JP3993333B2 - 有機el素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機EL(電界発光)素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機EL素子は、蛍光性有機化合物を含む薄膜を陰極と陽極とで挟んだ構成を有し、薄膜に電子および正孔を注入して再結合させることにより、励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光する素子である。
【0003】
有機EL素子は、10V以下の低電圧で100〜100,000cd/m2 程度の高輝度の面発光が可能である。また、蛍光物質の種類を選択することにより、青色から赤色までの発光が可能である。
【0004】
EL素子で任意の発光色を得るための手法としてドーピング法があり、アントラセン結晶中に微量のテトラセンをドープすることで発光色を青色から緑色に変化させた報告(Jpn. J. Appl. Phys., 10,527(1971)) がある。また、積層構造を有する有機薄膜EL素子では、発光機能を有するホスト物質に、その発光に応答しホスト物質とは異なる色の光を放出する蛍光色素をドーパントとして微量混入させて発光層を形成し、発光色を緑色から橙〜赤色へ変化させた報告(特開昭63−264692号公報)がある。
【0005】
黄〜赤色の長波長発光に関しては、発光材料あるいはドーパント材料として、赤色発振を行うレーザー色素(EPO281381号)、エキサイプレックス発光を示す化合物(特開平2−255788号公報)、ペリレン化合物(特開平3−791号公報)、クマリン化合物(特開平3−792号公報)、ジシアノメチレン系化合物(特開平3−162481号公報)、チオキサンテン化合物(特開平3−177486号公報)、共役系高分子と電子輸送性化合物の混合物(特開平6−73374号公報)、スクアリリウム化合物(特開平6−93257号公報)、オキサジアゾール系化合物(特開平6−136359号公報)、オキシネイト誘導体(特開平6−145146号公報)、ピレン系化合物(特開平6−240246号公報)がある。
【0006】
他の発光材料として、縮合多環芳香族化合物(特開平5−32966号公報、特開平5−214334号公報)も開示されている。また、ドーパント材料としても種々の縮合多環芳香族化合物(特開平5−258859号公報)が提案されている。
【0007】
しかし、いずれの発光においても、十分な輝度や安定な発光性能は得られていない。通常、発光光を緑色に変化させるドーパントとして用いられるクマリン化合物は、熱、輻射線およびイオン成分に対して非常に弱く、発光層の成膜時や駆動時に発生する熱、輻射線もしくは残留したイオンによって発光しなくなることもある。ドーパント材料のさらなる輝度の向上あるいは耐久性の向上が望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主たる目的は、十分な輝度の発光、特に長波長の発光が得られ、かつ、良好な発光性能が長期にわたって持続する耐久性に優れた有機EL素子を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
(1) 少なくとも発光帯と正孔注入輸送帯とを有し、
上記発光帯が下記一般式(I)で表される化合物を含有し、
上記正孔注入輸送帯および/または上記発光帯が下記一般式(301)で表されるトリアリールアミン誘導体を含有する有機EL素子。
【0010】
【化3】
【0011】
(一般式(I)において、R1およびR2は、それぞれアリール基を表し、R3〜R6は、それぞれアリール基、アルキル基または水素原子を表す。)
【0012】
【化4】
【0013】
(2) 上記一般式(I)で表される化合物が、それ自体で発光機能を有するホスト物質のドーパントである上記(1)の有機EL素子。
(3) 上記ホスト物質がキノリノール誘導体である上記(2)の有機EL素子。
(4) 上記ホスト物質がトリアリールアミン誘導体である上記(2)の有機EL素子。
(5) 上記発光帯が、少なくとも1種以上の正孔注入輸送性化合物と少なくとも1種以上の電子注入輸送性化合物との混合層である上記(2)〜(4)のいずれかの有機EL素子。
(6) 上記混合層を形成する上記正孔注入輸送性化合物の1つがトリアリールアミン誘導体であり、上記混合層を形成する上記電子注入輸送性化合物がキノリノール誘導体である上記(5)の有機EL素子。
【0014】
【作用】
本発明の有機EL素子は、発光帯が上記一般式(I)で表される化合物を含有する。ここで、発光帯とは、正孔と電子の再結合により励起子を生成させ、この励起子が失活する際の光の放出によって発光する層、つまり、発光層のことをいう。ただし、この発光帯は、他の機能を有していてもよく、例えば、正孔注入輸送性化合物を含有し、正孔注入輸送機能を有する発光層や、電子注入輸送性化合物を含有し、電子注入輸送機能を有する発光層等も含む。発光帯は2層以上の発光層が積層されていてもよく、例えば、正孔注入性発光層、正孔輸送性発光層、電子注入性発光層、電子輸送性発光層が積層されている構成としてもよい。
【0015】
本発明の有機EL素子は、発光帯が上記一般式(I)で表される化合物を含有するため、460〜600nm程度の波長域、特に青緑色から橙色の領域に極大発光波長をもつ。特に、一般式(I)の化合物は、発光帯において、それ自体で発光機能を有するホスト物質のドーパントとして、あるいは電子注入輸送性化合物と正孔注入輸送性化合物とで形成された発光機能を有する混合層のドーパントとして使用することによって、青〜赤色の発光、特に長波長発光が可能であり、しかも十分な輝度が得られ、良好な発光性能が長期にわたって持続する。
【0016】
なお、本発明者らは、特開平8−311442号公報において、上記一般式(I)の化合物のうち、R21、R22がフェニル基等である化合物を提案している。
【0017】
しかしながら、実施例では、正孔注入層はポリ(チオフェン−2,5−ジイル)、正孔輸送層はN,N’−ビス(m−トリル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンを用いている。本発明の有機EL素子は、正孔注入輸送帯がトリアリールアミン誘導体を含有しているので、駆動電圧が低く、耐熱性が高く、キャリア注入にも安定で、より輝度が高く、良好な発光性能が長期にわたって持続するデバイスを提供できる。なお、正孔注入輸送帯とは、陽極からの正孔の注入を容易にする機能、正孔を輸送する機能および電子を妨げる機能を有する層、つまり、正孔注入輸送層のことをいう。ただし、この正孔注入輸送帯は、他の機能を有していてもよく、例えば、蛍光物質を含有し、発光機能を有する層であってもよい。
【0018】
また、特願平7−142507号公報では、実施例で、陰電極が蒸着法で成膜されている。それに対して、本発明の有機EL素子の陰電極はスパッタ法で成膜されている。スパッタ法を用いることにより、成膜された陰電極膜は、蒸着の場合と比較して、スパッタされる原子や原子団が比較的高い運動エネルギーを有するため、表面マイグレーション効果が働き、有機層界面での密着性が向上する。その結果、ダークスポットの成長・発生が抑制され、良好な発光性能が長期にわたって持続する。また、プレスパッタにより真空中で表面酸化物層を除去したり、逆スパッタにより有機層界面に吸着した水分や酸素を除去できるので、クリーンな電極−有機層界面や電極を形成でき、その結果、安定した有機EL素子ができる。さらに、蒸気圧の大きく異なる材料の混合物をターゲットとして用いても、生成する膜とターゲットとの組成のズレは少なく、蒸着法のように蒸気圧等による使用材料の制限もない。また、蒸着法と比較して、材料を長時間供給する必要がなく、膜厚や膜質の均一性に優れ、生産性の点でも有利である。さらには、スパッタ法により形成された電子注入電極は緻密な膜なので、粗な蒸着膜と比較して、膜中への水分・酸素の進入が非常に少なく、化学的安定性が高く、長寿命の有機EL素子が得られる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的構成について説明する。
<本発明の化合物>
本発明の有機EL素子は、発光層が上記一般式(I)で表される化合物を含有する。この有機EL素子は、460〜600nm程度の波長域、特に青緑色から橙色域に極大発光波長をもつ。特に、一般式(I)の化合物は、発光層において、それ自体で発光機能を有するホスト物質のドーパントとして、あるいは、電子注入輸送性化合物と正孔注入輸送性化合物とで形成された発光機能を有する混合層のドーパントとして使用することによって、青〜赤色の発光が可能であり、しかも十分な輝度が得られ、発光性能が持続する。また、本発明の化合物のみでも発光機能を維持できる。
【0020】
一般式(I)において、R1およびR2は、それぞれアリール基、アミノ基、アリールアルキル基またはアルキニルアレーン(アリールアルキン)から誘導されるアリールアルキニル基を表している。
【0021】
アリール基としては、単環のものでも多環のものでもよく、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基、アリールフェニル基、アリールオキシフェニル基、アルケニルフェニル基、アミノフェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、ペリレニル基等が挙げられる。縮合多環芳香族の1価以外の残基は、さらに置換基を有していてもよいが、通常無置換であることが好ましい。特にパラ位に共役系が延びた置換基が好ましい。
【0022】
また、R1置換基は、ナフタセン環との間のフェニレン基と環を形成してもよく、ナフタレン基、ピレニル基、ペリレニル基、アントリニル基等が挙げられる。
【0023】
また、アリール基としては、チエニル基、フリル基、ピリジル基、ビピリジル基、キノリキル基等の複素環でもよい。
【0024】
アルキルフェニル基としては、アルキル部分の炭素数が1〜10、さらには1〜6、特に1〜4のものが好ましく、アルキル基は直鎖状であっても分枝を有するものであってもよい。メチル基、エチル基、(n,i)−プロピル基、(n,i,sec,tert)−ブチル基、(n,i,neo,tert)−ペンチル基、(n,i,neo)−ヘキシル基等のアルキル基が挙げられる。これらのアルキル基のフェニル基における置換位置はo,m,p位のいずれであってもよい。このようなアルキルフェニル基の具体例としては、(o,m,p)−トリル基、4−n−ブチルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基等が挙げられる。
【0025】
アルコキシフェニル基としては、アルコキシ部分の炭素数が1〜10のものが好ましく、アルコキシ基の炭素鎖は直鎖状であっても分枝を有するものであってもよい。メトキシ基、エトキシ基、(n,i)−プロポキシ基、(n,i,sec,tert)−ブトキシ基、(n,i,neo,tert)−ペンチルオキシ基、(n,i,neo)−ヘキシルオキシ基等のアルコキシ基が挙げられる。これらのアルコキシ基のフェニル基における置換位置はo,m,p位のいずれであってもよい。このようなアルコキシフェニル基の具体例としては、(o,m,p)−メトキシフェニル基、p−ブトキシフェニル基、p−エトキシフェニル基、p−イソプロピルフェニル基、p−ヘキシルフェニル基等が挙げられる。
【0026】
アリールフェニル基としては、アリール部分がフェニル基であるものが好ましい。このようなフェニル基は置換されていてもよく、このときの置換基はアルキル基であることが好ましい。具体的には、上記のアルキルフェニル基のところで例示したアルキル基を挙げることができる。また、アリール部分は、フェニル基等のアリール基が置換したフェニル基であってもよい。このようなアリールフェニル基の具体例としては、(o,m,p)−ビフェニリル基、4−トリルフェニル基、3−トリルフェニル基、テレフェニリル基等が挙げられる。特にフェニル基のパラ位に共役系の延びる置換基が好ましい。
【0027】
アリールオキシフェニル基としては、アリール部分がフェニル基であるものが好ましい。このようなフェニル基は置換されていてもよく、このときの置換基は上記のアルキル基であることが好ましい。また、アリール部分は、フェニル基等のアリール基が置換したフェニル基であってもよい。このようなアリールオキシフェニル基の具体例としては、4−フェノキシフェニル基、4(−4−メチルフェノキシ)フェニル基、4(−3−メチルフェノキシ)フェニル基、4(−2−メチルフェノキシ)フェニル基、4(−4−フェニルフェノキシ)フェニル基、4(−3−フェニルフェノキシ)フェニル基、4(−2−フェニルフェノキシ)フェニル基等が挙げられる。
【0028】
アルケニルフェニル基としては、アルケニル部分の総炭素数が2〜20のものが好ましく、アルケニル基としてはトリアリールアルケニル基、ジアリールアルケニル基が好ましく、例えばトリフェニルビニル基、トリトリルビニル基、トリビフェニルビニル基、ジフェニルビニル基、ジトリルビニル基、ジビフェニルビニル基等が挙げられる。このようなアルケニルフェニル基の具体例としては、トリフェニルビニルフェニル基等が挙げられる。
【0029】
アミノフェニル基としては、アミノ部分がジアリールアミノ基であるものが好ましく、ジアリールアミノ基としてはジフェニルアミノ基、フェニルトリルアミノ基等が挙げられる。
【0030】
ナフチル基としては、1−ナフチル基、2−ナフチル基等であってよい。
アントリル基としては、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基等であってよい。
ピレニル基としては、1−ピレニル基、2−ピレニル基等であってよい。
ペリレニル基としては、1−ペリレニル基、2−ペリレニル基等であってよい。
【0031】
アリール基としては、上記の中でも、特にフェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基、さらには無置換のフェニル基、ビフェニリル基が好ましい。
【0032】
アミノ基としては、置換アミノ基が好ましく、上記のアルキル基および/またはアリール基のジ置換体、特にジアリールアミノ基、例えば、ジフェニルアミノ基、フェニルトリルアミノ基等が好ましい。
【0033】
アリールアルキル基としては、アルキル部分の炭素数が1〜10のものが好ましく、アルキル基は直鎖状であっても分岐を有するものであってもよい。例えば、メチル基、エチル基、(n,i)−プロピル基、(n,i,sec,tert)−ブチル基、(n,i,neo,tert)−ペンチル基、(n,i,neo)−ヘキシル基等のアルキル基が挙げられる。アリール部分はフェニル基であるものが好ましい。アルキル基のアリール基における置換位置はo,m,p位のいずれであってもよい。このようなアリールアルキル基の具体例としては、(o,m,p)−トリル基、4−n−ブチルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基等が挙げられる。
【0034】
アリールアルキニル基としては、総炭素数8〜40のものが好ましく、フェニルエチニル基、トリルエチニル基、ビフェニリルエチニル基、ナフチルエチニル基、ジフェニルアミノフェニルエチニル基、N−フェニルトリルアミノフェニルエチニル基、フェニルプロピニル基、ジフェニルエチニル基、トリフェニルエチニル基等が挙げられる。
【0035】
アリーロキシ基としては、フェノキシ基、ビフェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、ピレニルオキシ基、ペリレニルオキシ基等が挙げられる。
【0036】
R1、R2は同一でも異なるものでもよい。
【0037】
また、R3〜R6は、それぞれアリール基、アルキル基または水素原子を表している。また、R3とR4、R5とR6は互いに環を形成していてもよい。
【0038】
アリール基としては、上述したR1、R2と同じものが挙げられる。
【0039】
アルキル基としては、総炭素数1〜12、さらには1〜6、特に1〜4のものが好ましく、直鎖状であっても分枝を有するものであってもよく、具体的には、メチル基、エチル基、(n−、i−)プロピル基、(n−、i−、t−)ブチル基が好ましく、特にメチル基、エチル基が好ましい。
【0040】
R3〜R6は同一でも異なるものでもよい。R3〜R6の少なくとも2つが水素原子であることが好ましく、すべてが水素原子であることがより好ましい。
【0041】
また、一般式(I)のうち、ナフタセンの5位と12位に結合している2つのフェニル基に、R1、R2がナフタセンに対して、o-位、m-位に結合しているよりも、p-位に結合している方が、キャリアトラップ性が高く、輝度が高く、輝度の半減期も長くなる。また、o位に置換された場合、蛍光強度は強くなる。
【0042】
以下に、一般式(I)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、化5、化6、化7、化8、化9、化10,化11、化12は、化1の一般式(I)の表示を用いて示している。
【0043】
【化5】
【0044】
【化6】
【0045】
【化7】
【0046】
【化8】
【0047】
【化9】
【0048】
【化10】
【0049】
【化11】
【0050】
【化12】
【0051】
一般式(I)の化合物は、1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。
【0052】
<本発明の化合物のドーパントとしての含有量>
発光層中における一般式(I)の化合物の含有量は0.01wt% 以上、さらには0.1wt% 以上であることが好ましい。
【0053】
特に、一般式(I)の化合物はホスト物質、特にそれ自体で発光が可能なホスト物質と組み合わせて使用することが好ましく、ドーパントとしての使用が好ましい。このような場合の発光層における一般式(I)の化合物の含有量は0.01〜20wt% 、さらには0.1〜15wt% であることが好ましい。ホスト物質と組み合わせて使用することによって、ホスト物質の発光波長特性を変化させることができ、長波長の発光が可能になるとともに、素子の発光効率や安定性が向上する。また、本発明の化合物は、誘電率も小さく、分子双極子も大きくないので、蛍光の濃度消光性も低く、ドーパント濃度を非常に高くしても高輝度なデバイスが得られる。
【0054】
<本発明の化合物の合成方法>
一般式(I)で表される化合物は、キノン構造の芳香族化合物にグリニャール試薬やリチオ化試薬を反応させ、さらに還元する方法(Maulding, D. R., et al., J. Org. Chem., 34, 1734(1969)やHanhela, P. J., et al., Aust. J. Chem., 34, 1687(1981)等参照)により、あるいはこの方法に準じて合成することができる。なお、一部の化合物の合成方法は、特願平7−142507号に記載されている。
【0055】
以下に、一般式(I)で表される化合物のうち、新規な化合物の合成例を挙げる。
[合成例1]
5,12−ビス{−4−[N,N−ジフェニル(アミノフェニル)]}ナフタセンの合成
【0056】
アルゴン置換したフラスコに、1,4−ジヨードビフェニル9.6gとトルエン20mlとジエチルエーテル20mlとを入れ、撹拌した。ここに、1.6mol/lのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液11mlを加えて30分撹拌し、4−−リチオ−1−ヨードビフェニルを調整した。調整したリチウム溶液を、ナフタセンキノン1.5g とトルエン30mlとジエチルエーテル30mlとを入れた別の容器にゆつくりと加えた。
【0057】
一晩撹拌し、反応が完結したことを確認した後、水で加水分解し、トルエンで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマト法で精製した後、さらにアセトン−ヘキサン混合溶媒から再沈殿し、2.3g の白色固体としてジオール中間体を待た。
【0058】
このジオール中間体2.3g を500mlのナスフラスコに入れ、酢酸200ml、塩化スズ4.0g 、塩酸50mlを加え、オイルバスの温度を100℃として約1時間撹拌した。室温まで冷却した後、トルエンで抽出し、有機層を良く水で洗浄し、溶媒を留去した。カラムクロマト法で2回精製後、クロロホルムヘキサン混合溶媒から3回再結晶し、1.6g の橙色固体として5,12−ビス(−4−ヨードフェニル)ナフタセンを得た。
【0059】
次にアルゴン置換したフラスコに,5,12−ビス(−4−ヨードフェニル)ナフタセン1.6g とジフェニルアミン1.2g と活性化銅0.5g と炭酸カリウム3g とを入れ、200℃で24時間加熱した。
【0060】
その後冷却し、不溶物を濾別した後、トルエンで抽出し、蒸留水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマト法で3回精製した後、さらにトルエン−ヘキサン混合溶媒から再沈殿し、1.3g の橙色固体としてジオール中間体を得た。この橙色固体1.0g を昇華精製し、蛍光性橙色固体の目的物0.8g を得た。
【0061】
[合成例2]
5,12−ビス(−4−ビフェニル−1−イル)ナフタセンの合成
アルゴン置換したフラスコに、4−ブロモフェニル12.5g とトルエン20mlとジェチルエーテル20mlとを入れ、撹拌した。ここに、1.6mol/l のn−ブチルリチウムのへキサン溶液33mlを加えて30分撹拌し、4−リチオビフェニルを調整した。調整したリチウム溶液を、ナフタセンキノン3.4g とトルエン30mlとジエチルエーテル30mlとを入れた別の容器にゆっくりと加えた。一晩撹拌し、反応が完結したことを確認した後、水で加水分解し、トルエンで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマト法で精製した後、さらにアセトン−へキサン混合溶媒から再沈殿し、6.8g の白色固体としてジオール中間体を得た。
【0062】
このジオール中間体6.8g を500mlのナスフラスコに入れ、酢酸200ml、塩化スズ27.3g 、塩酸100mlを加え、オイルバスの温度を100℃として約1時間撹拌した。室温まで冷却後、トルエンで抽出し、有機層を良く水で洗浄し、溶媒を留去した。カラムクロマト法で2回精製した後、クロロホルム−へキサン混合溶媒から3回再結晶し、5.2g の橙色固体を得た。この橙色固体2.0g を昇華精製し、1.8g の蛍光性橙色固体を得た。
【0063】
本発明の化合物は、質量分析、赤外吸収スペクトル(IR)、1H−核磁気共鳴スペクトル(NMR)、13C−NMR等によって同定することができる。
【0064】
[合成例3]
5,12−ビス[−4−(2−フェニルエテニイル)フェニル]ナフタセンの合成
下記の式(A)に従って合成した。
【0065】
【化13】
【0066】
アルゴン置換したフラスコに4−ブロモスチルベン4.0g とトルエン20ml、ジエチルエーテル20mlとを入れ、攪拌した。ここに、1.6mol/lのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液9.4mlを加えて30分攪拌し、4−リチオスチルベンを調製した。調製したリチウム溶液を、ナフタセンキノン1g とトルエン30ml、ジエチルエーテル30mlとを入れた別の容器にゆっくりと加えた。反応が完結するまで攪拌した後、加水分解し、トルエンで抽出、硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去した。残さをカラム、再沈殿(アセトン−ヘキサン)により精製し、2.3g の白色固体としてジオール体を得た。
【0067】
このジオール体2.0g を300mlのナスフラスコに入れ、テトラヒドロフラン(THF)50ml、塩化スズ4.0g 、塩酸50mlを加えて約1時間攪拌した。トルエンで抽出後、有機層をよく水で洗い、溶媒を留去した。シリカゲルカラムに通した後、再沈殿(クロロホルム−ヘキサン)を3回行い、オレンジ色の固体1.4g を得た。このオレンジ色の固体1.2g を昇華精製し、1.0g の蛍光性黄色固体を得た。
【0068】
[合成例4]
5,12−ビス[−4−(2,2−ジフェニルエテニイル)フェニル]ナフタセンの合成
下記の式(B)に従って合成した。
【0069】
【化14】
【0070】
アルゴン置換したフラスコに1−(4−ブロモフェニル)−2,2−ジフェニルエチレン5.0g とトルエン20ml、ジエチルエーテル20mlとを入れ、攪拌した。ここに、1.6mol/lのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液9.0mlを加えて30分攪拌し、リチウム試薬を調製した。調製したリチウム試薬を、5,12−ナフタセンキノン1.3g とトルエン30ml、ジエチルエーテル30mlとを入れた別の容器にゆっくりと加えた。反応が完結するまで攪拌した後、加水分解し、トルエンで抽出、硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去した。残さをカラムを通し、再沈殿(アセトン−ヘキサン)を3回行い、3.3g の白色のジオール体を得た。
【0071】
このジオール体3.0g を300mlのナスフラスコに入れ、THF50ml、塩化スズ(II)5.0g 、塩酸50mlを加えて約1時間攪拌した。トルエンで抽出後、有機層をよく水で洗い、溶媒を留去した。シリカゲルカラムに通した後、再沈殿(クロロホルム−ヘキサン)を3回行い、オレンジ色の固体2.0g を得た。このオレンジ色の固体2.0g を昇華精製し、1.6g の蛍光性黄色固体を得た。
【0072】
[合成例5]
5,12−ビス[−4−(2,2,1−トリフェニルエテニイル)フェニル]ナフタセンの合成
下記の式(C)に従って合成した。
【0073】
【化15】
【0074】
アルゴン置換したフラスコに1,4−ジブロモベンゼン5.0g とトルエン20ml、ジエチルエーテル20mlとを入れ、攪拌した。ここに、1.6mol/lのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液12mlを加えて30分攪拌し、4−ブロモフェニルリチウムを調製した。調製した4−ブロモフェニルリチウムを、5,12−ナフタセンキノン1.8g とトルエン30ml、ジエチルエーテル30mlとを入れた別の容器にゆっくりと加えた。反応が完結するまで攪拌した後、加水分解し、トルエンで抽出、塩化カルシウムで乾燥後溶媒を留去した。得られた固体をアセトン−ヘキサン混合溶媒で再結晶し、白色固体のジオール体2.9g を得た。
【0075】
このジオール体を300mlのナスフラスコに入れ、THF50ml、塩化スズ(II)5.0g 、塩酸50mlを加えて約1時間攪拌した。トルエンで抽出後、有機層をよく水で洗い、溶媒を留去した。シリカゲルカラムに通した後、再沈殿(クロロホルム−ヘキサン)によりオレンジ色の固体として5,12−ビス(4−ブロモフェニル)ナフタセン2.1g を得た。このオレンジ色の固体のMass(質量分析)スペクトル、1H-NMRスペクトル、13C−NMRスペクトル、IRスペクトルを測定し、この固体が5,12−ビス(4−ブロモフェニル)ナフタセンと矛盾しないことを確認した。
【0076】
還流管と滴下ロートをつけたフラスコにマグネシウム0.36g 、THF50mlを入れ、滴下ロートから、1,1,2−トリフェニル−2−ブロモエチレン5.0g をTHF20mlに溶解した溶液を滴下する。滴下終了後、約1時間加熱攪拌し、グリニャール試薬を調製した。別の容器に上記で得られたオレンジ色固体2.0g とジフェニルホスフィノエタンニッケルクロライド0.40g 、THF50mlを入れ、ここにグリニャール試薬をゆっくりと加えた。この溶液を反応が完結するまで加熱攪拌した。その後、加水分解し、トルエンで抽出、カラムに通し、再沈殿を3回行い、オレンジ色の固体1.2g を得た。そして、このオレンジ色の固体1.2g を昇華精製し、1.0g の蛍光性黄色固体の目的物を得た。
【0077】
[合成例6]
5,12−ビス[−4−(4−フェニル−1,4−ブタジエニル)フェニル] ナフタセンの合成
下記の式(D)に従って合成した。
【0078】
【化16】
【0079】
アルゴン置換したフラスコに4−ブロモトルエン10g とトルエン25ml、ジエチルエーテル25mlとを入れ、攪拌した。ここに、1.6mol/lのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液35mlを加えて30分攪拌し、4−リチオトルエンを調製した。調製した4−リチオトルエンを、5,12−ナフタセンキノン4.8g とトルエン50ml、ジエチルエーテル50mlとを入れた別の容器にゆっくりと加えた。反応が完結するまで攪拌した後、加水分解し、トルエンで抽出、硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去した。残さをカラム、再沈殿(アセトン−ヘキサン)を3回行い、白色固体としてジオール体6.6g を得た。
【0080】
この白色固体6.5g を300mlのナスフラスコに入れ、THF50ml、塩化スズ(II)10g 、塩酸50mlを加えて約1時間攪拌した。トルエンで抽出後、有機層をよく水で洗い、溶媒を留去した。シリカゲルカラムに通した後、再沈殿(クロロホルム−ヘキサン)を3回行い、オレンジ色の固体として5,12−ビス(4−メチルフェニル)ナフタセン5.0g を得た。このオレンジ色の固体のMass(質量分析)スペクトル、1H-NMRスペクトル、13C−NMRスペクトル、IRスペクトルを測定し、この固体が5,12−ビス(4−メチルフェニル)ナフタセンと矛盾しないことを確認した。
【0081】
このオレンジ色固体5.0g にN−ブロモコハク酸イミド2.1g を加え、四塩化炭素中で3時間加熱還流攪拌する。不溶性のコハク酸イミドをろ過し、カラムにより生成物を分離してビス(4−ブロモメチルフェニル)ナフタセン5.9g を得た。
【0082】
ビス(4−ブロモメチルフェニル)ナフタセン5.8g に亜リン酸トリエチル4.1g を加え、加熱攪拌した。反応物を冷却すると目的の生成物が固化する。これをろ過し、再結晶およびカラム精製してリン酸エステル6.0g を得た。
【0083】
アルゴン置換したフラスコにリン酸エステル3.0g とtrans−シンナムアルデヒド1.4g 、THF10mlを入れ、攪拌した。ここに、t−ブトキシカリウム1.8g をTHF20mlに溶解した溶液を室温でゆっくりと滴下した。一晩攪拌した後、加水分解し、トルエンで抽出、硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去した。カラムと再結晶により精製し、目的物2.0g を得た。
【0084】
[合成例7]
5,12−ビス{−4−[−2−(N,N−ジメチル−4−アミノフェニル)エテニイル]}ナフタセンの合成
下記の式(E)に従って合成した。
【0085】
【化17】
【0086】
アルゴン置換したフラスコに、合成例6で得られるリン酸エステル3.0g と4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド1.6g 、THF10mlを入れ、攪拌した。ここにt−ブトキシカリウム1.8g をTHF20mlに溶解した溶液を室温でゆっくりと滴下した。一晩攪拌した後、加水分解し、トルエンで抽出、硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去した。カラムと再結晶により精製し、ジメチルアミノ置換の目的物2.0g を得た。
【0087】
[合成例8]
5,12−ビス(N,N−ジフェニル−4−アミノフェニル)ナフタセンの合成
下記の式(F)に従って合成した。
【0088】
【化18】
【0089】
アルゴン置換したフラスコに、合成例6で得られるリン酸エステル3.0g と4−(N,N−ジフェニルアミノ)ベンズアルデヒド1.6g 、THF10mlを入れ、攪拌した。ここに、t−ブトキシカリウム1.8g をTHF20mlに溶解した溶液を室温でゆっくりと滴下した。一晩攪拌した後、加水分解し、トルエンで抽出、硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去した。カラムと再結晶により精製し、目的物2.0g を得た。
【0090】
本発明の化合物は、質量分析、赤外線吸収スペクトル(IR)、1H,13C核磁気共鳴スペクトル(NMR)等によって同定することができる。一例として、5,12−ビス(−4−ビフェニル−1−イル)ナフタセン(化5のNo.1)のMass(質量分析)スペクトルを図1に、1H-NMRスペクトルを図2に、13C−NMRスペクトルを図3に、IRスペクトルを図4に示す。これらの結果は、目的物と矛盾していない。他のものも、Mass(質量分析)スペクトル、1H-NMRスペクトル、13C−NMRスペクトル、IRスペクトルを測定し、目的物と矛盾しないことを確認した。
【0091】
<有機EL素子の構成例>
本発明の有機EL素子の構成例としては図5に示すものが挙げられる。同図に示される有機EL素子は、基板1上に、陽極2、正孔注入輸送層3、発光層4、電子注入輸送層5、陰極6を順次有する。本発明では、前述の通り、発光層は他の機能を有していてもよく、例えば、正孔注入輸送性発光層、電子注入輸送性発光層としてもよい。発光層の機能により、正孔注入輸送層3および/または電子注入輸送層5は省略することができる。
【0092】
<発光層、正孔注入輸送層、電子注入輸送層>
発光層は、正孔(ホール)および電子の注入機能、それらの輸送機能、正孔と電子の再結合により励起子を生成させる機能を有する。発光層には比較的電子的にニュートラルな化合物を用いることが好ましい。
【0093】
正孔注入輸送層は、陽極からの正孔の注入を容易にする機能、正孔を輸送する機能および電子を妨げる機能を有し、電子注入輸送層は、陰極からの電子の注入を容易にする機能、電子を輸送する機能および正孔を妨げる機能を有するものである。これらの層は、発光層へ注入される正孔や電子を増大・閉じ込めさせ、再結合領域を最適化させ、発光効率を改善する。正孔注入輸送層および電子注入輸送層は、発光層に用いる化合物の正孔注入、正孔輸送、電子注入、電子輸送の各機能の高さを考慮し、必要に応じて設けられる。例えば、発光層に用いる化合物の正孔注入輸送機能または電子注入輸送機能が高い場合には、正孔注入輸送層または電子注入輸送層を設けずに、発光層が正孔注入輸送層または電子注入輸送層を兼ねる構成とすることができる。また、場合によっては、正孔注入輸送層および電子注入輸送層のいずれも設けなくてよい。また、正孔注入輸送層および電子注入輸送層は、それぞれにおいて、注入機能を持つ層と輸送機能を持つ層とに別個に設けてもよい。
【0094】
発光層の厚さ、正孔注入輸送層の厚さおよび電子注入輸送層の厚さは特に限定されず、再結合領域・発光領域の設計や形成方法によっても異なるが、通常、5〜1000nm程度、特に10〜200nmとすることが好ましい。
【0095】
正孔注入輸送層の厚さおよび電子注入輸送層の厚さは、再結合・発光領域の設計にもよるが、発光層の厚さと同程度もしくは1/10〜10倍程度とすればよい。電子もしくは正孔の各々の注入層と輸送層とを分ける場合は、注入層は1nm以上、輸送層は20nm以上とするのが好ましい。このときの注入層、輸送層の厚さの上限は、通常、注入層で100nm程度、輸送層で1000nm程度である。このような膜厚については、注入輸送層を2層設けるときも同じである。
【0096】
また、組み合わせる発光層や電子注入輸送層や正孔注入輸送層のキャリア移動度やキャリア密度(イオン化ポテンシャル・電子親和力により決まる)を考慮し、膜厚をコントロールすることで、再結合領域・発光領域を自由に設計することができ、発光色の設計や、両電極の干渉効果による発光輝度・発光スペクトルの制御や、発光の空間分布の制御を可能にできる。
【0097】
一般式(I)の化合物は発光層に用いることが好ましく、一般式(I)の化合物を含有する有機化合物層は発光層であることが好ましい。
【0098】
<ホスト物質>
本発明の一般式(I)の化合物は、ホスト物質と組み合わせて使用することによって、ホスト物質の発光波長特性を変化させることができ、長波長の発光が可能になるとともに、素子の発光効率や安定性が向上する。
ホスト物質としては、後述するトリアリールアミン誘導体が好ましい。
【0099】
また、ホスト物質としては、キノリン誘導体が好ましく、さらには8−キノリノールないしその誘導体を配位子とするアルミニウム錯体が好ましい。このようなアルミニウム錯体としては、特開昭63−264692号、特開平3−255190号、特開平5−70733号、特開平5−258859号、特開平6−215874号等に開示されているものを挙げることができる。
【0100】
具体的には、まず、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム、ビス(8−キノリノラト)マグネシウム、ビス(ベンゾ{f}−8−キノリノラト)亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウムオキシド、トリス(8−キノリノラト)インジウム、トリス(5−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム、8−キノリノラトリチウム、トリス(5−クロロ−8−キノリノラト)ガリウム、ビス(5−クロロ−8−キノリノラト)カルシウム、5,7−ジクロル−8−キノリノラトアルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム、ポリ[亜鉛(II)−ビス(8−ヒドロキシ−5−キノリニル)メタン]等がある。
【0101】
また、8−キノリノールないしその誘導体のほかに他の配位子を有するアルミニウム錯体であってもよく、このようなものとしては、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(オルト−クレゾラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(メタークレゾラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(パラ−クレゾラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(オルト−フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(メタ−フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(パラ−フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,3−ジメチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,6−ジメチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(3,4−ジメチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(3,5−ジメチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(3,5−ジ−tert−ブチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,6−ジフェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,4,6−トリフェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,3,6−トリメチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,3,5,6−テトラメチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(1−ナフトラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2−ナフトラト)アルミニウム(III) 、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)(オルト−フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)(パラ−フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)(メタ−フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)(3,5−ジメチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)(3,5−ジ−tert−ブチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−4−エチル−8−キノリノラト)(パラ−クレゾラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キノリノラト)(パラ−フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラト)(オルト−クレゾラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−6−トリフルオロメチル−8−キノリノラト)(2−ナフトラト)アルミニウム(III) 等がある。
【0102】
このほか、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−ビス(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) 、ビス(4−エチル−2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−ビス(4−エチル−2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−4−メトキシキノリノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−ビス(2−メチル−4−メトキシキノリノラト)アルミニウム(III) 、ビス(5−シアノ−2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−ビス(5−シアノ−2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) 等であってもよい。
【0103】
これらのなかでも、本発明では、特にトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(AlQ3)を用いることが好ましい。
【0104】
このほかのホスト物質としては、特開平8−012600号公報に記載のフェニルアントラセン誘導体や特開平8−012909号公報に記載のテトラアリールエテン誘導体なども好ましい。
【0105】
フェニルアントラセン誘導体は、下記の一般式(II)で表されるものである。
一般式(II)
A1 −L−A2
【0106】
一般式(II)において、A1 およびA2 は、それぞれモノフェニルアントリル基またはジフェニルアントリル基を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。
【0107】
A1 、A2 で表されるモノフェニルアントリル基またはジフェニルアントリル基は、無置換でも置換基を有するものであってもよい。置換基を有する場合の置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アミノ基等が挙げられ、これらの置換基はさらに置換されていてもよい。これらの置換基については後述する。また、このような置換基の置換位置は特に限定されないが、アントラセン環ではなく、アントラセン環に結合したフェニル基であることが好ましい。
【0108】
また、アントラセン環におけるフェニル基の結合位置はアントラセン環の9位、10位であることが好ましい。
【0109】
式(II)において、Lは単結合または二価の基を表すが、Lで表される二価の基としてはアルキレン基等が介在してもよいアリーレン基が好ましい。このようなアリーレン基については後述する。
【0110】
式(II)で示されるフェニルアントラセン誘導体のなかでも、下記の式(III)、式(IV)で示されるものが好ましい。
【0111】
【化19】
【0112】
【化20】
【0113】
式(III)において、R01およびR02は、各々アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アミノ基または複素環基を表す。
【0114】
R01、R02で表されるアルキル基としては、直鎖状でも分枝を有するものであってもよく、炭素数1〜10、さらには1〜4の置換もしくは無置換のアルキル基が好ましい。特に、炭素数1〜4の無置換のアルキル基が好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、(n−,i−)プロピル基、(n−,i−,s−,t−)ブチル基等が挙げられる。
【0115】
R01、R02で表されるシクロアルキル基としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。
【0116】
R01、R02で表されるアリール基としては、炭素数6〜20のものが好ましく、さらにはフェニル基、トリル基等の置換基を有するものであってもよい。具体的には、フェニル基、(o−,m−,p−)トリル基、ピレニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基、フェニルアントリル基、トリルアントリル基等が挙げられる。
【0117】
R01、R02で表されるアルコキシ基としては、アルキル基部分の炭素数が1〜6のものが好ましく、具体的にはメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。アルコキシ基は、さらに置換されていてもよい。
【0118】
R01、R02で表されるアリーロキシ基としては、フェノキシ基等が挙げられる。
【0119】
R01、R02で表されるアミノ基は、無置換でも置換基を有するものであってもよいが、置換基を有することが好ましく、この場合の置換基としてはアルキル基(メチル基、エチル基等)、アリール基(フェニル基等)などが挙げられる。具体的にはジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基等が挙げられる。
【0120】
R01、R02で表される複素環基としては、ビピリジル基、ピリミジル基、キノリル基、ピリジル基、チエニル基、フリル基、オキサジアゾイル基等が挙げられる。これらは、メチル基、フェニル基等の置換基を有していてもよい。
【0121】
式(III)において、r01およびr02は、各々、0または1〜5の整数を表し、特に0または1であることが好ましい。r01およびr02が、各々、1〜5の整数、特に1または2であるとき、R01およびR02は、各々、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アミノ基であることが好ましい。
【0122】
式(III)において、R01とR02とは同一でも異なるものであってもよく、R01とR02とが各々複数存在するとき、R01同志、R02同志は各々同一でも異なるものであってもよい。
【0123】
式(III)において、L1 は単結合またはアリーレン基を表す。L1 で表されるアリーレン基としては、無置換であることが好ましく、具体的にはフェニレン基、ビフェニレン基、アントリレン基等の通常のアリーレン基の他、2個ないしそれ以上のアリーレン基が直接連結したものが挙げられる。L1 としては、単結合、p−フェニレン基、4,4′−ビフェニレン基等が好ましい。
【0124】
また、L1 で表されるアリーレン基は、2個ないしそれ以上のアリーレン基がアルキレン基、−O−、−S−または−NR−が介在して連結するものであってもよい。ここで、Rはアルキル基またはアリール基を表す。アルキル基としてはメチル基、エチル基等が挙げられ、アリール基としてはフェニル基等が挙げられる。なかでも、アリール基が好ましく、上記のフェニル基のほか、A1 、A2 であってもよく、さらにはフェニル基にA1 またはA2 が置換したものであってもよい。
【0125】
また、アルキレン基としてはメチレン基、エチレン基等がこの好ましい。このようなアリーレン基の具体例を以下に示す。
【0126】
【化21】
【0127】
次に、式(IV)について説明する。式(IV)において、R03およびR04は式(III)におけるR01およびR02と、またr03およびr04は式(III)におけるr01およびr02と、さらにL2 は式(III)におけるL1 とそれぞれ同義であり、好ましいものも同様である。
【0128】
式(IV)において、R03とR04とは同一でも異なるものであってもよく、R03とR04が各々複数存在するとき、R03同志、R04同志は、各々同一でも異なるものであってもよい。
【0129】
式(III)、式(IV)で表される化合物を以下に例示するが、これらに限定されるものではない。なお、化22、化24、化26、化28、化30、化32、化34では一般式を示し、化23、化25、化27、化29、化31、化33、化35でそれぞれ対応する具体例をR11〜R15、R21〜R25あるいはR31〜R35、R41〜R45の組合せで示している。
【0130】
【化22】
【0131】
【化23】
【0132】
【化24】
【0133】
【化25】
【0134】
【化26】
【0135】
【化27】
【0136】
【化28】
【0137】
【化29】
【0138】
【化30】
【0139】
【化31】
【0140】
【化32】
【0141】
【化33】
【0142】
【化34】
【0143】
【化35】
【0144】
【化36】
【0145】
【化37】
【0146】
【化38】
【0147】
【化39】
【0148】
また、テトラアリールエテン誘導体は、下記の一般式(V)で表される化合物である。
【0149】
【化40】
【0150】
一般式(V)において、Ar51、Ar52およびAr53は、各々芳香族残基を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。
【0151】
Ar51〜Ar53で表される芳香族残基としては、芳香族炭化水素基(アリール基)、芳香族複素環基が挙げられる。芳香族炭化水素基としては、単環もしくは多環の芳香族炭化水素基であってよく、縮合環や環集合も含まれる。芳香族炭化水素基は、総炭素数が6〜30のものが好ましく、置換基を有するものであってもよい。置換基を有する場合の置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アミノ基等が挙げられる。この置換基については後述する。芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基、アリールフェニル基、アリーロキシフェニル基、アミノフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、ペリレニル基などが挙げられる。
【0152】
また、芳香族複素環基としては、ヘテロ原子としてO、N、Sを含むものが好ましく、5員環であっても6員環であってもよい。具体的には、チエニル基、フリル基、ピローリル基、ピリジル基などが挙げられる。
【0153】
Ar51〜Ar53で表される芳香族基としては、特にフェニル基が好ましい。
【0154】
n51は2〜6の整数であり、特に2〜4の整数であることが好ましい。
【0155】
L51はn価の芳香族残基を表すが、特に芳香族炭化水素、芳香族複素環、芳香族エーテルまたは芳香族アミンから誘導される2〜6価、特に2〜4価の残基であることが好ましい。これらの芳香族残基は、さらに置換基を有するものであってもよいが、無置換のものが好ましい。
【0156】
式(V)で示されるテトラアリールエテン誘導体のなかでも、下記の式(VI)で示されるものが好ましい。
【0157】
【化41】
【0158】
式(VI)において、R61、R62およびR63は、各々、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基またはアミノ基を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。
【0159】
R61〜R63で表されるアルキル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、直鎖状であっても分枝を有するものであってもよく、さらには置換基を有するものであってもよく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
【0160】
R61〜R63で表されるアリール基としては、炭素数6〜20のものが好ましく、置換基を有するものであってもよく、例えばフェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。
【0161】
R61〜R63で表されるアルコキシ基としては、アルコキシ基のアルキル基部分の炭素数が1〜6のものが好ましく、例えばメトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。
【0162】
R61〜R63で表されるアリーロキシ基としては、フェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−(t−ブチル)フェノキシ基等が挙げられる。
【0163】
R61〜R63で表されるアミノ基としては、置換基を有するものが好ましく、例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(ビフェニル)アミノ基等が挙げられる。
【0164】
s、tおよびuは、各々、0または1〜5の整数であり、s、t、uが2以上の整数であるとき、R61同志、R62同志、R63同志は、各々同一でも異なるものであってもよい。
【0165】
式(VI)において、s、tおよびuは、各々、0または1であることが好ましく、特に0であること、すなわち無置換のフェニル基であることが好ましい。
【0166】
L61は、アリーレン基、アレーントリイル基、複素環ジイル基、トリアリールアミントリイル基またはジアリール複素環テトライル基を表す。L61で表されるアリーレン基は、オキシ基(−O−)、チオ基(−S−)、複素環ジイル基またはアルキレン基が介在していてもよい。
【0167】
このようなアリーレン基は、総炭素数が6〜20であることが好ましく、具体的にはフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、ジフェニルエーテルジイル基、ジフェニルチオエーテルジイル基、ジフェニルメチルジイル基、ジフェニルオキサジアゾールジイル基、テルフェニレン基等が挙げられる。
【0168】
L61で表されるアレーントリイル基としては、ベンゼントリイル基、クアテルフェニルトリイル基等が挙げられる。
【0169】
L61で表される複素環ジイル基としては、チオフェンジイル基、フランジイル基、ピリジンジイル基、ビチオフェンジイル基、ビフランジイル基、ビピリジンジイル基、ピラジンジイル基、ピロールジイル基、ビピロールジイル基、キノリンジイル基、オキサジアゾールジイル基、キノキサリンジイル基、ジフェニルキノキサリンジイル基等が挙げられる。
【0170】
L61で表されるトリアリールアミントリイル基としては、トリフェニルアミントリイル基等が挙げられる。
【0171】
L61で表されるジアリール複素環テトライル基としては、ジフェニルキノキサリンテトライル基等が挙げられる。
【0172】
L61の好適例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0173】
【化42】
【0174】
【化43】
【0175】
式(VI)において、n61はL61の価数によるが、2〜4の整数であり、さらには2、3、特に2であることが好ましい。
【0176】
テトラアリールエテン誘導体の好適例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。なお、化44は一般式であり、化45、化46、化47では化44の表示を用いて示している。R71〜R75、R81〜R85、R91〜R95については、すべて水素のときはHとし、いずれかが置換基のときは置換基のみを示すものとする。
【0177】
【化44】
【0178】
【化45】
【0179】
【化46】
【0180】
【化47】
【0181】
【化48】
【0182】
【化49】
【0183】
<他の蛍光物質>
本発明では、発光層に一般式(I)の化合物の他に別の蛍光物質を含有させてもよい。このような蛍光性物質としては、例えば、特開昭63−264692号公報に開示されているような化合物、例えばキナクリドン、ルブレン、スチリル系色素等の化合物から選択される少なくとも1種が挙げられる。また、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム等の8−キノリノールないしその誘導体を配位子とする金属錯体色素などのキノリン誘導体、テトラフェニルブタジエン、アントラセン、ペリレン、コロネン、12−フタロペリノン誘導体等が挙げられる。さらには、特開平8−012600号のフェニルアントラセン誘導体、特開平8−012969号のテトラアリールエテン誘導体等も挙げられる。
【0184】
<混合層>
一般式(I)の化合物を含有する発光層としては、上記のホスト物質と組み合わせるものとする他、少なくとも一種以上の正孔注入輸送性化合物と少なくとも1種以上の電子注入輸送性化合物との混合層とすることも好ましく、この混合層中に一般式(I)の化合物をドーパントとして含有させることが好ましい。このような混合層における一般式(I)の化合物の含有量は、0.01〜20wt% 、さらには0.1〜15wt% とすることが好ましい。
【0185】
混合層では、キャリアのホッピング伝導パスができるため、各キャリアは極性的に有利な物質中を移動し、逆の極性のキャリア注入は起こりにくくなるので、有機化合物がダメージを受けにくくなり、素子寿命がのびるという利点がある。一般式(I)の化合物をこのような混合層に含有させることにより、混合層自体のもつ発光波長特性を変化させることができ、発光波長を長波長に移行させることができるとともに、発光強度を高め、かつ素子の安定性が向上する。
【0186】
混合層に用いられる正孔注入輸送性化合物および電子注入輸送性化合物は、各々、下記の正孔注入輸送層用の化合物および電子注入輸送層用の化合物の中から選択すればよい。なかでも、電子注入輸送性化合物としては、キノリン誘導体、さらには8−キノリノールないしその誘導体を配位子とする金属錯体、特にトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(AlQ3)を用いることが好ましい。また、フェニルアントラセン誘導体、テトラアリールアミン誘導体を用いるのも好ましい。正孔注入輸送層用の化合物としては、強い蛍光を持ったアミン誘導体、例えば正孔輸送材料であるテトラアリールアリーレンジアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体を用いることが好ましい。さらには、スチリルアミン誘導体、芳香族縮合環を持つアミン誘導体を用いてもよい。
【0187】
テトラアリールアリーレンジアミン誘導体は、下記一般式(101)で表される。混合層に用いる材料は、組み合わせる材料の種類によって異なるが、電子注入輸送性化合物として、Alq3 等の誘導体を用いるときは、フェニレンジアミン骨格を有するテトラアリールアリーレンジアミン誘導体と組み合わせると、エキサイプレックス等蛍光強度を低下させ、発光波長を長波長側にシフトさせるので好ましくない。好ましい組み合わせは、ベンジジン骨格のみで構成されるテトラアリールアリーレンジアミン誘導体と、電子注入輸送性化合物とを組み合わせることが好ましい。
【0188】
【化50】
【0189】
式(101)において、Areはアリーレン基を表し、n100は1〜4の整数であり、A101 〜A104 はアリール基を表す。A101 〜A104 はそれぞれ同一でも異なるものであってもよい。
【0190】
Areで表されるアリーレン基は、さらにアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン原子のような置換基を有していてもよい。Areで表されるアリーレン基としては、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、チエニレン基、ビチエニレン基等が好ましく挙げられる。
【0191】
A101 〜A104 で表されるアリール基は、さらにアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン原子のような置換基を有していてもよい。A101 〜A104 としては、フェニル基、ビフェニル基、ジアリールアミノフェニル基、ジアリールアミノビフェニル基、メトキシフェニル基、フェノキシフェニル基等が好ましく挙げられる。
【0192】
テトラアリールアリーレンジアミン誘導体の具体例としては、特開昭63−295695号、特開平2−191694号、特開平3−792号、特開平5−234681号、特開平5−239455号、特開平5−299174号、特開平7−126225号、特開平7−126226号、特開平8−100172号、EP0650955A1(対応特願平7−43564号)等に記載の化合物が挙げられる。
【0193】
なかでもテトラアリールアリーレンジアミン誘導体としては下記式(102)〜(105)で表される化合物が好ましい。
【0194】
【化51】
【0195】
式(102)において、R107 、R108 、R109 およびR110は、各々、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子のいずれかを表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r107、r108、r109およびr110は、各々、0〜4の整数である。R111、R112、R1 13およびR114は、各々、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子のいずれかを表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r111、r112、r113およびr114は、各々、0〜5の整数である。R105 およびR106 は、各々、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基またはハロゲン原子のいずれかを表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r105およびr106は、各々、0〜4の整数である。
【0196】
【化52】
【0197】
式(103)において、R107 、R108 、R109 およびR110は、各々、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子のいずれかを表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r107、r108、r109およびr110は、各々、0〜4の整数である。R111、R112、R113およびR114は、各々、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子のいずれかを表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r111、r112、r113およびr114は、各々、0〜5の整数である。R105 およびR106 は、各々、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基またはハロゲン原子のいずれかを表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r105およびr106は、各々、0〜4の整数である。
【0198】
【化53】
【0199】
式(104)において、R107 、R108 、R109 およびR110は、各々、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子のいずれかを表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r107、r108、r109およびr110は、各々、0〜4の整数である。R111、R112、R113およびR114は、各々、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子のいずれかを表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r111、r112、r113およびr114は、各々、0〜5の整数である。R105 およびR106 は、各々、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基またはハロゲン原子のいずれかを表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r105およびr106は、各々、0〜4の整数である。
【0200】
【化54】
【0201】
式(105)において、Ar104 およびAr105 は、各々、ジアリールアミノアリール基を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。R115およびR116は、各々、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子のいずれかを表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r115およびr116は、各々、0〜4の整数である。R117およびR118は、各々、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子のいずれかを表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r117およびr118は、各々、0〜5の整数である。R105 およびR106 は、各々、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基またはハロゲン原子のいずれかを表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r105およびr106は、各々、0〜4の整数である。
【0202】
式(102)〜(104)について、さらに説明すると、式(102)〜(104)のそれぞれにおいて、R111〜R114は、各々、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子のいずれかを表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。
【0203】
R111〜R114で表されるアリール基としては、単環もしくは多環のものであってよく、縮合環や環集合も含まれる。総炭素数は6〜20のものが好ましく、置換基を有していてもよい。この場合の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0204】
R111〜R114で表されるアリール基の具体例としては、フェニル基、(o−,m−,p−)トリル基、ピレニル基、ペリレニル基、コロネニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニリル基、フェニルアントリル基、トリルアントリル基等が挙げられ、特にフェニル基が好ましい。アリール基、特にフェニル基の結合位置は3位(Nの結合位置に対してメタ位)または4位(Nの結合位置に対してパラ位)であることが好ましい。
【0205】
R111〜R114で表されるアルキル基としては、直鎖状でも分枝を有するものであってもよく、炭素数1〜10のものが好ましく、置換基を有していてもよい。この場合の置換基としてはアリール基と同様のものが挙げられる。
【0206】
R111〜R114で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、(n−,i−)プロピル基、(n−,i−,s−,t−)ブチル基等が挙げられる。
【0207】
R111〜R114で表されるアルコキシ基としては、アルキル部分の炭素数1〜6のものが好ましく、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。アルコキシ基はさらに置換されていてもよい。
【0208】
R111〜R114で表されるアリールオキシ基としては、フェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−(t−ブチル)フェノキシ基等が挙げられる。
【0209】
R111〜R114で表されるアミノ基としては、無置換でも置換基を有するものであってもよいが、置換基を有するものが好ましく、具体的にはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジビフェニリルアミノ基、N−フェニル−N−トリルアミノ基、N−フェニル−N−ナフチルアミノ基、N−フェニル−N−ビフェニリルアミノ基、N−フェニル−N−アントリルアミノ基、N−フェニル−N−ピレニルアミノ基、ジナフチルアミノ基、ジアントリルアミノ基、ジピレニルアミノ基等が挙げられる。
【0210】
R111〜R114で表されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
【0211】
r111〜r114は、各々、0〜5の整数であり、式(102)〜(104)のいずれにおいても0であることが好ましい。
【0212】
なお、r111〜r114が各々2以上の整数であるとき、各R111〜R114同士は同一でも異なるものであってもよい。
【0213】
式(102)〜(104)において、R105 、R106 で表されるアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ハロゲン原子としては、R111〜R114のところで挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0214】
r105、r106は、ともに0であることが好ましく、2つのアリールアミノ基を連結するビフェニレン基は無置換のものが好ましい。
【0215】
式(102)〜(104)において、R107 〜R110は、各々、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子のいずれかを表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。これらの具体例としてはR111〜R114のところで挙げたものと同様のものを挙げることができる。
【0216】
r107〜r110は、各々、0〜4の整数であり、0であることが好ましい。
【0217】
式(105)についてさらに説明すると、式(105)において、Ar104 およびAr105 は、各々、ジアリールアミノアリール基を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。ジアリールアミノアリール基としては、ジアリールアミノフェニル基が好ましく、具体的にはジフェニルアミノフェニル基、ビス(ビフェニル)アミノフェニル基、ビフェニルフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基、フェニルトリルアミノフェニル基、ナフチルフェニルアミノフェニル基、ジナフチルアミノフェニル基、フェニルピレニルアミノフェニル基等が挙げられる。
【0218】
式(105)において、R115およびR116は、各々、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子のいずれかを表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。これらの具体例としては式(102)〜(104)のR111〜R114のところで挙げたものと同様のものを挙げることができる。
【0219】
r115、r116は、各々、0〜4の整数であるが、0であることが好ましい。
【0220】
式(105)において、R117、R118は、各々、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子のいずれかを表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。これらの具体例としてはR111〜R114のところで挙げたものと同様のものを挙げることができる。
【0221】
r117、r118は、各々、0〜5の整数であるが、0であることが好ましい。
【0222】
なお、式(105)において、r115、r116が各々2以上の整数であるとき、R115同士、R116同士はそれぞれ同一でも異なるものであってもよく、r117、r118が各々2以上の整数であるとき、R117同士、R118同士はそれぞれ同一でも異なるものであってもよい。
【0223】
式(105)において、R105 、R106 、r105およびr106は式(102)〜(104)のものと同義であり、r105、r106は0であることが好ましい。
【0224】
以下に、テトラアリールアリーレンジアミン誘導体の具体例を示すが、これに限定されるされるものではない。なお、具体例は一般式(102a)〜(105a)で示し、これらの式中のR101 等の組合せで示している。この表示において、Ar101 〜Ar106 を除いて、すべてHのときはHで示しており、置換基が存在するときは置換基のみを示すものとし、他のものはHであることを意味している。
【0225】
【化55】
【0226】
【化56】
【0227】
【化57】
【0228】
【化58】
【0229】
【化59】
【0230】
【化60】
【0231】
【化61】
【0232】
【化62】
【0233】
【化63】
【0234】
【化64】
【0235】
【化65】
【0236】
【化66】
【0237】
【化67】
【0238】
【化68】
【0239】
【化69】
【0240】
【化70】
【0241】
【化71】
【0242】
【化72】
【0243】
【化73】
【0244】
【化74】
【0245】
【化75】
【0246】
また、以下の化合物も好ましいものとして挙げられる。
【0247】
【化76】
【0248】
また、後述のホール注入材料として用いられるトリフェニルアミン誘導体も好ましい。
【0249】
発光層を少なくとも一種以上の正孔注入輸送性化合物と少なくとも1種以上の電子注入輸送性化合物との混合層とする場合の混合比は、それぞれのキャリア移動度とキャリア濃度によるが、一般的には、正孔注入輸送性化合物の化合物/電子注入輸送機能を有する化合物の重量比が、1/99〜99/1、さらには10/90〜90/10、特に20/80〜80/20程度となるようにすることが好ましい。
【0250】
また、混合層の厚さは、分子層一層に相当する厚みから、有機化合物層の膜厚未満とすることが好ましく、具体的には1〜85nmとすることが好ましく、さらには5〜60nm、特に5〜50nmとすることが好ましい。
【0251】
また、混合層の形成方法としては、異なる蒸着源より蒸発させる共蒸着が好ましいが、蒸気圧(蒸発温度)が同程度あるいは非常に近い場合には、予め同じ蒸着ボード内で混合させておき、蒸着することもできる。混合層は、化合物同士が均一に混合している方が好ましいが、場合によっては、化合物が島状に存在するものであってもよい。発光層は、一般的には、有機蛍光物質を蒸着するか、あるいは、樹脂バインダー中に分散させてコーティングすることにより、発光層を所定の厚さに形成する。
【0252】
<電子注入輸送層>
本発明では、電子注入輸送層を設けてもよい。電子注入輸送層には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(AlQ3)等の8−キノリノールないしその誘導体を配位子とする有機金属錯体などのキノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体等を用いることができる。電子注入輸送層は発光層を兼ねたものであってもよく、このような場合はトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(AlQ3)等を使用することが好ましい。電子注入輸送層の形成は、発光層と同様に、蒸着等によればよい。
【0253】
電子注入輸送層を電子注入層と電子輸送層とに分けて設層する場合は、電子注入輸送層用の化合物のなかから好ましい組合せを選択して用いることができる。このとき、陰極側から電子親和力の大きい化合物の順に積層することが好ましく、陰極に接して電子注入層、発光層に接して電子輸送層を設けることが好ましい。電子親和力と積層順との関係については、電子注入輸送層を2層以上設けるときも同様である。
【0254】
また、電子注入層の中に、Li、Na、K、Ca等の仕事関数の小さな金属をドープし、有機物と相互作用させることでキャリアを発生させて素子の駆動電圧を下げてもよい。
【0255】
<正孔注入輸送層>
本発明では、正孔注入輸送層を設けてもよい。正孔注入輸送層には、トリアリールアミン誘導体を用いる。正孔注入輸送層中におけるトリアリールアミン誘導体の含有量は1〜100wt%、さらには10〜100wt%であることが好ましい。
【0256】
トリアリールアミン誘導体は、下記一般式(301)で表される。
【0257】
【化77】
【0258】
式(301)において、2つのΦはフェニレン基を表す。Φ−Φのビフェニレン基としては、4,4’−ビフェニレン基、3,3’−ビフェニレン基、3,4’−ビフェニレン基のいずれであってもよいが、特に4,4’−ビフェニレン基が好ましい。また、R301,R302,R303およびR304はそれぞれ、
【0259】
【化78】
【0260】
を表す。R311,R312,R313,R314,R315,R316およびR317はそれぞれ非置換または置換基を有するアリール基を表す。R311,R312,R313,R314,R315,R316およびR317で表されるアリール基としては、単環または多環のものであってよく、総炭素数6〜20のものが好ましく、具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、ペリレニル基およびo−,m−またはp−ビフェニル基等が挙げられる。これらアリール基はさらに置換されていてもよく、このような置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、非置換または置換基を有するアリール基またはアルコキシ基、アリーロキシ基および
【0261】
【化79】
【0262】
基等が挙げられる。ここで、R321およびR322はそれぞれ、非置換または置換基を有するアリール基を表す。
【0263】
R321およびR322で表されるアリール基としては、単環または多環のものであってよく、総炭素数6〜20のものが好ましく、具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、ペリレニル基およびo−,m−またはp−ビフェニル基等が挙げられ、特に好ましくはフェニル基が挙げられる。これらアリール基はさらに置換されていてもよく、このような置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、非置換または置換基を有するアリール基を表す。また、前記アルキル基としては好ましくはメチル基が挙げられ、前記アリール基としては好ましくはフェニル基が挙げられる。
【0264】
また、r301,r302,r303およびr304はそれぞれ0〜5、特に0〜2の整数を表すが、特に0または1であることが好ましい。そして、r301+r302+r30 3+r304は、1以上、特に1〜4、さらには2〜4が好ましい。前記R301,R302,R303およびR304は、Nの結合位置に対してメタ位あるいはパラ位に結合し、R301,R302,R303およびR304の全てがメタ位、R301,R302,R303およびR304の全てがパラ位、あるいは、R301,R302,R303およびR304がメタ位あるいはパラ位に結合していても、これらが混在していてもよい。r301,r302,r303またはr304が2以上である場合、R301,R302,R303またはR304は同一でも異なっていてもよい。
【0265】
このような化合物の好ましい具体例を下記の式(302)〜(304)に示す。
【0266】
【化80】
【0267】
また、前記R301,R302,R303およびR304の好ましい具体例を以下の表1〜表60に示す。なお、表中R301,R302,R303およびR304は、それぞれR1,R2,R3およびR4と表す。また、上記式(302)〜(304)を一般式として表す。
【0268】
【表1】
【0269】
【表2】
【0270】
【表3】
【0271】
【表4】
【0272】
【表5】
【0273】
【表6】
【0274】
【表7】
【0275】
【表8】
【0276】
【表9】
【0277】
【表10】
【0278】
【表11】
【0279】
【表12】
【0280】
【表13】
【0281】
【表14】
【0282】
【表15】
【0283】
【表16】
【0284】
【表17】
【0285】
【表18】
【0286】
【表19】
【0287】
【表20】
【0288】
【表21】
【0289】
【表22】
【0290】
【表23】
【0291】
【表24】
【0292】
【表25】
【0293】
【表26】
【0294】
【表27】
【0295】
【表28】
【0296】
【表29】
【0297】
【表30】
【0298】
【表31】
【0299】
【表32】
【0300】
【表33】
【0301】
【表34】
【0302】
【表35】
【0303】
【表36】
【0304】
【表37】
【0305】
【表38】
【0306】
【表39】
【0307】
【表40】
【0308】
【表41】
【0309】
【表42】
【0310】
【表43】
【0311】
【表44】
【0312】
【表45】
【0313】
【表46】
【0314】
【表47】
【0315】
【表48】
【0316】
【表49】
【0317】
【表50】
【0318】
【表51】
【0319】
【表52】
【0320】
【表53】
【0321】
【表54】
【0322】
【表55】
【0323】
【表56】
【0324】
【表57】
【0325】
【表58】
【0326】
【表59】
【0327】
【表60】
【0328】
トリアリールアミン誘導体の化合物は1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。
【0329】
トリアリールアミン誘導体は、1級または2級の芳香族アミンと、芳香族ヨウ化物とを銅などの触媒を用いて縮合するウルマン反応で合成することができる。また、R301,R302とR303,R304が非対称の場合(ビフェニルの両側が非対称)には、R301,R302と、R303,R304とが、それぞれ対応するアミンを合成し、ビフェニル部を最後にカップリングしてもよい(グアニンカップリング、Ni(dppp)Cl2 等)。
【0330】
以下の(3A)〜(3C)に具体的な合成例を挙げる。(3A)では、4,4'- ジヨードビフェニルと式(3a)で表される化合物を用い、(3B)では式(3b)と式(3c)で表される化合物を用い、銅を触媒としてカップリングして、それぞれ式(3d)で表される非対称化合物を得ている。(3C)では、式(3e)で表される化合物と式(3f)で表される化合物とをNi(dppp)Cl2 を用いてカップリングし、式(3d)で表される非対称化合物を得ている。ここで、下記(3a)〜(3f)におけるR330,R341およびR345は、それぞれ式(301)におけるR301,R302,R303およびR304と同義であり、R332,R333,R342,R343,R346およびR347は、それぞれ式(301)におけるR311,R312,R313,R314,R315,R316およびR317 と同義である。
【0331】
【化81】
【0332】
【化82】
【0333】
トリアリールアミン誘導体は、質量分析、赤外吸収スペクトル(IR)、1H,13C核磁気共鳴スペクトル(NMR)等によって同定することができる。
【0334】
正孔注入輸送層には、上記のようなトリアリールアミン誘導体と併用して、通常の有機EL素子に用いられている各種有機化合物、例えば、特開昭63−295695号公報、特開平2−191694号公報、特開平3−792号公報等に記載されている各種有機化合物、具体的には、テトラアリールアリーレンジアミン誘導体、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有するオキサジアゾール誘導体、オリゴチオフェン、ポリチオフェン等を用いることができる。特に、テトラアリールアリーレンジアミン誘導体を用いることが好ましい。これらの化合物は2種以上を混合して用いてもよく、また積層して用いることができる。
【0335】
正孔注入輸送層を正孔注入層と正孔輸送層とに分けて設層する場合は、正孔注入輸送層用の化合物のなかから好ましい組合せを選択して用いることができる。このとき、陽極(ITO等)側からイオン化ポテンシャルの小さい化合物の順に積層することが好ましく、陽極に接して正孔注入層、発光層に接して正孔輸送層を設けることが好ましい。また、ITO表面には、親水性にバラツキのあるITO表面上でも均一な薄膜を形成することのできる、薄膜性が良好な正孔注入材料を用いることが好ましく、トリアリールアミン誘導体が好ましい。このようなイオン化ポテンシャルと積層順の関係については、正孔注入輸送層を2層以上設けるときも同様である。このような積層順とすることによって、駆動電圧が低下し、電流リークの発生やダークスポットの発生・成長を防ぐことができる。また、素子化する場合、蒸着を用いているので1〜10nm程度の薄い膜も、均一かつピンホールフリーとすることができるため、正孔注入層にイオン化ポテンシャルが小さく、可視部に吸収をもつような化合物を用いても、発光色の色調変化や再吸収による効率の低下を防ぐことができる。また、膜厚、屈折率などを調整することで、発光色や発光輝度、発光の空間分布等の干渉光効果を利用して効率の低下を防ぐことが出来る。
【0336】
正孔注入輸送層を2層以上積層する場合、あるいは、正孔注入層と正孔輸送層とに分けて設層する場合、陽極上には、正孔注入層あるいは第一正孔注入輸送層として、薄膜性の良好なトリアリールアミン誘導体を積層する。また、正孔輸送層あるいは第二正孔注入輸送層にはテトラアリールアリーレンジアミン誘導体を用いることが好ましい。
【0337】
上記のほか、好ましい芳香族三級アミンとしては、特願平7−43564号に記載のものが挙げられる。具体的には、N,N,N’,N’−テトラ(3−ビフェニリル)ベンジジン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス[4’−(N−フェニル−N−3−メチルフェニルアミノ)ビフェニル−4−イル]ベンジジン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス[4’−(N,N−ジ−3−ビフェニリルアミノ)ビフェニル−4−イル]ベンジジン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス[4’−(N−フェニル−N−2−ナフチルアミノ)ビフェニル−4−イル]ベンジジン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス[4’−(N−フェニル−N−3−ビフェニリルアミノ)ビフェニル−4−イル]ベンジジン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス[4’−(N,N’−ジ−3−メチルフェニルアミノ)ビフェニル−4−イル]ベンジジン等が挙げられる。
【0338】
また、キャリアを発生し得る化合物を陽極(ITO)界面近傍10nmに分散させることで駆動電圧を下げることができる。
【0339】
<陰極>
本発明において、陰極には、仕事関数の小さい材料、例えば、Li、Na、Mg、Al、Ag、In、あるいは、これらの1種以上を含む合金を用いることが好ましい。中でも、AlLiが好ましい。また、陰極は、結晶粒が細かいことが好ましく、特にアモルファス状態であることが好ましい。陰極の厚さは10〜1000nm程度とすることが好ましい。
【0340】
<陽極>
有機EL素子を面発光させるためには、少なくとも一方の電極が透明ないし半透明である必要があり、上記のように陰極の材料には制限があるので、好ましくは発光光の透過率が50%以上、より好ましくは60%以上、特に80%以上となるように陽極の材料および厚さを決定することが好ましい。具体的には、例えば、ITO(錫ドープ酸化インジウム)、IZO(亜鉛ドープ酸化インジウム)、SnO2 、Ni、Au、Pt、Pd、ドーパントをドープしたポリピロールなどを陽極に用いることが好ましい。また、陽極の厚さは10〜500nm程度とすることが好ましい。また、素子の信頼性を向上させるために駆動電圧が低いことが必要であるが、好ましいものとして10〜30Ω/□または10Ω/□以下(通常0.1〜10Ω/□)のITOが挙げられる。
【0341】
<基板材料>
基板材料に特に制限はないが、図示例では基板側から発光光を取り出すため、ガラスや樹脂等の透明ないし半透明材料を用いる。また、基板に色フィルター膜や蛍光性物質を含む色変換膜、あるいは誘電体反射膜を用いたり、基板自身に着色したりして発光色をコントロールしてもよい。なお、基板に不透明な材料を用いる場合には、図5に示される積層順序を逆にしてもよい。
【0342】
<有機EL素子の製造方法>
次に、本発明の有機EL素子の製造方法を説明する。
陽極は、蒸着法やスパッタ法等の気相成長法により形成することが好ましい。
【0343】
陰極は、蒸着法で形成してもよいが、スパッタ法により形成することが好ましい。スパッタ法は、蒸気圧の大きく異なる材料の混合物をターゲットとして用いても、生成する膜とターゲットとの組成のズレは少なく、蒸着法のように蒸気圧等による使用材料の制限もない。また、蒸着法と比較して、材料を長時間供給する必要がなく、膜厚や膜質の均一性に優れ、生産性の点で有利である。
【0344】
正孔注入輸送層、発光層および電子注入輸送層の形成には、均質な薄膜が形成できることから真空蒸着法を用いることが好ましい。真空蒸着法を用いた場合、アモルファス状態または結晶粒径が0.1μm 以下(通常、下限値は0.001μm 程度である。)の均質な薄膜が得られる。結晶粒径が0.1μm を超えていると、不均一な発光となり、素子の駆動電圧を高くしなければならなくなり、電荷の注入効率も著しく低下する。
【0345】
真空蒸着の条件は特に限定されないが、10-3Pa以下、好ましくは10-5Pa以下の真空度とし、蒸着速度は0.01〜1nm/sec 程度とすることが好ましい。また、真空中で連続して各層を形成することが好ましい。真空中で連続して形成すれば、各層の界面に不純物が吸着することを防げるため、高特性が得られる。また、素子の駆動電圧を低くしたり、ダークスポットの成長・発生を抑えたりすることができる。
【0346】
これら各層の形成に真空蒸着法を用いる場合において、1層に複数の化合物を含有させる場合、化合物を入れた各ボートを個別に温度制御して共蒸着することが好ましいが、予め混合してから蒸着してもよい。また、この他、溶液塗布法(スピンコート、ディップ、キャスト等)、ラングミュア・ブロジェット(LB)法などを用いることもできる。溶液塗布法では、ポリマー等のマトリックス物質中に各化合物を分散させる構成としてもよい。
【0347】
本発明の有機EL素子は、通常、直流駆動型のEL素子として用いられるが、交流駆動またはパルス駆動することもできる。印加電圧は、通常、2〜20V 程度とされる。
【0348】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
厚さ200nmのITO透明電極(陽極)を成膜したガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄した。その基板を煮沸エタノール中から引き上げて乾燥し、UV/O3 洗浄した後、真空蒸着装置の基板ホルダーに固定して、真空槽を1×10-4Pa以下まで減圧した。
【0349】
まず、トリアリールアミン誘導体(表1−No.302)を蒸着速度0.1nm/secで約50nmの厚さに蒸着し、正孔注入輸送層とした。次いで、TPD(化56−No.102−1)を蒸着速度0.2nm/secで約20nmの厚さに蒸着し、正孔輸送層とした。
【0350】
次いで、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(以下AlQ3と記載)と本発明の化合物(化5−No.1)とをそれぞれ蒸着速度0.1〜0.2nm/sec、0.002〜0.004nm/sec(約2.0%)でトータル約20nmの厚さに共蒸着し、発光層とした。
【0351】
次いで、AlQ3を蒸着速度0.1nm/secで約50nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層とした。
【0352】
次に、減圧を保ったまま、この有機EL素子構造体基板を真空蒸着装置からスパッタ装置に移し、DCスパッタ法にて、200nmの厚さにAlLi合金膜(Li濃度:7.3at%)を成膜し、陰極とした。スパッタ時の圧力は1.0Paで、スパッタガスにはArを用い、投入電力は100W、ターゲットの大きさは4インチ径、基板とターゲットの距離は90mmとした。
【0353】
この有機EL素子に電流を流したところ、10mA/cm2 で7.0V 、980cd/m2 の緑色発光を示した。
【0354】
また、この素子を乾燥雰囲気下、50mA/cm2の定電流駆動で連続的に発光させたところ、初期輝度は4200cd/m2、初期駆動電圧は8.5Vであり、輝度の半減期は300時間、その間の駆動電圧の上昇は2.5Vであった。
【0355】
[実施例2]
厚さ200nmのITO透明電極(陽極)を成膜したガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄した。その基板を煮沸エタノール中から引き上げて乾燥し、UV/O3 洗浄した後、真空蒸着装置の基板ホルダーに固定して、真空槽を1×10-4Pa以下まで減圧した。
【0356】
まず、トリアリールアミン誘導体(表1−No.302)を蒸着速度0.1nm/secで約50nmの厚さに蒸着し、正孔注入輸送層とした。
【0357】
次いで、TPD(化56−No.102−1)と本発明の化合物(化5−No.1)とをそれぞれ蒸着速度0.1〜0.2nm/sec、0.002〜0.004nm/sec(約2.0%)でトータル約20nmの厚さに共蒸着し、発光層とした。
【0358】
次いで、AlQ3を蒸着速度0.1nm/secで約50nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層とした。
【0359】
次に、減圧を保ったまま、この有機EL素子構造体基板を真空蒸着装置からスパッタ装置に移し、DCスパッタ法にて、200nmの厚さにAlLi合金膜(Li濃度:7.3at%)を成膜し、陰極とした。スパッタ時の圧力は1.0Paで、スパッタガスにはArを用い、投入電力は100W、ターゲットの大きさは4インチ径、基板とターゲットの距離は90mmとした。
【0360】
この有機EL素子に電流を流したところ、10mA/cm2 で6.1V 、910cd/m2 の緑色発光を示した。
【0361】
また、この素子を乾燥雰囲気下、50mA/cm2の定電流駆動で連続的に発光させたところ、初期輝度は4330cd/m2、初期駆動電圧は7.4Vであり、輝度の半減期は300時間、その間の駆動電圧の上昇は3.0Vであった。
【0362】
[実施例3]
厚さ200nmのITO透明電極(陽極)を成膜したガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄した。その基板を煮沸エタノール中から引き上げて乾燥し、UV/O3 洗浄した後、真空蒸着装置の基板ホルダーに固定して、真空槽を1×10-4Pa以下まで減圧した。
【0363】
まず、トリアリールアミン誘導体(表1−No.302)を蒸着速度0.1nm/secで約50nmの厚さに蒸着し、正孔注入輸送層とした。次いで、TPD(化56−No.102−1)を蒸着速度0.1nm/secで約10nmの厚さに蒸着し、正孔輸送層とした。
【0364】
次いで、TPD(化56−No.102−1)とAlQ3と本発明の化合物(化5−No.1)とをそれぞれ蒸着速度0.1nm/sec、0.1nm/sec、0.004nm/sec(約49:49:2)でトータル約40nmの厚さに共蒸着し、発光層とした。
【0365】
次いで、AlQ3を蒸着速度0.1nm/secで約30nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層とした。
【0366】
次に、減圧を保ったまま、この有機EL素子構造体基板を真空蒸着装置からスパッタ装置に移し、DCスパッタ法にて、200nmの厚さにAlLi合金膜(Li濃度:7.3at%)を成膜し、陰極とした。スパッタ時の圧力は1.0Paで、スパッタガスにはArを用い、投入電力は100W、ターゲットの大きさは4インチ径、基板とターゲットの距離は90mmとした。
【0367】
この有機EL素子に電流を流したところ、10mA/cm2 で6.5V 、980cd/m2 の緑色発光を示した。
【0368】
また、この素子を乾燥雰囲気下、50mA/cm2の定電流駆動で連続的に発光させたところ、初期輝度は4380cd/m2、初期駆動電圧は7.8Vであり、輝度の半減期は1500時間、その間の駆動電圧の上昇は1.8Vであった。
【0369】
[実施例4]
厚さ200nmのITO透明電極(陽極)を成膜したガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄した。その基板を煮沸エタノール中から引き上げて乾燥し、UV/O3 洗浄した後、真空蒸着装置の基板ホルダーに固定して、真空槽を1×10-4Pa以下まで減圧した。
【0370】
まず、トリアリールアミン誘導体(表3−No.316)を蒸着速度0.1nm/secで約60nmの厚さに蒸着し、正孔注入輸送層とした。
【0371】
次いで、TPD(化56−No.102−1)とAlQ3と本発明の化合物(化5−No.1)とをそれぞれ蒸着速度0.1nm/sec、0.1nm/sec、0.004nm/sec(約49:49:2)でトータル約40nmの厚さに共蒸着し、発光層とした。
【0372】
次いで、AlQ3を蒸着速度0.1nm/secで約30nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層とした。
【0373】
次に、減圧を保ったまま、この有機EL素子構造体基板を真空蒸着装置からスパッタ装置に移し、DCスパッタ法にて、200nmの厚さにAlLi合金膜(Li濃度:7.3at%)を成膜し、陰極とした。スパッタ時の圧力は1.0Paで、スパッタガスにはArを用い、投入電力は100W、ターゲットの大きさは4インチ径、基板とターゲットの距離は90mmとした。
【0374】
この有機EL素子に電流を流したところ、10mA/cm2 で6.3V 、980cd/m2 の緑色発光を示した。
【0375】
また、この素子を乾燥雰囲気下、50mA/cm2の定電流駆動で連続的に発光させたところ、初期輝度は4200cd/m2、初期駆動電圧は7.5Vであり、輝度の半減期は2000時間、その間の駆動電圧の上昇は1.5Vであった。
【0376】
[実施例5]
厚さ200nmのITO透明電極(陽極)を成膜したガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄した。その基板を煮沸エタノール中から引き上げて乾燥し、UV/O3 洗浄した後、真空蒸着装置の基板ホルダーに固定して、真空槽を1×10-4Pa以下まで減圧した。
【0377】
まず、トリアリールアミン誘導体(表3−No.316)を蒸着速度0.1nm/secで約50nmの厚さに蒸着し、正孔注入輸送層とした。次いで、TPD(化73−No.105−3)を蒸着速度0.1nm/secで約10nmの厚さに蒸着し、正孔輸送層とした。
【0378】
次いで、TPD(化73−No.105−3)とAlQ3と本発明の化合物(化5−No.1)とをそれぞれ蒸着速度0.1nm/sec、0.1nm/sec、0.004nm/sec(約49:49:2)でトータル約40nmの厚さに共蒸着し、発光層とした。
【0379】
次いで、AlQ3を蒸着速度0.1nm/secで約30nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層とした。
【0380】
次に、減圧を保ったまま、この有機EL素子構造体基板を真空蒸着装置からスパッタ装置に移し、DCスパッタ法にて、200nmの厚さにAlLi合金膜(Li濃度:7.3at%)を成膜し、陰極とした。スパッタ時の圧力は1.0Paで、スパッタガスにはArを用い、投入電力は100W、ターゲットの大きさは4インチ径、基板とターゲットの距離は90mmとした。
【0381】
この有機EL素子に電流を流したところ、10mA/cm2 で6.0V 、920cd/m2 の緑色発光を示した。
【0382】
また、この素子を乾燥雰囲気下、50mA/cm2の定電流駆動で連続的に発光させたところ、初期輝度は4160cd/m2、初期駆動電圧は7.2Vであり、輝度の半減期は2000時間、その間の駆動電圧の上昇は1.7Vであった。
【0383】
[実施例6]
厚さ200nmのITO透明電極(陽極)を成膜したガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄した。その基板を煮沸エタノール中から引き上げて乾燥し、UV/O3 洗浄した後、真空蒸着装置の基板ホルダーに固定して、真空槽を1×10-4Pa以下まで減圧した。
【0384】
まず、トリアリールアミン誘導体(表1−No.302)と本発明の化合物(化5−No.1)とをそれぞれ蒸着速度0.1nm/sec、0.002nm/secでトータル約80nmの厚さに共蒸着し、正孔注入性発光層とした。次いで、TPD(化56−No.102−1)と本発明の化合物(化5−No.1)とをそれぞれ蒸着速度0.1nm/sec、0.002nm/secでトータル約20nmの厚さに共蒸着し、正孔輸送性発光層とした。
【0385】
次いで、AlQ3を蒸着速度0.1nm/secで約20nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層とした。
【0386】
次に、減圧を保ったまま、この有機EL素子構造体基板を真空蒸着装置からスパッタ装置に移し、DCスパッタ法にて、200nmの厚さにAlLi合金膜(Li濃度:7.3at%)を成膜し、陰極とした。スパッタ時の圧力は1.0Paで、スパッタガスにはArを用い、投入電力は100W、ターゲットの大きさは4インチ径、基板とターゲットの距離は90mmとした。
【0387】
この有機EL素子に電流を流したところ、10mA/cm2 で4.5V 、550cd/m2 の緑色発光を示した。
【0388】
また、この素子を乾燥雰囲気下、50mA/cm2の定電流駆動で連続的に発光させたところ、初期輝度は2530cd/m2、初期駆動電圧は5.2Vであり、輝度の半減期は800時間、その間の駆動電圧の上昇は2.8Vであった。
【0389】
[比較例1]
AlQ3と5,12−ジフェニルナフタセンとをそれぞれ蒸着速度0.1〜0.2nm/sec、0.002〜0.004nm/sec(約2.0%)でトータル約20nmの厚さに共蒸着し、発光層とした以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
【0390】
この有機EL素子に電流を流したところ、10mA/cm2 で6.6V 、530cd/m2 の緑色発光を示した。
【0391】
また、この素子を乾燥雰囲気下、50mA/cm2の定電流駆動で連続的に発光させたところ、初期輝度は2400cd/m2、初期駆動電圧は8.6Vであり、輝度の半減期は200時間、その間の駆動電圧の上昇は2.8Vであった。
【0392】
[比較例2]
トリアリールアミン誘導体(表1−No.302)の代わりに、下記化83の材料を蒸着し、正孔注入輸送層とした以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
【0393】
【化83】
【0394】
この有機EL素子に電流を流したところ、10mA/cm2 で8.0V 、890cd/m2 の緑色発光を示した。
【0395】
また、この素子を乾燥雰囲気下、50mA/cm2の定電流駆動で連続的に発光させたところ、初期輝度は4100cd/m2、初期駆動電圧は9.6Vであり、輝度の半減期は80時間、その間の駆動電圧の上昇は4.0Vであった。
【0396】
[比較例3]
トリアリールアミン誘導体(表1−No.302)50nmの代わりに、ポリ(チオフェン−2,5−ジイル)を約10nmの厚さに蒸着し、正孔注入輸送層とし、TPD(化56−No.102−1)を約60nmの厚さに蒸着して正孔輸送層とした以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
【0397】
この有機EL素子に電流を流したところ、10mA/cm2 で7.6V 、780cd/m2 の緑色発光を示した。
【0398】
また、この素子を乾燥雰囲気下、50mA/cm2の定電流駆動で連続的に発光させたところ、初期輝度は3800cd/m2、初期駆動電圧は8.5Vであり、輝度が半減する前に駆動電圧が4V以上上昇し、ダークスポットの成長が目立った。
【0399】
[比較例4]
真空度1×10-4Paで、MgとAgとをそれぞれ別のボートより重量比10:1、蒸着速度0.2nm/secでトータル200nmの厚さに共蒸着し、陰極とした以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
【0400】
この有機EL素子に電流を流したところ、10mA/cm2 で8.0V 、900cd/m2 の緑色発光を示した。
【0401】
また、この素子を乾燥雰囲気下、50mA/cm2の定電流駆動で連続的に発光させたところ、初期輝度は4100cd/m2、初期駆動電圧は9.6Vであり、輝度の半減期は100時間、その間の駆動電圧の上昇は5.0Vであった。また、寿命半減期には、目視できる程度のダークスポットが発生した。
【0402】
[比較例5]
本発明の化合物(化5−No.1)の代わりに、クマリン6を蒸着し、発光層とした以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
【0403】
この有機EL素子に電流を流したところ、10mA/cm2 で7.6V 、600cd/m2 の緑色発光を示した。
【0404】
また、この素子を乾燥雰囲気下、50mA/cm2の定電流駆動で連続的に発光させたところ、初期輝度は2800cd/m2、初期駆動電圧は8.5Vであり、輝度の半減期は20時間、その間の駆動電圧の上昇は3.0Vであった。
【0405】
また、未駆動の素子を85℃の恒温槽に100時間放置した後、輝度を測定したところ、10mA/cm2 で8.6V 、80cd/m2 の輝度しか得られなかった。
【0406】
本発明の有機EL素子は、輝度が高く、長波長の発光が得られ、かつ、半減期が長く、耐久性に優れている。
【0407】
【発明の効果】
本発明によれば、十分な輝度の発光、特に長波長の発光が得られ、かつ、良好な発光性能が長期にわたって持続する耐久性に優れた有機EL素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】5,12−ビフェニレンナフタセンのMass(質量分析)スペクトルである。
【図2】5,12−ビフェニレンナフタセンの1H-NMRスペクトルである。
【図3】5,12−ビフェニレンナフタセンの13C−NMRスペクトルである。
【図4】5,12−ビフェニレンナフタセンのIRスペクトルである。
【図5】本発明の有機EL素子の構成例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 陽極
3 正孔注入輸送層
4 発光層
5 電子注入輸送層
6 陰極
Claims (6)
- 上記一般式(I)で表される化合物が、それ自体で発光機能を有するホスト物質のドーパントである請求項1の有機EL素子。
- 上記ホスト物質がキノリノール誘導体である請求項2の有機EL素子。
- 上記ホスト物質がトリアリールアミン誘導体である請求項2の有機EL素子。
- 上記発光帯が、少なくとも1種以上の正孔注入輸送性化合物と少なくとも1種以上の電子注入輸送性化合物との混合層である請求項2〜4のいずれかの有機EL素子。
- 上記混合層を形成する上記正孔注入輸送性化合物の1つがトリアリールアミン誘導体であり、上記混合層を形成する上記電子注入輸送性化合物がキノリノール誘導体である請求項5の有機EL素子。
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