JP4033407B1 - 容器詰コーヒー飲料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】呈味や香味の劣化を抑制し、長期保存に適した容器詰コーヒー飲料を提供する。
【解決手段】コーヒー飲料の液温を10〜70℃の範囲内で容器に充填することにより、香気成分である2−メチルフラン、2−メチルブタナール及び3−メチルブタナールの経時的な減少を防ぎ、もって呈味や香味の劣化が抑制された容器詰コーヒー飲料の製造方法を提供する。使用する容器は、PETボトル、アルミニウムやスチール等の缶、紙、レトルトポウチ、ガラス等の瓶などが挙げられる。
【選択図】なし

Description

本発明は、一定範囲内にコーヒー飲料の液温を調整して容器に充填することにより、容器詰コーヒー飲料の香気成分の経時劣化を抑制する方法に関する
コーヒー飲料は、多くの人に愛飲されている嗜好性が高い飲料の一つである。容器詰コーヒー飲料は、いつでも手軽にコーヒー飲料を楽しむことができるため、その利便性により消費者ニーズが拡大してきた。さらに、近年における消費者の本格志向や嗜好の多様化を背景として、この状況はさらに続くものと思われる。
容器詰コーヒー飲料は、いつでも手軽にコーヒー飲料を楽しむことができる点で優れている。しかし、製造時から飲用時までの間に相当の時間が経過することから、製品における呈味及び香味の劣化を最小限にすることがこれまでの重要な課題であった。かかる経時による劣化を可能な限り抑制して製造時の呈味や香味を保持するため、様々な改良がなされてきた。
コーヒー飲料の呈味や香味の劣化抑制方法として、例えば不活性ガス雰囲気下、脱酸素した温水等でコーヒー粉末を抽出処理するコーヒーの製造法(特許文献1)が知られている。また、抽出から充填までのコーヒー製造における全工程を脱酸素条件下で製造することで、酸化劣化が少ない見た目に優れたコーヒー飲料(特許文献2)が知られている。また、容器内の酸素量の低減と内圧安定化との相反する課題をより効果的に達成する容器詰飲料の製造方法、具体的にはミルク入り飲料が15〜45℃、ブラックコーヒーが30〜45℃で充填する容器詰飲料の製造方法が知られている(特許文献3)。
以上から、コーヒー液が酸素に極力触れないようにすること(脱酸素)により品質劣化を抑制する方法は公知である。また、コーヒー飲料を15〜45℃で容器に充填することも公知である。しかし、コーヒー飲料の液温を10〜70℃の範囲内で容器に充填することにより、容器詰コーヒー飲料中の香気成分含有量、具体的には2−メチルフラン、2−メチルブタナール及び3−メチルブタナールの減少を防ぐことにより、呈味や香味の劣化を抑制した容器詰コーヒー飲料の製造方法についてはこれまで知られていなかった。
特開平6−141776 特開2003−284496 特開2006−25738
本発明の目的は、一定範囲内にコーヒー飲料の液温を調整して容器に充填することにより、容器詰コーヒー飲料の香気成分の経時劣化を抑制する方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究の結果、一定範囲内にコーヒー飲料の液温を調整して容器に充填すると、呈味や香味に関与する成分の経時劣化を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、容器詰コーヒー飲料に含まれる特定の香気成分である2−メチルフラン、2−メチルブタナール及び3−メチルブタナールの経時による減少度合が、他の香気成分の経時による減少度合と比較して小さく、2−メチルフラン、2−メチルブタナール及び3−メチルブタナールが多く残存することにより、呈味と香味の劣化が抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
(1)ブレンドされたコーヒー豆から抽出されたコーヒー飲料を液温10〜50℃の範囲内で容器に充填することにより、2−メチルフラン、2−メチルブタナール及び3−メチルブタナールからなる群から選ばれる1種又は2種以上の香気成分の経時劣化を抑制する方法に関する。
本発明によれば、一定範囲内にコーヒー飲料の液温を調整して容器に充填することにより、香気成分、具体的には2−メチルフラン、2−メチルブタナール及び3−メチルブタナールの経時劣化を抑制する方法を提供することができる。
コーヒーの香気成分は約800種類あるといわれており、コーヒーの呈味や香気の向上に関与する成分は数多く知られている。例えばコーヒーの香気成分としては、アルデヒド類、エステル類、フラン類、ケトン類、アルコール類、ピラジン類、ピロール類、ピリジン類、硫黄化合物などが知られているが、これらの香気成分がどのようにコーヒー飲料の香気形成に関与しているかあまり明らかにされていなかった。本発明の容器詰コーヒー飲料には種々の香気成分が含まれるが、本発明の容器詰コーヒー飲料は、2−メチルフラン(2-methylfuran)、2−メチルブタナール(2-methylbutanal)及び3−メチルブタナール(3-methylbutanal)を含有し呈味や香気が向上したものをいう。
本発明の容器詰コーヒー飲料における2−メチルフラン、2−メチルブタナール及び3−メチルブタナール含有量は、該容器詰コーヒー飲料の呈味及び香味が向上したものであれば、特に限定されるものではない。しかし、容器詰コーヒー飲料の製造工程における諸条件を考慮すると、SPME法(固相マイクロ抽出法)において、内部標準物質(0.1%シクロヘキサノール5μl)を用いて、コーヒー抽出液を90℃で充填した際のピーク面積を1.00とした時の相対比で、1.02〜1.35、好ましくは1.12〜1.35の2−メチルフランと、1.00〜1.30、好ましくは1.11〜1.30の2−メチルブタナールと、1.10〜1.88、好ましくは1.11〜1.88の3−メチルブタナールとを含有する容器詰コーヒー飲料であることが好ましい。
なお、上記3成分の測定方法は特に限定するものではないが、本発明では抽出法としてSPME法(固相マイクロ抽出法)を用いている。SPME法はシリンジの針に該当する部分に吸着剤がコーティングされており、ヘッドスペースガスを吸着させたのち、ガスクロマトグラフの注入口で直接熱脱着させることができ、簡便でかつ再現性も高い。
また、定量法としては内部標準法を用いる。内部標準法は各サンプルに一定量の化合物(内部標準物質)を添加し、各成分と内部標準物質との比率を用いて定量することで、これら測定時の誤差による影響を抑えて、定量値の精度を向上させるものであるため広く用いられている。
一般的にクロマトグラフ法による成分分析では、得られたクロマトグラフ上のピーク面積は各成分の量に比例する。本発明においてはコーヒー抽出液を90℃で充填した際のピーク面積を1とした時の相対比で算出した。
本発明の製造方法により得られる容器詰コーヒー飲料には、2−メチルフラン、2−メチルブタナール及び3−メチルブタナールと、それ以外の成分とを併せて強化した容器詰コーヒー飲料も含まれる。2−メチルフラン、2−メチルブタナール及び3−メチルブタナールの由来は特に限定されるものではなく、かかる成分を適宜配合することによりコーヒー飲料の呈味や香気を強化することもできる。
本発明の製造方法により得られる容器詰コーヒー飲料に用いるコーヒー豆の種類は特に限定されない。コーヒーの品種としてはアラビカ種、ロブスタ種があるが、具体的には、アラビカ種であるブラジル、コロンビア、キリマンジャロ、モカ等が好適に用いられる。また、これらを単独で使用してもよいし、複数種を適宜ブレンドして使用してもよい。さらに、ロブスタ種であるインドネシア、ベトナム等も前記アラビカ種にブレンドするなどして使用してもよい。
本発明の容器詰コーヒー飲料の製造方法においては、コーヒー豆の焙煎は通常の方法で行えばよく、焙煎の程度は所望する風味等により適宜調整すればよい。一般的には、焙煎を深くすると苦みが強くなり、焙煎が浅いと酸味が強くなる。本発明における焙煎コーヒー豆のL値は、特に限定されないが、例えばL値30〜27、好ましくはL値26〜24、より好ましくは23〜21、さらに好ましくはL値20〜18であることが風味の点から好ましい。ここでL値とは、明度の指標となる値であり、焙煎コーヒー豆を、分光式色差計SE2000(日本電色工業(株))を用いて、常法通り測定することができる。
本発明の容器詰コーヒー飲料の製造方法においては、コーヒー豆の粉砕は通常の方法で行えばよく、粉砕の程度は所望する風味等により適宜調整すればよい。
本発明の容器詰コーヒー飲料の製造方法において、常法に従い焙煎コーヒー豆及び又はその粉砕物を水、温水又は熱水で抽出すればよく、使用する水は特に限定されない。抽出や調合に用いる水には、純水、硬水、軟水、イオン交換水のほか、アスコルビン酸含有水溶液及びpH調整水等を例示することができ、また、これら使用する水を脱気処理した脱気水が好適に用いることができる。
本発明の容器詰コーヒー飲料の製造方法において容器詰コーヒー飲料を安定的に製造するためには、容器充填時の液温を10℃〜70℃、好ましくは10〜50℃、より好ましくは30〜50℃、最も好ましくは45℃を上回る温度で50℃以下とするのが呈味及び香味の点から好ましい。
本発明の容器詰コーヒー飲料の製造方法において、さらに酸化防止剤、pH調整剤、香料等を添加することができる。酸化防止剤としては、アスコルビン酸又はその塩、エリソルビン酸又はその塩、ビタミンE等が挙げられるが、これらのうちアスコルビン酸又はその塩がより好ましい。pH調整剤としては、アスコルビン酸や重炭酸ナトリウム等が用いられ、香料は天然香料や合成香料を用いることができる。
本発明の容器詰コーヒー飲料の製造方法により得られる容器詰コーヒー飲料は糖質を含んでいてもよい。糖質としては、ショ糖、グルコース、フルクトース、キシロース、果糖ブドウ糖液糖、糖アルコール等の甘味料やサイクロデキストリン等が挙げられる。このうち、ショ糖、糖アルコール等の甘味料がより好ましい。また、これらの糖質にはコーヒー豆等の抽出物由来のものも含まれる。
これら糖質の含有量は、味覚的観点から容器詰された飲料当り、0.01〜30.00重量%、より好ましくは0.01〜20.00重量%、さらに好ましくは0.50〜15.00重量%、特に好ましくは1.80〜10.00重量%である。
また、本発明により得られる容器詰コーヒー飲料は乳成分を含んでいてもよい。乳成分としては、生乳、殺菌乳、全粉乳、脱脂粉乳、生クリーム、濃縮乳、脱脂乳、部分脱脂乳、れん乳等が挙げられる。また、乳化剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリド、レシチン類が挙げられる。
本発明に用いる容器は特に限定されない。例えば、PETボトル、アルミニウムやスチール等の缶、紙、レトルトパウチ、ガラス等の瓶が挙げられる。
本発明により得られる容器詰コーヒー飲料の殺菌方法は、金属缶のように容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては食品衛生法に定められた殺菌条件で行われる。PETボトルや紙容器等のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ食品衛生法に定められた条件と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器で高温短時間殺菌後、一定温度まで冷却して容器に充填する等の方法が採用することができる。また、加熱殺菌後、無菌下でpHを中性に戻すことや、中性下で加熱殺菌後、無菌下でpHを酸性に戻す等の操作も可能である。
本発明により得られる容器詰コーヒー飲料の溶存酸素量は、脱気水を利用するなどして0.37〜0.44mg/L、好ましくは0.41〜0.44mg/L、さらに好ましくは0.42〜0.44mg/Lである。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1:サンプル調製
(調合)
ブラジル産コーヒー豆(L=18.0)100%からなる抽出用コーヒー豆(以下、単品)と、ブラジル産コーヒー豆(L=18.0)80%とブラジル産コーヒー豆(L=31.5)20%とをブレンドした抽出用コーヒー豆(以下、ブレンド品)とをそれぞれ用意した。前記抽出用コーヒー豆400gをそれぞれ90℃にてコーヒー豆重量の9倍にあたる3600mlの脱気水を加水しつつドリップ抽出して、コーヒー豆重量の7倍にあたる2800mlのコーヒー抽出液を得た。その後、それぞれのコーヒー抽出液を30℃になるまで冷却し、コーヒー抽出液中のコーヒー固形分量が1.5%になるようにさらに脱気水を加水し、重炭酸ナトリウムを0.05重量%添加し調合して、それぞれのコーヒー調合液を得た。
(充填)
前記で得られたそれぞれのコーヒー調合液を10℃、30℃、50℃、70℃及び90℃に冷却若しくは加温して、各温度に達温後、5分間保持してから缶容器(190ml容量)に充填し、巻締めしてそれぞれの容器詰コーヒー飲料を得た。
(殺菌)
上記で得られたそれぞれの容器詰コーヒー飲料をさらに15分間保持した後、121℃で10分間レトルト殺菌した。また、レトルト殺菌後常温まで冷却して、それぞれの製品のpH、Brix、溶存酸素量を測定した(表1)。また、それぞれの製品の香気成分を以下記載の分析方法に従って分析した(表2、表3)。なお「通常品」とは経時試験を開始する前のそれぞれの容器詰コーヒー飲料である。
実施例2:経時試験
実施例1で得たそれぞれの容器詰コーヒー飲料(単品、ブレンド品)を用いて、保管期間を7日間とする経時劣化試験を行った。また、それぞれの香気成分を以下記載の分析方法に従って分析した(表4、表5、表6、表7)。経時試験時の保管温度は、5℃と60℃に設定した。「経時劣化60℃」のサンプルは、熱劣化を与えるために設定したものであり、「経時劣化5℃」のサンプルは、熱劣化を与えないように設定したものである。
(分析方法)
香気成分の残存量は、SPME法により算出した。SPME法は、20mlのヘッドスペース用バイアル瓶にサンプル10mlをとり、内部標準物質として0.1%シクロヘキサノール5μlを添加して35℃、10分間へッドスペース中の香気成分をSPMEファイバーに吸着させ、香気成分量を測定した。詳細条件は次の通りである。
SPMEファイバー:スペルコ社 DVB/Carboxen/PDMS
分析装置:Agilent社製 5973N GC/MSシステム
カラム:Agilent社製 DB-WAX 60m×0.25 mmID×0.25μm、35〜240℃、5℃/min
抽入口:スプリットレス
−50℃〜240℃、12℃/s
ガス流量:ヘリウム 0.9 ml/min
MS:スキャンモード(29〜250amu)
(考察)
「経時劣化5℃」のサンプル(単品)における香気成分である2−メチルフラン、2−メチルブタナール及び3−メチルブタナールの減少度合は、充填時の液温90℃のピークエリア面積を基準(1.00)として比較した場合、充填の液温10℃、30℃、50℃、70℃のピークエリア面積の相対値は0.97〜1.27の範囲内であった。一方、2,5−ジメチルピラジン(2,5-dimethylpyrazine)や2,6−ジメチルピラジン(2,6-dimethylpyrazine)について同様に測定すると、充填の液温10℃、30℃、50℃、70℃のピークエリア面積の相対値は0.87〜0.89の範囲内であり、2−メチルフラン、2−メチルブタナール及び3−メチルブタナールについて得られた相対値と比較して低かった。これは、香気成分が10〜70℃で充填すると必然的に残るということではないことを示している。すなわち、2,5−ジメチルピラジンや2,6−ジメチルピラジンについては、10〜70℃でコーヒー飲料を充填すると充填温度90℃のコーヒー飲料と比較して減少度合が大きいが、2−メチルフラン、2−メチルブタナール及び3−メチルブタナールについては、10〜70℃でコーヒー飲料を充填すると充填温度が90℃である場合と比較して殆んど変わらないか、多く残存することが明らかになった。
また、「経時劣化5℃」のサンプル(ブレンド品)における香気成分である2−メチルフラン、2−メチルブタナール及び3−メチルブタナールの減少度合は、充填時の液温90℃のピークエリア面積を基準(1.00)として比較した場合、充填の液温10℃、30℃、50℃、70℃のピークエリア面積の相対値は1.10〜1.31の範囲内であり、充填温度が90℃である場合と比較して香気成分は相対的により多く残存していた。一方、2,5−ジメチルピラジンや2,6−ジメチルピラジンについて同様に測定すると、充填時の液温10℃、30℃、50℃、70℃のピークエリア面積の相対値は1.00〜1.05の範囲内であり、充填温度が90℃である場合と比較して殆ど変わらなかった。
(考察)
「経時劣化60℃」のサンプル(単品)における香気成分である2−メチルフラン、2−メチルブタナール及び3−メチルブタナールの減少度合は、充填時の液温90℃のピークエリア面積を基準(1.00)として比較した場合、充填時の液温10℃、30℃、50℃、70℃のピークエリア面積の相対値は1.11〜1.51の範囲内であり、充填温度が90℃である場合と比較して香気成分は相対的により多く残存していた。一方、2,5−ジメチルピラジンや2,6−ジメチルピラジンについて同様に測定すると、充填時の液温10℃、30℃、50℃、70℃のピークエリア面積の相対値は0.98〜1.05の範囲内であり、充填温度が90℃である場合と比較して香気成分の相対的残存率は殆んど変わらなかった。
「経時劣化60℃」のサンプル(ブレンド品)において、香気成分である2−メチルフラン、2−メチルブタナール及び3−メチルブタナールの減少度合は、充填時の液温90℃のピークエリア面積を基準(1.00)として比較した場合、充填時の液温10℃、30℃、50℃、70℃のピークエリア面積の相対値は1.10〜1.43の範囲内であり、充填温度が90℃である場合と比較して香気成分は相対的にやや多く残存していた。一方、2,5−ジメチルピラジンや2,6−ジメチルピラジンについて同様に測定すると、充填時の液温10℃、30℃、50℃、70℃のピークエリア面積の相対値は1.02〜1.07の範囲内であり、充填温度が90℃である場合と比較して香気成分の相対的残存率は殆んど変わらなかった。
(まとめ)
以上から、「経時劣化5℃」と比較して、「経時劣化60℃」では、充填温度が90℃である場合と比較して、充填温度が10℃、30℃、50℃、70℃であるときは、香気成分である2−メチルフラン、2−メチルブタナール及び3−メチルブタナールが減少せずに多く残存していた。一方、香気成分である2,5−ジメチルピラジンや2,6−ジメチルピラジンについては、充填温度が90℃である場合と比較して、充填温度が10℃、30℃、50℃、70℃であるときは、残存量に殆んど違いはなかった。
3.官能試験
5名の専門パネラーが、上記のサンプル(単品)について(1)トップの香り、(2)後味のキレ、及び(3)総合評価の3項目につき経時劣化を評価した(表8、表9)。「経時劣化5℃」の総合評価は全て「非常に良好」であった。しかし、「経時劣化60℃」のサンプル(単品)では、70℃充填と90℃充填の容器詰コーヒー飲料の総合評価が「不満」であったが、10℃、30℃及び50℃充填の容器詰コーヒー飲料の総合評価は、「可」であった。また、後味のキレについても同様の結果が得られた。なお、トップの香りについては、10℃及び30℃充填の「良好」を除き後味のキレと同様の結果が得られた。
またサンプル(ブレンド品)については、「経時劣化60℃」では70℃充填と90℃充填の容器詰コーヒー飲料の総合評価が「可」であったが、10℃、30℃及び50℃充填の容器詰コーヒー飲料の総合評価は、「良好」であった。また、後味のキレについては、70℃充填と90℃充填の容器詰コーヒー飲料が「不満」であったのに対して、10℃、30℃及び50℃充填の容器詰コーヒー飲料は「可」であった。なお、トップの香りについては、10℃及び30℃充填の「良好」を除き後味のキレと同様の結果が得られた。
以上の「経時劣化60℃」による官能試験結果から、70℃充填と90℃充填の容器詰コーヒー飲料は経時劣化しやすいのに対して、10℃、30℃及び50℃充填の容器詰コーヒー飲料は経時劣化がしにくいことが明らかになった。
ここで香気成分の残存量結果と官能試験結果とを組合せて考慮すると、70℃充填と90℃充填の容器詰コーヒー飲料は、2−メチルフラン、2−メチルブタナール、3メチルブタナールの3成分が10℃、30℃及び50℃充填の容器詰コーヒー飲料に比べて減少し、且つ経時劣化しやすいことがわかった。これに対して、10℃、30℃及び50℃充填の容器詰コーヒー飲料は、2−メチルフラン、2−メチルブタナール、3メチルブタナールの3成分が多く残存し、且つ経時劣化が抑制されていることがわかった。このことは、2−メチルフラン、2−メチルブタナール、3メチルブタナールの残存量と経時劣化との間に相関関係があることが明らかになった。

Claims (1)

  1. ブレンドされたコーヒー豆から抽出されたコーヒー飲料を液温10〜50℃の範囲内で容器に充填することにより、2−メチルフラン、2−メチルブタナール及び3−メチルブタナールからなる群から選ばれる1種又は2種以上の香気成分の経時劣化を抑制する方法。
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