JP4028710B2 - 液体型燃料電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、負極に供給する燃料及び正極に供給する燃料を酸化する物質をそれぞれ液体状で用い、高い起電力を得ることができる新規な液体型燃料電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、負極に燃料を、また正極に燃料を酸化する物質をそれぞれ連続的に供給して化学反応を行わせ、その際の自由エネルギー変化を直接電気エネルギーに変換して発電する装置であるが、これまで負極に供給される燃料としては、水素、メタン、ガソリンのような炭化水素、メチルアルコールなどの気体又は液体が、また正極に供給される燃料を酸化する物質としては、空気のような気体が主として用いられてきた。
【0003】
例えば、最も単純な系は、図1に示すような水素−酸素燃料電池である。このものは、多孔性炭素板に白金黒を触媒として付着させた材料で正極1及び負極2を構成し、両極間に電解液3として希硫酸水溶液やリン酸水溶液を満たし、燃料ガス室4に水素ガスを、酸化剤ガス室5に空気をそれぞれ供給する。そして、電極間の外部回路6を閉じると、負極から外部回路6を通って正極に電子が流れ、発電する。
この燃料電池は、電解質の種類により酸性電解質燃料電池、アルカリ性燃料電池、固体電解質燃料電池、溶融塩燃料電池などと称され、また燃料の種類により、水素−酸素燃料電池、メタン燃料電池、ヒドラジン燃料電池、メタノール燃料電池などと称されている。
【0004】
ところで、燃料及び燃料を酸化する物質を液体として供給することができれば、反応を円滑に行うことができ、効率が向上し、しかも取り扱いやすく、反応条件の制御が容易であるにも拘わらず、これまで水素吸蔵合金を利用し、かつ燃料及び燃料を酸化する物質の両方をそれぞれ液体として供給する方式の燃料電池は知られていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、燃料源として水素を、燃料を酸化させる物質として酸素を用いる燃料電池において、燃料の水素及び燃料を酸化する酸素の供給源を液体状にして別々に供給することにより、反応効率を向上させ、供給条件の制御を容易にすることを目的としてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、燃料電池の水素供給源及び酸素供給源について種々研究を重ねた結果、正極部と負極部とをイオン透過性隔膜により分画した燃料電池において、負極を水素吸蔵合金又はその水素化物で構成するとともに、水素供給源として金属水素錯化合物のアルカリ性水溶液を、酸素供給源として水酸イオンを発生しうる過酸化物の水溶液を用い、それぞれを別々に供給することにより、高い起電力をもつ燃料電池を得ることができることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、イオン透過性隔膜により分画して、一方を正極を配置した正極部、他方を負極を配置した負極部に形成し、正極部に正極液を、負極部に負極液をそれぞれ連続的に供給しながら正極と負極の間で電気を発生させる燃料電池において、負極を水素吸蔵合金又はその水素化物をもって構成するとともに、正極液として水酸イオンを発生しうる過酸化物の水溶液を、負極液として金属水素錯化合物のアルカリ性水溶液をそれぞれ用いたことを特徴とする液体型燃料電池を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に添付図面に従って、本発明の液体型燃料電池を説明する。
図2は、本発明燃料電池の構造を示す側方断面図であって、ケーシング7の内部は、イオン透過性隔膜8により2分され、一方に正極1、他方に負極2が配置されている。上記の正極には、それに接触している水酸イオンを発生しうる過酸化物の水溶液9より活性酸素が供給され、上記の負極2には、それに接触している金属水素錯化合物のアルカリ性水溶液10が供給される。
【0009】
このような構成の燃料電池では、負極2において、次式に示すように8個の電子が発生する。
BH4 - + 8OH- → BO2 - + 6H2O + 8e-
他方、正極1において、水酸イオンを発生しうる過酸化物、例えばH2O2が次式に示すように水酸イオンを発生する。
H2O2 + 2e- → 2OH-
すなわち、全体を通じて
BH4 - + 4H2O2 - → BO2 - + 6H2O
の電池反応が進行し、正極端子13と負極端子14とを連結すれば、両端子間に高い起電力を生じる。
【0010】
前記のケーシング7を構成する材料としては、金属、合金、金属酸化物、絶縁性セラミックス、プラスチックスなどが用いられるが、各電極との絶縁性材料を用いるのが有利である。
また、正極部と負極部とを分画しているイオン透過性隔膜8は、正極液及び負極液の両方に対して耐食性を有する材料で構成されていることが必要である。このイオン透過性隔膜8は、陰イオン透過性隔膜、すなわち正極において水酸イオンを発生しうる過酸化物が水と反応して生成する水酸イオンを透過し、負極で生じるプロトンを透過しないものでもよいし、また陽イオン透過性隔膜、すなわち負極で生じるプロトンを透過し、正極で生じる水酸イオンを透過しないものであってもよい。また、所望により、両方のイオンを透過する双極性透過性隔膜を用いることもできる。このようなイオン透過性隔膜としては、耐食性の基材を用いたもの、例えばスチレン−ジビニルベンゼン共重合体、オレフィン系重合体、フルオロカーボン重合体に第四級アンモニウム塩基を導入した膜が好ましい。このような陰イオン透過性隔膜としては、例えばポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを水−アセトン−臭化ナトリウムに溶解して得た膜、アクリロニトリル−メタクリルスルホン酸ナトリウム共重合体膜などを挙げることができる。これらのイオン透過性隔膜は市販品、例えばナフィオン(デュポン株式会社製)として容易に入手することができる。
【0011】
次に、本発明における正極としては、例えば炭素、白金を分散した炭素や鉄、ニッケル、クロム、銅、白金、パラジウムのような金属やそれらの合金が用いられる。発電効率や耐久性がよく、低コストという点でニッケル又はニッケル・クロム合金の多孔体、例えば粒状焼結体や発泡体を基材とし、その表面に白金、パラジウムのような貴金属をめっきしたものが好ましい。
この正極としては、その表面で酸素の還元反応が容易に進行する導電性材料が好ましい。また、正極には、酸素呼吸材料、すなわち酸素ガスと接触して酸素を可逆的に吸収、放出しうる材料も用いることができる。
【0012】
また、負極としては、水素吸蔵合金又はその水素化物が用いられる。この水素吸蔵合金又はその水素化物は、水素を可逆的に吸収、放出し得るものであれば特に制限はなく、例えばMg2Ni合金、Mg2NiとMgとの共晶合金のような、Mg2Ni系合金、ZrNi2系合金、TiNi2系合金などのラベス相系AB2型合金、TiFe系合金のようなAB型合金、LaNi5系合金のようなAB5型合金、TiV2系合金のようなBCC型合金の中から任意に選ぶことができる。
【0013】
この中で好ましいのは、LaNi4.7Al0.3合金、MmNi0.35Mn0.4Al0.3Co0.75合金(ただしMmはミッシュメタル)、MmNi3.75Co0.75Mn0.20Al0.30合金(ただしMmはミッシュメタル)、Ti0.5Zr0.5Mn0.8Cr0.8Ni0.4、Ti0.5Zr0.5Mn0.5Cr0.5Ni、Ti0.5Zr0.5V0.75Ni1.25、Ti0.5Zr0.5V0.5Ni1.5、Ti0.1Zr0.9V0.2Mn0.6Co0.1Ni1.1、MmNi3.87Co0.78Mn0.10Al0.38(ただしMmはミッシュメタル)などである。
【0014】
これらの水素吸蔵合金又はその水素化物は、表面をフッ化処理することにより、その性能を著しく高めることができる。すなわち、このようなフッ化処理を行うことにより、接触する負極液に対する耐腐食性が付与され、かつ長期間にわたって高い発電容量を維持しうる。
【0015】
このフッ化処理は、例えば水素吸蔵合金又はその水素化物をフッ化剤含有水溶液中に浸せきし、その表面をフッ素化することによって行われる。
このフッ化剤含有水溶液としては、通常、フッ素イオンとアルカリイオンを含む水溶液が用いられ、これは、例えばフッ化アリカリを0.2〜20質量%程度の濃度で含有する水溶液に、フッ化水素を加えて、pHを2.0〜6.5程度、好ましくは4.0〜6.0の範囲に調整することにより調製することができる。この際用いるフッ化アリカリとしては、特に制限はなく、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アンモニウムなどの、水に対して易溶性のものが好ましく、特にフッ化カリウムが好適である。これらのフッ化アルカリは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0016】
フッ化剤含有水溶液のフッ化アルカリの好ましい濃度は、フッ化ナトリウムの場合0.3〜3質量%、フッ化カリウムの場合0.5〜5質量%、フッ化アンモニウムの場合0.5〜8質量%の範囲である。フッ化アルカリの濃度が上記範囲よりも低いとフッ化処理表面の形成に長時間を要し、実用的でないし、上記範囲より高いと十分な厚さのフッ化処理表面が形成されにくいため、安定化効果が不十分となる。
【0017】
上記pH範囲に調整するのに必要なフッ化水素の量は、通常、フッ化アルカリ1モルに対し、フッ化ナトリウムの場合1〜3モル、フッ化カリウムの場合0.2〜3モル、フッ化アンモニウムの場合0.2〜1モルの範囲である。
【0018】
フッ化剤含有水溶液を用いて、水素吸蔵合金又はその水素化物にフッ化処理表面を形成させるには、このフッ化剤含有水溶液中にこれを浸せきし、通常、常圧下で0〜80℃程度、好ましくは30〜60℃の範囲の温度において、その表面に十分な厚さ、すなわち0.01〜1μm程度のフッ化処理表面が形成されるまで保持する。これに要する時間は1〜60分間程度である。
【0019】
本発明における電極は、一方の側を陽極とし、他方の側を陰極とした両極電極として構成することもできる。電極の形状は任意であり、目的に応じて種々の形状、例えばシート状、管状、円筒状、方体状、球状などにすることができる。また、発泡体状やコロイド状、粉体状に形成することもできる。
【0020】
次に、本発明の液体型燃料電池において、負極液を構成する金属水素錯化合物としては、例えば一般式
MIMIIIH4-nRn (I)
又は
MII(MIIIH4-nRn)2 (II)
(式中のMIはアルカリ金属、MIIはアルカリ土類金属又は亜鉛、MIIIはホウ素、アルミニウム又はガリウムであり、Rは炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基又はアシルオキシ基、nは0〜3の整数である)
で表わされる金属水素錯化合物がある。
【0021】
これらの式中のMIはアルカリ金属、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムなどであり、MIIはアルカリ土類金属、例えばマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム又は亜鉛であり、MIIIはホウ素、アルミニウム又はガリウムである。Rは例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基のような炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、n‐プロポキシ基、iso‐プロポキシ基、n‐ブトキシ基、iso‐ブトキシ基、sec‐ブトキシ基、tert‐ブトキシ基、2‐メトキシエトキシ基、2‐エトキシメトキシ基のようなヒドロカルビルオキシ基又はアセトキシ基、プロピオニルオキシ基のようなアシルオキシ基である。
【0022】
したがって、一般式(I)で表わされる金属水素錯化合物の例としては、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)、水素化ホウ素カリウム(KBH4)、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)、トリメトキシ水素化ホウ素ナトリウム[NaBH(OCH3)]、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム[NaBH(OCOCH3)3]、トリフェノキシ水素化ホウ素ナトリウム[NaBH(OC6H5)3]、水素化トリエチルホウ素リチウム[Li(C2H5)3BH]、水素化トリ‐s‐ブチルホウ素リチウム[Li(s‐C4H9)3BH]、水素化トリブチルホウ素リチウム[Li(n‐C4H9)3BH]、水素化トリ‐s‐ブチルホウ素カリウム[K(s‐C4H9)3BH]、水素化トリフェニルホウ素カリウム[K(C6H5)3BH]、トリメトキシ水素化アルミニウムリチウム[LiAlH(OCH3)3]、モノエトキシ水素化アルミニウムリチウム[LiAlH3(OC2H5)]、トリ‐tert‐ブトキシ水素化アルミニウムリチウム、水素化ビス(2‐メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムなどを挙げることができる。また、一般式(II)で表わされる金属水素錯化合物の例としては、水素化ホウ素亜鉛[Zn(BH4)2]、水素化ホウ素カルシウム[Ca(BH4)2]、テトラメトキシ水素化ホウ素亜鉛〔Zn[B(OCH3)2H2]2〕、ヘキサエトキシ水素化ホウ素カルシウム〔Ca[B(OC2H5)3H]2〕などを挙げることができる。これらの金属水素錯化合物は公知であり、選択的水素化用試薬として市販されている。
【0023】
本発明においては、この金属水素錯化合物をアルカリ性水性媒質中に溶解し、水溶液として用いることが必要である。この際の媒質の水には所望に応じアルコール類のような水混和性溶媒を混合することもできる。
【0024】
アルカリ性媒質を形成するために水の中へ加えられるアルカリ性物質としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物や、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドのような第四アルキルアンモニウム化合物がある。
【0025】
本発明においては、これらのアルカリ性物質を少なくとも5質量%、好ましくは少なくとも10質量%の濃度で、所定の溶剤に溶解してアルカリ性媒質を調製する。この濃度の上限は、アルカリ性物質の飽和濃度であるが、あまり高濃度にすると金属水素錯化合物が溶解しにくくなるので、30質量%以下の範囲で選択するのが好ましい。
【0026】
また、金属水素錯化合物は、目的とする発電容量及びアルカリ性水溶液に対する溶解性を考慮して、一般に0.1〜50質量%の濃度で用いるのが好ましい。なお、電解液のイオン伝導性を向上させるために、水酸化リチウムを少量、例えば0.01〜0.1質量%で添加することもできる。
【0027】
本発明燃料電池は、負極液そのものが水素供給源となるため、液流量や液温度の調整によって発電量の制御が容易となり、また負極に気体状水素が実質的に介在しないために小さな口径の配管が使用でき、圧力・流量などの制御が容易になる。
【0028】
次に、本発明の液体型燃料電池においては、負極部で発生する燃料、すなわち水素を酸化するための正極液として水酸イオンを発生しうる過酸化物の水溶液を用いる。
この水酸イオンを発生しうる過酸化物としては、例えば、過酸化水素、ヒドロペルオキシド(R′OOH)、過酸化ジアルキル(R′OOR′)、過酸化ジアシル[(R′COO)2]、過酸化エステル(R′COOOR″)(ただし、R′及びR″はアルキル基又はアリール基)などの過酸化物の水溶液が用いられるが、特に過酸化水素、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ‐tert‐ブチルが最も使いやすいので好ましい。これらの水溶液は1〜40質量%の濃度で用いられるが、特に好ましいのは2〜5質量%濃度の過酸化水素水溶液である。
これらの水酸イオンを発生しうる過酸化物の水溶液には、所望に応じ安定剤として、リン酸、尿酸、馬尿酸、バルビタール、アセトアニリドなどを0.01〜0.1質量%の範囲の濃度で添加することができる。
【0029】
本発明液体型燃料電池においては、正極液すなわち水酸イオンを発生しうる過酸化物の水溶液及び負極液すなわち金属水素錯化合物のアルカリ性水溶液は、管路11及び12にそれぞれ付設したポンプ15及び16により循環させながら発電するが、これらの液の活性が低下した場合には、それぞれの管路11、12に設けられた三方バルブ17及び18により液を抜き出し、新しい液と交換するか、或いは連続的に使用済みの液を抜き出し、新しい液を補給して発電力を維持する。
【0030】
本発明の液体型燃料電池は、負極液として金属水素錯化合物のアルカリ性水溶液を用い、正極液として水酸イオンを発生しうる過酸化物の水溶液を用いたことにより、完全に液体で構成することができ、しかも空気や酸素ガスを酸素源とした場合に比べ、遥かに多量の酸素量を供給することができる。例えば、2%濃度の過酸化水素水溶液100mlを用いた場合、その酸素量は空気を用いた場合の約22倍になる。
なお、本発明の燃料電池は、ユニットセルを直列又は並列に連結して構成することもできる。
【0031】
【実施例】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0032】
実施例1
ニッケル多孔質材料(平均細孔径400μm,気孔率99%)の板状体(100×70×1.15mm)を基材とし、これに水素吸蔵合金(LaNi4.7Al0.3)の粉末(平均粒子径75μm)7.5gと水1.5gとの混合物を塗り込め、乾燥したのち、ローラプレスにより10ton/mの荷重で圧縮成形することにより、負極として用いるプレート状電極(45×70×1mm)を製造した。別に前記と同じニッケル多孔質材料の板状体(475×700×1.15mm)を4枚重ねて正極とした。
1リットル体積のビーカー中に、上記の負極と正極を2mm間隔で平行に対向させて配置し、両者の間をプロトン交換型高分子電解質膜(デュポン株式会社製,商品名「ナフィオン(Nafion)NE−424」)により隔離した。
次に、負極側に30質量%KOH水溶液にKBH4を2質量%の濃度で溶解した溶液20mlを、また正極側に3質量%H2O2水溶液(0.01質量%のリン酸を含む)18mlを同時に注入し、液温を25℃に維持し、負極と正極の間を導線で連結し、発生電圧と発生電流との関係を測定し、その結果を図3に示した。
【0033】
実施例2
実施例1において、100分間発電させたのち、発生電圧がほとんど認められなくなったので、負極液及び正極液を新らしく入れ替え、同様の実験を4回繰り返した。このようにして得た電圧の変化を以下に示す。
第1回目 1.21V
第2回目 1.35V
第3回目 1.46V
第4回目 1.53V
第5回目 1.66V
このようにして、回を重ねるごとに、電圧は理論値(2.247V)に近づくことが分かる。
【0034】
実施例3
フッ化ナトリウム2質量%とフッ化水素2質量%を含む水溶液中に、Mg2Niを浸せきし、50℃で20分間フッ化処理した。このようにして得た水素吸蔵合金粉末(平均粒子径60μm)を実施例1と同様にしてニッケル多孔質材料の板状体(100×70×1.15mm)に塗り込め、乾燥し、圧縮成形することにより、負極(45×70×1mm)を製造した。
別に上記と同じニッケル多孔質材料の板状体に、PdCl2 2g/リットル、35質量%HCl 4ml/リットル、NH4OH(NH3として28質量%)160g/リットル、NaH2PO2・2H2O 10g/リットルを含むめっき液を用い、50℃で10分間無電解めっきを施すことにより得た電極5枚を重ねて正極とした。
このようにして得た負極と正極を用い、実施例1と同じ条件で発電したところ、放電時間5時間で、電圧0.7V、電流密度300mA/dm2が測定された。
【0035】
実施例4
負極液として3質量%H2O2水溶液の代りに、5質量%過酸化アセチル水溶液を用いる以外は、実施例3と同様の条件で発電させた。
その結果、放電時間5時間で、電圧0.7V、電流密度450mA/dm2を得た。
【0036】
比較例
実施例1において、酸素供給源として圧縮空気(0.35リットル/分)を接触させながら、他は実施例1と同じ処理を行ったところ、電圧1.35V、電流密度342mA/dm2であった。
この例より、本発明によると、電圧、電流密度とも従来のものよりも著しく向上していることが分る。
【0037】
【発明の効果】
本発明によると、負極に供給する燃料及び正極に供給する燃料を酸化する物質の両方を液体として連続的に供給し、高い起電力の液体型燃料電池が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 最も単純な系の水素−酸素燃料電池の構造を示す側方断面図。
【図2】 本発明燃料電池の構造を示す側方断面図。
【図3】 実施例1における発生電圧と発生電流との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1 正極
2 負極
3 電解液
4 燃料ガス室
5 酸化剤ガス室
6 外部回路
7 ケーシング
8 イオン透過性隔膜
9 水酸イオンを発生しうる過酸化物の水溶液
10 金属水素錯化合物のアルカリ性水溶液
11,12 管路
13 正極端子
14 負極端子
15,16 ポンプ
17,18 三方バルブ
Claims (3)
- イオン透過性隔膜により分画して、一方を正極を配置した正極部、他方を負極を配置した負極部に形成し、正極部に正極液を、負極部に負極液をそれぞれ連続的に供給しながら正極と負極の間で電気を発生させる燃料電池において、負極を水素吸蔵合金又はその水素化物をもって構成するとともに、正極液として水酸イオンを発生しうる過酸化物の水溶液を、負極液として金属水素錯化合物のアルカリ性水溶液をそれぞれ用いたことを特徴とする液体型燃料電池。
- 負極を構成する水素吸蔵合金又はその水素化物がフッ化処理されている請求項1記載の液体型燃料電池。
- 金属水素錯化合物が、一般式
MIMIIIH4-nRn
又は
MII(MIIIH4-nRn)2
(式中のMIはアルカリ金属、MIIはアルカリ土類金属又は亜鉛、MIIIはホウ素、アルミニウム又はガリウムであり、Rは炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基又はアシルオキシ基、nは0〜3の整数である)
で表わされる金属水素錯化合物の中から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2記載の液体型燃料電池。
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