寿命のどちらを注力するかによってd値、e値を所定の値にすることが好ましい。また、f値は0よりも大きいほうが充放電サイクル寿命を維持しながら、高容量化が可能である。
前述した(2)式で表わされる組成の中でも、R元素としてLa、Ce,Pr及びNdから選ばれる少なくとも1種類、M元素としてNi、およびSnを含有する組成が、長い充放電サイクル寿命が得られるため、好ましい。
本願発明で用いる合金は、例えば、R元素、Sn及びM元素を必須成分とする金属間化合物相を主相とする合金を、前述した(2)式で表される組成となるように、CあるいはNを含むガス成分を含む雰囲気中で200℃以上、800℃以下の温度範囲で10分以上、10時間以下熱処理することにより作製される。
上記熱処理によって、少なくとも主相(場合によっては副相にも)の結晶格子のinterstitial siteにC,N元素を侵入させることができるため、主相の結晶構造を維持したまま、R元素、Sn、M元素及びZ元素を必須成分とする金属間化合物相を主相とし、かつ前述した(2)式で表される組成を有する合金を得ることができる。なお、炭素原子の場合には炭素原子含有化合物を溶融させ、これを合金と混合することにより、炭素原子を合金の結晶格子内に侵入させることが可能であるものの、上述したようなガス処理の方が炭素及び窒素原子の活性を高くすることができるため、結晶格子のinterstitial siteのうち比較的Liの安定性が高いサイトにC,N原子を侵入させることが可能である。
Cを導入する場合は、炭素を含むガスであれば良く、例えばCH4、C24、C26、C38などの炭化水素系があげられる。これとH2を混合させてもよい。その比率は、流量比で1:9から9:1の範囲でよい。その処理温度は200℃以上から800℃以下の範囲で行えばよく、その処理時間は10分〜10時間であることが望ましい。また、炭素を侵入させた後、その温度あるいはそれ以下の温度で、不活性雰囲気中、たとえばAr雰囲気中で均質化熱処理を行っても良い。これに必要な時間は10分〜10時間である。その後は10℃/分〜100℃/時間程度の冷却速度で冷却するとよい。
また、窒素を結晶格子内に導入する場合、N2のみ、N2とH2の混合ガス、NH3とH2の混合ガスのいずれでもよい。その比率は、流量比で1:9から9:1の範囲でよい。その処理温度は200℃以上から800℃以下の範囲で行えばよく、処理時間は10分〜10時間であることが望ましい。また、窒素を侵入させた後、その温度あるいはそれ以下の温度で、不活性雰囲気中で均質化熱処理を行っても良い。これに必要な時間は10分〜10時間である。その後は10℃/分〜100℃/時間程度の冷却速度で冷却するとよい。
CあるいはNを含む化合物ガスの流量が少ないか、処理温度が低いか、あるいは処理時間が短いと、合金中のZ元素分布の偏りが大きくなる恐れがある。また、ガス流量が多すぎたり、処理時間が長すぎると、CあるいはNが他のサイトに侵入して特性劣化を招く恐れがある。一方、処理温度が高いと、合金が溶融するため、C原子及びN原子を結晶格子内へ侵入させることが困難になる。
R元素、Sn及びM元素を必須成分とする金属間化合物相を主相とする合金の作製法としては、例えば、高周波溶解法、アーク溶解法、焼結法、超急冷法、ストリップキャスト法、アトマイズ法、めっき法、CVD法、スパッタ法、圧延法などが挙げられる。特に好ましくは、超急冷法、ストリップキャスト法、高周波溶解法、アトマイズ法、遠心噴霧法が挙げられる。
これらの方法はいずれも予め量りとった各素材を、不活性雰囲気中において、るつぼ内で溶解し、その後の冷却過程をそれぞれ変えたものである。すなわち、超急冷法は高速回転する冷却体上に合金溶湯を射出し、板厚10〜50μmのフレーク状試料を得る。ストリップキャスト法では、冷却体への単位時間あたりの溶湯供給量を超急冷法に比べて増やして、板厚100〜500μmのフレーク状試料を得る。条件によっては超急冷法で100μmまでの板厚のものも得ることができる。また、ストリップキャスト法では、鋳造する際に回転する冷却板上に溶湯を流し込めばよく、溶湯供給量と冷却板の移動速度で材料板厚を制御し、その結果、冷却速度を制御できる。得られたこれらの試料は、熱処理により組織、組成の均質化が実現でき、特にこれは鋳造した試料で顕著であり、ストリップキャスト法、あるいは超急冷法で得た試料は熱処理を行わなくてもよい。また、特にストリップキャスト法で得られた試料では柱状晶組織が得られやすく、寿命の観点からこの組織は好ましい。
本発明に係る電極材料は、球状粉であると良い。これにより、電極材料の比表面積を小さくすることができるため、電極材料の酸素含有量を少なくすることができ、高い初期効率を得ることができる。また、スラリーの塗工性を良好にすることができる。さらに粉砕工程を不要にして電極材料の製法を簡素化することも可能である。球状粉を得るには、アトマイズ法、遠心噴霧法などがある。
ガスアトマイズ法は所定の組成になるように調製した原料をるつぼに入れ、真空中あるいは不活性雰囲気中(例えば、Arガス、Heガス、窒素ガス)で高周波誘導加熱炉により溶解させ、給湯管を通して合金溶湯をアトマイズタンク内に滴下する。給湯管の近傍にガスアトマイズノズルが配置され、アトマイズ用ガスがノズルの孔またはスリットから、滴下中の溶湯に向けて噴出される。溶湯は噴出ガスのエネルギーにより飛散、凝固し、粉末化される。このタンク内は不活性雰囲気になっており、生成したアトマイズ粉末の酸化が防止される。生成した粉末状の合金はアトマイズタンクの下部より粉末収納装置に導かれ、収納される。
ガスアトマイズにより得られる合金形状は球状のものから扁平状のものまで、条件を変えることによってできるが、本発明の場合は可能な限り球状であることが好ましい。ガスアトマイズ法で生成した粉末の粒径は、滴下中の溶湯に与える噴出ガスのエネルギーが大きくなるほど一般に小さくなる。噴出ガスのエネルギーは例えばガスの圧力や、ノズルの孔またはスリットの大きさや配置によって調節できる。また、噴出ガスのエネルギーが一定であれば、単位時間当りの溶湯の滴下量が少ないほど、粉末の径は小さくなる。溶湯の滴下量は、給湯管の内径や給湯管内の溶湯に加える圧力により調節できる。ガスアトマイズ法は急冷と粉砕を同時に行うことが特徴である。
一方、遠心噴霧法は高速回転するディスク上に所定の組成に調整し溶融した合金を不活性雰囲気(例えば、Arガス、Heガス、窒素ガス)中で滴下し、遠心力でディスクから微細分散させて飛散させ、表面張力によって球状粉を形成する方法である。この場合は、合金溶湯とディスクの濡れ性が良いと飛散し難くなるため、溶湯に対して比較的濡れ性が低いセラミックスや金属材料を用いると良い。また、不活性雰囲気は熱伝導の観点からHeガスが好ましいが、Arガスを用いることも可能である。球状粉の径は溶湯の滴下量、ディスクの回転数、溶湯温度などによって制御できる。
得られた球状粉の粒径は10〜200μmが好ましく、特に10〜60μmが負極材として好ましい。粒径が大きいものについてはさらに粉砕することができる。この粉砕は不活性雰囲気中で行うことが好ましい。また、電極作製時に塗布した後にプレスで球状粉を砕いても良い。
ここで、球状粉とはその粉の短径に対する長径の比が5以下であるものが、球状粉の重量で50%以上あるものを言う。
アトマイズ粉は一般に熱処理なしに使用することができるが、急冷時に生じた内部歪を緩和する目的で、熱処理することも可能である。その場合は不活性雰囲気中で行うことが好ましい。熱処理温度は固相線温度よりも50℃以上低い温度で行うことが好ましい。さらに好ましくは100℃以下である。
構成元素以外の不可避不純物は5000ppm以下含有していても良い。不可避不純物としては酸素が挙げられる。また、粉砕後の酸素量は吸着分を含めて10000ppm以下が好ましい。
また、通常の鋳造法で得られた合金の場合、熱処理を行うと鋳造状態に比べて優れた電極特性が得られやすい。
なお、負極材料を負極活物質として含む負極を備えた非水電解質二次電池において、充放電により不可逆容量が生じると、負極内にR相、R−M相、Sn相あるいはLiSn相が形成される場合がある。
以下、第1の非水電解質電池用電極材料または第2の非水電解質電池用電極材料を含む負極と、正極と、正極及び負極の間に配置される非水電解質層とを具備する非水電解質電池について説明する。
1)負極
負極は、集電体と、集電体の片面あるいは両面に担持される負極活物質含有層とを含む。
負極は、例えば、第1の非水電解質電池用電極材料または第2の非水電解質電池用電極材料を含む負極活物質、導電剤及び結着剤からなる負極合剤を適当な溶媒に懸濁させて混合し、塗液としたものを集電体の片面もしくは両面に塗布し、乾燥することにより作製される。
負極活物質として、第1の非水電解質電池用電極材料または第2の非水電解質電池用電極材料と、アルカリ金属の吸蔵能の高い炭素材料との混合物を用いることによって、リチウムのようなアルカリ金属の吸蔵量を向上させることができる。このような負極活物質に用いる炭素材料としては黒鉛系の炭素材料が好ましい。この場合、アルカリ金属吸蔵性の高い黒鉛のみでは導電性が低くなるため、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック等の炭素材料を導電剤として併用することが好ましい。
結着剤としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などが挙げられる。
負極活物質、導電剤及び結着剤の配合比は、負極活物質70〜95重量%、導電剤0〜25重量%、結着剤2〜10重量%の範囲にすることが好ましい。
前記集電体は、導電性材料であれば特に制限されることなく使用できる。例えば銅、ステンレス、あるいはニッケルからなる箔、メッシュ、パンチドメタル、ラスメタルなどを用いることができる。
2)正極
正極は、集電体と、集電体の片面あるいは両面に担持される正極活物質含有層とを含む。
この正極は、例えば、正極活物質、導電剤および結着剤を適当な溶媒に懸濁させ、得られた懸濁物を例えばアルミニウム箔などの集電体表面に塗布し、乾燥し、プレスすることにより作製される。
正極活物質は、電池の放電時にアルカリ金属を吸蔵し、充電時にアルカリ金属を放出できるものであれば特に限定されずに使用できる。
種々の酸化物、硫化物が挙げられ、例えば、二酸化マンガン(MnO2)、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLiMn24またはLiMnO2)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLiNiO2)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLiCoO2)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLiNi1-xCox2)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLiMnxCo1-x2)、バナジウム酸化物(例えばV25)などが挙げられる。また、導電性ポリマー材料、ジスルフィド系ポリマー材料などの有機材料も挙げられる。
より好ましい正極活物質は、電池電圧が高いリチウムマンガン複合酸化物(例えばLiMn24)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLiNiO2)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLiCoO2)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLiNi0.8Co0.22)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLiMnxCo1-x2)などが挙げられる。
集電体としては、導電性材料であれば特に制限されること無く使用できるが、特に正極用の集電体としては電池反応時に酸化されにくい材料を使用することが好ましく、例えばアルミニウム、ステンレス、チタンなどを使用すればよい。
導電剤としては、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛等を挙げることができる。
結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴムなどが挙げられる。
正極活物質、導電剤及び結着剤の配合比は、正極活物質80〜95重量%、導電剤3〜20重量%、結着剤2〜7重量%の範囲にすることが好ましい。
3)非水電解質層
非水電解質層は、正極および負極の間でのイオン伝導性を付与することが可能である。
非水電解質層には、非水溶媒中に電解質を溶解した非水電解液を多孔質材料からなるセパレータに保持したものを使用することができる。
セパレータは非水電解液を保持すると共に、正極および負極間を絶縁するためのものであり、絶縁性の材料からなり、正極と負極間のイオン移動を可能とする細孔を有するものであれば特に限定されずに使用でき、具体的には合成樹脂製不織布、ポリエチレン多孔質フィルム、ポリプロピレン多孔質フィルムなどを挙げることができる。
非水溶媒は、エチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)などの環状カーボネートや、これらの環状カーボネートと環状カーボネートより低粘度の非水溶媒との混合溶媒を主体とする非水溶媒を用いることができる。
前記低粘度の非水溶媒としては、例えば、鎖状カーボネート(例えば、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネートなど)、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、環状エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなど)、鎖状エーテル(例えば、ジメトキシエタン、ジエトキシエタンなど)が挙げられる。
電解質としては、リチウム塩が使用される。具体的には、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化ヒ素リチウム(LiAsF6)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)などが挙げられる。とくに、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)が好ましい例として挙げられる。
電解質の前記非水溶媒に対する溶解量は、0.5〜2モル/Lとすることが好ましい。
また、非水電解質層には、高分子材料中に非水電解液を含有させたゲル状体を使用することも可能であり、ゲル状体単独で形成された電解質層を正極と負極との間に配置してもよいし、ゲル状体をセパレータ中に形成した電解質層を正極と負極との間に配置しても良い。
ゲル状体を調製するのに使用される高分子材料としては、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリエチレンオキシド(PECO)などの単量体の重合体または他の単量体との共重合体が挙げられる。
また、電解質を高分子材料に溶解し、固体化した固体高分子電解質を非水電解質層として使用することも可能である。固体高分子電解質を作製するのに使用する高分子材料としては、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリエチレンオキシド(PEO)などの単量体の重合体または他の単量体との共重合体が挙げられる。また、無機固体電解質を非水電解質層として使用することが可能である。無機固体電解質としては、リチウムを含有したセラミック材料などを挙げることができる。具体的には、Li3N、Li3PO4−Li2S−SiS2、LiI−Li2S−SiS2ガラスなどが挙げられる。
本発明に係る非水電解質電池は、円筒形、角形、薄型等の種々の形態に適用することができる。そのうちの円筒形非水電解質二次電池の一例を図1に、薄型非水電解質二次電池の一例を図2に示す。
例えば、ステンレスからなる有底円筒状の容器1内の底部には、絶縁体2が配置されている。電極群3は、前記容器1内に収納されている。前記電極群3は、正極4と負極6をその間にセパレータ5を介在して渦巻き状に捲回することにより作製される。
前記容器1内には、非水電解液が収容されている。中央部が開口された絶縁紙7は、前記容器1内の前記電極群3の上方に配置されている。絶縁封口板8は、前記容器1の上部開口部にかしめ加工により固定されている。正極端子9は、前記絶縁封口板8の中央に嵌合されている。正極リード10の一端は正極4に、他端は正極端子9にそれぞれ接続されている。負極6は、図示しない負極リードを介して負極端子である容器1に接続されている。
図2に示すように、扁平型の電極群11は、正極12と負極13をその間にセパレータ14を介在させて扁平形状にした構造を有する。帯状の正極端子15は、正極12に電気的に接続されている。一方、帯状の負極端子16は、負極13に電気的に接続されている。この電極群11は、ラミネートフィルム製容器17内に正極端子15と負極端子16の端部を容器17から延出させた状態で収納されている。ラミネートフィルム製容器17は、ヒートシールにより封止がなされている。
容器内に収納される電極群は、図1に示すような渦巻形と図2に示すような偏平形状に限らず、正極、セパレータ及び負極をこの順序で複数積層した形態にしてもよい。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
(実施例1〜15)
<正極の作製>
まず、正極活物質のリチウムコバルト酸化物(LiCoO2)粉末91重量%に、アセチレンブラック2.5重量%、グラファイト3重量%、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)3.5重量%及びN−メチルピロリドン(NMP)溶液を加えて混合し、厚さ15μmのアルミニウム箔の集電体に塗布し、乾燥後、プレスすることにより電極密度3.0g/cm3の正極を作製した。
<負極の作製>
下記表1に示す組成比率で所定量の元素を混合し、高周波溶解にて鋳造後、650℃、8分間不活性雰囲気中で熱処理を施すことにより金属間化合物を作製し、負極活物質を得た。
その後、この金属間化合物の粉末85重量%に、導電剤としてのグラファイト5重量%、同じく導電剤としてのアセチレンブラック3重量%、PVdF7重量%及びNMP溶液を加えて混合し、厚さ11μmの銅箔からなる集電体に塗布し、乾燥し、プレスすることにより負極を作製した。
<電極群の作製>
正極、ポリエチレン製多孔質フィルムからなるセパレータ、負極、及びセパレータをそれぞれこの順序で積層した後、負極が最外周に位置するように渦巻き状に捲回して電極群を作製した。
<非水電解液の調整>
エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)の混合溶媒に(混合体積比率1:2)に六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1モル/L溶解させて非水電解液を調製した。
電極群及び電解液をステンレス製の有底円筒状容器内にそれぞれ収納して前述した図1に示す円筒形非水電解質二次電池を組み立てた。
実施例1〜15の二次電池で用いられる金属間化合物をX線回折法によって解析し、実施例1〜15の金属間化合物がGd3Ni8Sn16型の結晶相を含むことを確認した。
(比較例1)
負極活物質として、平均粒径10μmのSi粉末を使用したこと以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして円筒形非水電解質二次電池を製造した。
(比較例2)
負極活物質として、3250℃で熱処理したメソフェーズピッチ系炭素繊維(平均繊維径10μm、平均繊維長25μm、平均面間隔d(002)が0.3355nm、BET法による比表面積が3m2/g)を使用したこと以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして円筒形非水電解質二次電池を製造した。
(比較例3)
負極活物質としてLa3Co2Sn7型を有するLa3Ni2Sn7を用いること以外は、実施例1で説明したのと同様にして円筒形非水電解質二次電池を製造した。
(比較例4)
負極活物質としてCeNiSi2型を有するLaNi0.7Sn2を用いること以外は、実施例1で説明したのと同様にして円筒形非水電解質二次電池を製造した。
実施例1〜15及び比較例1〜4の二次電池について、45℃にて充電電流1Aで4.2Vまで3時間かけて充電した後、2.0Vまで1Aで放電する充放電サイクルを繰り返し、初期放電効率(1回目の充電量に対する放電量の比)と、1サイクル目の単位体積当りの放電容量(mAh/cc)と、100サイクル目の容量維持率(1サイクル目の放電容量を100%とする)を測定し、その結果を下記表1に示す。
Figure 0005318129
表1から明らかなように、Gd3Ni8Sn16型の結晶相を含む合金を含有する負極を備えた実施例1〜15の二次電池は、単位体積当りの放電容量が比較例2(炭素質物)に比較して高く、かつ100サイクル目の容量維持率が比較例1(Si金属)に比較して高いことが理解できる。
次に、初回の充放電効率に注目すると、実施例1〜15の二次電池は、比較例3(La3Co2Sn7型)及び比較例4(CeNiSi2型)に比べて高くなっていることがわかる。初期の充放電効率が高くするためには、(1)充電後でも安定な結晶構造を維持することができる、(2)結晶構造内部に極端に安定にリチウムが存在しない、の2点が必要であると考えられる。Gd3Ni8Sn16型結晶構造はこの2つの要素を満たすために初回の充放電効率が高いと考えられる。また、実施例1,14,15の比較から、リチウムを含有した金属間化合物を使用している実施例14,15の二次電池の方が、リチウムを含有していない金属間化合物を使用した実施例1の二次電池よりも初期効率が高くなっていることがわかる。予め結晶構造内部にリチウムを含有することにより放電容量をそのままに充電容量を減らすことができるためである。
La3Ni8Sn16を負極活物質に用いた実施例1の二次電池において、電極作製前、電極作製後の初期状態(充電前)、充電状態の3種類の状態における負極活物質のX線回折パターンを図3に示す。
図3に示すように、実施例1の二次電池では、電極作製前の回折パターンの33°付近と32.5°付近に現れていた回折ピーク(図3で黒丸で表示する)の強度が、電極作製により低下した。図3で黒丸で示したピークはGd3Ni8Sn16に由来しないピーク(不純物)であり、これらの化合物はリチウムと合金化反応をするため、充電後の回折パターンに示す通り、充電によりピークが消失する。
さらに、充電後の回折パターンから、充電により33°付近と32.5°付近に現れていた回折ピークが消失し、約34°付近の回折ピークが低角度側にシフトしていることから、金属間化合物に対して明らかに充電時Liが挿入されていることがわかる。
(実施例16〜30)
<正極の作製>
まず、正極活物質のリチウムコバルト酸化物(LiCoO2)粉末91重量%をアセチレンブラック2.5重量%と、グラファイト3重量%と、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)3.5重量%と、N−メチルピロリドンとを加えて混合し、厚さ15μmのアルミニウム箔の集電体に塗布し、乾燥後、プレスすることにより電極密度3.0g/cm3の正極を作製した。
<負極の作製>
まず、下記表2に示す組成比率で所定量の元素を混合し、以下の(A)〜(E)に説明する方法によって合金を作製した。得られた合金の主相の構成相をX線回折法とSEM、EPMA評価とから求め、その結果を下記表2に示す。表2に示すように、各合金の主相は、R32Sn6型もしくはR32Sn7型に属し、かつR元素、Sn及びM元素を必須成分とする金属間化合物相であった。また、単相あるいは複相(2相以上の結晶相を具備)からなる結晶質合金であった。
(A)単ロール法
下記表2に示す組成比率で混合した元素を高周波溶解で溶融後、高速回転する冷却ロール上(30m/s)に射出し、板厚20〜60μmのフレークを作製することにより合金試料を得た。
(B)ストリップキャスト法
下記表2に示す組成比率で混合した元素を高周波溶解にて溶融後、ゆっくり移動する冷却ロール上(1m/s)に溶湯を流し込み、板厚200〜500μmのフレークを作製することにより合金試料を得た。
(C)高周波溶解法
下記表2に示す組成比率で混合した元素を高周波溶解にて溶融後、水冷円盤鋳型上に厚さ約10mmで鋳造することにより合金インゴットを得た。得られた合金インゴットを600℃、20時間不活性雰囲気中で熱処理することにより合金試料を得た。
(D)ガスアトマイズ法
下記表2に示す組成比率で混合した元素を高周波溶解で溶融後、ノズルを通してガスアトマイズチャンバー内に滴下し、これに対して高圧Arガスを当てて、飛散冷却させ、球状粉を得た。
(E)遠心噴霧法
下記表2に示す組成比率で混合した元素を高周波溶解にて溶融後、ノズルを通してHe雰囲気中で高速回転するセラミックスからなるディスクに滴下することにより、ディスクから飛散させ、球状粉を得た。
得られた合金試料に下記表2に示すガス組成、熱処理温度及び熱処理時間の窒化処理もしくは炭化処理を行った後、それぞれその温度でさらに90分、Ar雰囲気中で均質化熱処理を行い、ひきつづき、室温まで徐冷を行い、負極材料(負極活物質)を得た。
得られた負極材料の組成と主相の構成相とを、X線回折法とSEM、EPMA評価とから求めたところ、主相が下記表3に示すR32Sn6型もしくはR32Sn7型に属し、かつR元素、Sn、M元素及びZ元素を必須成分とする金属間化合物相であることがわかった。この主相の構成と負極材料の組成を下記表3に示す。
なお、主相であることは、以下の方法で確認した。
走査型電子顕微鏡(SEM)写真、あるいはEBSD(Electron Backscatter Diffraction)法により20個以上の結晶粒が存在する異なる10視野を撮影し、各視野について金属間化合物相の占める面積比率を求め、その平均値が他の相についての平均面積比率よりも大きいことから、金属間化合物相が主相であることを確認した。また、実施例の負極材料は、X線回折パターンにおいて、主回折ピークが面間隔dで2.75〜2.90Åの範囲にあった。
各負極材料をジェットミルで平均粉末粒径8〜10μmになるように粉砕処理を施して粉末状の負極材料を得た。得られた負極材料の粉末85重量%に導電剤としてのグラファイト5重量%と、同じく導電剤としてのアセチレンブラック3重量%と、PVdF7重量%と、NMPとを加えて混合し、厚さ11μmの銅箔からなる集電体に塗布し、乾燥し、プレスすることにより負極を作製した。
<電極群の作製>
正極、ポリエチレン製多孔質フィルムからなるセパレータ、負極、及びセパレータをそれぞれこの順序で積層した後、負極が最外周に位置するように渦巻き状に巻回して電極群を作製した。
<非水電解液の調製>
エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)の混合溶媒に(混合体積比率1:2)に六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1.0モル/L溶解して非水電解液を調製した。
電極群及び電解液をステンレス製の有底円筒状容器内にそれぞれ収納して円筒形非水電解質二次電池を組み立てた。
(比較例5)
合金粉末の代わりに、3250℃で熱処理したメソフェーズピッチ系炭素繊維(平均繊維径10μm、平均繊維長25μm、面間隔d002が0.3355nm、BET法による比表面積が3m2/g)の炭素質粉末を使用すること以外は、前述した実施例1と同様にして円筒形非水電解質二次電池を組み立てた。
(比較例6)
下記表2に示す組成になるように秤量したセリウム粉末とスズ粉末をアルゴン雰囲気下、ステンレス製粉砕容器に粉砕ボールと共に入れ、室温下でメカニカルアロイング処理を行うことによりCeSn3を合成した。得られたCeSn3にリチウム粉末を添加し、メカニカルアロイング処理を行うことによりLi3.8CeSn3を合成した。この合金を用い、かつ窒化処理及び炭化処理を行わないこと以外は、前述した実施例1と同様にして円筒形非水電解質二次電池を組み立てた。
(比較例7)
下記表2に示す組成比率で混合した元素を高周波溶解にて溶融後、得られた溶湯から銅鋳型を用いた金型鋳造法により合金を得た。この合金を用い、かつ窒化処理及び炭化処理を行わないこと以外は、前述した実施例1と同様にして円筒形非水電解質二次電池を組み立てた。
(比較例8)
下記表2に示す組成及び主相を有する合金を、窒化処理及び炭化処理を行わずに使用すること以外は、前述した実施例1と同様にして円筒形非水電解質二次電池を組み立てた。
(比較例9)
下記表2に示す組成及び主相を有する合金に下記表2に示す条件で窒化処理を施した。なお、この合金は、窒化処理の結果、表3に示すように、2相(La-N相とNi-Sn相)に分離している。この合金を用いること以外は、前述した実施例1と同様にして円筒形非水電解質二次電池を組み立てた。
<初期容量と充放電サイクル寿命および初期放電効率>
各二次電池について、測定環境温度を25℃と設定し、充電電流1.5Aで3.8Vまで3時間充電後、2.8Vまで1.5Aで放電する試験において、初期容量から負極材料単位体積当りの放電容量を求め、また、初期放電効率(1回目の充電量に対する放電量の比)およびこの充放電を400回繰り返した時の容量維持率を(初期容量を1とした時の400サイクル目の容量)を測定し、充放電サイクル特性を評価した。これらの結果を表3に示す。
Figure 0005318129
Figure 0005318129
表2,3から明らかなように、R元素、Sn、M元素及びZ元素を必須成分とする金属間化合物相を主相とし、かつ前記(2)で表される組成を有する合金を含む負極を備えた実施例16〜30の二次電池は、体積当りの放電容量が、負極活物質として炭素質物を用いる比較例5の二次電池に比較して高かった。また、400サイクル目の容量維持率については、RSn3相を主相とする合金を負極活物質として用いる比較例6,7の二次電池に比較して高かった。さらに、初期放電効率については、比較例6,7の二次電池と窒化処理及び炭化処理が未処理の合金を負極活物質として用いる比較例8の二次電池に比較して優れていた。なお、窒化処理の熱処理温度が800℃を超えている方法で合成された合金を負極活物質として使用した比較例9の二次電池では、窒化処理の結果、2相(La-N相とNi-Sn相)に分離し、初期放電効率と400サイクル目の容量維持率が実施例に比べて低下した。
これらの結果から、実施例16〜30の二次電池は、体積当りの放電容量、充放電サイクル特性及び初回の充放電効率を同時に満足するものであることがわかった。
なお、前述した実施例においては、円筒形非水電解質二次電池に適用した例を説明したが、角型非水電解質二次電池、薄型非水電解質二次電池等にも同様に適用できる。また、電池容器内に収納される電極群は、渦巻形に限らず、正極、セパレータ及び負極をこの順序で複数積層した形態にしてもよい。
また、前述した実施例では、非水電解質二次電池に適用した例を説明したが、非水電解質一次電池に適用すると、放電容量を向上することができる。
1…容器、3…電極群、4…正極、5…セパレータ、6…負極、8…封口板、11…電極群、12…正極、13…負極、14…セパレータ、15…正極端子、16…負極端子、17…容器。

Claims (6)

  1. R元素、Sn、M元素及びZ元素を必須成分とする金属間化合物相を主相とし、かつ下記一般式(2)で表される組成を有する合金を含むことを特徴とする非水電解質電池用電極材料。
    aSnbcdefg (2)
    但し、Rは希土類元素から選ばれる少なくとも1種類の元素、Mは、Co,Ni、Fe,Cu、Mn、V及びCrよりなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素で、Tは、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo及びWよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素で、Xは、Si、Al、Sb及びInよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、AはMg,Ca、Sr及びBaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、ZはC,N,B及びPよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、a,b,c,d,e、f、gはそれぞれ、a+b+c+d+e+f+g=100原子%、5≦a≦35、38≦b≦55、8≦c≦30、0≦d≦10、0≦e≦20、0≦f≦20、12≦g≦30である。
  2. 前記R元素はLa,Ce,Pr及びNdよりなる群から選ばれる少なくとも1種類で、前記A元素はCa及びMgのうちの少なくとも一方の元素を含み、12≦a+f≦35であることを特徴とする請求項1記載の非水電解質電池用電極材料。
  3. 前記金属間化合物相の結晶構造は、斜方晶構造、正方晶構造あるいは立方晶構造であることを特徴とする請求項1または2いずれか1項記載の非水電解質電池用電極材料。
  4. R元素、Sn及びM元素を必須成分とする金属間化合物相を主相とする合金を、下記一般式(2)で表される組成となるように、CあるいはNを含むガス成分を含む雰囲気中で200℃以上、800℃以下の温度範囲で熱処理を施す工程を具備することを特徴とする非水電解質電池用電極材料の製造方法。
    aSnbcdefg (2)
    但し、Rは希土類元素から選ばれる少なくとも1種類の元素、Mは、Co,Ni、Fe,Cu、Mn、V及びCrよりなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素で、Tは、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo及びWよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素で、Xは、Si、Al、Sb及びInよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、AはMg,Ca、Sr及びBaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、ZはC及びNよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含み、a,b,c,d,e、f、gはそれぞれ、a+b+c+d+e+f+g=100原子%、5≦a≦35、38≦b≦55、8≦c≦30、0≦d≦10、0≦e≦20、0≦f≦20、12≦g≦30である。
  5. 請求項1〜3いずれか1項記載の電極材料を含むことを特徴とする非水電解質電池用電極。
  6. 正極と、請求項1〜3いずれか1項記載の電極材料を含む負極と、非水電解質とを具備することを特徴とする非水電解質電池。
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