JP4032812B2 - Egrチューブ締結装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、EGRチューブ締結装置に関し、詳細には、EGRチューブと吸気マニホールドとの締結部において、簡単な構成でねじ孔周辺等要冷却箇所を冷却するための改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
排気ガスを吸気系に還流させるEGRシステムでは、EGRガスの流量を調節するための制御弁(EGR弁)や、EGRガスを冷却するためのEGRクーラに冷却水を循環させるとともに、EGRチューブを吸気マニホールドに締結するためのねじ孔周辺にも冷却水を循環させている。ねじ孔周辺を冷却するのは、排気ガスからの受熱によってこの孔が拡大し、ボルトに緩みが生じるのを防止するためである。
【0003】
このように、EGRシステムでは多くの箇所を冷却する必要があるので、そのための冷却系配管はレイアウトが複雑になるばかりでなく、部品点数も多くなりがちである。特開平11−311152号公報には、部品点数を削減するための技術として、EGRチューブと吸気マニホールドとをサーモハウジングを介して締結し、このサーモハウジングにおいて、EGRチューブを固定するためのねじ孔近傍にエンジン冷却水を循環させるための通路を設けることが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報開示の技術では、第1に、依然としてサーモハウジングという特別な仲介要素が必要であり、サーモハウジングをエンジン冷却水の循環経路上に配設する必要から、EGRチューブやEGR弁等のレイアウトが制限されてしまう。また、同技術によれば、EGRチューブとサーモハウジングとの締結部においてボルトの緩みが防止されるであろうが、サーモハウジングと吸気マニホールドとの締結部における同様な問題が解決されていない。第2に、EGRガスを冷却するためにEGRクーラを備えるエンジンでは、このクーラに冷却水を循環させるための経路を別に設けることになるため、ニップルやホースが必要となる。
【0005】
以上の実情に鑑み、本発明は、EGRチューブと吸気マニホールドとの締結部において、サーモハウジング等の仲介要素を必要とせず、シンプルな構成で所要の冷却を実現することができるEGRチューブ締結装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1に記載の発明では、EGRチューブ締結装置を、吸気マニホールドの側壁に設けられた、EGRチューブを流れるEGRガスを吸気マニホールドに流入させるためのEGRガス流通路を形成するマニホールド側締結部と、前記マニホールド側締結部と結合して、前記EGRチューブを吸気マニホールドに締結する締結フランジと、前記EGRチューブを流れるEGRガスを冷却するためのEGRクーラと、を含んで構成し、前記マニホールド側締結部と前記締結フランジとの合わせ面において、これら締結部及びフランジのうち少なくとも一方に、冷却水を流通させるための溝を形成するとともに、前記EGRクーラを、前記EGRチューブよりも大径の略円筒状のクーラ本体を含んで構成し、このクーラ本体と前記EGRチューブとを同心に配置して、これらの間の空間により冷却水の通路を形成し、前記締結フランジにおいて、このフランジを貫通して前記溝と前記EGRクーラにおける冷却水の通路とを連通させる貫通孔を形成することとした。
【0007】
請求項2に記載の発明では、前記EGRクーラを、前記締結フランジにより前記クーラ本体の軸方向の位置決めをして、前記締結フランジと隣接させることとした。
【0008】
請求項3に記載の発明では、前記締結フランジと一体に形成された筐体を有するEGR弁と、前記筐体を結合した、前記締結フランジとは異なる他のフランジと、を更に含んでEGRチューブ締結装置を構成し、前記EGRチューブを、前記締結フランジに対して前記他のフランジにより前記筐体を介して結合し、前記溝と前記EGR弁の冷却水流通路とを、前記貫通孔を介して連通させ、前記EGRクーラを、前記他のフランジにより前記クーラ本体の軸方向の位置決めをして、前記他のフランジと隣接させることとした。
請求項4に記載の発明では、前記EGRチューブを、吸気マニホールドに対し、前記EGRガス流通路の中心軸に対して平行に締結し、前記締結フランジにおいて、前記貫通孔を、このフランジの軸方向に貫通させることとした。
請求項5に記載の発明では、前記溝を、前記EGRチューブを中心として環状に形成することとした。
【0009】
請求項6に記載の発明では、前記溝を、前記締結フランジを前記マニホールド側締結部に結合するためのねじ孔と、前記EGRチューブとの間に形成することとした。
請求項7に記載の発明では、前記溝を前記マニホールド側締結部に形成することとした。
【0010】
請求項8に記載の発明では、冷却水を前記溝から前記貫通孔へ流通させることとした。
【0011】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、マニホールド側締結部と締結フランジとの合わせ面に冷却水を流通させるための溝を形成し、このフランジに、前記溝とEGRクーラにおける冷却水の通路とを連通させる貫通孔を形成したので(貫通孔は、前記溝に連通する。)、この貫通孔を介して前記溝に冷却水を流通させ、EGRチューブと吸気マニホールドとの締結部における冷却箇所に循環させることができる。
【0012】
従って、本発明に係るEGRチューブ締結装置によれば、マニホールド側締結部と締結フランジとによりEGRチューブと吸気マニホールドとを締結するとともに、これらの締結部における冷却箇所を、サーモハウジング等の仲介要素を使用しないシンプルな構成で冷却することができる。
そして、略円筒状のクーラ本体を含んでEGRクーラを構成するとともに、このクーラ本体とEGRチューブとを同心に配置し、これらの間の空間をEGRクーラにおける冷却水の通路として、前記溝とこの冷却水の通路とを貫通孔を介して連通させたので、EGRチューブと吸気マニホールドとの締結部の冷却と、EGRクーラによるEGRガスの冷却とを1つの経路で行うことができる。
【0013】
請求項2(及び4)に係る発明によれば、EGRクーラを締結フランジに隣接させたので、前記溝とEGRクーラにおける冷却水の通路とを連通させるための部品(ニップル、ホース)が不要となる。
請求項3(及び4)に係る発明によれば、締結フランジとEGR弁の筐体とを一体とし、前記溝とEGR弁の冷却水流通路とを連通させたので、EGRチューブと吸気マニホールドとの締結部と、EGR弁の冷却箇所とをシンプルな構成で冷却することができる。
【0014】
請求項5に係る発明によれば、前記溝を、EGRチューブを包囲するように環状に形成したので、EGRチューブと吸気マニホールドとの締結部のEGRガスからの受熱を抑制することができる。
請求項6に係る発明によれば、前記溝をねじ孔とEGRチューブとの間に形成したので、EGRガスからの受熱によるボルトの緩みを効果的に防止することができる。
【0015】
請求項7に係る発明によれば、前記溝をマニホールド側締結部に形成することとしたので、この溝を吸気マニホールドの成形と同時に、かつ正確な位置に設けることができる。
請求項8に係る発明によれば、冷却水を前記溝から貫通孔へ流通させることで、EGRチューブと吸気マニホールドとの締結部を効率的に冷却することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るエンジンにおけるEGRチューブと吸気マニホールドとの締結部の断面を示している。吸気マニホールド1と一体にマニホールド側締結部であるフランジ状部分1a(図には、その端部のみを示す。)を形成し、EGRチューブ2をこのフランジ状部分1aに対して締結フランジ3により締結している。締結フランジ3と吸気マニホールドのフランジ状部分1aとをボルト4により結合することで、EGRチューブ2を吸気マニホールド1に固定している。このように、本実施形態では、フランジ状部分1a、締結フランジ3及びボルト4からEGRチューブ締結装置を構成している。
【0017】
本実施形態に係るEGRシステムは、EGRガスを冷却するためのEGRクーラ5を備えている。EGRクーラ5は、略円筒状のクーラ本体5aをEGRチューブ2と同心に配置するとともに、EGRチューブ2とクーラ本体5aとの間に冷却水を流通させることで構成される。EGRクーラ5を締結フランジ3に隣接させてレイアウトし、締結フランジ3のうち合わせ面3aとは反対側の面に形成した円形の凹部3bにクーラ本体5aの一端をはめ合わせることで、クーラ本体5aの位置を決定している。
【0018】
本実施形態に係るEGRチューブ締結装置では、マニホールド側締結部(フランジ状部分1a)の合わせ面1bに溝11を形成するとともに、この溝11とEGRクーラ5の冷却水流通路とを、締結フランジ3に設けた貫通孔31を介して連通させている。フランジ状部分1aの合わせ面1bを示す図2のように、溝11は、合わせ面1bの中央で開口させたEGRガス流通路12と、ボルト4と噛み合わせるためのねじ孔13との間で環状に形成している。また、貫通孔31が接続する箇所を円形に広げて緩衝部11aを形成するとともに、この箇所とは中心を挟んで反対側で溝11を遠心方向に延伸させ、その先端に別の緩衝部11bを形成している。締結フランジ3には、第2の緩衝部11bに対応させて貫通孔31とは別の第2の貫通孔32を形成しており、この貫通孔32と冷却水流通管であるホース101とを、締結フランジ3に結合したニップル102により接続している。なお、冷却水は、溝11から貫通孔31へ向かう方向、すなわち、EGRクーラ5において、EGRガスの流れに対して下流から上流へ向かう方向に流通させる。
【0019】
このように、本実施形態に係るEGRチューブ締結装置によれば、マニホールド側締結部(フランジ状部分1a)と締結フランジ3との合わせ面に溝11を形成するとともに、この溝11を締結フランジ3に設けた貫通孔31を介してEGRクーラ5の冷却水流通路と連通させたので、極めて簡単な構成で締結装置の冷却箇所であるねじ孔周辺に冷却水を流通させることができる。すなわち、冷却水をねじ孔周辺に流通させるための手段として、ホースやニップルを使用する必要がないうえ、EGRクーラ5と共通の冷却系によりねじ孔周辺を冷却することができる。
【0020】
また、溝11を吸気マニホールド側に設けることとしたので、吸気マニホールドがアルミ鋳造品や樹脂射出成形品等である場合には、溝11に対応する凸部を型に設けておくことで、溝11を吸気マニホールド1の成形と同時に、かつ最適な位置に形成することができる。
さらに、溝11を、吸気マニホールドのフランジ状部分1aにおいて、EGRガス流通路12とねじ孔13との間で環状に形成したので、EGRガスの熱の伝わりを効果的に抑制し、ボルト4が緩む原因となるねじ孔周辺の耐力低下を防止することができる。
【0021】
以下に、本発明の他の実施形態について説明する。
【0025】
図3は、本発明の第2の実施形態に係るEGRチューブと吸気マニホールドとの締結部の断面を示している。先の第1の実施形態に係るEGRチューブ締結装置と共通する部分には、図1,2のものと同じ符号を付している。本実施形態では、締結フランジ3と一体にEGR弁6の筐体61を形成し、EGRチューブ2をフランジ7によりこの筐体61に締結するとともに、EGRクーラ5をフランジ7と隣接させて配置している。筐体61の内部には、弁体62により開閉されるポート63を形成している。クーラ本体5aをフランジ7に設けた凹部にはめ合わせることでEGRクーラ5の位置を決定しているのは、第1の実施形態と同様である。EGRガスは、EGRクーラ5により冷却した後に筐体61の内部に流入させ、ポート63を通過させて吸気系に還流させるようにしている。
【0026】
また、吸気マニホールド1のフランジ状部分1aに、冷却水をねじ孔周辺に流通させるための環状の溝11を以上と同様に形成するとともに、この溝11を、締結フランジ3に設ける貫通孔312により、EGR弁6で冷却が必要な箇所(例えば、弁体62や、図示しないステッピングモータ等のアクチュエータ)を冷却するための冷却水流通路64と連通させている。一方、クーラ本体5aと係合するフランジ7にも貫通孔71を形成し、この貫通孔71によりEGR弁の冷却水流通路64とEGRクーラ5における冷却水の通路とを連通させている。
【0027】
冷却水は、溝11から貫通孔312へ向かう方向へ流通させる。従って、マニホールド側締結部(フランジ状部分1a)と締結フランジ3との間でねじ孔周辺を経て緩衝部11aに至った冷却水は、その後貫通孔312を通ってEGR弁の冷却水流通路64を循環し、さらに貫通孔71を通ってEGRクーラ5に流入する。
【0028】
本実施形態では、フランジ状部分1a、締結フランジ3、筐体61、フランジ7及びボルト4を含んでEGRチューブ締結装置を構成しており、締結フランジ3と筐体61とを一体とし、溝11とEGR弁の冷却水流通路64とを、締結フランジ3に設けた貫通孔312により連通させた。また、EGRチューブ2をフランジ7により筐体61に締結し、冷却水流通路64とEGRクーラ5における冷却水の通路とをこのフランジ7に設けた貫通孔71により連通させた。このため、フランジ状部分1aのねじ孔周辺、EGR弁6の冷却箇所、及びEGRクーラ5に簡単な構成で冷却水を循環させて、冷却することができる。ここでも溝11を吸気マニホールド1の成形と同時に、かつ最適な位置に形成することができるとともに、ボルト4の緩みを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るEGRチューブ締結装置の構成
【図2】吸気マニホールド側の合わせ面
【図3】本発明の第2の実施形態に係るEGRチューブ締結装置の構成
【符号の説明】
1…吸気マニホールド
1a…フランジ状部分(マニホールド側締結部)
11…溝
2…EGRチューブ
3…締結フランジ
31…貫通孔
4…ボルト
5…EGRクーラ
6…EGR弁
Claims (8)
- エンジンにおいてEGRチューブと吸気マニホールドとを締結するための装置であって、
吸気マニホールドの側壁に設けられた、EGRチューブを流れるEGRガスを吸気マニホールドに流入させるためのEGRガス流通路を形成するマニホールド側締結部と、
前記マニホールド側締結部と結合して、前記EGRチューブを吸気マニホールドに締結させる締結フランジと、
前記EGRチューブを流れるEGRガスを冷却するためのEGRクーラと、を含んで構成され、
前記マニホールド側締結部と前記締結フランジとの合わせ面において、これら締結部及びフランジのうち少なくとも一方に、冷却水を流通させるための溝を形成するとともに、
前記EGRクーラは、前記EGRチューブよりも大径の略円筒状のクーラ本体を有し、このクーラ本体と前記EGRチューブとを同心に配置して、これらの間の空間により冷却水の通路を形成し、
前記締結フランジにおいて、このフランジを貫通して前記溝と前記EGRクーラにおける冷却水の通路とを連通させる貫通孔を形成したEGRチューブ締結装置。 - 前記EGRクーラは、前記クーラ本体が前記締結フランジにより軸方向の位置決めがされて、前記締結フランジに隣接して備わる請求項1に記載のEGRチューブ締結装置。
- 前記締結フランジと一体に形成された筐体を有するEGR弁と、
前記筐体と結合した、前記締結フランジとは異なる他のフランジと、を更に含んで構成され、
前記EGRチューブは、前記締結フランジに対して前記他のフランジにより前記筐体を介して結合し、前記溝と前記EGR弁の冷却水流通路とが前記貫通孔を介して連通し、
前記EGRクーラは、前記クーラ本体が前記他のフランジにより軸方向の位置決めがされて、前記他のフランジに隣接して備わる請求項1に記載のEGRチューブ締結装置。 - 前記EGRチューブは、吸気マニホールドに対し、前記EGRガス流通路の中心軸に対して平行に締結され、
前記締結フランジにおいて、前記貫通孔がこのフランジの軸方向に貫通する請求項2又は3に記載のEGRチューブ締結装置。 - 前記溝を、前記EGRチューブを中心として環状に形成した請求項1〜4のいずれかに記載のEGRチューブ締結装置。
- 前記溝を、前記締結フランジを前記マニホールド側締結部に結合するためのねじ孔と前記EGRチューブとの間に形成した請求項1〜5のいずれかに記載のEGRチューブ締結装置。
- 前記溝を前記マニホールド側締結部に形成した請求項1〜6のいずれかに記載のEGRチューブ締結装置。
- 冷却水が前記溝から前記貫通孔へ流通する請求項1〜7のいずれかに記載のEGRチューブ締結装置。
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