JP4028624B2 - 芳香族化合物の製造方法 - Google Patents

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【0001】
本発明は、芳香族化合物を製造する方法に関する。詳しくは、本発明は、1以上の選択された部位にハロゲン原子を有する芳香族化合物を製造する方法に関する。本発明は、また、ハロゲン原子が望まれない部位からハロゲン原子を除去する方法を提供する。幾つかの条件下においては、本発明方法を用いて、ハロゲン化芳香族化合物から全てのハロゲン置換基を除去することができる。
【0002】
ハロゲン化反応は、多くの芳香族有機化合物の製造のための合成系路における不可欠な工程である。しかしながら、ハロゲン化反応は、望ましくない程度のハロゲン化を有するか又は所期の部位以外にハロゲン原子を有する混合物を与える可能性がある。選択的ハロゲン化、すなわち芳香族化合物の選択された部位におけるハロゲン化は、「指向性基(directing group)」を有する芳香族出発材料を用いることによって行うことができる。指向性基は、芳香族環上の置換基である場合には芳香族環の電子分布に影響を与えることによってどの位置の芳香族置換が起こり易いかを決定する基である。しかしながら、指向性基が存在しない場合、或いは1以上のハロゲン原子を付加するのには十分に活性でない指向性基がある場合には、特定の部位におけるハロゲン化は困難である可能性がある。選択的ハロゲン化は、また、芳香族環の異なる残留部位上でランダムに置換を行わせることのできる多重指向性基が存在している場合にも、困難である可能性がある。
【0003】
これらの問題を解決する努力において、ハロゲン化芳香族化合物の製造において種々の触媒が用いられている。例えば、Becherら(ドイツ国特許3,615,762号)は、4−アルキルベンゾイルクロリドから塩素化芳香族化合物を製造するための触媒として塩化鉄(III)を用いる方法を開示している。しかしながら、Becherらの方法では、幾つかの用途のための十分な収率及び選択率が得られず、したがって生成混合物を精製することが困難である可能性がある。
【0004】
他の方法においては、4−(3,5−ジハロフェニル)−4−オキソ酪酸及びブテン酸の製造における触媒として塩化アルミニウムが用いられている(JP−5−3111033、5−3009321及び5−3012879;ジョウジマら,Bulletin of the Chemical Society of Japan,52(8),2441−2(1979))。しかしながら、報告されている収率は約52%以下であった。部位選択性を保持しながらより高い収率でハロゲン化化合物を製造するための方法を得ることが有益であろう。また、塩化アルミニウム触媒は再使用することができず、それぞれの反応の終了時に急冷しなければならず、これにより塩酸及び廃酸性アルミニウム塩が生成する。廃酸性アルミニウム塩は、次に処理して処分しなければならず、このためプロセスのコストが上昇する。
【0005】
塩素化芳香族化合物は、また、ニトロ及びスルホン酸基で置換された芳香族化合物の塩素化及び引き続く部分脱塩素化によっても製造されている(W.T.Smith,Jr.,J.Am.Chem.Soc.71,2855(1949);米国特許第3,423,475号及びJP−6−16965(1985))。最終ハロゲン化生成物中のニトロ基及びスルホン酸基の存在が望ましくないことがしばしばあり、したがって、これらの官能基を除去したり、これらを他の官能基に置換するために幾つかの更なる反応工程が必要となる場合がある。
【0006】
塩素化フタル酸及び無水物は、強塩基条件下で、亜鉛のような金属の存在下において部分的に脱ハロゲン化されている(米国特許第4,981,999号)。しかしながら、幾つかの指向性基は、必要な塩基条件に対して安定でない場合がある。全ての臭素原子がこれらの条件下で除去されるので、この工程は、臭素化芳香族化合物を選択的に脱ハロゲン化しない。更に、フッ素原子は、ヒドロキシル基によって置換され得るので、反応条件下で安定でない。
【0007】
したがって、ハロゲン化芳香族化合物を、ほとんどの用途に関して許容できる収率で、廃棄処理工程を低減させて製造することができ、ハロゲン化の部位を向上せしめられた選択率で制御することのできる新規な方法に対する必要性が継続して存在している。本発明は、指向性基を用いることによって、ハロゲン化芳香族化合物を製造するための公知方法における欠点を克服し、ハロゲン化の制御を与えるものである。更に、本発明は、ハロゲン化芳香族化合物を選択的に脱ハロゲン化して、新規なハロゲン化芳香族化合物か又は非ハロゲン化芳香族化合物を形成する方法を提供する。
【0008】
驚くべきことに、銅金属又は銅を含む化合物を含む脱ハロゲン化剤を用いて、指向性基を有するある種のハロゲン化芳香族化合物を選択的に脱ハロゲン化することができることが見出された。銅脱ハロゲン化剤は、幾つかの反応条件下、例えばカルボン酸及びアミン溶媒が存在する場合には、触媒量で存在させることができる。本発明方法における選択性は、指向性基を有するハロゲン化芳香族化合物中の選択された位置からのハロゲン原子の除去によって与えられる。本発明方法は、通常、約70%以上の望ましい生成物収率を与える。
【0009】
本発明方法によれば、引き続く反応において用いることができるか或いは反応生成物中において望ましいカルボン酸、ケトン及びエステルのような指向性基を有する芳香族化合物を用いることが可能になる。これにより、ニトロ又はスルホン酸基を指向性基として用い、これらの官能基を炭素ベースの置換基で置換するために引き続く工程を必要とする可能性のある公知方法を凌ぐ有利性が与えられる。本発明方法は、脱ハロゲン化の位置選択性が、カルボン酸誘導置換基に対してオルト位に配置する塩素原子をほとんど脱ハロゲン化できない、フタル酸誘導体を部分的に脱ハロゲン化する公知方法を補完するものである。本発明方法においては、他の位置に配置するハロゲンには通常は影響を与えることなく、カルボン酸誘導体置換基に対してオルト位に配置するハロゲンが選択的に除去される。更に、本発明は、臭素原子の選択的除去を提供するという点において、フタル酸誘導体の脱ハロゲン化のための公知方法を凌ぐ有利性を与える。更に、フッ素原子が存在している場合には、これらは、反応条件に対して安定であるので、除去されず、したがって従来法におけるように置換されることはない。
【0010】
また、本発明方法は、公知の合成法と比較して、合成に続く化合物の混合物の分離を簡単にする。例えば、ハロゲン化化合物の混合物は、約95%以上の純度の単一のハロゲン化化合物に転化させることができる。
【0011】
而して、本発明は、他の望ましい官能基を有することができる選択的にハロゲン化された芳香族化合物を、かかる化合物を形成するための従来の合成法と比較して、減少せしめられた工程数及び減少せしめられた廃棄処理工程で製造する方法を提供する。本方法は、また、ハロゲン化反応生成物の混合物から所望のハロゲン化化合物を単離するための分別蒸留のような分離工程の必要性を減少させる。本方法は、また、所望の場合には、ここに記載した選択的脱ハロゲン化法によって非ハロゲン化芳香族化合物を形成する簡便な手段を提供することができる。
【0012】
本発明は、以下の成分:
(i)Z指向性基(Z-directing group)、及び、該Z基に対してオルト位のクロロ、ブロモ及びヨードから独立して選択される一つ又は二つのハロ基を有する少なくとも一つのアリール又はヘテロアリール化合物、或いは、Z指向性基、及び、該Z基に対してオルト位のクロロ、ブロモ及びヨードから独立して選択される一つ又は二つのハロ基を有する更に置換されたアリール又はヘテロアリール化合物;
(ii)除去されるハロ基の当量あたり約0.01〜約5.0モル当量の銅含有脱ハロゲン化剤;及び
(iii)除去されるハロ基の当量あたり少なくとも約1.0モル当量の、脂肪族C1〜C10カルボン酸、脂肪族C2〜C10ジカルボン酸、アリールカルボン酸、アリールジカルボン酸、水性無機酸、スルホン酸及びこれらの混合物からなる群から選択される1以上の酸;
(ここで、Z指向性基は、CO210、CONR1112、COR13又はシアノであり、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C6アルキル、アリール又は置換アリールであり、R13は、水素原子、C1〜C6アルキル、置換C1〜C6アルキル、アリール又は置換アリールである)
を含む反応混合物を加熱することにより、ハロゲン化アリール又はヘテロアリール化合物からハロゲン原子を選択的に除去することによってアリール又はヘテロアリール化合物を製造する方法を提供する。
【0013】
本明細書において用いる「アルキル」という用語は、直鎖C1〜C8及び分枝鎖C3〜C8脂肪族炭化水素鎖、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル及びtert−ブチルを意味する。「置換アルキル」という用語は、例えば、ヒドロキシ、メルカプト、C1〜C4アルコキシ、C1〜C4アルキルチオ、ヒドロキシC1〜C4アルキル、C3〜C6シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、アリール部分又はアルキル部分のいずれか又は両方が置換基を有していてよいアリールC1〜C4アルキル、ヘテロアリールC1〜C4アルキル、置換ヘテロアリールC1〜C4アルキル、アリールC1〜C4アルコキシ、置換アリールC1〜C4アルコキシ、ヘテロアリールC1〜C4アルコキシ、置換ヘテロアリールC1〜C4アルコキシ、アリールオキシC1〜C4アルキル、置換アリールオキシC1〜C4アルキル、アシルオキシ、ニトロ、チオ、NR’R”、NHCOR’、NHCOOR’、CONR’R”、COOR’、OSO2R’、SO2R’及びCOR’(ここで、R’及びR”は、独立して、水素原子、C1〜C6アルキル、C1〜C4アルコキシ、C1〜C4アルキルチオ、C3〜C6シクロアルキル、C3〜C6シクロアルキルC1〜C4アルキル、フェニル、ベンジル及びフェネチルであり、フェニル、ベンジル及びフェネチルはC1〜C4アルキル又はC1〜C4アルコキシで置換されていてもよい)によって置換されたアルキル基を意味する。
【0014】
「シクロアルキル」という用語は、閉環飽和環状C3〜C6基を意味し、例えば、シクロプロピル及びシクロヘキシルが挙げられる。シクロアルキル基は置換されていてもよく、任意の置換基としては、アルキル基に対する場合によって用いる置換基として上記に列記したものが挙げられる。
【0015】
「アリール」という用語は、芳香族環系を意味し、例えばフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、アントリル、フェナントリルなどが挙げられる。
【0016】
「ヘテロアリール」という用語は、芳香族複素環基を意味する。ヘテロアリール環並びにヘテロアリールオキシアルキル及びヘテロアリールアルキルのような他の基のヘテロアリール部分は、通常、1以上のO、N又はS原子を有する5又は6員の芳香族環であり、ベンゼン環のような他の芳香族、ヘテロ芳香族又は複素環に融合していてもよい。ヘテロアリール基の例としては、チエニル、フリル、ピロリル、トリアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、キナゾリニル、アクリジニル、プリニル又はキノキサリニルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
置換アリール及び置換ヘテロアリール基中に存在することのできる置換基としては、1以上のC1〜C6アルキル、ヒドロキシ、メルカプト、C1〜C4アルコキシ、C1〜C4アルキルチオ、ヒドロキシC1〜C4アルキル、C1〜C4 アルコキシC1〜C4アルキル、C3〜C6シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、アリール部分又はアルキル部分のいずれか又は両方が置換基を有していてよいアリールC1〜C4アルキル、ヘテロアリールC1〜C4アルキル、置換ヘテロアリールC1〜C4アルキル、アリールC1〜C4アルコキシ、置換アリールC1〜C4アルコキシ、ヘテロアリールC1〜C4アルコキシ、置換ヘテロアリールC1〜C4アルコキシ、アリールオキシC1〜C4アルキル、置換アリールオキシC1〜C4アルキル、アシルオキシ、ニトロ、チオ、NR’R”、NHCOR’、NHCOOR’、CONR’R”、COOR’、OSO2R’、SO2R’及びCOR’(ここで、R’及びR”は、独立して、水素、C1〜C6アルキル、C1〜C4アルコキシ、C1〜C4アルキルチオ、C3〜C6シクロアルキル、C3〜C6シクロアルキルC1〜C4アルキル、フェニル、ベンジル及びフェネチルであり、フェニル、ベンジル及びフェネチルは、この基のフェニル部分において、C1〜C4アルキル又はC1〜C4アルコキシで置換されていてもよい)が挙げられる。
【0018】
脂肪族C1〜C10カルボン酸は、式:R15CO2 H(式中、R15は、水素原子又はC1〜C9アルキルである)を有し、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、吉草酸、ピバリン酸などが挙げられる。
【0019】
脂肪族C2〜C10ジカルボン酸は、式:HO2C(CHR16n CO2H(式中、R16は、nが0〜8である場合には水素原子であり、又はnが1である場合にはC1〜C7アルキルである)を有し、例えば、シュウ酸、コハク酸、マロン酸などが挙げられる。
【0020】
アリールカルボン酸としては、例えば、安息香酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸、9−フェナントロン酸などが挙げられる。
【0021】
アリールジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。
【0022】
スルホン酸としては、例えば、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸などが挙げられる。
【0023】
上記記載の脂肪族C1〜C10カルボン酸、脂肪族C2〜C10ジカルボン酸、アリールカルボン酸、アリールジカルボン酸及びスルホン酸のいずれも、置換されていてもよく、置換基のいずれもがハロゲン原子でなければ、置換基は重要ではない。
【0024】
本発明の好ましい態様においては、Z指向性基及び該Z基に対してオルト位のクロロ、ブロモ及びヨードから独立して選択される一つ又は二つのハロ基を有するアリール又はヘテロアリール化合物は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、アントリル、フェナントリル、チエニル、フリル、ピロリル、トリアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、キナゾリニル、アクリジニル、プリニル又はキノキサリニルであり、或いは、Z指向性基及び該Z基に対してオルト位のクロロ、ブロモ及びヨードから独立して選択される一つ又は二つのハロ基を有する更に置換されたアリール又はヘテロアリール化合物は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、アントリル、フェナントリル、チエニル、フリル、ピロリル、トリアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、キナゾリニル、アクリジニル、プリニル又はキノキサリニルである。
【0025】
本発明のより好ましい態様においては、アリール化合物は、式(I):
【化2】
Figure 0004028624
(式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C8アルキル、置換C1〜C8アルキル、C3〜C6シクロアルキル、置換C3〜C6シクロアルキル、アリール、置換アリール、CH2OR6、NR710、OR8、SR9、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードであり、但しR1及びR5の少なくとも一つはクロロ、ブロモ又はヨードであり;
Z指向性基は、CO210、CONR1112、COR13又はシアノであり;
6、R8及びR9は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C6アルキル、アリール、置換アリール又はCOR14であり;
7、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C6アルキル、アリール又は置換アリールであり;
13は、水素原子、C1〜C6アルキル、置換C1〜C6アルキル、アリール又は置換アリールであり;
14はC1〜C6アルキル又はアリールである)
を有する置換フェニルである。
【0026】
式(I)の置換フェニルを用いる本発明の更に好ましい態様においては、
1及びR5が、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C8アルキル、置換C1〜C8アルキル、アリール、置換アリール、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードであり、但しR1及びR5の少なくとも一つはクロロ、ブロモ又はヨードであり;
2、R3及びR4が、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C8アルキル、アリール、置換C1〜C8アルキル、置換アリール、NR710、フルオロ、クロロ又はブロモであり;
Zが、CO210、CONR1112又はCOR13であり;
7及びR10が、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C6アルキル、アリール又は置換アリールであり;
11及びR12が、それぞれ独立して、C1〜C6アルキル、アリール又は置換アリールであり;
13が、C1〜C6アルキル、置換C1〜C6アルキル、アリール又は置換アリールである。
【0027】
式(I)の置換フェニルを用いる本発明の更に好ましい態様においては、
1及びR5が、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C8アルキル、クロロ又はブロモであり、但しR1及びR5の少なくとも一つはクロロ又はブロモであり;
2、R3及びR4が、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C8アルキル、アリール、フルオロ、クロロ又はブロモであり;
ZがCO210であり;
10が、水素原子、C1〜C6アルキル、アリール又は置換アリールである。
【0028】
基R10、R11、R12、R13及びR14の組成は、本発明に対して重要ではなく、最終化合物において望ましい官能基に従って選択することができる。
【0029】
ある種の反応条件下では、脱ハロゲン化反応又は精製工程中に、ある種の官能基が第2の反応を受ける。例えば、ニトリル又はアシルハライド基は、カルボン酸に転化する場合がある。当業者に認識されるように、かかる第2の反応は、所望の官能基を形成する上で有用である可能性がある。
【0030】
本発明方法によって、1以上のハロゲン原子の位置を予め選択することができるハロゲン化芳香族化合物を製造することが可能になる。特に、本発明方法によって、クロロ及びブロモの位置を選択することが可能になる。本方法は、また、芳香族環上の特定の位置からのヨードの除去における選択性が必要とされない場合には、ヨード基の除去のためにも有用である。本方法は、また、ある種のハロゲン化芳香族出発材料を用いてハロゲン置換基を有しない芳香族化合物を形成することができる点で有用である。
【0031】
本発明方法を用いて、フルオロ、クロロ及びブロモから選択される少なくとも一つのハロゲン原子で置換された芳香族ハロゲン化化合物を製造することができる。フルオロは、本発明方法によって影響を受けないので、存在させることができ、芳香族環上の任意の1以上の位置に存在することができる。5個以下のハロ置換基を存在させることができ、全てが同じものである必要はない。また、ハロ置換基以外の置換基を環上に存在させることもできる。
【0032】
クロロの選択的除去が所望の場合には、少なくとも一つのクロロ(除去されるクロロ)がZ基に対してオルトの位置にあることが必要である。しかしながら、第2のクロロがZ基に対してメタ又はパラ位置にある場合には、過剰の銅源の存在下での長時間の反応によって非選択的除去を行うことができる。ブロモの除去が所望の場合には、除去されるブロモは、Zに対してオルト又はパラ位置に配置していてよい。しかしながら、1以上のブロモを除去する場合には、除去される少なくとも一つのブロモがZ基に対してオルトに配置していることが好ましい。二つのクロロ、二つのブロモ又は一つのクロロと一つのブロモ置換基がZ基に対してオルトに配置している場合には、両方のハロ置換基が除去される。
【0033】
1以上のZ基が存在していてよい。1以上のZ基の存在によって、脱ハロゲン化の程度が向上し、方法の選択性に影響を与える可能性がある。例えば、三つのハロ置換基及び二つのZ基を環上の交互の位置に有する環は、存在するハロ置換基がクロロ、ブロモ及びヨードから選択される場合には、全てのハロ置換基が除去される。互いにパラの二つのZ基及び残りの位置上に四つのハロ置換基を有する環も、存在するハロ置換基がクロロ、ブロモ及びヨードから選択される場合には、完全に脱ハロゲン化される。
【0034】
本発明方法において必要な材料としては、上記に記載したような、一つ以上のZ基で置換された少なくとも一つのハロゲン化芳香族化合物、銅金属又は銅含有化合物を含む脱ハロゲン化剤、及び少なくとも一つのカルボン酸又はジカルボン酸、スルホン酸又は水性酸(aqueous acid)が挙げられる。銅金属又は銅(I)化合物が通常用いられる。銅(I)化合物は、銅が+1の酸化状態にあるイオン性銅を有する化合物である。公知の銅(I)化合物の例としては、塩化銅(I)、臭化銅(I)及び酸化銅(I)が挙げられるが、これらに限定されない。ある場合においては、1以上の溶媒を用いて本発明方法をより良好に行わせることが有利である。溶媒の一つがアミンタイプのものである場合には、脱ハロゲン化剤には、更に銅(II)タイプの化合物が包含される。銅(II)化合物は、銅が+2の酸化状態にあるイオン性銅を有する化合物である。公知の銅(II)化合物の例としては、酢酸銅(II)、塩化銅(II)、臭化銅(II)、酸化銅(II)及び硫酸銅(II)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
出発材料又は銅源が不溶性であるか或いはカルボン酸試薬が反応温度において流体でない条件下では、溶媒が必要である。かかる条件は、水性無機酸を用いる場合に起こる可能性がある。ジカルボン酸又はより高沸点のカルボン酸は、反応温度において流体でない場合があるので、溶媒の使用を必要とする場合がある。溶媒は、また、カルボン酸又はジカルボン酸試薬が室温において流体でない場合には、反応が完了した後に、反応混合物を冷却する時に添加することもできる。
【0036】
本発明方法は、少なくとも70℃の温度で行う。反応温度が95〜220℃、より好ましくは105〜150℃であることが好ましい。反応圧は重要ではないが、便宜上、約1気圧(101kP)の圧を通常用いる。
【0037】
本発明方法において用いるハロゲン化芳香族化合物の組成は、所望の生成物によって決定される。ハロゲン化芳香族化合物の例としては、メチル−2,5−ジクロロベンゾエート、2,4−ジクロロベンズアミド、2,4−ジクロロアセトフェノン、2,3−ジクロロ安息香酸及びメチル−2,5−ジクロロ−4−メチルベンゾエートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
出発材料として用いる他のハロゲン化芳香族化合物は、当該技術において公知の方法に従って合成することができる。例えば、次式に示すように、指向性基Zを有する芳香族化合物をハロゲン源で処理して、1以上のハロゲン化芳香族化合物を製造することができる。
【0039】
【化3】
Figure 0004028624
【0040】
例として、塩素ガスを用いて、塩化アルミニウム又は塩化鉄(III)のようなルイス酸触媒の存在下でメチル−4−クロロベンゾエートを塩素化して、三つの塩素化化合物の混合物を製造することができる。次に、次式に示すように、この混合物を選択的に脱ハロゲン化して、メチル−3,4,5−トリクロロベンゾエートを製造することができる。
【0041】
【化4】
Figure 0004028624
【0042】
反応混合物が流体であるならば、ハロゲン化芳香族化合物の量は重要ではない。一般に、ハロゲン化芳香族化合物の量は、ハロゲン化化合物及び酸の合計重量を基準として5〜50重量%であってよい。好ましくは、ハロゲン化芳香族化合物の量は20〜40%である。
【0043】
上記に説明したように、本発明方法によれば、銅含有脱ハロゲン化剤が選択性のために必要である。銅含有脱ハロゲン化剤は、アミン含有溶媒が存在しない場合には、金属銅又は銅(I)化合物であってよい。アミン含有溶媒が存在する場合には、銅(II)化合物を用いることもできる。銅含有脱ハロゲン化剤は、好ましくは、粉末形態で加える。本発明方法において有用な銅(I)化合物の例としては、酸化銅(I)、臭化銅(I)及び塩化銅(I)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明方法において有用な銅(II)化合物の例としては、酢酸銅(II)、塩化銅(II)、臭化銅(II)、酸化銅(II)及び硫酸銅(II)が挙げられるが、これらに限定されない。銅含有脱ハロゲン化剤の量は、概して、除去されるハロ基の当量あたり、銅約0.5〜約5当量、好ましくは約1.0〜約4.0当量、より好ましくは約1.0〜約3.0当量である。アミン含有溶媒が存在する場合には、用いる銅含有脱ハロゲン化剤の量は、除去されるハロ基の当量あたり銅約0.01〜約2.0当量、好ましくは約0.1〜約1.0当量である。また、ポリ(4−ビニルピリジン)のようなアミン官能基を有するポリマーの存在下で、より低いレベルの銅含有脱ハロゲン化剤と共に通常の溶媒を用いることもできる。
【0044】
1以上のカルボン酸を本発明方法において用いることができる。1以上のカルボン酸は、芳香族又は脂肪族であってよい。本発明方法において有用な脂肪族カルボン酸の例としては、酢酸、プロピオン酸、吉草酸、ピバリン酸及び酪酸が挙げられるが、これらに限定されない。本発明方法において有用な芳香族カルボン酸の例としては、安息香酸及びトルイル酸が挙げられるが、これらに限定されない。ジカルボン酸を用いることもできる。ジカルボン酸の例としては、シュウ酸、コハク酸、マロン酸及びフタル酸が挙げられるが、これらに限定されない。酸の混合物を用いることもできる。カルボン酸の全量は、好ましくは、除去されるハロゲンのモルあたり少なくとも1モル当量である。
【0045】
また、水性酸を本発明方法において用いることができる。かかる酸の例としては、硫酸、塩酸、メタンスルホン酸及びp−トルエンスルホン酸が挙げられるが、これらに限定されない。しかしながら、カルボン酸を用いる場合よりも、水性反応媒体を用いることによってより多くの銅が必要になる可能性がある。また、幾つかの官能基は水性酸と望ましくなく反応する可能性があるので、水性酸の使用により、出発芳香族化合物上に存在することのできる官能基のタイプが制限される可能性がある。更に、水性媒体を用いる場合には、反応が完了するのにより長い時間がかかる可能性がある。用いる場合には、水性酸の濃度は重要ではない。ハロゲン化芳香族化合物及び水性媒体の合計重量を基準として最小で5重量%が好ましい。しかしながら、多くの場合において、流体混合物を得るために溶媒が必要である可能性がある。
【0046】
過剰の水性又は有機酸を、反応に悪影響を与えることなく存在させることができる。
【0047】
場合によっては、1以上のカルボン酸、ジカルボン酸又は水性酸に加えて、溶媒を用いることができる。有用な溶媒の例としては、キシレン、トルエン、エチルアセテート、ブチルアセテート、メシチレン、オクタン、デカン、アニソール、ニトロベンゼン、メトキシエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジン、ピロリジン、2−ピロリジノン、ピロール、ピペリジン、ピペラジン、キノリン、アセトニトリル、バレロニトリル、トリエチルアミン、トリイソブチルアミン、トリプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、4−ピコリン、モルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノメタン、N−メチルモルホリン、エチレンジアミン、1−メチルピペリジン、1−メチルピロリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン及び1,4−ジメチルピペラジンが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい溶媒としては、キシレン、トリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、ブチルアセテート、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノメタン、N−メチルモルホリン、4−ピコリン、ピロリジン、エチレンジアミン、1−メチルピペリジン、1−メチルピロリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,4−ジメチルピペラジン及びモルホリンが挙げられる。アミンタイプの好ましい溶媒としては、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、4−ピコリン、N−メチルモルホリンおよびN,N,N’,N’−テトラメチルジアミノメタンが挙げられる。
【0048】
溶媒を用いる場合には、混合物が流体であるならば、溶媒の量は重要ではない。幾つかの場合においては、溶媒の量が、溶媒及びカルボン酸、ジカルボン酸又は水性酸の合計容量を基準として、少なくとも25容量%であることが好ましい場合がある。これは、例えば、反応混合物が反応条件下で流体でない場合か、或いはハロゲン化芳香族化合物が可溶性でない場合に必要となる可能性がある。反応が実質的に完了した後に、上記に列記した溶媒を反応混合物に加えることもできる。更に、溶媒の使用によって、必要な銅含有脱ハロゲン化剤の量を減少させることができる。例えば、アミン含有溶媒又は通常の溶媒中のポリマーアミンをカルボン酸に加えて用いると、更なるアミン含有溶媒を用いないでプロピオン酸のようなカルボン酸溶媒を用いた場合の約1.0当量の銅含有脱ハロゲン化剤と比較して、0.01当量という少量の銅含有脱ハロゲン化剤しか必要でなくなる場合がある。
【0049】
本発明方法を行うのに用いる装置は、攪拌のための機構及び加熱手段を有していなければならない。例えば、凝縮器及びマグネチック撹拌バーを取り付けた丸底フラスコを用いるか、或いは、オーバーヘッドスターラーを有する反応ケトルを用いることができる。
【0050】
以下の実施例及び実験手順は、実施者への指針のために提供するものであり、特許請求の範囲によって規定された発明の範囲を制限するものではない。
【0051】
実施例1:メチル−2,5−ジクロロ−4−メチルベンゾエートの脱ハロゲン化
50mlの丸底フラスコに、マグネチック撹拌バー、還流凝縮器、温度計、窒素導入口及び温度コントローラーに接続した加熱マントルを取り付けた。フラスコに、メチル−2,5−ジクロロ−4−メチルベンゾエート(4.0g、18.3ミリモル)及び銅粉末(2.32g、36.5ミリモル)を入れた。プロピオン酸(6ml)及びキシレン(10ml)を加え、得られた混合物を130〜135℃に加熱した。ガスクロマトグラフィー(GC)分析によって反応を監視し、出発材料がもはや検出されない時点で完了したと判断した(11時間)。反応混合物を室温に冷却し、濾過し、固形分をキシレンで洗浄した。濾液は青緑色であった。濾液を合わせて、青緑色が消えるまで1モル(M)塩酸溶液で洗浄した。得られた黄色の有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下での蒸発によって溶媒を除去した。残渣を減圧下で乾燥して、メチル−3−クロロ−4−メチルベンゾエート3.14gを得た。生成物は、淡黄色の固体で、融点(mp)は27〜28℃であった。
【0052】
実施例2:メチル−2,5−ジクロロベンゾエートの脱ハロゲン化
50mlの丸底フラスコに、マグネチック撹拌バー、還流凝縮器、温度計、窒素導入口及び温度コントローラーに接続した加熱マントルを取り付けた。フラスコに、メチル−2,5−ジクロロベンゾエート(5.0g、24ミリモル)及び銅粉末(3.04g、48ミリモル)を入れた。プロピオン酸(10ml)及びキシレン(15ml)を加え、得られた混合物を130〜135℃に加熱した。GC分析によって反応を監視し、出発材料がもはや検出されない時点で完了したと判断した(3時間)。反応混合物を室温に冷却し、濾過し、固形分をキシレンで洗浄した。濾液は青緑色であった。濾液を合わせて、青緑色が消えるまで1M塩酸溶液で洗浄した。得られた黄色の有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下での蒸発によって溶媒を除去した。残渣を減圧下で乾燥して、メチル−3−クロロベンゾエート3.93gを、淡黄色の油状物として得た。
【0053】
実施例3:2,4−ジクロロベンズアミドの脱ハロゲン化
50mlの丸底フラスコに、マグネチック撹拌バー、還流凝縮器、温度計、窒素導入口及び温度コントローラーに接続した加熱マントルを取り付けた。フラスコに、2,4−ジクロロベンズアミド(5.0g、26ミリモル)及び銅粉末(3.34g、52ミリモル)を入れた。プロピオン酸(15ml)を加え、得られた混合物を130〜135℃に加熱した。GC分析によって反応を監視し、出発材料がもはや検出されない時点で完了したと判断した(0.5時間)。反応混合物を冷却しながら、キシレンの混合物(30ml)を加えた。得られた混合物を濾過し、固形分をキシレンで洗浄した。濾液は青緑色であった。濾液を合わせて、青緑色が消えるまで1M塩酸溶液で洗浄した。得られた黄色の有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下での蒸発によって溶媒を除去した。残渣を減圧下で乾燥して、所期の4−クロロベンズアミド2.91gを、融点160〜165℃のオフホワイトの固体として得た。
【0054】
実施例4:種々の反応条件下での2,4−ジクロロアセトフェノンの脱ハロゲン化
(a)銅粉末及びプロピオン酸の使用
50mlの丸底フラスコに、マグネチック撹拌バー、還流凝縮器、温度計、窒素導入口及び温度コントローラーに接続した加熱マントルを取り付けた。フラスコに、2,4−ジクロロアセトフェノン(5.0g、26.5ミリモル)及び銅粉末(3.36g、53ミリモル)を入れた。プロピオン酸(15ml)を加え、得られた混合物を130〜135℃に加熱した。反応を、GC分析によって監視し、出発材料がもはや検出されない時点で完了したと判断した(2時間)。反応混合物を冷却しながら、キシレンの混合物(15ml)を加えた。得られた混合物を濾過し、固形分をキシレンで洗浄した。濾液は青緑色であった。濾液を合わせて、青緑色が消えるまで1M塩酸溶液で洗浄した。得られた黄色の有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下での蒸発によって溶媒を除去した。残渣を減圧下で乾燥して、4−クロロアセトフェノン3.38gを、黄色の油状物として得た。
【0055】
(b)酸化銅(I)及びプロピオン酸の使用
100mlの丸底フラスコに、マグネチック撹拌バー、還流凝縮器、温度計、窒素導入口及び温度コントローラーに接続した加熱マントルを取り付けた。フラスコに、2,4−ジクロロアセトフェノン(5.0g、26.5ミリモル)及び酸化銅(I)(7.6g、52.9ミリモル)を入れた。プロピオン酸(15ml)を加え、得られた混合物を130℃に加熱した。脱ハロゲン化を完了させるために、2.5時間後に更なる酸化銅(I)(0.76g、5.3ミリモル)を加えた。反応を、GC分析によって監視し、出発材料がもはや検出されない時点で完了したと判断した(3.5時間)。反応混合物を冷却しながら、トルエン(25ml)を加えた。得られた混合物を濾過し、固形分をトルエンで洗浄した。濾液は青緑色であった。濾液を合わせて、青緑色が消えるまで2M塩酸溶液(2×50ml)で洗浄した。得られた黄色の有機層を水(50ml)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下での蒸発によって溶媒を除去した。残渣を減圧下で乾燥して、4−クロロアセトフェノン3.76gを、黄色の油状物として得た。
【0056】
(c)銅粉末、トリエチルアミン及び酢酸の使用
100mlの丸底フラスコに、マグネチック撹拌バー、還流凝縮器、温度計、窒素導入口及び温度コントローラーに接続した加熱マントルを取り付けた。フラスコに、2,4−ジクロロアセトフェノン(5.0g、26.5ミリモル)及び銅粉末(0.84g、13.2ミリモル)を入れた。フラスコを窒素で0.5時間パージした。同時に、別のフラスコに酢酸(30g)及びトリエチルアミン(30g)を入れた。溶液を通して窒素を0.5時間バブリングさせることによって得られた溶液を抜気した。抜気した溶液の一部(20ml)をシリンジによって反応フラスコに入れ、得られた混合物を135℃に加熱した。脱ハロゲン化を完了させるために、2時間後に更なる銅(0.17g、2.65ミリモル)を加えた。反応を、GC分析によって監視し、出発材料がもはや検出されない時点で完了したと判断した(5時間)。反応混合物を室温に冷却し、250mlの三角フラスコ中に注ぎ入れ、トルエン(50ml)及び2M塩酸溶液(50ml)を加えた。得られた混合物を濾過し、固形分をトルエンで洗浄した。得られた褐色の有機層を2M塩酸溶液(50ml)、水(50ml)及び5%水酸化ナトリウム溶液(50ml)で洗浄した。塩基で洗浄中に固形分が沈殿した。Florisil(ケイ酸マグネシウム)のパッドを通して混合物を濾過し、更なるトルエンですすいだ。濾液を合わせて、黄色の溶液を得た。減圧下で蒸発させることによって溶媒を除去した。残渣を減圧下で乾燥して、4−クロロアセトフェノン3.38gを、褐色の油状物として得た。
【0057】
(d)銅粉末、ピリジン及び酢酸の使用
50mlの丸底フラスコに、マグネチック撹拌バー、還流凝縮器、温度計、窒素導入口及び温度コントローラーに接続した加熱マントルを取り付けた。フラスコに、2,4−ジクロロアセトフェノン(5.0g、26.5ミリモル)及び銅粉末(1.68g、26.5ミリモル)を入れた。フラスコを窒素で0.5時間パージした。同時に、別のフラスコに酢酸(15g)及びピリジン(15g)を入れた。溶液を通して窒素を0.5時間バブリングさせることによって得られた溶液を抜気した。抜気した溶液の一部(20ml)をシリンジによって反応フラスコに入れ、得られた混合物を130℃に加熱した。脱ハロゲン化を完了させるために、3時間後に更なる銅(0.50g、7.87ミリモル)を加えた。反応を、GC分析によって監視し、出発材料がもはや検出されない時点で完了したと判断した(5時間)。反応混合物を室温に冷却し、トルエン(25ml)を加えた。得られた混合物を、Florisil(ケイ酸マグネシウム)のパッドを通して濾過し、次に更なるトルエンですすいだ。濾液は青緑色であった。濾液を合わせて、青緑色が消えるまで2M塩酸溶液(2×50ml)で洗浄した。得られた黄褐色の有機層を、5%水酸化ナトリウム溶液(50ml)及び水(75ml)で洗浄した。溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下で蒸発させることによって溶媒を除去した。残渣を減圧下で乾燥して、4−クロロアセトフェノン3.87gを、褐色の油状物として得た。
【0058】
(e)塩化銅(I)、N,N−ジメチルホルムアミド及びプロピオン酸の使用
50mlの丸底フラスコに、マグネチック撹拌バー、還流凝縮器、温度計、窒素導入口及び温度コントローラーに接続した加熱マントルを取り付けた。フラスコに、2,4−ジクロロアセトフェノン(5.0g、26.5ミリモル)及び塩化銅(I)(5.24g、53.0ミリモル)を入れた。プロピオン酸(5.87g、79.0ミリモル)及びN,N−ジメチルホルムアミド(20ml)を加え、得られた溶液を130〜135℃に加熱した。反応速度を上昇させるために、31時間後に更なる塩化銅(I)を加えた。反応を、GC分析によって監視し、出発材料がもはや検出されない時点で完了したと判断した(100時間)。反応混合物を室温に冷却し、トルエン(50ml)及び2M塩酸溶液(100ml)を加えた。層を分離し、上層の有機層を2M塩酸溶液(50ml)で洗浄した。得られた黄色の有機層を、水(50ml)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下で蒸発させることによって溶媒を除去した。残渣を減圧下で乾燥して、4−クロロアセトフェノン3.95g(98.9%)を、黄色の油状物として得た。
【0059】
実施例5:2,3−ジクロロ安息香酸の脱ハロゲン化
50mlの丸底フラスコに、マグネチック撹拌バー、還流凝縮器、温度計、窒素導入口及び温度コントローラーに接続した加熱マントルを取り付けた。フラスコに、2,3−ジクロロ安息香酸(4.55g、23.8ミリモル)及び銅粉末(3.02g、47.6ミリモル)を入れた。プロピオン酸(30ml)を加え、得られた溶液を130〜135℃に加熱した。反応を、GC分析によって監視し、出発材料がもはや検出されない時点で完了したと判断した(1時間)。反応混合物を室温に冷却しながら、酢酸エチル(30ml)を加えた。得られた混合物を濾過し、固形分を酢酸エチルで洗浄した。濾液は青緑色であった。濾液を合わせて、青緑色が消えるまで、1M塩酸溶液で洗浄した。得られた黄色の有機層を、水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下で蒸発させることによって溶媒を除去した。残渣を減圧下で乾燥して、3−クロロ安息香酸3.55gを、淡黄色の固体として得た。融点153〜153.5℃。
【0060】
実施例6:2−クロロアセトフェノンの脱ハロゲン化
50mlの丸底フラスコに、マグネチック撹拌バー、還流凝縮器、温度計、窒素導入口及び温度コントローラーに接続した加熱マントルを取り付けた。フラスコに、2−クロロアセトフェノン(5.0g、32.3ミリモル)及び銅粉末(4.1g、64.7ミリモル)を入れた。プロピオン酸(20ml)を加え、得られた混合物を130℃に加熱した。反応を、GC分析によって監視し、出発材料がもはや検出されない時点で完了したと判断した(2.5時間)。反応混合物を室温に冷却しながら、酢酸エチル(20ml)を加えた。混合物を濾過し、固形分を酢酸エチルで洗浄した。濾液は青緑色であった。濾液を合わせて、青緑色が消えるまで、1M塩酸溶液で洗浄した。得られた黄色の有機層を、水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下で蒸発させることによって溶媒を除去した。残渣を減圧下で乾燥して、所期のアセトフェノン3.20gを、淡黄色の油状物として得た。生成物のガスクロマトグラムは市販の標準物質のものと合致した。
【0061】
実施例7:2,6−ジクロロ安息香酸の脱ハロゲン化
100mlの丸底フラスコに、マグネチック撹拌バー、還流凝縮器、温度計、窒素導入口及び温度コントローラーに接続した加熱マントルを取り付けた。フラスコに、2,6−ジクロロ安息香酸(5.0g、26.2ミリモル)及び銅粉末(3.3g、78.6ミリモル)を入れた。ピバリン酸(15ml)を加え、得られた混合物を130〜135℃に加熱した。反応を、GC分析によって監視し、出発材料がもはや検出されない時点で完了したと判断した(3時間)。反応混合物を室温に冷却しながら、酢酸エチル(50ml)を加えた。得られた混合物を濾過し、固形分を酢酸エチルで洗浄した。濾液は青緑色であった。濾液を合わせて、青緑色が消えるまで、1M塩酸溶液で洗浄した。得られた淡黄褐色の有機層を、水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下で蒸発させることによって溶媒を除去した。残渣を減圧下で乾燥して、安息香酸2.89gを、オフホワイトの固体として得た。融点118〜119℃。
【0062】
実施例8:メチル−4−クロロベンゾエートからのメチル−3,4,5−トリクロロベンゾエートの製造
【化5】
Figure 0004028624
【0063】
(a)メチル−4−クロロベンゾエートの塩素化
250mlの丸底フラスコに、マグネチック撹拌バー、還流凝縮器、温度計、窒素導入口、温度コントローラーに接続した加熱マントル、及び塩素タンク及び苛性スクラバーへの接続部を取り付けた。フラスコに、メチル−4−クロロベンゾエート(10.0g、58.6ミリモル)、1,2−ジクロロエタン(125ml)及び三塩化アルミニウム(10.2g、76.2ミリモル)を入れた。マグネチック撹拌バーのすぐ上に配置した3/16”IDのテフロン管を通して塩素をバブリングしながら、反応混合物を雰囲気温度に保持した。反応を、GC分析によって監視し、3,4−ジクロロエステルが消滅した時点で完了したと判断した。反応混合物を2M塩酸溶液の冷却溶液(100ml)中に注いだ。得られた混合物は2層を呈した。下層の有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下で蒸発させることによって溶媒を除去した。残渣である白色の固体(15.5g)は、メチル−3,4,5−トリクロロベンゾエート(19%)、メチル−2,3,4,5−テトラクロロベンゾエート(75%)及びメチル−2,3,4,5,6−ペンタクロロベンゾエート(5%)の混合物から成っていた。ガスクロマトグラフィーにおけるそれぞれの成分の相対パーセンテージに基づいて、収率は98%であると評価された。
【0064】
(b)脱ハロゲン化
50mlの丸底フラスコに、マグネチック撹拌バー、還流凝縮器、温度計、窒素導入口及び温度コントローラーに接続した加熱マントルを取り付けた。フラスコに、上記で得られた塩素化エステル混合物(5.0g、約18.7ミリモル)及び銅粉末(2.32g、36.4ミリモル)を入れた。プロピオン酸(15ml)を加え、得られた混合物を130〜135℃に加熱した。反応を、GC分析によって監視し、テトラクロロエステル出発物質がもはや検出されない時点で完了したと判断した(3時間)。反応混合物を室温に冷却しながら、トルエンを加えた。得られた混合物を濾過し、固形分をトルエンで洗浄した。濾液は青緑色であった。濾液を合わせて、青緑色が消えるまで、1M塩酸溶液で洗浄した。得られた無色の有機層を、水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下で蒸発させることによって溶媒を除去した。残渣を減圧下で乾燥して、メチル−3,4,5−トリクロロベンゾエート4.13gを、白色の固体として得た。融点111〜112℃。
【0065】
実施例9:メチル−4−ブロモベンゾエートからのメチル−3,5−ジクロロベンゾエートの製造
【化6】
Figure 0004028624
【0066】
(a)メチル−4−ブロモベンゾエートの塩素化
100mlの丸底フラスコに、マグネチック撹拌バー、還流凝縮器、温度計、窒素導入口、温度コントローラーに接続した加熱マントル、及び塩素タンク及び苛性スクラバーへの接続部を取り付けた。フラスコに、メチル−4−ブロモベンゾエート(6.0g、27.9ミリモル)、1,2−ジクロロエタン(60ml)及び三塩化アルミニウム(4.65g、34.9ミリモル)を入れた。マグネチック撹拌バーのすぐ上に配置した3/16”IDのテフロン管を通して塩素をバブリングしながら、反応混合物を雰囲気温度に保持した。2時間後、反応速度を上昇させるために、更なる三塩化アルミニウム1.0gを加えた。反応を、GC分析によって監視し、3,5−ジクロロエステルが反応混合物の3%未満となった時点で完了したと判断した。反応混合物を2M塩酸溶液の冷却溶液(100ml)中に注いだ。得られた混合物は2層を呈した。下層の有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下で蒸発させることによって溶媒を除去した。残渣であるクリーム色の固体(9.0g)は、メチル−4−ブロモ−3,5−ジクロロベンゾエート(2%)、メチル−4−ブロモ−2,3,5−トリクロロベンゾエート(83%)及びメチル−4−ブロモー2,3,5,6−テトラクロロベンゾエート(14%)の混合物から成っていた。ガスクロマトグラフィーにおけるそれぞれの成分の相対パーセンテージに基づいて、収率は97%であると評価された。
【0067】
(b)脱ハロゲン化
50mlの丸底フラスコに、マグネチック撹拌バー、還流凝縮器、温度計、窒素導入口及び温度コントローラーに接続した加熱マントルを取り付けた。フラスコに、上記で得られた塩素化エステル混合物(5.0g、約15.8ミリモル)及び銅粉末(2.0g、31.4ミリモル)を入れた。ピバリン酸(15ml)を加え、得られた混合物を135℃に加熱した。反応を完了させるために、更なる銅(1.0g、15.7ミリモル)を、1、5、6及び13時間後に加えた。反応混合物の流動性を保持するために、更なる溶媒を加えた。5時間時点においてピバリン酸15mlを加えた。9時間及び13時間時点において、キシレンの混合物(15ml)を加えた。反応を、GC分析によって監視し、トリクロロ及びテトラクロロエステルがもはや検出されない時点で完了したと判断した。全反応時間は15時間であった。反応混合物を室温に冷却した。混合物を濾過し、固形分をキシレンで洗浄した。濾液は青緑色であった。濾液を合わせて、青緑色が消えるまで、1M塩酸溶液で洗浄した。得られた黄色の有機層を、水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下で蒸発させることによって溶媒を除去した。残渣を減圧下で乾燥して、所期のメチル−3,5−ジクロロベンゾエート3.20gを、淡黄色の固体として得た。融点24〜27℃。
【0068】
実施例10:2,5−ジクロロ安息香酸の脱ハロゲン化
100mlの丸底フラスコに、マグネチック撹拌バー、還流凝縮器、温度計、窒素導入口及び温度コントローラーに接続した加熱マントルを取り付けた。フラスコに、2,5−ジクロロ安息香酸(5.0g、26.2ミリモル)及び銅粉末(5.0g、78.5ミリモル)を入れた。硫酸(98%、35ml)を加え、得られた混合物を130〜135℃に加熱した。脱ハロゲン化を完了させるために更なる銅(0.83g、13.1ミリモル)を1時間後に加えた。反応を、GC分析によって監視し、出発材料がもはや検出されない時点で完了したと判断した(1.5時間)。反応混合物を室温に冷却し、500mlの三角フラスコに移した。水(100ml)及びトルエン(100ml)を加えた。得られた混合物を濾過し、固形分をトルエンで洗浄した。濾液は青緑色であった。濾液を合わせて、青緑色が消えるまで、1M塩酸溶液で洗浄した。得られた淡黄褐色の有機層を、水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下で蒸発させることによって溶媒を除去した。残渣を減圧下で乾燥して、3−クロロ安息香酸3.49gを、白色の固体として得た。融点152〜153℃。
【0069】
実施例11:メチル−3−クロロ−4−メチルベンゾエートからのメチル−5−ブロモ−3−クロロ−4−メチルベンゾエートの製造
【化7】
Figure 0004028624
【0070】
(a)メチル−3−クロロ−4−メチルベンゾエートの臭素化
100mlの丸底フラスコに、マグネチック撹拌バー、還流凝縮器、温度計、窒素導入口、温度コントローラーに接続した加熱マントル、及び塩素タンク及び苛性スクラバーへの接続部を取り付けた。フラスコに、メチル−3−クロロ−4−メチルベンゾエート(10.0g、54.1ミリモル)、1,2−ジクロロエタン(65ml)及び三塩化アルミニウム(13.2g、98.8ミリモル)を入れた。臭素(15.1g、94.6ミリモル)を反応混合物に加えながら、反応混合物を55〜60℃に保持した。反応を、GC分析によって監視し、出発材料が消滅した時点で完了したと判断した。反応混合物を3M塩酸溶液の冷却溶液(300ml)中に注いだ。反応混合物は2層を呈した。上層の水性層を1,2−ジクロロエタンで抽出した。有機層を合わせて、チオ硫酸ナトリウム飽和溶液及び水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下で蒸発させることによって溶媒を除去した。残渣であるクリーム色の固体(17.19g)は、メチル−3−ブロモ−5−クロロ−4−メチルベンゾエート(9%)、メチル−2,5−ジブロモ−3−クロロ−4−メチルベンゾエート(58%)、及びメチル−2,3,6−トリブロモ−5−クロロ−4−メチルベンゾエート(33%)の混合物から成っていた。ガスクロマトグラフィーにおけるそれぞれの成分の相対パーセンテージに基づいて、収率は89%であると評価された。
【0071】
(b)脱ハロゲン化
50mlの丸底フラスコに、マグネチック撹拌バー、還流凝縮器、温度計、窒素導入口及び温度コントローラーに接続した加熱マントルを取り付けた。フラスコに、上記で得られた臭化エステル混合物(4.0g、約11.2ミリモル)及び銅粉末(1.94g、31.0ミリモル)を入れた。プロピオン酸(20ml)を加え、得られた混合物を130℃に加熱した。脱ハロゲン化を完了させるために、更なる銅(1.0g、15.7ミリモル)を、三つの部分に分けて反応系に加えた(1.5時間後、2.5時間後及び3.5時間後)。反応を、GC分析によって監視し、トリブロモ及びジブロモエステルがもはや検出されない時点で完了したと判断した(4.5時間)。反応混合物を室温に冷却しながら、酢酸エチル(20ml)を加えた。得られた混合物を濾過し、固形分を酢酸エチルで洗浄した。濾液は青緑色であった。濾液を合わせて、青緑色が消えるまで、1M塩酸溶液で洗浄した。得られた黄色の有機層を、水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下で蒸発させることによって溶媒を除去した。残渣を減圧下で乾燥して、メチル−3−ブロモ−5−クロロ−4−メチルベンゾエート2.45gを、淡黄褐色の固体として得た。融点53〜55℃。
【0072】
実施例12:2,4−ジクロロ−5−フルオロベンゾイルクロリドからのエチル−4−クロロ−3−フルオロベンゾエートの製造
(a)2,4−ジクロロ−5−フルオロベンゾイルクロリドのエステル化
25mlの丸底フラスコに、マグネチック撹拌バー、温度計、窒素導入口、滴下漏斗及び還流凝縮器を取り付けた。フラスコに、2,4−ジクロロ−5−フルオロベンゾイルクロリド(5.38g、23.65ミリモル)及びエチルエーテル(5.0g)を入れた。冷水浴を用いて得られた無色の溶液を17℃に冷却した。エタノール(3.20g、69.47ミリモル:無水等級)を、滴下漏斗から10分間かけて滴下した。添加が終了したら、溶液を室温に加温し、一晩攪拌した(17時間)。更なるエーテル(20ml)を反応混合物に加え、分液漏斗に移した。反応混合物を、2%水酸化ナトリウム溶液(10ml)で2回、次に水(10ml)で洗浄した。上層の有機層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下で蒸発させることによって溶媒を除去した。残渣を減圧オーブン中で乾燥して、エチル−2,4−ジクロロ−5−フルオロベンゾエート5.09gを淡黄色の油状物として得た。
【0073】
(b)脱ハロゲン化
50mlの丸底フラスコに、マグネチック撹拌バー、還流凝縮器、温度計、窒素導入口及び温度コントローラーに接続した加熱マントルを取り付けた。フラスコに、エチル−2,4−ジクロロ−5−フルオロベンゾエート(5.09g、21.4ミリモル)及び銅粉末(2.72g、42.8ミリモル)を入れた。プロピオン酸(10ml)を加え、得られた混合物を135℃に加熱した。反応を、GC分析によって監視し、出発材料もはや検出されない時点で完了したと判断した(5時間)。反応混合物を室温に冷却しながら、トルエン(25ml)を加えた。得られた混合物を濾過し、固形分をトルエンで洗浄した。濾液は青緑色であった。濾液を合わせて、青緑色が消えるまで、1M塩酸溶液で洗浄した。得られた黄色の有機層を、水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下で蒸発させることによって溶媒を除去した。残渣を減圧下で乾燥して、エチル−4−クロロ−3−フルオロベンゾエート2.97gを、淡黄色の油状物として得た。
【0074】
実施例13:2−クロロ−6−フルオロ安息香酸からのメチル−2−クロロ−6−フルオロベンゾエートの製造
(a)2−クロロ−6−フルオロ安息香酸のエステル化
50mlの丸底フラスコに、マグネチック撹拌バー、還流凝縮器、温度計、窒素導入口、及び温度コントローラーに接続した加熱マントルを取り付けた。フラスコに、2−クロロ−6−フルオロ安息香酸(8.30g、47.55ミリモル)、メタノール(15g)及び濃硫酸(1g)を入れた。反応混合物を60℃に7日間加熱した後、室温に冷却した。エチルエーテル(50ml)を加え、反応混合物を分液漏斗に移し、1M水酸化ナトリウム溶液(3×40ml)、次に水(40ml)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下で蒸発させることによって溶媒を除去し、残渣を減圧下で乾燥して、メチル−2−クロロ−6−フルオロベンゾエート5.34gを黄色の油状物として得た。
【0075】
(b)脱ハロゲン化
50mlの丸底フラスコに、マグネチック撹拌バー、還流凝縮器、温度計、窒素導入口及び温度コントローラーに接続した加熱マントルを取り付けた。フラスコに、メチル−2−クロロ−6−フルオロベンゾエート(5.11g、27.1ミリモル)及び銅粉末(3.44g、54.2ミリモル)を入れた。プロピオン酸(15ml)を加え、得られた混合物を135℃に加熱した。脱ハロゲン化を完了させるために、更なる銅(0.34g)を7時間後に加えた。反応を、GC分析によって監視し、出発材料もはや検出されない時点で完了したと判断した(10.5時間)。反応混合物を室温に冷却しながら、トルエン(30ml)を加えた。得られた混合物を濾過し、固形分をトルエンで洗浄した。濾液は青緑色であった。濾液を合わせて、青緑色が消えるまで、1M塩酸溶液で洗浄した。得られた黄色の有機層を、水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下で蒸発させることによって溶媒を除去した。残渣を減圧下で乾燥して、メチル−2−フルオロベンゾエート3.54gを、淡黄色の油状物として得た。生成物の一部は、蒸発によって減圧乾燥中に失われたと思われる。
【0076】
実施例14:メチル−4−メチルベンゾエートからのメチル−3,5−ジクロロ−4−メチルベンゾエートの製造
【化8】
Figure 0004028624
【0077】
(a)メチル−4−メチルベンゾエートの塩素化
100mlの丸底フラスコに、マグネチック撹拌バー、還流凝縮器、温度計、窒素導入口、温度コントローラーに接続した加熱マントル、及び塩素タンク及び苛性スクラバーへの接続部を取り付けた。フラスコに、メチル−4−メチルベンゾエート(10.0g、66.6ミリモル)、1,2−ジクロロエタン(40g)及び三塩化アルミニウム(11.0g、79.9ミリモル)を加えた。マグネチック撹拌バーのすぐ上に配置した3/16”IDのテフロン管を通してエンドをバブリングしながら、反応混合物を60℃に保持した。反応を、GC分析によって監視し、3−クロロエステル及び2,5−ジクロロエステルが消滅した時点で完了したと判断した。反応混合物を1M塩酸溶液の冷却溶液(100ml)中に注いだ。反応混合物は2層を呈した。下層の有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウム溶液上で乾燥した。減圧下で蒸発させることによって溶媒を除去した。残渣であるクリーム色の固体(15.1g)は、メチル−3,5−ジクロロ−4−メチルベンゾエート(2%)、メチル−2,3,5−トリクロロ−4−メチルベンゾエート(79%)、及びメチル−2,3,5,6−テトラクロロ−4−メチルベンゾエート(19%)の混合物から成っていた。ガスクロマトグラフィーにおけるそれぞれの成分の相対パーセンテージに基づいて、収率は87%であると評価された。
【0078】
(b)銅粉末及びプロピオン酸を用いた脱ハロゲン化
50mlの丸底フラスコに、マグネチック撹拌バー、還流凝縮器、温度計、窒素導入口及び温度コントローラーに接続した加熱マントルを取り付けた。フラスコに、上記で得られた塩素化エステル混合物(3.0g、約11.6ミリモル)及び銅粉末(1.53g、24ミリモル)を入れた。プロピオン酸(10ml)を加え、得られた混合物を130〜135℃に加熱した。反応を、GC分析によって監視し、一晩反応させた(21.5時間)。テトラクロロエステル出発物質がもはや検出されない時点で反応が完了したと判断した。反応混合物を室温に冷却しながら、キシレンの混合物を加えた。混合物を濾過し、固形分をキシレンで洗浄した。濾液は青緑色であった。濾液を合わせて、青緑色が消えるまで、1M塩酸溶液で洗浄した。得られた淡黄色の有機層を、水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下で蒸発させることによって溶媒を除去した。残渣を減圧下で乾燥して、メチル−3,5−ジクロロ−4−メチルベンゾエート2.43gを、淡黄色の固体として得た。融点47.5〜48.5℃。
【0079】
(c)銅粉末、トリエチルアミン及び酢酸を用いた脱ハロゲン化
50mlの丸底フラスコに、マグネチック撹拌バー、還流凝縮器、温度計、窒素導入口及び温度コントローラーに接続した加熱マントルを取り付けた。フラスコに、メチル−2,3,5,6−テトラクロロ−4−メチルベンゾエート(12%)、メチル−2,3,5−トリクロロ−4−メチルベンゾエート(70%)、メチル−3,5−ジクロロ−4−メチルベンゾエート(12%)、メチル−2,5−ジクロロ−4−メチルベンゾエート(2%)及びメチル−3−クロロ−4−メチルベンゾエート(2%)を含む塩素化エステルの混合物5.0g(約20.1ミリモル)を入れた。銅粉末(0.75g、11.8ミリモル)を加え、反応フラスコを窒素でフラッシュした。同時に、別のフラスコ中で酢酸(20g)及びトリエチルアミン(10g)の溶液を調製した。ニードルを通してフラスコの底部に窒素流を導入することによって、溶液を0.5時間抜気した。抜気した溶液をシリンジによって反応フラスコに導入した。得られた混合物を135℃に加熱し、反応の進行をGC分析によって監視した。出発材料がもはや検出されない時点で反応が完了したと判断した(14時間)。
【0080】
反応混合物を室温に冷却した。水(500ml)を加え、得られた混合物をトルエン(100ml)で抽出した。上層の有機層を分離し、2M塩酸溶液(200ml)をそれに加えた。暗色の沈殿が見られ、固形分を濾過によって除去した。濾液を5%水酸化ナトリウム溶液(200ml)で洗浄した。白色の固体が沈殿し、それを濾過によって除去した。得られた有機層を、水200mlで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下で蒸発させることによって溶媒を除去した。残渣を減圧オーブン中で乾燥して、メチル−3,5−ジクロロ−4−メチルベンゾエート3.32gを、淡黄色の固体として得た。
【0081】
(d)銅粉末及びプロピオン酸を用いた脱ハロゲン化
50mlの丸底フラスコに、マグネチック撹拌バー、還流凝縮器、温度計、窒素導入口及び温度コントローラーに接続した加熱マントルを取り付けた。フラスコに、純度98%のメチル−2,3,5−トリクロロ−4−メチルベンゾエート(5.0g、19.7ミリモル)及び銅粉末(2.55g、39.5ミリモル)を加えた。プロピオン酸(15ml)を加え、得られた混合物を130〜135℃に加熱した。反応をGC分析によって監視した。出発材料がもはや検出されない時点で反応が完了したと判断した(3時間)。
【0082】
反応混合物を室温に冷却しながら、キシレンの混合物(20ml)を加えた。混合物を濾過し、固形分をキシレンで洗浄した。濾液は青緑色であった。濾液を合わせて、青緑色が消えるまで1M塩酸溶液で洗浄した。得られた黄色の有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下で蒸発させることによって溶媒を除去した。残渣を減圧オーブン中で乾燥して、メチル−3,5−ジクロロ−4−メチルベンゾエート3.78gを淡黄色の固体として得た。
【0083】
(e)酸化銅(I)及びプロピオン酸を用いた脱ハロゲン化
50mlの丸底フラスコに、マグネチック撹拌バー、還流凝縮器、温度計、窒素導入口及び温度コントローラーに接続した加熱マントルを取り付けた。フラスコに、純度98%のメチル−2,3,5−トリクロロ−4−メチルベンゾエート(5.0g、19.7ミリモル)及び酸化銅(I)(5.63g、39.4ミリモル)及びプロピオン酸(20ml)を加えた。得られた混合物を135℃に加熱した。脱ハロゲン化を完了させるために、反応中に更なる酸化銅(I)(2.11g、14.8ミリモル)を入れた。反応をGC分析によって監視した。出発材料がもはや検出されない時点で反応が完了したと判断した(10時間)。
【0084】
反応混合物を室温に冷却しながら、トルエン(15ml)を加えた。混合物を濾過し、固形分をトルエンで洗浄した。濾液は青緑色であった。濾液を合わせて、青緑色が消えるまで1M塩酸溶液で洗浄した。得られた淡黄色の有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下で蒸発させることによって溶媒を除去した。残渣を減圧下で乾燥して、メチル−3,5−ジクロロ−4−メチルベンゾエート3.8gを淡黄色の固体として得た。
【0085】
実施例15:酢酸銅(II)及びアミン溶媒を用いた混合物の精製
100mlの丸底フラスコに、マグネチック撹拌バー、還流凝縮器、温度計、窒素導入口及び温度コントローラーに接続した加熱マントルを取り付けた。フラスコに、2,3,5−トリクロロ−4−メチル安息香酸(57%)、3,5−ジクロロ−4−メチル安息香酸(22%)、2,5−ジクロロ−4−メチル安息香酸(10%)、2,3−ジクロロ−4−メチル安息香酸(1%)及び3−クロロ−4−メチル安息香酸(10%)を含む塩素化酸の混合物5.0g(約23.0ミリモル)を入れた。酢酸銅(II)(2.82g、15.5ミリモル)、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(7.21g、62.0ミリモル)、酢酸(2.05g)及びn−ブチルアセテート(30ml)を加えた。得られた混合物を115℃に加熱した。反応をGC分析によって監視した。トリクロロ酸がもはや検出されない時点で反応が完了したと判断した(8時間)。
【0086】
反応混合物を分液漏斗に移し、1M塩酸溶液、次に水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下で蒸発させることによって溶媒を除去した。残渣を減圧オーブン中で乾燥して、3,5−ジクロロ−4−メチル安息香酸(81%)及び3−クロロ−4−メチル安息香酸(19%)の混合物3.68gを淡黄色の固体として得た。
【0087】
実施例16:銅粉末及びアミン溶媒を用いた混合物の精製
50mlの丸底フラスコに、マグネチック撹拌バー、還流凝縮器、温度計、窒素導入口及び温度コントローラーに接続した加熱マントルを取り付けた。フラスコに、2,3,5−トリクロロ−4−メチル安息香酸(54%)、3,5−ジクロロ−4−メチル安息香酸(25%)、2,5−ジクロロ−4−メチル安息香酸(9%)、2,3−ジクロロ−4−メチル安息香酸(1%)及び3−クロロ−4−メチル安息香酸(11%)を含む塩素化酸の混合物5.0g(約23.0ミリモル)を入れた。銅粉末(0.12g、1.81ミリモル)、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(12.5ml)及び酢酸(12.5ml)を加えた。得られた混合物を135℃に加熱した。反応をGC分析によって監視した。トリクロロ酸がもはや検出されない時点で反応が完了したと判断した(9時間)。
【0088】
反応混合物にメチルイソブチルケトン(70ml)を加えた。得られた溶液を分液漏斗に移し、1M塩酸溶液及び水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下で蒸発させることによって溶媒を除去した。残渣を減圧オーブン中で乾燥して、3,5−ジクロロ−4−メチル安息香酸(83%)及び3−クロロ−4−メチル安息香酸(17%)の混合物3.92gを淡黄色の固体として得た。
【0089】
実施例17:銅粉末及びアミン溶媒を用いた混合物の精製
50mlの丸底フラスコに、マグネチック撹拌バー、還流凝縮器、温度計、窒素導入口及び温度コントローラーに接続した加熱マントルを取り付けた。フラスコに、2,3,5−トリクロロ−4−メチル安息香酸(72%)、3,5−ジクロロ−4−メチル安息香酸(15%)、2,5−ジクロロ−4−メチル安息香酸(7%)及び3−クロロ−4−メチル安息香酸(6%)を含む塩素化酸の混合物5.0g(約22.1ミリモル)を入れた。銅粉末(0.27g、4.36ミリモル)、4−メチルピリジン(12.5ml)及び酢酸(12.5ml)を加えた。得られた混合物を135℃に加熱した。反応をGC分析によって監視した。トリクロロ酸がもはや検出されない時点で反応が完了したと判断した(7時間)。
【0090】
反応混合物にメチルイソブチルケトン(70ml)を加えた。得られた溶液を分液漏斗に移し、1M塩酸溶液及び水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下で蒸発させることによって溶媒を除去した。残渣を減圧オーブン中で乾燥して、3,5−ジクロロ−4−メチル安息香酸(91%)及び3−クロロ−4−メチル安息香酸(9%)の混合物4.05gを淡黄色の固体として得た。
【0091】
本発明の種々の変更及び修正は、特許請求の範囲によって定義された本発明の精神及び範囲を逸脱することなく行うことができると理解される。

Claims (23)

  1. 以下の成分:
    (i)Z指向性基、及び、該Z基に対してオルト位のクロロ、ブロモ及びヨードから独立して選択される一つ又は二つのハロ基を有する少なくとも一つのアリール又はヘテロアリール化合物、或いは、Z指向性基、及び、該Z基に対してオルト位のクロロ、ブロモ及びヨードから独立して選択される一つ又は二つのハロ基を有する更に置換されたアリール又はヘテロアリール化合物;
    (ii)除去されるハロ基の当量あたり約0.01〜約5.0モル当量の銅含有脱ハロゲン化剤;及び
    (iii)除去されるハロ基の当量あたり少なくとも約1.0モル当量の、脂肪族C1〜C10カルボン酸、脂肪族C2〜C10ジカルボン酸、アリールカルボン酸、アリールジカルボン酸、水性無機酸、スルホン酸及びこれらの混合物からなる群から選択される1以上の酸;
    (ここで、Z指向性基は、CO210、CONR1112、COR13又はシアノであり、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C6アルキル、アリール又は置換アリールであり、R13は、水素原子、C1〜C6アルキル、置換C1〜C6アルキル、アリール又は置換アリールである)
    を含む反応混合物を加熱することにより、ハロゲン化アリール又はヘテロアリール化合物からハロゲン原子を選択的に除去することによってアリール又はヘテロアリール化合物を製造する方法。
  2. Z指向性基及び該Z基に対してオルト位のクロロ、ブロモ及びヨードから独立して選択される一つ又は二つのハロ基を有するアリール又はヘテロアリール化合物が、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、アントリル、フェナントリル、チエニル、フリル、ピロリル、トリアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、キナゾリニル、アクリジニル、プリニル又はキノキサリニルであるか、或いは、Z指向性基及び該Z基に対してオルト位のクロロ、ブロモ及びヨードから独立して選択される一つ又は二つのハロ基を有する更に置換されたアリール又はヘテロアリール化合物が、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、アントリル、フェナントリル、チエニル、フリル、ピロリル、トリアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、キナゾリニル、アクリジニル、プリニル又はキノキサリニルである請求項1に記載の方法。
  3. アリール又は化合物が、次式(I):
    Figure 0004028624
    (式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C8アルキル、置換C1〜C8アルキル、C3〜C6シクロアルキル、置換C3〜C6シクロアルキル、アリール、置換アリール、CH2OR6、NR710、OR8、SR9、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードであり、但しR1及びR5の少なくとも一つはクロロ、ブロモ又はヨードであり;
    Z指向性基は、CO210、CONR1112、COR13又はシアノであり;
    6、R8及びR9は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C6アルキル、アリール、置換アリール又はCOR14であり;
    7、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C6アルキル、アリール又は置換アリールであり;
    13は、水素原子、C1〜C6アルキル、置換C1〜C6アルキル、アリール又は置換アリールであり;
    14はC1〜C6アルキル又はアリールである)
    を有する置換フェニルである請求項2に記載の方法。
  4. 1及びR5が、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C8アルキル、置換C1〜C8アルキル、アリール、置換アリール、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードであり、但しR1及びR5の少なくとも一つはクロロ、ブロモ又はヨードであり;
    2、R3及びR4が、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C8アルキル、アリール、置換C1〜C8アルキル、置換アリール、NR710、フルオロ、クロロ又はブロモであり;
    Zが、CO210、CONR1112又はCOR13であり;
    7及びR10が、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C6アルキル、アリール又は置換アリールであり;
    11及びR12が、それぞれ独立して、C1〜C6アルキル、アリール又は置換アリールであり;
    13が、C1〜C6アルキル、置換C1〜C6アルキル、アリール又は置換アリールである請求項3に記載の方法。
  5. 1及びR5が、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C8アルキル、クロロ又はブロモであり、但しR1及びR5の少なくとも一つはクロロ又はブロモであり;
    2、R3及びR4が、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C8アルキル、アリール、フルオロ、クロロ又はブロモであり;
    ZがCO210であり;
    10が、水素原子、C1〜C6アルキル、アリール又は置換アリールである請求項4に記載の方法。
  6. 銅含有脱ハロゲン化剤が、銅金属又は銅(I)化合物である請求項1に記載の方法。
  7. 銅(I)化合物が、塩化銅(I)、臭化銅(I)又は酸化銅(I)である請求項6に記載の方法。
  8. 銅金属又は銅(I)化合物の量が、除去されるハロ基の当量あたり約1.0〜約3.0当量である請求項6に記載の方法。
  9. 反応混合物が更に溶媒を含む請求項1に記載の方法。
  10. 溶媒が、キシレン、トルエン、エチルアセテート、ブチルアセテート、メシチレン、オクタン、デカン、アニソール、ニトロベンゼン、メトキシエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジン、ピロリジン、2−ピロリジノン、ピロール、ピペリジン、ピペラジン、キノリン、アセトニトリル、バレロニトリル、トリエチルアミン、トリイソブチルアミン、トリプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、4−ピコリン、モルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノメタン、N−メチルモルホリン、エチレンジアミン、1−メチルピペリジン、1−メチルピロリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン又は1,4−ジメチルピペラジンである請求項9に記載の方法。
  11. 溶媒が、キシレン、トリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、ブチルアセテート、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノメタン、N−メチルモルホリン、4−ピコリン、ピロリジン、エチレンジアミン、1−メチルピペリジン、1−メチルピロリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,4−ジメチルピペラジン又はモルホリンである請求項10に記載の方法。
  12. 溶媒が、アミンであるか、又はポリマーアミンの存在下における溶媒である請求項9に記載の方法。
  13. アミンが、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、4−ピコリン、N−メチルモルホリン又はN,N,N’,N’−テトラメチルジアミノメタンである請求項12に記載の方法。
  14. ポリマーアミンがポリ(4−ビニルピリジン)である請求項12に記載の方法。
  15. 反応混合物を95〜220℃の反応温度に加熱する請求項1又は9に記載の方法。
  16. 1以上の酸が、次式:R15CO2H(式中、R15は、水素原子又はC1〜C9アルキルである)を有する脂肪族C1〜C10カルボン酸;式:HO2C(CHR16nCO2H(式中、R16は、nが0〜8である場合には水素原子であり、又はnが1である場合にはC1〜C7アルキルである)を有する脂肪族C2〜C10ジカルボン酸;安息香酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸、9−フェナントロン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、水性塩酸及び水性硫酸からなる群から選択される請求項1又は9に記載の方法。
  17. 1以上の酸が、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、吉草酸、ピバリン酸、シュウ酸、コハク酸、マロン酸及び水性硫酸からなる群から選択される請求項16に記載の方法。
  18. 1以上の酸が、酢酸、プロピオン酸及びピバリン酸からなる群から選択される請求項17に記載の方法。
  19. 銅含有脱ハロゲン化剤が、銅金属、銅(I)化合物又は銅(II)化合物である請求項12に記載の方法。
  20. 銅(I)化合物が、塩化銅(I)、臭化銅(I)又は酸化銅(I)である請求項19に記載の方法。
  21. 銅(II)化合物が、酢酸銅(II)、塩化銅(II)、臭化銅(II)、酸化銅(II)又は硫酸銅(II)である請求項19に記載の方法。
  22. 銅金属、銅(I)化合物又は銅(II)化合物の量が、除去されるハロ基の当量あたり銅約0.01〜約2.0当量である請求項19に記載の方法。
  23. 銅金属、銅(I)化合物又は銅(II)化合物の量が、除去されるハロ基の当量あたり銅約0.1〜約1.0当量である請求項22に記載の方法。
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