JP4039078B2 - 印刷校正用インクジェット記録媒体の製造方法 - Google Patents

印刷校正用インクジェット記録媒体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録方式を利用した、印刷校正に使用されるインクジェット記録媒体及びその製造方法である。更に詳しくは、インクジェット記録方式により得られる画像が、印刷用紙に製版方式による校正印刷で得られる画像と仕上がり状態を類似させた、印刷校正用に適したインクジェット記録媒体およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、インクジェットプリンタのヘッドから、微小液滴を吐出させて、紙やフィルム上に画像を形成するものである。近年、その画像形成機構の単純さに加え、吐出される液滴の微小化、ドットの高解像度化をはじめ、記録される画像や文字の鮮明性、高速化、低騒音、ドット濃度が高いこと、また記録される色再現範囲が拡がっていることなどから、様々な用途に急速に普及している。
【0003】
一般家庭において、年賀状など葉書の文面や画像を記録するのにインクジェットプリンタを用いたり、デジタルカメラで記録された画像をインクジェットプリンタで出力するのはその一例である。
また、街中にある商業用看板がインクジェットプリンタから出力されたものであるなど、その用途はパーソナルユースのみならず、業務用にも拡大しつつある。
【0004】
しかしながら、これら記録媒体の性能が向上すると共に様々な用途に普及しつつある中で、印刷校正用途として十分満足するようなインクジェット記録媒体は未だに得られていないのが現状である。その理由として、インクジェット記録媒体を印刷校正用として用いるには、インク吸収性などのインクジェット記録媒体としての性能は勿論、所望する印刷用紙の色相、明度、地合、光沢等の風合いを考慮することをはじめ、インクジェット記録部の画像に、印刷物と同等の質感を持たせなければならないからである。
【0005】
インクジェット記録媒体を印刷校正用途として用いるには、オフセット印刷やグラビア印刷で得られる色再現範囲をカバーすることが必須であるが、これを達成するには通常、高発色が得られるようにインク受容層の材料を設計したり、所望する色再現範囲をカバーできる量のインクをインクジェットプリンタから吐出させることが考えられる。
一般的に、オフセット印刷やグラビア印刷の色再現範囲をカバーするには、一般家庭やオフィスで通常使用するインク量よりもかなり多くのインキを吐出させる必要がある。従って、インクジェット記録媒体には、印刷の色再現範囲をカバーできる量の、インクを吸収する性能が第一に求められるが、上述したデジタルカメラなどの出力体に使用されるような光沢紙では、十分なインク吸収性を有するものはなく、マットタイプの一部のものしか満足するものがないというのが現状である。
【0006】
従来の光沢紙のような、十分なインク吸収性を有さないインクジェット記録媒体に対し、所望する印刷の色再現範囲をカバーできる量のインクをインクジェットプリンタから吐出させると、滲みや乾燥不良といった問題が生じるだけでなく、2色以上の液滴が重なることで、ビーディングと呼ばれる色ムラが生じ、とても印刷校正用として使用することはできない。
【0007】
また仮に、印刷の色再現範囲をカバーできる量のインクを吸収できたとしても、光沢紙へのインクジェット記録によって得られるものは、見た目には非常に綺麗であるが、オフセット印刷、或いはグラビア印刷より得られる印刷調の画像ではなく、銀塩写真調の画像であり、さらに光沢紙自体の表面が非常に高光沢なため、印刷用紙の風合いとは大きく異なり、仕上がり感が明らかに異なるため印刷校正用としては使用することは不可能である。
【0008】
一方、印刷の色再現範囲をカバーできる量のインクを吸収できる、マットタイプに関しては、確かにインクの吸収自体は問題ないが、インクジェット記録によって得られる画像は、マットタイプ特有の白抜けや色むら、さらにインク中の発色成分の浸透に伴う濃度低下が発生し、印刷校正用としては、使用することは不可能である。
【0009】
ところで、昨今、印刷校正用として市販されているインクジェット記録媒体が一部存在するが、印刷の色再現範囲を十分にカバーするだけのインク吸収性を有するものは皆無であり、そのような記録媒体は、インク中の溶媒を吸収させることを目的とするインク受容層や、インク中の染料を選択的に捕捉させるインク受容層を設けるなど、基材上に複数の層を積層するのが一般的である。
そのため、基材上に各層を積層するごとに表面の荒れが大きくなってしまい、インクジェット記録媒体表面はかなり荒れたものとなっている。このインクジェット記録媒体表面の荒れは、うねりやギラツキとして現れ、このうねりやギラツキは、記録媒体の質感全体に影響を及ぼす。つまりインクジェット記録媒体表面の凹凸が大きいことで、これら記録媒体と印刷用紙とは風合いが異なるばかりでなく、インクジェット記録により得られる画質は、このうねりやギラツキで非常に劣ったものに見え、印刷物の質感とは大きく異なるものとなり、印刷校正用として使用することは不可能である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、印刷用紙への製版方式による印刷仕上がりを忠実に再現することが可能な、印刷校正に適したインクジェット記録媒体およびその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、JIS P8117で規定される透気度が10〜300秒/100ccである、パルプを主成分とする紙からなる基材上に、少なくともバインダと顔料を含む塗液を塗工、乾燥し、インク受容層を成膜する工程と、転写用基材上に乾式シリカと水溶性樹脂を含む塗液を塗工する工程と、前記インク受容層が成膜された基材の成膜面と、前記乾式シリカと水溶性樹脂を含む塗液を塗工した転写基材の塗工面を貼り合わせる工程と、前記貼り合わされた基材を乾燥する工程と、前記転写基材を剥離し、前記インク受容層表面に前記乾式シリカと前記水溶性樹脂を主成分とする最表層のインク受容層を形成する工程とを備えることを特徴とする2層以上のインク受容層を有する印刷校正用インクジェット記録媒体の製造方法である。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記転写基材がマットフィルムであり、且つ、製造されるインクジェット記録媒体表面がJIS Z8741で規定される60゜鏡面光沢度で5〜40%であることを特徴とする請求項1記載の印刷校正用インクジェット記録媒体の製造方法である。
【0013】
請求項3に記載の発明は、前記パルプを主成分とする紙が、坪量を127.9g/mとした場合のJIS P8122で規定されるステキヒトサイズ度で50秒以上であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の印刷校正用インクジェット記録媒体の製造方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の印刷校正用インクジェット記録媒体及び製造方法を詳細に説明する。
【0017】
本発明に用いる基材としては、特に限定されるものでなく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、セロハン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルなどのプラスチックフィルム類、LBKP、LBSP、LDP、NBKP、NBSP、NDPなどの化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGPなどの機械パルプ、DIPなどの古紙パルプなどのパルプを主成分とする紙類、綿、麻、絹或いは化学繊維などからなる布類、さらにそれらを貼り合わせた積層材、のいずれかを使用することができる。その中でもパルプを主成分とする紙を基材として使用するのが好ましく、その理由は、容易に印刷用紙の風合いを得られるためである。
【0018】
また、前記紙として、パルプを主成分とする紙が、JIS P8117で規定される透気度で10〜300秒/100ccであることがより好ましく、その理由は、インク受容層最表層を転写用基材上に予め塗工された後、乾燥前に、基材上に予め成膜された少なくとも1層以上よりなるインク受容層に重ね合わせ、その後乾燥し、前記転写用基材を剥離するといういわゆるウェット転写法によりインク受容層を形成する場合、乾燥の際、蒸気が基材を通過する必要があり、300秒/100cc以下にすることで作業性がより容易になるためである。同時に、基材へのインク受容層の塗工する場合、10秒/100cc未満では、作業性が著しく低下するためである。
【0019】
またさらに、パルプを主成分とする紙が、坪量を127.9g/m2とした場合の、JIS P8122で規定されるステキヒトサイズ度で50秒以上であることがより好ましく、その理由は、基材へのインク受容層の塗工を容易にするばかりではなく、得られる印刷校正用インクジェット記録媒体にインクジェット記録を実施した際に、コックリングといわれる基材自身のインク吸収が原因とするうねりやボコツキを発生し辛くするためである。
【0020】
最表層以外のインク受容層は、市販のインクジェット記録装置に使用される色素成分を含むインクに対して、高吸収性、色再現性及び高精細性などの特性を満足する顔料及びバインダを主成分とする組成物により形成することができる。
【0021】
最表層以外のインク受容層に使用する顔料としては、特に限定されるものではなく、通常使用される顔料を一種類以上使用することができる。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、サチンホワイト、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロサイト、水酸化マグネシウムなどの無機顔料、アクリル系プラスチックピグメント、スチレン系プラスチックピグメント、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂など有機顔料が挙げられる。その中でも多孔性無機顔料類が好ましく、多孔性湿式シリカ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナなどが挙げられ、特にコスト的にも細孔容量の大きい多孔性湿式シリカが好ましい。
【0022】
最表層以外のインク受容層に使用するバインダについても、特に限定されるものではなく、一般的なバインダを一種類以上使用することができる。例えば、合成品としては、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、部分アセタール化ポリビニルアルコール、アリル変性ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル及びポリビニルイソブチルエーテルなどの変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸エステル部分けん化物、ポリメタクリル酸塩及びポリアクリルアマイドなどのポリアクリル酸誘導体及びポリメタクリル酸誘導体、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン酢酸ビニル共重合体、スチレンブタジエン共重合体、ニトリルブタジエン共重合体、スチレンアクリル酸エステル共重合体、スチレンマレイン酸共重合体、スチレンクロトン酸共重合体、塩化ビニル含有共重合体、ポリウレタン、不飽和ポリエステル、アルキッド樹脂などが挙げられる。天然物としては、ゼラチンなどのタンパク質類、馬鈴薯などの澱粉類、寒天などの藻類、マンナンなどの植物性粘質物、グルカンなどの微生物粘質物などが挙げられる。
【0023】
最表層のインク受容層は、乾式シリカと水溶性樹脂を主成分とするものから構成され、且つ形成後のインク受容層表面をJIS Z8741で規定される60°鏡面光沢度で5〜40%とすることを特徴とするものである。
【0024】
最表層のインク受容層中の必須成分である乾式シリカとは、燃焼法や加熱法により得ることができる非常に小さい粒子径のシリカである。
インクジェット記録媒体の最表面層にこの乾式シリカを用いることで、インク受容層表面を平滑にでき、光沢調整を容易にするだけではなく、しかもインク受容層最表層内部に十分な空隙が形成されるので、高いインク吸収性を付与することができる。
ここで、乾式シリカに変えて、同じ粒子径のコロイダルシリカを用いた場合には、乾式シリカほどには十分な空隙が形成されないためにインク吸収性が劣ってしまう。同じように、沈降法やゲル法により得ることができる湿式シリカを用いた場合には、湿式シリカ自身が乾式シリカほど小さい粒子径をとることが不可能なため、インク受容層表面の凹凸が激しくなり、光沢調整ができなくなる。
【0025】
同じく、最表層のインク受容層中の必須成分である水溶性樹脂は、乾式シリカのバインダとしての役割と、記録の際使用される水性インクにより部分的に溶解するものであれば特に限定されるものではなく、通常の水溶性樹脂を一種類以上使用することができる。例えば、合成品としては、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、部分アセタール化ポリビニルアルコール、アリル変性ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル及びポリビニルイソブチルエーテルなどの変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸エステル部分けん化物、ポリメタクリル酸塩及びポリアクリルアマイドなどのポリアクリル酸誘導体及びポリメタクリル酸誘導体、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミンなどが挙げられる。天然物としては、ゼラチン、カゼインなどのタンパク質類、馬鈴薯などの澱粉類、寒天などの藻類、マンナンなどの植物性粘質物、グルカンなどの微生物粘質物などが挙げられる。
【0026】
さらにここで、インク受容層表面をJIS Z8741で規定される60°鏡面光沢度で5〜40%とすることが重要である。この光沢度が、5%未満では、マット性が強すぎるため、記録部及び非記録部でのザラツキなどが発生し、製版方式による印刷仕上がりと大きく質感が異なるため、印刷校正用として使用することができない。一方、この光沢度が、40%より大きい場合では、非記録部自身が高光沢なため、印刷用紙の風合いとは大きく異なり、さらに記録後の仕上がり感も印刷調ではなく、銀塩写真調となるため印刷校正用として使用することができない。
【0027】
インク受容層表面の光沢度調整は、乾式シリカと水溶性樹脂の配合比率で容易に調整可能であるが、最表層以外のインク受容層の表面性も無視できないため、インク受容層最表層形成後、スーパーカレンダー、ソフトカレンダーなどのカレンダー処理を実施する、いわゆるカレンダー法、インク受容層最表層が湿潤状態のまま、任意に表面加工された金属ドラムで圧接乾燥する、いわゆるキャスト法、インク受容層最表層が任意に表面加工された転写基材上に予め塗工された後、乾燥前に、基材上に予め成膜されたインク受容層に重ね合わせ、乾燥後転写用基材を剥離する、いわゆるウェット転写法、の何れかにより、光沢調整されるのが好ましい。
特に、転写用基材の表面処理を調整するだけで容易に任意の表面光沢が得られるウェット転写法が最も好ましい。
【0028】
なお、本発明における各インク受容層を塗工する方法としては、エアーナイフコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、コンマコーター、リップコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、ビルブレードコーター、ショートドエルブレードコーター、ロールコーターなどの各種装置を用いることができる。
【0029】
また、インク受容層には必要に応じて、染料定着剤、顔料分散剤、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、流動性改良剤、サイズ剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防カビ剤、耐水化剤、pH調整剤、蛍光増白剤等の添加剤を本発明の目的を妨げない範囲で任意に選択し含有させることもできる。また、所望する印刷用紙の色調に合わせる目的で着色染料または顔料を添加することもできる。
【0030】
インク受容層を形成するフィラーと樹脂の配合比率は、インク受容層最表層も含めて特に限定されるものではないが、9.5:0.5〜4:6の範囲が好ましく、より好ましくは8.5:1.5〜6:4である。この範囲よりフィラーの重量比率が高くなると、成膜時に樹脂のバインド力が不足し、乾燥時にひび割れが発生したり、膜が脆くなったりする可能性があるからであり、樹脂の重量比率が高くなると、インクジェットプリンタから吐出されたインクの吸収速度が低下する可能性があり、滲みや乾燥不良といった問題が生じる可能性があるからである。
【0031】
インク受容層全体の乾燥塗布量は、十分なインク吸収能力を確保できれば問題なく、5〜50g/m2の範囲が一般的であるが、本発明の場合、インク受容層の表面光沢度を調整し、しかも記録により得られる画像を製版方式の印刷仕上がりと同じ感じにするためには、インク受容層最表層を3g/m2以上設けることが好ましい。
【0032】
また、本発明のインクジェット記録媒体としては、基材を介してインク受容層の反対側に、インクジェット記録媒体のカールを防止したり、プリンタ走行性を安定させる目的で、背面層を設けることも可能である。
【0033】
さらに、本発明のインクジェット記録媒体としては、インク受容層を明確にするために、基材を介してインク受容層の反対側に裏印刷を実施することも可能である。
【0034】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明の内容はこれらに限定されるものではない。また、実施例において示す「部」は、特に明示しない限り重量部を示す。なお、<実施例1>は最表層のインク受容層をウェット転写法以外の方法で形成したインクジェット記録媒体の製造方法であり、参考例である。また、<実施例2>はJIS P8117で規定される透気度が300秒/100ccを超える紙を基材として用いた場合のインクジェット記録媒体の製造方法であり、参考例である。
【0035】
<塗液の調整>
使用した塗液A〜塗液Cを以下に示す。
「塗液A」
沈降法湿式シリカ X−37B 13部
(トクヤマ(株)製:2次粒径3.7μm)
ポリビニルアルコール R−1130((株)クラレ製) 4部
水 83部
【0036】
「塗液B」
燃焼法乾式シリカ 50 15部
(日本アエロジル(株)製:2次粒径0.23μm)
ポリビニルアルコール PVA−117((株)クラレ製) 3部
水 82部
【0037】
「塗液C」
沈降法湿式シリカ X−40 15部
(トクヤマ(株)製:2次粒径2.5μm)
ポリビニルアルコール PVA−117((株)クラレ製) 3部
水 82部
【0038】
<実施例1>
厚さ110μmの合成紙(王子油化合成紙(株)製 ユポFPG110)を基材とし、その一方に、前記の塗液Aをエアーナイフコーターを使用し、乾燥塗布量20g/m2となるように塗工、乾燥した後、前記の塗液Bをリップコーターを使用し、乾燥塗布量10g/m2となるように塗工、乾燥した後、線圧200kg/cmでスーパーカレンダー処理を行い、インク受容層表面光沢度が15%の印刷校正用インクジェット記録媒体を作製した。
【0039】
<実施例2>
坪量127.9g/m2の紙(王子製紙(株)製 OKトップコートN(透気度1000秒以上/100cc、ステキヒトサイズ度60秒))を基材とし、その一方に、前記の塗液Aをエアーナイフコーターを使用し、乾燥塗布量20g/m2となるように塗工、乾燥した後、転写用基材とする厚さ25μmのマットフィルム(ユニチカ(株)製 PTH−25)上に、前記の塗液Bをリップコーターを使用し、乾燥塗布量10g/m2となるように塗工したものと、ニップ圧3kg/cm2で貼り合わせ、乾燥した後、マットフィルムを剥離することにより、インク受容層表面光沢度が18%の印刷校正用インクジェット記録媒体を作製した。
【0040】
<実施例3>
坪量127.9g/m2の紙(五條製紙(株)製(透気度15秒/100cc、ステキヒトサイズ度5秒))を基材とし、その一方に、前記の塗液Aをエアーナイフコーターを使用し、乾燥塗布量20g/m2となるように塗工、乾燥した後、転写用基材とする厚さ25μmのマットフィルム(ユニチカ(株)製 PTH−25)上に、前記の塗液Bをリップコーターを使用し、乾燥塗布量10g/m2となるように塗工したものと、ニップ圧3kg/cm2で貼り合わせ、乾燥した後、マットフィルムを剥離することにより、インク受容層表面光沢度が20%の印刷校正用インクジェット記録媒体を作製した。
【0041】
<実施例4>
坪量127.9g/m2の紙(五條製紙(株)製(透気度150秒/100cc、ステキヒトサイズ度200秒))を基材とし、その一方に、前記の塗液Aをエアーナイフコーターを使用し、乾燥塗布量20g/m2となるように塗工、乾燥した後、転写用基材とする厚さ25μmのマットフィルム(ユニチカ(株)製PTH−25)上に、前記の塗液Bをリップコーターを使用し、乾燥塗布量10g/m2となるように塗工したものと、ニップ圧3kg/cm2で貼り合わせ、乾燥した後、マットフィルムを剥離することにより、インク受容層表面光沢度が25%の印刷校正用インクジェット記録媒体を作製した。
【0042】
<比較例1>
坪量127.9g/m2の紙(王子製紙(株)製 OKトップコートN(表面光沢度40%))をオフセット印刷用媒体とした。
【0043】
<比較例2>
坪量127.9g/m2の紙(五條製紙(株)製(透気度150秒/100cc、ステキヒトサイズ度200秒))を基材とし、その一方に、前記の塗液Aをエアーナイフコーターを使用し、乾燥塗布量20g/m2となるように塗工、乾燥した後、転写用基材とする厚さ25μmの未処理フィルム(ユニチカ(株)製S−25)上に、前記の塗液Bをリップコーターを使用し、乾燥塗布量10g/m2となるように塗工したものと、ニップ圧3kg/cm2で貼り合わせ、乾燥した後、未処理フィルムを剥離することにより、インク受容層表面光沢度が45%の印刷校正用インクジェット記録媒体を作製した。
【0044】
<比較例3>
坪量127.9g/m2の紙(五條製紙(株)製(透気度150秒/100cc、ステキヒトサイズ度200秒))を基材とし、その一方に、前記の塗液Aをエアーナイフコーターを使用し、乾燥塗布量20g/m2となるように塗工、乾燥した後、転写用基材とする厚さ25μmのマットフィルム(ユニチカ(株)製PTH−25)上に、前記の塗液Cをリップコーターを使用し、乾燥塗布量10g/m2となるように塗工したものと、ニップ圧3kg/cm2で貼り合わせ、乾燥した後、マットフィルムを剥離することにより、インク受容層表面光沢度が4%の印刷校正用インクジェット記録媒体を作製した。
【0045】
<比較例4>
坪量185g/m2の印刷校正用インクジェット記録媒体(三菱製紙(株)製INK−JET PROOF Semi−Gloss厚口(インク受容層表面光沢度21%))を印刷校正用インクジェット記録媒体とした。
【0046】
<画像形成>
評価画像として、ISO/JIS−SCID高精細カラーデジタル標準画像データ中のNIA.tiff−300dpiを用いて、比較例1を除く印刷校正用インクジェット記録媒体に関しは、インクジェットプリンタとしてBJ−F8500(キヤノン(株)製 高品位モード)、Power−RIP(キヤノン(株)製)を用い、インクジェット記録を行い画像を得た。
また、比較例1のオフセット印刷用媒体に関しては、同じ画像をY,M,C,Kに色分解し、175線Y,M,C,K4色刷りから成るオフセット印刷を行い画像を得た。
【0047】
印刷校正用インクジェット記録媒体としての評価項目は、インク吸収性、未記録部の風合い、オフセット印刷と比較した記録部の色再現及び風合いとした。その結果を、表1に示す。
なお、各評価項目の判定は、○、△、×の3段階で行ったが、△以上が印刷校正用として実用可能な範囲である。
【0048】
【表1】
Figure 0004039078
【0049】
表1から解るように、実施例1から4の印刷校正用インクジェット記録媒体は、何れも、インク吸収性、未記録部の風合い、オフセット印刷と比較した、記録部の色再現、及び風合いといった校正用途として必要とされる項目、全てで実用可能な範囲にあり、印刷校正用に適したインクジェット記録媒体であることが解る。
【0050】
また、基材をパルプを主成分とする紙にすること、さらに、パルプを主成分とする紙の透気度を、10〜300秒/100ccにすること、さらには、パルプを主成分とする紙のステキヒトサイズ度を50秒にすることで、より良好であることが解る。
【0051】
一方、インク受容層表面の60°鏡面光沢度が、40より大きい比較例2の印刷校正用インクジェット記録媒体は、未記録部及び記録部の風合いが大きく異なり、印刷校正用として使用することは難しい。
また、インク受容層最表層に、乾式シリカではなく湿式シリカを使用した、比較例3の印刷校正用インクジェット記録媒体は、インク受容層表面の60°鏡面光沢度が5未満であり、未記録部及び記録部の風合いが大きく異なる他に、インク吸収性に問題ないにも係わらず記録部の色再現が明らかに劣るため、印刷校正用として使用することは難しい。
さらに、市販されている比較例4の印刷校正用インクジェット記録媒体は、二次色、三次色といった部分でインク吸収性に問題があり、結果としてオフセット印刷の色再現ができないため、印刷校正用として使用することは難しい。
【0052】
【発明の効果】
本発明の印刷校正用インクジェット記録媒体は、インク受容層が十分なインク吸収性を有し、その結果、印刷用紙へのオフセット印刷、或いはグラビア印刷といった製版方式による印刷の色再現範囲を十分カバーすることができ、しかも印刷物と同等の仕上がり感を兼ね備えている点で、非常に優れた印刷校正用インクジェット記録媒体である。

Claims (3)

  1. JIS P8117で規定される透気度が10〜300秒/100ccである、パルプを主成分とする紙からなる基材上に、少なくともバインダと顔料を含む塗液を塗工、乾燥し、インク受容層を成膜する工程と、
    転写用基材上に乾式シリカと水溶性樹脂を含む塗液を塗工する工程と、
    前記インク受容層が成膜された基材の成膜面と、前記乾式シリカと水溶性樹脂を含む塗液を塗工した転写基材の塗工面を貼り合わせる工程と、
    前記貼り合わされた基材を乾燥する工程と、
    前記転写基材を剥離し、前記インク受容層表面に前記乾式シリカと前記水溶性樹脂を主成分とする最表層のインク受容層を形成する工程と
    を備えることを特徴とする2層以上のインク受容層を有する印刷校正用インクジェット記録媒体の製造方法。
  2. 前記転写基材がマットフィルムであり、且つ、製造されるインクジェット記録媒体表面がJIS Z8741で規定される60゜鏡面光沢度で5〜40%であることを特徴とする請求項1記載の印刷校正用インクジェット記録媒体の製造方法。
  3. 前記パルプを主成分とする紙が、坪量を127.9g/mとした場合のJIS P8122で規定されるステキヒトサイズ度で50秒以上であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の印刷校正用インクジェット記録媒体の製造方法。
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