JP4029441B2 - 自動車のルーフ構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のルーフ構造に係り、詳しくはルーフパネルを補強する上で有効なルーフ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般の標準的な自動車の場合、ルーフパネルの内面には、面剛性を高めるための複数個のルーフリインホースが配置されている。ルーフリインホースはパネル内面に沿って左右(車幅)方向に延在するビード付きの帯板からなり、その両端部をルーフパネルのフランジ端末とルーフサイドパネルのフランジ端末とのスポット溶接面間に挟み込んだ状態でルーフサイドレール部に重ね合わせ構造で結合されている。
【0003】
ところで、自動車のルーフには、荷物を積載するために用いられるルーフラックを搭載したり、換気、採光を目的としてサンルーフを設定したりすることがある。そして、ルーフラックは通常の場合、複数個のルーフラックブラケットを介してルーフサイドレール部に取り付けられる。
また、サンルーフを設定するときは、サンルーフ開口部に対応する部位のルーフリインホースが廃止され、代わりにサンルーフ開口部を取り囲むようにしてサンルーフハウジングリテーナを配置し、そのサンルーフハウジングリテーナをサンルーフブラケットを介してルーフサイドレール部に結合していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のような従来のルーフ構造の場合、ルーフにルーフラックを搭載したりサンルーフを設定したりしたときは、ルーフパネルの剛性が不足する可能性があった。例えば、ルーフラックの搭載時にはルーフラック取付部に入力される下向き荷重でルーフパネルのフランジ部が座屈する可能性があり、またサンルーフの設定時には、ルーフパネルに下向き荷重が加わり、これによってルーフパネルが撓む可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、上述の問題点に鑑み、既存の構造を活用した上で、小部品の追加設定による簡単な構造でルーフパネルを補強することが可能な自動車のルーフ構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は次のように構成したものである。即ち、請求項1の発明は、ルーフパネルのフランジ端末部がルーフサイドレール部に結合される自動車のルーフ構造において、前記ルーフパネルの内面に沿って車幅方向に帯状に延在するルーフリインホースの端部を前記ルーフサイドレール部に対してルーフパネルのフランジ端末部と共に結合するとともに、ルーフラックがルーフラックブラケットを介して前記ルーフサイドレール部のルーフリインホース介装部位に取り付けられて前記ルーフラック及び当該ルーフラックに載置される荷物の荷重が前記ルーフラックブラケットを経て前記ルーフパネルのフランジに対して該フランジを座屈させるような下向きの荷重として入力される構成とされており、前記ルーフリインホースには、前記ルーフパネルの内面と結合し前記フランジに入力される下向き荷重を受けるけることにより前記フランジを座屈させるような下向きの荷重による該フランジの座屈を防止することができるルーフパネル補強用ブラケットが、前記ルーフパネルのフランジ近くに設けられていることを特徴とする。
【0007】
上記のように構成された請求項1の発明によれば、ルーフラック取付部をルーフパネル補強用ブラケットを備えたルーフリインホース近傍に設定した場合に、ルーフラック取付部に入力する下向き荷重がルーフパネル補強用ブラケットで支えられ、ルーフパネルにおけるフランジの座屈に対する補強が達成される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて具体的に説明する。先ず、図1〜図4に基づいて本発明の第1の実施の形態を説明する。本実施の形態は、サンルーフの無いノーマル車にルーフラックを搭載した場合であって、図1はルーフの平面図であり、ルーフ全体のうちの右前部が示されている。図2は図1のA−A線断面図(図4のB部断面図)、図3は図1のC−C線断面図、図4はルーフラックの搭載態様を示す自動車の概略側面図である。なお、図中の矢印FRは車両前方を示す。
【0013】
図1及び図3に示すように、ルーフパネル1の左右両サイド部には、断面略L形のフランジ1aが形成され、そのフランジ1aの端末部1bがルーフサイドパネル2に形成された断面略L形のフランジ2aの端末部2bに重ねた状態で、ルーフサイドレールインナ4とルーフサイドレールアウタ5で構成されるルーフサイドレール3のフランジ3aにスポット溶接によって結合されている。
【0014】
ルーフパネル1の面剛性を上げるために、ルーフパネル1の室内面側には強度部材としての複数個のルーフリインホースが配置される。図1にはルーフに配置されるルーフリインホースのうち、前側2個の第1と第2のルーフリインホース6,7が示されている。両ルーフリインホース6,7はパネル内面に沿って左右(車幅)方向に延在するビード付き帯板であって、図2に示すように、ルーフパネル1に対して構造用接着剤8によって結合されるとともに、その両端部が下向きに傾斜して延在し、ルーフパネル1のフランジ端末部1bとルーフサイドパネル2のフランジ端末部2bとの間に差し込まれて挟着結合されている。
【0015】
なお、このような挟着結合を得るために、ルーフパネル1のフランジ端末部1bにおけるリインホース取付部位は、図2に示した一般部よりも上側に膨出されてルーフリインホース6、7の板厚に相当するリインホース差込用の取付溝9が成形されている。
【0016】
上記したルーフパネル1のサイド部及びルーフリインホース6,7の結合構造は、従来と同様であり、本実施の形態は、このような結合構造のルーフ上にルーフラック12を搭載した場合において、ルーフパネル1のルーフラック取付部に関する補強を目的としている。
【0017】
ルーフラック12は図4に示すように、複数個のルーフラックブラケット13を介してルーフサイドレール部(即ち、ルーフパネル1、ルーフサイドパネル2、ルーフサイドレール3の結合部)におけるレール底のルーフリインホース介装部位に取り付けられ、そして最も前側のルーフラックブラケット13が第2のルーフリインホース7の介装部位に取り付けられる。
【0018】
ルーフラックブラケット13は、ルーフサイドレール部におけるルーフラックブラケット13の取付部位に貫設された取付孔を通して差し込まれるボルト14をルーフサイドレールインナ4下面に溶着されたウエルドナット15に締結することによって取り付けられる。この締結に当たり、ルーフラックブラケット13とルーフパネル1及びルーフサイドパネル2との間にはリテーナ16及びパッキン17が介在され、リテーナ16のボス部端面とルーフパネル1のフランジ端末部1bとの間にはパッキン18が介在される。
なお、図2において、19は防水用シーラを示し、20は目隠し用のモールである。また、図1及び図4において、21は第1ピラー、22は第2ピラーを示し、図4において、23は第3ピラー、24は第4ピラーを示す。
【0019】
ところが、上記のようなルーフラック取付構造によると、ルーフラック12及びそれに積載される荷物の荷重がルーフラックブラケット13からリテーナ16、パッキン17を経てルーフパネル1のフランジ1aに対してこれを座屈させるような力として入力される。
そこで、本実施の形態においては、図2に示すように、ルーフパネル1のフランジ1a付近において、ルーフパネル1と第2のルーフリインホース7との間にルーフパネル補強用のブラケット10を追加設定することによってルーフラック取付部を補強したものである。ブラケット10は略Z形に形成され、その一端がルーフリインホース7に溶接によって結合され、他端がルーフパネル1の内面に構造用接着剤11によって結合される。
【0020】
本実施の形態は上記のように、ルーフラックブラケット13の取付部近傍において、ルーフパネル1とルーフリインホース7との間に補強用のブラケット10を追加設定したので、ルーフラック12の搭載に伴いルーフラック12及びそれに積載される荷物の荷重がルーフラックブラケット13からリテーナ16、パッキン17を経てルーフパネル1に作用した場合、その荷重がブラケット10で支えられ、ルーフパネル1のフランジ1aへの入力が軽減される。即ち、ブラケット10によってルーフラック取付部の強度がアップされ、フランジ1aの座屈を防止することができる。
【0021】
次に、本発明の第2の実施の形態を図5〜図7に基づいて説明する。この実施の形態はサンルーフを設定した場合におけるルーフパネル1の強度アップを目的としたものであって、図5はサンルーフ付きルーフの平面図、図6は図5のD−D線断面図、図7は図5のE−E線断面図である。なお、図中の矢印FRは車両前方を示す。
【0022】
なお、サンルーフ仕様で用いられるルーフパネル1は、サンルーフ開口部25の有無を除いては、第1の実施の形態で説明したルーフパネル1と同一形状に形成されているものとする。従って、ルーフパネル1の両サイド部の結合構造は第1の実施の形態の場合と同様であり、同一符号を付して説明を省略する。
サンルーフ仕様の場合は、ルーフパネル1にサンルーフ開口部25を設ける関係で、その部位のルーフリインホース、即ち第1及び第2のルーフリインホース6,7が廃止され、その代わりにサンルーフ開口部25を取り囲むように、サンルーフハウジング(図示省略)を取り付けるための方形枠状のサンルーフハウジングリテーナ26がルーフパネル1内面に配置される。
【0023】
サンルーフハウジングリテーナ26は、その内周縁が全体にわたって図7に示す如く、サンルーフ開口部25の開口フランジ25aにスポット溶接され、またサンルーフハウジングを取り付けるためにビード付きの幅広に形成される後側は図6に示す如く構造用接着剤27によってルーフパネル1内面に結合され、その端部にはサンルーフハウジング取付用のウエルドボルト28を備えている。
このため、サンルーフに関係する部材の重量がルーフパネル1に対してこれを下向きに撓ませる様な形態で加わることになる。
【0024】
そのため、通常は図7に示すように、上記のようなサンルーフハウジングリテーナ26の両サイド略中間部をボルト・ナット29にて締結されるサンルーフ用ブラケット30を介してルーフサイドレール部によって支持しているが、これによっても十分とは言い難い。特に、後部側の重量が最も大きく、その付近でルーフパネル1に撓みが発生する可能性が高い。
【0025】
そこで、この本実施の形態では、図6に示すように、サンルーフハウジングリテーナ26の両サイド後端部と、ルーフサイドレール部との間に第2のサンルーフ用ブラケット31を横架状に追加設定することによってルーフパネル1を補強したものである。第2のサンルーフ用ブラケット31は一端がサンルーフハウジングリテーナ26の端部に結合されて延在する帯板であって、その延在端部がルーフパネル1のフランジ端末部1bに形成されている第2のルーフリインホース差込用の取付溝9に差し込まれ、ルーフサイドパネル2のフランジ端末部2bとの間に挟着される。
【0026】
このため、サンルーフハウジングリテーナ26の両サイド後端部には、サンルーフ用ブラケット31とサンルーフハウジングリテーナ26とルーフパネル1とによって袋形状が構成され、ルーフパネル1が補強され、サンルーフの重量によるルーフパネル1の撓みが防止される。
【0027】
この場合、サンルーフ用ブラケット31の端部を図7に示す第1のサンルーフ用ブラケット30の如くボルト・ナット29にて締結することも可能であるが、そのときは取付溝9が隙間として残留してシーラ19が塗布し難くなり、シーラ切れを生ずる虞があるので、この実施の形態においては、サンルーフ用ブラケット31の端部を第2のルーフリインホース差込用の取付溝9に差し込む構成を採用することによって取付溝9を隙間として残さないようにしている。このことのよって、少なくともサンルーフハウジングリテーナ26の両サイド後端部については、シーラ19が塗布し易くなり、シーラ切れといった不具合の発生が防止されて適正なシール性を確保することができる。
【0028】
また、この実施の形態では図6に示すように、ユーザーが軽重量用の簡易キャリアを後付けできるように、第1の実施の形態で説明したルーフラックの取付孔及びウエルドナット15を設けてあるが、取付孔は常にはウエルドナット15に締着されるメクラボルト32によって塞がれ、さらにモール20によって目隠しされている。従って、ボデーに後加工を施すことなく、ユーザーの希望に対応することができる。
【0029】
次に本発明の第3の実施の形態を図8に基づいて説明する。この実施の形態は、サンルーフ車にルーフラック12を搭載した場合におけるルーフパネル1の補強を目的としている。
この第3の実施の形態は、言わば第1の実施の形態と第2の実施の形態との組み合わせである。即ち、第2の実施の形態で説明した第2のサンルーフ用ブラケット31に、第1の実施の形態で説明したルーフパネル補強用ブラケット10に相当するルーフパネル補強部32を一体に設けたものであり、そのルーフパネル補強部32はサンルーフ用ブラケット31の長手方向の略中程を上側にコ形に膨出して形成され、その上面が構造用接着剤33によってルーフパネル1内面に結合されている。
従って、その他の構成は第2の実施の形態と同様である。
【0030】
上記のように構成される第3の実施の形態によれば、ルーフパネル補強部32付きのサンルーフ用ブラケット31を設けたことによって、ルーフラック12及びそれに積載される荷物の荷重に対抗してルーフパネル1のフランジ1aが座屈することを防止するとともに、サンルーフの重量に起因するルーフパネル1の撓みを防止することができ、またシーラ切れを防いで適正なシール性を確保することが可能となる。
【0031】
なお、第1の実施の形態ではルーフパネル補強用ブラケット10を略Z形に形成したが、これを断面ハット形に形成してもよく、またルーフパネル補強用ブラケット10は第2のルーフリインホース7に一体に形成してもよい。第2の実施の形態では、第1のサンルーフ用ブラケット30をボルト・ナット29でルーフサイドレールインナ4に締結したが、第2のサンルーフ用ブラケット31の場合と同様に、第1のルーフリインホース差込用の取付溝9に差し込んで挟着する構成にしてもよい。第3の実施の形態では、ルーフパネル補強部32を第2のサンルーフ用ブラケット31に一体成形したが、別体で形成後、結合してもよい。
【0032】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、既存の構造を活用した上で、ルーフパネル補強用ブラケットや第2のサンルーフ用ブラケットのような小部品を追加設定することによって簡単な構造でありながらルーフパネルを補強することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係るルーフの平面図であり、ルーフ全体のうちの右前部が示されている。
【図2】図1のA−A線断面図(図4のB部断面図)である。
【図3】図1のC−C線断面図である。
【図4】ルーフラックの搭載態様を示す自動車の概略側面図である。
【図5】第2の実施の形態に係るルーフの平面図であり、ルーフ全体のうちの右前部が示されている。
【図6】図5のD−D線断面図である。
【図7】図5のE−E線断面図である。
【図8】第3の実施の形態に係るルーフサイドの断面図である。
【符号の説明】
1…ルーフパネル
1a…フランジ
1b…フランジ端末部
2…ルーフサイドパネル
2a…フランジ
2b…フランジ端末部
3…ルーフサイドレール
6…第1のルーフリインホース
7…第2のルーフリインホース
10…ルーフパネル補強用ブラケット
12…ルーフラック
13…ルーフラックブラケット
25…サンルーフ開口部
26…サンルーフハウジングリテーナ
30…第1のサンルーフ用ブラケット
31…第2のサンルーフ用ブラケット
32…ルーフパネル補強部
Claims (1)
- ルーフパネルのフランジ端末部がルーフサイドレール部に結合される自動車のルーフ構造において、
前記ルーフパネルの内面に沿って車幅方向に帯状に延在するルーフリインホースの端部を前記ルーフサイドレール部に対してルーフパネルのフランジ端末部と共に結合するとともに、ルーフラックがルーフラックブラケットを介して前記ルーフサイドレール部のルーフリインホース介装部位に取り付けられて前記ルーフラック及び当該ルーフラックに載置される荷物の荷重が前記ルーフラックブラケットを経て前記ルーフパネルのフランジに対して該フランジを座屈させるような下向きの荷重として入力される構成とされており、前記ルーフリインホースには、前記ルーフパネルの内面と結合し前記フランジに入力される下向き荷重を受けることにより前記フランジを座屈させるような下向きの荷重による該フランジの座屈を防止することができるルーフパネル補強用ブラケットが、前記ルーフパネルのフランジ近くに設けられている自動車のルーフ構造。
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