JP4092998B2 - 扉の錠の異常状態検知装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、施錠状態においてデッドボルトが切断された場合の異常や、デッドボルトが差し込まれるデッドボルト受け部にいたずらにより異物が詰められた場合の異常等を報知するための技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
扉3を施錠している状態でデッドボルト1aを切断して破錠することで不正侵入することがある。これに対する対策として、現状では図8に示すように扉3に施錠時におけるデッドボルト1aの露出を隠すための戸当たり30を設ける程度の方策しかおこなわれていない。このような施錠時におけるデッドボルト1aの露出を隠すための戸当たり30を扉3に設ける技術は従来から一般的に行われている周知の技術である。
【0003】
また、破錠時に生じる振動を検知して警報を発生する方式の扉用警報装置も従来から知られている。(例えば特許文献1参照)
また、デッドボルトが差し込まれるデッドボルト受け部(ストライク)側で電気錠の施解錠を認識するようにした電気錠も従来から知られている。(例えば特許文献2参照)
【0004】
【特許文献1】
特開2002−190069号公報
【0005】
【特許文献2】
特開平8−151832号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記した扉3に戸当たり30を設けるという従来から一般的に行われている技術においては、扉3の戸先の先端に戸当たりを突出させるため、扉としての外観が悪くなってしまうという問題があった。
【0007】
また、上記した特許文献1に示される従来例にあっては、破錠時に生じる振動を検知して警報を発生する方式の扉用警報装置においては、振動検知が外乱に弱くて誤動作によって警報を発してしまうなど(例えば電車が通ると電車の振動により誤動作する)、動作信頼性の点で問題があった。
【0008】
また、上記した特許文献2に示される従来例にあっては、受け部側に異物を詰められた場合(多くはいたずらと推定される)、電気錠においてはデッドボルト受け部に詰められた異物をデッドボルト受け部にデッドボルトが挿入されて施錠されていると認識されその電気錠については施錠されていると見なされる。このため、当該電気錠を施錠しようとしても、物理的にデッドボルト受け部に異物が詰まっているのでデッドボルトが入らない(機械的な施錠不能)のみならず、一般的な施解錠検知機能付きの電気錠については施錠されていると見なされている錠には電気的な施錠を行わないのが通常である。これは実質的に施錠できていないにもかかわらず、施錠しているという錠の誤認識となり、防犯上危険な状態である。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、施解錠状態検知部により施解錠状態の検知と扉状態検知部による扉の状態変化の検知に基づいてデッドボルト受け部への異物の詰まり等の錠の異常状態を確実に検知して異常を報知することができ、また、外乱などにより誤動作することがないと共に戸当たりも必要でない扉の錠の異常状態検知装置を提供することを課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係る扉の錠の異常状態検知装置は、デッドボルト1aとデッドボルト受け部1bとを備えた錠1の施解錠状態を検知する施解錠状態検知部2と、扉3の開閉状態を検知する扉状態検知部4とを有し、上記施解錠状態検知部2をデッドボルト受け部1bに設け、施解錠状態検知部2により施錠状態を検知している状態で且つ扉状態検知部4により扉3が開状態から閉状態となったことを検知した際に異常状態と判断して報知手段5により異常を報知するように制御する制御部6を設けて成ることを特徴とするものである。このような構成とすることで、開扉状態においていたずらで錠1のデッドボルト1aを受けるデッドボルト受け部1bに異物25が詰められた場合、実際はデッドボルト1aがデッドボルト受け部1bに入っていないにもかかわらずデッドボルト受け部1bに設けた施解錠状態検知部2で施錠状態と認識され、この状態で扉3を開から閉に閉じて扉状態検知部4により閉状態と認識され「閉扉・施錠」と認識されるが、このような場合には、デッドボルト受け部1bにいたずらなどで異物25が詰められていることによる異常であると判断し、このようにしていたずらによる異常を確実に検知して報知手段5により報知することで、防犯効果を高めることができるものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0012】
扉3は玄関扉や門扉、あるいはビルの出入り口の扉、ビル内の各部屋の扉等である。
【0013】
図1、図2に示す例では扉3が主扉3aと、子扉3bとで構成してある例を示している。図1の実施形態では錠1として電気錠装置を用いた例が示してある。電気錠装置は電気錠ブロック9と、コントローラ10とで構成してある。
【0014】
電気錠ブロック9は主扉3a側にデッドボルト1a等を備えた電気錠駆動部1cが設けてあり、また、主扉3a側には扉3(主扉3a)の開閉状態を検知する扉状態検知部4が設けてある。一方、子扉3bには施錠時にデッドボルト1aが挿入されるデッドボルト受け部1bが設けてあり、また、錠1の施解錠状態を検知する施解錠状態検知部2が設けてある。
【0015】
扉3の開閉状態を検知する扉状態検知部4は例えばマグネットスイッチなどを用いるものであり、扉3の開閉によりマグネットスイッチが動作して扉3の開状態、閉状態をそれぞれ検知するようになっている。
【0016】
施解錠状態検知部2は、図1,図3に示すようにデッドボルト受け部1b側に設けられる場合と、図4に示すようにデッドボルト1aを出す側に設けられる場合がある。デッドボルト受け部1b側に施解錠状態検知部2を設けるものにおいては、デッドボルト1aが挿入された際にデッドボルト1aの押し込みにより検知を行う(外側に付勢された軸をデッドボルト1aが押し込んで軸によりマイクロスイッチ26を操作することで、施錠状態を検知し、また、デッドボルト1aが挿入されていない時にはマイクロスイッチ26が操作されないことで解錠状態であることを検知する)ようになっている。また、施解錠状態検知部2をデッドボルト1aを出す側に設けるものにおいては、デッドボルト1aがマイクロスイッチを操作することで施錠状態、解錠状態をそれぞれ検知するようになっている。
【0017】
コントローラ10は主扉3aに設けてあり、状態記憶部11、CPUよりなる制御部6、暗証コード記憶部12、キーコード読取部13、表示・警報等の報知手段5、通信部14が設けてある。また、コントローラ10には更に報知手段5による異常状態の報知をキャンセルするためのキャンセル手段7が設けてある。
【0018】
制御部6には駆動制御部16、状態判断部17、受け付け可否手段8、タイマ15が設けてある。
【0019】
カードキー19等のデータをキーコード読取部13が読み取って認証することで、駆動制御部16から電気錠駆動部1cのモータやソレノイドを制御する信号を出力してデッドボルト1aの出し入れ動作の制御を行うようになっている。
【0020】
また、施解錠状態検知部2による施解錠状態検知信号、扉状態検知部4による開扉、閉扉の扉状態検知信号が状態記憶部11を介して状態判断部17に入力され、状態記憶部11で施解錠状態検知部2、扉状態検知部4からの状態情報を記憶し、状態判断部17により必要時に状態記憶部11からのデータを参照しながら電気錠の現在の状態と過去の状態とを比較して状態判断を行うようになっており、現在の状態が異常であると判断すると報知手段5により異常であることを報知するようになっている。すなわち、状態判断部17においては図7に示すような本発明の実施形態のフローチャートや、図5に示す参考例のフローチャートに従って異常状態の発生を監視するものであり、異常状態であると判断すると、報知手段5により報知を行うのである。また、状態判断部17における電気錠の現在の状態の情報は通信部14からホームオートメーションシステムの屋内側コントローラ18に送信されるようになっている。また、屋内側コントローラ18からの制御信号は通信部14で受信され、制御部6により電気錠の制御を行うことができるようになっている。
【0021】
また、受け付け可否手段8は、報知手段5による異常状態の報知開始から設定した一定時間(例えば10秒〜1分程度)をタイマ15によりカウントし、設定した一定時間が経過するまではキャンセル手段7を操作してもキャンセル手段7によるキャンセル信号の入力を受け付けないように制御し、また、異常状態の報知開始から一定時間経過後にキャンセル手段7を操作する報知手段5による報知のキャンセルを受け付けて報知をオフすることができるように制御するようになっている
まず、図5に示す参考例のフローチャートに基づいて状態判断部17における異常状態発生の監視と、異常状態であると判断した場合の報知手段5による報知の動作につき説明する。この参考例においては、錠1の施解錠の状態変化を施解錠状態検知部2で検知し、扉3の開閉状態の変化を扉状態検知部4で検知するものであり、施錠状態を施解錠状態検知部2により検知している状態で且つ扉3が閉状態から開状態となったことを扉状態検知部4により検知した際に異常状態(例えばデッドボルト1aが切断された破錠状態)と判断して報知手段5により異常を報知するようになっている。つまり、図3(a)や図4(a)のようにデッドボルト1aがデッドボルト受け部1bに差し込まれた施錠状態において想像線のようにデッドボルト1aが切断された(この状態では施解錠状態検知部2は施錠状態であると認識している)後、図3(b)や図4(b)のように扉3が開けられて扉状態検知部4で扉3状態が閉から開に変化したことを検知した場合には切断により破錠された異常状態であると状態判断部17により判断し、報知手段5により警告音や表示により異常を報知するように制御されるものである。
【0022】
図5において具体的に説明すると、「扉閉・施錠状態」で、解錠操作が無い場合において、扉3状態が閉から開となり、錠状態が施錠状態のまま(つまり錠状態が閉のまま)の場合には、デッドボルト1aが切断された破錠状態であると状態判断部17により判断し(破錠状態検知)、報知手段5により破錠状態を報知する。
【0023】
一方、「扉閉・施錠状態」で、解錠操作があると、電気錠駆動部1cが解錠駆動をし、解錠後に一定時間以内に扉3が開操作されると「扉開・施錠状態遷移」となるが、解錠後に一定時間以内に扉3が開操作されないと電気錠駆動部1cが解錠駆動が施錠駆動をし、「扉閉・施錠状態」に戻る。
【0024】
また、「扉閉・施錠状態」で、解錠操作が無い場合において、扉3状態が閉から開とならない場合、つまり、扉3が閉じたままの場合には「扉閉・施錠状態」に戻る。
【0025】
更に、「扉閉・施錠状態」で、解錠操作が無い場合において、扉3状態が閉から開となると、錠状態が閉のままであるかどうかを検知し、錠状態が閉のままでない(つまり錠が開)場合には屋内側コントローラ18に報知して施解錠状態検知部2の異常の可能性があることを報せる。
【0026】
ここで、上記のようにコントローラ10には報知手段5による異常状態の報知をキャンセルするためのキャンセル手段7を設けてあり、キャンセル手段7により報知手段5による異常状態の報知をキャンセルすることができるようにしてあるが、報知開始から一定時間(例えば10〜1分程度、好ましくは30秒程度)はキャンセル手段7を操作してもキャンセル手段7によるキャンセル信号の入力を受け付けない受け付け可否手段8を設けてある。したがって、報知開始から一定時間はどのような操作を行っても報知手段5による異常状態の報知(この場合には破錠状態の報知)がキャンセルされることなく行われ、一定時間経過後は、キャンセル手段7を操作することで報知手段5による報知をキャンセルしてオフにできるものである。これにより防犯性を高めることができることになる。
【0027】
次に、本発明の実施形態を、図7に示すフローチャートに基づいて状態判断部17における異常状態発生の監視と、異常状態であると判断した場合の報知手段5により報知の動作につき説明する。
【0028】
本実施形態においては、デッドボルト受け部1b側に施解錠状態検知部2を設けてある。しかして、錠1の施解錠の状態変化を施解錠状態検知部2で検知し、扉3の開閉状態の変化を扉状態検知部4で検知するものにおいて、施解錠状態検知部2により施錠状態を検知している状態で且つ扉状態検知部4により扉3が開状態から閉状態となったことを検知した際に異常状態(例えばデッドボルト受け部1bにいたずら等により異物25が詰まっている状態)と判断して報知手段5により異常を報知するようになっている。つまり、図6(a)のように扉3状態が開の時にデッドボルト受け部1bに異物25が詰められると施解錠状態検知部2によりデッドボルト1aがデッドボルト受け部1bに挿入されて施錠されたと認識し、「開扉・施錠」と認識され、次に、図6(b)のように扉3状態が開から閉に変化したことを扉状態検知部4で検知した場合にはデッドボルト受け部1bに異物25が詰まっている異常状態であると状態判断部17により判断し、報知手段5により警告音や表示により異常を報知するように制御されるものである。
【0029】
すなわち、図7に示すように、まず、「扉開・解錠状態」で、施解錠状態検知部2が施錠状態を検知し、扉状態検知部4で扉3が開状態から閉状態に状態が変化したことを検知すると、解錠状態においてデッドボルト受け部1bに異物25が詰まったと判定し(異物検知を行い)、報知手段5により異物検知を報知するものである。この場合、屋内側コントローラ18に異物検知情報を送信して屋内側コントローラ18に設けた報知手段5により屋内側コントローラ18において異物検知を報知するようにしてもよい。また、電気錠装置に設けた報知手段5、屋内側コントローラ18に設けた報知手段5の両方で異物検知を報知するようにしてもよい。上記報知手段5による異物検知の報知としては音による報知、表示による報知等により行うが、例えば「錠のデッドボルト受け部を確認して下さい」といった音声アナウンスや表示により行う。
【0030】
一方、「扉開・解錠状態」で、施解錠状態検知部2が施錠状態を検知しない場合には、次に、扉状態検知手段4で扉3状態が開から閉に変化したかどうかを検知し、扉3状態が開から閉に変化しない場合には「扉開・解錠状態」に戻り、扉3状態が開から閉に変化した場合には、次に、一定時間内に更に扉3状態が閉から開に変化すると「扉開・解錠状態」に戻り、一定時間内に扉3状態が閉から開に変化しないと「扉閉・施錠」状態に遷移する。
【0031】
なお、「扉開・解錠状態」で、施解錠状態検知部2が施錠状態を検知した場合、検知しなかった場合のいずれの場合にも扉3が一定時間継続すると報知手段5により扉3が空き放しとなっていることを制御部6により警報するようになっている。
【0032】
なお、本実施形態ではデッドボルト受け部1b側に施解錠状態検知部2を設け、デッドボルト受け部1bに異物が詰まって施解錠状態検知部2が施錠と判断した場合、これをいたずら等によりデッドボルト受け部1bに異物25が詰まっているとして報知するようにしているが、施解錠状態検知部2をデッドボルト1aを出す側に設けるものにおいてはデッドボルト受け部1bに異物が詰まっても施解錠状態検知部2では異物検知ができない。しかしながら、この場合には閉扉後に施錠を行う動作の際にデッドボルト受け部1bに詰まった異物25によりデッドボルト1aが挿入できず(つまり施錠できず)、異常モードとなる等の挙動となり、この場合に報知手段5により報知することでデッドボルト受け部1bに異物が詰まっていることを報知することができるものである。
【0033】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1記載の発明にあっては、デッドボルトとデッドボルト受け部とを備えた錠の施解錠状態を検知する施解錠状態検知部と、扉の開閉状態を検知する扉状態検知部とを有し、上記施解錠状態検知部をデッドボルト受け部に設け、施解錠状態検知部により施錠状態を検知している状態で且つ扉状態検知部により扉が開状態から閉状態となったことを検知した際に異常状態と判断して報知手段により異常を報知するように制御する制御部を設けるので、開扉状態においていたずらで錠のデッドボルトを受けるデッドボルト受け部に異物を詰められた場合、実際はデッドボルトがデッドボルト受け部に入っていないにもかかわらずデッドボルト受け部に設けた施解錠状態検知部で施錠状態と認識され、この状態で扉を開から閉に閉じて扉状態検知部により閉状態と認識され「閉扉・施錠」と認識されるが、このような場合には、デッドボルト受け部にいたずらなどで異物が詰められていることによる異常であると判断し、このようにしていたずらによる異常を確実に検知して報知手段により報知することで、施錠表示されているにもかかわらず実際は施錠されていない状態等の防犯上危険な状態を未然に回避することができて、防犯効果を高めることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の制御ブロック図である。
【図2】 同上の扉の一例を示す説明図である。
【図3】 参考例を示し、(a)は同上の施解錠状態検知部がデッドボルト受け部側にある場合における施錠時においてデッドボルトが切断されている状態を示す説明図であり、(b)はデッドボルトが切断された後に扉を開いた状態を示す説明図である。
【図4】 参考例を示し、(a)は同上の施解錠状態検知部がデッドボルトを出す側にある場合における施錠時においてデッドボルトが切断されている状態を示す説明図であり、(b)はデッドボルトが切断された後に扉を開いた状態を示す説明図である。
【図5】 参考例のフローチャートである。
【図6】 本発明において実施形態を示し、(a)は同上の開扉・施錠状態においてデッドボルト受け部に異物が詰まった場合の説明図であり、(b)は開扉・施錠状態においてデッドボルト受け部に異物が詰まった後に扉を閉じた状態を示す説明図である。
【図7】 同上のフローチャートである。
【図8】 従来例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 錠
2 施解錠状態検知部
3 扉
4 扉状態検知部
5 報知手段
6 制御部
7 キャンセル手段
8 受け付け可否手段
Claims (1)
- デッドボルトとデッドボルト受け部とを備えた錠の施解錠状態を検知する施解錠状態検知部と、扉の開閉状態を検知する扉状態検知部とを有し、上記施解錠状態検知部をデッドボルト受け部に設け、施解錠状態検知部により施錠状態を検知している状態で且つ扉状態検知部により扉が開状態から閉状態となったことを検知した際に異常状態と判断して報知手段により異常を報知するように制御する制御部を設けて成ることを特徴とする扉の錠の異常状態検知装置。
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