JP4063155B2 - 車両用差動歯車装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は車両用差動歯車装置に係り、特に、トルク感応型の差動制限機能を備えたプラネタリギヤ式の車両用差動歯車装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内周面に内歯が形成されたインターナルギヤと、このインターナルギヤの内周側の同心円上に配置されたサンギヤと、前記インターナルギヤおよびサンギヤの間に配置され、これら両ギヤに噛み合う複数のプラネットギヤと、これらプラネットギヤを保持して前記インターナルギヤおよびサンギヤの回転軸線を中心に公転させるとともに、各プラネットギヤの自転を許容するプラネタリキャリアとを備え、例えば、前記プラネタリキャリアにエンジン側からの駆動を伝達するシャフトを連結するとともに、インターナルギヤおよびサンギヤを四輪駆動車の前後輪にそれぞれ連結した構成のプラネタリギヤ式車両用差動歯車装置はすでに知られている。
【0003】
図8は、前記のようなプラネタリギヤ式の車両用差動歯車装置の一例を示すものであり、この図8により従来の差動歯車装置の構成について簡単に説明する。プラネタリキャリア102とケース104とを固定して形成されたハウジング108の内部にインターナルギヤ110が収容され、このインターナルギヤ110の内周側の同心円上にサンギヤ112が配置されている。これらインターナルギヤ110とサンギヤ112の間に、プラネタリキャリア102に保持された複数個のプラネットギヤ114が配置され、両ギヤ110、112に噛み合っている。この図8に示す構成では、インターナルギヤ110、サンギヤ112およびプラネットギヤ114がいずれもはす歯を有して互いに噛み合っている。
【0004】
プラネタリキャリア102は、図示はしないが、前記インターナルギヤ110の内部側に延びる円筒状の部分を有しており、この円筒部に所定の間隔で複数のプラネットギヤ保持孔が形成されている。これら各プラネットギヤ保持孔内にそれぞれプラネットギヤ114が回転自在に保持されており、プラネットギヤ114の回転(自転)時には、その歯先が前記保持孔の内面を摺動する。
【0005】
前記インターナルギヤ110は、円筒状の部分110bとその一端部(図8の右端)から内周側へ伸びる内向きフランジ部110cとを有しており、円筒状の部分110bの内周面に内歯110aが、フランジ部110cの内周面にスプライン110dが形成されている(図10参照)。このフランジ部110cのスプライン110dに、カップリング116の外周に形成されたスプライン116aが係合している。これらインターナルギヤ110とカップリング116とを連結して動力を伝達するスプライン110d、116aは、従来の構成では、ストレートスプラインである。
【0006】
インターナルギヤ110とストレートスプラインによって連結されたカップリング116の一方の端面(図8の右側の端面)とケース104の内面との間、カップリング116の他方の端面とサンギヤ112の端面との間およびサンギヤ112の他端面とプラネタリキャリア102の内面との間にそれぞれワッシャ120、118、124が介装されている。また、インターナルギヤ110のフランジ部110cの外面(図8の右側の面)とケース104の内面との間およびそのフランジ部110cの内面とプラネットギヤ114の先端面との間にそれぞれワッシャが128、126が介装されている。
【0007】
前記構成の車両用差動歯車装置では、例えば、プラネタリキャリア102に、エンジン側からの駆動を伝えるとともに、インターナルギヤ110にスプライン係合されたカップリング116の内周に形成されているスプライン116bに、四輪駆動車の前後輪のいずれか一方を、そして、サンギヤ112の内周に形成されたスプライン112bに、前後輪の他方をそれぞれ連結する。
【0008】
この車両用差動歯車装置は、エンジンの駆動力が伝達されると、プラネットギヤ114を保持しているプラネタリキャリア102が回転駆動され、良好な路面を直進しているときには、プラネタリキャリア102に保持されたプラネットギヤ114と、このプラネットギヤ114に噛み合うインターナルギヤ110およびサンギヤ112が相対回転せずに一体的に回転する。また、コーナリング時等には、プラネタリキャリア102に保持されたプラネットギヤ114が自転することによって、インターナルギヤ110とサンギヤ112にそれぞれ連結されている前後駆動輪の回転差を補正する。
【0009】
さらに、前後の路面のμが異なり、前後の駆動輪のグリップ力に相違が出たときには、プラネタリキャリア102のプラネットギヤ保持孔の内周面とこの保持孔内に保持されて回転するプラネタリキャリア102の歯先との摺動による摩擦力、および、インターナルギヤ110、プラネットギヤ114、サンギヤ112のはす歯による噛み合いによって生ずるスラスト力を利用した摩擦力等によってトルク分配、つまり差動制限機能を行う。
【0010】
例えば、前述のように、エンジンからの入力をプラネタリキャリア102に、そして、インターナルギヤ110からの出力を後輪に、サンギヤ112からの出力を前輪に接続した場合に、ドライブモードでは、プラネットギヤ116とインターナルギヤ110との噛み合いによるスラスト力(図8中の矢印A参照)が、インターナルギヤ110のケース104側のワッシャ128に作用して摩擦力を生ずるとともに、プラネットギヤ114とサンギヤ112との噛み合いによるスラスト力(同図の矢印B参照)が、サンギヤ112のプラネタリキャリア102側のワッシャ124に作用して摩擦力を生ずる。この場合には、摩擦力が生ずる部位が前記ワッシャ128、124だけなので、得られるバイアス比は低い。
【0011】
また、コーストモード(図9参照)では、プラネットギヤ114とインターナルギヤ110との噛み合いによるスラスト力(同図の矢印C参照)が、インターナルギヤ110とプラネットギヤ114との間のワッシャ126に作用して摩擦力を生ずるとともに、プラネットギヤ114とサンギヤ112との噛み合いによるスラスト力(同図の矢印D参照)が、サンギヤ112とカップリング116との間のワッシャ118に作用して摩擦力を生ずる。さらにこの場合には、サンギヤ112のスラスト力により、中間のワッシャ118に加えて、カップリング116の端面のワッシャ120にも摩擦力が生ずるので、前記ドライブモードよりは大きい中程度のバイアス比を得ることができる。
【0012】
前記従来の構成の車両用差動歯車装置では、車両の特性に応じて所望のバイアス比を得るためには、はすば歯車のねじれ角により調整する方法があるが、ねじれ角には製作上の限界があり、この調整だけでは最適なバイアス比を得ることが困難であった。特に、駆動力の限界や動的車両挙動の向上のためには、より高いバイアス比を得る必要があるが、従来の構成では、充分な高バイアス比を得ることができなかった。
【0013】
そこで、高バイアス比(差動制限機能)を得るための構成を備えた差動歯車装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載された発明は、インターナルギヤとプラネットギヤ(この特許文献1ではピニオンギヤと呼ぶ)との間に差動制限力増強手段としての多板クラッチを配置している。
【0014】
【特許文献1】
特開平9−144844号公報(第4−6頁、図1)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
前記特許文献1に記載された従来の構成では、差動制限機能を増大させることはできるが、例えば、差動制限機能を低減させることも含めて、差動制限機能の調整範囲を広げることはできないという問題があった。
【0016】
本発明は前記課題を解決するためになされたもので、スラスト力の発生部位を追加することにより、大幅な構成の変更をすることなく、差動制限機能(バイアス比)の調整を容易に、しかも広範囲に行うことができる車両用差動歯車装置を提供することを目的とするものである。また、特に、高バイアス比を得ることが容易な車両用差動歯車装置を提供することを目的とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載された発明に係る車両用差動歯車装置は、ハウジング内に収容されたインターナルギヤと、このインターナルギヤの内側の同心円上に配置されたサンギヤと、前記インターナルギヤとサンギヤとの間に配置され、これら両ギヤと噛み合うプラネットギヤと、プラネットギヤを公転および自転可能に保持したプラネタリキャリアとを備え、これら各ギヤが、はす歯によって噛み合うようになっており、特に、前記ハウジングから入力された駆動力を、インターナルギヤに連結されたカップリングから後輪に分配し、サンギヤから前輪に分配するよう構成し、前記インターナルギヤのカップリングとの連結部には、インターナルギヤの内歯の傾斜と逆方向の傾斜を有するはす歯を形成し、かつ、前記カップリングとハウジングとの間に、前記連結部で車両のコースト時のみにカップリングに発生するスラスト力が作用する多板クラッチを設けたものである。
【0018】
従来のプラネタリギヤ式車輌用差動歯車装置は、差動制限機能(バイアス比)を、プラネットギヤの歯先とこのプラネットギヤを支持しているプラネタリキャリアのプラネットギヤ支持孔の内周面との間の摺動による摩擦、および、インターナルギヤ、プラネットギヤ、サンギヤの噛み合いによるスラスト力を利用した各部ワッシャとの摩擦によって得ている。これに対して、請求項1に記載した発明に係る差動歯車装置では、ハウジングから入力された駆動力を、インターナルギヤに連結されたカップリングから後輪に分配し、サンギヤから前輪に分配するよう構成し、前記インターナルギヤのカップリングとの連結部には、インターナルギヤの内歯の傾斜と逆方向の傾斜を有するはす歯を形成し、かつ、前記カップリングとハウジングとの間に、前記連結部で車両のコースト時のみにカップリングに発生するスラスト力が作用する多板クラッチを設けたので、この連結部で追加のスラスト力を発生させることができ、差動制限機能としてのバイアス比を増大させることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す実施の形態により本発明を説明する。図1は本発明の一実施の形態に係るプラネタリギヤ機構を備えた車両用差動歯車装置の横断面図、図2は図1のII−II線に沿う断面図、図3は図1のIII−III線に沿う断面図、図4はこの車両用差動歯車装置を分解して示す斜視図である。この差動歯車装置は、プラネタリキャリア2とケース4とを突き合わせて複数のボルト6により固定したハウジング8の内部に、インターナルギヤ10、サンギヤ12およびプラネタリキャリア2に保持されたプラネットギヤ14からなるプラネタリギヤ機構が収容されている。
【0026】
前記ハウジング8の内部に、内周面に内歯10aが形成されたインターナルギヤ10(図5参照)が回転自在に嵌合している。このインターナルギヤ10の内周側に、インターナルギヤ10の回転軸線L1と同一軸線を中心に回転するサンギヤ12が配置されている。このサンギヤ12は、外周面に歯12aが形成されている。さらに、前記インターナルギヤ10とサンギヤ12との間に、プラネタリキャリア2に保持された複数のプラネットギヤ14が配置されている。
【0027】
プラネタリキャリア2は、車両の前方側(図2および図3の左側)の壁面を構成する底面2a上に直立して形成された円筒状の部分2bを有しており、この円筒部2bに所定の間隔で複数のプラネットギヤ保持孔2cが形成されている。これら各プラネットギヤ保持孔2c内にそれぞれプラネットギヤ14が保持されており、その歯先が保持孔2cの内面に摺接する。
【0028】
プラネタリキャリア2は、前記インターナルギヤ10およびサンギヤ12の回転軸線L1を中心に回転し、このプラネタリキャリア2に形成されたプラネットギヤ保持孔2c内に保持されているプラネットギヤ14は、プラネタリキャリア2の回転によって、その中心軸線L2が前記プラネタリキャリア2の回転軸線L1を中心に回転、つまり公転するとともに、プラネタリキャリア2の前記プラネットギヤ保持孔2c内で、自らの軸線L2を中心に回転(自転)できるようになっている。この実施の形態では、これらインターナルギヤ10、サンギヤ12およびプラネットギヤ4は、いずれもはす歯を有しており、各プラネットギヤ14がそれぞれ外周側のインターナルギヤ10と、内周側のサンギヤ12に噛み合っている。
【0029】
前記インターナルギヤ10は、円筒状の部分10bと、その一端部(図2および図5の右端)側に形成された内周側へ延びる内向きフランジ部10cとを有しており、円筒状の部分10bの内周面に内歯10aが、フランジ部10cの内周面にスプライン10dが形成されている。この実施の形態では、インターナルギヤ10に形成されたスプライン10dは、図5に示すように、内歯10aの傾斜と逆方向の傾斜を有するヘリカルスプラインである。
【0030】
このインターナルギヤ10のフランジ部10cに形成されたスプライン10dに、カップリング16の外周に形成されたヘリカルスプライン16aが係合している。このようにインターナルギヤ10の内歯10aの傾斜と逆方向の傾斜を有するヘリカルスプライン10dに、カップリング16の外面に形成されたヘリカルスプライン16aを噛み合わせて、インターナルギヤ10からの動力を伝達するようにしたので、従来のインターナルギヤ、プラネットギヤおよびサンギヤの噛み合いによるスラスト力の発生に加えて、追加のスラスト力を発生させることができるようになっている。
【0031】
このカップリング16の端面(図2および図3の左側端面)と前記サンギヤ12との間にワッシャ18が介装されている。また、カップリング16の逆の端面とケース4の内面との間には、3枚のワッシャ21、22、23から成るクラッチ機構20が設けられている。これら3枚のワッシャ21、22、23のうち、両側のワッシャ21、23はハウジング8(ハウジング8を構成するケース4)の内面に係合して回り止めがされ、中間のワッシャ22はカップリング16に係合して一体的に回転するようになっている。また、サンギヤ12の端面とハウジング8(ハウジング8を構成するプラネタリキャリア2)の内面との間にワッシャ24が介装されている。
【0032】
さらに、前記プラネタリキャリア2およびプラネットギヤ14と、インターナルギヤ10のフランジ部10cの内面との間、インターナルギヤ10のフランジ部10cの外面とケース4の内面との間に、それぞれワッシャ26、28が介装されている。
【0033】
前記構成の車輌用差動歯車装置は、例えば、ハウジング8の外周側からエンジンの駆動が入力されるとともに、インターナルギヤ10にスプライン係合されたカップリング16の内周に形成されているスプライン溝16bに、四輪駆動車の後輪を、そして、サンギヤ12の内周に形成されたスプライン溝12bに、前輪をそれぞれ接続する。
【0034】
以上の構成に係るプラネタリギヤ機構を備えた車輌用差動歯車装置の作用について、前述のように、ハウジング8、インターナルギヤ10およびサンギヤ12にそれぞれ、四輪駆動車のエンジン、後輪および前輪を接続した場合を例として説明する。通常の平坦路を直進走行している時には、前後の駆動輪は同一回転をしているため、インターナルギヤ10とプラネットギヤ14とサンギヤ12とは噛み合ったまま相対回転はせずに、この差動歯車装置全体が一体となって前記回転軸線L1を中心に公転する。
【0035】
コーナリング時など前後駆動輪に回転差が生じたときには、プラネタリキャリア2に保持されたプラネットギヤ14が、前記回転軸線L1を中心に公転しつつその中心軸線L2を中心に自転することによって前記回転差を補正する。つまり、前後駆動輪の回転差により、これら駆動輪にそれぞれ接続されているインターナルギヤ10とサンギヤ12の一方が加速する方向に、他方が減速する方向に、前記プラネットギヤ14が自転することにより差動機能を行う。
【0036】
四輪駆動車等での悪路走行時等において、前後輪のグリップ力に差が生じたときには、この差動歯車装置により差動制限を行う。つまり、各ギヤ10、12、14の噛み合いにより発生するスラスト力を利用した摩擦力あるいは、プラネットギヤ14の歯先とこのプラネットギヤ14を保持しているプラネタリキャリア2の保持孔2cの内周面との間の摩擦により、空転している方の駆動輪の回転力を減じ、その減じられたトルクをそのままトラクションの高い方の駆動輪に伝えることによりトルク分配機能、すなわち差動制限機能を行う。
【0037】
具体的には、一方の駆動輪がスリップすると、インターナルギヤ10およびサンギヤ12と噛み合うプラネットギヤ14が自転する。これらインターナルギヤ10、サンギヤ12およプラネットギヤ14いはいずれもはす歯を有しており、相対回転すると軸方向のスラスト力が発生する。例えば、ドライブモードでは、インターナルギヤ10とプラネットギヤ14との相対回転により、図6に矢印Aで示すスラスト力が発生するとともに、このインターナルギヤ10とカップリング16との間も、ヘリカルスプライン10d、16aによる噛み合いで動力を伝達するようになっているので、インターナルギヤ10に前記スラスト力と同一方向のスラスト力(図6中の矢印E参照)が発生する。これらスラスト力の作用により、インターナルギヤ10のフランジ部10cの外面とケース4の内面との間のワッシャ28に摩擦力を生ずる。
【0038】
一方、インターナルギヤ10とカップリング16との噛み合いの反力として、カップリング16に、図6中に矢印Fで示すスラスト力が発生する。このスラスト力Fは、カップリング16とサンギヤ12との間のワッシャ18に作用し、さらに、前記プラネットギヤ14とサンギヤ12との噛み合いによるスラスト力Bとともに、サンギヤ12とプラネタリキャリア2との間のワッシャ24に作用して摩擦力を発生する。この実施の形態では、インターナルギヤ10とカップリング16との間のヘリカルスプライン10d、16aによる動力伝達によってスラスト力E、Fが追加されるので、前記従来の構成に比較して高バイアス比を得ることができる。
【0039】
前記構成に係る車両用差動歯車装置のコーストモードでは、前記従来の(図9参照)構成と同様の、プラネットギヤ14とインターナルギヤ10との噛み合いおよびプラネットギヤ14とサンギヤ12との噛み合いにより発生するスラスト力(図7中の矢印CおよびD参照)に加えて、インターナルギヤ10とカップリング16とのヘリカルスプライン10d、16aによる動力の伝達によって、インターナルギヤ10に矢印Gの、また、カップリング16に矢印Hのスラスト力が発生する。特に、この実施の形態では、カップリング16とケース4との間に3枚のワッシャ21、22、23によるクラッチ機構20を配置してあるので、コーストモード時における矢印DおよびHによるスラスト力が、このクラッチ機構20に作用して大きい摩擦力を発生するため、極めて高いバイアス比を得ることができる。
【0040】
この実施の形態では、カップリング16の端面とケース4の内面との間に3枚のワッシャ21、22、23を組み付けているので、非常に高いバイアス比を得ることができる。
【0044】
さらに、前記実施の形態では、インターナルギヤ10の端部に設けたフランジ部10cの内周面にスプライン10d、10eを形成してカップリング16と連結しているが、この新たなスラスト力発生機構は、インターナルギヤ10の内歯10aよりも小径である必要はなく、内歯10aの径と同径または大径のスラスト発生機構を設けることも可能である。また、インターナルギヤ10とプラネットギヤ14との噛み合いにより、インターナルギヤ10に発生するスラスト力と、インターナルギヤ10とカップリング16との間のスラスト力発生機構で、インターナルギヤ10に発生するスラスト力の大きさは、両ギヤ10、16のはすばのねじれ角や、スプライン10d、16aの傾き、および内歯10aとスプライン10d、16aの径の大小等により調整することができ、どちらのスラスト力を大きくすることも可能である。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ハウジング内に収容されたインターナルギヤと、このインターナルギヤの内側の同心円上に配置されたサンギヤと、前記インターナルギヤとサンギヤとの間に配置され、これら両ギヤと噛み合ってトルクの伝達を行うプラネットギヤと、プラネットギヤを公転および自転可能に保持したプラネタリキャリアとを備え、これら各ギヤが、ヘリカルギヤによって噛み合う車輌用差動歯車装置において、前記ハウジングから入力された駆動力を、インターナルギヤに連結されたカップリングから後輪に分配し、サンギヤから前輪に分配するよう構成し、前記インターナルギヤのカップリングとの連結部には、インターナルギヤの内歯の傾斜と逆方向の傾斜を有するはす歯を形成し、かつ、前記カップリングとハウジングとの間に、前記連結部で車両のコースト時のみにカップリングに発生するスラスト力が作用する多板クラッチを設けたことにより、従来の構成と同様の構成であっても、バイアス比の設定範囲を広くすることができる。また、従来の構成と比較して大きなバイアス比を得ることもできる。しかも、異なるバイアス性能を有する差動歯車装置でも、ギヤの共通化を図ることができる。特に、前記カップリングとハウジングとの間に多板クラッチを設けたことにより、一層高いバイアス比を得ることができる。また、前記多板クラッチが、コースト時のみに作用するようにスラスト力の発生する方向を設定したことにより、コースト時に特に高いバイアス比を得るとともに、負荷の大きい多板クラッチの信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る車輌用差動歯車装置の横断面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】前記車輌用差動歯車装置の分解斜視図である。
【図5】前記車輌用差動歯車装置のインターナルギヤの斜視図である。
【図6】前記実施の形態に係る車輌用差動歯車装置の、ドライブモードにおけるスラスト力の発生部位およびスラスト力の作用方向を示す縦断面図である。
【図7】前記実施の形態に係る車輌用差動歯車装置の、コーストモードにおけるスラスト力の発生部位およびスラスト力の作用方向を示す縦断面図である。
【図8】従来の車輌用差動歯車装置の構成およびドライブモードにおけるスラスト力の発生部位およびスラスト力の作用方向を示す縦断面図である。
【図9】従来の車輌用差動歯車装置の、コーストモードにおけるスラスト力の発生部位およびスラスト力の作用方向を示す縦断面図である。
【図10】従来の車輌用差動歯車装置のインターナルギヤを示す斜視図である。
【符号の説明】
8 ハウジング
10 インターナルギヤ(分割された部材)
10d スラスト力発生機構(ヘリカルスプライン)
12 サンギヤ
14 プラネットギヤ
16 カップリング(分割された部材)
16a スラスト力発生機構(ヘリカルスプライン)
Claims (1)
- ハウジング内に収容されたインターナルギヤと、このインターナルギヤの内側の同心円上に配置されたサンギヤと、前記インターナルギヤとサンギヤとの間に配置され、これら両ギヤと噛み合うプラネットギヤと、プラネットギヤを公転および自転可能に保持したプラネタリキャリアとを備え、これら各ギヤが、はす歯によって噛み合う車両用差動歯車装置において、
前記ハウジングから入力された駆動力を、インターナルギヤに連結されたカップリングから後輪に分配し、サンギヤから前輪に分配するよう構成し、前記インターナルギヤのカップリングとの連結部には、インターナルギヤの内歯の傾斜と逆方向の傾斜を有するはす歯を形成し、かつ、前記カップリングとハウジングとの間に、前記連結部で車両のコースト時のみにカップリングに発生するスラスト力が作用する多板クラッチを設けたことを特徴とする車両用差動歯車装置。
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