JP3983498B2 - 魚釣用リ−ル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハンドル操作に連動回転し釣糸案内部を有するロ−タの正回転を許容し逆回転を防止する逆転防止装置を備えた魚釣用リ−ルの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より逆転防止装置は、ハンドルに連動回転する駆動軸に固定され該駆動軸と一体回転するラチェット歯車に、リ−ル本体に回動可能に支持された係止爪を係合して構成されるラチェット方式が一般的に知られており、ラチェット歯車の歯部(係止部)の数を多く形成して逆転止め時の空転角を少なくできることにより、ロ−タの筒部内周の周方向に複数の歯部(係止部)を一体形成してリ−ル本体に支持した係止爪を係合させて逆転防止装置を構成したものが実開平5−2678号公報で知られているが、以下の課題が残されている。
【0003】
a.ロ−タ逆転止め時の衝撃により、係止爪によってロ−タ筒部内周の歯部に傷が付き易く、ロ−タが金属製の場合等はその傷部分より腐食が発生し、歯部の強度が低下して逆転止め機能に支障をきたす。
b.過負荷のロ−タ逆転止め使用や長時間の使用等で、ロ−タ筒部内周の歯部が損傷した時の修理を行う場合、ロ−タ全体の新規交換となってしまうため、修理費が高価となってしまうと共に交換作業に手間がかかる。
c.逆転防止強度の向上を図る場合、歯部の強度向上に伴う材料選択使用により、ロ−タ全体が重量化してしまい、設計の自由度が制約されてしまう。
d.ロ−タは異形であるため、歯部を精度高く形成し難い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
解決しようとする問題点は、ロ−タ筒部内周に歯部を設けることは実用性に劣ることである。
【0005】
本発明の目的は前記欠点に鑑み、回転体の円筒部内に設ける逆転防止係止部を改善した魚釣用リ−ルを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、
請求項1に係わる本発明は、スプールに釣糸を案内する釣糸案内部を有すると共に、ハンドル操作に連動回転するロータに逆転係止部を形成し、リ−ル本体に支持された係止部材を係合してなる逆転防止装置を備えた魚釣用リ−ルにおいて、前記ロータの筒部内側に周設した複数の前記逆転係止部の表面を、前記ロータに着脱可能に取付固定される保護部材で被覆したことを要旨とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
請求項1の本発明により、ロ−タからなる回転体3は円筒部3a内に周方向に逆転係止部3nが形成され、逆転係止部3nの外側に別体の保護部材7が嵌合されて複数のビス34で回り止め取付固定されて覆われているので、設計の段階でそのリ−ルの仕様に適した材料の保護部材7を回転体3と分離して選択使用でき設計の自由度を増すことができる。
保護部材7に必要な強度に回転体3の材料を合わせる必要がなく、リ−ルの重量増を最小限に抑え、軽量化を図ることが出来る。
回転体3の逆転係止部3nと分離して保護部材7が取付固定されて被覆されているので、使用経過による損傷が生じても保護部材7の交換で修理できるので、安価で且つ修理の際の作業も簡単になり、作業性が良い。
【0008】
【実施例】
以下、図示の実施例によって本発明を説明すると、魚釣用リ−ルを魚釣用スピニングリ−ルで述べれば、図1から図6は第1実施例で、図1は魚釣用スピニングリ−ルの要部断面側面図、図2は図1のロ−タからなる回転体の要部拡大断面側面図、図3はロ−タからなる回転体の要部拡大断面背面図、図4はスプ−ルの要部拡大断面側面図、図5はスプ−ルの平面図、図6はスプ−ルの断面背面図である。
【0009】
魚釣用スピニングリ−ルは、リ−ル本体1の両側に駆動歯車10の回動軸10aが図示しない軸受で軸支され、回動軸10aの中心多角形孔にハンドル11が固定されたハンドル軸12が左右交換自在に挿入嵌合されている。
リ−ル本体1の前部には軸受13で回転軸筒2が回転自在に軸受されると共に前側に突出されている。
軸受13より前側の回転軸筒2の外周にカラ−14とロ−タからなる回転体3が嵌合されてナット15で固定されている。
【0010】
回転軸筒2の基端は軸受部1aで回転自在に軸承され、基端の前側に一体的に形成されたピニオン2aに駆動歯車10が噛合されてロ−タからなる回転体3はハンドル11の回転に連動して回転されるように支持されている。
回転軸筒2の中心孔には先端にスプ−ル4が取り付けられたスプ−ル軸16が前後往復動可能に摺動自在に挿入され、スプ−ル軸16の後端部には摺動子17が係止板18で取り付けられている。
【0011】
リ−ル本体1内の回転軸筒2のピニオン2aより前側に連動歯車19が回転軸筒2に回り止め嵌合されている。
リ−ル本体1内にはスプ−ル軸16と平行に摺動機構のトラバ−スカム軸20が軸受部1aとリ−ル本体1の後側に取り付けられた側板21で支承されている。
トラバ−スカム軸20の先端には小歯車22が回り止め嵌合されて小歯車22は前記連動歯車19に噛合されている。
トラバ−スカム軸20には前記摺動子17が嵌合されて摺動子17に設けた係合子23の爪がトラバ−スカム溝に係合されている。
【0012】
リ−ル本体1に回動自在に取り付けられた操作杆24の前側に円板25が固定され、円板25に作動ピン25aが植設されている。
リ−ル本体1の後側外部に突出した操作杆24に操作ツマミ26が取り付けられている。
リ−ル本体1の前側に支持軸27が植設されて支持軸27の前側に小径軸が形成されて外周に逆転防止爪からなる係止部材5と付勢バネ28が嵌合されてEリング29で抜け止めされている。
逆転防止爪からなる係止部材5は爪部5aと作動部5bで形成され、爪部5aは係止部6aに臨まされて作動部5bに作動ピン25aが臨まされている。
【0013】
ロ−タからなる回転体3は円筒部3aと円筒部3aの後側で放射方向に延出した一対のベ−ル支持腕の基部3b、3cと基部から前方に延出された一対のベ−ル支持腕3d、3eと円筒部3a内の壁部3fとボス部3gとで形成されている。
一方のベ−ル支持腕3dの外側には一方のベ−ル支持部材30が螺子31で取り付けられ、他方のベ−ル支持腕3eの外側には他方のベ−ル支持部材32が螺子33で取り付けられ、実線の釣糸巻取位置と図示しない釣糸放出位置に反転自在に抜止め支持されている。
円筒部3a内の壁部3fより後側に別体の逆転防止体6が嵌合されて複数のビス34で回り止め取付固定されている。
逆転防止体6には複数の爪からなる係止部6aが形成されている。
逆転防止体6の材料は強化繊維樹脂やステンレス、アルミ、アルマイト、真鍮や硬質クロ−ムメッキ処理された材料が使用されている。
逆転防止体6の材料は回転体3の材料と異なる材料とすることが出来る。
【0014】
一方のベ−ル支持部材30には釣糸案内ロ−ラ35の取付部36が取り付けられている。
他方のベ−ル支持部材32と釣糸案内ロ−ラ35の取付部36の間にベ−ル37が取り付けられている。
一方のベ−ル支持腕3dの凹部3h内にはト−ションバネ38が設けられて一端が一方のベ−ル支持部材30の穴に、他端がベ−ル支持腕3dに係止されて一方のベ−ル支持部材30と他方のベ−ル支持部材32と釣糸案内ロ−ラ35の取付部36とベ−ル37を釣糸捲取り位置と釣糸放出位置に振分け付勢するように構成され、ト−ションバネ38はビス39で固定されたカバ−40で覆われている。
一方のベ−ル支持腕3dの凹部3h内には一方のベ−ル支持部材30の底面が載る段部を有し中心に螺子31が螺合される凸部3iが形成されている。
【0015】
他方のベ−ル支持腕3eの凹部3j内には他方のベ−ル支持部材32の底面が載る段部を有し中心に螺子33が螺合される凸部3kが形成されている。
他方のベ−ル支持腕3eの凹部3j内には内蹴りレバ−41が設けられて内蹴りレバ−41の一端41aは他方のベ−ル支持部材32の底面に穿設された穴に挿入されて所謂内蹴り反転機構が組み込まれ、内蹴りレバ−41はビス42で固定されたカバ−43で覆われている。
内蹴りレバ−41の他端41bは他方のベ−ル支持腕3e側の基部3cに穿設された透孔3mに挿入されてリ−ル本体1側に突出されている。
リ−ル本体1には反転用突起1bが形成されている。
【0016】
スプ−ル4は、前側の鍔部4aと釣糸44が巻回される外周テ−パ−状の釣糸巻回胴部4bと、円筒状の後側円筒部4cとで形成されている。
スプ−ル4の釣糸巻回胴部4b内部には制動部材Aが収容されてスプ−ル軸16の先端部に螺合されたツマミ45で制動力が調節される。
後側円筒部4cの外周の周方向の任意の部位に釣糸44の釣糸係止部材46が固定され、釣糸係止部材46に釣糸係止舌片46aが形成されている。
釣糸係止舌片46aは弾性変形可能で釣糸44の端部が挟着される。
後側円筒部4cの周方向には釣糸44が挿入可能な内径の複数の透孔4dが形成されている。
透孔4dは一個でもよい。
【0017】
リ−ル本体1の後側に取り付けられた側板21と、一方のベ−ル支持部材30と他方のベ−ル支持部材32のカバ−40、43にはこれら部材の外側表面の保護、傷防止するピン47が固定されている。
ピン47が固定される位置は夫々リ−ル本体1やロ−タ3の突出部位である。
ピン47の固定方法は圧入、カシメ、ネジ等で行われる。
【0018】
前記魚釣用スピニングリ−ルの動作は、釣糸44がスプ−ル4に巻回される方向にハンドル11が回転されると、駆動歯車10が回転されてピニオン10aを介して回転軸筒2とロ−タからなる回転体3が正回転される。
更に連動歯車19と小歯車22を介してトラバ−スカム軸20が連動回転されて摺動子17とスプ−ル軸16とスプ−ル4が前後に往復動される。
制動力が調節される時は、ツマミ45が回動されて制動力が調節される。
ロ−タからなる回転体3が逆回転防止される時は、操作ツマミ26と操作杆24と逆転防止爪からなる係止部材5が回動されて逆転防止爪からなる係止部材5が逆転防止体6の爪からなる係止部6aに係合されて回転体3の逆回転が防止される。
ロ−タからなる回転体3が逆回転防止されて釣が行われ、獲物の引きで釣糸44が引かれてスプ−ル4が逆回転されると、スプ−ル4とスプ−ル軸16の間で制動力が働く。
【0019】
仕掛が投擲されて釣糸44が遠方へ放出される際は、ベ−ル支持部材30、32が釣糸放出位置に反転されて釣竿が勢いよく振り下ろされる。
この時釣糸巻回胴部4bに巻回されている釣糸44はスパイラル状に解かれて前部鍔部4aより前方へ放出される。
この時内蹴りレバ−41の他端41bはリ−ル本体1の反転用突起1bに当接可能に臨まされている。
ハンドル11の回転でロ−タからなる回転体3が回転されると、反転用突起1bに内蹴りレバ−41の他端41bが衝接されて後退され、ベ−ル支持部材30、32が実線の釣糸巻取位置に反転される。
【0020】
魚釣用スピニングリ−ルが前記のように構成されると、ロ−タからなる回転体3は円筒部3a内に別体の逆転防止体6が嵌合されて複数のビス34で回り止め取付固定されているので、設計の段階でそのリ−ルの仕様に適した材料の逆転防止体6を回転体3と分離して選択使用でき設計の自由度を増すことができる。
逆転防止体6の爪からなる係止部6aに必要な強度に回転体3の材料を合わせる必要がなく、リ−ルの重量増を最小限に抑え、軽量化を図ることが出来る。
回転体3と分離して逆転防止体6が取付固定されているので、精度高く爪からなる係止部6aが形成できる。
逆転防止体6の爪からなる係止部6aに使用経過による損傷が生じても逆転防止体6の交換で修理できるので、安価で且つ修理の際の作業も簡単になり、作業性が良い。
逆転防止体6の材料を強化繊維樹脂とすると、傷部分よりの腐食の発生が防止出来る。
【0021】
スプ−ル4の後側円筒部4cの外周の周方向の任意の部位に釣糸44の釣糸係止部材46が固定され、後側円筒部4cの周方向には釣糸44が挿入可能な内径の複数の透孔4dが形成されていると、釣糸44の端部は透孔4dに挿入されるので、釣糸44が太い場合は、釣糸44自体に張りがあり、釣糸44の端部にリ−ル本体後側方向に力がかかると釣糸44が釣糸係止部材46から外れ、外れた釣糸44はバックラッシュして糸が絡む等の不具合が発生するが、端部が透孔4dに挿入されていると、釣糸係止部材46の釣糸係止舌片46aから外れ難い。
リ−ル本体1やロ−タ3の突出部位の側板21やカバ−40、43にピン47が固定されていると、リ−ル本体1やロ−タ3から突出した部材の保護、傷防止となる。
ピン47の固定は簡単で、部品費を安く傷防止が出来る。
ピン47を複数個取り付けることで、デザイン性が出てくる。
取付場所の自由度が大きい。
【0022】
図7、図8は釣糸係止機能の他の実施例で、図7はスプ−ルの平面図、図8はスプ−ルの断面背面図である。
【0023】
釣糸係止機能の他の実施例では、スプ−ル4の釣糸44の釣糸係止部材46取付位置一側の後側円筒部4cの外周に平面部4eで段部4fが形成されている。
他の構成は前記第1実施例と略同一である。
【0024】
釣糸係止機能の他の実施例では、段部4fで釣糸44が釣糸係止部材46に挟着される前の段階でリ−ル本体後側方向にズレることが防止される。
【0025】
図9、図10は本発明の請求項1に係わる第1実施例で、図9はロ−タからなる回転体の要部拡大断面側面図、図10はロ−タからなる回転体の要部拡大断面背面図である。
【0026】
第1実施例で、ロ−タからなる回転体3の円筒部3a内の壁部3fより後側の周方向に逆転係止部3nが形成されている。
逆転係止部3nは別体の保護部材7が嵌合されて複数のビス34で回り止め取付固定されて各逆転係止部3nが被覆係止部7aで覆われている。
保護部材7の材料は強化繊維樹脂や金属材が使用されている。
【0027】
第1実施例の魚釣用スピニングリ−ルが前記のように構成されると、ロ−タからなる回転体3は円筒部3a内に周方向に逆転係止部3nが形成され、逆転係止部3nの外側に別体の保護部材7が嵌合されて複数のビス34で回り止め取付固定されて覆われているので、設計の段階でそのリ−ルの仕様に適した材料の保護部材7を回転体3と分離して選択使用でき設計の自由度を増すことができる。
保護部材7に必要な強度に回転体3の材料を合わせる必要がなく、リ−ルの重量増を最小限に抑え、軽量化を図ることが出来る。
回転体3の逆転係止部3nと分離して保護部材7が取付固定されて被覆されているので、使用経過による損傷が生じても保護部材7の交換で修理できるので、安価で且つ修理の際の作業も簡単になり、作業性が良い。
保護部材7の材料を強化繊維樹脂とすると、傷が付いても腐食の発生が防止出来る。
【0028】
図11はハンドルア−ムの突出部を保護、傷防止する実施例で、図11はハンドルア−ムの平面図である。
【0029】
ハンドルア−ムの突出部を保護、傷防止する実施例では、ハンドルア−ム8の突出部8aにピン47が固定されている。
【0030】
前記保護、傷防止用ピン47は両軸受型リ−ルの機枠外周や側板に設けてもよい。
【0031】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0032】
請求項1により、ロ−タからなる回転体は円筒部内に周方向に逆転係止部が形成され、逆転係止部の外側に別体の保護部材が嵌合されて複数のビスで回り止め取付固定されて覆われているので、設計の段階でそのリ−ルの仕様に適した材料の保護部材を回転体と分離して選択使用でき設計の自由度を増すことができ、保護部材に必要な強度に回転体の材料を合わせる必要がなく、リ−ルの重量増を最小限に抑え、軽量化を図ることが出来る。
又、回転体の逆転係止部と分離して保護部材が取付固定されて被覆されているので、使用経過による損傷が生じても保護部材の交換で修理できるので、安価で且つ修理の際の作 業も簡単になり、作業性が良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 魚釣用スピニングリ−ルの要部断面側面図である。
【図2】 同図1のロ−タからなる回転体の要部拡大断面側面図である。
【図3】 同ロ−タからなる回転体の要部拡大断面背面図である。
【図4】 同スプ−ルの要部拡大断面側面図である。
【図5】 同スプ−ルの平面図である。
【図6】 同スプ−ルの断面背面図である。
【図7】 釣糸係止機能の他の実施例で、スプ−ルの平面図である。
【図8】 同スプ−ルの断面背面図である。
【図9】 本発明の請求項1に係わる第1実施例で、ロ−タからなる回転体の要部拡大断面側面図である。
【図10】 同ロ−タからなる回転体の要部拡大断面背面図である。
【図11】 ハンドルア−ムの突出部を保護、傷防止する実施例で、ハンドルア−ムの平面図である。
【符号の説明】
1 リ−ル本体
3 ロ−タからなる回転体
3a ロ−タからなる回転体の円筒部
3n 逆転係止部
4 スプ−ル
5 係止部材
6 逆転防止体
6a 係止部
7 保護部材
44 釣糸
Claims (1)
- スプールに釣糸を案内する釣糸案内部を有すると共に、ハンドル操作に連動回転するロータに逆転係止部を形成し、リ−ル本体に支持された係止部材を係合してなる逆転防止装置を備えた魚釣用リ−ルにおいて、前記ロータの筒部内側に周設した複数の前記逆転係止部の表面を、前記ロータに着脱可能に取付固定される保護部材で被覆したことを特徴とする魚釣用リ−ル。
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