JP4058850B2 - 日射フィルター膜形成用塗布液 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両、ビル、事務所、一般住宅の窓、電話ボックス、ショーウィンドウ、照明用ランプなど、ガラス、プラスチックその他の各種透明基材に塗布して熱線と紫外線とを遮蔽する日射フィルター膜を形成するために用いる塗布液に関する。
【0002】
【従来の技術】
オゾンホールの発生、拡大により、地表面に到達する紫外線量が著しく増加し、日焼けや、皮膚癌など人体への悪影響が問題となっている。また、住宅、ビル、自動車、ショーウィンドウなどの窓から紫外線が入り込むと、カーテンや、絨毯、ソファーなどの家具や、絵画、書類などが変色、退色、劣化する。また、省エネルギーの観点から、太陽光線の赤外線部分を遮蔽して夏場の冷房負荷を軽減したり、可視光領域の透過率を減じて皮膚に感ずる暑さを和らげたり、プライバシーを保護したりするガラスが近年注目されている。
【0003】
このように、透明なプラスチックやガラス表面に薄い膜を形成して、太陽光線から有害な紫外線や近赤外線をできるだけ除去し、目に見える可視光のみを通過させようとする日射フィルター機能の需要が増大している。
【0004】
従来、このような機能性膜は、大部分がスパッタ法や、蒸着法などによる乾式法で作製されているため、大掛かりな装置と複雑な工程が必要とされ、製品としてのコストも非常に高価であった。塗布法を用いて熱線を遮蔽する材料として、アンチモン含有酸化錫(ATO)や錫含有酸化インジウム(ITO)が知られている。しかし、これらの材料ではプラズマ波長が近赤外域の比較的長波長側にあり、可視光に近い近赤外域におけるこれらの膜の反射・吸収効果は十分ではなかった。ATOやITO微粒子は塗布液中に多量に添加すれば熱線透過率を下げることも可能であるが、その場合コスト高になることに加え、塗膜の強度が低下したり、膜に曇り(ヘイズ)が生ずるという問題点があった。またATOやITOに紫外線を遮蔽する材料を加えて熱線と紫外線の両方を遮蔽する試みも行なわれているが、特に熱線の遮蔽効果は不十分であった。
【0005】
また、有機染料を用いた窓貼り用の着色フィルムが市販されているが、紫外線などによる色あせやフィルムの劣化が大きく、十分な効果を発揮するものとは言えなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、可視光領域の光の透過率が高く、近赤外領域の光の透過率が低く、かつ紫外線を効率よく遮蔽する膜を、高コストの物理成膜法を用いずに簡便な塗布法で成膜できる日射フィルター膜形成用塗布液を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明者らは、材料そのものの特性として、自由電子を多量に保有する窒化物及び6ホウ化物に着目し、種々検討の結果、これを超微粒子化し、かつ高度に分散した膜を作製することにより、可視光領域に透過率の極大をもつとともに、可視光領域に近い近赤外域に強い吸収を発現して透過率の極小をもつようになるという現象を見出し、これに更に無機系または有機系の紫外線吸収材料を導入することにより、本発明を完成した。
すなわち、本発明の日射フィルター膜形成用塗布液は、窒化物からなる平均粒径200nm以下の微粒子と、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、5−クロロ−2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトアリゾールから選ばれる1種の有機紫外線吸収成分とを含有し、前記微粒子の含有量が0.02〜8.0重量%であり、前記有機紫外線吸収成分の含有量が5重量%以下の日射フィルター膜形成用塗布液であって、該塗布液を用いて得られる日射フィルター膜の可視光透過率τVは45.9〜59.3%、紫外線透過率τUVは1.2〜2.1%となることを特徴とするものである、また、本発明の別の日射フィルター膜形成用塗布液は、前記窒化物が、Ti、Zr、Hf、V、 Nb、及び、Taの群から選択される1種以上の金属の窒化物であることを特徴とするものである。
更に、本発明の他の日射フィルター膜形成用塗布液は、6ホウ化物からなる平均粒径200nm以下の微粒子と、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、5−クロロ−2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトアリゾールから選ばれる1種の有機紫外線吸収成分とを含有し、前記微粒子の含有量が0.02〜8.0重量%であり、前記有機紫外線吸収成分の含有量が5重量%以下の日射フィルター膜形成用塗布液であって、該塗布液を用いて得られる日射フィルター膜の可視光透過率τVは57.9〜72.8%、紫外線透過率τUVは0.1〜0.4%となることを特徴とするものであり、また、本発明の別の日射フィルター膜形成用塗布液は、前記6ホウ化物が、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Y、Sm、Eu、Er、Tm、Yb、Lu、Sr、及び、Caの群から選択される1種以上の金属の6ホウ化物であることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の日射フィルター膜形成用塗布液は、更に、酸化鉄、酸化水酸化鉄、酸化セリウム、及び、酸化亜鉛の群から選択される1種以上の無機紫外線吸収成分を含有したことを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に使用される窒化物微粒子としては、窒化チタン(TiN)、窒化ジルコニウム(ZrN)、窒化ハフニウム(HfN)、窒化バナジウム(VN)、窒化ニオブ(NbN)、窒化タンタル(TaN)などの微粒子がその代表的なものとして挙げられる。
【0010】
また、本発明に使用される6ホウ化物微粒子としては、6ホウ化ランタン(LaB)、6ホウ化セリウム(CeB)、6ホウ化プラセオジム(PrB)、6ホウ化ネオジム(NdB)、6ホウ化ガドリニウム(GdB)、6ホウ化テルビウム(TbB)、6ホウ化ディスプロシウム(DyB)、6ホウ化ホルミウム(HoB)、6ホウ化イットリウム(YB)、6ホウ化サマリウム(SmB)、6ホウ化ユーロピウム(EuB)、6ホウ化エルビウム(ErB)、6ホウ化ツリウム(TmB)、6ホウ化イッテルビウム(YbB)、6ホウ化ルテチウム(LuB)、6ホウ化ランタンセリウム((La,Ce)B)、6ホウ化ストロンチウム(SrB)、6ホウ化カルシウム(CaB)などの微粒子が、その代表的なものとして挙げられる。
【0011】
本発明に使用される窒化物微粒子と6ホウ化物微粒子は、その表面が酸化していないことが好ましいが、通常は僅かに酸化していることが多く、また微粒子の分散工程で表面の酸化が起こることはある程度避けられない。しかしその場合でも日射遮蔽効果を発現する有効性に変わりはない。またこれらの微粒子は、結晶としての完全性が高いほど大きい日射遮蔽効果が得られるが、結晶性が低くX線回折でブロードな回折ピークを生じるようなものであっても、微粒子内部の基本的な結合が各金属と窒素またはホウ素との結合から成り立っているものならば日射遮蔽効果を発現する。
【0012】
これらの窒化物微粒子は、茶黒色、青黒色などに着色した粉末であり、また、これらの6ホウ化物微粒子は灰黒色、茶黒色、緑黒色などに着色した粉末であるが、粒径が可視光波長に比べて十分小さく薄膜中に分散した状態においては膜に可視光透過性が生じる。しかし赤外光遮蔽能は十分強く保持できる。
【0013】
この理由は詳細には理解されていないが、これら微粒子中の自由電子の量が多く、微粒子内部及び表面の自由電子によるプラズモン吸収およびバンド間間接遷移の吸収エネルギーが、丁度、可視〜近赤外の付近にあるために、この波長領域の熱線が選択的に反射・吸収されると考えられる。実験によれば、これら微粒子を十分細かく且つ均一に分散した膜では、透過率が波長400〜700nmの間に極大値をもち、且つ波長700〜1800nmの間に極小値をもち、さらにこれらの透過率の極大値と極小値の差が15ポイント以上であることが観察される。
【0014】
可視光波長が380〜780nmであり、視感度が550nm付近をピークとする釣鐘型であることを考慮すると、このような膜では可視光を有効に透過し、それ以外の熱線を有効に反射・吸収することが理解される。
【0015】
また、一般的に使用される紫外線遮蔽成分は、吸収端が紫外〜可視域にあり、紫外線遮蔽成分を含む塗布膜は紫外線と同時に可視光の短波長域を吸収し、黄色や橙色に着色し好ましくないが、可視光の短波長域に透過性をもつ窒化物微粒子を添加することで、膜の黄変を防ぐことも可能である。
【0016】
窒化物微粒子または6ホウ化物微粒子の日射遮蔽効果は、バインダー成分との比や、乾燥膜厚に依存するので一概に含有量のみでこれを規定することはできないが、通常の使用においては、微粒子の含有量は、0.02重量%〜8.0重量%の間で使用されることが好ましい。0.02重量%未満の含有量では如何に膜厚が厚くても十分な日射遮蔽効果を得ることは難しく、8.0重量%を超えると塗布液の粘度が増加するばかりでなく、表面活性に富んだ窒化物微粒子または6ホウ化物微粒子の触媒作用で、共存するバインダー成分のゲル化を促進し、塗布液のポットライフを短縮する。但し、他の熱線吸収剤との併用で添加される場合には、0.02重量%未満でもよく、また例えば貯蔵用濃縮液としては、8.0重量%を超える塗布液を用いることも可能である。
【0017】
本発明において、塗布液中の窒化物微粒子と6ホウ化物微粒子の粒径は、100nm以下が良い。微粒子の粒子径が200nmよりも大きくなると、近赤外光の吸収効果が得られず、単調に透過率の減少した灰色っぽい膜になる。また、粒子径が200nmよりも大きい場合には、分散液中の微粒子同士の凝集傾向が強くなり、微粒子の沈降原因となる。さらに200nm以上の微粒子もしくはそれらの凝集した粗大粒子は、光散乱源となって膜に曇り(ヘイズ)を生じたり、可視光透過率が減少する原因となる。従って、上記微粒子の平均粒径は上記した理由により200nm以下とする必要がある。現状の技術で経済的に入手可能な最低の粒径は2nm程度である。
【0018】
本発明に使用される無機紫外線遮蔽成分としては、酸化鉄(Fe)、酸化水酸化鉄(FeOOH)、酸化セリウム(CeO)、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)などの微粒子を、その代表的な例として挙げることができる。これらの酸化物微粒子は、吸収端が紫外〜可視域にあり、紫外線を吸収する。また無機物であるために光や水分による劣化が少なく、経時安定性がある。しかし紫外線遮蔽能率は、酸化鉄や酸化水酸化鉄以外は比較的少ないので、多量の添加が必要であるが、多量に添加すると塗布液の粘度を増加させて液のレベリング性を低下させるために、20重量%以下の添加量が好ましく、更に好ましくは7重量%以下の含有量で使用するとよい。また多量に添加すると、特に酸化鉄や酸化水酸化鉄では、塗布膜が黄色や橙色に着色するので好ましくない。
【0019】
無機紫外線遮蔽成分微粒子の粒径は、前記窒化物微粒子や6ホウ化物微粒子と同様の理由で100nm以下が良い。
【0020】
本発明に使用される有機紫外線吸収成分としては、吸収効果の大きいベンゾフェノン系またはベンゾトリアゾール系が好ましい。また、トリアジン系、蓚酸アニリド系、シアノアクリレート系、サリシレート系など他の市販の材料も使用することが可能である。ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノンなどが、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤としては、例えば、5−クロロ−2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトアリゾールなどがある。
【0021】
これらの有機系紫外線吸収材料では、無機紫外線吸収材料に比べて吸収能率は格段に優れているが、熱や空気中の水分の影響により滲みだしや析出が起こりやすく、これを避けるにはおよそ5重量%以下の少量の添加量が好ましい。またこれらの有機紫外線吸収成分は、紫外線や空気中の酸素により劣化するため、塗布液中に、光安定剤(HALS)、過酸化物分解剤、消光剤などを適宜添加することも可能である。
【0022】
塗布液中の微粒子の分散媒は特に限定されるものではなく、塗布条件や塗布環境、塗布液中のアルコキシド、合成樹脂バインダーなどに合わせて選択可能であり、例えば水や、アルコール、エーテル、エステル、ケトンなどの有機溶媒の各種が使用可能である。また、必要に応じて酸やアルカリを添加してpHを調整しても良い。更に塗布液中微粒子の分散安定性を一層向上させるために、各種の界面活性剤、カップリング剤などを添加することも可能である。そのときのそれぞれの添加量は、無機微粒子に対して30重量%以下、好ましくは5重量%以下である。
【0023】
上記微粒子の分散方法は、微粒子が均一に溶液中に分散する方法であれば任意に選択できる。例えば、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、超音波分散などの方法を挙げることができる。
【0024】
本発明における日射フィルター膜は、基材上に上記微粒子が高密度に堆積し膜を形成するものであるが、塗布液中には無機または有機樹脂のバインダー成分を加えてもよい。無機系のバインダーとしては、例えば、珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニウムの各金属のアルコキシド、もしくはこれら金属の部分加水分解重合物が挙げられる。また、有機樹脂としては、アクリル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリカーボネートなど、従来公知のものを広く使用することができる。これらのバインダーは、塗布、硬化後、微粒子の基材への結着性を向上させ、更に膜の硬度を向上させる効果がある。またこのようにして得られた膜上に、さらに上記バインダー成分のような無機または有機樹脂を含有する被膜を第2層として被着することで、微粒子を主成分とする膜の基材への結着力や、膜の硬度及び耐候性を一層向上させることも可能となる。
【0025】
本発明の塗布液には、透過率を向上させるために、さらにATOやITOやアルミニウム添加酸化亜鉛などの超微粒子を混合することも可能である。これらの透明超微粒子は、添加量を増すと可視光に近い近赤外線領域での吸収が増加するため、可視光透過率の高い熱線遮蔽膜とすることが可能である。また逆に、ATOやITOやアルミニウム添加酸化亜鉛などの超微粒子を分散した液に本発明の塗布液を添加して、膜に着色すると同時にその熱線遮蔽効果を補助することも可能である。この場合、主体となるITOなどに対して奔の僅かの添加量で熱線遮蔽効果を補助できるため、ITOの必要量の大幅な減少が可能となり、液のコストを下げられるという利点がある。
【0026】
塗布液及び被膜用の塗布液の塗布方法は特に限定されるものではなく、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、スクリーン印刷法、ロールコート法、流し塗り、刷毛塗りなど、処理液を平坦且つ薄く均一に塗布できる方法であれば如何なる方法でも適宜採用することができる。
【0027】
上記各金属アルコキシド及びその加水分解重合物を含む塗布液の塗布後の基材加熱温度は、100℃未満では塗膜中に含まれるアルコキシド及びその加水分解重合物の重合反応が未完結で残る場合が多く、また水や有機溶媒が膜中に残留し、加熱後の膜の可視光透過率の低減の原因となるので、100℃以上が好ましく、更に好ましくは塗布液中の全ての溶媒の沸点以上である。
【0028】
また樹脂バインダーを使用した場合は、それぞれの硬化方法に従って硬化させれば良く、例えば紫外線硬化樹脂であれば紫外線を適宜照射すれば良く、また熱可塑性樹脂であれば塗布後加熱すればよい。常温硬化樹脂であればそのまま放置しておけばよい為、既存の窓ガラスなどへの現場での塗布が可能であり、汎用性が広がる。
【0029】
常温硬化性のバインダーとしては、例えば、オルガノシザラン溶液では、側鎖基の修正や酸化触媒の添加で重合硬化温度が100℃以下のものが市販されている。また市販のシリケート系のものを用いることも可能である。どちらも硬化後はSiOの無機膜、または、有機鎖の混ざったSiO膜を形成し、耐候性や膜強度において樹脂膜よりも優れている。
【0030】
このように、本発明によれば、上記無機日射遮蔽微粒子と、無機及び/または有機紫外線吸収材料を適切に混合することで、熱線及び紫外線の遮蔽効果を有する日射フィルター膜を得ることができる。
【0031】
[実施例]
以下、本発明を、本発明の実施例、比較例によってより詳細に説明する。
【0032】
(参考例1)
平均粒径40nmのTiN微粒子8g、ジアセトンアルコール(以下、「DAA」と略す。)80g、水及び分散剤適量を混合し、直径4mmのジルコニアボールを用いて100時間ボールミル混合して、TiN分散液100gを作製した(A液)。平均重合度で4〜5量体である多摩化学工業株式会社製エチルシリケート40を6g、エタノールを31g、5%塩酸水溶液を8g、水5gを良く混合・攪拌して、エチルシリケート混合液50gを調製した(B液)。平均粒径30nmの酸化水酸化鉄FeOOH微粒子を10g、DAAを80g、水及び分散剤適量を前記同様にボールミル混合して、FeOOH分散液100gを作製した(C液)。
【0033】
A液とB液とC液を、TiN:FeOOH比が1:1.5(重量比。以下、比の記載は全て重量比による。)、(TiN+FeOOH):SiO比が4:1となるような割合で混合・攪拌し、さらにエタノールで希釈して、TiN濃度が1.0重量%(以下、「%」は「重量%」を示す。)、FeOOH濃度が1.5%となるように塗布液を作製した(D液)。このD液15gをスピンコーターでソーダライム板ガラス基板(以下、基板は全てソーダライム板ガラス基板を用いた。)上に塗布し、180℃の電気炉に入れて30分間加熱し、目的とする膜を得た。
【0034】
形成された膜の分光特性を、日立製作所製の分光光度計を用いて測定した(以下、同様)。膜の透過プロファイルより、透過率の極大値が422nm、極小値が746nm、反射率の極大値が1000nm付近にあり、また、ISO−9050に基づいて、3mm厚ガラス基板を含めた値として(以下、τUV、τV、τeにおいて同様)、紫外線透過率(τUV)8.9%が得られた。また、村上色材研究所製のヘイズメータを用いて(以下、同様)、塗布膜のヘイズは1.7%であった。この膜は、透過率の極大値と極小値の差が16ポイントあって可視光波長で透過率が高く、近赤外波長で透過率が小さいプロファイルになっており、優れた熱遮蔽効果があることは明瞭である。また、紫外線も91.1%遮蔽しており、優れた日射フィルターの機能を有している。
【0035】
(参考例2)
平均粒径43nmのHfN微粒子8g、DAA80g、水及び分散剤適量を参考例1と同様にボールミル混合して、HfN分散液100gを作製した(E液)。平均粒径50nmの酸化鉄Fe微粒子10g、DAA80g、水及び分散剤適量を参考例1と同様にボールミル混合して、Fe分散液100gを作製した(F液)。
【0036】
参考例1で作製したB液とC液にこのE液とF液を、HfN:FeOOH:Fe比が1:1:0.5、(HfN+FeOOH+Fe):SiO比が4:1となるような割合で混合・攪拌し、さらにエタノールで希釈して、HfN濃度が1.0%、FeOOH濃度が1.0%、Fe濃度が0.5%となるように塗布液を作製した(G液)。このG液15gをスピンコーターで基板上に塗布し、180℃の電気炉に入れて30分間加熱し、目的とする膜を得た。
【0037】
膜の透過プロファイルより、透過率の極大値が469nm、極小値が768nm、反射率の極大値が1000nm付近にあり、また、紫外線透過率(τUV)8.8%が得られた。また、塗布膜のヘイズは1.5%であった。この膜は、透過率の極大値と極小値の差が16ポイントあって可視光波長で透過率が高く近赤外波長で透過率が小さいプロファイルになっており、優れた熱遮蔽効果があることは明瞭である。また、紫外線も91.2%遮蔽しており、優れた日射フィルターの機能を有している。
【0038】
(参考例3)
平均粒径35nmのZrN微粒子8g、DAA80g、水及び分散剤適量を参考例1と同様にボールミル混合して、ZrN分散液100gを作製した(H液)。平均粒径12nmの酸化セリウムCeO微粒子35g、DAA55g、水及び分散剤適量を参考例1と同様にボールミル混合して、CeO分散液100gを作製した(I液)。
【0039】
参考例1で作製したB液に、H液、I液を加えて、ZrN:CeO比が1:10、(ZrN+CeO):SiO比が4:1となるような割合で混合・攪拌し、さらにエタノールで希釈して、ZrN濃度が1.0%、CeO濃度が10%となるように塗布液を作製した(J液)。このJ液15gを用いて、参考例1と同様の手順で成膜し、評価した。
【0040】
膜の透過プロファイルより、透過率の極大値が432nm、極小値が735nm、反射率の極大値が1000nm付近にあり、また、紫外線透過率(τUV)6.4%が得られた。また、塗布膜のヘイズは1.7%であった。この膜は、透過率の極大値と極小値の差が15ポイントあって可視光波長で透過率が高く近赤外波長で透過率が小さいプロファイルになっており、優れた熱遮蔽効果があることは明瞭である。また、紫外線も93.6%遮蔽しており、優れた日射フィルターの機能を有している。
【0041】
(実施例1)
平均粒径64nmのVN微粒子8g、DAA80g、水及び分散剤適量を参考例1と同様にボールミル混合して、VN分散液100gを作製した(K液)。K液に、チバスペシャルティケミカルズ社製のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤チヌビン384、東芝シリコーン社製常温硬化樹脂XS−66、及びエタノールを混合・攪拌して、VN濃度が1.0%、チヌビン384の濃度が4.5%、XS−66の濃度が30%となるように塗布液を作製した(L液)。このL液15gをスピンコーターで基板上に塗布し、常温で24時間放置し、目的とする膜を得た。
【0042】
膜の透過プロファイルより、透過率の極大値が622nm、極小値が975nm、反射率の極大値が1000nm付近にあり、また、紫外線透過率(τUV)1.2%が得られた。また、塗布膜のヘイズは1.9%であった。この膜は、透過率の極大値と極小値の差が19ポイントあって可視光波長で透過率が高く近赤外波長で透過率が小さいプロファイルになっており、優れた熱遮蔽効果があることは明瞭である。また、紫外線も98.8%遮蔽しており、優れた日射フィルターの機能を有している。
【0043】
(実施例2)
平均粒径55nmのNbN微粒子8g、DAA80g、水及び分散剤適量を参考例1と同様にボールミル混合して、NbN分散液100gを作製した(M液)。M液に、シプロ化成社製のベンゾフェノン系紫外線吸収剤SEESORB100、東芝シリコーン社製常温硬化樹脂XS−66、及びエタノールを混合・攪拌して、NbN濃度が1.0%、SEESORB100の濃度が4.0%、XS−66の濃度が30%となるように塗布液を作製した(N液)。このN液15gを用いて、実施例1と同様の手順で成膜、評価した。
【0044】
膜の透過プロファイルより、透過率の極大値が615nm、極小値が963nm、反射率の極大値が1000nm付近にあり、また、紫外線透過率(τUV)2.1%が得られた。また、塗布膜のヘイズは1.3%であった。この膜は、透過率の極大値と極小値の差が18ポイントあって可視光波長で透過率が高く近赤外波長で透過率が小さいプロファイルになっており、優れた熱遮蔽効果があることは明瞭である。また、紫外線も97.9%遮蔽しており、優れた日射フィルターの機能を有している。
【0045】
(実施例3)
平均粒径25nmの酸化亜鉛ZnO微粒子20g、DAA70g、水及び分散剤適量を参考例1と同様にボールミル混合して、ZnO分散液100gを作製した(O液)。O液に参考例2で作製したF液、チバスペシャルティケミカルズ社製のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤チヌビン384、東芝シリコーン社製常温硬化樹脂XS−66、及びエタノールを混合・攪拌して、HfN濃度が1.0%、ZnO濃度が5%、チヌビン384の濃度が2.5%、XS−66の濃度が30%となるように塗布液を作製した(P液)。このP液15gを用いて、実施例1と同様の手順で成膜、評価した。
【0046】
膜の透過プロファイルより、透過率の極大値が470nm、極小値が775nm、反射率の極大値が1000nm付近にあり、また、紫外線透過率(τUV)1.5%が得られた。また、塗布膜のヘイズは1.8%であった。この膜は、透過率の極大値と極小値の差が16ポイントあって可視光波長で透過率が高く近赤外波長で透過率が小さいプロファイルになっており、優れた熱遮蔽効果があることは明瞭である。また、紫外線も98.2%遮蔽しており、優れた日射フィルターの機能を有している。
【0047】
(実施例4)
平均粒径43nmのTaN微粒子8g、DAA80g、水及び分散剤適量を参考例1と同様にボールミル混合して、TaN分散液100gを作製した(Q液)。Q液に参考例1で作製したC液、チバスペシャルティケミカルズ社製のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤チヌビン384、東芝シリコーン社製常温硬化樹脂XS−66、及びエタノールを混合・攪拌して、TaN濃度が1.0%、FeOOH濃度が0.4%、チヌビン384の濃度が2.5%、XS−66の濃度が30%となるように塗布液を作製した(R液)。このR液を用いて、実施例1と同様の手順で成膜、評価した。
【0048】
膜の透過プロファイルより、透過率の極大値が585nm、極小値が1071nm、反射率の極大値が1000nm付近にあり、また、紫外線透過率(τUV)1.7%が得られた。また、塗布膜のヘイズは1.8%であった。この膜は、透過率の極大値と極小値の差が17ポイントあって可視光波長で透過率が高く近赤外波長で透過率が小さいプロファイルになっており、優れた熱遮蔽効果があることは明瞭である。また、紫外線も98.3%遮蔽しており、優れた日射フィルターの機能を有している。
【0049】
(実施例5)
参考例3で作製したH液に参考例1で作製したC液、シプロ化成社製のベンゾフェノン系紫外線吸収剤SEESORB100、東芝シリコーン社製常温硬化樹脂XS−66、及びエタノールを混合・攪拌して、ZrN濃度が1.0%、FeOOH濃度が0.4%、SEESORB100の濃度が2.5%、XS−66の濃度が30%となるように塗布液を作製した(S液)。このS液を用いて、実施例1と同様の手順で成膜、評価した。
【0050】
膜の透過プロファイルより、透過率の極大値が435nm、極小値が736nm、反射率の極大値が1000nm付近にあり、また、紫外線透過率(τUV)1.3%が得られた。また、塗布膜のヘイズは1.9%であった。この膜は、透過率の極大値と極小値の差が18ポイントあって可視光波長で透過率が高く近赤外波長で透過率が小さいプロファイルになっており、優れた熱遮蔽効果があることは明瞭である。また、紫外線も98.2%遮蔽しており、優れた日射フィルターの機能を有している。
【0051】
(比較例1)
参考例3と同様にしてZrNとCeOを含む液と膜を作製、評価した。但し、平均粒径221nmの粗大な大きさのZrNを用いた。
【0052】
膜の透過プロファイルより、透過率の極大値が438nm、極小値が751nm、反射率の極大値が1000nm付近にあり、また、紫外線透過率(τUV)7.1%が得られた。また、塗布膜のヘイズは11.3%であった。この膜は、透過率の極大値と極小値の差が17ポイントあって可視光波長で透過率が高く近赤外波長で透過率が小さいプロファイルになっており、熱線及び紫外線遮蔽機能は十分であるが、粗大粒子を用いたために膜の曇りが11.3%と高く、実用には向かないと判断される。
【0053】
(比較例2)
参考例2で作製したHfN分散液(E液)とシリケート液(B液)に参考例3で作製したCeO分散液(I液)を加えて、HfN:CeO比が1:21、HfN:SiO比が4:1となるような割合で混合・攪拌し、さらにエタノールで希釈して、HfN濃度が1.0%、CeO2濃度が21.0%となるように塗布液を作製した(T液)。このT液15gを用いて、実施例1と同様の手順で成膜、評価した。
【0054】
膜の透過プロファイルより、透過率の極大値が475nm、極小値が778nm、反射率の極大値が1000nm付近にあり、また、紫外線透過率(τUV)2.1%が得られた。また、塗布膜のヘイズは3.8%であった。この膜は、透過率の極大値と極小値の差が16ポイントあって可視光波長で透過率が高く近赤外波長で透過率が小さいプロファイルになっており、優れた熱遮蔽効果があることは明瞭である。また、紫外線も97.9%遮蔽と良いレベルであるが、膜に曇りがあり、また、膜厚ムラが観察された。
【0055】
(比較例3)
参考例1で作製したTiN分散液(A液)に、チバスペシャルティケミカルズ社製のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤チヌビン384、東芝シリコーン社製常温硬化樹脂XS−66、及びエタノールを混合・攪拌して、TiN濃度が1.0%、チヌビン384の濃度が8.0%、XS−66の濃度が30%となるように塗布液を作製した(U液)。このU液15gを用いて、実施例1と同様の手順で成膜、評価した。
【0056】
膜の透過プロファイルより、透過率の極大値が432nm、極小値が732nm、反射率の極大値が1000nm付近にあり、また、紫外線透過率(τUV)1.5%が得られた。また、塗布膜のヘイズは1.8%であった。この膜は、透過率の極大値と極小値の差が18ポイントあって可視光波長で透過率が高く近赤外波長で透過率が小さいプロファイルになっており、優れた熱遮蔽効果があることは明瞭である。また、紫外線も98.2%遮蔽しており、熱線・紫外線の遮蔽効果は十分であるが、1日放置後、膜表面に白くベンゾトリアゾールの成分が浮き出て膜が白化した。
【0057】
参考例1〜3、実施例1〜5および比較例1〜3の結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
Figure 0004058850
【0059】
(参考例4)
平均粒径67nmのLaB微粒子8g、DAA80g、水及び分散剤適量を参考例1と同様にボールミル混合して、LaB分散液100gを作製した(A’液)。平均重合度で4〜5量体である多摩化学工業株式会社製エチルシリケート40を6g、エタノール31g、5%塩酸水溶液8g、水5gで調製したエチルシリケート溶液50gと、水800g、及びエタノール300gを良く混合・攪拌して、エチルシリケート混合液1150gを調製した(B’液)。また、平均粒径50nmの酸化鉄Fe微粒子10g、DAA80g、水及び分散剤適量を参考例1と同様にボールミル混合して、Fe分散液100gを作製した(C’液)。
【0060】
A’液とB’液とC’液を、LaB:Fe比が1:1.5、(LaB+Fe):SiO比が4:1となるような割合で混合・攪拌し、さらにエタノールで希釈して、LaB濃度が0.5%、Fe濃度が0.75%となるように塗布液を作製した(D’液)。このD’液15gを145rpmで回転する200×200×3mmの基板上にビーカから滴下し、そのまま3分間振り切った後、回転を止めた。これを180℃の電気炉に入れて30分間加熱し目的とする膜を得た。
【0061】
可視光透過率(τV)63.5%、日射透過率(τe)42.5%、紫外線透過率(τUV)1.6%が得られた。また、塗布膜のヘイズは0.8%であった。この膜は、日射透過率が可視光透過率よりも21%低く優れた熱遮蔽効果があることは明瞭である。また、紫外線も98.4%遮蔽しており、優れた日射フィルターの機能を有している。
【0062】
(参考例5)
平均粒径46nmのCeB微粒子8g、DAA80g、水及び分散剤適量を参考例1と同様にボールミル混合して、CeB分散液100gを作製した(E’液)。平均粒径30nmの酸化水酸化鉄FeOOH微粒子10g、DAA80g、水及び分散剤適量を参考例1と同様にボールミル混合して、FeOOH分散液100gを作製した(F’液)。
【0063】
参考例4で作製したB’液にこのE’液とF’液を加えて、CeB:FeOOH比が1:2、(CeB+FeOOH):SiO比が4:1となるような割合で混合・攪拌し、さらにエタノールで希釈して、CeB濃度が0.5%、FeOOH濃度が1.0%となるように塗布液を作製した(G’液)。
【0064】
このG’液15gを用いて、参考例4と同様の手順で成膜、評価した。τV=58.3%、τe=34.6%、τUV=2.5%、ヘイズは1.3%であった。この膜は、日射透過率が可視光透過率よりも23%低く優れた日射遮蔽効果があることは明瞭である。また、紫外線も97.5%遮蔽しており、優れた日射フィルターの機能を有している。
【0065】
(参考例6)
平均粒径53nmのPrB微粒子8g、DAA80g、水及び分散剤適量を参考例1と同様にボールミル混合して、LaB分散液100gを作製した(H’液)。また、平均粒径12nmの酸化セリウムCeO微粒子10g、DAA80g、水及び分散剤適量を参考例1と同様にボールミル混合して、CeO分散液100gを作製した(I’液)。
【0066】
参考例4で作製したB’液とC’液にこのH’液とI’液を加えて、PrB:Fe:CeO比が1:0.5:10、(PrB+Fe+CeO):SiO比が4:1となるような割合で混合・攪拌し、さらにエタノールで希釈して、PrB濃度が0.5%、Fe濃度が0.25%、CeO濃度が5%となるように塗布液を作製した(J’液)。このJ’液15gを用いて、参考例4と同様の手順で成膜、評価した。
【0067】
τV=68.6%、τe=45.1%、τUV=1.3%、ヘイズは0.5%であった。この膜は、日射透過率が可視光透過率よりも23%低く優れた熱遮蔽効果があることは明瞭である。また、紫外線も98.7%遮蔽しており、優れた日射フィルターの機能を有している。
【0068】
(実施例6)
平均粒径66nmのNdB微粒子8g、DAA80g、水及び分散剤適量を参考例1と同様にボールミル混合して、NdB分散液100gを作製した(K’液)。このK’液に、チバスペシャルティケミカルズ社製のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤チヌビン384、東芝シリコーン社製常温硬化樹脂XS−66、及びエタノールを混合・攪拌して、NdB濃度が0.5%、チヌビン384の濃度が4.5%、XS−66の濃度が30%となるように塗布液を作製した(L’液)。このL’液15gを145rpmで回転する200×200×3mmの基板上にビーカから滴下し、そのまま3分間振り切った後、回転を止めた。これを常温で24時間放置し目的とする膜を得た。
【0069】
τV=72.3%、τe=49.1%、τUV=0.3%、ヘイズは0.4%であった。この膜は、日射透過率が可視光透過率よりも24%低く優れた熱遮蔽効果があることは明瞭である。また、紫外線も99.7%遮蔽しており、優れた日射フィルターの機能を有している。
【0070】
(実施例7)
平均粒径41nmのGdB微粒子8g、DAA80g、水及び分散剤適量を参考例1と同様にボールミル混合して、GdB分散液100gを作製した(M’液)。このM’液に、シプロ化成社製のベンゾフェノン系紫外線吸収剤SEESORB100、東芝シリコーン社製常温硬化樹脂XS−66、及びエタノールを混合・攪拌して、GdB濃度が0.5%、SEESORB100の濃度が5.0%、XS−66の濃度が30%となるように塗布液を作製した(N’液)。このN’液15gを用いて、参考例4と同様の手順で成膜、評価した。
【0071】
τV=72.8%、τe=49.0%、τUV=0.4%、ヘイズは0.8%であった。この膜は、日射透過率が可視光透過率よりも24%低く優れた熱遮蔽効果があることは明瞭である。また、紫外線も98.6%遮蔽しており、優れた日射フィルターの機能を有している。
【0072】
(実施例8)
平均粒径47nmのTbB微粒子8g、DAA80g、水及び分散剤適量を参考例1と同様にボールミル混合して、TbB分散液100gを作製した(O’液)。平均粒径25nmの酸化亜鉛ZnO微粒子10g、DAA80g、水及び分散剤適量を参考例1と同様にボールミル混合して、ZnO分散液100gを作製した(P’液)。O’液とP’液にチバスペシャルティケミカルズ社製のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤チヌビン384、東芝シリコーン社製常温硬化樹脂XS−66、及びエタノールを混合・攪拌して、TbB濃度が0.5%、ZnO濃度が6%、チヌビン384の濃度が2.5%、XS−66の濃度が30%となるように塗布液を作製した(Q’液)。このQ’液15gを用いて、参考例4と同様の手順で成膜、評価した。
【0073】
τV=71.0%、τe=48.3%、τUV=0.1%、ヘイズは1.0%であった。この膜は、日射透過率が可視光透過率よりも22%低く優れた熱遮蔽効果があることは明瞭である。また、紫外線も99.9%遮蔽しており、優れた日射フィルターの機能を有している。
【0074】
(実施例9)
平均粒径58nmのDyB微粒子8g、DAA80g、水及び分散剤適量を参考例1と同様にボールミル混合して、DyB分散液100gを作製した(R’液)。このR’液と参考例4で作製したC’液、チバスペシャルティケミカルズ社製のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤チヌビン384、東芝シリコーン社製常温硬化樹脂XS−66、及びエタノールを混合・攪拌して、DyB濃度が0.5%、Fe濃度が0.4%、チヌビン384の濃度が2.5%、XS−66の濃度が30%となるように塗布液を作製した(S’液)。このS’液を用いて、参考例4と同様の手順で成膜、評価した。
【0075】
τV=64.2%、τe=39.6%、τUV=0.2%、ヘイズは1.4%であった。この膜は、日射透過率が可視光透過率よりも24%低く優れた熱遮蔽効果があることは明瞭である。また、紫外線も99.8%遮蔽しており、優れた日射フィルターの機能を有している。
【0076】
(実施例10〜実施例16)
初期粒径がそれぞれ63、72、48、50、49、67、65nmであるXB(X=Y、Sm、Eu、Er、Yb、Sr、Ca)微粒子を用いて、上記参考例4〜15でA’、E’、H’、K’、M’、O’、R’液を作製したと同様の手順で、XB分散液を作製した。これらを用いて、実施例9と同様にして、日射遮蔽成分をXBとし、無機紫外線吸収成分をFeとし、有機紫外線吸収成分をベンゾトリアゾール系のチヌビン384とする塗布液をそれぞれ作製した。これらを実施例9の手順と同様に成膜・評価を行なった。いずれも優れた熱線・紫外線遮蔽効果を示すことが確認された。
【0077】
(比較例4)
平均粒径20nmのITO微粒子20g、DAA70g、水及び分散剤適量を参考例1と同様にボールミル混合して、ITO分散液100gを作製した(T’液)。T’液と実施例8で作製したP’液にチバスペシャルティケミカルズ社製のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤チヌビン384、東芝シリコーン社製常温硬化樹脂XS−66、及びエタノールを混合・攪拌して、ITO濃度が8.0%、ZnO濃度が5.0%、チヌビン384の濃度が4.5%、XS−66の濃度が30%となるように塗布液を作製した(U’液)。このU’液15gを用いて、参考例4と同様の手順で成膜、評価した。
【0078】
τV=88.5%、τe=84.0%、τUV=0.3%が得られた。この膜は、紫外線は99.7%遮蔽しているが、日射遮蔽機能は不十分であり、また、ヘイズ値が3.8%と高くやや曇りがある。従って日射遮蔽材料としてITOを用いると、8%以下の含有量では熱線遮蔽機能は不十分である。
【0079】
(比較例5)
参考例5と同様にしてCeBとFeOOHを含む液と膜を作製・評価した。但し、平均粒径212nmの粗大な大きさのCeBを用いた。
【0080】
この膜の可視光透過率は64.5%、日射透過率は44.7%、紫外線透過率は2.5%と測定され、熱線及び紫外線遮蔽機能は十分であるが、粗大粒子を用いたために膜の曇りが10.5%と高く、実用には向かないと判断される。
【0081】
(比較例6)
参考例4で作製したLaB分散液(A’液)とシリケート液(B’液)に参考例5で作製したCeO分散液(I’液)を加えて、LaB:CeO比が1:42、LaB:SiO比が4:1となるような割合で混合・攪拌し、さらにエタノールで希釈して、LaB濃度が0.5%、CeO濃度が21.0%となるように塗布液を作製した(V’液)。このV’液15gを用いて、参考例4と同様の手順で成膜、評価した。
【0082】
τV=65.8%、τe=44.7%、τUV=5.7%、ヘイズは2.7%であった。この膜は、日射透過率が可視光透過率よりも21%低く優れた熱遮蔽効果があり、また、紫外線遮蔽率も94.3%と良いレベルであるが、膜に曇りがあり、また、膜厚ムラが観察された。
【0083】
(比較例7)
参考例4で作製したLaB分散液(A’液)に、チバスペシャルティケミカルズ社製のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤チヌビン384、東芝シリコーン社製常温硬化樹脂XS−66、及びエタノールを混合・攪拌して、LaB濃度が0.5%、チヌビン384の濃度が8.0%、XS−66の濃度が30%となるように塗布液を作製した(W’液)。このW’液15gを用いて、参考例4と同様の手順で成膜・評価した。τV=71.5%、τe=46.3%、τUV=0.1%、ヘイズは0.5%であった。この膜は、熱線・紫外線の遮蔽効果は十分であるが、1日放置後、膜表面に白くベンゾトリアゾールの成分が浮き出て膜が白化した。
【0084】
参考例4〜6、実施例6〜16および比較例4〜7の結果を表2に示す。
【0085】
【表2】
Figure 0004058850
【0086】
【発明の効果】
以上示したように、本発明の塗布液を用いることにより、高コストの物理成膜法を用いずに、簡便で安価な塗布法で、熱線・紫外線を遮蔽する日射フィルター膜が成膜できるので、コスト面や大面積膜の面から工業的有用性が高い。

Claims (5)

  1. 窒化物からなる平均粒径200nm以下の微粒子と、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、5−クロロ−2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトアリゾールから選ばれる1種の有機紫外線吸収成分とを含有し、前記微粒子の含有量が0.02〜8.0重量%であり、前記有機紫外線吸収成分の含有量が5重量%以下の日射フィルター膜形成用塗布液であって、該塗布液を用いて得られる日射フィルター膜の可視光透過率τVは45.9〜59.3%、紫外線透過率τUVは1.2〜2.1%となることを特徴とする日射フィルター膜形成用塗布液。
  2. 前記窒化物が、Ti、Zr、Hf、V、 Nb、及び、Taの群から選択される1種以上の金属の窒化物であることを特徴とする請求項1記載の日射フィルター膜形成用塗布液。
  3. 6ホウ化物からなる平均粒径200nm以下の微粒子と、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、5−クロロ−2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトアリゾールから選ばれる1種の有機紫外線吸収成分とを含有し、前記微粒子の含有量が0.02〜8.0重量%であり、前記有機紫外線吸収成分の含有量が5重量%以下の日射フィルター膜形成用塗布液であって、該塗布液を用いて得られる日射フィルター膜の可視光透過率τVは57.9〜72.8%、紫外線透過率τUVは0.1〜0.4%となることを特徴とする日射フィルター膜形成用塗布液。
  4. 前記6ホウ化物が、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Y、Sm、Eu、Er、Tm、Yb、Lu、Sr、及び、Caの群から選択される1種以上の金属の6ホウ化物であることを特徴とする請求項3記載の日射フィルター膜形成用塗布液。
  5. 更に、酸化鉄、酸化水酸化鉄、酸化セリウム、及び、酸化亜鉛の群から選択される1種以上の無機紫外線吸収成分を含有したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の日射フィルター膜形成用塗布液。
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