JP4032853B2 - インキ・水制御方法及びインキ・水制御装置 - Google Patents

インキ・水制御方法及びインキ・水制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オフセット印刷においてインキ供給装置・水供給装置を制御するインキ・水制御方法およびそれを用いた装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、オフセット印刷におけるインキ供給量と水供給量の調整はオペレータにより行われてきた。その調整方法としては、印刷中に印刷物を適宜抜き取り、抜き取った印刷物と校正刷りを目視で比較しながら、所望の印刷品質が得られるようにオペレータの経験に基づいてインキ供給量と水供給量を調整するといった方法などが行われていた。
【0003】
こうしたオペレータによるインキ供給量と水供給量の調整作業は、一般的な作業の流れとして、印刷開始から色合わせを行い校正刷りと色や調子を合わせることによりOKシートを作成する「OKシート作成」と、それ以降の刷了まで印刷品質を管理する「OKシート後」の2つに大別できる。
【0004】
ここでまず「OKシート作成」について考える。OKシート作成時、オペレータには、校正刷りに色や調子を合わせて迅速に所望の印刷品質になるようにOKシートを作り上げることが求められる。しかし所望の印刷品質を得られるようにインキ供給量と水供給量を短時間で調整するのは難しい。常にインキ供給量と水供給量のバランスを取りつつ、所望の印刷品質を得られるようにインキ供給量と水供給量を調整する必要があるからである。
【0005】
インキ供給量と水供給量のバランスは印刷品質に大きく影響する。言い換えるとインキ供給量と水供給量のバランスが崩れると印刷品質は著しく低下する。
具体的には水供給量が過多になるとインキが過乳化状態になり安定したインキ転移が行なわれなくなる。このため網点再現性が悪化し、単色のトーンのバラツキを発生させる。さらには1次色と2次色のトラッピングバランスの乱れなどを引き起こし、掛け合わせの色などのバラツキを発生させる。一方、水供給量が過少になると地汚れ等の印刷障害が起きてしまう。
【0006】
次にOKシート後について考える。OKシート後、オペレータには精度良くOKシートの印刷品質を維持することが求められるが、仮に色調が変化した時、それがインキ量によるものか水分量によるものなのか判断することが困難なケースがある。その判断には経験豊富なオペレータの高い判断力が必要となるが、そのような高い判断力をもつオペレータは年々減ってきている。また、人間には色が変化しても物体の色がその物体固有の色にみえる色順応という視覚の機能があるため、オペレータの目視による評価には精度の点で問題がある。そこで、「OKシート作成」と「OKシート後」の色合わせをオペレータの代わりに実施する制御装置が求められている。
【0007】
以上のような背景により、近年、印刷中のインキ供給量や水供給量をオペレータに代わって調整する装置として、印刷紙面上のカラーバー内のカラーパッチから印刷品質に係わるデータを印刷機上で求めてインキキー開度を制御するインキキー制御装置や、インキローラ表面の任意の検出点のインキ量・水分量を赤外線の吸収を利用して計測し、同検出値と予め入力されている目標値又は予め設定されている上記検出点における目標値とを比較演算し、該インキの水供給量を制御する水供給量制御装置などが提案されている。これらの装置を実際に印刷現場で使用するケースとして下記の三つのケースが考えられる。以下、三つのケースそれぞれについて考える。
・インキキー制御装置を単体で用いた場合
・水供給量制御装置を単体で用いた場合
・インキキー制御装置と水供給量制御装置の両方を独立して使用した場合
【0008】
まずインキキー制御装置のみを使用した場合について考える。このインキキー制御装置はカラーバー中のベタ濃度が目標濃度に近づくようにインキキーのみを制御するため、インキ供給量と水供給量のバランスは考慮しない。このため印刷中のベタ濃度は安定するものの、インキと水のバランスが悪くなる場合がある。この場合、ベタ濃度値は所望の濃度であるにもかかわらず、中間調で所望の印刷品質が得られないことがある。そして、インキ供給量と水供給量のバランスがさらに悪くなると、インキの過乳化や地汚れなどの印刷障害が引き起こされることなどの問題点が指摘されていた。
【0009】
次に水供給量制御装置のみを使用した場合について考える。水供給量制御装置は印刷紙面上の色の測定は行っていないため、最終的な印刷品質を保証した上での制御はできない。このため、インキ供給量と水供給量のバランスは安定するものの、印刷紙面上では所望の印刷品質を得られない場合がある。具体的には、印刷物の濃度が所望の濃度よりも高くなったり、低くなったりする場合がある。また、インキ量が変化すると適正なインキ・水バランスも変化するため、印刷機が安定していてインキ量の変動が少ない状況でないと水供給量を制御することが難しいという問題があった。
【0010】
最後にインキキー制御装置と水供給量制御装置の両方を独立して使用した場合について考える。二つの装置をそれぞれ独立して使用した場合、インキキー制御装置はカラーバー中のベタ濃度が目標濃度に近づくようにインキ供給量を制御し、水供給量制御装置はインキローラ上のインキ量・水分量から適切なインキ・水バランスになるように水供給量を行う。ここで、インキキー制御装置も水供給量制御装置もインキローラ上のインキ量が安定していることを前提としている。そのため、インキローラ上のインキ量が安定していない状態で制御をかけると不適切な制御をしてしまうケースがあることから、インキキー制御装置と水供給制御装置がそれぞれお互いのデータを用いて連携をとった制御を行うことが必要となる。特に刷り出し時においてインキキー制御と水供給量制御の両方を独立して行った場合、インキキー制御装置によってインキ量を急激に変化させた結果、水供給量過多によるインキの過乳化や水供給量過少による地汚れ等の印刷障害が起こることが問題となっていた。
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、インキ供給量と水供給量の制御を別々にまたは両方を独立して行う場合に発生していた問題点を解消する、高精度の印刷物を得るためインキ・水制御を行うことを可能にしたインキ・水制御方法及びインキ・水制御装置並びに、それらを具備したオフセット印刷機を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の発明は、パッチ濃度値と目標濃度値との差分から算出したインキ制御値を元に最適なインキ供給量を決定するインキ供給装置と、インキ・水バランス値と目標インキ・水バランス値との差分から算出した水制御値を元に最適な水供給量を決定する水供給装置と、を制御するオフセット印刷機のインキ・水制御方法であって、
刷り出し時においては、印刷紙面上のパッチ濃度を測定して得られるパッチ測定値と目標値との差が許容範囲内に無い場合に、該差分に基づくインキ制御値を算出し、該インキ制御値に基づいてインキ供給装置を制御するとともに、該インキ制御に対応する水制御値を算出し、該水制御値に基づいて水供給装置の制御を行い、
OKシート後のインキ供給装置の制御においては、インキ・水量測定値の変動が許容範囲内である時に、パッチ測定値と目標値との差に応じたインキ制御を行い、
前記OKシート後の水供給装置の制御においては、パッチ測定値の変動が許容範囲内である時に、インキ・水量測定値と目標値との差に応じた水制御を行う
ことを特徴とするインキ・水制御方法である。
【0016】
また、本発明の第の発明は、印刷ユニットのインキローラ上のインキ・水量を測定するインキ・水量測定手段と、印刷紙面上に印刷されたカラーバー内のカラーパッチを測定するパッチ測定手段と、それぞれの測定手段から得られるインキ・水量測定値とパッチ測定値を入力として、請求項1記載のインキ・水制御方法によってインキ供給装置と水供給装置に対してインキ制御値と水制御値を出力する演算装置を備えることを特徴とするインキ・水制御装置である。
【0017】
また、本発明の第の発明は、請求項のインキ・水制御装置を備えることを特徴とするオフセット印刷機である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の詳細を説明する。ただし、以下の内容は一つの実施の形態および例であり、以下の内容に限定されるものではない。
【0019】
本発明のインキ・水制御装置は、各印刷ユニット(10、11、12、13)の上下胴の金属製インキローラ(17)上のインキ量・水分量をインキ・水量測定センサー(20)にて計測することでインキ・水量測定値(22)を得る。
【0020】
また、各印刷ユニット(10、11、12、13)を通って印刷された印刷物の紙面上に印刷されたカラーバー内のカラーパッチを色測定センサーあるいは濃度測定センサー(21)にて計測することで、該印刷物の測色値ないしは濃度値(23)を得る。カラーパッチは種々のパッチを利用できるが、以下の説明においては最も良く用いられているベタパッチを用いて説明する。尚、カラーバーから色測定センサーあるいは濃度センサーで測定するデータとして測色値ないしは濃度値が使用可能であるが、インキ供給量制御を行う場合、濃度値を用いた方が容易にかつ確実にインキ供給量を制御できるため、本発明の説明及び実施例では濃度値を使用する。
【0021】
以上により得られたインキ・水量測定値(22)と濃度値(23)は、演算装置(25)に送られる。尚刷り出し時とOKシート後の制御は同一の処理を用いてもよいが、刷り出し時には制御レスポンスを速めて、地汚れなどの印刷障害を避けることが、またOKシート後はOKシートと同一品質に制御することが最も求められるため、刷り出し時とOKシート後においてそれぞれ別の処理を行う方がより理想的である。
【0022】
演算装置(25)では、インキ制御のための演算処理と水制御のための演算処理が平行して行われる。
【0023】
続いて、図2を用いて、刷り出し時におけるインキ制御のための処理の流れを説明する。まずカラーバー内のベタパッチの濃度測定(ステップ1)を行い、得られたベタ濃度値と予め入力された目標値との比較演算(ステップ2)を行って、ベタ濃度値と目標値との差が許容範囲内にあるかどうかのベタ濃度チェックを行う。
【0024】
ここで、ベタ濃度チェックの結果、ベタ濃度値と目標値との差が許容範囲内であった場合は、新たに測定により得られたベタ濃度値を用いて、繰り返しベタ濃度チェック、すなわちステップ1、2を行う。
【0025】
ベタ濃度チェックの結果、ベタ濃度値と目標値との差が許容範囲内でなかった場合は、ベタ濃度チェック(ステップ1、2)の際、算出したベタ濃度値と目標値の差分からインキ制御値を算出(ステップ3)し、そのデータを用いてインキキー開度を調整し最適なインキ供給量になるようにインキ制御(ステップ4)を行う。
【0026】
この際、インキ制御値を元に、最適な水制御値を算出し(ステップ5)、その値を用いて水元ローラ回転数を調整し最適な水供給量になるように水制御(ステップ6)を行う。水制御値はインキ制御値に応じた上げ幅をもって制御される。これによりインキ制御に迅速に対応した水制御が可能となり、急激なインキ制御をしても地汚れなどの印刷障害を避けることができる。
【0027】
次に、図3を用いて、OKシート後におけるインキ制御のための処理のながれを説明する。まずカラーバー内のベタパッチの濃度測定を行い(ステップ101)、得られたベタ濃度値と、予め入力された目標値との比較演算(ステップ102)を行い、ベタ濃度値と目標値との差が許容範囲内にあるかどうかのベタ濃度チェックを行う。
【0028】
ここで、ベタ濃度チェックの結果、ベタ濃度値と目標値との差が許容範囲内であった場合は、新たに測定により得られたベタ濃度値を用いて、繰り返しベタ濃度チェックすなわちステップ101、102を行う。
【0029】
ベタ濃度チェックの結果、ベタ濃度値と目標値との差が許容範囲内でなかった場合は、次にインキローラから得られるインキ・水量測定値を用いて、インキの変動量が安定しているかどうかのインキ量安定性チェック(ステップ103、104)を行う。この時、インキの変動量の代わりに水の変動量やそれらの比などでも構わない。
【0030】
ここで、インキ量安定性チェックの結果、ある一定時間内にインキの変動量が許容範囲内でなければ、新たに測定により得られたインキ・水量測定値を用いて、インキの変動量が安定するまで繰り返しインキ量安定性チェックを行う。
【0031】
インキ量安定性チェックの結果、ある一定時間内にインキの変動量が許容範囲内であれば、再度ベタパッチの濃度測定を行い(ステップ105)、得られたベタ濃度値と、予め入力された目標値との比較演算(ステップ106)を行い、ベタ濃度値と目標値との差が許容範囲内にあるかどうかのベタ濃度チェックを行う。ここでベタ濃度値と目標値との差が許容範囲内であれば、ステップ101に戻り、ベタ濃度チェックを繰り返す。
ここで、ベタ濃度値と目標値との差が許容範囲内になければ、最新のベタ濃度値と目標値の差分からインキ制御値を算出(ステップ107)し、その値を用いてインキキー開度を調整し最適なインキ供給量になるようにインキ制御(ステップ108)を行う。
【0032】
次に、図4を用いて、水制御のための処理の流れを説明する。まずインキローラー上のインキ・水量の測定を行い(ステップ201)、得られるインキ・水量測定値から算出されたインキ・水バランス値と予め入力されたその目標値との比較演算を行い(ステップ202)、インキ・水バランス値と目標値との差が許容範囲内にあるかどうかのインキ・水バランスチェックを行う。
【0033】
この時、インキ・水バランスチェックの結果、インキ・水バランス値と目標値との差が許容範囲内であった場合は、新たに測定により得られたインキ・水量測定値を用いて、繰り返しインキ・水バランスチェック(ステップ201、202)を行う。
【0034】
インキ・水バランスチェックの結果、インキ・水バランス値と目標値との差が許容範囲内でなかった場合は、次にカラーバー内のベタパッチから得られるベタ濃度値が安定しているかどうかのベタ濃度安定性チェック(ステップ203、204)を行う。
【0035】
この時、ベタ濃度安定性チェックの結果、ある一定時間内におけるベタ濃度値の変動量が許容範囲内でなければ、新たに測定により得られたベタ濃度値を用いて、ベタ濃度値が安定するまで繰り返しベタ濃度安定性チェックを行う。
【0036】
ベタ濃度安定性チェックの結果、ある一定時間内におけるベタ濃度値の変動量が許容範囲内であれば、再度インキローラー上のインキ・水量の測定を行い(ステップ205)、得られるインキ・水量測定値から算出されたインキ・水バランス値と予め入力されたその目標値との比較演算を行い(ステップ206)、インキ・水バランス値と目標値との差が許容範囲内にあるかどうかのインキ・水バランスチェックを行う。ここで、インキ・水バランス値と目標値との差が許容範囲内であれば、ステップ201に戻り、インキ・水バランスチェックを繰り返す。ここで、インキ・水バランス値と目標値との差が許容範囲内になければ、最新のインキ・水バランス値と予め入力された目標値との差分から水制御値を算出し(ステップ207)、その値を用いて水元ローラ回転数を調整し(ステップ208)、最適な水供給量になるように水制御を行う。
【0037】
以上のように、OKシート後においては、インキ供給装置を操作する場合にはインキ・水量測定値が変動していないことを確認し、水供給装置を操作する場合にはパッチ測定値が変動していないことを確認することで、最適なインキ量と水量が供給されるようにインキ制御と水制御を行うことができる。また、インキ量がある一定時間以上安定せず、インキ制御と水制御の両方が行えない場合には、異常状態と判断してオペレータにアラームで知らせることも可能である。
【0038】
<実施例>
ここでは、本発明のオフセット印刷機の制御装置を三菱重工業社製のオフセット輪転機に設置し、これを用いて印刷の刷り出しからのインキ・水制御を行った。
【0039】
まず印刷開始前に過去の印刷データから予め基準濃度値として墨1.7、藍1.5、紅1.5、黄1.2を、基準ドットゲイン値として墨20%、藍18%、紅18%、黄18%を、基準インキ・水バランス値として過去の履歴データから地汚れが出ないような値を本発明のインキ・水制御装置に予め入力しておき、この基準濃度値、基準ドットゲイン値、基準インキ・水バランス値をそれぞれ目標濃度値、目標ドットゲイン値、目標インキ・水バランス値とし、さらに各色の目標濃度値に対しそれぞれ±0.15、目標インキ・水バランス値に対し、+5%の許容値を設け、インキ・水制御装置を用いて印刷の刷り出しからインキ・水制御を行った。この際、評価用サンプルとして刷り出しから100枚ごとに印刷物を抜き取り、抜き取った印刷物の目視評価を行った。
【0040】
その結果、印刷の刷り出しから約1000枚で所望の印刷物が得られた。この印刷物の濃度値を測定したところ、墨1.65、藍1.5、赤1.45、黄1.15、ドットゲイン値は墨20%、藍17%、紅16%、黄16%であり、これらのデータからも刷り濃度及び中間調のバランスが良好であることが認められた。
【0041】
この段階で、本発明であるインキ・水制御装置を用いたインキ・水制御を一度解除し、オペレータが色見本に合わせてインキキーの微調整を行ってOKシートを出した。この際すでに刷り濃度と中間調のバランスが良好であったため、オペレータがOKシートを作成するのにさらに要した印刷枚数は500枚であった。
【0042】
そして、そのOKシートの濃度とその時のインキ・水バランスを基準として、再度インキ・水制御装置を用いて制御を行った。ここでも評価用サンプルとしてOKシート後100枚ごとに20000枚までの印刷物を抜き取り、抜き取った印刷物の目視評価を行った。
【0043】
その結果、OKシート後の印刷物は色調変動がほとんど認められないなど大変良好であった。これらの抜き取った印刷物とOKシートの平均色差はΔE=2.5で色差の一般的な基準とされるΔE=3以下であり、目視評価だけでなく測色データからもその効果が認められた。
【0044】
<比較例>
ここでは、比較例として印刷物の色データのみを用いてインキ供給量の制御を行う従来のインキ制御装置を三菱重工業社製のオフセット輪転機に設置し、これを用いて実施例1と同様に印刷の刷り出しにおけるインキ制御を行った。
【0045】
まず印刷開始前に過去の印刷データから予め基準濃度値として墨1.7、藍1.5、紅1.5、黄1.2を、基準ドットゲイン値として墨20%、藍18%、紅18%、黄18%をインキ制御装置に入力しておき、この基準濃度値、基準ドットゲイン値をそれぞれ目標濃度値、目標ドットゲイン値とし、さらに各色の目標濃度値に対しそれぞれ±0.15の許容値を設け、インキ制御装置を用いて印刷の刷り出しから制御を行ったときの印刷物を刷り出しから100枚ごとに抜き取り、抜き取った印刷物の目視評価を行った。
【0046】
その結果、刷り出し直後、インキ制御装置の制御により急激にインキ供給量を増やしたため、絵柄の多い部分で水供給量が不足し地汚れが発生してしまった。ただちにオペレータが水元ローラの回転数を調整し、約3000枚でほぼ良好な印刷物が得られた。ただ、一部絵柄の少ない部分において光沢がなくコントラストが低いなどフラットな感じであった。
【0047】
上記の光沢、コントラストの不良を定量的に把握するために、この印刷物の濃度値を測定したところ、墨1.60、藍1.45、紅1.39、黄1.08と実施例1と近かったが、ドットゲイン値は墨15%、藍10%、紅15%、黄16%であった。その部分の網点をルーペで観察してみたところ、インキと水のバランス不良による転移不良が起き、網点再現性が著しく悪くなっていた。水供給量の過多によるインキの乳化が原因と思われる。
【0048】
以上の内容は、色データのみから色調管理を行う従来の方法ではインキと水のバランスを制御できないため、一部の中間調において所望の色調を得られない場合の例である。
【0049】
その後、実施例1と同様にインキ制御装置によるインキ制御を一度解除し、オペレータが色見本をもとにインキキーおよび水調整を行い適切なインキ量、インキ・水バランスにすることによってOKシートを作成したが、さらに約5000枚の印刷枚数を要した。そのOKシートを基準として、再度インキ制御装置を用いて引き続き制御を行った。ここで、実施例1と同様に評価用サンプルとしてOKシート後100枚ごとに20000枚までの印刷物を抜き取り、抜き取った印刷物の目視評価を行った。
【0050】
その結果、絵柄の一部で色調のバラツキが観察された。これらの抜き取った印刷物とOKシートの平均色差はΔE=3.8であり、ΔE=3より若干大きく、2次色の測色データからもトラッピング率の変動が確認され、インキ・水バランスによる障害が認められた。インキ・水バランスが崩れたことが原因と思われる。
【0051】
【発明の効果】
以上の記述からも明らかなように、本発明のインキ・水制御装置は印刷物の紙面上に印刷されたカラーバー内のカラーパッチを測定して得られた印刷品質に係わるパッチ測定値と、インキローラ上に存在するインキのインキ量と該インキに含まれる水分量を測定して得られたインキ・水量測定値を関係付けてインキ供給量と水供給量を最適値に制御するため、精度良くインキ・水制御を行うことができる。さらに、本発明のインキ・水制御装置によれば、地汚れなどの印刷欠陥の撲滅、色合わせ時間短縮による生産性の向上などの効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインキ・水制御装置を備えたオフセット印刷機の説明図である。
【図2】刷り出し時における本発明のインキ・水制御の処理フローの説明図である。
【図3】OKシート後における本発明のインキ・水制御の処理フローの説明図である。
【図4】OKシート後における本発明の水制御の処理フローの説明図である。
【符号の説明】
10 第一印刷ユニット
11 第二印刷ユニット
12 第三印刷ユニット
13 第四印刷ユニット
15 版胴
16 ブランケット胴
17 金属インキローラ
18 印刷用紙
20 インキ・水量測定センサー
21 色測定センサーあるいは濃度測定センサー
22 インキ・水量測定値
23 測色値あるいは濃度値
25 演算装置
26 インキ制御値
27 水制御値

Claims (3)

  1. パッチ濃度値と目標濃度値との差分から算出したインキ制御値を元に最適なインキ供給量を決定するインキ供給装置と、インキ・水バランス値と目標インキ・水バランス値との差分から算出した水制御値を元に最適な水供給量を決定する水供給装置と、を制御するオフセット印刷機のインキ・水制御方法であって、
    刷り出し時においては、印刷紙面上のパッチ濃度を測定して得られるパッチ測定値と目標値との差が許容範囲内に無い場合に、該差分に基づくインキ制御値を算出し、該インキ制御値に基づいてインキ供給装置を制御するとともに、該インキ制御に対応する水制御値を算出し、該水制御値に基づいて水供給装置の制御を行い、
    OKシート後のインキ供給装置の制御においては、インキ・水量測定値の変動が許容範囲内である時に、パッチ測定値と目標値との差に応じたインキ制御を行い、
    前記OKシート後の水供給装置の制御においては、パッチ測定値の変動が許容範囲内である時に、インキ・水量測定値と目標値との差に応じた水制御を行う
    ことを特徴とするインキ・水制御方法。
  2. 印刷ユニットのインキローラ上のインキ・水量を測定するインキ・水量測定手段と、印刷紙面上に印刷されたカラーバー内のカラーパッチを測定するパッチ測定手段と、それぞれの測定手段から得られるインキ・水量測定値とパッチ測定値を入力として、請求項1記載のインキ・水制御方法によってインキ供給装置と水供給装置に対してインキ制御値と水制御値を出力する演算装置を備えることを特徴とするインキ・水制御装置。
  3. 請求項2記載のインキ・水制御装置を備えることを特徴とするオフセット印刷機。
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