JP3986944B2 - 加振型センサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は加振型センサ、特にその振動モードの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、試料に損傷を与えることなくナノメートルオーダの高分解能で試料測定面の観察を行うために走査型顕微鏡が用いられている。走査型顕微鏡は、試料測定面と触針間に作用する力が一定となるように触針を試料測定面に沿って走査し、試料測定面の形状情報を測定しており、例えば試料測定面と触針間に作用する力として原子間力を検出する原子間力顕微鏡がある。
【0003】
原子間力顕微鏡は、カンチレバー(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3等参照)を備えた加振型センサを用いている。そして、カンチレバーの曲げ振動を行いながら、試料測定面と触針間に作用する力が一定となるように触針を試料測定面に沿って走査し、測定面の形状情報を測定していた。
【0004】
図7には一般的な加振型センサの概略構成が示されている。
同図に示す従来の加振型センサ10は、カンチレバー取付台12と、カンチレバー14と、触針16と、絶縁層18と、下部電極20と、曲げ振動する圧電材料部(加振手段)22と、加振用電極24及び検出用電極26を備える。
カンチレバー14の一端(固定端)はカンチレバー取付台12に固定され、カンチレバー取付台12は絶縁層18が設けられている。該絶縁層18上に下部電極20が設けられている。該カンチレバー14の根元側の下部電極20上に圧電材料部22が設けられ、該圧電材料部22上に加振用電極24及び検出用電極26が設けられている。
【0005】
そして、下部電極20と加振用電極24間に適切な周波数の電圧を印加すると、実質的には圧電材料部22のうちの、下部電極20及び加振用電極24間の圧電材料部分(根元側)のみが、振動を発生するので、カンチレバー14は曲げモードで共振振動を起こす。この共振状態で、カンチレバー14の触針先端16aを試料測定面に軽く接触させ、触針先端16aが試料測定面より拘束を受けると、共振状態が変化する。この共振状態の変化を検出用電極22と下部電極20間の電圧差として検出し、この変化が一定となるようにカンチレバー14を試料測定面に沿って走査することにより、試料測定面の形状を測定している。
【0006】
このように一般的な加振型センサ10では、カンチレバー14の根元(固定端)に圧電材料部22を設けており、これがカンチレバー14を曲げの共振周波数で励起する。このとき、圧電材料部22の分極は接着面に対し、直角方向となっている。圧電材料部22はポアソン運動を行うため、上下に伸縮しているときでもそれと直角方向に180度の位相差で伸縮する。このような圧電材料部22がカンチレバー14の片側、つまり根元の固定端側に設けられているので、該固定端近傍のカンチレバー14の一部が連動し、曲げ振動を発生しやすくしている。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−21816号公報
【特許文献2】
特開平8−211078号公報
【特許文献3】
特開平9−159681号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、走査型顕微鏡には早い走査速度が要求される。走査型顕微鏡の走査速度を早くするには、加振型センサの応答周波数を高める必要がある。
すなわち、前記走査型顕微鏡の走査速度は様々な要因によって決定されるが、加振型センサに関しては、応答周波数によって決定される。例えばカンチレバーのQ値を小さくしたり、共振周波数fを高くすることが考えられる。
【0009】
すなわち、加振型センサの応答周波数fは近似的に
=πf/Q
によって決定されるので、カンチレバーのQ値が小さいほど、また共振周波数fが高いほど、加振型センサの応答周波数は高くなり、一般的には共振周波数を上げることにより加振型センサの応答性を上げている。
【0010】
ここで、従来はカンチレバーの曲げ振動を行っており、共振周波数を高めるためにはカンチレバーの長さを短くする必要がある。
すなわち、断面が一様矩形形状カンチレバーの曲げ振動の共振周波数fbrはカンチレバーの長さをlとするとき
br=(αh/2πl)√(Eg/12γ)
によって決まる。
【0011】
ここで、前記αは境界条件によって決まる定数であり、カンチレバーの片側固定、片側自由の場合は
α=1.875
である。
【0012】
また前記Eはヤング率、gは重力加速度、γは単位体積重量、hはカンチレバーの厚さである。
例えばカンチレバーの材料をシリコンとし、l=1mm、h=0.02mmとすると、カンチレバーの曲げ振動の共振周波数fbr=27kHz程度となり、カンチレバーの長さが短いほど、共振周波数fbrを高くすることができるので、従来はカンチレバーの長さを短くするための工夫が色々試みられていた。
しかしながら、カンチレバーは人手で交換する必要があるので、人手で扱える程度の長さは必要であるが、その長さが1mmでは人手で扱い難く、共振周波数をもう一桁上げようとすると、カンチレバーの長さは更に短くなり、到底人手では扱えなくなる。
【0013】
このようにカンチレバーに関して、従来技術がいずれも曲げ振動により振動を与えているためにそのままでは高周波数化が難しい。このために従来は、例えば特許文献2等に開示されるように高次モード(高調波成分)での振動を与えることも考えられる。しかしながら、この方法では振動周波数が不安定になりやすい上、振動振幅も小さくなってS/N比が低下し、測定の信頼性が得難いので、前記解決手段として採用するには至らなかった。
【0014】
このように従来は加振型センサにおいて、取り扱い易い大きさを得ることと、共振周波数を高めることの両立は極めて困難であった。
本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は取り扱い易い大きさを得ることと、共振周波数を高めることを両立させることのできる加振型センサを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らが加振型センサについて鋭意検討を行った結果、前記カンチレバーの曲げ振動に代えて、縦振動を採用することにより、カンチレバーの長さを人手で扱い易い大きさとしても、共振周波数を高めることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
本発明において、例えばカンチレバーの長さをlとするときの縦振動の共振周波数flr
lr=(1/4l)√(Eg/γ)
で表せる。
従来はカンチレバーの長さl=1mmの場合は、共振周波数fbr=27kHz程度であるのに対し、本発明はカンチレバーの長さl=1mmの場合、共振周波数flr=2100kHz程度となり、同じカンチレバーの長さでも縦方向の共振周波数の方がはるかに高くなることがわかる。そして、本発明においては、共振周波数flr=100kHz以上を得るにはカンチレバーの長さl=10mmあれば足りるので、カンチレバーの長さを人手で扱い易い大きさとしても、共振周波数を高めることができるのである。
【0017】
すなわち、前記目的を達成するために本発明にかかる加振型センサは、基部と、触針と、加振手段と、を備え、前記触針と試料測定部位間に作用する力により変化する共振状態の変化を一定に保ちながら試料測定部位の形状情報を得る加振型センサにおいて、突起部を備え、前記加振手段は、前記触針及び前記突起部間に設けられ、該触針と該突起部の軸方向に縦振動し、該加振手段が振動の節に位置し且つ該触針先端及び該突起部先端が該振動の腹に位置するように、該触針及び該突起部をその軸方向に縦振動させることを特徴とする。
【0018】
ここで、前記触針は、前記基部の試料側面に設けられ、試料測定部位と対向する。
また前記加振手段は、前記基部を振動させる。
前記突起部は、前記基部の試料側面とは反対側の背面に設けられ、前記触針と同一軸上において該触針先端とは逆向きに突出する。
ここにいう試料測定部位とは、試料の測定点、測定線、測定面等を含めていう。またここにいう試料測定部位と対向する触針とは、触針と試料測定部位との近接ないし接触を含めていう。従って触針は、必ずしも試料測定部位に接触しない非接触型スタイラスも含む。
【0019】
なお、本発明において、前記基部は一端が固定され、その他端がフリーな試料側カンチレバー部材及び背面側カンチレバー部材を含み、
前記触針は前記試料側カンチレバー部材の試料側面の自由端寄りに設けられ、前記突起部は前記背面側カンチレバー部材の背面の自由端寄りに、前記触針と略同一形状のものが該触針先端とは逆向きに設けられ、
前記加振手段は縦振動する圧電材料部を含み、前記試料側カンチレバー部材と背面側カンチレバー部材間において前記触針及び突起部の軸線を中心とするその周囲に、該圧電材料部の縦振動方向が該触針及び突起部の軸方向と一致するように設けられ、
また前記加振手段を間に挟み対向配置され、該加振手段を振動させる加振用電極、及び前記触針と試料測定部位間に作用する力により変化する共振状態の変化を検出する検出用電極を備えることが好適である。
【0020】
また本発明において、前記加振手段は、電圧変位変換効率に非常に優れた圧電薄膜及びバルク状圧電素子よりなる群より選択された少なくとも一の圧電材料部であることが好適である。
【0021】
【発明の実施の形態】
第一実施形態
図1には本発明の第一実施形態にかかる加振型センサを用いた測定装置の概略構成が示されている。同図(A)は測定装置の全体図、同図(B)は加振型センサを上方より見た図である。なお前記図7と対応する部分には符号100を加えて示し説明を省略する。
【0022】
同図に示す測定装置130は、支柱132と、例えばバルク状の圧電素子等よりなる三次元アクチュエータ134と、加振型センサ110を備え、例えば原子間力顕微鏡等の走査型顕微鏡を想定している。
すなわち、前記加振型センサ110は、カンチレバー取付台112と、カンチレバー(基部)114と、触針116と、圧電材料部(加振手段)122と、加振用電極124と、検出用電極126を備える。
前記加振型センサ110は三次元アクチュエータ134を介して支柱132に設けられている。
【0023】
また前記測定装置130は、測定力一定化回路136と、増幅器138と、XY方向駆動手段140と、Z方向駆動手段142と、メモリ144と、データ処理手段146と、外部出力手段148を備える。
前記検出用電極126は測定力一定化回路136と接続され、測定力一定化回路136は増幅器138と接続され、増幅器138は加振用電極124と接続されている。
【0024】
前記三次元アクチュエータ134はXY方向駆動手段140、Z方向駆動手段142と接続され、XY方向駆動手段140、Z方向駆動手段142はメモリ144と接続されている。メモリ144はデータ処理手段146と接続され、データ処理手段146は外部出力手段148と接続されている。
【0025】
そして、前記加振用電極124に適切な周波数の電圧を印加すると、カンチレバー114は共振振動を起こす。この共振状態でカンチレバー114の触針先端116aを試料測定面(試料測定部位)150に軽く接触させ、触針先端116aが試料測定面150より拘束を受けると、前記共振状態が変化する。この共振状態の変化を検出用電極126で検出する。
【0026】
前記検出用電極126よりの信号は測定力一定化回路136で処理され、増幅器138で増幅され、加振用電極124にフィードバックされると共にZ方向駆動手段142に入力され、触針116と試料測定面150間に作用する平均的な力を一定に保ちながら、試料測定面150の形状を測定している。
すなわち、前記検出用電極126よりの信号、つまり前記共振状態の変化が一定となるように三次元アクチュエータ134によりカンチレバー114をZ方向に駆動しながら、カンチレバー114の触針116aを試料測定面(XY方向)に沿って走査することにより、試料測定面150の形状を測定している。
【0027】
ここで、前記共振状態の変化を一定にするために三次元アクチュエータ134に加えた電圧の変化、つまり三次元アクチュエータ134のZ方向変位量は試料測定面150の形状に対応している。このためZ方向駆動手段142より得られる三次元アクチュエータ134のZ方向変位量情報を、XY方向駆動手段140より得られるカンチレバー114の触針116aのXY座標情報と対応させてメモリ144に記憶する。このメモリ144の情報をデータ処理手段146で処理することにより、試料測定面150の形状を得ることができる。これを外部出力手段148に画像として出力することができる。
【0028】
ところで、走査型顕微鏡には早い走査速度が要求されており、加振型センサの応答周波数を例えば100kHz以上に高めることが好ましいが、従来は曲げ振動を採用していたので、高周波数化が難しい。このために従来は例えば特開平8−211078号等に開示されるように高次モード(高調波成分)での振動を与えることも考えられるが、振動周波数が不安定になりやすい上、振動振幅も小さくなってS/N比が低下するので、測定の信頼性が得られ難かった。
【0029】
そこで、本発明において特徴的なことは、従来の曲げ振動に代えて、縦振動を採用したことである。このために本発明においては、背面側カンチレバー部材の背面の自由端寄りに、触針と同軸上において触針先端とは逆向きに突出する突起部を設けている。そして、加振手段が振動の節に位置し且つ触針先端及び突起部先端が振動の腹に位置するように、触針及び突起部をその軸方向である図中Z軸方向に縦振動させており、加振型センサの構造、特に触針先端及び突起部の軸方向の構造を、圧電材料部を中心(境面)として、その上下方向である図中Z軸方向に対称構造としている。
【0030】
このために本実施形態においては、例えばシリコン基台等よりなるカンチレバー取付台112にカンチレバー114の一端が固定されており、カンチレバー114の他端をフリーとする。
すなわち、前記カンチレバー取付台112は試料側カンチレバー取付台112aと、背面側カンチレバー取付台112bを備える。カンチレバー114は、試料側カンチレバー部材114aと、背面側カンチレバー部材114bを備える。前記試料側カンチレバー取付台112aに試料側カンチレバー部材114aの一端(固定端側)が固定され、背面側カンチレバー取付台112bに背面側カンチレバー部材114bの一端(固定端側)が固定されている。
【0031】
前記触針116は試料側カンチレバー部材114aの試料側面の自由端寄りに、該試料測定面と直交するZ方向へ伸長するように設けられている。
前記背面側カンチレバー部材114bの背面の自由端寄りに、触針116と同軸上において触針116と略同一形状の突起部152を設けており、突起部先端152bは触針先端116aとは逆向きに突出している。
【0032】
前記圧電材料部122は、例えば圧電薄膜等よりなり、試料側カンチレバー部材114aと背面側カンチレバー部材114b間における、突起部152及び触針116の軸線を中心とするその周囲のみに設けられている。
前記加振用電極124は、圧電材料部122を間に挟み図中Z軸方向に対向配置される。前記検出用電極126は、前記加振用電極124と並列となるように、圧電材料部122を間に挟み図中Z軸方向に対向配置される。
前記加振用電極124は増幅器138に接続され、前記検出用電極126は測定力一定化回路136に接続されている。
【0033】
ここで、前記加振用電極124による圧電材料部122への加振と、検出用電極126による共振状態の変化の検出を一定周期毎に交互に行う。
すなわち、前記増幅器138より加振用電極124に適切な周波数の電圧が印加されると、圧電材料部122は触針116と突起部152の軸方向に縦振動し、該圧電材料部122が振動の節に位置し且つ触針先端116a及び突起部先端152bが該振動の腹に位置するように、触針116及び突起部152をその軸方向に縦振動させる。
【0034】
この共振状態で、カンチレバー114の触針先端116aを試料測定面150に軽く接触させ、触針先端116aが試料測定面150より拘束を受けると、共振状態が変化する。検出用電極126よりの共振状態の変化情報が一定となるようにカンチレバー114の触針116を試料測定面150に沿って走査することにより、試料測定面150の形状を測定することができる。
【0035】
次に本実施形態にかかる加振型センサ110の製造方法について、図2に示される加振型センサ110の分解図を参照しつつ説明する。
まず例えばシリコン(Si)の単結晶よりなる基台より、例えばエッチング等によりカンチレバーを作る。これを2つ作り、それぞれ試料側カンチレバー、背面側カンチレバーとする。すなわち、試料側カンチレバー部材114a及び試料側カンチレバー取付台112a、背面側カンチレバー部材114b及び背面側カンチレバー取付台112bとする。
【0036】
そして、前記カンチレバー部材114a,114bの自由端寄りの面に、例えば窒化珪素(Si)製等の針状体を作り、それぞれ触針116、突起部152とする。
次に前記カンチレバー部材114a,114bの表面に、例えば窒化珪素膜等の絶縁層を形成し、それぞれ試料側絶縁層118a、背面側絶縁層118bとすする。その上に例えば白金等の電極を各カンチレバー部材に例えばスパッタリング法、蒸着等で、それぞれ2つ(全部で4つ)設け、それぞれ下部加振用電極124a、下部検出用電極126aとする。また上部加振用電極124b、上部検出用電極126bとする。さらに触針116、突起部152と対向する例えばカンチレバー部材114aの表面に、圧電材料部122として例えば酸化亜鉛あるいはPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電薄膜を設ける。
【0037】
また前記加振用電極124は、下部加振用電極124aと、上部加振用電極124bを備え、該下部加振用電極124a及び上部加振用電極124bは、圧電材料部122を間に挟み図中Z軸方向に対向配置される。
また前記検出用電極126は、下部検出用電極126aと、上部検出用電極126bを備え、該下部検出用電極126a及び上部検出用電極126bは、前記加振用電極124a,124bと並列となるように、圧電材料部122を間に挟み図中Z軸方向に対向配置される。
【0038】
またカンチレバー取付台112a,112bの表面に絶縁薄膜を、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法等により、圧電材料部と同じ厚さに形成し、それぞれ下部絶縁薄膜154a、上部絶縁薄膜154bとする。
このようにして製作された2つのカンチレバー部材114a,114bを同図に示されるように背中合わせに貼り付け、前記各電極にリード線を接続している。
すなわち、下部加振用電極124aに下部加振用リード線156aを、上部加振用電極124bに上部加振用リード線156bを接続し、各リード線156a,156bを増幅器138に接続している。また下部検出用電極126aに下部検出用リード線158aを、上部検出用電極126bに上部検出用リード線158bを接続し、各リード線158a,158bを測定力一定化回路136に接続している。このようにして本実施形態にかかる加振型センサ110を完成する。
【0039】
ここで、本実施形態においては、従来の曲げ振動に代えて、縦振動を励振させる構造としている。
すなわち、従来の曲げ振動方式では、カンチレバーの根元(固定端)に圧電材料部を設けており、これがカンチレバーを曲げの共振周波数で励起する。このとき、圧電材料部の分極(電極面は接触面に平行)は接着面に対し、直角方向となっている。圧電材料部はポアソン運動を行うため、上下に伸縮しているときでもそれと直角方向に180度の位相差で伸縮する。このような圧電材料部がカンチレバーの片側(根元の固定端側)に設けられているので、該固定端近傍のカンチレバーの一部が連動し、曲げ振動が発生しやすくなっている。
【0040】
これに対し、本実施形態では、加振型センサ110の構造、特に触針116及び突起部152の軸方向の構造を、圧電材料部122を中心(境面)として、図中Z軸方向に対称構造としており、基本的にはその上下方向(図中Z軸方向)に伸びる触針116、突起部152の曲げ振動よりも高い共振周波数で振動させることができる。
すなわち、本実施形態では、前述のように加振型センサ110の構造が上下対称なので、仮に曲げ振動がカンチレバー114に生じても、それは上下対称に発生し、その境面では中立を保ち、その振動をキャンセルすることができるからである。
【0041】
また本実施形態においては、前記縦振動をより励振し易くするためには、さらに例えば圧電材料の結晶方位等を正しく選ぶことも、好ましい。
すなわち、従来は圧電材料部として曲げ振動するものを用いており、カンチレバーの曲げ振動を行っていた。
【0042】
これに対し、本実施形態においては、圧電材料部122として縦振動するものを用いている。すなわち、本実施形態において、圧電材料部122としてZ方向に伸び縮みする結晶構造のものを選択している。このような圧電材料部122を触針116及び突起部152を中心とするその周囲のみに設けている。
【0043】
したがって、本実施形態においては、圧電材料部122を間に挟んで対向する一対の加振用電極124a,124bに適切な周波数、例えば曲げ振動よりも高い共振周波数の電圧を印加すると、圧電材料部122は触針116及び突起部152の軸方向(図中Z軸方向)に縦振動する。これにより図3に示されるように圧電材料部122を振動の節とし、且つ触針先端116a及び突起部先端152bを振動の腹として、触針先端116及び突起部152の軸方向(Z方向)に共振振動を起こす。この共振振動は触針116及び突起部152の長手方向を軸とする縦振動となるため、その共振周波数は非常に高いものとなる。
【0044】
例えば従来の曲げ振動ではカンチレバーの長さl=1mmの場合は、共振周波数fbr=27kHz程度であるのに対し、本実施形態においてはカンチレバー114の長さl=1mmの場合、共振周波数flr=2100kHz程度となり、従来と同じカンチレバーの長さでも、縦方向の共振周波数の方がはるかに高くなることがわかる。
【0045】
そして、本発明においては、共振周波数flr=100kHz以上を得るにはカンチレバー114の長さをl=10mmとすれば足りる。しかもカンチレバー取付台112を用いているので、カンチレバー114及びカンチレバー取付台112を含めた長さは20mm以上となるため、本実施形態にかかる加振型センサ110は人手で扱い易い大きさで、共振周波数を高めることができる。
【0046】
以上のように本実施形態にかかる加振型センサ110によれば、従来の曲げ振動に代えて、触針116及び突起部152の縦振動を用いているので、カンチレバー114の大きさを例えば10mm以上等の取り扱い易い大きさとしても、例えば100kHz以上の高い共振周波数を実現することができる。これにより本実施形態においては振動周波数の安定化、振動振幅の改善も図られる。
【0047】
第二実施形態
図4には本発明の第二実施形態にかかる加振型センサを用いた測定装置の概略構成が示されている。なお前記第一実施形態と対応する部分には符号100を加えて示し説明を省略する。
同図に示す加振型センサ210は、カンチレバー214を、前述のようなカンチレバー取付台に設けることなく、背面側カンチレバー部材214bの背面の固定端寄りをアクチュエータ234に直接設けている。
【0048】
また本実施形態においては、図5に示されるように試料側カンチレバー部材214a及び背面側カンチレバー部材214bが、例えばりん青銅やステンレス等の金属薄膜等よりなり、それぞれ触針216、突起部252が設けられている。前記試料側カンチレバー部材214aの触針側とは反対側の表面、背面側カンチレバー部材214bの突起部側とは反対側の表面には、絶縁層218a,218bがそれぞれ設けられ、その上に加振用電極224a,224b及び検出用電極226a,226bが設けられている。さらにその上面に圧電薄膜等の圧電材料部222、絶縁薄膜254a,254bを形成している。
【0049】
このようにして製作された試料側カンチレバー部材214aと背面側カンチレバー部材214bを背中合わせに貼り付けることにより本実施形態にかかる加振型センサ210を製作しても、前記第一実施形態と同様、加振型センサ210の構造、特に触針216及び突起部252の軸方向の構造を、圧電材料部222を境面として、図中Z軸方向に対称構造とすることができるので、前記第一実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0050】
なお、前記構成では、縦振動を得るために、加振型センサの構造を上下対称としており、圧電材料部を中心(境面)として、背面側カンチレバー部材と試料側カンチレバー部材が完全に同一形状のカンチレバーとした例について説明したが、満足のゆく縦振動が得られるのであれば、背面側カンチレバー部材と試料側カンチレバー部材とで形状が多少違っていてもよい。
例えば前記触針及び突起部は、圧電材料部を中心に該触針及び突起部の軸方向に対称構造としているが、カンチレバー背面の突起部に、圧電材料部が振動の節となるような任意形状の質量体を配置することも好ましい。
【0051】
また前記構成では、触針及び突起部の作り方として、例えば電解研磨等で作った別材料の触針及び突起部を、カンチレバー部材に接着や溶接で固着する等の方法が一例として挙げられるが、本実施形態においては、カンチレバー等の平板状の基部を用いているので、一般的な一体成形に代えて、例えばMEMS(Mechanical Electrical Micro System)の複合成形の技術(例えば特開平7−311207号等)で、例えば窒化珪素や窒化シリコン等の材料より製作することも、製作が容易な点等から好適である。この結果、前記MEMSの製作容易性等と、人手で扱い易い大きさで共振周波数を高めることのできる縦振動の両者の長所を利用することができるので、人手で扱い易く応答性の高い本実施形態にかかる加振型センサの実現が、より容易に行える。
【0052】
また前記構成では圧電材料部として圧電薄膜を用いた例について説明したが、これに代えて、バルク状の圧電体を用いることも好ましい。また前記構成では圧電薄膜の形成に例えばCVD法を用いた例について説明したが、その他、例えばゾルゲル法、スパッタリング法、水熱合成法、スクリーン印刷法等を採用することができる。
【0053】
また加振型センサを、前記検出用電極を用いた自己検出型に代えて、光検出型とすることもできるが、自己検出型の方が、以下の点でより好ましい。
すなわち、光検出型では、高S/N化のため、例えば図6に示されるように加振型センサを構成する。なお、同図(A)はその全体を側方より見た図、同図(B)は光学系の位置よりカンチレバーを見た図である。前記第一実施形態と対応する部分には符号200を加えて示し説明を省略する。
【0054】
同図に示す加振型センサ310は、例えば触針316(バランサ等の突起部352)の真上方に光学系(発光素子360、受光素子362等)を例えば並列に配置する。また前記光学系による光検出用の光364の通り道を作るために圧電材料部322、カンチレバー314に孔366を形成し円管型とし、バランサ等の突起部352を光透過性材料とする。あるいは突起部352を中空円筒状とする。
【0055】
しかしながら、光検出型の構成では、袋小路が計れない等の計測の対象ワークのアプリケーションが2.5次元構造までと限定されてしまう。また光学系は、圧電材料に比較し高価である。
これに対し、自己検出型であれば、このような限定がない点が、加振型センサにおいては非常に有利となる。さらに前記比較的高価な光学系を必要としない分、コストをより安価にできるからである。
【0056】
本実施形態においては、触針が試料測定面と接触する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、触針の振動が試料測定面からの影響によって変化する場合(原子間力や超音波による近接場現象を生じる場合)についても、実施できることは言うまでもない。
またカンチレバーの振動の検出を行うために、カンチレバーに歪ゲージを形成し、あるいは歪ゲージを接着して、この歪ゲージの抵抗値の変化から振動の変化を検出するようにしても良い。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように本発明にかかる加振型センサによれば、基部の試料側面とは反対側の背面に、触針と同軸上において触針先端とは逆向きに突出する突起部を設け、加振手段により触針及び突起部をその軸方向に縦振動させることとしたので、取り扱い易い大きさを得ることと、共振周波数を高めることを両立させることができる。
また本発明においては、前記加振手段は電圧変位変換効率に優れた圧電薄膜及びバルク状圧電素子よりなる群より選択された少なくとも一の圧電材料部であることにより、前記触針及び前記突起部の軸方向の縦振動が確実に行えるので、人手で取り扱い易い大きさを得ることと、共振周波数を高めることの両立を、より高いレベルで実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態にかかる加振型センサを用いた測定装置の概略構成の説明図である。
【図2】図1に示した加振型センサの説明図である。
【図3】図1に示した加振型センサにおいて特徴的な縦振動の説明図である。
【図4】本発明の第二実施形態にかかる加振型センサを用いた測定装置の概略構成の説明図である。
【図5】図4に示した加振型センサの説明図である。
【図6】本実施形態にかかる加振型センサを光検出型とする概略構成の説明図である。
【図7】一般的な加振型センサの説明図である。
【符号の説明】
110,210 加振型センサ
114,214 カンチレバー(基部)
116,216 触針
122,222 加振手段
124a,124b,224a,224b 加振用電極
126a,126b,226a,226b 検出用電極
152,252 突起部

Claims (3)

  1. 基部と、前記基部の試料側面に設けられ、試料測定部位と対向する触針と、前記基部を振動させる加振手段と、を備え、前記触針と試料測定部位間に作用する力を一定に保ちながら試料測定部位の形状情報を得る加振型センサにおいて、
    前記基部の試料側面とは反対側の背面に設けられ、前記触針と同一軸上において該触針先端とは逆向きに突出する突起部を備え、
    前記加振手段は、前記触針及び前記突起部間に設けられ、該触針と該突起部の軸方向に縦振動し、該加振手段が振動の節に位置し且つ該触針先端及び該突起部先端が該振動の腹に位置するように、該触針及び該突起部をその軸方向に縦振動させることを特徴とする加振型センサ。
  2. 請求項1記載の加振型センサにおいて、前記基部は一端が固定され、その他端がフリーな試料側カンチレバー部材及び背面側カンチレバー部材を含み、
    前記触針は前記試料側カンチレバー部材の試料側面の自由端寄りに設けられ、
    前記突起部は前記背面側カンチレバー部材の背面の自由端寄りに、前記触針と略同一形状のものが該触針先端とは逆向きに設けられ、
    前記加振手段は縦振動する圧電材料部を含み、前記試料側カンチレバー部材と背面側カンチレバー部材間において前記触針及び突起部の軸線を中心とするその周囲に、該圧電材料部の縦振動方向が該触針及び突起部の軸方向と一致するように設けられ、
    また前記加振手段を間に挟み対向配置され、該加振手段を振動させる加振用電極、及び前記触針と試料測定部位間に作用する力により変化する共振状態の変化を検出する検出用電極を備えたことを特徴とする加振型センサ。
  3. 請求項2記載の加振型センサにおいて、前記加振手段は圧電薄膜及びバルク状圧電素子よりなる群より選択された少なくとも一の圧電材料部であることを特徴とする加振型センサ。
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