JP2005171077A - 輝尽性蛍光体の製造方法、輝尽性蛍光体前駆体、輝尽性蛍光体及び放射線画像変換パネル - Google Patents

輝尽性蛍光体の製造方法、輝尽性蛍光体前駆体、輝尽性蛍光体及び放射線画像変換パネル Download PDF

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Abstract

【課題】感度、画質共に優れた希土類賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物輝尽性蛍光体の製造方法、該製造方法より得られる輝尽性前駆体、輝尽性蛍光体及び該輝尽性蛍光体を有する放射線画像変換パネルの提供。
【解決手段】液相による下記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体の製造方法において、ハロゲン化バリウムを溶解させた反応母液がアルカリ土類金属ハロゲン化物を含有し、且つ、反応母液中に無機フッ化物水溶液を添加して輝尽性蛍光体前駆体結晶の沈殿物を得る工程と反応母液から溶媒を除去する工程を平行して行うことにより輝尽性蛍光体前駆体を得ることを特徴とする輝尽性蛍光体の製造方法。一般式(1)Ba1-x2 xFBry1-y:aM1、bLn、cO[Mはアルカリ金属原子、Mはアルカリ土類金属原子、LnはCe、Eu等の希土類元素、0≦x≦0.3、0≦y≦0.3、0≦a≦0.05、0<b≦0.2、0<c≦0.1]
【選択図】なし

Description

本発明は酸素導入希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体の製造方法、及び該製造方法より得られる輝尽性蛍光体前駆体、輝尽性蛍光体、更には該輝尽性蛍光体を用いた放射線画像変換パネルに関する。
X線画像のような放射線画像は、病気診断用などの分野で多く用いられている。このX線画像を得る方法としては、被写体を通過したX線を蛍光体層(蛍光スクリーン)に照射し、これにより可視光を生じさせた後、この可視光を通常の写真を撮るときと同様にして、ハロゲン化銀写真感光材料(以下、単に感光材料ともいう)に照射し、次いで現像処理を施して可視銀画像を得る、いわゆる放射線写真方式が広く利用されている。
しかしながら、近年では、ハロゲン化銀塩を有する感光材料による画像形成方法に代わり、蛍光体層から直接画像を取り出す新たな方法が提案されている。
この方法としては被写体を透過した放射線を蛍光体に吸収せしめ、しかる後この蛍光体を、例えば光又は熱エネルギーで励起することにより、この蛍光体が上記吸収により蓄積している放射線エネルギーを蛍光として放射せしめ、この蛍光を検出し画像化する方法がある。
具体的には、例えば米国特許第3,859,527号及び特開昭55−12144号などに記載されているような輝尽性蛍光体を用いる放射線画像変換方法が知られている。
この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射線画像変換パネルを使用するもので、この放射線画像変換パネルの輝尽性蛍光体層に被写体を透過した放射線を当てて、被写体各部の放射線透過密度に対応する放射線エネルギーを蓄積させて、その後、輝尽性蛍光体を可視光線、赤外線などの電磁波(励起光)で時系列的に励起することにより、輝尽性蛍光体中に蓄積されている放射線エネルギーを輝尽発光として放出させ、この光の強弱による信号を、例えば光電変換して、電気信号を得て、この信号をハロゲン化銀写真感光材料などの記録材料、CRTなどの表示装置上に可視像として再生するものである。
上記の放射線画像の再生方法によれば、従来の放射線写真フィルムと増感紙との組合せによる放射線写真法と比較して、はるかに少ない被曝線量で、且つ情報量の豊富な放射線画像を得ることができるという利点を有している。
このように輝尽性蛍光体は、放射線を照射した後、励起光を照射すると輝尽発光を示す蛍光体であるが、実用的には波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって、300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体が一般的に利用される。
これらの輝尽性蛍光体を使用した放射線画像変換パネルは、放射線画像情報を蓄積した後、励起光の走査によって蓄積エネルギーを放出するので、走査後に再度放射線画像の蓄積を行うことができ、繰り返し使用が可能である。つまり従来の放射線写真法では、一回の撮影ごとに放射線写真フィルムを消費するのに対して、この放射線画像変換方法では放射線画像変換パネルを繰り返し使用するので、資源保護、経済効率の面からも有利である。
放射線画像変換パネルは、支持体とその表面に設けられた輝尽性蛍光体層、又は自己支持性の輝尽性蛍光体層のみからなり、輝尽性蛍光体層は通常輝尽性蛍光体とこれを分散支持する結合材からなるものと、蒸着法や焼結法によって形成される輝尽性蛍光体の凝集体のみから構成されるものがある。又、該凝集体の間隙に高分子物質が含浸されているものも知られている。更に、輝尽性蛍光体層の支持体側とは反対側の表面には、通常ポリマーフィルムや無機物の蒸着膜からなる保護膜が設けられる。
放射線画像変換パネルに用いられる輝尽性蛍光体としては、特開昭55−12145号、同55−160078号、同56−74175号、同56−116777号、同57−23673号、同57−23675号、同58−206678号、同59−27289号、同59−27980号、同59−56479号、同59−56480号等に記載の希土類元素賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体;特開昭59−75200号、同60−84381号、同60−106752号、同60−166379号、同60−221483号、同60−228592号、同60−228593号、同61−23679号、同61−120882号、同61−120883号、同61−120885号、同61−235486号、同61−235487号等に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体;特開昭55−12144号に記載の希土類元素賦活オキシハライド蛍光体;特開昭58−69281号に記載のセリウム賦活3価金属オキシハライド蛍光体;特開昭60−70484号に記載のビスマス賦活アルカリ金属ハロゲン化物蛍光体;特開昭60−141783号、同60−157100号に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロ燐酸塩蛍光体;特開昭60−157099号に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロほう酸塩蛍光体;特開昭60−217354号に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属水素化ハロゲン化物蛍光体;特開昭61−21173号、同61−21182号に記載のセリウム賦活希土類複合ハロゲン化物蛍光体;特開昭61−40390号に記載のセリウム賦活希土類ハロ燐酸塩蛍光体;特開昭60−78151号に記載の2価のユーロピウム賦活ハロゲン化セリウム・ルビジウム蛍光体;特開昭60−78151号に記載の2価のユーロピウム賦活複合ハロゲン化物蛍光体等が挙げられる。
中でも、沃素を含有する2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体、沃素を含有する希土類元素賦活オキシハロゲン化物蛍光体及び沃素を含有するビスマス賦活アルカリ金属ハロゲン化物蛍光体系蛍光体等の輝尽性蛍光体がよく知られているが、依然、高輝度の輝尽性蛍光体が求められている。また、輝尽性蛍光体を利用する放射線像変換方法の利用が進むにつれて、得られる放射線像の画質の向上、例えば鮮鋭度の向上や粒状性の向上が、更に求められるようになってきた。
先に記した輝尽性蛍光体の製造方法は、固相法、あるいは焼結法と呼ばれる方法であり、焼成後の粉砕が必須であり、感度、画像性能に影響する粒子形状の制御が困難であるという問題を有する。放射線画像の画質の向上の手段の中で、輝尽性蛍光体の微粒子化と微粒子化された輝尽性蛍光体の粒径を揃えること、即ち、粒径分布を狭くすることは有効である。
特開平7−233369号、同9−291278号等で開示されている液相からの輝尽性蛍光体の製造法は、蛍光体原料溶液の濃度を調整して微粒子状の輝尽性蛍光体前駆体を得る方法であり、粒径分布の揃った輝尽性蛍光体粉末の製造法として有効である。
しかし、正確な診断のためにより高画質画像を得ることができる放射線画像変換パネル、ひいてはその放射線画像変換パネルを実現するための輝尽性蛍光体への要求が高まっている。特に被爆線量を減少させつつ、有効な画像を得るために、高輝度の輝尽性蛍光体への要求が高い。また診断上画質特性の良好な輝尽性蛍光体への要求も高い。とりわけ、粒状性に大きく影響を与える蛍光体層の構造的乱れからくる、構造モトルの向上が切望されている。
上記の液相で製造されるアルカリ土類金属弗化沃化物系輝尽性蛍光体は輝度、粒状性の点で有利であるが、液相にて前駆体結晶を得る場合、以下のような問題を持っている。
液相でアルカリ土類金属弗化沃化物系輝尽性蛍光体粒子を製造する場合、特開平10−88125号、同9−291278号の記載に見られるように、
1)沃化バリウムを水あるいは有機溶媒に溶解し、この液を攪拌しながら無機弗化物の溶液を添加する。
2)弗化アンモニウムを水に溶解し、この液をを攪拌しながら沃化バリウムの溶液を添加する、方法が有効である。
しかし、1)の方法では、溶液中に過剰の沃化バリウムを存在させておく必要があり、そのため投入した沃化バリウムと固液分離後に得られる弗化沃化バリウムの化学量論比は、0.4前後と小さい値であることが多い。つまり投入した沃化バリウムに対し、アルカリ土類金属弗化沃化物系輝尽性蛍光体の収率は40%程度であることが多い。また、2)の方法でも、無機弗化物に対して過剰の沃化バリウムを必要とし、収率が低い。このように弗化沃化バリウムの液相合成は、収率が低く生産性が悪いという問題点を有している。収率を上げるために母液中の沃化バリウム濃度を下げると、粒子の肥大化を招き、これは画質特性上好ましくない。
希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体、特にアルカリ土類金属弗化沃化物系輝尽性蛍光体の収率を上げる試みとしては、反応母液の濃度とフッ素源を添加した後、濃縮することにより基本組成式BaFI:xLn(Ln:Ce、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、TmおよびYbから選ばれる少なくとも1種の希土類元素、xは0<x≦0.1)を満たす希土類含有角状弗化沃化バリウム結晶を得る方法が開示されている。(例えば、特許文献1を参照)
特開平11−29324号公報
しかし、本発明者らが、上記特許文献1の追試を行った結果、記載どおりBaFI角状結晶は生成したものの、自然蒸発による濃縮を用いているため著しく生産性が低く、工業的には現実的ではないことが分かった。また、得られる角状結晶も粒径が大きく、且つ粒径分布が広いため、画像特性が悪く、実用に供することができないことが分かった。
従って、本発明の目的は、高輝度な希土類賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物輝尽性蛍光体を安定生産することができ、感度、画質共に優れた希土類賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物輝尽性蛍光体の製造方法、該製造方法より得られる輝尽性前駆体、輝尽性蛍光体及び該輝尽性蛍光体を有する放射線画像変換パネルを提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.液相による下記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体の製造方法において、ハロゲン化バリウムを溶解させた反応母液がアルカリ土類金属ハロゲン化物を含有し、且つ、反応母液中に無機フッ化物水溶液を添加して輝尽性蛍光体前駆体結晶の沈殿物を得る工程と反応母液から溶媒を除去する工程を平行して行うことにより輝尽性蛍光体前駆体を得ることを特徴とする輝尽性蛍光体の製造方法。
一般式(1)
Ba1-x2 xFBry1-y:aM1、bLn、cO
〔式中、M1はLi、Na、K、RbおよびCsから選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属原子であり、M2はBe、Mg、SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属原子であり、LnはCe、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Tm、Dy、Ho、Nd、ErおよびYbから選ばれる少なくとも1種の希土類元素であり、x、y、a、bおよびcは、それぞれ0≦x≦0.3、0≦y≦0.3、0≦a≦0.05、0<b≦0.2、0<c≦0.1の数値を表す。〕
2.反応母液のバリウムの濃度が3.3mol/L以上であることを特徴とする前記1に記載の輝尽性蛍光体の製造方法。
3.母液におけるアルカリ土類金属ハロゲン化物濃度0.001mol/L〜1mol/Lであることを特徴とする前記1又は2に記載の輝尽性蛍光体の製造方法。
4.溶媒の除去後の質量が除去前の質量に対して0.97以下であることを特徴とする前記1〜3の何れか1項に記載の輝尽性蛍光体の製造方法。
5.反応溶媒を除去するために反応母液を加熱し、且つ、他の溶媒を除去する手段を併用することを特徴とする前記1〜4の何れか1項に記載の輝尽性蛍光体の製造方法。
6.前記1〜5の何れか1項に記載の輝尽性蛍光体の製造方法により得られることを特徴とする輝尽性蛍光体前駆体。
7.前記6に記載の輝尽性蛍光体前駆体を焼成することにより得られることを特徴とする輝尽性蛍光体。
8.前記7に記載の輝尽性蛍光体を有することを特徴とする放射線画像変換パネル。
即ち、本発明者らは、種々検討の結果、特に、アルカリ金属存在下で濃縮しながら晶析を行い、輝尽性蛍光体前駆体を作製することにより、生産性が良く、輝度、画質が更に向上した輝尽性蛍光体を得ることができる製造方法を見いだした。
本発明による希土類賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物輝尽性蛍光体の製造方法、該製造方法より得られる輝尽性前駆体、輝尽性蛍光体及び該輝尽性蛍光体を有する放射線画像変換パネルは生産性が良く、輝度、画質共に優れた効果を有する。
本発明の酸素導入希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体の製造方法の代表的な態様を、以下に詳しく説明する。
本発明における輝尽性蛍光体は、前記一般式(1)で示される組成を有しているが、この他、微量のアルミニウム、ケイ素を含むことも可能である。
本発明における輝尽性蛍光体は、特公平6−29406号、同6−29412号に記載された粉末原料を混合し、加熱するいわゆる固相法を用いることも可能であるが、液相法を用いることが蛍光体の粒径制御の点からみて好ましい。
液相法による蛍光体前駆体製造については、特開平10−140148号に記載された前駆体製造方法、特開平10−147778号に記載された前駆体製造装置が好ましく利用できる。ここで蛍光体前駆体とは、一般式(1)の物質が600℃以上の高温を経ていない状態を示し、輝尽発光性や瞬時発光性をほとんど示さない。
以下、液相法による輝尽性蛍光体前駆体の製造方法について説明する。
最初に、水系溶媒中を用いて弗素化合物以外の原料化合物を溶解させる。即ち、BaI2とLnのハロゲン化物、そして必要により更にM2のハロゲン化物、そして更にM1のハロゲン化物を水系溶媒中に入れ充分に混合し、溶解させて、水溶液を調製する。但し、BaI2濃度が3.3mol/L以上となるように、BaI2濃度と水系溶媒との量比を調整しておく。このとき、所望により、少量の酸、アンモニア、アルコール、水溶性高分子ポリマー、水不溶性金属酸化物微粒子粉体などを添加してもよい。なお、BaI2濃度は3.3mol/L以上、5.0mol/L以下が好ましい。この水溶液(反応母液)は50℃に維持される。
次に、この50℃に維持され、撹拌されている水溶液に、無機弗化物(弗化アンモニウム、アルカリ金属の弗化物など)の水溶液をポンプ付きのパイプなどを用いて注入する。この注入は、撹拌が特に激しく実施されている領域部分に行なうのが好ましい。この無機弗化物水溶液の反応母液への注入によって、前記一般式(1)に該当する蛍光体前駆体結晶が沈澱する。
次に反応液から溶媒を除去する。溶媒を除去する時期は特に問わない。無機弗化物溶液の添加開始から、固液分離するまでの間であればいつでもよい。最も好ましいのは、無機弗化物溶液を添加し終えた直後から除去をはじめる態様である。溶媒の除去量は除去前と除去後の質量比で3%以上が好ましい。3%未満では、結晶が望ましい組成になりきらない場合がある。そのため除去量は3%以上が好ましく、5%以上がより好ましい。また、除去しすぎても反応溶液の粘度が過剰に上昇するなど、ハンドリングの面で不都合が生じる場合がある。そのため溶媒の除去量は、除去前と除去後の質量比で50%以下が好ましい。
溶媒の除去に要する時間は、生産性に大きく影響するばかりでなく、粒子の形状、粒径分布も溶媒の除去方法に影響されるので、除去方法は適切に選択する必要がある。一般的に溶媒の除去に際しては、溶液を過熱し、溶媒を蒸発する方法が選択される。本発明においてもこの方法は有用である。溶媒の除去により、意図した組成の前駆体を得ることができる。更に、生産性を上げるため、また粒子形状を適切に保つため、他の溶媒除去方法を併用することが好ましい。併用する溶媒の除去方法は特に問わない。逆浸透膜などの分離膜を用いる方法を選択することも可能である。本発明では生産性の面から、以下の除去方法を選択することが好ましい。
1.乾燥気体の通気
反応容器を密閉型とし、少なくとも2箇所以上の気体が通過できる孔を設け、そこから乾燥気体を通気する。気体の種類は任意に選ぶことができる。安全性の面から、空気、窒素が好ましい。通気する気体の飽和水蒸気量に依存し、溶媒が気体に同伴され、除去される。反応容器の空隙部分に通気する方法の他、液相中に気体を気泡として噴出させ、気泡中に溶媒を吸収させる方法もまた有効である。
2.減圧
よく知られるように減圧にすることにより、溶媒の蒸気圧は低下する。蒸気圧降下により効率的に溶媒を除去することができる。減圧度としては溶媒の種類により適宜選択することができる。溶媒が水の場合8.65×104Pa以下が好ましい。
3.液膜
蒸発面積を拡大することにより、溶媒の除去を効率的に行うことができる。本発明のように、一定容積の反応容器を用いて加熱、攪拌し、反応を行わせる場合、加熱方法としては、加熱手段を液体中に浸漬するか、容器の外側に加熱手段を装着する方法が一般的である。該方法によると、伝熱面積は液体と加熱手段が接触する部分に限定され、溶媒除去に伴い、伝熱面積が減少し、よって溶媒除去に要する時間が長くなる。これを防ぐため、ポンプ、あるいは攪拌機を用いて反応容器の壁面に散布し、伝熱面積を増大させる方法が有効である。このように反応容器壁面に液体を散布し、液膜を形成する方法は”濡れ壁”として知られている。濡れ壁の形成方法としては、ポンプを用いる方法のほか、特開平6−335627号、同11−235522号に記載の攪拌機を用いる方法が挙げられる。
これらの方法は単独のみならず、組み合わせて用いてもかまわない。液膜を形成する方法と容器内を減圧にする方法の組み合わせ、液膜を形成する方法と乾燥気体を通気する方法の組み合わせなどが有効である。特に前者が好ましく、特開平6−335627号に記載の方法が好ましく用いられる。
次に、上記の蛍光体前駆体結晶を、濾過、遠心分離などによって溶液から分離し、メタノールなどによって充分に洗浄し、乾燥する。この乾燥蛍光体前駆体結晶に、アルミナ微粉末、シリカ微粉末などの焼結防止剤を添加、混合し、結晶表面に焼結防止剤微粉末を均一に付着させる。なお、焼成条件を選ぶことによって、焼結防止剤の添加を省略することも可能である。
次に、蛍光体前駆体の結晶を、石英ボート、アルミナルツボ、石英ルツボなどの耐熱性容器に充填し、電気炉の炉心に入れて焼結を避けながら焼成を行なう。焼成温度は400〜1300℃の範囲が適当であって、500〜1000℃の範囲が好ましい。焼成時間は蛍光体原料混合物の充填量、焼成温度および炉からの取出し温度などによっても異なるが、一般には0.5〜12時間が適当である。
焼成雰囲気としては、窒素ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気等の中性雰囲気、あるいは少量の水素ガスを含有する窒素ガス雰囲気、一酸化炭素を含有する二酸化炭素雰囲気などの弱還元性雰囲気が利用される。本発明においては弱還元性雰囲気下での焼成が好ましい。
また、焼成時、焼成炉内を微量酸素導入雰囲気とすることで、輝尽性蛍光体中の酸素量を制御することが可能である。特開2000−8034号に記載のある方法により焼成を行うことも可能である。
尚、本発明に係る蛍光体粒子(結晶)は平均粒径が1〜10μmで、且つ単分散性のものが好ましく、平均粒径が1〜5μm、平均粒径の分布(%)が20%以下のものが好ましく、特に平均粒径が1〜3μm、平均粒径の分布が15%以下のものが好ましい。平均粒径とは、粒子(結晶)の電子顕微鏡写真より無作為に粒子200個を選び、球換算の体積粒子径で平均を求めたものである。
本発明の放射線画像変換パネルに用いられる支持体としては、各種高分子材料が用いられる。特に情報記録材料としての取り扱い上、可撓性のあるシートあるいはウェブに加工できるものが好適であり、この点から言えばセルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルムが好ましい。
また、これら支持体の層厚は、用いる支持体の材質等によって異なるが、一般的には80〜1000μmであり、取り扱い上の点から、更に好ましくは80〜500μmである。これらの支持体の表面は滑面であってもよいし、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的でマット面としてもよい。
更に、これら支持体は、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的で、輝尽性蛍光体層が設けられる面に下引層を設けてもよい。下引層では、架橋剤により架橋できる高分子樹脂を含有していることが好ましい。
下引層で用いることのできる高分子樹脂としては、特に制限はないが、例えばポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。中でもポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポリビニールブチラール、ニトロセルロース等を挙げることができ、下引層で用いる高分子樹脂の平均ガラス転移点温度(Tg)は、好ましくは25〜200℃である。
下引層で用いることのできる架橋剤としては、特に制限はなく、例えば多官能イソシアネート及びその誘導体、メラミン及びその誘導体、アミノ樹脂及びその誘導体等を挙げることができるが、架橋剤として多官能イソシアネート化合物を用いることが好ましく、例えば日本ポリウレタン社製のコロネートHX、コロネート3041等が挙げられる。
下引層は、例えば以下に示す方法により支持体上に形成することができる。
まず、上記記載の高分子樹脂と架橋剤を適当な溶剤、例えば後述の輝尽性蛍光層塗布液の調製で用いる溶剤に添加し、これを充分に混合して下引層塗布液を調製する。
架橋剤の使用量は、目的とする放射線画像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体層及び支持体に用いる材料の種類、下引層で用いる高分子樹脂の種類等により異なるが、輝尽性蛍光体層の支持体に対する接着強度の維持を考慮すれば、高分子樹脂に対して、50質量%以下の比率で添加することが好ましく、特には15〜50質量%であることが好ましい。
下引層の膜厚は、目的とする放射線画像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体層及び支持体に用いる材料の種類、下引層で用いる高分子樹脂及び架橋剤の種類等により異なるが、一般には3〜50μmであることが好ましく、特には5〜40μmであることが好ましい。
本発明において、輝尽性蛍光体層に用いられる結合剤の例としては、ゼラチン等の蛋白質、デキストラン等のポリサッカライド、またはアラビアゴムのような天然高分子物質、およびポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニリデン・塩化ビニルコポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコール、線状ポリエステルなどのような合成高分子物質などにより代表される結合剤を挙げることができるが、結合剤が熱可塑性エラストマーを主成分とする樹脂であることが好ましく、熱可塑性エラストマーとしては、例えば上記にも記載のポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジェン系熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、天然ゴム系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、ポリイソプレン系熱可塑性エラストマー、塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー、スチレン−ブタジエンゴム及びシリコンゴム系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
これらのうち、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー及びポリエステル系熱可塑性エラストマーは、蛍光体との結合力が強いため分散性が良好であり、また延性にも富み、放射線増感スクリーンの対屈曲性が良好となるので好ましい。なお、これらの結合剤は、架橋剤により架橋されたものでもよい。
塗布液における結合剤と輝尽性蛍光体との混合比は、目的とする放射線画像変換パネルのヘイズ率の設定値によって異なるが、蛍光体に対し1〜20質量部が好ましく、更には2〜10質量部がより好ましい。
塗布型の蛍光体層を有する放射線画像変換パネルに設ける保護層としては、ASTMD−1003に記載の方法により測定したヘイズ率が、5%以上、60%未満の励起光吸収層を備えたポリエステルフィルム、ポリメタクリレートフィルム、ニトロセルロースフィルム、セルロースアセテートフィルム等が使用できるが、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルム等の延伸加工されたフィルムが、透明性、強さの面で保護層として好ましく、更には、これらのポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルム上に、金属酸化物、窒化珪素などの薄膜を蒸着した蒸着フィルムが防湿性の面からより好ましい。
保護層で用いるフィルムのヘイズ率は、使用する樹脂フィルムのヘイズ率を選択することで容易に調整でき、また任意のヘイズ率を有する樹脂フィルムは、工業的に容易に入手することができる。放射線画像変換パネルの保護フィルムとしては、光学的に透明度の非常に高いものが想定されている。そのような透明度の高い保護フィルム材料として、ヘイズ率が2〜3%の範囲にある各種のプラスチックフィルムが市販されている。好ましいヘイズ率としては、5%以上、60%未満であり、更に好ましくは10%以上、50%未満である。ヘイズ率が5%未満では、画像ムラや線状ノイズを解消する効果が低く、また60%以上では鮮鋭性の向上効果が損なわれ、好ましくない。
保護層で用いるフィルムは、必要とされる防湿性にあわせて、樹脂フィルムや樹脂フィルムに金属酸化物などを蒸着した蒸着フィルムを複数枚積層することで最適な防湿性とすることができ、輝尽性蛍光体の吸湿劣化防止を考慮して、透湿度は少なくとも5.0g/m2・day以下であることが好ましい。樹脂フィルムの積層方法としては、特に制限はなく、公知のいずれの方法を用いてもよい。
また、積層された樹脂フィルム間に励起光吸収層を設けることによって、励起光吸収層が物理的な衝撃や化学的な変質から保護され、安定したプレート性能が長期間維持でき好ましい。また、励起光吸収層は複数箇所設けてもよいし、積層する為の接着剤層に色材を含有して、励起光吸収層としてもよい。
保護フィルムは、輝尽性蛍光体層に接着層を介して密着していてもよいが、蛍光体面を被覆するように設けられた構造(以下、封止または封止構造ともいう)であることがより好ましい。
蛍光体プレートを封止するにあたっては、公知のいずれの方法でもよいが、防湿性保護フィルムの蛍光体シートに接する側の最外層樹脂層を、熱融着性を有する樹脂フィルムとすることは、防湿性保護フィルムが融着可能となり、蛍光体シートの封止作業が効率化される点で好ましい形態の1つである。更には、蛍光体シートの上下に防湿性保護フィルムを配置し、その周縁が前記蛍光体シートの周縁より外側にある領域で、上下の防湿性保護フィルムをインパルスシーラー等で加熱、融着して封止構造とすることで、蛍光体シートの外周部からの水分進入も阻止でき好ましい。
また、更には、支持体面側の防湿性保護フィルムが1層以上のアルミフィルムを、ラミネートしてなる積層防湿フィルムとすることで、より確実に水分の進入を低減でき、またこの封止方法は作業的にも容易であり好ましい。上記インパルスシーラーで加熱融着する方法においては、減圧環境下で加熱融着することが、蛍光体シートの防湿性保護フィルム内での位置ずれ防止や大気中の湿気を排除する意味でより好ましい。
防湿性保護フィルムの蛍光体面が接する側の熱融着性を有する最外層の樹脂層と蛍光体面は、接着していても接着していなくてもかまわない。ここでいう接着していない状態とは、微視的には蛍光体面と防湿性保護フィルムとが点接触していても、光学的、力学的には殆ど蛍光体面と防湿性保護フィルムは不連続体として扱える状態のことである。また、上記の熱融着性を有する樹脂フィルムとは、一般に使用されるインパルスシーラーで融着可能な樹脂フィルムのことで、例えばエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)やポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム等を挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
輝尽性蛍光体層塗布液の調製に用いられる有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等の低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等の低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル、トリオール、キシロールなどの芳香族化合物、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどのハロゲン化炭化水素およびそれらの混合物などが挙げられる。
塗布液には、該塗布液中における蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、また、形成後の輝尽性蛍光体層中における結合剤と蛍光体との間の結合力を向上させるための可塑剤などの種々の添加剤が混合されていてもよい。
そのような目的に用いられる分散剤の例としては、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などを挙げることができる。
また、可塑剤の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ジフェニルなどの燐酸エステル;フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチル等のフタル酸エステル;グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチルなどのグリコール酸エステル;そして、トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエステル、ジエチレングリコールとコハク酸とのポリエステルなどのポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸とのポリエステルなどを挙げることができる。
また、輝尽性蛍光体層塗布液中に、輝尽性蛍光体粒子の分散性を向上させる目的で、ステアリン酸、フタル酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などの分散剤を混合してもよい。
輝尽性蛍光体層用塗布液の調製は、例えばボールミル、ビーズミル、サンドミル、アトライター、三本ロールミル、高速インペラー分散機、Kadyミル、あるいは超音波分散機などの分散装置を用いて行なわれる。
上記のようにして調製された塗布液を、後述する支持体表面に均一に塗布することにより塗膜を形成する。用いることのできる塗布方法としては、通常の塗布手段、例えばドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーター、コンマコーター、リップコーターなどを用いることができる。
上記の手段により形成された塗膜を、その後加熱、乾燥させて、支持体上への輝尽性蛍光体層の形成を完了する。輝尽性蛍光体層の膜厚は、目的とする放射線画像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体の種類、結合剤と蛍光体との混合比などによって異なるが、通常は10〜1000μmであり、より好ましくは10〜500μmである。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
実施例1
ユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、2つの孔を有する耐圧容器にBaI2水溶液(3.35mol/L)10809mlとEuI3・2H2Oを24.7gを入れた。更に、水溶液中にヨウ化カリウム550gとSrI2・6H2O、95.6gを添加した。
この反応器中の反応母液を撹拌しながら85℃で保温した。弗化アンモニウム水溶液(6mol/L)2981mlを、反応母液中にローラーポンプを用いて注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後、乾燥空気を10L/minの割合で120分間通気した。通気前後の溶液の質量比は0.94であった。反応容器を密封しそのままの温度で60分間攪拌した。。攪拌した後、濾過しエタノール2,000mlで洗浄した。回収した前駆体の質量を計測し、投入したBaI2量と比較することにより収率を求めた。
実施例2
反応前に水溶液中にSrI2・6H2O、191.1gを添加する。フッ化アンモニウムの添加終了後、循環アスピレーターを用いて反応容器内の圧力を74,480Paとし、溶媒を減圧濃縮した。60分間濃縮を行った。の宿前後の反応溶液の質量比は0.92であった。
これら以外は実施例1と同様の操作を行い、沈殿物を得た。実施例1と同様に収率を計算した。
実施例3
ユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、2つの孔を有する耐圧容器にBaI2水溶液(2.5mol/L)10809mlとEuI3・2H2Oを24.7gを入れた。更に、水溶液中にヨウ化カリウム550gとSrI2・6H2O、191.1gを添加した。これら以外は実施例1と同様の操作を行い、沈殿物を得た。実施例1と同様に収率を計算した。
実施例4
ユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、2つの孔を有する耐圧容器にBaI2水溶液(3.35mol/L)10809mlとEuI3・2H2Oを24.7gを入れた。更に、水溶液中にヨウ化カリウム550gとCaI2、3.3H2O、7.8gを添加した。これら以外は実施例1と同様の操作を行い、沈殿物を得た。実施例1と同様に収率を計算した。
実施例5
ユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、2つの孔を有する耐圧容器にBaI2水溶液(3.35mol/L)10809mlとEuI3・2H2Oを24.7gを入れた。更に、水溶液中にヨウ化カリウム550gとMgI2・6H2O、69.2gを添加した。これら以外は実施例1と同様の操作を行い、沈殿物を得た。実施例1と同様に収率を計算した。
比較例1
ユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、BaI2水溶液(4mol/L)2500mlとEuI3水溶液・2H2O(0.2mol/L濃度)を24.7gを入れた。更に、水溶液中にヨウ化カリウム332gを添加した。この反応母液を攪拌しながら83℃で保温した。フッ化アンモニウム水溶液(10mol/L濃度)250mlを反応母液中にローラーポンプを用いて注入し、沈殿物を生成させた。注入狩猟後、そのままの温度で90分間攪拌した後、濾過し、エタノール2,000mlで洗浄した。実施例1と同様に収率を計算した。
比較例2
反応母液にSrI2・6H2O、55.8gを添加した以外は比較例1と同様の操作を行い沈殿物を得た。実施例1と同様に収率を計算した。
比較例3
反応母液にSrI2・6H2Oを添加しないこと以外は実施例1と同様の操作を行い沈殿物を得た。実施例1と同様に収率を計算した。
本発明の製造方法により、微細な輝尽性蛍光体前駆体を高収率で得ることができた。
(輝尽性蛍光体の調製)
実施例1〜5、比較例1〜3で得られた各前駆体を用いて、保温焼結により粒子形状の変化、粒子間融着による粒子サイズの変化を防止するために、アルミナの超微粒子粉体を均一に付着させた。これを10Lの炉芯容積を有するバッチ式ロータリーキルンの石英炉芯管に充填し、窒素/水素/酸素(93/5/2容量%)の混合ガスを10L/minの流量で20分間流通させて雰囲気を置換した。十分に炉芯内雰囲気を置換した後、上記混合ガスの流量を10L/minに減じ、2rpmの速度で炉芯管を回転させながら10℃/minの昇温速度で830℃まで加熱した。試料温度が830℃に到達した後、830℃に保ちながら窒素/水素(93/5容量%)の混合ガスの流量2L/minに減じ、10℃/minの降温温度で25℃まで冷却した後、雰囲気を大気圧に戻し、生成したユウーロピウムフッ化バリウム蛍光体を取り出した。
(蛍光体層塗布液の調製)
上記調製したユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウム蛍光体粒子427gと、ポリウレタン樹脂(住友バイエルウレタン社製:デスモラック4125)15.8g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂2.0gをメチルエチルケトン、トルエン(1:1)混合溶媒に添加し、プロペラミキサーによって分散し、粘度25〜30ポイズの塗布液を調製した。この塗布液をドクターブレードを用いて下塗付きポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布した後、100℃で15分間乾燥させて、蛍光体層を形成した。
次に保護膜形成材料として、フッ素系樹脂(フルオロオレフィン−ビニルエーテル共重合体、旭硝子社製::ルミフロンLF100)70g、架橋剤(イソシアネート、住友バイエルウレタン社製:デスモジュールZ4370)25g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂5g及びシリコーン樹脂微粉末(信越化学工業社製:KMP−590、粒子径1〜2μm)10gをトルエン、i−プロパノール(1:1)混合溶媒に添加し、塗布液を作製した。
この塗布液を上記のように予め形成しておいた蛍光体層上にドクターブレードを用いて塗布し、次に120℃で30分間、熱処理して熱硬化させると共に乾燥し、厚さ10μmの保護層を設けた。前記作製した蛍光体シート1〜8を、各々一辺が20cmの正方形に断裁した後、上記作製した防湿性保護フィルムを用いて、減圧下で周縁部をインパルスシーラーを用いて融着、封止して、放射線像変換パネル(試料1〜8)を作製した。尚、融着部から蛍光体シート周縁部までの距離は1mmとなるように融着した。融着に使用したインパルスシーラーのヒーターは3mm幅のものを使用した。
各放射線像変換パネルについて、以下に示す方法に従って輝度、鮮鋭度の測定を行った。
〈輝度〉(感度)
輝度の測定は、各放射線像変換パネルについて、管電圧80kVpのX線を蛍光体シート支持体の裏面側から照射した後、パネルをHe−Neレーザー光(633nm)で操作して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を受光器(分光感度S−5の光電子像倍管)で受光して、その強度を測定して、これを輝度と定義し、放射線像変換パネル8の輝度を100とした相対値で表示した。
〈鮮鋭度〉
鮮鋭度については、変調伝達関数(MTF)を求め評価した。
各放射線画像変換パネルにCTFチャートを貼りつけた後、80kVpのX線を10mR(被写体までの距離;1.5m)照射した後、蛍光体層Aを有する面側から半導体レーザ光(690nm、パネル上でのパワー40mW)を照射して、直径100μmφの半導体レーザ光でCTFチャートを走査し、読みとって求めた。表1の記載の値は、2.0lp/mmにおける放射線画像変換パネル8のMTF値を100とし、各試料について相対値で求めた値(%)である。
Figure 2005171077
表1から明らかなように本発明の放射線画像変換パネル(試料)1〜5が比較の放射線画像変換パネル(試料)6〜8に比して、輝度、鮮鋭性とも優れていることが分かる。

Claims (8)

  1. 液相による下記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体の製造方法において、ハロゲン化バリウムを溶解させた反応母液がアルカリ土類金属ハロゲン化物を含有し、且つ、反応母液中に無機フッ化物水溶液を添加して輝尽性蛍光体前駆体結晶の沈殿物を得る工程と反応母液から溶媒を除去する工程を平行して行うことにより輝尽性蛍光体前駆体を得ることを特徴とする輝尽性蛍光体の製造方法。
    一般式(1)
    Ba1-x2 xFBry1-y:aM1、bLn、cO
    〔式中、M1はLi、Na、K、RbおよびCsから選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属原子であり、M2はBe、Mg、SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属原子であり、LnはCe、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Tm、Dy、Ho、Nd、ErおよびYbから選ばれる少なくとも1種の希土類元素であり、x、y、a、bおよびcは、それぞれ0≦x≦0.3、0≦y≦0.3、0≦a≦0.05、0<b≦0.2、0<c≦0.1の数値を表す。〕
  2. 反応母液のバリウムの濃度が3.3mol/L以上であることを特徴とする請求項1に記載の輝尽性蛍光体の製造方法。
  3. 母液におけるアルカリ土類金属ハロゲン化物濃度0.001mol/L〜1mol/Lであることを特徴とする請求項1又は2に記載の輝尽性蛍光体の製造方法。
  4. 溶媒の除去後の質量が除去前の質量に対して0.97以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の輝尽性蛍光体の製造方法。
  5. 反応溶媒を除去するために反応母液を加熱し、且つ、他の溶媒を除去する手段を併用することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の輝尽性蛍光体の製造方法。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の輝尽性蛍光体の製造方法により得られることを特徴とする輝尽性蛍光体前駆体。
  7. 請求項6に記載の輝尽性蛍光体前駆体を焼成することにより得られることを特徴とする輝尽性蛍光体。
  8. 請求項7に記載の輝尽性蛍光体を有することを特徴とする放射線画像変換パネル。
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