JP4042162B2 - 生体適合性ポリマー - Google Patents
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Description
本発明は、生体適合性を有するポリウレタン又はポリウレタンウレアに関するものであり、特に、生体又は生体成分に直接接触する医療材料として用いた場合に、良好な抗血栓性を示すポリウレタン又はポリウレタンウレアに関するものである。
背景技術
加工性、弾性、可撓性に優れた高分子材料は、近年医療用材料として広く利用されるようになってきており、人工腎臓、人工肺、補助循環装置、人工血管等の人工臓器や、注射器、血液バッグ、心臓カテーテル等のディスポーザブル製品として今後益々利用が拡大する事が予想される。これらの医療用材料としては、充分な機械的強度や耐久性に加えて、生体に対する安全性、特に血液と接触した場合、血液が凝固しない性質、すなわち抗血栓性が要求される。
従来から行われている医療用材料に抗血栓性を付与する手段は、(1)材料表面にヘパリン等の抗血栓活性を有するムコ多糖類やウロキナーゼ等の線溶活性因子を固定させる方法、(2)材料表面を修飾して陰電荷や親水性などを付与する方法、及び(3)材料表面を不活性化する方法の3通りに大別される。このうち、(1)の方法の中でヘパリンを利用する場合(以下、表面ヘパリン化法と略する)は、さらに、(A)ポリマーとヘパリンのブレンド法、(B)有機溶媒に可溶化したヘパリンの有機溶液で材料表面を被覆する方法、(C)材料中のカチオン性基にヘパリンをイオン結合させる方法、及び(D)材料とヘパリンを共有結合させる方法に細分類される。
(1)の方法では、導入初期段階には表面上のヘパリンやウロキナーゼによって抗血栓性、又は生成した血栓の溶解性能が発揮されるが、長期の使用によってそれらの抗血栓性剤が溶出し、一般的に性能が低下する傾向にある。すなわち、(A)、(B)及び(C)の方法では、通常、生理活性条件下での長期使用によってヘパリン類が脱離し易く、長期間生体内に埋込して用いる医療用材料としては充分な性能が得られにくい。(D)で得られる材料は、ヘパリンが共有結合されているために脱離しにくいという利点があるが、従来の結合方法では往々にして、ヘパリン構成成分であるD−グルコースやD−グルコン酸にコンホーメーション変化を与えてしまい、抗凝血効果を低下させてしまうという欠点がある。
また、(C)及び(D)の方法では、ヘパリンの固定化に利用できる官能基を含む材料を選択するか、あるいは新たに導入する必要がある。このため、材料の選択の幅が狭められたり、官能基の導入によって材料の機械的強度が低下する可能性がある。さらに、操作の煩雑化によって、医療用材料を得る工程数が増加するという問題もある。
一方、前記の方法(2)及び(3)において材料に抗血栓性を付与する方法としては、生体適合性を有する官能基を導入する方法がある。上述した様に、ヘパリン等の抗凝血活性を有するムコ多糖類やウロキナーゼ等の線溶活性因子を固定化した材料ではそれらの物質が溶出してしまうと抗血栓能は低下し、長期間の性能維持は困難である。これに対し、生体適合性を有する官能基を導入した材料は生体と接触後も抗血栓性を長期間にわたって維持することができる。
近年、生体適合性の官能基として活発に研究されているものの1つにホスホリルコリン構造がある。このホスホリルコリン構造は生体膜を形成しているリン脂質、つまり、ホスファチジルコリンと類似構造である。このため、ホスホリルコリン構造を分子内に有する高分子材料は、生体との親和性が高く、抗血栓性材料として有用である。
例えば、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを含む重合体は、細胞膜外壁の構成成分の1つであるホスファチジルコリンと類似の構造を有し、生体由来のリン脂質を積極的に吸着させることによって生体膜類似表面を形成し、優れた血液適合性が得られることが報告されている(例えば、特開昭54−63025号公報、特開昭63−96200号公報など)。また、ポリウレタンの主鎖にホスホリルコリン基を導入することにより同様に優れた血液適合性が得られることが報告されている(特開昭62−500726号公報、特開平08−134085号公報、特開平08−25954号公報、WO86/02933)。しかしながら、これらの材料は、医療用材料として十分満足できる抗血栓性を発揮するには至っていない。
発明の開示
本発明の主な目的は、優れた生体適合性を有するポリウレタン又はポリウレタンウレアを提供することである。
本発明の他の目的は、長期使用した場合にも安定して優れた抗血栓性を発揮することが可能な抗血栓性を有するポリウレタン又はポリウレタンウレアを提供することである。
本発明の更に他の目的は、優れた抗血栓性を有するポリウレタン又はポリウレタンウレアを用いた医療用材料を提供することである。
本発明者は、前記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定のホスホリルコリン基を側鎖に有する特定構造のポリウレタン又はポリウレタンウレアが上記目的を達成し得るものであることを見出した。更に、本発明者は、第四級アンモニウム基を有するジオール成分を用いて、上記特定構造のポリウレタン又はポリウレタンウレアの一部に第四級アンモニウム基を導入し、このアンモニウムカチオンとムコ多糖類のアニオンとの静電的相互作用を介してポリウレタン又はポリウレタンウレアにムコ多糖類を導入する場合には、特に、生体成分との接触初期において抗血栓性をより向上させることができ、接触初期から長期接触後に至るまで優れた抗血栓性能を安定して発揮することが可能となることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下に示す生体適合性を有するポリウレタン又はポリウレタンウレア、抗血栓性コーティング剤、抗血栓性医療用具用材料、及び抗血栓性医療用具を提供するものである。
1.一般式(1)
[式中、R1は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、又は下記基
R4−(A)n−
(式中、Aは炭素数2〜10のオキシアルキレン基であり、1種又は2種以上が混在してもよく、結合順はブロックでもランダムでもよい。また、nは1から30の整数である。R4は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基である。)である。また、R2及びR3は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基であり、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。]で表されるホスホリルコリン構造を側鎖に含む生体適合性を有するポリウレタン又はポリウレタンウレア。
2.ポリマー1.0gに対して、一般式(1)で表されるホスホリルコリン構造に由来するリンを0.03〜3.00ミリモル含む上記項1に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
3.(A)(i)下記一般式(1)
[式中、R1は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、又は下記基
R4−(A)n−
(式中、Aは炭素数2〜10のオキシアルキレン基であり、1種又は2種以上が混在してもよく、結合順はブロックでもランダムでもよい。また、nは1から30の整数である。R4は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基である。)である。また、R2及びR3は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基であり、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。]で表されるホスホリルコリン構造を含むジオール0.1〜50モル%、
(ii)ポリマージオール1〜40モル%、
(iii)鎖伸長剤1〜90モル%、並びに
(iv)その他の活性水素含有化合物30モル%以下
を含み、(i)〜(iv)の成分の合計量が100モル%である活性水素含有化合物と、
(B)ジイソシアネート化合物
とを反応させて得られる上記項1に記載の生体適合性を有するポリウレタン又はポリウレタンポリウレア。
4.一般式(1)で表されるホスホリルコリン構造を含むジオールが、下記式(2)及び(3)で表される化合物から選ばれた少なくとも一種である上記項3に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア:
[上記式(2)及び(3)において、R1は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、又は下記基
R4−(A)n−
(式中、Aは炭素数2〜10のオキシアルキレン基であり、1種又は2種以上が混在してもよく、結合順はブロックでもランダムでもよい。また、nは1から30の整数である。R4は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基である。)である。また、R2及びR3は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基であり、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。R5及びR6は炭素数2〜10のアルキレン基であり、R5とR6はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。mは1〜10の整数である。また、式(3)におけるR7は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基である。]。
5.下記一般式(4)
(式中、R8、R9及びR10は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基であり、R8、R9及びR10はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。さらに、R8、R9及びR10のうちいずれか1つが水素原子であってもよい。Xはアニオン性基又はアニオン性化合物である。)で表される第4級アンモニウム基を側鎖に含むか、又は下記一般式(5)
(式中、R8及びR9は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基であり、R8及びR9はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。さらに、R8及びR9のうちいずれか1つが水素原子であってもよい。Xはアニオン性基又はアニオン性化合物である。)で表される第4級アンモニウム基を主鎖に含む上記項1に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
6.(iv)その他の活性水素含有化合物の一部又は全部として、下記式(6)〜(8)で表される第4級アンモニウム基を含むジオールの少なくとも一種を用い、これらのジオールの使用量が、活性水素含有化合物の全量を100モル%とした場合に、0.1モル%以上である上記項3に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア:
[式(6)〜(8)において、R8、R9及びR10は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基であり、R8、R9及びR10はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。さらに、R8、R9及びR10のうちいずれか1つが水素原子であってもよい。Xはアニオン性基又はアニオン性化合物である。R11及びR12は炭素数2〜10のアルキレン基であり、R11とR12はそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、R13は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基であり、pは2〜10の整数である。]。
7.重量平均分子量が3,000〜8,000,000である上記項1〜6のいずれかに記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
8.アンモニウム基の少なくとも一部がムコ多糖類とイオン複合体を形成している上記項5又は6に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
9.ムコ多糖類がヘパリンである上記項8に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
10.上記項1〜9のいずれかに記載のポリウレタン又はポリウレタンウレアを有機溶媒中に含む抗血栓性コーティング剤。
11.上記項1〜9のいずれかに記載のポリウレタン又はポリウレタンウレアを有効成分とする抗血栓性医療用具用材料。
12.上記項10に記載の抗血栓性コーティング剤によるコーティング層を有する抗血栓性医療用具。
13.上記項11に記載の抗血栓性医療用具用材料を用いて形成された抗血栓性医療用具。
本発明のポリウレタン又はポリウレタンウレア(以下、ポリウレタンとポリウレタンウレアを総称して「ポリウレタン類」ということがある)は、下記式(1)
[式中、R1は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、又は下記基
R4−(A)n−
(式中、Aは炭素数2〜10のオキシアルキレン基であり、1種又は2種以上が混在してもよく、結合順はブロックでもランダムでもよい。また、nは1から30の整数である。R4は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基である。)である。また、R2及びR3は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基であり、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。]で表されるホスホリルコリン構造を側鎖に含むものである。
この様な構造を有する本発明のポリウレタン類は、生体膜を形成するホスファチジルコリン類似構造を持つホスホリルコリンが側鎖に導入されていることにより、主鎖に導入された場合と比較して生体適合性が向上し、非常に優れた抗血栓性を発揮できる。これは、一般に高分子の主鎖は絡み合っているため、性能を発揮する官能基が主鎖にあるとその性能は十分に発揮しにくいのに対して、側鎖に性能発揮部位を有していると官能基の運動が高分子主鎖に抑制されず運動性が向上し、十分に性能発揮できることによるものと考えられる。したがって、本発明のポリウレタン類が、生体適合性が良好で非常に優れた抗血栓性を発揮できるのは、ホスホリルコリンが側鎖に導入されているため、ホスホリルコリンの運動性が向上し、そのため、生体膜類似構造の効果が大きく現れるためと考えられる。
更に、本発明のポリウレタン類は、上記一般式(1)で表されるホスホリルコリン構造を側鎖に含むことに加えて、下記一般式(4)
(式中、R8、R9及びR10は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基であり、R8、R9及びR10はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。さらに、R8、R9及びR10のうちいずれか1つが水素原子であってもよい。Xはアニオン性基又はアニオン性化合物である。)で表される第4級アンモニウム基を側鎖に含むか、又は下記一般式(5)
(式中、R8及びR9は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基であり、R8及びR9はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。さらに、R8及びR9のうちいずれか1つが水素原子であってもよい。Xはアニオン性基又はアニオン性化合物である。)で表される第4級アンモニウム基を主鎖に含む場合には、このアンモニウムカチオンとムコ多糖類のアニオンとの静電的相互作用により、ポリウレタン類に抗血栓活性を有するムコ多糖類を導入できる。その結果、このポリウレタン類を表面部分に用いた材料では、生体又は生体成分との接触の初期段階では、抗血栓性を有するムコ多糖類が有効に作用して抗血栓性をより向上させることができ、その後、長期間使用した場合に、万一ムコ多糖類が材料から溶出した場合であっても、ホスホリルコリン構造部分が有効に作用して、良好な抗血栓性を維持でき、生体成分との接触初期から長期間接触後に至るまで、安定して良好な抗血栓性を発揮できる。上記式(4)で表される第4級アンモニウム基と上記式(5)で表される第4級アンモニウム基は、分子中にいずれか一方だけが存在してもよく、或いは両方が同時に存在してもよい。
尚、本明細書において、炭素数1〜20のアルキル基とは、直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、又はシクロアルキル基であり、具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル等を挙げることができる。また、炭素数6〜12のアリール基とは、置換基として、メチル、エチル、ブチル、メトキシ、エトキシ等を1〜3個有することのある置換又は未置換のフェニル基又はナフチル基であり、具体例としては、フェニル、トリル、キシリル等を挙げることができる。炭素数7〜20のアラルキル基としては、ベンジル、フェネチル、フェニルブチル、ジフエニルメチル、トリフエニルメチル、ナフチルメチル、ナフチルエチル等を例示できる。炭素数2〜10のアルキレン基とは、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基であり、具体例としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、イソプロピレン、2−メチルヘキサメチレン等を例示できる。
本発明ポリウレタン類は、活性水素含有化合物と、ジイソシアネート化合物とを反応させることによって得ることができる。
以下に、本発明ポリウレタン類を製造するために用いる単量体成分について説明する。
活性水素含有化合物
活性水素含有化合物としては、一般式(1)で表されるホスホリルコリン構造を含むジオールを用いれば良く、必要に応じて、その他に、活性水素含有化合物として、ジオール及び/又ジアミンを用いることができる。これらの活性水素含有化合物については、特に限定的ではなく、イソシアネートに対して反応性を有する活性水素を含有する化合物を適宜選択して用いればよいが、生体適合性に加えて、機械的強度や耐久性の良好なポリウレタン類を得るためには、下記の(i)〜(iv)の活性水素含有化合物を組み合わせて用いることが好ましい。
(i)下記一般式(1)
[式中、R1、R2及びR3は上記に同じ]で表されるホスホリルコリン構造を含むジオール、
(ii)ポリマージオール、
(iii)鎖伸長剤、及び
(iv)必要に応じて、その他の活性水素含有化合物。
以下に、これらの各成分について説明する。
(i)ホスホリルコリン構造部分を含むジオール
上記した活性水素含有化合物の内で、(i)一般式(1)で表されるホスホリルコリン構造を含むジオールとしては、一般式(1)で表されるホスホリルコリン構造部分を含むものであれば特に限定はないが、一般式(1)の窒素原子に、基:−(CH2)m−(mは、1〜10の整数である。)が結合したジオールが好ましく、その例としては、下記一般式(2)及び(3)で表される化合物を挙げることができる。
一般式(2)及び(3)において、R1は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、又は下記基
R4−(A)n−
(Aは炭素数2〜10のオキシアルキレン基であり、1種又は2種以上が混在してもよく、結合順はブロックでもランダムでもよい。オキシアルキレン基の具体例としては、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン、オキシペンタメチレン、オキシヘキサメチレン基等を挙げることができる。また、nは1から30の整数であり、好ましくは3〜15、より好ましくは3〜10である。R4は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基である。)である。また、R2及びR3は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基であり、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。R5及びR6は炭素数2〜10のアルキレン基であり、R5とR6はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。mは1〜10の整数であり、好ましくは1〜7の整数である。また、式(3)におけるR7は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基である。
上記一般式(2)及び(3)で表される化合物の内で好ましい化合物を例示すると、以下の通りである。
一般式(2)において、R2=R3=メチル、R5=R6=−CH2−CH(CH3)−、m=3であるとき、R1=メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチルなどの化合物。
一般式(2)においてR2=R3=メチル、R5=R6=−CH2−CH(CH3)−、m=3、R1=R4-(A)n−で表わされるとき、R4=メチル、エチレン、プロピル、ブチル、オクチル、ラウリル、セチル、又はオレイル、Aは、オキシエチレン(n=3〜20)、オキシプロピレン(nは例えば、3〜20)、オキシブチレン(nは例えば、3〜20)、オキシヘキサメチレン(nは例えば、3〜20)、オキシエチレン−オキシプロピレン共重合体(nは例えば3〜20)等の化合物。
一般式(3)において、R2=R3=R7=メチル、R5=R6=メチレン、m=1であるとき、R1=メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル等の化合物。
一般式(3)において、R2=R3=R7=メチル、R5=R6=メチレン、m=1、R1=R4−(A)n−で表わされるとき、R4=メチル、エチレン、プロピル、ブチル、オクチル、ラウリル、セチル、又はオレイル、Aは、オキシエチレン(n=3〜20)、オキシプロピレン(nは例えば、3〜20)、オキシブチレン(nは例えば、3〜20)、オキシヘキサメチレン(nは例えば、3〜20)、オキシエチレン−オキシプロピレン共重合体(nは例えば3〜20)等の化合物。
上記一般式(2)及び(3)の化合物の内で、R1が基R4−(A)n−であるものは、側鎖末端に親水性基であるポリオキシアルキレン基が存在することによって、材料の親水性が向上し、より生体適合性に優れたものとなる。そして、この様な親水性基の存在による効果が、ホスホリルコリンが側鎖に存在することによってホスホリルコリンの運動性が向上することと相乗的に作用して、血液凝固因子活性抑制および血小板粘着抑制効果がより有効に発揮される。
上記した一般式(2)及び(3)の化合物は、例えば、下記の反応工程式に従って製造することができる。
上記反応工程式において、R1、R2、R3及びmは前記に同じであり、基−(B)は下記基(I)又は(II)である。
式(I)及び(II)において、R5、R6及びR7は、前記に同じである。
上記反応工程式に従った方法によれば、まず、公知化合物である2−クロロ−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホラン(COP)を出発原料として、Makromol. Chem., Rapid. Commun., 3, 457(1982)に記載された方法に従って、COPを溶解したテトラヒドロフラン(THF)を、R1OH及びトリエチルアミンのTHF溶液に窒素気流中で、−30〜−10℃程度の低温下でゆっくり滴下し、滴下後、窒素気流下で−10℃以下で3〜5時間程度反応を行う。反応後、沈殿物(トリエチルアミン塩酸塩)を濾別し、濾液を減圧下留去し、残渣を減圧乾燥して、2−R−ロキシ−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホラン(2-R-yloxy-2-oxo-1,3,2-dioxaphosholan;ROP)を得る。
次いで、J.Macromol.Sci.-Pure Appl. Chem., A32,1235(1995)の方法に準じて、得られたROPと3級アミン含有ジオールを等モルずつ乾燥アセトニトリルに溶解させ、密閉反応器中で、50〜100℃程度で12〜72時間程度反応を行う。反応後、溶媒を減圧下留去し、残渣をシクロヘキサンで数回洗浄することによって、目的とする一般式(2)及び(3)で表される化合物を得ることができる。
(ii)ポリマージオール
ポリマージオールとしては、ポリオキシアルキレングリコール、ポリカーボネートジオール、ポリエステルジオール、ポリブタジエンジオール、ポリイソプレンジオール、水添ポリイソプレンジオール等を用いることができる。これらの内で、ポリオキシアルキレングリコール、とは、エチレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン等の炭素数2〜8、好ましくは2〜6程度の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基がエーテル結合で結合したポリオキシアルキレンの両末端に水酸基が結合したものである。
本発明では、ポリマージオールとしては、モノマーの繰り返し単位数が4〜200程度のものを用いることが好ましく、モノマーの繰り返し単位数が10〜150程度のものを用いることがより好ましい。この様なポリマージオールを用いることによって、得られるポリウレタン類に適度な柔軟性を付与することができる。
(iii)鎖伸長剤
鎖伸長剤としては、アルキレンジオール及びアルキレンジアミンから選ばれた少なくとも一種を用いればよい。
アルキレンジオールとしては、炭素数2〜8程度、好ましくは2〜6程度の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基の両末端に水酸基を有するアルキレンジオールを用いることが好ましい。本発明での使用に適するアルキレンジオールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのアルキレングリコール等を挙げることができる。
アルキレンジアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の直鎖状アルキレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノペンタン等の分枝状アルキレンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン等の環状アルキレンジアミン等を用いることができる。
鎖伸長剤としては、上記したアルキレンジオール及びアルキレンジアミンから選ばれた成分を一種単独又は二種以上混合して用いることができる。鎖伸長剤を用いることによって、得られるポリウレタン類に適度な硬度を付与することができる。
(iv)その他の活性水素含有化合物
本発明では、その他の活性水素含有化合物として、上記した(i)〜(iii)以外のジオール及び/又はジアミンを用いることができる。
その他の活性水素含有化合物については、特に限定はなく、所望する特性に応じて、適当なジオール及び/又はジアミンを選択して用いればよく、一種単独又は二種以上混合して用いることも可能である。
また、上記ホスホリルコリン構造以外の官能基を含むジオール及び/又はジアミンを用いても良い。他の官能基の例を挙げれば、材料に親水性を付与するための水酸基、材料に陰電荷を与えるためのカルボキシル基、スルホン酸基、材料の光による反応性を向上させるためのジアゾ基、アジド基などがある。これらの官能基を含むジオール及びジアミンについては、公知の化合物から、適宜選択して用いることができる。
また、下記一般式(4)
(式中、R8、R9、R10及びXは前記に同じ)で表される第4級アンモニウム基を側鎖に含むか、又は下記一般式(5)
(式中、R8、R9及びXは前記に同じ)で表される第4級アンモニウム基を主鎖に含むポリウレタン類を製造する場合には、その他の活性水素含有化合物として、例えば、下記式(6)〜(8)で表される第4級アンモニウム基を含むジオールを、単独又は二種以上混合して用いればよい。
上記式(6)〜(8)において、R8、R9及びR10は前記に同じである。また、R11及びR12は炭素数2〜10のアルキレン基であり、R11とR12はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。R13は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基であり、pは2〜10の整数である。
Xは、いかなるアニオン性基又はアニオン性化合物でもよく、特に限定はないが、好ましいものとしては、塩素イオン等のハロゲンイオン、パラトルエンスルホン酸アニオン、酢酸イオン、トリフロロ酢酸イオン、過塩素酸イオン等を例示できる。
これらの第4級アンモニウム基を含むジオールは、例えば、有機溶媒中に対応する3級アミンを溶解又は分散させ、これに4級化剤を添加し、その後溶媒を留去し、不純物を有機溶媒で洗浄して除去し、得られた4級アンモニウムジオールを再結晶等の方法で精製することにより得ることができる。
上記式(6)〜(8)で表される第4級アンモニウム基を含むジオールの内で、好ましい化合物の具体例を挙げると下記の通りである。
一般式(6)においてR8=R9=メチル、R11=R12=−CH2−CH(CH3)−、p=3である時、R10=水素原子、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert-ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ラウリル、ミリシチル、セチル又はステアリルであり、X-は、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、パラトルエンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、酢酸イオン、トリフロロ酢酸イオンなどの化合物。
一般式(6)においてR8=R9=エチル、R11=R12=−CH2−CH(CH3)−、p=3である時、R10=水素原子、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert-ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ラウリル、ミリシチル、セチル又はステアリルであり、X-はフッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、パラトルエンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、酢酸イオン、トリフロロ酢酸イオンなどの化合物。
一般式(7)においてR8=R9=R13=メチル、R11=R12=メチレン、p=1である時、R10=水素原子、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert-ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ラウリル、ミリシチル、セチル又はステアリルであり、X-はフッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、パラトルエンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、酢酸イオン、トリフロロ酢酸イオンなどの化合物。
一般式(7)においてR8=R9=R13=エチル、R11=R12=メチレン、p=1である時、R10=水素原子、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert-ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ラウリル、ミリシチル、セチル又はステアリルであり、X-はフッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、パラトルエンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、酢酸イオン、トリフロロ酢酸イオンなどの化合物。
一般式(7)においてR8=R9=エチル、R11=R12=メチレン、R13=水素原子、p=1である時、R10=水素原子、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert-ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ラウリル、ミリシチル、セチル又はステアリルであり、X-はフッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、パラトルエンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、酢酸イオン、トリフロロ酢酸イオンなどの化合物。
一般式(8)においてR8=メチル、R11=R12=エチレンである時、R9=水素原子、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert-ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ラウリル、ミリシチル、セチル又はステアリルであり、X-はフッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、パラトルエンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、酢酸イオン、トリフロロ酢酸イオンなどの化合物。
一般式(8)においてR8=エチル、R11=R12=エチレンである時、R9=水素原子、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert-ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ラウリル、ミリシチル、セチル又はステアリルであり、X-はフッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、パラトルエンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、酢酸イオン、トリフロロ酢酸イオンなどの化合物。
これらの化合物は単独で使用してもよく、2種以上混合して使用しても良い。
(iv)活性水素含有化合物の使用割合
活性水素含有化合物における各成分の使用割合は、特に限定的ではないが、活性水素含有化合物の全量を100モル%とした場合に、(i)一般式(1)で表されるホスホリルコリン構造を含むジオール0.1〜50モル%、(ii)ポリマージオール1〜40モル%、(iii)鎖伸長剤1〜90モル%、及び(iv)その他の活性水素含有化合物30モル%以下、とすることが好ましい。この様な配合割合で用いることによって、優れた生体適合性を有するとともに、機械的強度や耐久性の良好なポリウレタン類を得ることができる。
また、ムコ多糖類とのイオン複合体を形成することを目的として、ポリウレタン類に、上記一般式(4)又は(5)で表される第4級アンモニウム基を導入する場合には、上記一般式(6)〜(8)で表される第4級アンモニウム基を含むジオールの少なくとも一種の使用量は、活性水素含有化合物の全量を100モル%とした場合に、0.1モル%以上とすることが好ましい。これらの第4級アンモニウム基を含むジオールは、上記(iv)のその他の活性水素含有化合物の一部又は全部として用いられるものであり、使用量の上限は、30モル%以下とすることが好ましい。第4級アンモニウム基を含むジオール以外に、(iv)のその他の活性水素含有化合物を用いる場合には、第4級アンモニウム基を含むジオールを含めたその他の活性水素含有化合物(iv)の合計量が30モル%以下となるようにすることが好ましい。
ジイソシアネート化合物
ジイソシアネート化合物としては、特に限定はなく、従来ポリウレタンの製造に用いられるジイソシアネート、及び今後開発されるであろうジイソシアネートの全てが利用可能であり、所望の特性に応じて適宜選択して用いればよい。ジイソシアネート化合物の具体例としては、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ウンデカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、シクロペンチレン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合物、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、4−イソシアネートベンシルイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類等を挙げることができる。
ポリウレタン又はポリウレタンウレア
本発明のポリウレタン又はポリウレタンウレア(ポリウレタン類)の製造法は特に制限されず、常法に従って、有機溶媒中で上記した活性水素含有化合物とジイソシアネート化合物とを反応させればよい。有機溶媒としては、例えば、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)、N−メチルピロリドン(NMP)、N−メチルホルムアミド(NMF)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、ジオキサンなどを用いることができ、これらの有機溶媒は混合して用いてもよい。活性水素含有化合物とジイソシアネート化合物の反応割合は、通常、ジイソシアネート化合物1当量に対して、活性水素含有化合物を0.7〜1.5当量程度とすればよく、0.8〜1.2当量程度とすることが好ましい。
具体的な反応条件については、使用するジイソシアネートやジオールの構造により異なるが、例えば、窒素雰囲気下20〜150℃程度で1〜50時間程度攪拌しながら反応させ、この反応物を再沈殿法等により精製を行う方法を例示できる。
また、一般式(2)及び(3)で表されるホスホリルコリン構造部分を含むジオール、ポリマージオール、アルキレンジオール等のジオール成分とジイソシアネート化合物とを、上記した方法と同様にして反応させることにより末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを得、このプレポリマーをHMPA、NMP、NMF、DMF、DMAc、THF等の有機溶媒に溶解した後冷却し、アルキレンジアミンを添加して鎖延長することによってポリウレタンウレアを得る方法等によって製造することもできる。
ポリウレタン類の重合時には、重合を効率的に進行できるように、ジブチルジラウリル酸錫、テトラブトキシチタン等の重合触媒を添加しても良い。重合触媒の添加量は、通常、反応溶液全体を基準として、10〜1000ppm程度とすればよい。
本発明のポリウレタン類は、重量平均分子量が3,000〜8,000,000程度であり、好ましくは、5,000〜5,000,000程度である。本明細書中に記載した分子量は、ゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した値であり、測定に用いるゲルカラムは、Shodex AD−803/S、AD−804/S、AD−806/S、KD−802の4本を直列に連結したものであり、移動相としては0.1%臭化リチウムを溶解したDMFを用い、検量線をポリスチレンで引き、50℃で測定することによって分子量を求めた。
また、本発明のポリウレタン類は、ポリマー1.0gに対して、一般式(1)で表されるホスホリルコリン構造部分に由来するリンの含有ミリモル数(以下このことをmeq/gと略記する)が、0.03〜3.00meq/g程度であることが好ましく、0.06〜2.80meq/g程度であることがより好ましい。
上記した本発明のポリウレタン類は、生体膜を形成するホスファチジルコリン類似構造を持つホスホリルコリンが側鎖に導入されていることにより、主鎖に導入された場合と比較して非常に優れた抗血栓性を有する。また、側鎖末端に親水性基であるポリオキシアルキレン基を導入した場合には、側鎖末端にアルキル基を導入した場合より効果的に抗血栓性を発揮できる。
ムコ多糖類との複合体
本発明のポリウレタン類の内で、分子内に上記一般式(4)又は(5)で表される第4級アンモニウム基を有するものは、抗凝血作用を有するムコ多糖類と静電的相互作用によって複合体を形成することができる。
本発明において、ムコ多糖類としてはヘパリン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸等、これらのリチウム、ナトリウム、カリウム塩等の金属塩等が挙げられるが、中でもヘパリン又はヘパリン金属塩は優れた抗血栓能を有しており特に好ましい。
上記一般式(4)又は(5)で表される第4級アンモニウム基を含むポリウレタン類と、ムコ多糖類との複合体を得る方法については、特に限定されないが、例えば、ムコ多糖類の水溶液又は弱酸性緩衝溶液(pH3〜6程度)に、本発明のポリウレタン類を20〜100℃程度で1〜24時間程度浸漬することによって、目的とする複合体とすることができる。この複合体の形成は、通常、本発明のポリウレタン類を用いて目的とする成形体を成形するか、或いは、コーティングを行った後に行うことが好ましい。本発明のポリウレタン類を他のポリマーと混合して用いる場合には、混合した状態で上記した浸漬処理を行なうことができる。
複合体を製造する際に使用される緩衝液の溶質としては、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)、N−(2−アセトアミド−2−アミノエタンスルホン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、3−(N−モルホリノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸等が好ましく、特に好ましくは、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(以下MESと略記する)、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)(以下PIPESと略記する)、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(以下MOPSと略記する)等であるが、その他の溶質を用いてもよい。また、これらの緩衝液を、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアルデヒド、N,N−ジメチルアセトアミド等の水と混合できる有機溶媒と混合して用いてもよい。
このようにして、ホスホリルコリン構造部分を側鎖に有するポリウレタン類とムコ多糖類とを複合化した場合には、特に、生体成分との接触初期においてムコ多糖類の働きによって、抗血栓性をより向上させることができる。また生体成分との接触が長期間となった場合にも、血液適合性に優れたホスホリルコリンの効果によって良好な抗血栓性が維持できる。すなわち、生体成分との接触初期から長期間接触後に至るまで、安定して良好な抗血栓性を発揮する材料が得られる。
抗血栓性材料
本発明のポリウレタン類は、優れた生体適合性を有し、長期間に亘って抗血栓性能を安定して発揮することができ、特に、血液適合性が要求される各種の医療用器具、機器類等の医療用具の素材、又はこれらの医療用具に対するコーティング剤等として有効に用いることができる。本発明のポリウレタン類をこの様な目的で用いることによって、血液適合性を有し、優れた抗血栓性能を安定して発揮できる医療用器具、機器類等を得ることができる。
本発明のポリウレタン類をコーティング剤又は素材として使用することができる、血液適合性が要求される各種の医療用器具、機器類等の医療用具の具体例としては、血液透析膜、血漿分離膜、血液中老廃物の吸着材、人工肺用の膜素材(血液と酸素の隔壁)や人工心肺におけるシート肺のシート材料、大動脈バルーン、血液バッグ、カテーテル、カニューレ、シャント、血液回路やステント等を挙げることができる。
本発明のポリウレタン類をコーティング剤として用いる場合には、通常、本発明のポリウレタン類を、THF、HMPA、NMP、NMF、DMF、DMAc、THF−メタノール混合溶液、THF−エタノール混合溶液、THF−プロパノール混合溶液等の有機溶剤に溶解し、塗布法、スプレー法、ディップ法等の適当な方法で、処理対象物に塗布すればよい。コーティング剤には、本発明のポリウレタン類の他に、必要に応じて、血液適合性が要求される各種の医療用具の材料として従来から使用されているポリマー材料、例えば、ポリエーテルウレタン、ポリウレタン、ポリウレタンウレア、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等を配合しても良い。コーティング剤中の本発明のポリウレタン類の濃度については、特に限定されるものではなく、使用するポリウレタン類の種類に応じて、有機溶媒中に可溶な範囲で適宜決めればよい。本発明のポリウレタン類を、他のポリマーと混合して用いる場合には、本発明のポリウレタン類の使用割合は、本発明のポリウレタン類と他のポリマーとの合計量を100重量%とした場合に、1〜99重量%程度とすることが好ましく、5〜80重量%程度とすることがより好ましい。
コーティング剤を塗布した後、有機溶媒を除去することによって、本発明のポリウレタン類によるコーティング層が形成される。有機溶媒を除去する方法については、特に限定はないが、例えば、好ましい方法として、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気下で20〜100℃程度で0.1〜180分間程度加熱乾燥した後、20〜100℃程度で0.1〜36時間程度減圧乾燥する方法を挙げることができる。
形成されるコーティング層の厚さは、特に限定されるものではないが、通常、0.1〜100μm程度、好ましくは0.5〜70μm程度とすればよい。コーティング層の厚さは、コーティング組成物中のポリマー濃度やコーティングの回数によって容易に調整できる。
コーティング層を形成する医療用具の材質については、特に限定はされないが、通常、上記した医療用具の材料として従来から使用されているポリマー材料が用いられる。
本発明のポリウレタン類を医療用具の素材として用いる場合には、本発明のポリウレタン類を単独で用いてもよく、或いは、要求される物性等に応じて、上述した血液適合性が要求される医療用具の材料として使用されているポリマー材料と混合して用いても良い。混合して用いる場合には、本発明のポリウレタン類の使用割合は、通常、本発明のポリウレタン類と他のポリマーとの合計量を100重量%とした場合に、1〜60重量%程度とすればよく、5〜50重量%程度とすることが好ましい。
本発明のポリウレタン類を素材として医療用具を得るには、それぞれの目的物に応じて、従来から行われている公知の方法で製造すればよい。
発明の効果
本発明のポリウレタン類は、良好な生体適合性を有し、生体成分との接触初期から長期接触後に至るまで優れた抗血栓性能を安定して発揮することができる。
本発明のポリウレタン類を、血液適合性が要求される医療用器具、機器類等の医療用具の素材、又はこれらの医療用具に対するコーティング剤として用いることによって、血液適合性を有し、優れた抗血栓性能を安定して、発揮できる医療用器具、機器類等の医療用具を得ることができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、実施例を用いて本発明を説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<製造例1>
上記一般式(9)において、R1=R4−(A)n−であり、R4=ブチル、A=オキシエチレン−オキシプロピレン共重合体、nは平均値4であるジオール(以下SEOと略記する)を以下の方法により製造した。
化学式R1OH(式中、R1=R4−(A)n−であり、R4=ブチル、A=オキシエチレン−オキシプロピレン共重合体、nは平均値4である)で表されるアルコール(HO(C2H4O)2(C3H6O)2C4H9)(三洋化成製、商標名:ニューポール 50HB−55)42.00g及びトリエチルアミン24.3mlをTHF70mlに溶解した溶液に、2−クロロ−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホラン(COP)25.00gをTHF150mlに溶解した溶液を、窒素気流中で、−200℃でゆっくり滴下し、滴下後、この反応溶液を−10℃で5時間窒素気流下で撹拌し、反応後、沈殿物(トリエチルアミン塩酸塩)を濾別し、濾液を減圧下留去し、残渣を減圧乾燥して、透明液体である下記式で表される化合物(式中、R1=R4−(A)n−であり、R4=ブチル、A=オキシエチレン−オキシプロピレン共重合体、nは平均値4である。以下、これをEOOPと略記する)を収率93%で得た。
化合物の同定:1H−NMRスペクトル(重クロロホルム,25℃,200MHz)δ/ppm:0.9(3H,t,CH 3 ),1.2(6H,d,CH 3 CHO),1.3(2H,m,CH 2 Me in Bu),1.6(2H,m,OCCH 2 ),3.5(16H,m,OCH 2 ,(C2 H 4 O)2(CH 2 CHMeO)2),4.3(4H,m,POCH 2 ).
IRスペクトル(neat):2900,2840(νCH),1235(νP=O),1050(νC-O-C),1020(ν-PO-C)cm-1.
次いで、得られたEOOPと4−(3−N,N−ジメチルアミノプロピル)−4−アザ−2,6−ジヒドロキシヘプタン(ADO)を、等モルずつ乾燥アセトニトリルに溶解させ、密閉反応器中で、65℃で24時間反応を行った。反応後、溶媒を減圧下留去し、残渣をシクロヘキサンで数回洗浄することによって、黄色粘稠液体であるSEOを収率87%で得た。
化合物の同定:1H−NMRスペクトル(重クロロホルム,25℃,200MHz)δ/ppm:0.8(3H,t,CH 3 in Oct),1.1(6H,d,CH 3 CH),1.2(6H,d,CH 3 CO),1.3(2H,m,CH 2 Me in Bu),1.7(4H,m,NCCH 2 ,CH 2 Et in Bu),3.2(3H,s,NCH 3 ),3.6−4.1(26H,m,CH 2 CCH 2 N,N+CH 2 CH 2 OP,OCH 2 ,(C2 H 4 O)2(CH 2 CHMeO)2),4.3(2H,m,CHOH).
IRスペクトル(neat):3300(νOH),2900(νCH),1220(νP=O),1050(νC-O-C),1040(ν-PO-C)cm-1.
<製造例2>
上記一般式(9)において、R1=オクチルである2−[3,7−ジアザ−3,3−ジメチル−7−(2−ヒドロキシプロピル)−9−ヒドロキシデシル]−2’−オクチルホスフェート(以下、SC8と略記する)を以下の方法で製造した。
オクタノール26.8ml及びトリエチルアミン23.6mlをTHF50mlに溶解した溶液に、COP24.10gをTHF100mlに溶解した溶液を、窒素気流中で、−20℃でゆっくり滴下し、滴下後、この反応溶液を−10℃で5時間窒素気流下で反応させた。反応後、沈殿物(トリエチルアミン塩酸塩)を濾別し、濾液を減圧下留去し、残渣を減圧乾燥して、無色透明液体である2−オクチルオキシ−2−オキソ−1,3,2−ホスホラン(OOP)を収率95%で得た。
化合物の同定:1H−NMRスペクトル(重クロロホルム,25℃,200MHz)δ/ppm:0.8(6H,t,CH 3 ),1.3(10H,s,OCC(CH 2 )5),1.7(2H,m,OCCH 2 ),4.1(2H,t,OCH 2 ),4.3(4H,m,POCH 2 ).
IRスペクトル(neat):2900,2840(νCH),1235(νP=O),1020(ν-PO-C)cm-1.
次いで、得られたOOPとADOを、等モルずつ乾燥アセトニトリルに溶解させ、密閉反応器中で、65℃で24時間反応を行った。反応後、溶媒を減圧下留去し、残渣をシクロヘキサンで数回洗浄することによって、黄色粘稠液体であるSC8を収率93%で得た。
化合物の同定:1H−NMRスペクトル(重クロロホルム,25℃,200 MHz)δ/ppm:0.8(3H,t,CH 3 ),1.1(6H,d,CH 3 CH),1.3(10H,s,OCC(CH 2 )5),1.6(2H,m,NCCH 2 ),1.7(2H,m,OCCH 2 in Oct),3.2(3H,s,NCH 3 ),3.6−4.1(14H,m,CH 2 NCH 2 CCH 2 N,NCH 2 CH 2 OPOCH 2 ),4.3(2H,m,CHOH).
IRスペクトル(neat):3300(νOH),2900(νCH),1220(νP=O),1040(ν-PO-C)cm-1.
<製造例3>
製造例2で用いたADOに代えて、2−N,N−ジメチルアミノメチル−2−メチル−1,3−プロパンジオールを用いる以外は、製造例2と同様にして、黄色粘稠液体である2−(3−アザ−3,3−ジメチル−5,5−ビスヒドロキシメチル−ヘキシル)−2’−オクチルホスフェートを収率89%で得た。
化合物の同定:1H−NMRスペクトル(重クロロホルム,25℃,200MHz)δ/ppm:0.8(3H,t,CH 3 in Oct),1.2(3H,s,CCH 3 ),1.3(10H,s,OCC(CH 2 )5),1.7(2H,m,OCCH 2 ),3.2(3H,s,NCH 3 ),3.6−4.1(12H,m,CH 2 N+CH 2 CH 2 OPOCH 2 ),4.3(2H,m,CHOH).
IRスペクトル(neat):3300(νOH),2900(νCH),1220(νP=O),1040(ν-PO-C)cm-1.
<実施例1>
製造例1で得たSEO 7.90g、ポリテトラメチレングリコール(平均分子量1300)(以下PTMGと略記する)20.28g、及びブタンジオール(以下BDと略記する)3.64gを、DMAc 70mlに溶解させた。この溶液に4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(以下HMDIと略記する)18.36gをDMAc 30mlに溶解した溶液を、アルゴンガスによって反応器内を充分に置換した後、ゆっくり滴下した。滴下後、100℃24時間攪拌し、重合を行った。この反応混合物を水 1500mlに攪拌しながら注ぎ込み、生成した沈澱物を濾別し、テトラヒドロフラン(以下THFと略記する)に溶解し、さらに50vol%メタノール水溶液に攪拌しながら注ぎ込み、生じた沈澱物を回収して減圧乾燥し、重合体Aを得た。得られた重合体Aの重量平均分子量は、123,000であった。
この共重合体AをTHFに溶解して5%溶液とした。この溶液20gを水平に保った12cm×12cmのガラス板上に均一に載せ、40℃で8時間窒素気流下で乾燥後、40℃で減圧乾燥を15時間行ない、厚さ約60μmのフィルムA1を得た。
このフィルムでの血漿相対凝固時間の測定を以下の方法で行った。
フィルムA1を直径約3cmの円形に切り抜き、直径10cmの時計皿の中央にはりつけた。このフィルム上にウサギ(日本白色種)のクエン酸加血漿200μlを取り、0.025mol/lの塩化カルシウム水溶液200μlを加え、時計皿を37℃の恒温槽に浮かせながら液が混和するように穏やかに振盪した。塩化カルシウム水溶液を添加した時点から血漿が凝固する(血漿が動かなくなる時点)までの経過時間を測定し、同様の操作をガラス上で行った場合の血漿凝固に要した時間で割り、相対凝固時間として表した。
重合体A溶液をTHFで希釈して1%とし、この溶液に40〜60メッシュのガラスビーズを30分浸漬した後ガラスフィルターで濾過し、窒素気流下40℃で8時間、40℃で減圧乾燥を15時間行ってガラスビーズ表面に重合体Aをコートして、コーティングビーズA1を得た。ヒト血清のPBS2倍希釈液1mlにこのコーティングビーズA1 100mgを浸漬し、穏やかに振盪しながら37℃で30分間インキュベートした。この液をサンプルとしてMayer法(Mayer,M.M.,”Complement and Complement fixation” Experimental Immunochemistry 2nd Ed.p.133−240,C.C.Thomas Publisher,1961)により溶血補体価(CH50)を測定した。結果はビーズを加えない前記希釈血清1mlにおける補体価を100%とし、百分率によって表1に示す。
フィルムA1をPBS緩衝液に浸漬し、37℃の振盪恒温槽で2週間にわたって溶出を行い、フィルムA2を得た。PBS緩衝液は毎日交換した。フィルムA1と同様の方法でフィルムA2での血漿相対凝固時間について評価を行った。結果は表1に示す。
重合体AのTHF2%溶液を調製し、これに既存の人工肺用ポリプロピレン製多孔質ホローファイバーを浸漬して引き揚げ、40℃で12時間乾燥することによってコーティングを行い、ホローファイバーA1を得た。
このホローファイバーA1を使用しin vivoで抗血栓性を評価した。実験方法は次の通りである。
ペントバルビタール麻酔下でウサギ(日本白色種、♂、2.5〜3.0kg)の大腿静脈を剥離して、末梢側を糸で結紮し、糸から2〜3cmのところを血管鉗子でクランプした。結紮部分の中枢側を眼下剪刀で血管径の1/4〜1/3切り、そこから試料であるホローファイバーを10cm、中枢側に向かって挿入した。挿入位置から1cmほどのところで、血管外に出ているホローファイバーの端部を縫いつけ、ホローファイバーが流されるのを防止した。切開部分を縫合し、抗生物質を投与して、以後試料を取り出すまで1ヶ月間にわたって飼育した。1ヶ月間後、ヘパリン化ペントバルビタールで麻酔下、正中切開を施し、腹部大動脈より適当なチューブを用いて脱血してウサギを犠死させた後、ホローファイバーを挿入した部分の血管を切断した。血管を切開してホローファイバーと血管内部を写真に撮るとともに、目視で観察し5段階評価を行った。結果は表1に示す。
表1におけるin vivo抗血栓性の5段階評価とは次の通りである。
a:血小板凝集、血栓生成、フィブリン生成いずれも観察されない。
b:フィブリン生成又は血小板凝集は見られるが血栓生成は観察されない。
c:フィブリン生成又は血小板凝集が見られ血栓生成がわずかに観察される。
d:フィブリン生成又は血小板凝集が見られ血栓生成がかなり観察される。
e:フィブリン生成又は血小板凝集が見られ大量の血栓生成が観察される。
<実施例2>
SEO 7.901g、PTMG 13.52g及びBD 4.11gをDMAc 70mlに溶解させた。この溶液にHMDI 18.36gをDMAc 30mlに溶解した溶液を実施例1と同様の条件で滴下した。また、その他の実験操作は実施例1と同様の方法で行い、重合体Bを得た。得られた重合体Bの重量平均分子量は、104.000であった。
実施例1と同様の方法で重合体BからフィルムB1、コーティングビーズB1及びホロファイバーB1を得た。
また、実施例1と同様の方法でこれらの試料について血漿相対凝固時間、補体価、in vivo抗血栓性を測定した。結果を下記表1に示す。
さらに、フィルムB1のPBS緩衝液溶出を実施し、得られた溶出フィルムB2の血漿相対凝固時間についても測定した。結果は下記表1に示す。
<実施例3>
SEO 7.90g、N−{N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミノ}プロピレン−N,N−ジメチルアンモニウムクロライド(以下ADO−Clと略記する)1.88g、PTMG 20.80g及びBD 3.97g、をDMAc 70mlに溶解させた。この溶液にHMDI 18.36gをDMAc 30mlに溶解した溶液を実施例1と同様の条件で滴下した。また、その他の実験操作は実施例1と同様の方法で行い、重合体Cを得た。得られた重合体Cの重量平均分子量は、95,000であった。
実施例1と同様の方法で重合体CからフィルムC1を得た。この試料について、実施例1と同様の方法で血漿相対凝固時間を測定した。
また、実施例1と同様の方法で重合体Cから得たフィルムC1、コーティングビーズC1及びホローファイバーC1のそれぞれを1%ヘパリンナトリウムPBS緩衝液溶液200mlに25℃で24時間浸漬し、フィルムC2、コーティングビーズC2及びホローファイバーC2を得た。これらの試料について、実施例1と同様の方法で血漿相対凝固時間、補体価、in vivo抗血栓性を測定した。
さらに、フィルムC1、C2のPBS緩衝液溶出を実施し、それぞれから得られた溶出フィルムC3、C4の血漿相対凝固時間についても測定した。
以上の結果を下記表1に示す。
<実施例4>
SEO 7.90g、ADO−Cl 0.94g、PTMG 20.41g及びBD 3.32gを、DMAc 70mlに溶解させた。この溶液にHMDI 18.36gをDMAc 30mlに溶解した溶液を実施例1と同様の条件で滴下した。また、その他の実験操作は実施例1と同様の方法で行い、重合体Dを得た。得られた重合体Dの重量平均分子量は、76,000であった。
実施例1と同様の方法で重合体DからフィルムD1を得た。この試料について、実施例1と同様の方法で血漿相対凝固時間を測定した。
また、実施例1と同様の方法で重合体Dから得たフィルムD1、コーティングビーズD1及びホローファイバーD1のそれぞれを1%ヘパリンナトリウムPBS緩衝液溶液200mlに25℃で24時間浸漬し、フィルムD2、コーティングビーズD2及びホローファイバーD2を得た。これらの試料について、実施例1と同様の方法で血漿相対凝固時間、補体価、in vivo抗血栓性を測定した。
さらに、フィルムD1、D2のPBS緩衝液溶出を実施し、それぞれから得られた溶出フィルムD3、D4の血漿相対凝固時間についても測定した。
以上の結果を下記表1に示す。
<実施例5>
SEO 7.90g、N,N−ジメチル−N,N−ジエタノールアンモニウムクロライド(以下MDEA−Clと略記する)0.59g、PTMG 20.15g及びBD 3.34gをDMAc 70mlに溶解させた。この溶液にHMDI 18.36gをDMAc 30mlに溶解した溶液を実施例1と同様の条件で滴下した。また、その他の実験操作は実施例1と同様の方法で行い、重合体Eを得た。得られた重合体Eの重量平均分子量は、147,000であった。
実施例1と同様の方法で重合体EからフィルムE1を得た。この試料について、実施例1と同様の方法で血漿相対凝固時間を測定した。
また、実施例1と同様の方法で重合体Eから得たフィルムE1、コーティングビーズE1及びホローファイバーE1のそれぞれを1%ヘパリンナトリウムPBS緩衝液溶液200mlに25℃で24時間浸漬し、フィルムE2、コーティングビーズE2及びホローファイバーE2を得た。これらの試料について、実施例1と同様の方法で血漿相対凝固時間、補体価、in vivo抗血栓性を測定した。
さらに、フィルムE1、E2のPBS緩衝液溶出を実施し、それぞれから得られた溶出フィルムE3、E4の血漿相対凝固時間についても測定した。
以上の結果を下記表1に示す。
<実施例6>
SEO 3.95g、PTMG 17.81g及びBD 4.44gを、DMAc 70mlに溶解させた。この溶液にHMDI 18.36gをDMAc 30mlに溶解した溶液を実施例1と同様の条件で滴下した。また、その他の実験操作は実施例1と同様の方法で行い、重合体Fを得た。得られた重合体Fの重量平均分子量は、94,000であった。
実施例1と同様の方法で重合体FからフィルムF1、コーティングビーズF1及びホロファイバーF1を得た。
また、実施例1と同様の方法でこれらの試料について血漿相対凝固時間、補体価、in vivo抗血栓性を測定した。結果を下記表1に示す。
さらに、フィルムF1のPBS緩衝液溶出を実施し、得られた溶出フィルムF2の血漿相対凝固時間についても測定した。結果は下記表1に示す。
<実施例7>
SEO 3.95g、ADO−Cl 0.94g、PTMG 18.20g及びBD 4.10gを、DMAc 70mlに溶解させた。この溶液にHMDI 18.36gをDMAc 30mlに溶解した溶液を実施例1と同様の条件で滴下した。また、その他の実験操作は実施例1と同様の方法で行い、重合体Gを得た。得られた重合体Gの重量平均分子量は、83,000であった。
実施例1と同様の方法で重合体GからフィルムG1を得た。この試料について、実施例1と同様の方法で血漿相対凝固時間を測定した。
また、実施例1と同様の方法で重合体Gから得たフィルムG1、コーティングビーズG1及びホローファイバーG1のそれぞれを1%ヘパリンナトリウムPBS緩衝液溶液200mlに25℃で24時間浸漬し、フィルムG2、コーティングビーズG2及びホローファイバーG2を得た。これらの試料について、実施例1と同様の方法で血漿相対凝固時間、補体価、in vivo抗血栓性を測定した。
さらに、フィルムG1、G2のPBS緩衝液溶出を実施し、それぞれから得られた溶出フィルムG3、G4の血漿相対凝固時間についても測定した。
以上の結果を下記表1に示す。
<実施例8>
製造例2で得たSC8 9.55g、PTMG 20.54g及びBD 2.99gを、DMAc 70mlに溶解させた。この溶液にHMDI 18.36gをDMAc 30mlに溶解した溶液を実施例1と同様の条件で滴下した。また、その他の実験操作は実施例1と同様の方法で行い、重合体Hを得た。得られた重合体Hの重量平均分子量は、132,000であった。
実施例1と同様の方法で重合体HからフィルムH1、コーティングビーズH1及びホロファイバーH1を得た。
また、実施例1と同様の方法でこれらの試料について血漿相対凝固時間、補体価、in vivo抗血栓性を測定した。結果を下記表1に示す。
さらに、フィルムH1のPBS緩衝液溶出を実施し、得られた溶出フィルムH2の血漿相対凝固時間についても測定した。結果は下記表1に示す。
<実施例9>
SC8 9.55g、PTMG 13.39g及びBD 3.49gを、DMAc70mlに溶解させた。この溶液にHMDI 18.36gをDMAc 30mlに溶解した溶液を実施例1と同様の条件で滴下した。また、その他の実験操作は実施例1と同様の方法で行い、重合体Iを得た。得られた重合体Iの重量平均分子量は、68,000であった。
実施例1と同様の方法で重合体IからフィルムI1、コーティングビーズI1及びホロファイバーI1を得た。
また、実施例1と同様の方法でこれらの試料について血漿相対凝固時間、補体価、in vivo抗血栓性を測定した。結果を下記表1に示す。
さらに、フィルムI1のPBS緩衝液溶出を実施し、得られた溶出フィルムI2の血漿相対凝固時間についても測定した。結果は下記表1に示す。
<実施例10>
SC8 9.55g、ADO−Cl 0.94g、PTMG 21.06g及びBD 2.64gを、DMAc 70mlに溶解させた。この溶液にHMDI 18.36gをDMAc 30mlに溶解した溶液を実施例1と同様の条件で滴下した。また、その他の実験操作は実施例1と同様の方法で行い、重合体Jを得た。得られた重合体Jの重量平均分子量は、88,000であった。
実施例1と同様の方法で重合体JからフィルムJ1を得た。この試料について、実施例1と同様の方法で血漿相対凝固時間を測定した。
また、実施例1と同様の方法で重合体Jから得たフィルムJ1、コーティングビーズJ1及びホローファイバーJ1のそれぞれを1%ヘパリンナトリウムPBS緩衝液溶液200mlに25℃で24時間浸漬し、フィルムJ2、コーティングビーズJ2及びホローファイバーJ2を得た。これらの試料について、実施例1と同様の方法で血漿相対凝固時間、補体価、in vivo抗血栓性を測定した。
さらに、フィルムJ1、J2のPBS緩衝液溶出を実施し、それぞれから得られた溶出フィルムJ3、J4の血漿相対凝固時間についても測定した。
以上の結果を下記表1に示す。
<実施例11>
SC8 3.18g、PTMG 17.29g及びBD 4.48gを、DMAc 70mlに溶解させた。この溶液にHMDI 18.36gをDMAc 30mlに溶解した溶液を実施例1と同様の条件で滴下した。また、その他の実験操作は実施例1と同様の方法で行い、重合体Kを得た。得られた重合体Kの重量平均分子量は、114,000であった。
実施例1と同様の方法で重合体KからフィルムK1、コーティングビーズK1及びホロファイバーK1を得た。
また、実施例1と同様の方法でこれらの試料について血漿相対凝固時間、補体価、in vivo抗血栓性を測定した。結果を下記表1に示す。
さらに、フィルムK1のPBS緩衝液溶出を実施し、得られた溶出フィルムK2の血漿相対凝固時間についても測定した。結果は下記表1に示す。
<実施例12>
SC8 3.18g、ADO−Cl 0.94g、PTMG 17.68g及びBD 4.14gを、DMAc 70mlに溶解させた。この溶液にHMDI 18.36gをDMAc 30mlに溶解した溶液を実施例1と同様の条件で滴下した。また、その他の実験操作は実施例1と同様の方法で行い、重合体Lを得た。得られた重合体Lの重量平均分子量は、165,000であった。
実施例1と同様の方法で重合体LからフィルムL1を得た。この試料について、実施例1と同様の方法で血漿相対凝固時間を測定した。
また、実施例1と同様の方法で重合体Lから得たフィルムL1、コーティングビーズL1及びホローファイバーL1のそれぞれを1%ヘパリンナトリウムPBS緩衝液溶液200mlに25℃で24時間浸漬し、フィルムL2、コーティングビーズL2及びホローファイバーL2を得た。これらの試料について、実施例1と同様の方法で血漿相対凝固時間、補体価、in vivo抗血栓性を測定した。
さらに、フィルムL1、L2のPBS緩衝液溶出を実施し、それぞれから得られた溶出フィルムL3、L4の血漿相対凝固時間についても測定した。
以上の結果を下記表1に示す。
<比較例1>
上記一般式(10)において、R1=オクチルである2−[ビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニオ]エチル−2’−オクチルホスフェート(以下MC8と略記する。)7.46g、PTMG 19.24g及びBD 3.08gを、DMAc 70mlに溶解させた。この溶液にHMDI 18.36gをDMAc 30mlに溶解した溶液を実施例1と同様の条件で滴下した。また、その他の実験操作は実施例1と同様の方法で行い、重合体Mを得た。得られた重合体Mの重量平均分子量は、89,000であった。
実施例1と同様の方法で重合体MからフィルムM1、コーティングビーズM1及びホロファイバーM1を得た。
また、実施例1と同様の方法でこれらの試料について血漿相対凝固時間、補体価、in vivo抗血栓性を測定した。結果を下記表1に示す。
さらに、フィルムM1のPBS緩衝液溶出を実施し、得られた溶出フィルムM2の血漿相対凝固時間についても測定した。結果は下記表1に示す。
<比較例2>
MC8 7.46g、MDEA−Cl 0.59g、PTMG 19.50g及びBD 2.75gを、DMAc 70mlに溶解させた。この溶液にHMDI 18.36gをDMAc 30mlに溶解した溶液を実施例1と同様の条件で滴下した。また、その他の実験操作は実施例1と同様の方法で行い、重合体Nを得た。得られた重合体Nの重量平均分子量は、79,000であった。
実施例1と同様の方法で重合体NからフィルムN1を得た。この試料について、実施例1と同様の方法で血漿相対凝固時間を測定した。
また、実施例1と同様の方法で重合体Nから得たフィルムN1、コーティングビーズN1及びホローファイバーN1のそれぞれを1%ヘパリンナトリウムPBS緩衝液溶液200mlに25℃で24時間浸漬し、フィルムN2、コーティングビーズN2及びホローファイバーN2を得た。これらの試料について、実施例1と同様の方法で血漿相対凝固時間、補体価、in vivo抗血栓性を測定した。
さらに、フィルムN1、N2のPBS緩衝液溶出を実施し、それぞれから得られた溶出フィルムN3、N4の血漿相対凝固時間についても測定した。
以上の結果を下記表1に示す。
<比較例3>
MC8 2.49g、PTMG 16.90g及びBD 4.51gを、DMAc 70mlに溶解させた。この溶液にHMDI 18.36gをDMAc 30mlに溶解した溶液を実施例1と同様の条件で滴下した。また、その他の実験操作は実施例1と同様の方法で行い、重合体Oを得た。得られた重合体Oの重量平均分子量は、152,000であった。
実施例1と同様の方法で重合体OからフィルムO1、コーティングビーズO1及びホロファイバーO1を得た。
また、実施例1と同様の方法でこれらの試料について血漿相対凝固時間、補体価、in vivo抗血栓性を測定した。結果を下記表1に示す。
さらに、フィルムO1のPBS緩衝液溶出を実施し、得られた溶出フィルムO2の血漿相対凝固時間についても測定した。結果は下記表1に示す。
<比較例4>
MC8 2.49g、MDEA−Cl 0.59g、PTMG 17.03g及びBD 4.18gを、DMAc 70mlに溶解させた。この溶液にHMDI 18.36gをDMAc 30mlに溶解した溶液を実施例1と同様の条件で滴下した。また、その他の実験操作は実施例1と同様の方法で行い、重合体Pを得た。得られた重合体Pの重量平均分子量は、102,000であった。
実施例1と同様の方法で重合体PからフィルムP1を得た。この試料について、実施例1と同様の方法で血漿相対凝固時間を測定した。
また、実施例1と同様の方法で重合体Pから得たフィルムP1、コーティングビーズP1及びホローファイバーP1のそれぞれを1%ヘパリンナトリウムPBS緩衝液溶液200mlに25℃で24時間浸漬し、フィルムP2、コーティングビーズP2及びホローファイバーP2を得た。これらの試料について、実施例1と同様の方法で血漿相対凝固時間、補体価、in vivo抗血栓性を測定した。
さらに、フィルムP1、P2のPBS緩衝液溶出を実施し、それぞれから得られた溶出フィルムP3、P4の血漿相対凝固時間についても測定した。
以上の結果を下記表1に示す。
<比較例5>
医療用ポリウレタンとして広く使用されている市販のTecoflex(Thermedics社製)を用いて、実施例1と同様の方法でフィルムQ1、コーティングビーズQ1及びホロファイバーQ1を得た。
また、実施例1と同様の方法でこれらの試料について血漿相対凝固時間、補体価、in vivo抗血栓性を測定した。結果を下記表1に示す。
さらに、フィルムQ1のPBS緩衝液溶出を実施し、得られた溶出フィルムQ2の血漿相対凝固時間についても測定した。結果は下記表1に示す。
表1に示した結果から分かるように、本発明のポリウレタン類から成形したフィルムは、優れた抗血栓性を示しており、1ヶ月間血管内に留置後も性能が維持されている。
また、実施例1と6又は実施例8と11を比べて見るとポリマー中のホスホリルコリン含量が異なるため、抗血栓性に差がみられた。これに加えて、ホスホリルコリンを側鎖ではなく主鎖に有する比較例1〜4の材料は、構造中にホスホリルコリンを含有するため、比較例5と比べると抗血栓性は向上している。これら2点の結果は、ホスホリルコリンが材料への抗血栓性の付与に大きく関与していることを明確にしている。また、実施例1〜12と比較例1〜4を比較すると、主鎖中にホスホリルコリンを含有するよりも、側鎖中にホスホリルコリンを含有する方がその抗血栓が著しく向上することが明らかである。これは、ホスホリルコリンを側鎖中に含むことにより、主鎖中に含まれる場合に比べ高分子鎖に抑制されることなく性能を効率よく発揮していることによると考えられる。さらに、一般式(9)のR1にポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル基を有する実施例1〜7で得た重合体とR1がアルキル基である実施例8〜12で得た重合体を比較すると、実施例1〜5で得た重合体は、ホスホリルコリン誘導体の含量が実施例8で得た重合体より少ないにもかかわらず、その抗血栓性は実施例8で得た重合体より優れている。この結果は、実施例1〜7で得た重合体は、親水性基であるポリオキシアルキレン基を有するため、その抗血栓性が向上したことによるものと考えられる。
さらに、実施例3〜5に示した様に第4級アンモニウムカチオンを含有し、ヘパリンを付与した場合、それらの初期の抗血栓性は著しく向上する。しかし、これらの材料を37℃で2週間PBS緩衝液溶出した材料の抗血栓性はヘパリンを付与していない材料と同程度まで低下する。これは材料に付与されていたヘパリンがPBS緩衝液に溶出してしまい、そのヘパリンの効果がなくなっていることを意味する。しかし、ヘパリンが溶出してしまった後の材料はヘパリンを付与していない材料と同程度の抗血栓性を発揮していることはホスホリルコリンがこの抗血栓性維持に寄与しているためであろう。加えて、実施例3と4においてヘパリンと静電的相互作用する第4級アンモニウムカチオンの含有量に差があるにもかかわらず、抗血栓性の差が見られないことより、第4級アンモニウムカチオンが少量でも十分にヘパリンと錯化し、初期の抗血栓性を向上させることができるとことが判る。同様な結果は比較例にも見られることからもそのヘパリンの効果については血液との接触後短期間のみの効果であると考えられる。
実施例1と2では、ソフトセグメントであるPTMGの含量が異なるが、これらの含量は抗血栓能には影響がないことが伺える。
以上の結果より、本発明のポリウレタン類は、側鎖にホスホリルコリン構造を含むことによって、PBS緩衝液2週間溶出後およびウサギ大腿静脈内留置1ヶ月後も安定した抗血栓性を発揮できることが明らかであり、特に、側鎖末端に親水性基であるポリオキシアルキレン基を導入した場合には、親水性化の効果によって、特に優れた抗血栓性を発揮できることが判る。
Claims (13)
- 一般式(1)
[式中、R1は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、又は下記基
R4−(A)n−
(式中、Aは炭素数2〜10のオキシアルキレン基であり、1種又は2種以上が混在してもよく、結合順はブロックでもランダムでもよい。また、nは1から30の整数である。R4は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基である。)である。また、R2及びR3は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基であり、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。]で表されるホスホリルコリン構造を側鎖に含む生体適合性を有するポリウレタン又はポリウレタンウレア。 - ポリマー1.0gに対して、一般式(1)で表されるホスホリルコリン構造に由来するリンを0.03〜3.00ミリモル含む請求項1に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
- (A)(i)下記一般式(1)
[式中、R1は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、又は下記基
R4−(A)n−
(式中、Aは炭素数2〜10のオキシアルキレン基であり、1種又は2種以上が混在してもよく、結合順はブロックでもランダムでもよい。また、nは1から30の整数である。R4は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基である。)である。また、R2及びR3は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基であり、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。]で表されるホスホリルコリン構造を含むジオール0.1〜50モル%、
(ii)ポリマージオール1〜40モル%、
(iii)鎖伸長剤1〜90モル%、並びに
(iv)その他の活性水素含有化合物30モル%以下
を含み、(i)〜(iv)の成分の合計量が100モル%である活性水素含有化合物と、
(B)ジイソシアネート化合物
とを反応させて得られる請求項1に記載の生体適合性を有するポリウレタン又はポリウレタンポリウレア。 - 一般式(1)で表されるホスホリルコリン構造を含むジオールが、下記式(2)及び(3)で表される化合物から選ばれた少なくとも一種である請求項3に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア:
[上記式(2)及び(3)において、R1は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、又は下記基
R4−(A)n−
(式中、Aは炭素数2〜10のオキシアルキレン基であり、1種又は2種以上が混在してもよく、結合順はブロックでもランダムでもよい。また、nは1から30の整数である。R4は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基である。)である。また、R2及びR3は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基であり、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。R5及びR6は炭素数2〜10のアルキレン基であり、R5とR6はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。mは1〜10の整数である。また、式(3)におけるR7は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基である。]。 - 下記一般式(4)
(式中、R8、R9及びR10は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基であり、R8、R9及びR10はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。さらに、R8、R9及びR10のうちいずれか1つが水素原子であってもよい。Xはアニオン性基又はアニオン性化合物である。)で表される第4級アンモニウム基を側鎖に含むか、又は下記一般式(5)
(式中、R8及びR9は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基であり、R8及びR9はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。さらに、R8及びR9のうちいずれか1つが水素原子であってもよい。Xはアニオン性基又はアニオン性化合物である。)で表される第4級アンモニウム基を主鎖に含む請求項1に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。 - (iv)その他の活性水素含有化合物の一部又は全部として、下記式(6)〜(8)で表される第4級アンモニウム基を含むジオールの少なくとも一種を用い、これらのジオールの使用量が、活性水素含有化合物の全量を100モル%とした場合に、0.1モル%以上である請求項3に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア:
[式(6)〜(8)において、R8、R9及びR10は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基であり、R8、R9及びR10はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。さらに、R8、R9及びR10のうちいずれか1つが水素原子であってもよい。Xはアニオン性基又はアニオン性化合物である。R11及びR12は炭素数2〜10のアルキレン基であり、R11とR12はそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、R13は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基であり、pは2〜10の整数である。]。 - 重量平均分子量が3,000〜8,000,000である請求項1〜6のいずれかに記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
- アンモニウム基の少なくとも一部がムコ多糖類とイオン複合体を形成している請求項5又は6に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
- ムコ多糖類がヘパリンである請求項8に記載のポリウレタン又はポリウレタンウレア。
- 請求項1〜9のいずれかに記載のポリウレタン又はポリウレタンウレアを有機溶媒中に含む抗血栓性コーティング剤。
- 請求項1〜9のいずれかに記載のポリウレタン又はポリウレタンウレアを有効成分とする抗血栓性医療用具用材料。
- 請求項10に記載の抗血栓性コーティング剤によるコーティング層を有する抗血栓性医療用具。
- 請求項11に記載の抗血栓性医療用具用材料を用いて形成された抗血栓性医療用具。
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