JP4002130B2 - 重合体の製造方法、該重合体、ならびに該重合体を用いた硬化性組成物 - Google Patents

重合体の製造方法、該重合体、ならびに該重合体を用いた硬化性組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、重合体の製造方法、それにより製造される末端に官能基を持つビニル系重合体、および該重合体からなる硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
多官能性の末端に官能基を有する重合体は、そのもの単独、あるいは適当な硬化剤と組み合わせることによって架橋し、耐熱性、耐久性等の優れた硬化物を与えることが知られている。中でも末端にアルケニル基、水酸基あるいは架橋性シリル基を有する重合体はそれらの代表例である。末端にアルケニル基を有する重合体はヒドロシリル基含有化合物を硬化剤として用いることにより、あるいは光反応を利用することにより架橋硬化する。水酸基を末端に有する重合体はポリイソシアネートと反応することによりウレタン架橋を形成し硬化する。また、架橋性シリル基を末端に有する重合体は、適当な縮合触媒の存在下、湿分を吸収することにより硬化物を与える。
【0003】
このような、アルケニル基、水酸基あるいは架橋性シリル基を末端に有する重合体の主鎖骨格としては、ポリエチレンオキシドやポリプロピレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシド等のポリエーテル系重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリイソブチレンあるいはそれらの水素添加物等の炭化水素系重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカプロラクトン等のポリエステル系重合体等が例示され、主鎖骨格と架橋形式に基づき、様々な用途に用いられている。
【0004】
上に例示した、イオン重合や縮重合で得られる重合体の一方で、ラジカル重合で得られるビニル系の重合体で末端に官能基を有するものは、まだほとんど実用化されていない。ビニル系重合体の中でも、(メタ)アクリル系重合体は、高い耐候性、透明性等、上記のポリエーテル系重合体や炭化水素系重合体、あるいはポリエステル系重合体では得られない特性を有しており、アルケニル基や架橋性シリル基を側鎖に有するものは高耐候性の塗料等に利用されている。その一方で、アクリル系重合体の重合制御は、その副反応のために容易でなく、末端への官能基の導入などは非常に困難である。
【0005】
アルケニル基を分子鎖末端に有するビニル系重合体を簡便な方法で得ることができれば、側鎖に架橋性基を有するものに比較して硬化物物性の優れた硬化物を得ることができる。従って、これまで多くの研究者によって、その製造法が検討されてきたが、それらを工業的に製造することは容易ではない。
【0006】
特開平5−255415には、連鎖移動剤としてアルケニル基含有ジスルフィドを用いる、両末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体の合成法が、また、特開平5−262808には、ヒドロキシル基を有するジスルフィドを用いて、両末端にヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系重合体を合成し、さらにヒドロキシル基の反応性を利用して両末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体の合成法が開示されているが、これらの方法で両末端に確実にアルケニル基を導入することは容易ではない。また、末端に確実に官能基を導入するためには、連鎖移動剤を大量に使用しなければならず、製造工程上問題である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
我々は、別に、ビニル系重合体の重合後に、重合性のアルケニル基と重合性の低いアルケニル基を併せ持つ化合物を添加し、重合性のアルケニル基を重合体末端と反応させることにより、重合体末端にオレフィンを導入する方法を発明している。しかし、この方法では、重合がリビング的であっても、確実に末端に一つだけオレフィンを導入することは容易でなく、特に、重合性単量体がまだ残っている段階で添加するとランダム共重合することになり、構造はより制御しにくい。
【0008】
一方ラジカル重合では、通常、α−オレフィンのような活性化されていないオレフィンは重合しないことが知られている。これは、最近盛んに研究が行われているリビングラジカル重合でも同様である。
【0009】
我々は、さらに別に、リビングラジカル重合系に活性化されていない(重合性の低い)オレフィンを添加すると、その成長末端にほぼ1つだけ付加することを見出し、これを利用することにより、末端に様々な官能基を有する重合体を製造する方法を発明している。しかし従来のこの方法では官能基が確実に導入されない場合があった。
【0010】
従って、本発明においては、末端に確実に官能基が導入されたラジカル重合性のビニル系単量体の重合体の製造方法、ならびにその重合体、さらに製造された重合体を含む硬化性組成物を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、原子移動ラジカル重合によりラジカル重合性単量体の80重量%が消費された後に、重合性の低いオレフィン化合物(I)及び誘電率がオレフィン化合物(I)より高い化合物(II)を添加して、末端にオレフィン化合物(I)が付加したビニル系重合体を製造する方法であって、前記ラジカル重合性単量体100重量部に対して1〜1000重量部の化合物(II)を添加することを特徴とするビニル系重合体の製造方法に関する。またオレフィン化合物(I)は、官能基を有するものであることが好ましい。なおここでラジカル重合性単量体の量は、最終的に重合溶液に仕込んだ量のことである。また本発明の誘電率は、一般的には比誘電率ともいわれている。
【0012】
本発明のオレフィン化合物(I)は、上記一般式1、一般式4、又は一般式5で示される化合物であることが好ましい。オレフィン化合物(I)は、1,5―ヘキサジエン、1,7―オクタジエンあるいは1,9―デカジエンであることがより好ましい。また本発明においては、重合体の成長末端に対し過剰量のオレフィン化合物(I)を添加することが好ましい。
本発明においては、オレフィン化合物(I)が、一般式1において、R3が水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボン酸基、エステル基、エーテル基、アミド基、シリル基から選ばれる基であることが好ましい。
本発明においては、オレフィン化合物(I)が、一般式1において、R2は水素原子であることが好ましい。
本発明においては、オレフィン化合物(I)が、アルケニルアルコール又はアルケニルアミンであることが好ましい。
【0013】
本発明においては、化合物(II)の誘電率が、オレフィン化合物(I)より3以上高いことが好ましく、5以上高いことがより好ましく、10以上高いことがさらに好ましい。
本発明においては、化合物(II)が、ニトリル系の化合物であることが好ましく、アセトニトリルであることがより好ましい。
本発明においては、ラジカル重合性単量体100重量部に対して、1〜1000重量部の化合物(II)を添加するが、3〜1000重量部の化合物(II)を添加することが好ましく、5〜500重量部の化合物(II)を添加することがより好ましく、10〜100重量部の化合物(II)を添加することがさらに好ましい。なおここでラジカル重合性単量体の量は、最終的に重合溶液に仕込んだ量のことである。
本発明においては、オレフィン化合物(I)100重量部に対して、1〜10000重量部の化合物(II)を添加することが好ましく、10〜1000重量部の化合物(II)を添加することがより好ましい。
【0014】
本発明においては、ビニル系重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)の値が1.8未満であることが好ましい。
本発明は、上記の方法により製造される重合体、および上記の方法により製造される重合体を含有する硬化性組成物に関する。
【0015】
本発明で得られる末端に官能基を有する重合体は、ヒドロシリル化やエポキシ化等の適当な官能基変換や架橋剤の添加により、硬化性組成物とすることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
《単量体》
本発明の重合法に用いるラジカル重合性単量体としては特に制約はなく、各種のものを用いることができる。例示するならば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等の(メタ)アクリル酸系モノマー;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸及び塩等のスチレン系モノマー;パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系モノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなどのビニルエステル類;エチレン、プロピレンなどのアルケン類;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコールなどが挙げられ、これらは単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わない。これらの内では、生成物の物性等から、スチレン系モノマー及び(メタ)アクリル酸系モノマーが好ましく、さらに、本発明の官能基導入反応の反応性の高さやガラス転移点の低さなどからアクリル酸エステル系モノマーがより好ましい。
《リビング重合》
「リビングラジカル重合法」は、重合速度が高く、ラジカル同士のカップリングなどによる停止反応が起こりやすいため制御の難しいとされるラジカル重合でありながら、停止反応が起こりにくく、分子量分布の狭い(Mw/Mnが1.1〜1.5程度)重合体が得られるとともに、モノマーと開始剤の仕込み比によって分子量は自由にコントロールすることができる。
【0017】
従って「リビングラジカル重合法」は、分子量分布が狭く、粘度が低い重合体を得ることができる上に、特定の官能基を有するモノマーを重合体のほぼ任意の位置に導入することができるため、上記特定の官能基を有するビニル系重合体の製造方法としてはより好ましいものである。
【0018】
なお、リビング重合とは狭義においては、末端が常に活性を持ち続けて分子鎖が生長していく重合のことをいうが、一般には、末端が不活性化されたものと活性化されたものが平衡状態にありながら生長していく擬リビング重合も含まれる。本発明における定義も後者である。
【0019】
「リビングラジカル重合法」は近年様々なグループで積極的に研究がなされている。その例としては、たとえばジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)、1994年、116巻、7943頁に示されるようなコバルトポルフィリン錯体を用いるもの、マクロモレキュールズ(Macromolecules)、1994年、27巻、7228頁に示されるようなニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いるもの、有機ハロゲン化物等を開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする「原子移動ラジカル重合」(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)などがあげられる。
【0020】
「リビングラジカル重合法」の中でも、有機ハロゲン化物あるいはハロゲン化スルホニル化合物等を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを重合する「原子移動ラジカル重合法」は、上記の「リビングラジカル重合法」の特徴に加えて、官能基変換反応に比較的有利なハロゲン等を末端に有し、開始剤や触媒の設計の自由度が大きいことから、特定の官能基を有するビニル系重合体の製造方法としてはさらに好ましい。この原子移動ラジカル重合法としては例えばMatyjaszewskiら、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)1995年、117巻、5614頁、マクロモレキュールズ(Macromolecules)1995年、28巻、7901頁,サイエンス(Science)1996年、272巻、866頁、WO96/30421号公報,WO97/18247号公報あるいはSawamotoら、マクロモレキュールズ(Macromolecules)1995年、28巻、1721頁などが挙げられる。
【0021】
本発明において、これらのうちどの方法を使用するかは特に制約はないが、制御の容易さなどから原子移動ラジカル重合法が好ましい。
【0022】
これらのリビングラジカル重合のうちで、まず、ニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いる方法について説明する。この重合では一般に安定なニトロキシフリーラジカル(=N−O・)をラジカルキャッピング剤として用いる。このような化合物類としては、限定はされないが、2,2,6,6−置換−1−ピペリジニルオキシラジカルや2,2,5,5−置換−1−ピロリジニルオキシラジカル等、環状ヒドロキシアミンからのニトロキシフリーラジカルが好ましい。置換基としてはメチル基やエチル基等の炭素数4以下のアルキル基が適当である。具体的なニトロキシフリーラジカル化合物としては、限定はされないが、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル(TEMPO)、2,2,6,6−テトラエチル−1−ピペリジニルオキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソ−1−ピペリジニルオキシラジカル、2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロリジニルオキシラジカル、1,1,3,3−テトラメチル−2−イソインドリニルオキシラジカル、N,N−ジ−t−ブチルアミンオキシラジカル等が挙げられる。ニトロキシフリーラジカルの代わりに、ガルビノキシル(galvinoxyl)フリーラジカル等の安定なフリーラジカルを用いても構わない。
【0023】
上記ラジカルキャッピング剤はラジカル発生剤と併用される。ラジカルキャッピング剤とラジカル発生剤との反応生成物が重合開始剤となって付加重合性モノマーの重合が進行すると考えられる。両者の併用割合は特に限定されるものではないが、ラジカルキャッピング剤1モルに対し、ラジカル開始剤0.1〜10モルが適当である。
【0024】
ラジカル発生剤としては、種々の化合物を使用することができるが、重合温度条件下で、ラジカルを発生しうるパーオキシドが好ましい。このパーオキシドとしては、限定はされないが、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド類、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート類、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル類等がある。特にベンゾイルパーオキシドが好ましい。さらに、パーオキシドの代わりにアゾビスイソブチロニトリルのようなラジカル発生性アゾ化合物等のラジカル発生剤も使用しうる。
【0025】
Macromolecules 1995,28,2993で報告されているように、ラジカルキャッピング剤とラジカル発生剤を併用する代わりに、下図のようなアルコキシアミン化合物を開始剤として用いても構わない。
【0026】
【化10】
Figure 0004002130
アルコキシアミン化合物を開始剤として用いる場合、それが上図で示されているような水酸基等の官能基を有するものを用いると末端に官能基を有する重合体が得られる。これを本発明の方法に利用すると、末端に官能基を有する星型重合体が得られる。
【0027】
上記のニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いる重合で用いられるモノマー、溶媒、重合温度等の重合条件は、限定されないが、次に説明する原子移動ラジカル重合について用いるものと同様で構わない。
【0028】
次に、本発明のリビングラジカル重合としてより好ましい原子移動ラジカル重合法について説明する。
【0029】
この原子移動ラジカル重合では、有機ハロゲン化物、特に、反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有するエステル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化合物)、あるいはハロゲン化スルホニル化合物が開始剤として用いられる。触媒としては、周期律表第7族、8族、9族、10族、または11族元素を中心金属とする金属錯体が用いられる。金属種としては特に1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄が好適である。具体的に例示するならば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、酢酸第一銅、過塩素酸第一銅等である。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために2,2’−ビピリジル、およびその誘導体、1,10−フェナントロリン、およびその誘導体、トリブチルアミン等のアルキルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチルトリエチレンテトラアミン等のポリアミン、等の配位子が添加される。また、二価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl2(PPh33)も触媒として好適である。この触媒を使用するときは、その活性を高めるためにトリアルコキシアルミニウム等のアルミニウム化合物が添加される。さらに、二価の塩化鉄のトリストリフェニルホスフィン錯体(FeCl2(PPh33)も触媒として好適である。
【0030】
この重合法においては有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物が開始剤として用いられる。具体的に例示するならば、
65−CH2X、
65−C(H)(X)CH3
65−C(X)(CH32
7−C(H)(X)−CO28
7−C(CH3)(X)−CO28
7−C(H)(X)−C(O)R8
7−C(CH3)(X)−C(O)R8
7−C64−SO2X、
(上記の各式において、C65はフェニル基、R7、R8は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基であり、同じであっても良いし異なっていても良い。Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
等が挙げられる。
【0031】
また、重合を開始するもの以外に官能基を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を用いると、容易に末端に官能基が導入された重合体が得られる。このような官能基としては、アルケニル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、シリル基等が挙げられる。
【0032】
アルケニル基を有する有機ハロゲン化物としては特に制限はないが、例えば、一般式6に示す構造を有するものが例示される。
910C(X)−R11−R12−C(R13)=CH2 (6)
(式中、R9、R10は水素、または炭素数1〜20の1価のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、または他端において相互に連結したもの、R11は、−C(O)O−(エステル基)、−C(O)−(ケト基)、またはo−,m−,p−フェニレン基、R12は直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含んでいても良い、R13は水素、またはメチル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
これらの化合物は、ハロゲンが結合している炭素がカルボニル基あるいはフェニル基等と結合しており、炭素−ハロゲン結合が活性化されて重合が開始する。
【0033】
置換基R9、R10の具体例としては、水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。R9とR10は他端において連結して環状骨格を形成していてもよく、そのような場合、−R9−R10−は例えば、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2CH2−、等が例示される。
【0034】
一般式6で示される、アルケニル基を有する有機ハロゲン化物の具体例としては、
XCH2C(O)O(CH2nCH=CH2
3CC(H)(X)C(O)O(CH2nCH=CH2
(H3C)2C(X)C(O)O(CH2nCH=CH2
CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2nCH=CH2
【0035】
【化11】
Figure 0004002130
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
XCH2C(O)O(CH2nO(CH2mCH=CH2
3CC(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2mCH=CH2
(H3C)2C(X)C(O)O(CH2nO(CH2mCH=CH2
CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2mCH=CH2
【0036】
【化12】
Figure 0004002130
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C64−(CH2n−CH=CH2
o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−(CH2n−CH=CH2
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−(CH2n−CH=CH2、(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C64−(CH2n−O−(CH2m−CH=CH2
o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−(CH2n−O−(CH2m−CH=CH2
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−(CH2n−O−(CH2mCH=CH2
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C64−O−(CH2n−CH=CH2
o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−O−(CH2n−CH=CH2
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−O−(CH2n−CH=CH2
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C64−O−(CH2n−O−(CH2m−CH=CH2
o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−O−(CH2n−O−(CH2m−CH=CH2
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−O−(CH2n−O−(CH2m−CH=CH2
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
アルケニル基を有する有機ハロゲン化物としてはさらに一般式7で示される化合物が挙げられる。
2C=C(R13)−R12−C(R9)(X)−R14−R10 (7)
(式中、R9、R10、R12、R13、Xは上記に同じ、R14は、直接結合、−C(O)O−(エステル基)、−C(O)−(ケト基)、または、o−,m−,p−フェニレン基を表す)
12は直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基(1個以上のエーテル結合を含んでいても良い)であるが、直接結合である場合は、ハロゲンの結合している炭素にビニル基が結合しており、ハロゲン化アリル化物である。この場合は、隣接ビニル基によって炭素−ハロゲン結合が活性化されているので、R14としてC(O)O基やフェニレン基等を有する必要は必ずしもなく、直接結合であってもよい。R12が直接結合でない場合は、炭素−ハロゲン結合を活性化するために、R14としてはC(O)O基、C(O)基、フェニレン基が好ましい。
【0037】
一般式7の化合物を具体的に例示するならば、
CH2=CHCH2X、CH2=C(CH3)CH2X、
CH2=CHC(H)(X)CH3、CH2=C(CH3)C(H)(X)CH3
CH2=CHC(X)(CH32、CH2=CHC(H)(X)C25
CH2=CHC(H)(X)CH(CH32
CH2=CHC(H)(X)C65、CH2=CHC(H)(X)CH265
CH2=CHCH2C(H)(X)−CO2R、
CH2=CH(CH22C(H)(X)−CO2R、
CH2=CH(CH23C(H)(X)−CO2R、
CH2=CH(CH28C(H)(X)−CO2R、
CH2=CHCH2C(H)(X)−C65
CH2=CH(CH22C(H)(X)−C65
CH2=CH(CH23C(H)(X)−C65
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基)
等を挙げることができる。
【0038】
アルケニル基を有するハロゲン化スルホニル化合物の具体例を挙げるならば、
o−,m−,p−CH2=CH−(CH2n−C64−SO2X、
o−,m−,p−CH2=CH−(CH2n−O−C64−SO2X、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)等である。
【0039】
アルケニル基を持つ開始剤の場合、その開始剤のオレフィンも重合末端と反応する可能性があるため、重合条件および添加するオレフィン化合物との反応条件には注意が必要である。具体的な例としては、重合の早い段階でオレフィン化合物を添加することがあげられる。
【0040】
架橋性シリル基を有する有機ハロゲン化物としては特に制限はないが、例えば一般式8に示す構造を有するものが例示される。
910C(X)−R11−R12−C(H)(R13)CH2−[Si(R152-b(Y)bO]m−Si(R163-a(Y)a (8)
(式中、R9、R10、R11、R12、R13、は上記に同じ。R15、R16は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R’)3SiO−(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R15またはR16が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,または3を、また、bは0,1,または2を示す。mは0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であることを満足するものとする。)
上記Yで示される加水分解性基としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、具体的には、水素、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられ、加水分解性がマイルドで取り扱いやすいという点から、アルコキシ基が特に好ましい。
【0041】
一般式8の化合物を具体的に例示するならば、
XCH2C(O)O(CH2nSi(OCH33
CH3C(H)(X)C(O)O(CH2nSi(OCH33
(CH32C(X)C(O)O(CH2nSi(OCH33
XCH2C(O)O(CH2nSi(CH3)(OCH32
CH3C(H)(X)C(O)O(CH2nSi(CH3)(OCH32
(CH32C(X)C(O)O(CH2nSi(CH3)(OCH32
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、nは0〜20の整数、)
XCH2C(O)O(CH2nO(CH2mSi(OCH33
3CC(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2mSi(OCH33
(H3C)2C(X)C(O)O(CH2nO(CH2mSi(OCH33
CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2mSi(OCH33
XCH2C(O)O(CH2nO(CH2mSi(CH3)(OCH32
3CC(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2m−Si(CH3)(OCH32
(H3C)2C(X)C(O)O(CH2nO(CH2m−Si(CH3)(OCH32
CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2m−Si(CH3)(OCH32
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C64−(CH22Si(OCH33
o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−(CH22Si(OCH33
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−(CH22Si(OCH33
o,m,p−XCH2−C64−(CH23Si(OCH33
o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−(CH23Si(OCH33
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−(CH23Si(OCH33
o,m,p−XCH2−C64−(CH22−O−(CH23Si(OCH33
o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−(CH22−O−(CH23Si(OCH33
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−(CH22−O−(CH23Si(OCH33
o,m,p−XCH2−C64−O−(CH23Si(OCH33
o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−O−(CH23Si(OCH33
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−O−(CH23−Si(OCH33
o,m,p−XCH2−C64−O−(CH22−O−(CH23−Si(OCH33
o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−O−(CH22−O−(CH23Si(OCH33
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−O−(CH22−O−(CH23Si(OCH33
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
等が挙げられる。
【0042】
架橋性シリル基を有する有機ハロゲン化物としてはさらに、一般式9で示される構造を有するものが例示される。
(R163-a(Y)aSi−[OSi(R152-b(Y)bm−CH2−C(H)(R13)−R12−C(R9)(X)−R14−R10 (9)
(式中、R9、R10、R12、R13、R14、R15、R16、a、b、m、X、Yは上記に同じ)
このような化合物を具体的に例示するならば、
(CH3O)3SiCH2CH2C(H)(X)C65
(CH3O)2(CH3)SiCH2CH2C(H)(X)C65
(CH3O)3Si(CH22C(H)(X)−CO217
(CH3O)2(CH3)Si(CH22C(H)(X)−CO217
(CH3O)3Si(CH23C(H)(X)−CO217
(CH3O)2(CH3)Si(CH23C(H)(X)−CO217
(CH3O)3Si(CH24C(H)(X)−CO217
(CH3O)2(CH3)Si(CH24C(H)(X)−CO217
(CH3O)3Si(CH29C(H)(X)−CO217
(CH3O)2(CH3)Si(CH29C(H)(X)−CO217
(CH3O)3Si(CH23C(H)(X)−C65
(CH3O)2(CH3)Si(CH23C(H)(X)−C65
(CH3O)3Si(CH24C(H)(X)−C65
(CH3O)2(CH3)Si(CH24C(H)(X)−C65
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、R17は炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基)
等が挙げられる。
【0043】
ヒドロキシル基を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物としては特に制限はないが、下記のようなものが例示される。
HO−(CH2n−OC(O)C(H)(R18)(X)
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、R17は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、nは1〜20の整数)
アミノ基を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物としては特に制限はないが、下記のようなものが例示される。
2N−(CH2n−OC(O)C(H)(R17)(X)
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、R17は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、nは1〜20の整数)
エポキシ基を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物としては特に制限はないが、下記のようなものが例示される。
【0044】
【化13】
Figure 0004002130
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、R17は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、nは1〜20の整数)
本発明によりオレフィン末端構造を1分子内に2個以上有する重合体を得るためには、2つ以上の開始点を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物が開始剤として用いられる。具体的に例示するならば、
【0045】
【化14】
Figure 0004002130
【0046】
【化15】
Figure 0004002130
等があげられる。
《重合条件》
この重合において用いられる重合性オレフィン単量体としては特に制約はなく、既に述べた各種のものを用いることができる。また、ここに示されている重合系はリビング重合であるため、重合性単量体の逐次添加によりブロック共重合体を製造することも可能である。
【0047】
重合は無溶剤または各種の溶剤中で行うことができる。これらは特に限定されないが、例示するならば、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒等が挙げられ、単独又は2種以上を混合して用いることができる。また、エマルジョン系もしくは超臨界流体CO2を媒体とする系においても重合を行うことができる。これらの中では、触媒安定性向上の効果などから、ニトリル系溶媒が好ましく、アセトニトリルがより好ましい。
【0048】
また、重合は室温〜200℃の範囲で行うことができ、好ましくは50〜150℃である。
【0049】
このような重合の最中または終点(原子移動ラジカル重合によりラジカル重合性単量体の80重量%が消費された後)において、重合性の低いアルケニル基を有するオレフィン化合物(I)を添加すると、末端にほぼ1つずつ付加し、その結果として、そのアルケニル化合物の有する官能基が重合体の末端に導入される。末端にアルケニル基を導入するためには重合性の低いアルケニル基を2つ持つ化合物を過剰量添加することが好ましい。
【0050】
なお、本発明においては、原子移動ラジカル重合によりラジカル重合性単量体の80重量%が消費された後に、オレフィン化合物(I)を添加する。ラジカル重合性単量体の80重量%が消費される前にオレフィン化合物(I)を添加すると、ビニル系重合体の分子量が設定値よりも小さくなってしまう傾向がある。
オレフィン化合物(I)は、ラジカル重合性単量体の80〜99.9重量%が消費された時点で加えるのが好ましく、85〜99重量%が消費された時点で加えるのがより好ましい。なお上記ラジカル重合性単量体の量は、いずれも最終的に重合溶液に仕込んだ量のことである。
《オレフィン化合物(I)》
重合性の低いアルケニル基を持つオレフィン化合物としては一般式1に示される化合物から選ばれる。
一般式1:
【0051】
【化16】
Figure 0004002130
{上の式中、R3は、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボン酸基、エステル基、エーテル基、アミド基、シリル基、あるいは一般式2:
【0052】
【化17】
Figure 0004002130
(R4は水素原子あるいはメチル基を表す)で表される基、あるいは重合性のオレフィンを含まない炭素数1〜20の有機基であり、R1は炭素数1〜20のアルキル基あるいは一般式3:
【0053】
【化18】
Figure 0004002130
(上の式中、R5は酸素原子、窒素原子を有してもよい炭素数1〜20の有機基、R6は水素原子あるいはメチル基であり同じでも異なっていてもよい)の構造を持つ基であり、且つ、R2は水素原子あるいはメチル基である}
その内、アルケニル基を導入するために用いられる重合性の低いアルケニル基を2つ持つ化合物としては一般式4に示される化合物から選ばれる。
【0054】
【化19】
Figure 0004002130
{上の式中、R1は炭素数1〜20のアルキル基あるいは一般式3:
【0055】
【化20】
Figure 0004002130
(上の式中、R5は酸素原子、窒素原子を有してもよい炭素数1〜20の有機基、R6は水素原子あるいはメチル基であり同じでも異なっていてもよい)
の構造を持つ基であり、且つ、R2、R4は、水素原子あるいはメチル基である}
2、R3については水素原子あるいはメチル基であるが、水素原子が好ましい。R1が炭素数1〜20のアルキル基である場合、その構造に制約はないが、一般式5に示す化合物が例示される。
【0056】
【化21】
Figure 0004002130
原料入手の容易さから、nは2、4、6のものが好ましい。
【0057】
一般式1において、R1の具体例としては、
−(CH2n− (nは1〜20の整数)、
−CH(CH3)−、 −CH(CH2CH3)−、−C(CH32−、 −C(CH3)(CH2CH3)−、−C(CH2CH32−、 −CH2CH(CH3)−、
−(CH2n−O−CH2− (nは1〜19の整数)、
−CH(CH3)−O−CH2−、−CH(CH2CH3)−O−CH2−、 −C(CH32−O−CH2−、−C(CH3)(CH2CH3)−O−CH2−、−C(CH2CH32−O−CH2−、
−(CH2n−O−(CH2m
(m、nは1〜19の整数、ただし2≦m+n≦20)、
−(CH2n−C(O)O−(CH2m
(m、nは1〜19の整数、ただし2≦m+n≦20)、
−(CH2n−OC(O)−(CH2m−C(O)O−(CH2l−、
(lは0〜18の整数、m,nは1〜17の整数、ただし2≦l+m+n≦18)、
−(CH2n−o−,m−,p−C64−、
−(CH2n−o−,m−,p−C64−(CH2m−、
(mは0〜13の整数、nは1〜14の整数、ただし1≦m+n≦14)、
−(CH2n−o−,m−,p−C64−O−(CH2m−、
(mは0〜13の整数、nは1〜14の整数、ただし1≦m+n≦14)、
−(CH2n−o−,m−,p−C64−O−CH(CH3)−、
(nは1〜12の整数)、
−(CH2n−o−,m−,p−C64−O−CH(CH32−、
(nは1〜11の整数)、
−(CH2n−o−,m−,p−C64−C(O)O−(CH2m−、
(m,nは1〜12の整数、ただし2≦m+n≦13)、
−(CH2n−OC(O)−o−,m−,p−C64−C(O)O−(CH2m−、
(m,nは1〜11の整数、ただし2≦m+n≦12)、
−(CH2n−o−,m−,p−C64−OC(O)−(CH2m−、
(m,nは1〜12の整数、ただし2≦m+n≦13)、
−(CH2n−C(O)O−o−,m−,p−C64−(CH2m−、
(m,nは1〜11の整数、ただし2≦m+n≦12)、
等が挙げられる。
3としては、以下のような基が例示される。
【0058】
【化22】
Figure 0004002130
(式中、R18、R19は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R’)3SiO−(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R18またはR19が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,または3を、また、bは0,1,または2を示す。mは0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であることを満足するものとする。R20は炭素数1〜20の炭化水素基である。)
20としては、具体的には以下のような基が例示される。
−(CH2n−CH3
−CH(CH3)−(CH2n−CH3
−CH(CH2CH3)−(CH2n−CH3
−CH(CH2CH32
−C(CH32−(CH2n−CH3
−C(CH3)(CH2CH3)−(CH2n−CH3
−C65
−C65(CH3)、
−C64(CH32
−(CH2n−C65
−(CH2n−C64(CH3)、
−(CH2n−C63(CH32
(nは0以上の整数で、各基の合計炭素数は20以下)
シリル基としては、限定はされないが、上記式においてm=0のものが好ましい。
【0059】
アミノ基、水酸基あるいはカルボン酸基を持つ化合物を重合末端に反応させる場合には、そのまま反応させても構わないが、それらの基が、重合末端あるいは触媒に影響を与える場合があるので、その場合には保護基をつけた化合物を用いても構わない。保護基としては、アセチル基、シリル基、アルコキシ基などが挙げられる。
【0060】
これらの官能基を導入するために用いられる化合物を添加する量は、特に限定されない。これらの化合物のアルケニル基の反応性はあまり高くないため、反応速度を高めるためには添加量を増やすことが好ましく、一方、コストを低減するためには添加量は成長末端に対して等量に近い方が好ましく、状況により適正化する必要がある。
【0061】
また、末端にアルケニル基を導入するために重合性の低いアルケニル基を2つ以上持つ化合物を添加する量は、重合成長末端に対して過剰量であることが好ましい。等量あるいは末端より少量の場合、2つのオレフィンの両方ともが反応し、重合末端をカップリングしてしまう可能性がある。2つのオレフィンの反応性が等しい化合物の場合、カップリングの起こる確率は、過剰に添加する量に応じて統計的に決まってくる。よって、好ましくは1.5倍以上、さらに好ましくは3倍以上、特に好ましくは5倍以上である。
《化合物(II)》
重合性の低いアルケニル基を有するオレフィン化合物(I)を添加するとき、オレフィン化合物(I)の種類によっては、反応系の極性が低下して、触媒活性が不十分になる場合がある。この場合、オレフィン化合物(I)より誘電率の高い化合物(II)を添加することで反応系の極性を上げることができる。化合物(II)としては特に限定されないが、例示するならば、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系化合物;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系化合物;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系化合物;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系化合物;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール系化合物;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系化合物;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系化合物、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系化合物等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を混合して用いることができ、また重合に使用した溶媒と同じであっても良いし、異なっていても良いが、反応後の回収の容易さを考慮すると、同じであるほうが好ましい。化合物(II)の誘電率は、オレフィン化合物(I)より3以上高いことが好ましく、5以上高いことがより好ましく、10以上高いことがさらに好ましい。化合物(II)の誘電率は高いほうが、より極性改善の効果が見込める。なおここで誘電率は20℃での値である。またこれらの内では、触媒安定性向上の効果等から、ニトリル系化合物が好ましく、アセトニトリルがより好ましい。化合物(II)の使用量は、ラジカル重合性単量体100重量部に対して1〜1000重量部であるが、3〜1000重量部であることが好ましく、5〜500重量部であることがより好ましく、10〜100重量部であることがさらに好ましい。あるいは、化合物(II)の使用量は、オレフィン化合物(I)100重量部に対して1〜10000重量部であることが好ましく、10〜1000重量部であることがより好ましい。化合物(II)の使用量が少ないと極性向上の効果が発揮されないことがあり、また多いと、重合後、重合体からの回収が困難になる恐れがある。
【0062】
なお、本発明においては、原子移動ラジカル重合によりラジカル重合性単量体の80重量%が消費された後に、化合物(II)を添加する。ラジカル重合性単量体の80重量%が消費される前に化合物(II)を添加すると、ビニル系重合体の分子量が設定値よりも小さくなってしまう傾向がある。
化合物(II)は、ラジカル重合性単量体の80〜99.9重量%が消費された時点で加えるのが好ましく、85〜99重量%が消費された時点で加えるのがより好ましい。なお上記ラジカル重合性単量体の量は、いずれも最終的に重合溶液に仕込んだ量のことである。
《末端構造》
重合の最中または終点(すなわち原子移動ラジカル重合によりラジカル重合性単量体の80%が消費された後)において、重合性の低いアルケニル基を有するオレフィン化合物(I)を添加すると、末端にほぼ1つずつ付加し、その結果として、そのアルケニル化合物の有する官能基が重合体の末端に導入される。このときの末端構造は一般式10で示される。この末端構造を有するラジカル重合性単量体の重合体は、ヘテロ原子を介することなく、直接、炭素−炭素結合のみにより、また、末端基が重合体の末端一つにつきほぼ一つ結合していることが特徴である。
【0063】
【化23】
Figure 0004002130
{上の式中、R3は、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボン酸基、エステル基、エーテル基、アミド基、シリル基、あるいは一般式2:
【0064】
【化24】
Figure 0004002130
(R4は水素原子あるいはメチル基を表す)で表される基、あるいは重合性のオレフィンを含まない炭素数1〜20の有機基であり、R1は炭素数1〜20のアルキル基、あるいは一般式3:
【0065】
【化25】
Figure 0004002130
(上の式中、R5は酸素原子、窒素原子あるいは炭素数1〜20の有機基、R6は水素原子あるいはメチル基であり同じでも異なっていてもよい)
の構造を持つ基であり、且つ、R2は水素原子あるいはメチル基であり、Xはハロゲン基、ニトロキシド基、スルフィド基あるいはコバルトポルフィリン錯体である}一般式10において、R1の具体例としては、
−(CH2n−(nは1〜20の整数)、
−CH(CH3)−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH32−、−C(CH3)(CH2CH3)−、−C(CH2CH32−、−CH2CH(CH3)−、−(CH2n−O−CH2−(nは1〜19の整数)、
−CH(CH3)−O−CH2−、−CH(CH2CH3)−O−CH2−、−C(CH32−O−CH2−、−C(CH3)(CH2CH3)−O−CH2−、−C(CH2CH32−O−CH2−、
−(CH2n−O−(CH2m
(m、nは1〜19の整数、ただし2≦m+n≦20)、
−(CH2n−C(O)O−(CH2m
(m、nは1〜19の整数、ただし2≦m+n≦20)、
−(CH2n−OC(O)−(CH2m−C(O)O−(CH2l−、
(lは0〜18の整数、m,nは1〜17の整数、ただし2≦l+m+n≦18)、
−(CH2n−o−,m−,p−C64−、
−(CH2n−o−,m−,p−C64−(CH2m−、
(mは0〜13の整数、nは1〜14の整数、ただし1≦m+n≦14)、
−(CH2n−o−,m−,p−C64−O−(CH2m−、
(mは0〜13の整数、nは1〜14の整数、ただし1≦m+n≦14)、
−(CH2n−o−,m−,p−C64−O−CH(CH3)−、
(nは1〜12の整数)、
−(CH2n−o−,m−,p−C64−O−CH(CH32−、
(nは1〜11の整数)、
−(CH2n−o−,m−,p−C64−C(O)O−(CH2m−、
(m,nは1〜12の整数、ただし2≦m+n≦13)、
−(CH2n−OC(O)−o−,m−,p−C64−C(O)O−(CH2m−、
(m,nは1〜11の整数、ただし2≦m+n≦12)、
−(CH2n−o−,m−,p−C64−OC(O)−(CH2m−、
(m,nは1〜12の整数、ただし2≦m+n≦13)、
−(CH2n−C(O)O−o−,m−,p−C64−(CH2m−、
(m,nは1〜11の整数、ただし2≦m+n≦12)、
等が挙げられる。R3としては、以下のような基が例示される。
【0066】
【化26】
Figure 0004002130
式中、R18、R19は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R’)3SiO−(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R18またはR19が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,または3を、また、bは0,1,または2を示す。mは0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であることを満足するものとする。
【0067】
20は炭素数1〜20の炭化水素基であり、具体的には以下のような基が例示される。
−(CH2n−CH3
−CH(CH3)−(CH2n−CH3
−CH(CH2CH3)−(CH2n−CH3
−CH(CH2CH32
−C(CH32−(CH2n−CH3
−C(CH3)(CH2CH3)−(CH2n−CH3
−C65
−C65(CH3)、
−C64(CH32
−(CH2n−C65
−(CH2n−C64(CH3)、
−(CH2n−C63(CH32
(nは0以上の整数で、各基の合計炭素数は20以下)
一般式10において、R2は水素原子あるいはメチル基であるが、水素原子が好ましい。Xについては、ハロゲン基、ニトロキシド基、スルフィド基あるいはコバルトポルフィリン錯体であるが、製造の容易さからハロゲン基が、そして特にブロモ基が好ましい。
【0068】
アルケニル基が末端に導入されている場合において、R1が炭素数1〜20のアルキル基である場合、その構造に制約はないが、以下のものが例示される。
【0069】
【化27】
Figure 0004002130
原料入手の容易さから、nは2、4、6のものが好ましい。
【0070】
重合体1分子中に含まれる末端基の数には特に制約はないが、硬化性組成物などに用いられる場合には、0.5〜5個含まれることが好ましく、1〜3個含まれることがより好ましく、1.5〜2.5個含まれることがさらに好ましい。
【0071】
本発明で得られる重合体は、分子量分布、すなわち、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量と数平均分子量の比が好ましくは1.8以下であり、さらに好ましくは1.6以下であり、最も好ましくは1.3以下である。
【0072】
本発明で得られる重合体の数平均分子量は500〜100000の範囲が好ましく、3000〜50000がさらに好ましい。分子量が500以下であると、(メタ)アクリル系重合体の本来の特性が発現されにくく、また、100000以上であると、ハンドリングが困難になる。
【0073】
本発明において製造された重合体は、その導入された官能基をそのまま利用する、あるいは更なる変換反応を行って別の官能基にして利用される。具体的には、アルケニル基は、架橋性シリル基を持つヒドロシリル化合物によるヒドロシリル化反応により、架橋性シリル基に変換される。末端にアルケニル基を有するビニル系重合体としては、既に説明した方法により得られるものをすべて好適に用いることができる。
【0074】
ヒドロシラン化合物としては特に制限はないが、代表的なものを示すと、一般式12
H−[Si(R212-b(Y)bO]m・Si(R223-a(Y)a (12)
(式中、R21、R22は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R’)3SiO−(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R20またはR22が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,または3を、また、bは0,1,または2を示す。mは0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であることを満足するものとする)
で表される化合物が例示される。
【0075】
上記Yで示される加水分解性基としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、具体的には、水素、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられ、加水分解性がマイルドで取り扱いやすいという点から、アルコキシ基が特に好ましい。該加水分解性基や水酸基は1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結合することができ、a+mb、すなわち、加水分解性基の総和は、1〜5の範囲が好ましい。加水分解性基や水酸基が反応性ケイ素基中に2個以上結合するときは、それらは同一であっても、異なっていてもよい。架橋性ケイ素化合物を構成するケイ素原子は、1個でもよく、2個以上であってもよいが、シロキサン結合により連結されたケイ素原子の場合には20個程度まであってもよい。
【0076】
一般式12におけるR21、R22の具体例としては、例えば、メチル基やエチル基などのアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基などのアリール基、ベンジル基などのアラルキル基、R’がメチル基やフェニル基等である(R’)3SiO−で示されるトリオルガノシリル基等が挙げられる。
【0077】
これらヒドロシラン化合物の中でも、特に一般式13
H−Si(R223-a(Y)a (13)
(式中、R20、Y、aは前記と同じ。)で表される架橋性基を有するヒドロシラン化合物が、入手容易な点から好ましい。一般式12または13で示される架橋性基を有するヒドロシラン化合物の具体例としては、
HSiCl3、 HSi(CH3)Cl2、 HSi(CH32Cl、HSi(OCH33、 HSi(CH3)(OCH32、 HSi(CH32OCH3、HSi(OC253、 HSi(CH3)(OC252
HSi(CH32OC25、 HSi(OC373
HSi(C25)(OCH32、 HSi(C252OCH3
HSi(C65)(OCH32、 HSi(C652(OCH3)、
HSi(CH3)(OC(O)CH32
HSi(CH32O−[Si(CH32O]2・Si(CH3)(OCH32
HSi(CH3)[O−N=C(CH322
(ただし、上記化学式中、C65はフェニル基を示す)
等が挙げられる。
【0078】
このような架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物を、末端にアルケニル基を有するビニル系重合体に付加させる際には、ヒドロシリル化触媒が使用される。このようなヒドロシリル化触媒としては、有機過酸化物やアゾ化合物等のラジカル開始剤、および遷移金属触媒が挙げられる。
【0079】
ラジカル開始剤としては特に制限はなく各種のものを用いることができる。例示するならば、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)イソプロピルベンゼンのようなジアルキルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、m−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドのようなジアシルペルオキシド、過安息香酸−t−ブチルのような過酸エステル、過ジ炭酸ジイソプロピル、過ジ炭酸ジ−2−エチルヘキシルのようなペルオキシジカ−ボネ−ト、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンのようなペルオキシケタ−ル等が挙げられる。
【0080】
また、遷移金属触媒としては、例えば、白金単体、アルミナ、シリカ、カ−ボンブラック等の担体に白金固体を分散させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコ−ル、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体、白金(0)−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体が挙げられる。白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh33,RhCl3,RuCl3,IrCl3,FeCl3,AlCl3,PdCl2・H2O,NiCl2,TiCl4等が挙げられる。これらの触媒は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもかまわない。触媒量としては特に制限はないが、(A)成分のアルケニル基1molに対し、10-1〜10-8molの範囲で用いるのが良く、好ましくは10-3〜10-6molの範囲で用いるのがよい。10-8molより少ないと硬化が十分に進行しない場合があり、またヒドロシリル化触媒は高価であるので10-1mol以上用いないのが好ましい。
【0081】
アリルアルコールあるいはメタリルアルコールを重合末端に反応させた場合には、ハロゲン基などの活性基とヒドロキシル基が隣り合わせた炭素原子上にある末端が生成する。この末端は、環化させてエポキシ基に変換することができる。この環化反応を行う方法は特に限定されないが、アルカリ性化合物を反応させるのが好ましい。アルカリ性化合物としては、特に限定されないが、KOH、NaOH、Ca(OH)2や、アンモニア、各種アミン類などが挙げられる。
【0082】
末端の水酸基は、アリルクロライドやアリルブロマイドとのアルカリ性化合物を用いた縮合反応によりアルケニル基に変換される。また、エピクロロヒドリンを用いた同様の反応によりエポキシ基に変換される。
【0083】
また、末端の水酸基あるいはアミノ基は、水酸基あるいはアミノ基と反応する官能基と架橋性シリル基を併せ持つ化合物との反応により、架橋性シリル基にも変換できる。水酸基あるいはアミノ基と反応する官能基としては、例えばハロゲン、カルボン酸ハライド、カルボン酸、イソシアネート基等が挙げられるが、化合物の入手容易性や、水酸基と反応させる際の反応条件がマイルドで、架橋性シリル基の分解が起こりにくい点で、イソシアネート基が好ましい。
【0084】
このような、架橋性シリル基を有するイソシアネート系化合物としては特に制限はなく、公知のものを使用することができる。具体例を示すならば、
(CH3O)3Si−(CH2n−NCO、
(CH3O)2(CH3)Si−(CH2n−NCO、
(C25O)3Si−(CH2n−NCO、
(C25O)2(CH3)Si−(CH2n−NCO、
(i−C37O)3Si−(CH2n−NCO、
(i−C37O)2(CH3)Si−(CH2n−NCO、
(CH3O)3Si−(CH2n−NH−(CH2m−NCO、
(CH3O)2(CH3)Si−(CH2n−NH−(CH2m−NCO、
(C25O)3Si−(CH2n−NH−(CH2m−NCO、
(C25O)2(CH3)Si−(CH2n−NH−(CH2m−NCO、
(i−C37O)3Si−(CH2n−NH−(CH2m−NCO、
(i−C37O)2(CH3)Si−(CH2n−NH−(CH2m−NCO、
(上記式中、n、mは1〜20の整数)
等が挙げられる。
【0085】
末端に水酸基を有する(メタ)アクリル系重合体と、架橋性シリル基を有するイソシアネート化合物の反応は、無溶媒、または各種の溶媒中で行うことができ、反応温度は、0℃〜100℃、好ましくは、20℃〜50℃である。この際、水酸基とイソシアネート基の反応を促進するために既に例示したスズ系触媒、3級アミン系触媒を使用することができる。
《組成物》
これらの末端に官能基を持つ重合体は、様々な架橋反応を利用した硬化性組成物にすることができる。末端にアルケニル基を有する重合体から、(A)アルケニル基を有する重合体、(B)ヒドロシリル基含有化合物、を含有する硬化性組成物を得ることができる。
【0086】
(A)成分の末端にアルケニル基を有するビニル系重合体は、単独で用いても、また、2種類以上を混合して用いても良い。(A)成分の分子量としては特に制限はないが、500〜100000の範囲にあるのが好ましく、3000〜40000がさらに好ましい。500以下であると、ビニル系重合体の本来の特性が発現されにくく、100000以上であると、非常に高粘度あるいは溶解性が低くなり、取り扱いが困難になる。
【0087】
(B)成分のヒドロシリル基含有化合物としては特に制限はなく、各種のものを用いることができる。すなわち、一般式14または15で表される鎖状ポリシロキサン
23 3SiO−[Si(R232O]a−[Si(H)(R24)O]b−[Si(R24)(R25)O]c−SiR23 3 (14)
HR23 2SiO−[Si(R232O]a−[Si(H)(R24)O]b−[Si(R24)(R25)O]c−SiR23 2H (15)
(式中R23およびR24は炭素数1〜6のアルキル基、または、フェニル基、R25は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数7〜10のアラルキル基、aは0≦a≦100、bは2≦b≦100、cは0≦C≦100の整数を示す)、
一般式16で表される環状シロキサン
【0088】
【化28】
Figure 0004002130
(式中R23およびR24は炭素数1〜6のアルキル基、または、フェニル基、R25は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数7〜10のアラルキル基、dは0≦d≦8、eは2≦e≦10、fは0≦f≦8の整数を示し、かつ3≦d+e+f≦10である)を用いることができる。
【0089】
これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもかまわない。これらのシロキサンの中でもビニル系重合体との相溶性の観点から、フェニル基を有する、一般式17、18で示される鎖状シロキサンや、一般式19、20で示される環状シロキサンが好ましい。
(CH33SiO−[Si(H)(CH3)O]g−[Si(C652O]h−Si(CH33 (17)
(CH33SiO−[Si(H)(CH3)O]g−[Si(CH3){CH2C(H)(R26)C65}O]h
Si(CH33 (18)
(式中、R26は水素またはメチル基、gは2≦g≦100、hは0≦h≦100の整数、C65はフェニル基を示す)
【0090】
【化29】
Figure 0004002130
(式中、R26は水素、またはメチル基、iは2≦i≦10、jは0≦j≦8、かつ3≦i+j≦10である整数、C65はフェニル基)
(B)成分の少なくとも2個以上のヒドロシリル基を有する硬化剤としてはさらに、分子中に2個以上のアルケニル基を有する低分子化合物に対し、一般式14〜20に示したヒドロシリル基含有化合物を、反応後にも一部のヒドロシリル基が残るようにして付加反応させて得られる化合物を用いることもできる。分子中に2個以上のアルケニル基を有する化合物としては、各種のものを用いることができる。例示するならば、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン等の炭化水素系化合物、O,O’−ジアリルビスフェノ−ルA、3,3’−ジアリルビスフェノ−ルA等のエ−テル系化合物、ジアリルフタレ−ト、ジアリルイソフタレ−ト、トリアリルトリメリテ−ト、テトラアリルピロメリテ−ト等のエステル系化合物、ジエチレングリコ−ルジアリルカ−ボネ−ト等のカ−ボネ−ト系化合物が挙げられる。この場合、一般式14〜20に示した過剰量のヒドロシリル基含有化合物に対し、ヒドロシリル化触媒の存在下、上に挙げたアルケニル基含有化合物をゆっくり滴下することにより該化合物を得ることができる。このような化合物のうち、原料の入手容易性、過剰に用いたシロキサンの除去のしやすさ、さらには(A)成分の重合体への相溶性を考慮して、下記のものが好ましい。
【0091】
【化30】
Figure 0004002130
重合体(A)と硬化剤(B)は任意の割合で混合することができるが、硬化性の面から、アルケニル基とヒドロシリル基のモル比が5〜0.2の範囲にあることが好ましく、さらに、2.5〜0.4であることが特に好ましい。モル比が5以上になると硬化が不十分でべとつきのある強度の小さい硬化物しか得られず、また、0.2より小さいと、硬化後も硬化物中に活性なヒドロシリル基が大量に残るので、クラック、ボイドが発生し、均一で強度のある硬化物が得られない。
【0092】
重合体(A)と硬化剤(B)との硬化反応は、2成分を混合して加熱することにより進行するが、反応をより迅速に進めるために、ヒドロシリル化触媒が添加される。このようなヒドロシリル化触媒としては、すでに述べた各種のものが用いられる。
【0093】
末端に架橋性シリル基を持つ重合体は、これを主成分とする硬化性組成物にすることができる。
【0094】
末端に架橋性シリル基を有するビニル系重合体は水分と接触すると架橋反応により3次元化して硬化する。加水分解速度は温度、湿度、加水分解性基の種類により変化するので、使用条件に応じて適切な加水分解性基を選択しなければならない。
【0095】
硬化反応を促進するために硬化触媒を添加してもよい。縮合触媒としてはテトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン酸エステル;ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫、ナフテン酸錫等の有機錫化合物;オクチル酸鉛、ブチルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、オクチルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、1,3−ジアザビシクロ(5,4,6)ウンデセン−7等のアミン系化合物あるいはそれらのカルボン酸塩;過剰のポリアミンと多塩基酸から得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物の反応生成物;アミノ基を有するシランカップリング剤、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等の公知のシラノール触媒1種または2種以上を必要に応じて用いればよい。使用量は末端に架橋性シリル基を有するビニル系重合体に対し、0〜10重量%で使用するのが好ましい。加水分解性基Yとしてアルコキシ基が使用される場合は、この重合体のみでは硬化速度が遅いので、硬化触媒を使用することが好ましい。
【0096】
主成分である末端に架橋性シリル基を有するビニル系重合体に、必要に応じて縮合触媒を混合し硬化させれば、均一な硬化物を得ることができる。硬化条件としては特に制限はないが、一般に0〜100℃、好ましくは10〜50℃で1時間〜1週間程度である。硬化物の性状は用いる重合体の主鎖骨格や分子量に依存するが、ゴム状のものから樹脂状のものまで幅広く作成することができる。
【0097】
主成分である末端に架橋性シリル基を有するビニル系重合体に、必要に応じて縮合触媒を混合し硬化させれば、均一な硬化物を得ることができる。硬化条件としては特に制限はないが、一般に0〜100℃、好ましくは10〜50℃で1時間〜1週間程度である。硬化物の性状は用いる重合体の主鎖骨格や分子量に依存するが、ゴム状のものから樹脂状のものまで幅広く作成することができる。
【0098】
上記の各種の方法で得られる、末端に水酸基を有するビニル系重合体は、これを主成分とする硬化性組成物にすることができる。
【0099】
この硬化性組成物は以下の2成分:(A)末端に水酸基を有するビニル系重合体、(B)水酸基と反応しうる官能基を2個以上有する化合物、を必須成分とするものである。
【0100】
(A)成分の末端に水酸基を有するビニル系重合体は単独で用いても2種類以上を混合して用いてもよい。分子量としては特に制限はないが、500〜100000の範囲にあるのが好ましい。500以下であるとビニル系重合体の本来の特性が発現されにくく、100000以上になると、非常に高粘度あるいは溶解性が低くなり、取り扱いが困難になる場合がある。
【0101】
(B)成分の水酸基と反応しうる官能基を2個以上有する化合物としては、特に限定はないが、例えば、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート化合物、メチロール化メラミンおよびそのアルキルエーテル化物または低縮合化物等のアミノプラスト樹脂、多官能カルボン酸およびそのハロゲン化物等が挙げられる。
【0102】
1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート化合物としては従来公知のものを使用することができ、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、一方社油脂製B−45のごときトリイソシアネート、等のイソシアネート化合物、スミジュールN(住友バイエルウレタン社製)のごときビュレットポリイソシアネート化合物、デスモジュールIL、HL(バイエルA.G.社製)、コロネートEH(日本ポリウレタン工業社製)のごときイソシアヌレート環を有するポリイソシアネート化合物、スミジュールL(住友バイエルウレタン社製)のごときアダクトポリイソシアネート化合物、コロネートHL(日本ポリウレタン社製)のごときアダクトポリイソシアネート化合物等を挙げることができる。また、ブロックイソシアネートを使用しても構わない。これらは単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0103】
末端に水酸基を有する重合体と2個以上のイソシアネート基を有する化合物との配合比については特に限定されないが、例えば、イソシアネート基と末端に水酸基を有するビニル系重合体の水酸基の比率(NCO/OH(モル比))が0.5〜3.0であることが好ましく、0.8〜2.0であることがより好ましい。
【0104】
本発明の組成物である末端に水酸基を有するビニル系重合体と2個以上のイソシアネート基を有する化合物の硬化反応を促進させるために、必要に応じて、有機スズ化合物や3級アミン等の公知の触媒を添加してもよい。
【0105】
有機スズ化合物の具体例としては、オクチル酸スズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズメルカプチド、ジブチルスズチオカルボキシレート、ジブチルスズジマレエート、ジオクチルスズチオカルボキシレート等が挙げられる。また、3級アミン系触媒としては、トリエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロパン1,3−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサン1,6−ジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、テトラメチルグアニジン、トリエチレンジアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−メチルモルホリン、1,2−ジメチルイミダゾール、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、N−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、エチレングリコールビス(3−ジメチル)アミノプロピルエーテル等が例示される。
【0106】
本発明における硬化性組成物に使用されるアミノプラスト樹脂としては特に限定はなく、メラミンとホルムアルデヒドとの付加反応物(メチロール化合物)、メラミンとホルムアルデヒドの低縮合物、それらのアルキルエーテル化物、ならびに尿素樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用しても構わない。末端に水酸基を有する(メタ)アクリル系重合体と、アミノプラスト樹脂の硬化反応を促進する目的で、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の公知の触媒を添加してもよい。
【0107】
本発明の硬化性組成物に用いられる、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物としては、特に限定されず、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フタル酸、無水フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの多官能カルボン酸またはその無水物、および、これらのハロゲン化物等が挙げられ、これらは単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
【0108】
本発明の2成分(A)、(B)、および必要に応じて硬化触媒を混合し硬化させれば、深部硬化性に優れた均一な硬化物が得られる。硬化条件については特に制限はないが、一般に0℃〜100℃、好ましくは20℃〜80℃である。
【0109】
硬化物の性状は用いる(A)成分の重合体および(B)成分の硬化剤の主鎖骨格や分子量に依存するが、ゴム状のものから樹脂状のものまで幅広く作成することができる。
【0110】
末端にエポキシ基を持つ重合体からは、(A)末端にエポキシ基を持つ重合体、(B)硬化剤、を含有する硬化性組成物を得ることができる。(B)硬化剤としては、各種のものが使用できる。例示するならば、脂肪族アミン類、芳香族アミン類、酸無水物、ユリア、メラミン、フェノール樹脂である。
【0111】
以上のような本発明の組成物の具体的な用途として、シーリング材、接着剤、粘着材、弾性接着剤、塗料、粉体塗料、発泡体、電気電子用ポッティング材、フィルム、成形材料、人工大理石等を挙げることができる。
【0112】
【実施例】
以下に、本発明の具体的な実施例を示すが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。下記実施例および比較例中、「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。「数平均分子量」および「分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。ただし、GPCカラムとしてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの(shodex GPC K−804;昭和電工(株)製)を、GPC溶媒としてクロロホルムを用いた。重合体1分子当たりに導入された官能基数は、1H−NMRによる濃度分析、及びGPCにより求まる数平均分子量を基に算出した。
(実施例1)
250L耐圧反応器に臭化銅(I)1.01kg(7.02mol)、アセトニトリル10.6kgを仕込み、窒素気流下65℃で16分間加熱攪拌した。これに2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル2.11kg(5.85mol)、アクリル酸ブチル24.0kg(187mol)を加え、さらに65℃で40分間加熱攪拌した。これにペンタメチルジエチレントリアミン(以後トリアミンと称す)20.3g(0.117mol)を加えて反応を開始し、80℃で加熱攪拌を続けた。さらにトリアミンを101.5g(0.585mol)追加した。反応開始46分後から断続的にアクリル酸ブチル96.0kg(749mol)を180分かけて滴下した。またこの間にトリアミン81.2g(0.468mol)を追加した。反応開始から346分後、アクリル酸ブチルの反応率は95.9%に達した。反応容器内を減圧にし、揮発分を除去した。反応開始から434分後、アセトニトリル31.7kg、1,7−オクタジエン12.9kg(117mol)、トリアミン406g(2.34mol)を添加し、引き続き80℃で加熱攪拌を続け、反応開始から809分後加熱を停止し、重合体[1]を含む溶液を得た。得られた重合体[1]の数平均分子量はGPC測定(移動相クロロホルム、ポリスチレン換算)で26400、分子量分布は1.23であり、また1H−NMR分析より求めた重合体1分子あたりのアルケニル基の個数は1.9個、アルケニル基の導入されていない末端の個数は0個であった。
(実施例2)
上記の重合体[1]を含む混合物を濃縮した後、メチルシクロヘキサンで希釈し、固形分を除去した。重合体100部に対して吸着剤4部(キョーワード500SH 2部/キョーワード700SL 2部:共に協和化学(株)製)を重合体のメチルシクロヘキサン溶液に加え、酸素・窒素混合ガス雰囲気下で加熱攪拌した。固形分を除去した後、重合体溶液を濃縮して重合体[1’]を得た。重合体[1’]の分子量分布は1.30であった。
(実施例3)
2Lフラスコに臭化銅(I)8.39g(58.5mmol)、アセトニトリル112mL(87.9g)を仕込み、窒素気流下70℃で20分間加熱攪拌した。これに2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル17.6g(48.8mmol)、アクリル酸ブチル224mL(200g、1.56mol)を加え、さらに80℃で40分間加熱攪拌した。これにペンタメチルジエチレントリアミン(以後トリアミンと称す)0.41mL(0.338g、1.95mmol)を加えて反応を開始した。さらにトリアミンを1.23mL(1.01g、5.85mmol)追加した。80℃で加熱攪拌を続け、反応開始35分後から断続的にアクリル酸ブチル895mL(800g、6.24mol)を145分かけて滴下した。またこの間にトリアミン0.41mL(0.338g、1.95mmol)を追加した。反応開始から240分後、アクリル酸ブチルの反応率は95.9%に達した。反応容器内を減圧にし、揮発分を除去した。反応開始から360分後、アセトニトリル336mL(264g)、1,7−オクタジエン144mL(107g、0.975mol)、トリアミン4.1mL(3.38g、19.5mmol)添加し、引き続き80℃で加熱攪拌を続け、反応開始から740分後加熱を停止し、重合体[2]を含む溶液を得た。得られた重合体[2]の数平均分子量はGPC測定(移動相クロロホルム、ポリスチレン換算)で24000、分子量分布は1.17であり、また1H−NMR分析より求めた重合体1分子あたりのアルケニル基の個数は1.7個、アルケニル基の導入されていない末端の個数は0個であった。
(実施例4)
上記の重合体[2]を含む混合物を濃縮した後、トルエンで希釈し、固形分を除去した。重合体100部に対して吸着剤4部(キョーワード500SH 2部/キョーワード700SL 2部:共に協和化学(株)製)を重合体のトルエン溶液に加え、酸素・窒素混合ガス雰囲気下で加熱攪拌した。固形分を除去した後、重合体溶液を濃縮した。これをN,N−ジメチルアセトアミドに希釈し、酢酸カリウム共存下100℃で8時間加熱撹拌した。重合体溶液を濃縮後、トルエンで希釈して固形分を除去した。重合体100部に対して吸着剤50部(キョーワード700PEL 50部:協和化学(株)製)を重合体のキシレン溶液に加え、酸素・窒素混合ガス雰囲気下で加熱攪拌した。固形分を除去した後、溶液を濃縮して重合体を得た。この重合体に、ジメトキシメチルシラン(アルケニル基に対して3モル当量)、オルトギ酸メチル(アルケニル基に対して1モル当量)、白金触媒(ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金錯体のキシレン溶液:以下白金触媒という)(白金として重合体1kgに対して30mg)を混合し、窒素雰囲気下、80℃で1時間加熱攪拌した。アルケニル基が反応により消失したことを1H−NMRで確認し、反応混合物を濃縮して目的とするメトキシシリル基含有重合体[2’]を得た。重合体[2’]の数平均分子量は25600、分子量分布は1.26であった。重合体1分子当たりに導入されたシリル基の数は1.8個であった。
(実施例5)
実施例4で得られたメトキシシリル基含有重合体[2’]100部、炭酸カルシウム(白艶華CCR:白石工業製)150部とDOP(ジオクチルフタレート:協和醗酵製)50部を混合し、更に3本ペイントロールを用いて充分混合した後、4価Sn触媒(ジブチル錫ジアセチルアセトナート)を用いて、室内で2日、その後50℃で3日硬化養生させ、シート状の硬化物を得た。硬化物の引張物性(島津製オートグラフ使用、測定温度:23℃、引張速度:200mm/sec、2(1/3)号形ダンベル試験片)を評価した。破断強度は0.77MPa、破断伸びは430%であった。
(実施例6)
250L耐圧反応器に臭化銅(I)1.11kg(7.72mol)、アセトニトリル9.95kgを仕込み、窒素気流下65℃で15分間加熱攪拌した。これに2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル3.09kg(8.58mol)、アクリル酸ブチル6.60kg(51.5mol)、アクリル酸エチル9.49kg(94.7mol)、アクリル酸2−メトキシエチル7.77kg(59.7mol)、さらに65℃で43分間加熱攪拌した。これにペンタメチルジエチレントリアミン(以後トリアミンと称す)22.3g(0.129mol)を加えて反応を開始し、80℃で加熱攪拌を続けた。さらにトリアミンを112g(0.644mol)追加した。反応開始57分後から断続的にアクリル酸ブチル26.4kg(206mol)、アクリル酸エチル37.9kg(379mol)、アクリル酸2−メトキシエチル31.3kg(239mol)を180分かけて滴下した。またこの間にトリアミン89.2g(0.515mol)を追加した。反応開始から602分後、反応容器内を減圧にし、揮発分を除去した。反応開始から720分後、アクリル酸エチル・アクリル酸ブチル・アクリル酸2−メトキシエチルの反応率は平均95.3%に達した。アセトニトリル9.95kg、1,7−オクタジエン28.4kg(257mol)、トリアミン446g(2.57mol)添加し、引き続き80℃で加熱攪拌を続け、反応開始から1340分後加熱を停止し、重合体[3]を含む溶液を得た。得られた重合体[3]の数平均分子量はGPC測定(移動相クロロホルム、ポリスチレン換算)で17100、分子量分布1.16であり、また1H−NMR分析より求めた重合体1分子あたりのアルケニル基の個数は1.6個、アルケニル基の導入されていない末端の個数は0個であった。
(実施例7)
重合体[3]を含む混合物を重合体溶液を濃縮した後、トルエンで希釈し、固形分を除去した。重合体100部に対して吸着剤4部(キョーワード500SH2部/キョーワード700SL 2部:共に協和化学(株)製)を重合体のトルエン溶液に加え、酸素・窒素混合ガス雰囲気下で加熱攪拌した。固形分を除去した後、重合体溶液を濃縮した。これをN,N−ジメチルアセトアミドに希釈し、酢酸カリウム共存下100℃で8時間加熱撹拌した。重合体溶液を濃縮した後、重合体100部に対して吸着剤10部(キョーワード500SH 5部/キョーワード700SL 5部:共に協和化学(株)製)を重合体のトルエン溶液に加え、酸素・窒素混合ガス雰囲気下で加熱攪拌した。固形分を除去した後、重合体溶液を濃縮して重合体[3’]を得た。
(実施例8)
重合体[3’]100部、鎖状シロキサン(分子中に平均5個のヒドロシリル基と平均5個の置換基[−CH2−CH(CH3)−C65]を含有し、Si−H基量は3.70mmol/gである)をアルケニル基に対して1.8モル当量混合した。この混合物に対し、白金触媒(白金として重合体1kgに対して10〜100mg)を加え、均一混合し、130℃に加熱すると、速やかに硬化して、ゴム状の硬化物が得られた。硬化物の引張物性(島津製オートグラフ使用、測定温度:23℃、引張速度:200mm/sec、2(1/3)号形ダンベル試験片)を評価した。破断強度は0.55MPa、破断伸びは230%であった。
(比較例1)
500mLフラスコに臭化銅(I)2.52g(17.6mmol)、アセトニトリル33.6mL(26.4g)を仕込み、窒素気流下70℃で30分間加熱攪拌した。これに2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル5.27g(14.6mmol)、アクリル酸ブチル336mL(300g、2.34mol)を加え、さらに70℃で20分間加熱攪拌した。これにペンタメチルジエチレントリアミン(以後トリアミンと称す)0.122mL(0.101g、0.585mmol)を加えて反応を開始し、80℃で加熱攪拌を続けた。さらにトリアミンを0.366mL(0.303g、1.76mmol)追加した。反応開始から200分後、アクリル酸ブチルの反応率は98.6%に達した。1,7−オクタジエン43.2mL(32.2g、0.293mol)、トリアミン1.22mL(1.01g、5.85mmol)を添加し、引き続き80℃で加熱攪拌を続け、反応開始から440分後加熱を停止し、重合体[4]を含む溶液を得た。得られた重合体[4]の数平均分子量はGPC測定(移動相クロロホルム、ポリスチレン換算)で26800、分子量分布1.32であり、また1H−NMR分析より求めた重合体1分子あたりのアルケニル基の個数は2.9個、アルケニル基の導入されていない末端の個数は0.3個であった。
(比較例2)
上記の重合体[4]を含む混合物を、実施例2と同様にして処理して重合体[4’]を得た。重合体[4’]の分子量分布は1.51であった。
(比較例3)
還流管および攪拌機付きの20Lの反応器に、CuBr83.9g(0.585mol)を仕込み、反応容器内を窒素置換した。アセトニトリル879gを加え、オイルバス中70℃で45分間攪拌した。これにアクリル酸ブチル2.00kg(25.6mol)、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル(176g、0.488mol)、ペンタメチルジエチレントリアミン4.07mL(3.38g、19.5mmol)(これ以降トリアミンと表す)を加え、反応を開始した。さらにトリアミン8.14mL(6.76g、39.0mmol)を追加し、70℃で加熱攪拌を続けた。反応開始後60分後からアクリル酸ブチル8.00kg(102mol)を170分かけて連続的に滴下した。アクリル酸ブチルの滴下途中にトリアミン8.14mL(6.76g、39.0mmol)を追加した。反応開始から450分後、アクリル酸ブチルの反応率は96.7%に達した。1,7−オクタジエン2.88L(2.15kg、19.5mol)、トリアミン30.5mL(25.4g、146mmol)を添加し、さらに70℃で240分加熱攪拌を続けた。
【0113】
反応混合物をトルエンで希釈して固形分を除去した後、活性アルミナカラムを通し、揮発分を減圧留去することにより末端にアルケニル基を有する重合体[5]を得た。重合体[5]はGPC測定(ポリスチレン換算)により数平均分子量は25100、分子量分布は1.34であり、重合体1分子当たりに導入された平均のアルケニル基の数を1H−NMR分析により求めたところ、3.1個であった。
(比較例4)
重合体[5]をN,N−ジメチルアセトアミドに希釈し、酢酸カリウム共存下100℃で8時間加熱撹拌した。減圧加熱処理後、トルエンで希釈して固形分を除去した。重合体100部に対して吸着剤15部(キョーワード500SH 10部/キョーワード700SL 5部:共に協和化学(株)製)を重合体のトルエン溶液に加えて130℃で加熱攪拌した。固形分を除去した後、重合体溶液を濃縮して重合体を得た。この重合体に、ジメトキシメチルシラン(アルケニル基に対して3モル当量)、オルトギ酸メチル(アルケニル基に対して1モル当量)、白金触媒(白金として重合体1kgに対して60mg)を混合し、100℃で5時間加熱攪拌した。アルケニル基が反応により消失したことを1H−NMRで確認し、反応混合物を濃縮して目的とするメトキシシリル基含有重合体[5’]を得た。数平均分子量は28900、分子量分布は1.90であった。重合体1分子当たりに導入されたシリル基の数は1.9個であった。
(比較例5)
比較例4で得られたメトキシシリル基含有重合体[5’]100部、炭酸カルシウム(白艶華CCR:白石工業製)150部とDOP(ジオクチルフタレート:協和醗酵製)50部を混合し、更に3本ペイントロールを用いて充分混合した後、4価Sn触媒(ジブチル錫ジアセチルアセトナート)を用いて、室内で2日、その後50℃で3日硬化養生させ、シート状の硬化物を得た。硬化物の引張物性(島津製オートグラフ使用、測定温度:23℃、引張速度:200mm/sec、2(1/3)号形ダンベル試験片)を評価した。破断強度は0.95MPa、破断伸びは320%であった。
(比較例6)
50L反応器に臭化銅(I)270g(1.88mol)、アセトニトリル2.43kgを仕込み、窒素気流下65℃で19分間加熱攪拌した。これに2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル753g(2.09mol)、アクリル酸ブチル1.61kg(12.6mol)、アクリル酸エチル2.31kg(23.1mol)、アクリル酸2−メトキシエチル1.90kg(14.6mol)を加え、さらに80℃で30分間加熱攪拌した。これにペンタメチルジエチレントリアミン(以後トリアミンと称す)13.1mL(10.8g、62.8mmol)を加えて反応を開始した。さらにトリアミンを26.2mL(21.6g、126mmol)追加した。80℃で加熱攪拌を続け、反応開始65分後から断続的にアクリル酸ブチル6.44kg(50.4mol)、アクリル酸エチル9.24kg(92.4mol)、アクリル酸2−メトキシエチル7.60kg(58.4mol)を103分かけて滴下した。またこの間にトリアミン26.2mL(21.6g、126mmol)を追加した。反応開始から305分後、アクリル酸エチル・アクリル酸ブチル・アクリル酸2−メトキシエチルの反応率は平均96.8%に達した。1,7−オクタジエン6.92kg(62.8mol)、トリアミン131mL(109g、0.628mol)添加し、引き続き80℃で加熱攪拌を続け、反応開始から605分後加熱を停止し、重合体[6]を含む溶液を得た。得られた重合体[6]の数平均分子量はGPC測定(移動相クロロホルム、ポリスチレン換算)で17000、分子量分布1.13であり、また1H−NMR分析より求めた重合体1分子あたりのアルケニル基の個数は2.5個であった。
(比較例7)
重合体[6]を含む混合物を減圧加熱処理した後、トルエンで希釈し、固形分を除去した。これをN,N−ジメチルアセトアミドに希釈し、酢酸カリウム共存下100℃で8時間加熱撹拌した。減圧加熱処理後、トルエンで希釈して固形分を除去した。重合体100部に対して吸着剤15部(キョーワード500SH 10部/キョーワード700SL 5部:共に協和化学(株)製)を重合体のトルエン溶液に加えて130℃で加熱攪拌した。固形分を除去した後、重合体溶液を濃縮して重合体[6’]を得た。
(比較例8)
重合体[6’]100部、鎖状シロキサン(分子中に平均5個のヒドロシリル基と平均5個の置換基[−CH2−CH(CH3)−C65]を含有し、Si−H基量は3.70mmol/gである)をアルケニル基に対して1.8モル当量混合した。この混合物に対し、白金触媒(白金として重合体1kgに対して10〜100mg)を加え、均一混合し、130℃に加熱すると、速やかに硬化して、ゴム状の硬化物が得られた。硬化物の引張物性(島津製オートグラフ使用、測定温度:23℃、引張速度:200mm/sec、2(1/3)号形ダンベル試験片)を評価した。破断強度は0.61MPa、破断伸びは160%であった。
以上の結果を下表に示す。
【0114】
【表1】
Figure 0004002130
【0115】
【表2】
Figure 0004002130
【0116】
【表3】
Figure 0004002130
本発明の方法により、末端に確実に官能基が導入された重合体が得られる。また官能基が導入されていない末端は重合体の熱安定性に悪影響を及ぼすが、表1に示すように、本発明の方法により熱安定性の向上した重合体が得られる。さらに、表2および表3に示すように、本発明の方法で得られた重合体は、末端に確実に官能基が導入されているので、伸びに優れた硬化物を与える。
【0117】
【発明の効果】
本発明によりビニル系重合体の末端に確実に官能基を導入することができる。末端に官能基を持つビニル系重合体は、末端基が主鎖に炭素炭素結合で繋がっているため安定であり、末端の構造はオレフィンが一つだけとよく制御されているため、硬化性組成物などへの利用に有用である。また、本発明の製造方法によれば、様々なビニル系単量体から、重合系に本発明で示された重合性の低いオレフィンと様々な官能基を併せ持つ化合物を添加することにより容易に上述した末端に様々な官能基を持つ重合体を製造することができる。

Claims (28)

  1. 原子移動ラジカル重合によりラジカル重合性単量体の80重量%が消費された後に、重合性の低いオレフィン化合物(I)及び誘電率がオレフィン化合物(I)より高い化合物(II)を添加して、末端にオレフィン化合物(I)が付加したビニル系重合体を製造する方法であって、
    前記誘電率がオレフィン化合物(I)より高い化合物(II)が添加された状態下で、前記重合性の低いオレフィン化合物(I)とビニル系重合体の末端とを反応させる、
    ことを特徴とするビニル系重合体の製造方法。
    ただし、前記重合性の低いオレフィン化合物(I)は、一般式1:
    Figure 0004002130
    {上の式中、R3は、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボン酸基、エステル基、エーテル基、アミド基、シリル基、あるいは一般式2:
    Figure 0004002130
    (R4は水素原子あるいはメチル基を表す)
    で表される基、あるいは炭素数1〜20の有機基であり、R1は炭素数1〜20のアルキル基あるいは一般式3:
    Figure 0004002130
    (上の式中、R5は酸素原子、窒素原子あるいは炭素数1〜20の有機基、R6は水素原子あるいはメチル基であり同じでも異なっていてもよい)の構造を持つ基であり、且つ、R2は水素原子あるいはメチル基である}
    で示される化合物である。
    前記誘電率がオレフィン化合物(I)より高い化合物(II)は、炭化水素系化合物、エーテル系化合物、ハロゲン化炭化水素系化合物、ケトン系化合物、アルコール系化合物、ニトリル系化合物、エステル系化合物およびカーボネート系化合物からなる群から選択される少なくとも一種であり、
    その添加量は、前記ラジカル重合性単量体100重量部に対して1〜1000重量部である。
    前記ラジカル重合性単量体が、(メタ)アクリル酸系モノマー、スチレン系モノマー、フッ素含有ビニルモノマー、ケイ素含有ビニル系モノマー、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル、フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル、マレイミド系モノマー、ニトリル基含有ビニル系モノマー、アミド基含有ビニル系モノマー、ビニルエステル類、アルケン類、共役ジ エン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリルおよびアリルアルコールからなる群から選択される少なくとも一種である。
  2. オレフィン化合物(I)が官能基を有するものであって、末端にオレフィン化合物(I)が付加したビニル系重合体が、末端に前記官能基を有するものである請求項1記載のビニル系重合体の製造方法。
  3. オレフィン化合物(I)が、一般式4:
    Figure 0004002130
    {上の式中、R1は炭素数1〜20のアルキル基あるいは一般式3:
    Figure 0004002130
    (上の式中、R5は酸素原子、窒素原子あるいは炭素数1〜20の有機基、R6は水素原子あるいはメチル基であり同じでも異なっていてもよい)の構造を持つ基であり、且つ、R2、R4は、水素原子あるいはメチル基である}
    で示される化合物であり、さらに、重合体の成長末端に対し過剰量のオレフィン化合物(I)を添加することを特徴とする請求項1記載のビニル系重合体の製造方法。
  4. オレフィン化合物(I)が、一般式5:
    Figure 0004002130
    (nは1〜20の整数)
    で示される化合物である請求項1〜3のいずれか一項に記載のビニル系重合体の製造方法。
  5. オレフィン化合物(I)が、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンあるいは1,9−デカジエンである請求項4記載のビニル系重合体の製造方法。
  6. オレフィン化合物(I)が、一般式1において、R3が水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボン酸基、エステル基、エーテル基、アミド基、シリル基から選ばれる基である請求項1記載のビニル系重合体の製造方法。
  7. オレフィン化合物(I)が、一般式1において、R2は水素原子である請求項1〜6記載のいずれか一項に記載のビニル系重合体の製造方法。
  8. オレフィン化合物(I)が、アルケニルアルコール又はアルケニルアミンである請求項1、2、6、7のいずれか一項に記載のビニル系重合体の製造方法。
  9. 化合物(II)の誘電率が、オレフィン化合物(I)より3以上高いことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のビニル系重合体の製造方法。
  10. 化合物(II)の誘電率が、オレフィン化合物(I)より5以上高いことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のビニル系重合体の製造方法。
  11. 化合物(II)の誘電率が、オレフィン化合物(I)より10以上高いことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のビニル系重合体の製造方法。
  12. 化合物(II)が、ニトリル系の化合物である請求項1〜11のいずれか一項に記載のビニル系重合体の製造方法。
  13. ニトリル系化合物がアセトニトリルである請求項12に記載のビニル系重合体の製造方法。
  14. ラジカル重合性単量体100重量部に対して、3〜1000重量部の化合物(II)を添加する請求項1〜13のいずれか1項に記載のビニル系重合体の製造方法。
  15. ラジカル重合性単量体100重量部に対して、5〜500重量部の化合物(II)を添加する請求項1〜13のいずれか1項に記載のビニル系重合体の製造方法。
  16. ラジカル重合性単量体100重量部に対して、10〜100重量部の化合物(II)を添加する請求項1〜13のいずれか1項に記載のビニル系重合体の製造方法。
  17. オレフィン化合物(I)100重量部に対して、1〜10000重量部の化合物(II)を添加する請求項1〜13のいずれか1項に記載のビニル系重合体の製造方法。
  18. オレフィン化合物(I)100重量部に対して、10〜1000重量部の化合物(II)を添加する請求項1〜13のいずれか1項に記載のビニル系重合体の製造方法。
  19. ビニル系重合体が(メタ)アクリル酸エステル系重合体である請求項1〜18のいずれか一項に記載のビニル系重合体の製造方法。
  20. ビニル系重合体がアクリル酸エステル系重合体である請求項1〜19のいずれか一項に記載のビニル系重合体の製造方法。
  21. 原子移動ラジカル重合の触媒とする金属錯体が、銅、ニッケル、ルテニウム、鉄の錯体である請求項1〜20のいずれか一項に記載のビニル系重合体の製造方法。
  22. 触媒とする金属錯体が銅錯体である請求項21記載のビニル系重合体の製造方法。
  23. 開始剤が、官能基を有する有機ハロゲン化物、あるいは、官能基を有するハロゲン化スルホニル化合物である請求項1〜22のいずれか一項に記載のビニル系重合体の製造方法。
  24. 開始剤が、2つ以上の開始点を持つ有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物である請求項1〜23のいずれか一項に記載のビニル系重合体の製造方法。
  25. 重合体の数平均分子量が500〜100000である請求項1〜24のいずれか一項に記載のビニル系重合体の製造方法。
  26. 重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)の値が1.8未満である請求項1〜25のいずれか一項に記載のビニル系重合体の製造方法。
  27. 請求項1〜26のいずれか一項の方法により製造される、一般式(10):
    Figure 0004002130
    {上の式中、R3は、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボン酸基、エステル基、エーテル基、アミド基、シリル基、あるいは一般式2:
    Figure 0004002130
    (R4は水素原子あるいはメチル基を表す)で表される基、あるいは重合性のオレフィンを含まない炭素数1〜20の有機基であり、R1は炭素数1〜20のアルキル基、あるいは一般式3:
    Figure 0004002130
    (上の式中、R5は酸素原子、窒素原子あるいは炭素数1〜20の有機基、R6は水素原子あるいはメチル基であり同じでも異なっていてもよい)の構造を持つ基であり、且つ、R2は水素原子あるいはメチル基であり、Xはハロゲン基である}
    に示される末端構造を有するビニル系重合体であって、
    記ビニル系重合体が、(メタ)アクリル酸系モノマー、スチレン系モノマー、フッ素含有ビニルモノマー、ケイ素含有ビニル系モノマー、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル、フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル、マレイミド系モノマー、ニトリル基含有ビニル系モノマー、アミド基含有ビニル系モノマー、ビニルエステル類、アルケン類、共役ジエン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリルおよびアリルアルコールからなる群から選択される少なくとも一種のラジカル重合性単量体の重合体である、ビニル系重合体。
  28. 請求項27に記載のビニル系重合体を含有する硬化性組成物。
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