JP2003054920A - 平均粒子径がミクロンオーダー以上及び球形度の高い窒化アルミニウム粉体、その製造方法及び製造装置 - Google Patents

平均粒子径がミクロンオーダー以上及び球形度の高い窒化アルミニウム粉体、その製造方法及び製造装置

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JP2003054920A
JP2003054920A JP2001246885A JP2001246885A JP2003054920A JP 2003054920 A JP2003054920 A JP 2003054920A JP 2001246885 A JP2001246885 A JP 2001246885A JP 2001246885 A JP2001246885 A JP 2001246885A JP 2003054920 A JP2003054920 A JP 2003054920A
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Yasumasa Takao
泰正 高尾
Masayoshi Oohashi
優喜 大橋
Mutsuo Santo
睦夫 山東
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生成物の溶融凝固や凝集が小さく、高分散性
で、一次粒子径の範囲が0.05〜100ミクロンに含
まれ、平均粒子径が1ミクロン以上及び粒子の外形が角
張らないことを同時に達成した新規な窒化アルミニウム
粉体、その製造方法及び製造装置を提供する。 【解決手段】 気相中、又は火炎の存在下、酸窒化反応
が進行するようにした製造方法、及び製造装置を用い
て、以下の技術的要件:(1)粒子径範囲が0.001
〜500μmに含まれる原料粉体の、高分散かつ安定な
流動化又はエアロゾル状態の形成;(2)火炎中のガス
雰囲気調整、及び火炎による高温を駆動力にした直接窒
化法又は還元窒化法の利用;(3)原料及び火炎量の比
率制御、還元剤として利用する発生炭素量の適正化、又
は熱処理工程の連続、を同時に制御することにより、A
l及びN元素を含む粉体を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な球形度の高
い窒化アルミニウム粉体、その製造方法及び製造装置に
関するものであり、更に詳しくは、火炎の熱エネルギー
及び還元力を酸窒化反応の駆動力として、予め反応活性
な酸窒化アルミニウム粉体を製造し、製造過程のその場
で還元剤を同時に作り、それを個々の酸窒化アルミニウ
ム粉体の周りに均一且つ高分散させ、それらを前駆体原
料として用いることで、従来の固相反応プロセスでは不
可能な低温条件下でAlONからAlNヘの窒化反応が
進行するようにしたことにより、フィラーとして有用
な、生成物の溶融凝固や凝集が小さく、高分散性で、一
次粒子径の範囲が0.05〜100ミクロンに含まれ、
平均粒子径が1ミクロン以上及び粒子の外形が角張らな
いことを同時に達成した新規な球形度の高い窒化アルミ
ニウム粉体、その製造方法及び製造装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】一般に、電子材料関連技術の中で、組成
が無機材料から成る粉体を、組成が有機材料から成る樹
脂系原料に充填して用いる複合材料系は、例えば、絶縁
材料や電極・導電材料、電気粘性流体、化学機械研磨用
スラリー、射出成形や鋳込み成形などのセラミック成形
プロセス原料などとして使用される重要な材料系であ
る。更に、近年では、この複合材料系は、半導体素子の
保護・絶縁などを目的としたパッケージング材料に広く
利用されるようになっている。そして、VLSI化の進
展に伴う素子の微細化に対応するために、微小な電極間
への注入や任意の形状化を実現するパッケージング材料
は、その高放熱性・高熱伝導性・低熱膨張性と同時に、
低粘性・高成形性が不可欠となっている。
【0003】現在のところ、放熱性などを向上させる目
的で充填される無機フィラー粉体は、Si及びO元素か
ら成る、非晶質で球状のシリカ粉体が主流を占めてい
る。熱的特性の観点からは、多くのシリカを充填する方
が望ましいが、その場合には、粘性・成形性が低下する
ため、一定の限界がある。そこで、成形性を損なわず
に、できるだけ多くのシリカを充填する目的で、シリカ
の粒子径分布や表面修飾の検討、微粒子の添加などが試
みられ、これらの各種の制御を組み合わせた工程が採用
されている。しかしながら、急速に進展する半導体素子
の開発競争の潮流下にあって、単体のシリコンチップ中
に全システムを内包するシステムLSIや、三次元実装
などのシステムレベルの多機能及び高密度化を志向する
システムインパッケージ等において、高度化する要求や
精度に応えるには、現時点の封止技術やフィラー特性で
はその対応に限界があることが指摘されていた(例え
ば、萩原伸介、”半導体用封止材の開発現況”、プラス
チックス、Vol.49、p.58、1998)。
【0004】ところで、シリカの理論的熱伝導率が約2
Wm-1-1であるのに対し、例えば、窒化アルミニウム
のそれは約300Wm-1-1であり、窒化アルミニウム
は、シリカより少量の添加でも高い放熱性が期待でき
る。即ち、熱的特性以外の、粒子径分布や球形度等の点
でも現行のシリカフィラーと同等の特性を有する窒化ア
ルミニウムフィラーが実現できれば、熱的特性と粘性・
成形性を同時に達成できる、画期的なフィラー及び封止
技術に発展する可能性がある。この観点から、既に、シ
リカの“一部”を窒化アルミニウム粉体に代替する試み
が発表されている(例えば、特開平9−183610公
報)。しかしながら、現時点では、フィラー粉体として
必要な粒子径(平均粒子径が数〜数10ミクロン程度)
を有する窒化アルミニウム粉体は、粉砕工程を経て製造
される直接窒化法が主流であるため、形状が角張った形
をした非球状粉体となっており、そのため、粘性・成形
性が著しく低下するという欠点があった。更に、粉砕工
程の採用は純度の点でも問題であり、ソフトリードエラ
ーの低減要請が、高度化する封止材料では重要課題とな
っている。そのため、窒化アルミニウム粉体のみをフィ
ラーとして使用することは現時点では実現できておら
ず、球状シリカフィラーを同時に添加することを余儀な
くされており、そのために、シリカの“一部”を代替す
るようないわば添加剤的な使用法しかできない状況にあ
った。
【0005】直接窒化法と並ぶ窒化アルミニウムの工業
的製造方法として、アルミナと炭素の混合物を窒素雰囲
気下で焼成する還元窒化法がある。この還元窒化法で
は、粉砕工程が不要であり、比較的球形度の高い粉体が
製造されている。しかしながら、現在の還元窒化法は、
主に焼結体原料粉体の供給プロセスとして確立されたも
のであり、平均粒子径がサブミクロンオーダーの粉体を
対象としており、そのため、フィラー粉体として必要な
数〜数10ミクロンオーダー以上の粒子径を持つ粉体が
容易に製造できるようには、現時点ではなっていない。
しかも、発熱反応である直接窒化法とは正反対の、吸熱
反応である還元窒化法では、1500〜1800℃程度
の高温度域での、且つ一定時間以上の熱処理が必須であ
り、フィラー粉体のような比較的大粒径の粉体を製造す
るために、大粒径のアルミナなどの原料粉体を用意した
場合に、電気炉加熱のみで効率よく還元窒化プロセスを
進めることが可能かどうか、現状では全く確認されてい
ない。また、高温度域の熱処理装置や、炭素源の除去が
必須であり、工程及び装置の数が増加するなど、直接窒
化法に比べてコスト的に不利である点も考慮しなければ
ならない。
【0006】また、研究室レベルで検討が行われている
窒化アルミニウム粉体の製法として、有機物前駆体を原
料とした気相(エアロゾル)合成法、火炎CVD法、熱
プラズマ法などがあげられる。しかしながら、これらの
方法は、一旦、原料を完全な気体状態として、蒸発―凝
縮反応、核生成、粒成長過程を経る駆動原理を主とする
ことから、必然的に、ナノメーターレベル(大きくても
数10ナノメーター)の粉体合成は可能である。しかし
ながら、それは、本発明で対象とする技術分野の材料系
に必ずしも好適なわけではないという問題がある。本発
明で主たる技術分野として対象とする、無機フィラー粉
体の分野では、フィラー粉体として必要とされる、平均
粒子径範囲が0.1〜100ミクロンに含まれ、平均粒
子径が1ミクロン以上及び粒子の外形が角張らない球状
である窒化アルミニウム粉体は、既往の気相法では実現
できていなかった。また、本発明で第二の技術分野とし
て対象とする、基板材料及びその原料粉体としても、一
般に、上記のような“超微粒子”は、捕集や分散、成形
などの粉体工学的取り扱いが難しい、易凝集性粉体であ
り、焼結体用原料粉体としては余り用いられない。上記
超微粒子は、むしろ、粘稠剤用フィラーとして利用され
ている。即ち、焼結体原料粉体供給プロセスとしては、
平均粒子径が数10ナノメーター〜サブミクロンレベル
から、ミクロンレベル程度の粉体を制御性良く合成可能
なことが求められるが、ビルディングアップ法であるこ
れらの手法は、そのために長時間を要したり、前駆体の
高濃度化が必要となって生成物の制御性が低下する恐れ
がある。しかも、減圧気相プロセスであるため、前駆体
・高濃度化の融通性は比較的小さい。更に、熱伝導率が
長所となる窒化アルミニウム粉体は、粒子径に最適範囲
がある。一般に、窒化アルミニウムAlNは、酸素を不
純物としてその含有量が増加する程、熱伝導性が低下
し、一方、酸素含有量が少なすぎると、焼結時に焼結助
剤として機能する酸窒化アルミニウムが過少で、焼結性
が低下する。そのため、約1%前後の酸素含有量が必要
とされている報告が多い。そして、酸素含有量は、通
常、その比表面積に経験的にほぼ比例することから、
(粒子径分布にも関係するが)平均粒子径がサブミクロ
ンレベルからミクロンレベル程度の粒子径範囲が選択さ
れている。この観点において、現状の気相合成法で得ら
れる窒化アルミニウム粉体は過小である。
【0007】いわゆる「フィラーサイズ」で、且つ外形
が角張らない「球形」の窒化アルミニウム粉体の、工業
的製造方法による製品を提供するためには、その多系で
あるAlONやAl23 を含めた、生成機構の再検討
が必要になるものと考えられる。例えば、Al2 3
AlNの混合物を窒素雰囲気中で高温焼成する方法は、
多くの多系を持つAlONの組成制御が比較的容易であ
るとの利点を有し、その製造方法として一般的である。
即ち、相図から、発想を転換すれば、逆にAlONをA
lNの前駆体と考えて、そこから窒化反応によって酸素
を取り除く方法も十分有り得るものと推察される。しか
しながら、Al23 −AlN高温焼成法は、固−固反
応であり、高温で長時間の熱処理が必須であり、実際の
焼成温度が2000℃以上に及ぶ場合も報告されてい
る。その理由としては、固相拡散を主たる反応機構と考
えた場合の、約1650℃以下での窒素の拡散率の低さ
などが指摘されている(例えば、1)Normand
D.Corbin,Aluminum Oxynitr
ideSpinel: A Review,Journ
al of the European Cerami
c Society,Vol.5、p.143、198
9; 2)Hiroyuki Fukuyama,Wa
taru Nakao,Masahiro Susa
and Kazuhiro Nagata,New S
ynthetic Method of Formin
g Aluminum Oxynitride by
Plasma Arc Melting,Journa
l of the American Ceramic
Society,Vol.82、p.1381、19
99)。
【0008】このような焼成条件下で生成された粉体
は、粗大化し、その後の粉砕も容易ではない。更に、長
時間熱処理と粉砕は、前述のように、純度の点でも問題
であり、半導体への応用などを考える場合、致命的にな
りかねない。また、高温処理用の炉体などが必須とな
り、製造コストの問題もある。即ち、既往の窒化アルミ
ニウム粉体の、主たる三つの製造方法によると、(1)
直接窒化法では粒子径は満足されるが形状が不適であ
る、(2)還元窒化法では球形度は満足されるが粒子径
が不適である、(3)従来の気相合成法では粒子径が不
適である、(4)その他のAlN多系による窒化反応で
は、低温処理のための技術的要件が不足し、粒子径・形
状共に不適であり、既往の方法では、粒子径と形状の両
方を満たすことは、現時点では、できていなかった。
【0009】本発明者らは、上記状況を踏まえ、種々検
討を重ねる中で、上記サイズの高純度粉体を経済性良く
製造し得る方法として、これまで、だれも予期し得なか
った、現行の代表的フィラーである非晶質球状シリカ粉
体に着目した。この粉体では「化学炎プロセス」が一般
的であり、可燃性ガスと酸素の混合ガスの燃焼火炎中に
硅石原料やSi金属粉を投入し、原料表面の溶融や、気
相中の蒸発−反応−結晶化プロセスの併用により、球形
度の高いシリカ粒子を、しかも、粒子径範囲を任意に調
整して製造することが行われている。この手法による球
状粒子化は、気相中で化学反応が進行した場合に、立体
的に周囲から作用を及ぼされることが少ないため、球状
に形を構成し易いというエアロゾル合成の特長を利用し
ている。また、蒸発―凝縮反応のみを駆動原理としてい
るわけではないので、超微粒子だけでなく、ミクロンレ
ベルから10数ミクロンのフィラー粉体サイズまで適用
可能である。
【0010】この方法や製造装置を窒化アルミニウム粉
体に適用することができれば、(1)粒子径が不適(粗
大或いは過小)、あるいは(粉砕による)形状異方性が
大きいという欠点の解消、(2)シリカフィラー合成で
蓄積されてきた粉体合成制御等の知的資産やノウハウの
利用により、粒子径分布など粉体特性の制御性の向上
や、必要な特性を得るための検討時間の短縮、(3)化
学炎法の製造装置の流用による初期設備投資の優位性、
(4)窒化反応の際に必要とされることがある炭素を反
応過程で同時に生成することができ(中性火炎から還元
性燃焼火炎とすれば実現できる)、それにより、前駆体
粉体の周りに均一且つ高分散に分布させることが可能で
あり、通常よりも低温で反応を終結させることが行い得
る、などの多くの利点が期待される。しかしながら、こ
れまで、「窒化アルミニウム“フィラー”化学炎プロセ
ス」の利用はだれも予期し得ず、全く実現されてこなか
った。これは、(1)「酸素」の存在する火炎中で非酸
化物を合成し得るとは考えられず、内炎又は還元性燃焼
火炎等の対酸素還元力を利用する発想がなかったこと、
(2)シリカと異なり、融点の存在しない窒化アルミニ
ウムでは「原料粉体表面の溶融」による球状化は期待で
きないこと、(3)「酸素」の存在する火炎中へ単純に
原料を投入するだけでは、非酸化物の窒化アルミニウム
が製造できないこと、(4)これまでは、一度の反応で
完全な窒化アルミニウムの結晶構造を有した粉体を合成
しなければならないと考え、気相合成の特徴である複数
の反応を連続化できる点に着目しなかったこと、などに
よるものと考えられる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況を踏まえて新たに開発されたものであり、上記従来
の窒化アルミニウム粉体、その製造方法及び製造装置が
持つ欠点を克服し、火炎の熱エネルギー及び還元力を酸
窒化反応の駆動力として、予め反応活性な酸窒化アルミ
ニウム粉体を製造し、製造過程のその場で還元剤を同時
に作り、それを個々の酸窒化アルミニウム粉体の周りに
均一且つ高分散させ、それらを前駆体原料として用いる
ことで、従来の固相反応プロセスでは不可能な低温でA
lONからAlNへの窒化反応が進行するようにしたこ
とにより、フィラーとして必要な、生成物の溶融凝固や
凝集が小さく、高分散性で、一次粒子径の範囲が0.0
5〜100ミクロンに含まれ、平均粒子径が1ミクロン
以上及び粒子の外形が角張らないことを同時に達成した
新規な球形度の高い窒化アルミニウム粉体、その製造方
法及び製造装置を提供することを目的とするものであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、以下のような技術的手段から構成される。 (1)酸窒化アルミニウムを原料にして、それを熱処理
することによって製造した窒化アルミニウムであって、
生成物の溶融凝固や凝集が小さく、高分散性であり、一
次粒子径の範囲が0.05〜100ミクロンに含まれ、
平均粒子径が1ミクロン以上であり、粒子の外形が角張
らないことを特徴とするAl及びN元素を含む粉体。 (2)酸窒化アルミニウムを原料にして、それを165
0℃以下で熱処理することを特徴とする、前記(1)に
記載のAl及びN元素を含む粉体。 (3)酸窒化アルミニウムを大気圧下の気相中で製造し
たことを特徴とする、前記(1)に記載のAl及びN元
素を含む粉体。 (4)酸窒化アルミニウムを、可燃性ガスの火炎、可燃
性ガスと酸素の混合ガスの燃焼火炎、可燃性ガスと酸素
の割合を完全燃焼比より酸素を少なくした還元性燃焼火
炎、不活性ガスのプラズマによる火炎、又は非接触状態
下の物質間に発生するアーク炎、の存在下で製造したこ
とを特徴とする、前記(3)に記載のAl及びN元素を
含む粉体。 (5)前記(4)に記載の火炎で自然発生する炭素、又
は可燃性ガスと酸素割合を完全燃焼比より酸素を少なく
した還元性燃焼火炎で強制的に発生させた炭素を、酸窒
化アルミニウムの表面に高分散性の還元剤として分布さ
せたことを特徴とする、前記(4)に記載のAl及びN
元素を含む粉体。 (6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載のAl及び
N元素を含む粉体を製造する方法であって、酸窒化アル
ミニウムの原料粉体を、気相中で分散状態に形成する工
程、原料粉体を火炎存在下直接窒化又は還元窒化する窒
化反応に付して酸窒化アルミニウムを製造する工程、又
は上記工程の後、更に酸窒化アルミニウムを熱処理する
工程、から成ることを特徴とするAl及びN元素を含む
粉体の製造方法。 (7)前記(1)〜(5)のいずれかに記載のAl及び
N元素を含む粉体の製造に使用するための装置であっ
て、火炎の発生装置と、原料粉体の供給装置と、空気、
窒素、アンモニア又は不活性ガスの供給装置とを構成要
素として含み、原料粉体の酸窒化反応が、火炎の存在
下、気相中で進行するようにしたことを特徴とする製造
装置。 (8)同軸上に内径の異なる複数個の円筒管を組み合わ
せた構造を有する火炎の発生装置を構成要素として含
み、何れかの円筒管へ原料粉体を供給し、他の円筒管へ
反応ガスを供給して、原料粉体の該円筒管先端部付近
で、原料粉体と反応ガスとが拡散混合され、原料粉体の
酸窒化反応が火炎の存在下、気相中で進行するようにし
たことを特徴とする、前記(7)に記載の製造装置。
【0013】
【発明の実施の形態】次に、本発明について更に詳細に
説明する。本発明者らは、(1)第一に、「酸素」の存
在する火炎はむしろ還元活性の大きい反応場と考えるこ
とができること、(2)第二に、可燃性ガス過多の内炎
中や、可燃性ガスと酸素割合を完全燃焼量論比より酸素
を減少させた還元性燃焼火炎を利用し、そこへ反応物を
“有効に”供給することで酸窒化物(又は窒化物)の反
応場として見なし得る上に、窒化反応の際に必要とされ
る還元剤(炭素)を反応過程で同時且つ容易に生成で
き、既往の固相反応プロセスとは比較にならない高分散
化が見込めること、(3)第三に、シリカのように溶融
過程を利用できなくとも、気相中で化学反応が進行した
場合に、立体的に周囲から作用を及ぼされることが少な
いため、球状に形状を構成し易いというエアロゾル合成
の特長が利用し得る上に、気相中で酸窒化反応が進行す
るようにすることは、球状化と同時に生成物の溶融凝固
や凝集を防止できることが見込める(特に、プロセスが
単純でコスト的に有利な原料金属粉の直接窒化法で原料
粉融着や粒成長抑制を実現し得る)こと、更に、気相合
成の制御因子の豊富さは生成粒子特性の高制御性を意味
すること、(4)第四に、化学炎法では、気相合成の特
徴である複数の反応や、熱処理等を連続化して用いるこ
とが可能(あるいは比較的容易)であること、に着目し
た。
【0014】以上の着想を実現すべく鋭意検討した結
果、具体的には、(1)燃焼火炎あるいはプラズマ火炎
中の酸素濃度を調整し、また、安定した内炎や還元性燃
焼火炎を維持すること、(2)好適な粒子径の実現並び
に生産性の観点から、火炎による熱エネルギーを駆動力
にした直接窒化法又は還元窒化法を主反応系として適用
すること、(3)流動化媒体を併用する流動層プロセス
を利用するなど、粉体状の原料を凝集の少ない高分散状
態で、且つ効率的に反応場へ供給すること、(4)原料
と火炎の量比率の適正化により酸窒化アルミニウムを前
駆体として製造し、同時に製造過程のその場で還元剤と
なる炭素を作り、それを個々の酸窒化アルミニウム粉体
の周りに均一且つ高分散させ、後段に熱処理工程を連続
化することで、既往の固相反応プロセスでは不可能な低
温焼成でAlN結晶構造とすること、そして、以上の4
点の制御を同時且つ効果的に組み合わせることで、フィ
ラーとして必要な粒子径と球形度を達成した窒化アルミ
ニウム粉体の製造を実現化した。
【0015】即ち、本発明は、(これまで想像の産物で
しかなかった)フィラーとして必要な、生成物の溶融凝
固や凝集が小さく、高分散性で、一次粒子径の範囲が
0.05〜100ミクロンに含まれ、平均粒子径が1ミ
クロン以上及び粒子の外形が角張らない球状であること
を同時に達成した新規な球形度の高い窒化アルミニウム
粉体、その製造方法及び製造装置を提供するものであ
り、火炎の熱エネルギー及び還元力を酸窒化反応の駆動
力として、予め反応活性な酸窒化アルミニウム粉体を製
造し、製造過程のその場で還元剤を同時に作り、それを
個々の酸窒化アルミニウム粉体の周りに均一且つ高分散
させ、それらを前駆体原料として用いることで、従来の
固相反応プロセスでは不可能な低温でAlONからAl
Nへの窒化反応が進行するようにしたことを特徴とする
ものである。本発明において、粒子の外形が角張らない
こととは、従来法による角張った形状異方性の大きな粉
体とは異なり、球状、楕円形、直方体などを包含する相
当に球形度の高い粒子の形状異方性が小さいものである
ことを意味する。
【0016】前記のように、本発明の重要な技術的要件
は、次の4点にある。(1)火炎中のガス雰囲気の調
整、及び内炎や還元性燃焼火炎の安定化、(2)火炎に
よる熱エネルギーを駆動力にした直接窒化法又は還元窒
化法の利用、(3)原料粉体の、気相中の分散状態の形
成、且つ効率的な反応場への供給、(4)原料及び火炎
量の比率制御、還元剤として利用する発生炭素量の適正
化、又は熱処理工程の連続化。
【0017】本発明において、原料粉体の流動化、気相
分散(エアロゾル)状態の形成・利用方法としては、例
えば、気流にのせて粉体を滞留化させる各種の流動層法
(原料粉体より大きく流動化し易い数100μm直径の
媒体メディアを同時に用いて、原料粉体の凝集を防止し
ながら高分散化を図る媒体流動層法、粉体層に振動を印
加して微粒子のチャネリングを防止する振動流動層法な
どを含む)が好適に用いられるが、例えば、更に、回転
円板やガスノズルを用いて粉体を気流にのせる各種噴霧
法、液体媒体中に粉体を分散させ超音波噴霧器や遠心噴
霧器などで液体ごと粉体を液滴化する液体噴霧法なども
適宜使用可能であり、特に制限されるものではなく、い
ずれの方法で調製された流動化原料粉体も使用すること
ができる。空気、窒素、アンモニア又は不活性ガスの供
給・制御装置としては、例えば、コンプレッサー等の圧
縮ガス式供給機、ガス製造設備より供給される高圧ガス
ボンベの内圧利用、浮き玉式流量計、マスフローコント
ローラー等が例示される。
【0018】また、気相分散状態の利用による原料粉体
の反応場への供給方法においては、火炎ごと内包可能
な、石英、アルミナ、コーディエライト、耐熱鋼等の、
反応管又は壁を設け、発生熱エネルギーの封止による反
応効率の向上や、供給粉体の搬送精度を高める方法が好
適に用いられるが、例えば、更に、(但し、反応効率に
問題が無ければ)自由空間において発生させた火炎中に
原料粉体を供給する手法も適宜使用可能であり、特に制
限されるものではなく、いずれの方法で調製された供給
方法も使用できる。更に、火炎中への原料粉体及び窒化
源(窒素、アンモニア又は不活性ガス等)の導入経路に
おいては、同軸上に内径の異なる複数個の円筒管を組み
合わせた構造を有する原料供給管を設け、火炎原料であ
る可燃性ガス又はプラズマ発生用の不活性ガスを外側か
ら、酸素及び原料粉体及び窒化源を内側から供給する二
重円筒方式が好適に用いられるが、例えば、更に、(但
し、反応系の駆動原理や、原料粉体及び窒化源の混合状
態、火炎の過冷却において問題が無ければ)上記の原料
供給管とは別に、火炎原料と酸素から発生させた火炎中
に周囲から、原料粉体及び窒化源を供給する手法も適宜
使用可能であり、特に制限されるものではなく、いずれ
の方法で調製された導入経路も使用できる。
【0019】また、気相分散状態利用による原料粉体の
反応場への供給の際は、サイクロン分級による原料粉体
の粒子径分布調整や粗大粒子除去を行い、反応効率や制
御性向上を図ることが好適なものとして例示されるが、
例えば、更に、邪魔板によるインパクター分級や、比較
的長めの供給管を用いることで粗大粒子が必然的に除去
されるようにすること、あるいは粒子径分布幅の狭い原
料粉体の場合は特に分級操作を行わない方式も適宜使用
可能であり、特に制限されるものではなく、いずれの方
法で調製された供給方法も使用できる。
【0020】本発明において、火炎の原料や発生・利用
方法としては、水素、メタン、ブタン、アセチレンなど
の液化石油ガス、アンモニアなど、各種の可燃性ガス、
及び酸素などの支燃性ガスが好適に用いられるが、更
に、アルゴンなど不活性ガスの電離によるプラズマ火
炎、又は被覆棒アーク、ザブマージアーク、イナートガ
スアークなど高電圧を印加された非接触状態下の物質間
に発生するアーク炎なども適宜使用可能であり、特に制
限されるものではなく、いずれの方法で調製された火炎
も使用できる。更に、火炎の発生装置としては、液化ガ
スあるいは都市ガス用のガスバーナー、ガス溶接ガン、
アーク溶接ガン、熱プラズマ装置などが例示されるが、
好適には、例えば、同軸上に内径の異なる複数個の円筒
管を組み合わせた構造を有する火炎の発生装置を構成要
素として含み、いずれかの円筒管へ原料粉体を供給し、
他の円筒管へ反応ガスを供給して、原料粉体の該円筒管
先端部付近で、原料粉体と反応ガスとが拡散混合され、
原料粉体の窒化反応が火炎の存在下、気相中で進行する
ようにした装置が例示される。
【0021】反応領域のその場で発生させた還元剤とな
る炭素などの製造・利用方法としては、メタン、ブタ
ン、アセチレンなどの液化石油ガス燃焼において、可燃
性ガスと酸素割合を完全燃焼量論比より酸素を減少さ
せ、還元性燃焼火炎として発生させた炭素が好適に用い
られるが、窒化反応において必要とされる還元力が条件
に合えば特に制限されるものではなく、例えば、相対的
に炭素含有量の多いアセチレンにおいて、非還元性の中
性炎に近い領域でも自然発生し易い炭素、上記の方法で
気相法的に別経路から導入した還元剤、プラズマ火炎に
おいて使用される非酸化性ガスなど、いずれの方法で調
製された還元剤も使用できる。
【0022】また、同軸上に内径の異なる複数個の円筒
管を組み合わせた構造を有する原料供給管を設け、火炎
原料であるC又はH元素から成る可燃性ガス又はプラズ
マ発生用の不活性ガスを外側から、酸素及び原料粉体及
び窒化源を内側から供給する二重円筒方式において、火
炎原料ガスと、原料粉体及び窒化源(及び酸素)を混合
し、同時に安定した内炎(及び外炎)又は還元性燃焼火
炎を発生させる火口形状としては、火炎原料ガスが数本
の噴射管に分けられて外周より噴出され、それより供給
源に近い位置で内側から噴出された酸素などを包囲し、
良好な混合状態が得られるスパッド型が好適に用いられ
る。しかしながら、これらは、特に制限されるものでは
なく、単体の火炎原料ガス供給管を用いる高圧型のガン
型、輪状の火炎原料ガス供給管円周に沿って多数の噴出
口が設けられたリング型、太口径ノズルが放射状に分割
されて火炎原料ガスと酸素などが並列して噴出されるア
ニュラー型、火口端で段差を設けて渦流制御に拠り火炎
の存在しないデッドスペースを減少させるウォールリセ
ス型、ウォールリセス型に加え火炎原料ガス供給管を主
管と袖火管に分割したステクタイト型、主管断面積を袖
火管断面積の10倍以上にして袖火噴出速度低減を図っ
たフェロックス型(又はピアン型)、火炎が並列して横
に並ぶライン型及びシェパード型、未燃ガス流中に邪魔
板を設けて高温渦流と再循環域を作り連続着火するブラ
フボディ型、混合ガスを高速で赤熱した耐火物に衝突さ
せて連続着火するラジアントカップ型、なども適宜使用
可能であり、いずれの方法で調製された火炎も使用でき
る。
【0023】本発明においては、酸窒化アルミニウムの
原料をAl元素から成る粉体とし、窒素、アンモニア又
は不活性ガスの存在下で、酸窒化反応を進行させるこ
と、酸窒化アルミニウムの原料をAl及びO元素から成
る粉体と、C元素から成る粉体の混合物とし、窒素、ア
ンモニア又は不活性ガスの存在下で、酸窒化反応を進行
させること、が好適なものとして例示される。「Al元
素から成る粉体」として記述した粉体状の原料の材料系
としては、任意の粒子径のアルミニウム金属粉体、水・
ガス・遠心の各アトマイズ法で製造された球形度の高い
気相合成・Al系粉体群が好適に用いられ、更に、Al
Cl3 などの塩化物、アルミニウムイソプロポキシド
(化学式Al(iso−OC353 )などのアルコ
キシド原料、アルミニウムアセチルアセトナト(化学式
Al(iso−C5723 )などのβジケトン錯
体、トリメチルアルミニウム(化学式Al(CH3
3 )などのアルキルメタルなどの低沸点の気相合成原料
群、などが例示されるが、特に制限はない。
【0024】本発明において、「Al及びO元素から成
る粉体とC元素から成る粉体の混合物」として記述した
粉体状の原料の材料系について、まず「Al及びO元素
から成る粉体」としては、市販のバイヤー法・改良バイ
ヤー法・アルコキシド法・アンモニウムドーソナイト法
・気相法などで製造されたアルミナ粉体群を好適とする
が、更に、α・γ・θ・κの各Al23 多系(中間ア
ルミナ)、AlOOHやAl(OH)3 の化学式で表現
される水酸化物前駆体、アセチルアセトナト(化学式A
l(C5723 )や、アンモニウムドーソナイト
(化学式NH4 AlCO3 (OH)2 )などの炭酸塩前
駆体、アルミニウムイソプロポキシド(化学式Al(i
so−OC353 )などのアルコキシド原料、アル
ミニウムアセチルアセトナト(化学式Al(iso−C
5723 )などのβジケトン錯体、トリメチルア
ルミニウム(化学式Al(CH33 )などのアルキル
メタルなどの低沸点の気相合成原料群、などが例示され
るが、特に制限はない。また、「C元素から成る粉体」
としては、任意の粒子径の炭素粉体、カーボンブラック
やアセチレンブラックなど純度の高い気相合成・炭素粉
体、などが例示されるが、特に制限されるものではな
い。なお、原料粉体は、一次粒子径の範囲が0.05〜
100ミクロンに含まれること求められる。その理由
は、原料粉体の特性(主に粒子径と形状)が、合成され
る酸窒化アルミニウムの前駆体粉体特性に反映されるた
めである。また、原料粉体の供給装置としては、ニーダ
ーなどのスクリュー式、二軸ミルなどのローター式供給
装置、粉体搬送用の気流供給などが例示される。
【0025】本発明において、火炎中で合成された粉体
に連続的又は断続的に高温を付与する方法・装置として
は、熱CVD法などで採用される通常の電気炉加熱を好
適とするが、熱処理用の燃焼火炎を複数設けることによ
る火炎再加熱、プラズマ炎やアーク炎の利用、イメージ
炉式加熱なども適宜使用可能であり、特に制限されるも
のではない。更に、熱処理の条件は、火炎中で合成され
た直後の状態の酸窒化アルミニウム粉体の形態や結晶相
により決定される。一般的な条件として、窒素、アンモ
ニア又は不活性ガス雰囲気が例示される。但し、既往の
固相反応プロセスでは不可能な1650℃以下を好適と
するが、粒子径分布を比較的大きめに制御したい場合な
ど、必ずしも限定されない。熱処理により、窒化アルミ
ニウム相の割合・高制御化の格段の効果が得られる。
【0026】本発明において、組成が無機材料から成る
粉体を、組成が有機材料から成る樹脂系原料に充填して
用いる複合材料系としては、半導体素子の保護・絶縁な
どを目的としたパッケージング材料が好適に用いられる
が、更に、絶縁材料や電極・導電材料、電気粘性流体、
化学機械研磨用スラリー、射出成形や鋳込み成形などの
セラミック成形プロセス原料などの材料系も例示され
る。充填するフィラーである無機材料から成る粒子状材
料としては、半導体パッケージング材料で多用されるシ
リカSiO2 又は窒化アルミニウムAlNが好適に用い
られるが、例えば、Al2 3 、SiC、Si34
どの他の酸化物系、Au、Ag、Pd、Pt、Cu、A
l、Au−Pdなど金属系も当然使用可能であり、特に
制限はない。また、結晶性についても制限は無く、結晶
性又は非晶質のいずれでも構わない。媒体である液状材
料としては、イオン交換水や蒸留水などの水系、エタノ
ールなどの有機非水系のほか、レゾール型やノボラック
型のフェノール樹脂、ビスフェノール型クレゾールノボ
ラック多官能型のエポキシ樹脂、ハロゲン化樹脂など、
常温で固形タイプの樹脂材料や、常温で液状タイプの次
世代半導体素子用のパッケージング材料で多用される樹
脂材料が好適に用いられるが、特に制限はない。
【0027】本発明において、基板材料及びその原料粉
体としては、LSIやICが単体では無く、複数素子が
多層化・高集積化され、単体のシリコンチップ中に全シ
ステムを内包するシステムLSI、マルチチップモジュ
ール、又は三次元実装などシステムレベルの多機能高密
度化を志向するシステムインパッケージ用の基板材料、
又は電力変換用パワーデバイス(例えば、スイッチング
電源の一次整流用ブリッジダイオード、プリンターやF
AXなどのモータドライバー用IC、通信機器又はデジ
タル家電向けDC/DCコンバータIC、インバータ照
明向け高耐圧IC、TV・VTRなどのハイブリッドI
Cなど)が例示されるが、特に制限はない。
【0028】本発明は、平均粒子径が数〜数10ミクロ
ンの粒子径と、高い球形度とを同時に達成した新規な窒
化アルミニウム粉体、その製造方法及び製造装置を提供
することを可能とし、上記粉体は、特に、組成が無機材
料から成る粉体を組成が有機材料から成る樹脂系原料に
充填して用いる複合材料系において、その原料粉体(フ
ィラー)として最適である。本発明の方法により製造し
た窒化アルミニウム粉体の特性及びその製造方法の利点
を以下に示す。即ち、上記粉体は、生成物の溶融凝固や
凝集が小さく、高分散性で、一次粒子径の範囲が0.0
5〜100ミクロンに含まれ、平均粒子径が1ミクロン
以上及び粒子の外形が角張らない球状であることを同時
に達成したものである。また、結晶相は、酸窒化アルミ
ニウムの各多系相から、AlN相、Al23 相まで任
意に制御して製造することが可能である。
【0029】
【実施例】次に、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定される
ものではない。 (1)方法 図1に、本発明に基づく製造装置の構成の一例を模式的
に示す。ここでは、液化石油ガスと酸素系の化学炎と、
窒素又はアンモニアの窒化源、そして、粒子状の原料粉
体とから成る、気相(エアロゾル)製造プロセスを構築
した。図1において、反応器(Diffusion B
urner Flame Reactor)は、透明石
英管(Quartz Tube)とステンレス製二重円
筒管による拡散火炎式とし、火口はスパッド型(Spu
d−type)を用いた。外管へ火炎原料ガス(Hyd
rocarbon Gases)を供給し、内管へ原料
粉体(Raw Precursor Powder)、
及び反応ガス系、ここでは、NH3 の窒化ガス(Nit
riding Gas)と、O2 とを搬送した。図1で
は、先ずAl原料粉体を流動層エアロゾル発生装置(F
luidizedBed Aerosol Gener
ator)に搬送し、原料粉体の粒子サイズを選別(C
lasification)し、火炎原料ガスと酸素比
率や窒化ガスの納入経路(Control of Ni
triding Gas Inlet Positio
n)などを調整して、内炎(Inner Lumino
usFlame)で気相合成し、生成物(Result
ant Productsin Gas Phase
“Aerosol”)をフィルター(Filter)を
通してポンプ(Pump)引きし、有害ガスなどをトラ
ップ(Trap)除去する構成が採用される。化学炎法
へ適用する基礎反応系の一例として、ここでは、Al粉
体の直接窒化法を用いたが、勿論、還元窒化法でも問題
はない。
【0030】Al原料粉体としては、平均粒子径約10
ミクロンのガスアトマイズ法による球状粉体を用いた。
その流動化は、媒体流動層法とし、直径150ミクロン
のガラスビーズを媒体として使用した。原料粉体は、窒
素ガスにより1分当たり10リッターで、液化石油ガス
は1分当たり5リッターで供給した。そして、制御因子
として酸素ガス供給量を、液化石油ガスとの化学量論比
から還元性火炎側へ調節し、反応領域のその場で還元剤
となる炭素を作った。製造された前駆体粉体を、窒素ガ
ス1分当たり0.5リッターの気流中、1400℃(即
ち、1650℃以下)で、熱処理した。
【0031】(2)結果 図2に、本発明の方法による、酸窒化アルミニウムの前
駆体粉体のエックス線分析結果を示す。酸窒化アルミニ
ウム相のピークと共に、炭素還元剤のピークが確認され
る。図3に、本発明の方法による、窒化アルミニウム粉
体の一例のSEMを示す。その結果、従来法による角張
った形状異方性の大きな粉とは異なり、真球状に相当の
球形度の高い窒化アルミニウム粉体が得られた。10ミ
クロンの出発粒子径から、微細粒子側は約0.1ミクロ
ン、粗大粒子側は約10ミクロンまで、制御可能であっ
た。即ち、原料粉体の1/30程度から、1倍程度まで
(即ち、融着などの粗大化を引き起こさずに)調整させ
ることができた。生成粒子径は、上記の合成条件の他、
原料粒子径を変えることで任意に制御可能であり、現
在、市販品で容易にサブミクロンから数10ミクロン程
度のAl粉体を入手可能なことから、合成し得る一次粒
子径の妥当な範囲として0.05〜100ミクロンが保
証される。
【0032】従って、本発明が対象とする技術分野のフ
ィラー粉体として主に必要な、(1)生成物の溶融凝固
や凝集が小さく、高分散性であること、(2)一次粒子
径の範囲が0.05〜100ミクロンに含まれること、
(3)平均粒子径が1ミクロン以上及び粒子の外形が角
張らない球状であること、が同時に達成され、既往の固
相法的ルートでは不可能な低温焼成にも関わらず、Al
ONからAlNへの窒化反応を進行させて、これまで想
像の産物でしかなかった粒子径及び粒子径分布と高い球
形度を同時に達成した新規な窒化アルミニウム粉体を得
ることができた。本発明では、1650℃のみならず、
この実験結果のように、1500℃以下程度にまで低温
化することが可能であり、例えば、既存の還元窒化プロ
セスで構築された技術基盤、ノウハウ及び装置設備の転
用も期待することができ、その工業化が十分に見込まれ
る。
【0033】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
(1)上記粉体は、高価な熱処理設備や粉砕工程を用い
ずに、フィラー粉体分野で構築された既往の製造設備で
直接合成可能である、(2)平均粒子径が10μmオー
ダー程度の粒子径を有する窒化アルミニウム粉体が得ら
れる、(3)サブミクロンオーダーから10数ミクロン
オーダーまでの幅広い粒子径分布を有する窒化アルミニ
ウム粉体が得られる、(4)前記の粒子径特性を満た
し、同時に従来製品に期待できない高い球形度が実現さ
れる(従来、平均粒子径が1ミクロン以上の窒化アルミ
ニウム粉体では、粉砕工程が必須であり、角張った形状
異方性の高い粉体しか存在しなかった)、(5)特に、
例えば、半導体パッケージング材料などの、組成が無機
材料から成る粉体を、組成が有機材料から成る樹脂系原
料に充填して用いる複合材料系において、生成物の溶融
凝固や凝集が小さく、高分散性で、一次粒子径の範囲が
0.05〜100ミクロンに含まれ、平均粒子径が1ミ
クロン以上及び粒子の外形が角張らないことを同時に達
成した新規なフィラー粉体として最適な粉体を得ること
ができる、という格別の効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造装置の構成の一例の模式図であ
る。
【図2】実施例で製造した、酸窒化アルミニウム、及び
炭素還元剤の、前駆体粉体のエックス線分析ピークを示
す。
【図3】実施例で製造した、窒化アルミニウム粉体の一
例のSEMを示す。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸窒化アルミニウムを原料にして、それ
    を熱処理することによって製造した窒化アルミニウムで
    あって、生成物の溶融凝固や凝集が小さく、高分散性で
    あり、一次粒子径の範囲が0.05〜100ミクロンに
    含まれ、平均粒子径が1ミクロン以上であり、粒子の外
    形が角張らないことを特徴とするAl及びN元素を含む
    粉体。
  2. 【請求項2】 酸窒化アルミニウムを原料にして、それ
    を1650℃以下で熱処理することを特徴とする、請求
    項1に記載のAl及びN元素を含む粉体。
  3. 【請求項3】 酸窒化アルミニウムを大気圧下の気相中
    で製造したことを特徴とする、請求項1に記載のAl及
    びN元素を含む粉体。
  4. 【請求項4】 酸窒化アルミニウムを、可燃性ガスの火
    炎、可燃性ガスと酸素の混合ガスの燃焼火炎、可燃性ガ
    スと酸素の割合を完全燃焼比より酸素を少なくした還元
    性燃焼火炎、不活性ガスのプラズマによる火炎、又は非
    接触状態下の物質間に発生するアーク炎、の存在下で製
    造したことを特徴とする、請求項3に記載のAl及びN
    元素を含む粉体。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の火炎で自然発生する炭
    素、又は可燃性ガスと酸素割合を完全燃焼比より酸素を
    少なくした還元性燃焼火炎で強制的に発生させた炭素
    を、酸窒化アルミニウムの表面に高分散性の還元剤とし
    て分布させたことを特徴とする、請求項4に記載のAl
    及びN元素を含む粉体。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載のAl及
    びN元素を含む粉体を製造する方法であって、酸窒化ア
    ルミニウムの原料粉体を、気相中で分散状態に形成する
    工程、原料粉体を火炎存在下直接窒化又は還元窒化する
    窒化反応に付して酸窒化アルミニウムを製造する工程、
    又は上記工程の後、更に酸窒化アルミニウムを熱処理す
    る工程、から成ることを特徴とするAl及びN元素を含
    む粉体の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれかに記載のAl及
    びN元素を含む粉体の製造に使用するための装置であっ
    て、火炎の発生装置と、原料粉体の供給装置と、空気、
    窒素、アンモニア又は不活性ガスの供給装置とを構成要
    素として含み、原料粉体の酸窒化反応が、火炎の存在
    下、気相中で進行するようにしたことを特徴とする製造
    装置。
  8. 【請求項8】 同軸上に内径の異なる複数個の円筒管を
    組み合わせた構造を有する火炎の発生装置を構成要素と
    して含み、何れかの円筒管へ原料粉体を供給し、他の円
    筒管へ反応ガスを供給して、原料粉体の該円筒管先端部
    付近で、原料粉体と反応ガスとが拡散混合され、原料粉
    体の酸窒化反応が火炎の存在下、気相中で進行するよう
    にしたことを特徴とする、請求項7に記載の製造装置。
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