JP4051972B2 - 酸素導入希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体とその製造方法及び放射線像変換パネル - Google Patents

酸素導入希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体とその製造方法及び放射線像変換パネル Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は酸素導入希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体、その輝尽性蛍光体の製造方法、及びその輝尽性蛍光体を用いた放射線像変換パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の放射線写真法に代わる有効な診断手段として、特開昭55−12145号等に記載の輝尽性蛍光体を用いる放射線画像記録再生方法が知られている。この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射線像変換パネル(蓄積性蛍光体シートとも呼ばれる)を利用するもので、被写体を透過した、又は被検体から発せられた放射線を輝尽性蛍光体に吸収させ、可視光線、紫外線などの電磁波(励起光と言う)で時系列的に輝尽性蛍光体を励起して、蓄積されている放射線エネルギーを蛍光(輝尽発光光と言う)として放射させ、この蛍光を光電的に読みとって電気信号を得、得られた電気信号に基づいて被写体又は被検体の放射線画像を可視画像として再生するものである。読取り後の変換パネルは、残存画像の消去が行われ、次の撮影に供される。
【0003】
この方法によれば、放射線写真フィルムと増感紙とを組み合わせて用いる放射線写真法に比して、遙かに少ない被爆線量で情報量の豊富な放射線画像が得られる利点がある。又、放射線写真法では撮影毎にフィルムを消費するのに対して、放射線像変換パネルは繰り返し使用されるので、資源保護や経済効率の面からも有利である。
【0004】
放射線像変換パネルは、支持体とその表面に設けられた輝尽性蛍光体層、又は自己支持性の輝尽性蛍光体層のみから成り、輝尽性蛍光体層は通常輝尽性蛍光体とこれを分散支持する結合材から成るものと、蒸着法や焼結法によって形成される輝尽性蛍光体の凝集体のみから構成されるものがある。又、該凝集体の間隙に高分子物質が含浸されているものも知られている。更に、輝尽性蛍光体層の支持体側とは反対側の表面には、通常、ポリマーフィルムや無機物の蒸着膜から成る保護膜が設けられる。
【0005】
輝尽性蛍光体としては、通常、400〜900nmの範囲にある励起光によって、波長300〜500nmの範囲にある輝尽発光を示すものが一般的に利用され、特開昭55−12145号、同55−160078号、同56−74175号、同56−116777号、同57−23673号、同57−23675号、同58−206678号、同59−27289号、同59−27980号、同59−56479号、同59−56480号等に記載の希土類元素賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体;特開昭59−75200号、同60−84381号、同60−106752号、同60−166379号、同60−221483号、同60−228592号、同60−228593号、同61−23679号、同61−120882号、同61−120883号、同61−120885号、同61−235486号、同61−235487号等に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体;特開昭55−12144号に記載の希土類元素賦活オキシハロゲン化物蛍光体;特開昭58−69281号に記載のセリウム賦活3価金属オキシハロゲン化物蛍光体;特開昭60−70484号に記載のビスマス賦活アルカリ金属ハロゲン化物蛍光体;特開昭60−141783号、同60−157100号等に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロ燐酸塩蛍光体;特開昭60−157099号に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロ硼酸塩蛍光体;特開昭60−217354号に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属水素化ハロゲン化物蛍光体;特開昭61−21173号、同61−21182号等に記載のセリウム賦活希土類複合ハロゲン化物蛍光体;特開昭61−40390号に記載のセリウム賦活希土類ハロ燐酸塩蛍光体;特開昭60−78151号に記載の2価のユーロピウム賦活ハロゲン化セリウム・ルビジウム蛍光体;特開昭60−78151号に記載の2価のユーロピウム賦活複合ハロゲン化物蛍光体等が挙げられ、中でも、沃素を含有する2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物蛍光体、沃素を含有する希土類元素賦活オキシハロゲン化物蛍光体及び沃素を含有するビスマス賦活アルカリ金属ハロゲン化物蛍光体等が知られているが、依然、高輝度の輝尽性蛍光体が要求されている。
【0006】
又、輝尽性蛍光体を利用する放射線像変換方法の利用が進むにつれて、得られる放射線画像の画質の向上、例えば鮮鋭度の向上や粒状性の向上が更に求められるようになって来た。
【0007】
先に記載の輝尽性蛍光体の製造方法は、固相法あるいは焼結法と呼ばれる方法で、焼成後の粉砕が必須であり、感度、画像性能に影響する粒子形状の制御が困難であるという問題を有する。放射線画像の画質向上の手段の中で、輝尽性蛍光体の微粒子化と微粒子化された輝尽性蛍光体の粒径を揃えること、即ち、粒径分布を狭くすることが有効である。
【0008】
特開平7−233369号、同9−291278号等で開示されている液相からの輝尽性蛍光体の製造法は、蛍光体原料溶液の濃度を調整して微粒子状の輝尽性蛍光体前駆体を得る方法であり、粒径分布の揃った輝尽性蛍光体粉末の製造法として有効である。又、放射線被爆量の低減という観点から、希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体の内、沃素含有量が高いものが好ましいことが知られている。これは、臭素に比べて沃素がX線吸収率が高いためである。
【0009】
液相で製造されるアルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体は輝度、粒状性の点で有利であるが、液相にて前駆体結晶を得る場合、以下のような問題を持っている。液相でアルカリ土類金属弗化沃化物系輝尽性蛍光体粒子を製造する場合、特開平10−88125、同9−291278の記載に見られるように、1)沃化バリウムを水あるいは有機溶媒に溶解し、この液を攪拌しながら無機弗化物の溶液を添加する。2)弗化アンモニウムを水に溶解し、この液をを攪拌しながら沃化バリウムの溶液を添加する、方法が有効である。しかし、1)の方法では溶液中に過剰の沃化バリウムを存在させておく必要があり、そのため投入した沃化バリウムと固液分離後に得られる弗化沃化バリウムの化学量論比は0.4前後と小さい値であることが多い。つまり投入した沃化バリウムに対し、アルカリ土類金属弗化沃化物系輝尽性蛍光体の収率は40%程度であることが多い。また、2)の方法でも無機弗化物に対して過剰の沃化バリウムを必要とし、収率が低い。このように弗化沃化バリウムの液相合成は収率が低く生産性が悪いという問題点を有している。収率をあげるために母液中の沃化バリウム濃度を下げると粒子の肥大化を招く。粒子の肥大化は画質特性上好ましくない。
【0010】
希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体、特にアルカリ土類属弗化沃化物系輝尽性蛍光体の収率をあげる試みとしては特開平11−29324号に反応母液濃度とフッ素源を添加した後濃縮することにより基本組成式BaFI:xLn(Ln:Ce、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、TmおよびYbからなる群より選ばれる少なくとも1種の希土類元素)を満たす希土類含有角状弗化沃化バリウム結晶を得る方法が開示されている。本発明者らが追試を行った結果、記載どおりBaFI角状結晶は生成したものの、自然蒸発による濃縮を用いているため著しく生産性が低く、工業的には現実的ではないことがわかった。また、得られる角状結晶も粒径が大きくかつ粒径分布が広いため、画像特性、特に構造モトルが悪く、実用に供することができないことがわかった。
【0011】
また、特開2002−38143には、母液濃度を高くした状態から濃縮することにより生産性の高い前駆体を得る方法が記載されている。しかし、濃縮開始時に中間体であるBaF2が大量に存在するため、得られた蛍光体の画像特性上好ましくない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、粒径分布の揃った酸素導入希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体を生産性良く得ることであり、更に粒径分布の揃った前記輝尽性蛍光体を高い収率で得ることであり、更にこれを用いた高感度高画質の放射線像変換プレートを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記本発明の課題は、以下の構成により解決することができた。
【0014】
(1)前記一般式(1)で表わされる酸素導入希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体の液相における製造方法であって、ハロゲン化バリウム水溶液に無機弗化物水溶液を添加して希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体前駆体結晶の沈澱物を得る工程と反応母液中のバリウム濃度が3.3mol/L以上の溶液から溶媒を除去する工程を同時に行い、溶媒の除去後の質量が除去前の質量(反応母液の質量と添加した水溶液の質量の和)に対して0.97以下とすることにより輝尽性蛍光体前駆体を得ることを特徴とする、酸素導入希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体の製造方法。
【0016】
)反応溶媒を除去するため反応液を加熱し、かつ他の溶媒を除去する手段を併用することを特徴とする(1)記載の酸素導入希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体の製造方法。
【0019】
本発明者らは上記課題を鑑みて鋭意検討を行った結果、前駆体の晶析時に濃縮工程を平行させて行うことにより、中間体であるBaF2の生成を抑え、粒径が適当な範囲にあり、高輝度かつ高画質、特に構造モトルの良好な輝尽性蛍光体を得ることができ、さらに本発明の好ましい範囲にある製造方法により、画像特性の良好な輝尽性蛍光体を安価、大量に安定に得ることができることを見出し、本発明に至った次第である。
【0020】
以下に、本発明を詳細に説明する。
液相法による輝尽性蛍光体前駆体製造については、特開平10−140148号に記載された前駆体製造方法、特開平10−147778号に記載された前駆体製造装置が好ましく利用できる。ここで輝尽性蛍光体前駆体とは、前記一般式(1)で示される物質が600℃以上の高温を経ていない状態を示し、輝尽性蛍光体前駆体は、輝尽発光性や瞬時発光性をほとんど示さない。本発明では以下の液相合成法により前駆体を得ることが好ましい。
【0021】
上記一般式(1)からなる酸素導入希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体の製造は、粒子形状の制御が難しい固相法ではなく、粒径の制御が容易である液相法により行なうことが好ましい。特に、下記の液相合成法により輝尽性蛍光体を得ることが好ましい。
【0022】
製造法:
BaI2とLnのハロゲン化物を含み、一般式(1)のxが0でない場合には更に、M2のハロゲン化物を、yが0でない場合はBaBr2を、そしてM1のハロゲン化物を含み、それらが溶解したのち、BaI2濃度が3.3mol/L以上、好ましくは3.5mol/L以上の溶液を調製する工程;
上記の溶液を50℃以上、好ましくは80℃以上の温度に維持しながら、これに濃度5mol/L以上、好ましくは8mol/L以上の無機弗化物(弗化アンモニウムもしくはアルカリ金属の弗化物)の溶液を添加して希土類賦活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の沈澱物を得る工程;
上記の無機弗化物を添加しつつ、反応液から溶媒を除去する工程
上記の前駆体結晶沈澱物を反応液から分離する工程;
そして、分離した前駆体結晶沈澱物を焼結を避けながら焼成する工程を含む製造方法である。
【0023】
尚、本発明に係る粒子(結晶)は平均粒径が1〜10μmで、かつ単分散性のものが好ましく、平均粒径が1〜5μm、平均粒径の分布(%)が20%以下のものが好ましく、特に平均粒径が1〜3μm、平均粒径の分布が15%以下のものが良い。
【0024】
本発明における平均粒径とは、粒子(結晶)の電子顕微鏡写真より無作為に粒子200個を選び、球換算の体積粒子径で平均を求めたものである。
【0025】
以下に輝尽性蛍光体の製造法の詳細について説明する。
(前駆体結晶の沈澱物の作製、輝尽性蛍光体作製)
最初に、水系媒体中を用いて弗素化合物以外の原料化合物を溶解させる。すなわち、BaI2とLnのハロゲン化物、そして必要により更にM2のハロゲン化物、そして更にM1のハロゲン化物を水系媒体中に入れ充分に混合し、溶解させて、それらが溶解した水溶液を調製する。ただし、BaI2濃度が3.3mol/L以上好ましくは3.5mol/L以上となるように、BaI2濃度と水系溶媒との量比を調整しておく。このときバリウム濃度が低いと所望の組成の前駆体が得られないか、得られても粒子が肥大化する。よって、バリウム濃度は適切に選択する必要があり、本発明者らの検討の結果、3.3mol/L以上で微細な前駆体粒子を形成することができることが分かった。このとき、所望により、少量の酸、アンモニア、アルコール、水溶性高分子ポリマー、水不溶性金属酸化物微粒子粉体などを添加してもよい。BaI2の溶解度が著しく低下しない範囲で低級アルコール(メタノール、エタノール)を適当量添加しておくのも好ましい態様である。この水溶液(反応母液)は80℃に維持される。
【0026】
次に、この80℃に維持され、撹拌されている水溶液に、無機弗化物(弗化アンモニウム、アルカリ金属の弗化物など)の水溶液を注入する。この注入は、撹拌が特に激しく実施されている領域部分に行なうのが好ましい。この無機弗化物水溶液の反応母液への注入によって、前記一般式(1)に該当する酸素導入希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体前駆体結晶が析出する。
【0027】
本発明においては、無機弗化物水溶液の添加時に反応液から溶媒を除去する。溶媒を除去する時期は添加中であれば、特に問わない。溶媒の除去後の全質量が除去前の質量(反応母液の質量と添加した水溶液の質量の和)に対する比率(除去比率)が0.97以下であることが必要である。これ以下では結晶がBaFIになりきらない場合がある。そのため除去比率0.97以下である、0.95以下がより好ましい。また、除去しすぎても反応溶液の粘度が過剰に上昇するなど、ハンドリングの面で不都合が生じる場合がある。
【0028】
そのため溶媒の除去比率は0.5までが好ましい。溶媒の除去に要する時間は生産性に大きく影響するばかりでなく、粒子の形状、粒径分布も溶媒の除去方法に影響されるので、除去方法は適切に選択する必要がある。一般的に溶媒の除去に際しては溶液を加熱し、溶媒を蒸発する方法が選択される。本発明においてもこの方法は有用である。溶媒の除去により、意図した組成の前駆体を得ることができる。更に、生産性を挙げるため、また、粒子形状を適切に保つため、他の溶媒除去方法を併用することが好ましい。併用する溶媒の除去方法は特に問わない。逆浸透膜などの分離膜を用いる方法を選択することも可能である。本発明では生産性の面から、以下の除去方法を選択することが好ましい。
1.乾燥気体を通気する
反応容器を密閉型とし、少なくとも2箇所以上の気体が通過できる孔を設け、そこから乾燥気体を通気する。気体の種類は任意に選ぶことができる。安全性の面から、空気、窒素が好ましい。通気する気体の飽和水蒸気量に依存し、溶媒が気体に同伴され、除去される。反応容器の空隙部分に通気する方法の他、液相中に気体を気泡として噴出させ、気泡中に溶媒を吸収させる方法もまた有効である。
2.減圧
よく知られるように減圧にすることにより、溶媒の蒸気圧は低下する。蒸気圧降下により効率的に溶媒を除去することができる。減圧度としては溶媒の種類により適宜選択することができる。溶媒が水の場合86kPa以下が好ましい。
3.液膜
蒸発面積を拡大することにより溶媒の除去を効率的に行うことができる。本発明のように、一定容積の反応容器を用いて加熱、攪拌し、反応を行わせる場合、加熱方法しては、加熱手段を液体中に浸漬するか、容器の外側に加熱手段を装着する方法が一般的である。該方法によると、伝熱面積は液体と加熱手段が接触する部分に限定され、溶媒除去に伴い、伝熱面積が減少し、よって、溶媒除去に要する時間が長くなる。これを防ぐため、ポンプ、あるいは攪拌機を用いて反応容器の壁面に散布し、伝熱面積を増大させる方法が有効である。このように反応容器壁面に液体を散布し、液膜を形成する方法は”濡れ壁”として知られている。濡れ壁の形成方法としては、ポンプを用いる方法のほか、特開平6−335627号、同11−235522号に記載の攪拌機を用いる方法が挙げられる。
【0029】
これらの方法は単独のみならず、組み合わせて用いてもかまわない。液膜を形成する方法と容器内を減圧にする方法の組み合わせ、液膜を形成する方法と乾燥気体を通気する方法の組み合わせなどが有効である。特に前者が好ましく、特開平6−335627号、特願2002−35202に記載の方法が好ましく用いられる。
【0030】
次に、上記の蛍光体前駆体結晶を、濾過、遠心分離などによって溶液から分離し、メタノールなどによって充分に洗浄し、乾燥する。この乾燥蛍光体前駆体結晶に、アルミナ微粉末、シリカ微粉末などの焼結防止剤を添加、混合し、結晶表面に焼結防止剤微粉末を均一に付着させる。なお、焼成条件を選ぶことによって焼結防止剤の添加を省略することも可能である。
【0031】
次に、蛍光体前駆体の結晶を、石英ポート、アルミナ坩堝、石英坩堝などの耐熱性容器に充填し、電気炉の炉心に入れて焼結を避けながら焼成を行う。焼成温度は400〜1,300℃の範囲が適当であり、500〜1,000℃の範囲が好ましい。焼成時間は、蛍光体原料混合物の充填量、焼成温度及び炉からの取出し温度などによっても異なるが、一般には0.5〜12時間が適当である。
【0032】
焼成雰囲気としては、窒素ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気等の中性雰囲気、あるいは少量の水素ガスを含有する窒素ガス雰囲気、一酸化炭素を含有する二酸化炭素雰囲気などの弱還元性雰囲気、あるいは微量酸素導入雰囲気が利用される。焼成方法については、特開2000−8034号に記載の方法が好ましく用いられる。上記の焼成によって目的の酸素導入希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体が得られ、これを用いて形成された蛍光体層を有する放射線像変換パネルが作製される。
【0033】
本発明の放射線像変換パネルに用いられる支持体としては各種高分子材料が用いられる。特に情報記録材料としての取り扱い上可撓性のあるシートあるいはウェブに加工できるものが好適であり、この点からいえばセルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルムが好ましい。
【0034】
また、これら支持体の層厚は用いる支持体の材質等によって異なるが、一般的には80μm〜1000μmであり、取り扱い上の点から、さらに好ましくは80μm〜500μmである。これらの支持体の表面は滑面であってもよいし、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的でマット面としてもよい。
【0035】
さらに、これら支持体は、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的で輝尽性蛍光体層が設けられる面に下引層を設けてもよい。
【0036】
本発明に係る下引き層では、架橋剤により架橋できる高分子樹脂と架橋剤とを含有していることが好ましい。
【0037】
下引き層で用いることのできる高分子樹脂としては、特に制限はないが、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。なかでもポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポリビニールブチラール、ニトロセルロース等を挙げることができ、請求項2に係る発明では、下引き層で用いる高分子樹脂の平均ガラス転移点温度(Tg)が25℃以上であることが特徴の1つであり、好ましくは25〜200℃のTgを有する高分子樹脂を用いることである。
【0038】
本発明に係る下引き層で用いることのできる架橋剤としては、特に制限はなく、例えば、多官能イソシアネート及びその誘導体、メラミン及びその誘導体、アミノ樹脂及びその誘導体等を挙げることができるが、架橋剤として多官能イソシアネート化合物を用いることが好ましく、例えば、日本ポリウレタン社製のコロネートHX、コロネート3041等が挙げられる。
【0039】
本発明に係る下引き層は、例えば、以下に示す方法により支持体上に形成することができる。
【0040】
まず、上記記載の高分子樹脂と架橋剤を適当な溶剤、例えば後述の輝尽性蛍光層塗布液の調製で用いる溶剤に添加し、これを充分に混合して下引き層塗布液を調製する。
【0041】
架橋剤の使用量は、目的とする放射線像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体層及び支持体に用いる材料の種類、下引き層で用いる高分子樹脂の種類等により異なるが、輝尽性蛍光体層の支持体に対する接着強度の維持を考慮すれば、高分子樹脂に対して、50質量%以下の比率で添加することが好ましく、特には、15〜50質量%であることが好ましい。
【0042】
下引き層の膜厚は、目的とする放射線像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体層及び支持体に用いる材料の種類、下引き層で用いる高分子樹脂及び架橋剤の種類等により異なるが、一般には3〜50μmであることが好ましく、特には、5〜40μmであることが好ましい。
【0043】
本発明において、蛍光体層に用いられる結合剤の例としては、ゼラチン等の蛋白質、デキストラン等のポリサッカライド、またはアラビアゴムのような天然高分子物質;および、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニリデン・塩化ビニルコポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコール、線状ポリエステルなどのような合成高分子物質などにより代表される結合剤を挙げることができるが、結合剤が熱可塑性エラストマーを主成分とする樹脂であることが好ましく、熱可塑性エラストマーとしては、例えば、上記にも記載のポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジェン系熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、天然ゴム系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、ポリイソプレン系熱可塑性エラストマー、塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー、スチレン−ブタジエンゴム及びシリコンゴム系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらのうち、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー及びポリエステル系熱可塑性エラストマーは、蛍光体との結合力が強いため分散性が良好であり、また延性にも富み、放射線増感スクリーンの対屈曲性が良好となるので好ましい。なお、これらの結合剤は、架橋剤により架橋されたものでも良い。
【0044】
塗布液における結合剤と輝尽性蛍光体との混合比は、目的とする放射線像変換パネルのヘイズ率の設定値によって異なるが、蛍光体に対し1〜20質量部が好ましく、さらには2〜10質量部がより好ましい。
【0045】
塗布型の蛍光体層を有する放射線像変換パネルに設ける保護層としては、ASTMD−1003に記載の方法により測定したヘイズ率が、5%以上60%未満の励起光吸収層を備えたポリエステルフィルム、ポリメタクリレートフィルム、ニトロセルロースフィルム、セルロースアセテートフィルム等が使用できるが、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルム等の延伸加工されたフィルムが、透明性、強さの面で保護層として好ましく、更には、これらのポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルム上に金属酸化物、窒化珪素などの薄膜を蒸着した蒸着フィルムが防湿性の面からより好ましい。
【0046】
保護層で用いるフィルムのヘイズ率は、使用する樹脂フィルムのヘイズ率を選択することで容易に調整でき、また任意のヘイズ率を有する樹脂フィルムは工業的に容易に入手することができる。放射線像変換パネルの保護フィルムとしては、光学的に透明度の非常に高いものが想定されている。そのような透明度の高い保護フィルム材料として、ヘイズ値が2〜3%の範囲にある各種のプラスチックフィルムが市販されている。本発明の効果を得るために好ましいヘイズ率としては5%以上60%未満であり、さらに好ましくは10%以上50%未満である。ヘイズ率が5%未満では、画像ムラや線状ノイズを解消する効果が低く、また60%以上では鮮鋭性の向上効果が損なわれ、好ましくない。
【0047】
本発明に係る保護層で用いるフィルムは、必要とされる防湿性にあわせて、樹脂フィルムや樹脂フィルムに金属酸化物などを蒸着した蒸着フィルムを複数枚積層することで最適な防湿性とすることができ、輝尽性蛍光体の吸湿劣化防止を考慮して、透湿度は少なくとも5.0g/m2・day以下であることが好ましい。樹脂フィルムの積層方法としては、特に制限はなく、公知のいずれの方法を用いても良い。
【0048】
また、積層された樹脂フィルム間に励起光吸収層を設けることによって、励起光吸収層が物理的な衝撃や化学的な変質から保護され安定したプレート性能が長期間維持でき好ましい。また、励起光吸収層は複数箇所設けてもよいし、積層する為の接着剤層に色材を含有して、励起光吸収層としても良い。
【0049】
保護フィルムは、輝尽性蛍光体層に接着層を介して密着していても良いが、蛍光体面を被覆するように設けられた構造(以下、封止または封止構造ともいう)であることがより好ましい。蛍光体プレートを封止するにあたっては、公知のいずれの方法でもよいが、防湿性保護フィルムの蛍光体シートに接する側の最外層樹脂層を熱融着性を有する樹脂フィルムとすることは、防湿性保護フィルムが融着可能となり蛍光体シートの封止作業が効率化される点で、好ましい形態の1つである。さらには、蛍光体シートの上下に防湿性保護フィルムを配置し、その周縁が前記蛍光体シートの周縁より外側にある領域で、上下の防湿性保護フィルムをインパルスシーラー等で加熱、融着して封止構造とすることで、蛍光体シートの外周部からの水分進入も阻止でき好ましい。また、さらには、支持体面側の防湿性保護フィルムが1層以上のアルミフィルムをラミネートしてなる積層防湿フィルムとすることで、より確実に水分の進入を低減でき、またこの封止方法は作業的にも容易であり好ましい。上記インパルスシーラーで加熱融着する方法においては、減圧環境下で加熱融着することが、蛍光体シートの防湿性保護フィルム内での位置ずれ防止や大気中の湿気を排除する意味でより好ましい。
【0050】
防湿性保護フィルムの蛍光体面が接する側の熱融着性を有する最外層の樹脂層と蛍光体面は、接着していても接着していなくてもかまわない。ここでいう接着していない状態とは、微視的には蛍光体面と防湿性保護フィルムとが点接触していても、光学的、力学的には殆ど蛍光体面と防湿性保護フィルムは不連続体として扱える状態のことである。また、上記の熱融着性を有する樹脂フィルムとは、一般に使用されるインパルスシーラーで融着可能な樹脂フィルムのことで、例えば、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)やポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム等を挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0051】
輝尽性蛍光体層塗布液の調製に用いられる有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等の低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等の低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル、トリオール、キシロールなどの芳香族化合物、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどのハロゲン化炭化水素およびそれらの混合物などが挙げられる。
【0052】
塗布液には、該塗布液中における蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、また、形成後の輝尽性蛍光体層中における結合剤と蛍光体との間の結合力を向上させるための可塑剤などの種々の添加剤が混合されていてもよい。そのような目的に用いられる分散剤の例としては、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などを挙げることができる。また、可塑剤の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ジフェニルなどの燐酸エステル;フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチル等のフタル酸エステル;グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチルなどのグリコール酸エステル;そして、トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエステル、ジエチレングリコールとコハク酸とのポリエステルなどのポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸とのポリエステルなどを挙げることができる。また、輝尽性蛍光体層塗布液中に、輝尽性蛍光体粒子の分散性を向上させる目的で、ステアリン酸、フタル酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などの分散剤を混合してもよい。
【0053】
輝尽性蛍光体層用塗布液の調製は、例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、アトライター、三本ロールミル、高速インペラー分散機、Kadyミル、あるいは超音波分散機などの分散装置を用いて行なわれる。
【0054】
上記のようにして調製された塗布液を、後述する支持体表面に均一に塗布することにより塗膜を形成する。用いることのできる塗布方法としては、通常の塗布手段、例えば、ドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーター、コンマコーター、リップコーターなどを用いることができる。
【0055】
上記の手段により形成された塗膜を、その後加熱、乾燥されて、支持体上への輝尽性蛍光体層の形成を完了する。輝尽性蛍光体層の膜厚は、目的とする放射線像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体の種類、結合剤と蛍光体との混合比などによって異なるが、通常は10〜1000μmであり、より好ましくは10〜500μmである。
【0056】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を例証する。
【0057】
実施例1
ユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、2つの孔をもつ耐圧容器にBaI2水溶液(4mol/L)2500mlとEuI3水溶液(0.2mol/L)26.5mlを反応器に入れた。更に、水溶液中にヨウ化カリウム992gを添加した。この反応器中の反応母液を撹拌しながら83℃で保温した。乾燥空気を10l/minの割合で通気しながら弗化アンモニウム水溶液(10mol/L)600mlを反応母液中にローラーポンプを用いて注入し、沈澱物を生成させた。反応終了後通気前後の溶液の質量比は0.94であった。そのままの温度で90分間攪拌した。90分攪拌した後ろ過しエタノール2000mlで洗浄した後、80℃で乾燥した。回収した前駆体の質量を計測し、投入したBaI2量と比較することにより収率を求めた。上記の操作によって得た沈殿物についてX線回折測定により結晶構造の同定を行った。X線はCu−Kα線を用いた。また、得られた沈殿物の平均粒径を測定した。
【0058】
実施例2
弗化アンモニウムの添加時に、循環アスピレーターを用いて反応容器内の圧力を74.5kPaとし、溶媒の減圧濃縮を行った。濃縮前後の反応溶液の質量比は0.92であった。これ以外は実施例1と同様の操作を行い、沈殿物を得た。実施例1と同様に収率を計算し、沈殿物のX線回折、平均粒径測定を行った。
【0059】
比較例1
ユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、BaI2水溶液(4mol/L)2500mlとEuI3水溶液(0.2mol/L)26.5mlを反応器に入れた。更に、水溶液中に ヨウ化カリウム332gを添加した。この反応器中の反応母液を撹拌しながら83℃で保温した。弗化アンモニウム水溶液(10mol/L)250mlを反応母液中にローラーポンプを用いて注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後そのままの温度で90分間攪拌した。90分攪拌した後ろ過しエタノール2000mlで洗浄した後、80℃で乾燥した。回収した前駆体の質量を計測し、投入したBaI2量と比較することにより収率を求めた。上記の操作によって得た沈殿物についてX線回折測定を行った。また、得られた沈殿物の平均粒径を測定した。
【0060】
比較例2
反応母液に注入する弗化アンモニウム水溶液の量を600mlとすること以外は比較例1と同様にして沈殿物を得た。実施例1と同様に収率を計算し、沈殿物のX線回折、平均粒径測定を行った。X線回折測定の結果、不純物であるBaF2が検出された。
【0061】
比較例3
反応母液の濃度を4mol/Lから3.2mol/Lに変えたこと以外は実施例2と同様にして沈殿物を得た。尚、溶媒の除去後の質量が除去前の質量(反応母液の質量と添加した水溶液の質量の和)の質量比は0.95であった。実施例1と同様に収率を計算し、沈殿物のX線回折、平均粒径測定を行った。
【0062】
比較例4
反応母液に注入する弗化アンモニウム水溶液の量を600mlに変えたこと以外は実施例2と同様にして沈殿物を得た。尚、溶媒の除去後の質量が除去前の質量(反応母液の質量と添加した水溶液の質量の和)の質量比は0.98であった。これ以外は比較例1と同様にして沈殿物を得た。実施例1と同様に収率を計算し、沈殿物のX線回折、平均粒径測定を行った。
【0063】
〈焼成〉
上記で得られた各沈殿物(前駆体結晶)を用い、下記のようにして焼成を行った。各前駆体に対し、燒結により粒子形状の変化、粒子間融着による粒子サイズ分布の変化を防止するために、アルミナの超微粒子粉体を1質量%添加し、ミキサーで充分撹拌して、結晶表面にアルミナの超微粒子粉体を均一に付着させた。これを石英ボートに充填して、チューブ炉を用いて水素ガス雰囲気中、850℃で2時間焼成してユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウム蛍光体粒子を得た。尚、各輝尽性蛍光体の平均粒径は走査型電子顕微鏡写真より計測した。
【0064】
《放射線像変換パネルの作製》
〔下引層の形成〕
以下に記載の下引層塗布液を、ドクターブレードを用いて、厚さ188μmの発泡ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製 188E60L)に塗布し、100℃で5分間乾燥させて、乾燥膜厚30μmの下引層を塗設した。
【0065】
(下引層塗布液)
ポリエステル樹脂溶解品(東洋紡社製 バイロン55SS、固形分35%)288.2gに、β−銅フタロシアニン分散品0.34g(固形分35%、顔料分30%)及び硬化剤としてポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製 コロネートHX)11.22gを混ぜ、プロペラミキサーで分散して下引層塗布液を調製した。
【0066】
〔蛍光体層の形成〕
(蛍光体層塗布液の調製)
上記調製した各輝尽性蛍光体粒子300gと、ポリエステル樹脂(東洋紡社製バイロン530、固形分30%、溶剤:メチルエチルケトン/トルエン=5/5)52.63gとを、メチルエチルケトン0.13g、トルエン0.13g及びシクロヘキサノン41.84gの混合溶剤に添加、プロペラミキサーによって分散して蛍光体層塗布液を調製した。なお、蛍光体層塗布液中におけるシクロヘキサンの溶剤比率は、53質量%である。
【0067】
(蛍光体層の形成、蛍光体シートの作製)
上記調製した蛍光体層塗布液を、ドクターブレードを用いて、上記形成した下引層上に、膜厚が180μmとなるように塗布したのち、100℃で15分間乾燥させて蛍光体層を形成して、蛍光体シートを作製した。
【0068】
〔防湿性保護フィルムの作製〕
上記作製した蛍光体シートの蛍光体層塗設面側の保護フィルムとして下記構成(A)のものを使用した。
【0069】
構成(A)
NY15///VMPET12///VMPET12///PET12///CPP20
NY:ナイロン
PET:ポリエチレンテレフタレート
CPP:キャステングポリプロピレン
VMPET:アルミナ蒸着PET(市販品:東洋メタライジング社製)
各樹脂フィルムの後ろに記載の数字は、樹脂層の膜厚(μm)を示す。
【0070】
上記「///」は、ドライラミネーション接着層で、該接着層の厚みが3.0μmであることを意味する。使用したドライラミネーション用の接着剤は、2液反応型のウレタン系接着剤を用いた。
【0071】
また、蛍光体シートの支持体裏面側の保護フィルムは、CPP30μm//アルミフィルム9μm//ポリエチレンテレフタレート188μmの構成のドライラミネートフィルムとした。また、この場合の「//」は接着剤層の厚みは1.5μmで2液反応型のウレタン系接着剤を使用した。
【0072】
〔放射線像変換パネルの作製〕
前記作製した各蛍光体シートを、各々一辺が20cmの正方形に断裁した後、上記作製した防湿性保護フィルムを用いて、減圧下で周縁部をインパルスシーラーを用いて融着、封止して、各放射線像変換パネルを作製した。尚、融着部から蛍光体シート周縁部までの距離は1mmとなるように融着した。融着に使用したインパルスシーラーのヒーターは3mm幅のものを使用した。
【0073】
〈放射線像変換パネルの評価〉
(輝度評価)
各放射線像変換パネル6について、管電圧80kVpのX線を照射した後、パネルをHe−Neレーザー光(633nm)で操作して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を受光器(分光感度S−5の光電子像倍管)で受光して、その強度を測定して、これを輝度と定義し、比較例1の放射線像変換パネルの輝度を100とした、相対値で表示した。
【0074】
(鮮鋭性の評価)
鮮鋭性については、各放射線像変換パネルに鉛製のMTFチャートを通して管電圧80kVpのX線を蛍光体シート支持体の裏面側から照射した後、パネルをHe−Neレーザー光で操作して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を、上記と同じ受光器で受光して電気信号に変換し、これをアナログ/デジタル変換して磁気テープに記録し、磁気テープをコンピューターで分析して磁気テープに記録されているX線像の1サイクル/mmにおける変調伝達関数(MTF)を調べ、これを放射線画像変換パネルの25箇所で測定を行い、その平均値(平均MTF値)を鮮鋭度と定義し、比較例1の鮮鋭度を100とした、相対値で表示した。
【0075】
【表1】
Figure 0004051972
【0076】
本発明の製造方法により得られた輝尽性蛍光体を含有する蛍光体層を有する放射線像変換パネルは、輝度が高く、鮮鋭性も良好で、優れた放射線像変換パネルであることが分かる。
【0077】
【発明の効果】
前駆体の晶析と濃縮を同時に行うことにより、輝度が高く、鮮鋭性も良好で、粒径分布の揃った酸素導入希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体を得ることができた。

Claims (2)

  1. 下記一般式(1)で表わされる酸素導入希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体の液相における製造方法であって、ハロゲン化バリウム水溶液に無機弗化物水溶液を添加して、希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体前駆体結晶の沈澱物を得る工程と、反応母液中のバリウム濃度が3.3mol/L以上の溶液から溶媒を除去する工程を同時に行い、溶媒の除去後の質量が除去前の質量(反応母液の質量と添加した水溶液の質量の和)に対して0.97以下とすることにより、輝尽性蛍光体前駆体を得ることを特徴とする酸素導入希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体の製造方法。
    一般式(1)
    Ba1-x2 xFBry1-y:aM1,bLn,cO
    〔式中、M1:Li,Na,K,Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属、
    2:Be,Mg,Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属、
    Ln:Ce,Pr,Sm,Eu,Gd,Tb,Tm,Dy,Ho,Nd,Er及びYbからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素 、
    x,y,a,b及びcは、それぞれ0≦x≦0.3,0≦y≦0.3,0≦a≦0.05,0<b≦0.2,0<c≦0.1を表す。〕
  2. 反応溶媒を除去するため反応液を加熱し、かつ他の溶媒を除去する手段を併用することを特徴とする請求項1記載の酸素導入希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体の製造方法。
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