JP3972615B2 - 耐衝撃性付与剤及び該剤を含むポリ乳酸組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリ乳酸に優れた耐衝撃性を付与する耐衝撃性付与剤、及び該耐衝撃性付与剤とポリ乳酸とを含有する耐衝撃性に優れるポリ乳酸組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリ乳酸は、生分解性と実用的な成形性を有するポリマーとして知られているが、硬く脆い性質を有するために工業的な用途が限定されていた。このため、これらを改善するために様々な検討が行われてきた。
【0003】
例えば、米国特許第1995970号明細書には、ポリ乳酸に、ジブチルフタレート及びニトロセルロースを添加して柔軟性、引き裂き強度を強化した樹脂組成物の製造方法が開示されている。しかしながら、ジブチルフタレートを用いた場合は、ポリ乳酸組成物からのジブチルフタレートのブリードアウトが激しく、ニトロセルロースを用いた場合は、得られるポリ乳酸組成物の透明性が低下するという問題があった。
【0004】
また、米国特許第3498957号明細書には、ポリ乳酸の重合中にグリコールジエステルや二塩基酸ジエステルを添加することにより重合中の粘度を低下させる方法が開示されている。しかしながら、この方法により得られる該ポリ乳酸の破断伸度は高くなるが、該ポリ乳酸からのグリコールジエステルや二塩基酸ジエステルのブリードアウトが激しく、かつ耐衝撃性も低かった。米国特許第5180765号明細書には、乳酸オリゴマーやラクタイドを可塑剤としてポリ乳酸に添加し柔軟化する方法が開示されている。しかしながら、この方法では、得られるポリ乳酸組成物の耐熱性が低下し、また、乳酸オリゴマーやラクタイドが空気中の水分と反応して酸成分を生成しポリマー自身の加水分解を促進するため成型品の製品寿命が極端に短くなりすぎる等の問題があった。
【0005】
特開昭62−144663号公報(米国特許第5061281号明細書)には、医療材料への応用として、ポリ乳酸にクエン酸トリエチルなどの可塑剤を添加したポリ乳酸組成物が開示されている。また、特開平2−117号公報には、可塑剤として酢酸エステル類を含むポリ乳酸組成物が開示され、医療用のフィルム、ロッドなど体内埋め込み用の生体材料の可塑化技術として応用できることが開示されている。
【0006】
特開平4−335060号公報には、ポリ乳酸と可塑剤を含む組成物が開示されている。この公報には、フタル酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、リン酸エステル、ヒドロキシ多価カルボン酸エステル、脂肪酸エステル、多価アルコールエステル、エポキシ系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、又はそれらの混合物などの、通常の汎用樹脂で用いられる汎用可塑剤を含むポリ乳酸の組成物が開示されている。
【0007】
しかしながら、これらの従来の技術では、ポリ乳酸を含む樹脂組成物の柔軟化は可能なものの、耐熱性が大きく低下したり、プロセッシング時の可塑剤の気化の問題や、保存時のブリードアウトの問題があった。また、ポリエステル系の可塑剤についても、十分な耐衝撃性、柔軟性が得られにくいばかりか、保存時のブリードアウトの問題があった。
【0008】
特表平6−500818号公報(米国特許第6027677号明細書)には、ポリエーテルポリエステルとポリ乳酸との相溶性に優れた熱可塑性重合体が開示されている。この公報では、ポリエチレンテレフタレートとポリテトラメチレンテレフタレートのブロックコポリマーを改質剤として用いている。しかしながら、このブロックコポリマーはポリ乳酸との相溶性が低く、得られた成型品は透明性が低かった。
【0009】
その他の高分子系可塑剤として、ポリカプロラクトンなどのポリエステル類や、ポリエーテル類をポリ乳酸に添加する例が報告されている。例えば、特開平8−199052号公報には、ポリエーテル類を、また、特開平8−283557号公報には、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールからなる脂肪族ポリエステルを、それぞれ可塑剤としてポリ乳酸に添加することによって、ポリ乳酸の耐衝撃性、柔軟性の向上を図っている。しかしながら、いずれの方法も、ポリ乳酸の衝撃強度を若干改善する量しか添加できず、大幅な柔軟化を図ろうとすると、上述した低分子量の可塑剤の場合と同様に、耐熱性が低下したり、ブリードアウトが生じたり、可塑剤によっては、透明性が低下するなどの問題があった。
【0010】
特開平9−137047号公報には、ポリ乳酸からなる高融点重合体とポリエステルからなる低融点重合体とのポリエステル系ブロック共重合体からなる可塑剤を、ポリ乳酸に添加した組成物が開示されている。しかしながら、この場合も衝撃強度の付与の点で十分ではなく、優れた耐衝撃性を得ようとすると多量の可塑剤を添加する必要があり透明性が低下する問題があった。
【0011】
また、溶解度パラメータの観点から可塑剤を検討した例が報告されている。例えば、特表平8−501584号公報(米国特許第5502158号明細書)には、用いる可塑剤の溶解性パラメータが7.5〜16.5cal/cm3であり、特に9.0〜11.0cal/cm3であるポリエステル等がポリ乳酸に対する相溶性の点で良好で透明性に優れることが開示されている。しかしながら、当該公報によれば、開示されている可塑剤のほとんどが低分子化合物であり、ブレンド中や成形時の揮発の問題があることに加え、成形物からの可塑剤のブリードアウトの抑制が十分ではなかった。
【0012】
特開平10−316846号公報には、溶解度パラメータが10.6〜11.6である乳酸誘導体のエステル化合物がポリ乳酸に良好な相溶性を示し、可塑化(柔軟化)効果が大きいことが開示されている。当該公報によれば、可塑化(柔軟化)効果の検討に供された材料は、低分子量化合物がほとんどであり、やはり、揮発やブリードアウトが発生しやすい問題があった。
【0013】
以上のように、低分子量化合物の溶解度パラメータで該低分子量化合物からなる可塑剤を添加したポリ乳酸組成物の柔軟化効果について報告した例は多く見られるが、ポリ乳酸と高分子系可塑剤との組合せにおいて溶解度パラメータを用いて検討した例は見当たらない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする第1の課題は、ポリ乳酸に添加することによって、ポリ乳酸の耐衝撃性、柔軟性、引張伸度を向上させ、透明性、耐熱性を維持しつつ、ブリードアウト性の低い耐衝撃性付与剤を提供することにある。また、本発明が解決しようとする第2の課題は、該耐衝撃性付与剤とポリ乳酸とを含む、耐衝撃性、柔軟性、引張伸度、透明性、耐熱性、及びブリードアウトの抑制に優れたポリ乳酸組成物を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
発明者らは多くのポリエステルとポリ乳酸の相溶性について検討した結果、溶解度パラメータと相溶性には基本的に関係がなく、むしろσ/ρ(σはポリマーの溶解度パラメータ値を表わし、ρはポリマーの密度値を表わす。)値とガラス転移温度が、相溶性と耐衝撃性、柔軟性、引張伸度の向上と、透明性、耐熱性の維持、ブリードアウトの抑制といった各種の要求特性を検討する上で重要であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
即ち、本発明は、ポリマー(A)とポリマー(B)とを重縮合させて得られる、0℃以下のガラス転移温度を有するポリエステル(C)から成るポリ乳酸用の耐衝撃性付与剤であって、
【0017】
前記ポリマー(A)が、
式(1) 7.80≦σ/ρ<8.54
(式中、σはポリマーの溶解度パラメータ値を表わし、ρはポリマーの密度値を表わす)を満足する炭素原子数4以下のジオールと炭素原子数6以下のジカルボン酸とからなるポリエステルであり、且つ前記ポリエステルが0℃以下のガラス転移温度を有するポリマーであり、
【0018】
前記ポリマー(B)が、
式(2) 8.54≦σ/ρ<9.20
(式中、σ及びρはそれぞれ前記と同様の意味を表わす)を満足する、炭素原子数6以上のジオール成分とジカルボン酸とを反応させて得られるポリエステル又は炭素原子数7以上のジカルボン酸とジオール成分とを反応させて得られるポリエステルであり、且つ前記ポリエステルが−20℃以下のガラス転移温度を有するポリマーであることを特徴とするポリ乳酸用の耐衝撃性付与剤を提供するものである。
【0019】
また本発明は、ポリマー(A)とポリマー(B)とを重縮合させて得られる、0℃以下のガラス転移温度を有するポリエステル(C)から成るポリ乳酸用の耐衝撃性付与剤であって、
【0020】
前記ポリマー(A)が、
式(1) 7.80≦σ/ρ<8.54
(式中、σはポリマーの溶解度パラメータ値を表わし、ρはポリマーの密度値を表わす)を満足する炭素原子数4以下のジオールと炭素原子数6以下のジカルボン酸とからなるポリエステルであり、且つ前記ポリエステルが0℃以下のガラス転移温度を有するポリマーであり
【0021】
前記ポリマー(B)が、
式(2) 8.54≦σ/ρ<9.20
(式中、σ及びρはそれぞれ前記と同様の意味を表わす)を満足する、炭素原子数6以上のジオール成分とジカルボン酸とを反応させて得られるポリエステル又は炭素原子数7以上のジカルボン酸とジオール成分とを反応させて得られるポリエステルであり、且つ前記ポリエステルが−20℃以下のガラス転移温度を有するポリマーである耐衝撃性付与剤と、ポリ乳酸とを含むことを特徴とするポリ乳酸組成物を提供するものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明は、ポリマー(A)とポリマー(B)とを重縮合させて得られる、0℃以下にガラス転移温度を有するポリエステル(C)から成り、
前記ポリマー(A)が、
式(1) 7.80≦σ/ρ<8.54
(式中、σはポリマーの溶解度パラメータ値を表わし、ρはポリマーの密度値を表わす)を満足する炭素原子数4以下のジオールと炭素原子数6以下のジカルボン酸とからなるポリエステルであり、且つ前記ポリエステルが0℃以下のガラス転移温度を有するポリマーであり、
【0023】
前記ポリマー(B)が、
式(2) 8.54≦σ/ρ<9.20
(式中、σ及びρはそれぞれ前記と同様の意味を表わす)を満足する、炭素原子数6以上のジオール成分とジカルボン酸とを反応させて得られるポリエステル又は炭素原子数7以上のジカルボン酸とジオール成分とを反応させて得られるポリエステルであり、且つ前記ポリエステルが−20℃以下のガラス転移温度を有するポリマーであることを特徴とするポリ乳酸用の耐衝撃性付与剤である。
【0024】
本発明に用いるポリマー(A)はポリエステル(以下、ポリエステル(A1)という)であり、ガラス転移温度が0℃以下であり、かつ、σ/ρ値が、7.8≦σ/ρ<8.54の範囲、好ましくは7.8≦σ/ρ<8.40の範囲、さらに好ましくは7.8≦σ/ρ<8.30の範囲のものである。本発明に用いるポリマー(A)は、ポリ乳酸のσ/ρ値7.70と近い値を有するポリマーであり、ポリ乳酸との相溶性が高く、ポリ乳酸に対する相溶性を示すブロック(以下、ブロック(a)という。)として作用し、ポリ乳酸の透明性を維持しつつ、高い引張伸度を付与するものである。
【0025】
ここでσ/ρ値について説明する。本発明で使用するσ/ρ値は、Hoyの計算式(ディー.アール.ポール、シーモール ニューマン編,「ポリマーブレンド」1巻, アカデミックプレス, 46-47頁,1978年)(英語表記;D.R.PAUL and SEYMUR NEWMAN, POLYMER BLENDS, vol 1, ACADEMIC PRESS, p.46-47,1978年)により得られる値を用いる。該計算式はHoyの求めた置換基定数をポリマーの繰り返し単位あたりの数値として算出し、これを繰り返し単位あたりの分子量で割った値である。すなわち、σ/ρ=ΣFi/M (但し、Fiが置換基定数、Mが繰り返し単位あたりのモル分子量)で示される。表1に置換基定数の例を示す。
【0026】
例として、エチレングリコールとコハク酸とを重縮合して得られる脂肪族ポリエステルについて具体的にその計算方法を説明する。該脂肪族ポリエステルは、式−(CH2−CH2−OCO−CH2−CH2−COO)−で表わされる繰り返し単位を有するので、4つの置換基−(CH2)−と、2つの置換基−COO−を有する。これを上式に当てはめると、置換基定数の和は、
【0027】
ΣFi=(131.5×4+326.58×2)=1179.16となる。一方、繰り返し単位あたりのモル分子量(M)は144.13であるから、σ/ρ=1179.16/144.13=8.18が得られる。同様にして得られる値を表1に示した。
【0028】
【表1】
【0029】
(上表中、EGはエチレングリコールを、SuAはコハク酸を、DAはダイマー酸を、PLAはポリ乳酸をそれぞれ表わす。)
ポリ乳酸と近いσ/ρ値を有するポリマーは、該ポリ乳酸と相溶性が高く、逆に、該値が大きく異なるとポリ乳酸との相溶性が低下する傾向にある。
【0030】
また、ポリマー(A)は、上記した条件の他、ポリ乳酸のガラス転移温度(以下、Tgという。)以下のTgを有することが必要である。即ち、ポリマー(A)のTgは、0℃以下であり、さらに−20℃以下がより好ましい。
【0031】
ポリマー(A)として好ましいポリエステル(A1)としては、例えば、ポリエチレンサクシネート、ポリトリメチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリトリメチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンシクロヘキサネート、ポリプロピレンシクロヘキサネート、ポリヘキサメチレンシクロヘキサネートの如きジオールとジカルボン酸とからなるポリエステル、などが挙げられる。
【0032】
合成原料となるジオール成分の炭素原子数が4以下で、かつ、ジカルボン酸成分の炭素原子数が6以下である組合せからなるポリエステルの場合、σ/ρ値がポリ乳酸の7.70と近くなる。このため、該組合せからなるポリエステルはポリマー(A)として好ましく用いることができる。ポリマー(A)となるポリエステルの重量平均分子量は、1,000以上100,000の範囲が好ましく、3,000以上50,000以下の範囲が特に好ましい。
【0035】
一方、本発明に用いるポリマー(B)は、ポリエステル(以下、ポリエステル(B1)という)であり、ガラス転移温度が−20℃以下であり、かつ、σ/ρ値が8.54≦σ/ρ<9.20の範囲にあるものである。ポリマー(B)は、ポリ乳酸との相溶性は低いが、ポリ乳酸に対して優れた耐衝撃性を付与し、ポリマー(A)と比較して、ポリ乳酸に耐衝撃性を付与する作用を有する。
【0036】
本発明に用いるポリマー(B)は、室温で液状であり、そのTgは−20℃以下、好ましくは−30℃以下、さらに好ましくは−40℃以下であり、ポリ乳酸に対して優れた耐衝撃性を付与するブロック(以下、ブロック(b)という)の原料として用いられる。Tgが−20℃以下のポリマー(B)からなるブロック(b)を有するポリエステル(C)をポリ乳酸の耐衝撃性付与剤として用いた場合、冷凍食品容器等が使用される0℃以下の環境下においても優れた耐衝撃性を付与することができる。
【0037】
ポリマー(B)として好ましいポリマーは、例えば、ポリ−ω−ウンデカラクトン、ポリ−ω−ドデカノカラクトンの如きポリヒドロキシカルボン酸;ポリエチレンセバケート、ポリプロピレンセバケート、ポリトリメチレンセバケート、ポリブチレンセバケート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリエチレンデカネート、ポリプロピレンデカネート、ポリトリメチレンデカネート、ポリブチレンデカネート、ポリヘキサメチレンデカネート、ジオールとダイマー酸からなるポリエステル、1,3−ブチレングリコールとセバシン酸又はデカン酸とからなるポリエステル、ポリプロピレングリコールとダイマー酸からなるポリエステル;ポリテトラメチレングリコールの如きポリエーテル、などが挙げられる。
【0038】
また、ポリマー(B)として好ましいポリエステル(B1)は、ジオール成分の炭素原子数が6以上のものである。炭素原子数が6以上であるジオール成分は、ジカルボン酸の炭素原子数に関わらず、σ/ρ値が7.70から大きくなる傾向にあり、ブロック(b)として好ましく用いられ、特に、ダイマージオールは好ましく用いられる。また、ジカルボン酸のうち炭素原子数が7以上のジカルボン酸は、ジオールの炭素原子数に関わらず、σ/ρ値は7.70より大きくなる傾向にあり、このようなジカルボン酸成分からなるポリエステル(B1)も好ましい。特に、ジカルボン酸成分がダイマー酸であるポリエステル(B1)は、ブロック(b)として好ましい。また、ポリマー(B)となるポリエステル(B1)は、その構成成分として、炭素原子数7以上のダイマー酸と炭素原子数6以上のダイマージオールの少なくとも一種を用いたものであることが好ましい。
【0039】
ポリマー(B)として好ましいポリエステル(B1)としては、炭素原子数20〜45の脂肪族ジオールを必須構成成分とするポリエステル、炭素原子数20〜45の脂肪族ジカルボン酸を必須構成成分とするポリエステル、炭素原子数20〜45の脂肪族ジオール及び炭素原子数20〜45の脂肪族ジカルボン酸を必須構成成分とするポリエステルが挙げられる。その際、ポリマー(B)を構成する炭素原子数20〜45の脂肪族ジオール及び炭素原子数20〜45の脂肪族カルボン酸の割合は、ポリマー(B)100部に対して、質量換算で、10部以上であることがより好ましく、さらに30部以上であることが特に好ましい。
【0040】
本発明に用いるポリマー(B)の重量平均分子量は、1,000以上100,000以下の範囲が好ましく、3,000以上50,000以下の範囲が特に好ましい。
【0041】
ここで、ジオールとジカルボン酸を重縮合して得られるポリエステル(A1)又はポリエステル(B1)の製造方法について説明する。ジオールとジカルボン酸を重縮合して得られるポリエステル(A1)又はポリエステル(B1)は公知慣用の製法によって製造できるが、例えば、原料のジオールとジカルボン酸をモル比で1.1:1〜1.5:1の割合で、窒素雰囲気下にて、130℃〜220℃まで1時間に5〜10℃の割合で徐々に昇温させながら撹拌して水を留去する。6〜12時間反応させた後、10〜0.1KPaで徐々に減圧度を上げながら過剰のジオールを留去する。2〜3時間減圧した後、エステル交換反応用触媒及び酸化防止剤を添加して0.5KPa以下で減圧しながら230℃で4〜12時間反応させることにより、高粘性のポリエステル(A1)又はポリエステル(B1)を得ることができる。
【0042】
なお、必要に応じて180℃〜210℃で、得られたポリエステルにカルボン酸無水物又は多官能イソシアネートを添加することもできる。カルボン酸無水物の場合は0.01〜0.5KPaで減圧しながら、イソシアネートの場合は常圧で、3時間反応させることにより、さらに高分子量のポリエステル(A1)又はポリエステル(B1)を製造することができる。なお、反応系内に酸素が入り込むと、着色及び分解の原因となるので、触媒添加等の減圧を解除する際には、窒素等の不活性ガスを用いることが好ましい。
【0043】
本発明に使用するポリエステル(C)は、ポリマー(A)とポリマー(B)とを質量比で(A):(B)=10:90〜90:10、好ましくは30:70〜70:30、より好ましくは40:60〜60:40の割合で重縮合させた反応生成物であり、上述したポリマー(A)からなるブロック(a)と、ポリマー(B)からなるブロック(b)とを質量比(a):(b)=10:90〜90:10、好ましくは30:70〜70:30、より好ましくは40:60〜60:40の割合で有する重合体である。
【0044】
その際、ポリエステル(C)は、その重量平均分子量が5,000以上、より好ましくは20,000以上、更に好ましくは30,000以上で、且つ、
200,000以下、より好ましくは100,000以下、更に好ましくは70,000以下で、かつ、Tgが60℃以下となるように、ポリマー(A)とポリマー(B)の種類を選択し、且つそれらの使用割合及び反応条件を調整すればよい。
【0045】
この場合、ポリエステル(C)の重量平均分子量が5,000未満では、可塑効果が十分でなく、ポリ乳酸の衝撃強度を付与しにくく、また透明性が低下し、ブリードアウトを起こし易い傾向にあるので、好ましくない。ポリエステル(C)の重量平均分子量が200,000を越えると、ポリ乳酸との相溶性が低下する傾向にあるので、好ましくない。
【0046】
得られるポリエステル(C)のTgは、各ポリマーに由来するため、2つのTgを有する場合があるが、いずれか高い方のTgであっても60℃以下である必要があり、好ましくは−70〜60℃の範囲であり、さらに好ましくは−65〜60℃の範囲になるよう設計することが好ましい。
【0047】
上記したように、本発明に用いるポリエステル(C)は重量平均分子量が5,000以上で、且つ、Tgが60℃以下であり、その20℃における貯蔵弾性率は、2.0ギガパスカル(GPa)以下、好ましくは0.1〜1.2ギガパスカル(GPa)、さらに好ましくは0.1〜1.0ギガパスカル(GPa)のものである。
【0048】
ここで、本発明に使用するポリマー(A)とポリマー(B)とを重縮合して得られるポリエステル(C)の製造方法について説明する。
【0049】
すなわち、本発明のポリエステル(C)は、ポリマー(A)及びポリマー(B)の2種類のポリマーを質量比で(A):(B)=10:90〜90:10の割合で混合し、従来公知のエステル交換反応させることにより製造される。この反応は、高真空下で行うことが望ましい。
【0050】
エステル交換反応には、触媒を用いることができる。エステル交換反応用触媒としては、例えば、チタン、錫、亜鉛、ジルコニウムの如き金属触媒、などが挙げられる。そのような金属触媒としては、例えば、チタンテトラプロポキシド、チタンテトラ−n−ブトキシド、チタンビスアセチルアセトナート、ジブチルスズオキシド、オクタン酸スズ、酢酸スズ、オクタン酸亜鉛、酢酸亜鉛、ジルコニウムオキシド、アセチルアセトン鉄、アセチルアセトン銅、などが挙げられる。
【0051】
次に、本発明の耐衝撃性付与剤とポリ乳酸とを含むポリ乳酸組成物について説明する。
本発明のポリ乳酸組成物に用いるポリ乳酸の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、20,000〜500,000の範囲が好ましく、50,000〜500,000の範囲がより好ましく、70,000〜500,000の範囲が更に好ましく、100,000〜500,000の範囲が特に好ましい。
【0052】
本発明の耐衝撃性付与剤であるポリエステル(C)は、そのままポリ乳酸と混練してもよいし、予め該ポリ乳酸と高濃度でブレンドしたマスターバッチの状態で用いることもできる。
【0053】
本発明の耐衝撃性付与剤とポリ乳酸との混合割合は、本発明の効果が達成する比率であれば、特に限定されるものではないが、質量比で1:99〜50:50範囲が好ましい。得られる成形物の透明性を重視するので有れば、耐衝撃性付与剤とポリ乳酸との混合割合は、質量比で1:99〜30:70の範囲が好ましく、3:97〜15:85の割合が特に好ましい。また、とりわけ得られる成形物の衝撃強度を重視する場合は、耐衝撃性付与剤とポリ乳酸との混合割合は、質量比で3:97〜50:50の範囲が好ましく、10:90〜40:60の割合が特に好ましく、15:85〜30:70の範囲が更に好ましい。この組成比の範囲内では、ポリ乳酸組成物の耐衝撃性、柔軟性、引張伸度を向上させ耐熱性を維持しつつ、ブリードアウトを抑制することができる。
【0054】
耐衝撃性付与剤とポリ乳酸とを混練する温度は、ポリマーの融点以上で、180〜200℃前後であることが好ましい。混練する温度が200℃を大きく超える場合は、高温によるバインダーポリマーの分子量低下を考慮して、混練時間や、混練回転数などを調整する必要がある。
【0055】
混練機器としては、押し出し機、ニーダー、バッチ式混練機などが挙げられる。また、反応釜中で混練する方法、被混練物の粘性が高い場合には、スタティックミキサーを用いた混合方法を用いることができる。また、被混練物に溶剤を添加した湿式混合方法を用いることもできるが、その場合、溶剤を脱揮する際には、ポリマーの分離を防ぐために、高温下で減圧し、短時間で処理することが好ましい。
【0056】
本発明のポリ乳酸組成物は、Tダイキャスト成形やインフレーション成形等の押出成形等の公知慣用の方法により、容易に、フィルム又はシートに加工することができる。また、本発明のポリ乳酸組成物は、複数の押出機を用いて、多層フィルム又は多層シートに加工することもできる。本発明のフィルム又はシートの厚みは、特に制限されないが、一般的に用いられている5μm〜2mmの範囲にあることが好ましい。
【0057】
溶融押し出されたフィルム又はシートは、通常、所定の厚みになるようにキャスティングされ、必要により冷却される。その際、タッチロール、エアーナイフ、薄い場合には静電ピンニングを使い分けることにより均一なフィルムとすることができる。
【0058】
成膜されたフィルム又はシートは、Tg以上、融点以下の温度でテンター方式やインフレーション方式等の公知慣用の方法で一軸及び二軸に延伸することができる。延伸温度は、ポリ乳酸組成物のTg〜(Tg+50)℃の範囲が好ましく、Tg〜(Tg+30)℃の範囲が特に好ましい。但し、ここではTgが2つ以上ある場合、いずれか高い方のTgを指すものとする。延伸温度がTg未満では延伸が困難であり、(Tg+50)℃を越えると延伸による強度向上が認められないことがある。延伸処理を施すことにより、分子配向を生じさせ、耐衝撃性、柔軟性、透明性等の物性を改良することが出来る。
【0059】
一軸延伸の場合は、ロール法による縦延伸又はテンターによる横延伸により、縦方向又は横方向に1.3〜10倍延伸するのが好ましい。二軸延伸の場合は、ロール法による縦延伸及びテンターによる横延伸が挙げられ、その方法としては、一軸目の延伸と二軸目の延伸を逐次的に行っても、同時に行っても良い。延伸倍率は、縦方向及び横方向にそれぞれ1.3〜6倍延伸するのが好ましい。延伸倍率がこれ以上低いと十分に満足し得る強度を有するフィルム又はシートが得難く、また、高いと延伸時にフィルム又はシートが破れてしまい良くない。なお、シュリンクフィルム等の特に加熱時の収縮性を要求するような場合には、一軸或いは二軸方向への3〜6倍等の高倍率延伸が好ましい。
【0060】
また、耐熱性を向上させるために、延伸直後の緊張下で熱セット処理を行うことにより、歪を除去し、或いは結晶化を促進させて、耐熱特性を向上させることができる。熱セット処理温度は、結晶化温度(Tc)より20℃低い温度から、ポリ乳酸の融点未満の温度で行うことができるが、70〜150℃の範囲、より好ましくは、90〜150℃の範囲で行うと耐熱性だけではなく、引張伸度等他のフィルム物性も向上するので望ましい。
【0061】
熱セット処理時間は通常1秒から30分間であるが、生産性等の実用性を考えた場合、この時間は短い程良いため、好ましくは1秒〜3分間、より好ましくは1秒〜1分間である。
フィルム成膜の際に、公知慣用の有機系又は無機系充填剤等の一般的なフィラーを混入添加することもできる。
【0062】
また、本発明のポリ乳酸組成物には、公知慣用の酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、金属石鹸類、滑剤、界面活性剤、着色剤、発泡剤等を添加しても良い。これらの添加量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、特に限定されるものではないが、ポリ乳酸組成物に対して、通常0.01〜10%(質量換算)の量を添加することが好ましい。
【0063】
フィルム又はシートの二次加工法としては、公知慣用の真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法等が利用できる。本発明のポリ乳酸組成物のフィルム化は、汎用樹脂のフィルム製造に使用されている既存装置を用い、成形することができる。
フィルム製造の際、横ピロー製袋機、縦ピロー製袋機、ツイストバック製袋機等、通常の製袋機で容易にヒートシールし、袋状物を得ることができる。
【0064】
フィルム以外の加工製品を得る際には、通常の射出成型機を用いて容器等の成型物を、特に支障なく、製造することができる。
また、ブロー成形も容易で、既存の成型機を使用することにより、単層、多層ボトルに容易に成形することができる。プレス成形についても特段の問題はなく通常の成型機で単層或いは積層製品を得ることができる。
【0065】
本発明のポリ乳酸組成物は、本発明の耐衝撃性付与剤の添加量を調整することにより、実施例に記載の測定方法で、3(kJ/m2)以上、好ましくは4〜20(kJ/m2)、より好ましくは6〜20(kJ/m2)、特に好ましくは9〜20(kJ/m2)のアイゾット衝撃強度を有するものが得られる。また、無延伸フィルム或いは延伸フィルムでは、0.20J以上、好ましくは0.3〜5Jのデュポン衝撃強度を有するものが得られる。さらに、延伸熱セットフィルム(35μm)では、1J以上、好ましくは1〜10Jのフィルムインパクトを有するものが得られる。
【0066】
また、本発明のポリ乳酸組成物は、本発明の耐衝撃性付与剤の添加量を調整することにより、優れた柔軟性を付与することができる。例えば、ポリ乳酸組成物を200μmの厚さにシート化し、レオメトリクス株式会社製のRSAIIを用いて20℃で測定した貯蔵弾性率で比較すると、ポリ乳酸の貯蔵弾性率が3.0〜3.5(GPa)を示すのに対し、本発明の耐衝撃性付与剤を添加したポリ乳酸組成物の貯蔵弾性率は、0.5〜2.8(GPa)である。
【0067】
また、本発明の耐衝撃性付与剤は、ポリ乳酸の耐熱性を低下させずに、耐衝撃性を付与することができる。例えば、本発明の耐衝撃性付与剤とポリ乳酸とを含むポリ乳酸組成物は、ポリ乳酸が有するTg(61℃)の低下を抑え、50℃以上のTgを有するものとなる。
【0068】
さらに、本発明の耐衝撃性付与剤は、ポリ乳酸の透明性の維持にも優れ、例えば、本発明の耐衝撃性付与剤の添加量が質量換算で15部以下の場合、100μmの厚さのプレスフィルムでは、ヘイズ値20%以下の透明性フィルムを得ることができる。本発明の耐衝撃性付与剤の添加量が少ない場合、さらに透明性が高いヘイズ値10%以下のフィルムを得ることができる。
【0069】
さらにまた、本発明の耐衝撃性付与剤は、該剤を含有するポリ乳酸組成物からのブリードアウト性が低いことも優れた特徴の一つである。例えば、本発明の耐衝撃性付与剤50%(質量換算)以下を含むポリ乳酸組成物の成形物(10×10cm正方形、250μm厚のシート)を35℃、湿度80%の恒温恒湿器に放置したとき、該成形物表面から90日以上ブリード物が現れないという特性を有する。
【0070】
本発明の耐衝撃性付与剤及び該耐衝撃性付与剤を含むポリ乳酸組成物は、良好な生分解性を有し、海中に投棄された場合でも、加水分解、生分解等によって分解される。海水中では数カ月の間に樹脂としての強度が劣化し、外形を保たないまでに分解可能である。また、コンポストを用いると、更に短期間で原形をとどめないまでに生分解される。
【0071】
本発明の耐衝撃性付与剤を含んだポリ乳酸組成物は、成形用樹脂、シート・フィルム用材料、塗料用樹脂、インキ用樹脂、トナー用樹脂、接着剤樹脂、医療用材料、紙へのラミネーション、発泡樹脂材料等、特に包装材料、接着剤として有用である。
包装材料としては、例えば、シートとしてはトレー、カップ、皿、ブリスター等、フィルムとしては、ラップフィルム、食品包装、その他一般包装、ゴミ袋、レジ袋、一般規格袋、重袋等の袋類等が挙げられる。
【0072】
また、その他の用途としてブロー成形品としても有用に用いられ、例えば、シャンプー瓶、化粧品瓶、飲料瓶、オイル容器等に、また衛生用品として、紙おむつ、生理用品、更には、医療用として人工腎臓、縫合糸等に、また農業資材として、発芽シート、種ヒモ、農業用マルチフィルム、緩効性農薬及び肥料のコーテイング剤、防鳥ネット、養生シート、苗木ポット等に好ましく用いられる。
【0073】
また、漁業資材としては漁網、海苔養殖網、釣り糸、船底塗料等に、また射出成形品としては、ゴルフティー、綿棒の芯、キャンディーの棒、ブラシ、歯ブラシ、注射筒、皿、カップ、櫛、剃刀の柄、テープのカセット、使い捨てのスプーン・フォーク、ボールペン等の文房具等に好ましく用いられる。
また、紙へのラミネーション製品としては、トレー、カップ、皿、メガホン等に、その他に、結束テープ、プリペイカード、風船、パンティーストッキング、ヘアーキャップ、スポンジ、セロハンテープ、傘、合羽、プラ手袋、ヘアーキャップ、ロープ、不織布、チューブ、発泡トレー、発泡緩衝材、緩衝材、梱包材、煙草のフィルター等が挙げられる。
【0074】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を用いて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。また、以下「%」及び「部」は特に断りがない限り質量換算の値である。
【0075】
実施例で行った測定は以下の通りである。
(分子量測定)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定装置(以下、GPCと省略する。東ソー株式会社製HLC−8020、カラム温度40℃、テトラヒドロフラン溶媒)によりポリスチレン標準サンプルとの比較で測定した。
【0076】
(熱的物性測定)
示差走査熱量測定装置(以下、DSCと省略する。セイコー電子工業株式会社製DSC220C)を用い、−100〜200℃の範囲を昇温速度10℃/分で測定した。
【0077】
(貯蔵弾性率(E’)の測定)
ポリマーが室温で固体の場合は、レオメトリックス社製RSAIIを用い、厚さ200μm×幅5mm×長さ35mmのシートをFILM TEXTUREジオメトリーにより、チャック間22.4mm、6.28rad・s−1、−50〜120℃の条件で測定した。
(透明性測定;以下、「ヘイズ」と省略する。)
縦10cm×横10cmのフィルムを縦5cm×横5cmに切り、濁度計(日本電色工業株式会社製ND−1001DP)にて測定した。
【0078】
(アイゾット衝撃試験;以下、IZODと省略する。)
日本工業規格のK 7110(JIS−K−7110)に準拠したアイゾット衝撃試験法により測定した。すなわち、ミニマックスモルダー(CSI社製)を用い、170〜190℃の条件下、幅6mm×厚3mm×高31mmのIZOD用試験片に射出成形後、この試験片の幅方向に1.2mmのノッチをノッチングマシン(TECNO−SUPPLY社製)にて加工した。このノッチ入りIZOD用試験片をIZDO測定装置(POE2000(GRC社製))にて測定した。
【0079】
(デュポン衝撃強度試験)
日本工業規格の K 5400(JIS−K−5400)のデュポン衝撃強度測定法を用いて、一定重さの重錘の高さを変えて落下させ、破壊の有無により、得られたフィルムの50%破壊エネルギーを求めた。フィルムとの打突部は鋼製であり、半径6.3mmの滑らかな半球状(ウエシマ製作所製)である。
(フィルムインパクト試験)
ASTMD−3420に準拠した方法で測定した。
【0080】
(ポリ乳酸との相溶性の評価)
参考例1〜6で得られた各ポリマーとポリ乳酸との相溶性は、以下のようにして評価した。すなわち、ポリ乳酸90部と、参考例で得られたポリマー10部とを、東洋精機社製ラボプラストミルにて190℃で加熱しながら溶融混練し、を得た後、熱プレス機を用い190℃で加熱溶融しながら、20MPaの圧力で3分間プレスし、厚さ250μmフィルムを得た。得られたフィルムを24時間室温で放置後ヘイズ値を測定し、そのヘイズ値が20%未満である場合○とし、20%以上を×とした。
【0081】
(参考例1)(ポリマー(A−1)の合成)
撹拌器、精留器及びガス導入管を設けた容量10Lの反応槽に、1モルのコハク酸(「SuA」と省略する。)と1.3モルのプロピレングリコール(「PG」と省略する。)を仕込み、窒素気流下で150℃から1時間に7℃ずつ昇温させながら加熱撹拌した。生成する水を留去しながら220℃まで昇温し、2時間後、エステル交換触媒としてトリブチルスズオキシドを50ppm添加し、0.1KPaまで減圧して2時間撹拌した。
【0082】
得られた反応混合物にトルエンを加えて20%溶液を調製し、これに、ポリエステルに対して0.05%のヘキサメチレンジイソシアネート(「HMDI」と省略する。)を加えた。さらに、ポリエステルに対して0.01%のオクタン酸スズを添加し、60℃で1時間撹拌した後、放冷して、20℃で液状のポリマー(A−1)を得た。
このようにして得られたポリマー(A−1)について、GPCで測定した結果、数平均分子量は15,000、重量平均分子量は25,000であった。結果を表2に示した。
【0083】
(参考例2)(ポリマー(A−2)の合成)
撹拌器、精留器及びガス導入管を設けた容量10Lの反応槽に、1モルのコハク酸(「SuA」と省略する。)と1.3モルのエチレングリコール(「EG」と省略する。)を仕込み、窒素気流下で150℃から1時間に7℃ずつ昇温させながら加熱撹拌した。生成する水を留去しながら220℃まで昇温し、2時間後、エステル交換触媒としてトリブチルスズオキシドを50ppm添加し、0.1KPaまで減圧して2時間撹拌した。
【0084】
得られた反応混合物にトルエンを加えて20%溶液を調製し、これに、ポリエステルに対して0.05%のヘキサメチレンジイソシアネート(「HMDI」と省略する。)を加えた。さらに、ポリエステルに対して0.01%のオクタン酸スズを添加し、60℃で1時間撹拌した後、放冷して、20℃で固体のポリマー(A−2)を得た。
このようにして得られたポリマー(A−2)について、GPCで測定した結果、数平均分子量は16,000、重量平均分子量は28,000であり、また、貯蔵弾性率E’を測定した結果、2.0GPaであった。結果を表2に示した。
【0085】
(参考例3)(ポリマー(A−3)の合成)
撹拌器、精留器及びガス導入管を設けた容量50Lの反応槽に、1モルのアジピン酸(「AA」と省略する。)と1.4モルのプロピレングリコール(「PG」と省略する。)を仕込み、窒素気流下で150℃から1時間に10℃ずつ昇温させながら加熱撹拌した。
【0086】
生成する水を留去しながら220℃まで昇温し、2時間後、エステル交換触媒としてチタンテトラブトキサイドを130ppm添加し、0.1KPaまで減圧して8時間撹拌した後、放冷して、20℃で液状のポリマー(A−3)を得た。
このようにして得られたポリマー(A−3)について、GPCで測定した結果、数平均分子量は18,000、重量平均分子量は34,000であった。結果を表2に示した。
【0087】
(参考例4)(ポリマー(B−1)の合成)
撹拌器、精留器及びガス導入管を設けた容量50Lの反応槽に、1モルのダイマー酸(「DA」と省略する。)と1.4モルのプロピレングリコール(「PG」と省略する。)を仕込み、窒素気流下で150℃から1時間に10℃ずつ昇温させながら加熱撹拌した。
【0088】
生成する水を留去しながら220℃まで昇温し、2時間後、エステル交換触媒としてチタンテトライソプロポキシドを70ppm添加し、0.1KPaまで減圧して3時間撹拌した後、放冷して、20℃で液状のポリマー(B−1)を得た。
このようにして得られたポリマー(B−1)について、GPCで測定した結果、数平均分子量は18,000、重量平均分子量は30,000であった。結果を表3に示した。
【0089】
(参考例5)(ポリマー(B−2)の合成)
撹拌器、精留器及びガス導入管を設けた容量50Lの反応槽に、1モルの水添ダイマー酸(「DAH」と省略する。)と1.4モル当量の1,4−ブタンジオール(「1,4BG」と省略する。)を仕込み、窒素気流下で150℃から1時間に10℃ずつ昇温させながら加熱撹拌した。
【0090】
生成する水を留去しながら220℃まで昇温し、2時間後、エステル交換触媒としてチタンテトラブトキシドを70ppm添加し、0.1KPaまで減圧して1時間撹拌した後、放冷して、20℃で液状のポリマー(B−2)を得た。
このようにして得られたポリマー(B−2)について、GPCで測定した結果、数平均分子量は13,000、重量平均分子量は22,000であった。結果を表3に示した。
【0091】
(参考例6)(ポリマー(B−3)の合成)
撹拌器、精留器及びガス導入管を設けた容量50Lの反応槽に、1モルのダイマー酸(「DA」と省略する。)と1.2モルの1,6−ヘキサンジオール(「HD」と省略する。)を仕込み、窒素気流下で150℃から1時間に7℃ずつ昇温させながら加熱撹拌した。
【0092】
生成する水を留去しながら220℃まで昇温し、2時間撹拌した後、放冷して、20℃で液状の脂肪族ポリエステルを得た。
このようにして得られた脂肪族ポリエステルについて、GPCで測定した結果、数平均分子量は2,000、重量平均分子量は5,000であった。
【0093】
つぎに、この脂肪族ポリエステルに、脂肪族ポリエステルの0.3%に相当するピロメリット酸無水物(「PMDA」と省略する。)を添加した後、210℃で0.1KPaに減圧しながらさらに3時間攪拌して、ポリマー(B−3)を得た。
このようにして得られたポリマー(B−3)について、GPCで測定した結果、数平均分子量は18,000、重量平均分子量は32,000であった。結果を表3に示した。
【0094】
(参考例7)(ポリマー(B−4)の合成)
撹拌器、精留器及びガス導入管を設けた容量50Lの反応槽に、1モルのセバシン酸(「SeA」と省略する。)と1.4モルの1,3−ブチレングリコール(「1,3BG」と省略する。)を仕込み、窒素気流下で150℃から1時間に10℃ずつ昇温させながら加熱撹拌した。生成する水を留去しながら220℃まで昇温し、2時間後、エステル交換触媒としてチタンテトラブトキサイドを130ppm添加し、0.1KPaまで減圧して8時間撹拌した後、放冷して、20℃で液状のポリマー(B−4)を得た。
【0095】
このようにして得られたポリマー(B−4)について、GPCで測定した結果、数平均分子量は34,000、重量平均分子量は60,000であった。結果を表3に示した。
【0096】
(製造例1)(耐衝撃性付与剤の合成)
ポリマー(A−1)50部と、ポリマー(B−4)50部とをセパラブルフラスコに入れ、180℃で溶融した。混合物が均一な溶液状になってからチタンテトライソプロポキシド50ppmを添加し、220℃で0.1KPaで減圧しながら12.5時間撹拌した後、放冷してポリエステル(C−1)を得た。
このようにして得られたポリエステル(C−1)について、GPCで測定した結果、数平均分子量が27,000、重量平均分子量は52,000であった。結果を表4に示した。
【0097】
(製造例2)(耐衝撃性付与剤の合成)
ポリマー(A−1)40部と、ポリマー(B−2)60部とをセパラブルフラスコに入れ、180℃で溶融した。混合物が均一な溶液状になってからオクタン酸スズ100ppmを添加し、220℃で0.1KPaで減圧しながら12.5時間撹拌した後、放冷してポリエステル(C−2)を得た。
このようにして得られたポリエステル(C−2)について、GPCで測定した結果、数平均分子量は21,000、重量平均分子量は43,000であった。結果を表4に示した。
【0098】
(製造例3)(耐衝撃性付与剤の合成)
ポリマー(A−2)80部と、ポリマー(B−3)20部とをセパラブルフラスコに入れ、180℃で溶融した。混合物が均一な溶液状になってからチタンテトラブトキシド70ppmを添加し、220℃で0.1KPaで減圧しながら12.5時間撹拌した後、放冷してポリエステル(C−3)を得た。
このようにして得られたポリエステル(C−3)について、GPCで測定した結果、数平均分子量は35,000、重量平均分子量は68,000であった。結果を表4に示した。
【0099】
(製造例4)(耐衝撃性付与剤の合成)
ポリプロピレングリコール(「PPG」と省略する。)(数平均分子量3000)60部と、ポリマー(B−1)40部とをセパラブルフラスコに取り、175℃で溶融した。混合物が均一な溶液状になってからチタンビスアセチルアセトナ−ト50ppmを添加し、220℃で0.1KPaで減圧しながら12.5時間撹拌した後、放冷してポリエステル(C−4)を得た。
このようにして得られたポリエステル(C−4)について、GPCで測定した結果、数平均分子量は24,000、重量平均分子量は40,000であった。結果を表5に示した。
【0100】
(製造例5)(耐衝撃性付与剤の合成)
ポリマー(A−3)50部と、ポリマー(B−4)50部とをセパラブルフラスコに入れ、180℃で溶融した。混合物が均一な溶液状になってからチタンテトライソプロポキシド50ppmを添加し、220℃で0.1KPaで減圧しながら12.5時間撹拌した後、放冷してポリエステル(C−5)を得た。
このようにして得られたポリエステル(C−5)について、GPCで測定した結果、数平均分子量は28,000、重量平均分子量は52,000であった。結果を表5に示した。
【0101】
(実施例1〜5)(ポリ乳酸との組成物の製造)
ポリ乳酸(島津製作所社製「ラクティ#1012」;重量平均分子量250,000、数平均分子量160,000;以下、「PLA1」という。)に、耐衝撃性付与剤として、製造例1〜5で作製したポリエステル(C−1)〜(C−5)を、表6及び7に示すような組成比にて、東洋精機社製ラボプラストミル2軸押し出し機を用いて、200℃で加熱しながら混練して、ペレット化を行なって、ポリ乳酸組成物(P−1)〜(P−5)を得た。
【0102】
(試験例1)(ポリ乳酸組成物シートの作成)
実施例1〜5で得られたポリ乳酸組成物(P−1)〜(P−5)を各々100℃で6時間加熱減圧乾燥させた。これらのポリ乳酸組成物3.3gと10cm×10cmの正方形をくり貫いた厚さ250μmのPETシートを厚さ100μmのPETフィルムで挟み、190℃で加熱溶融しながら20MPaの圧力で1分間プレスし、シートを得た。
【0103】
次に、このシートを10分間水冷プレス機にかけ、取り出し24時間室温に放置した。得られた10cm×10cm、厚さ250μmのシートのヘイズ値をJIS−K−7127により測定した。測定結果は表6及び7にまとめて示した。
【0104】
(試験例2)(ポリ乳酸組成物シートのブリードアウト試験)
試験例1で得られたポリ乳酸組成物(P−1)〜(P−5)からなるシートを35℃、湿度80%に保ったタバイエスペック社製恒温恒湿器PR−2F中に放置した。測定結果は表6及び7にまとめて示した。
シートの状態を毎日観察した結果、1年経過時もブリードアウトが見られなかった。他のシートについても同様の試験を行ったが、40日以上ブリード物は確認されなかった。測定結果は表6及び7にまとめて示した。
【0105】
(試験例3)(ポリ乳酸組成物シートの生分解性試験)
試験例1で得られたポリ乳酸組成物(P−1)〜(P−5)からなるシートを金網で挟み、45℃に保った電動コンポスト装置中に放置した。嫌気環境にならないように数時間毎に撹拌を行った。30日後にシートを取り出したところ、ボロボロでほとんど原形をとどめていなかった。60日後には、シートは消失して確認できなかった。
【0106】
(試験例4)(ポリ乳酸組成物の2軸延伸熱セットフィルム作製)
小型熱プレスにより、195℃、5MPaの条件で3分間プレスした後、急冷して、200μmシート(縦12cm、横12cm)を作製した後、二軸延伸装置(岩本製作所製)を用いて、チャック間を10cmとし、延伸温度条件60℃、延伸速度10mm/秒で逐次延伸により、縦方向、横方向同倍率の2.5倍で延伸後、エアーオーブン中で140℃、50秒熱セットし、厚さ約35μmの2軸延伸熱セットフィルムを得た。このようにして得た2軸延伸熱セットフィルムについて、デュポン衝撃値及びヘイズ値を測定した。測定結果は表6及び7にまとめて示した。
【0107】
(比較製造例1)(改質剤の合成)
ポリマー(B−1)50部と、ポリマー(B−2)50部とをセパラブルフラスコに入れ、180℃で溶融した。混合物が均一な溶液状になってからチタンテトラブトキシドを70ppm添加して、220℃で0.1KPaで減圧しながら12.5時間撹拌した後、放冷してポリエステル(C−6)を得た。
このようにして得られたポリエステル(C−6)について、GPCで測定した結果、数平均分子量は27,000、重量平均分子量は55,000であった。
【0108】
(比較製造例2)(改質剤の合成)
ポリマー(A−1)50部と、ポリマー(A−3)50部とをセパラブルフラスコに入れ、180℃で溶融した。混合物が均一な溶液状になってからチタンテトラブトキシドを70ppm添加して、220℃で0.1KPaで減圧しながら12.5時間撹拌した後、放冷してポリエステル(C−7)を得た。
このようにして得られたポリエステル(C−7)について、GPCで測定した結果、数平均分子量は27,000、重量平均分子量は25,000であった。
【0109】
(比較製造例3)(改質剤の合成)
PLA50部と、ポリマー(B−4)50部とをセパラブルフラスコに入れ、180℃で溶融した。混合物が均一な溶液状になってからチタンテトラブトキシドを200ppm添加して、200℃で0.1KPaで減圧しながら5時間撹拌した後、放冷してポリエステル(C−8)を得た。
このようにして得られたポリエステル(C−8)について、GPCで測定した結果、数平均分子量は100,000、重量平均分子量は52,000であった。
【0110】
(比較例1)(ポリ乳酸組成物の製造)
実施例で使用したポリ乳酸(PLA)85部と、比較製造例1で得られたポリエステル(C−6)15部とを、東洋精機社製ラボプラストミル2軸押し出し機を用いて、190℃で加熱しながら10分間混練して、ペレット化を行なって、ポリ乳酸組成物(P−6)を得た。
このようにして得られたポリ乳酸組成物(P−6)について、実施例と同様にして各種評価を行ない、その結果を表8に示した。
【0111】
この組成物は、Tgが57℃、融点が172℃で、室温での貯蔵弾性率が2.1GPaで、柔軟性が付与されていたが、厚さ250μmのフィルムのヘイズ値は、20%以上で透明性が低く、表面にべたつきが見られた。このことから、ポリエステル(C−6)からなる耐衝撃性付与剤は、ポリ乳酸との相溶性が低いものであることが理解できる。
【0112】
(比較例2)(ポリ乳酸組成物の製造)
比較例1において、ポリ乳酸(PLA)とポリエステル(C−6)に代えて、ポリ乳酸(PLA)75部と比較製造例2で得られたポリエステル(C−7)25部とを用いた以外は、比較例1と同様にして、ポリ乳酸組成物(P−7)を得た。
【0113】
このようにして得られたポリ乳酸組成物(P−7)について、実施例と同様にして各種評価を行ない、その結果を表8に示した。この組成物は、Tgが50℃以下であり、250μmの厚さのフィルムは、透明性に優れていたが、柔軟性に欠けていた。このことから、ポリエステル(C−7)からなる耐衝撃性付与剤がその機能を発揮していないことが理解できる。
【0114】
(比較例3)(ポリ乳酸組成物の製造)
比較例1において、ポリエステル(C−6)に代えて、ブロック化していないポリマー(B−1)15部を用いた以外は、比較例1と同様にして、ポリ乳酸組成物(P−8)を得た。
【0115】
このようにして得られたポリ乳酸組成物(P−8)について、実施例と同様にして各種評価を行ない、その結果を表8に示した。この組成物からなる厚さ250μmのフィルムは、白濁している上(ヘイズ値55.5%)、べとつきが残るものであった。このことから、ポリエステル(C−6)からなる耐衝撃性付与剤がポリ乳酸との相溶性が低いものであることが理解できる。
【0116】
(比較例4)(ポリ乳酸組成物の製造)
比較例1において、ポリエステル(C−6)に代えて、ブロック化していないポリマー(A−3)15部を用いた以外は、比較例1と同様にして、ポリ乳酸組成物(P−9)を得た。
【0117】
このようにして得られたポリ乳酸組成物(P−9)について、実施例と同様にして各種評価を行ない、その結果を表9に示した。この組成物からなる厚さ250μmのフィルムは、透明性が高く(ヘイズ値2.5%)、引っ張り伸びも高い数値を示した。このことから、ブロック化していないポリマー(A−3)からなる耐衝撃性付与剤は、ポリ乳酸との相溶性が高いことが理解できるが、衝撃強度は、ポリ乳酸とほぼ同じ2.2KJ/m2であり、耐衝撃性付与剤がその機能を発揮していないことが理解できる。
【0118】
(比較例5)(ポリ乳酸組成物の製造)
ポリ乳酸(PLA)そのものについて、実施例と同様にして各種評価を行ない、その結果を表9に示した。その結果、ポリ乳酸(島津製作所社製ラクティ#1012)は、アイゾッド衝撃強度が2.1KJ/m2であり、耐衝撃強度が低いことが理解できる。
【0119】
(比較例6)(ポリ乳酸組成物の製造)
比較例1において、ポリ乳酸(PLA)とポリエステル(C−6)に代えて、ポリ乳酸(PLA)90部と比較製造例3で得られたポリエステル(C−8)10部を用いた以外は、比較例1と同様にして、ポリ乳酸組成物(P−11)を得た。
【0120】
このようにして得られたポリ乳酸組成物(P−11)について、実施例と同様にして各種評価を行ない、その結果を表9に示した。この組成物からなる厚さ250μmのフィルムは、高い透明性(ヘイズ値11.0%)を示した。このことから、このポリエステル(C−6)からなる耐衝撃性付与剤は、ポリ乳酸との相溶性が高く、衝撃強度も高いが、実施例5の組成物と比較すると、同じ衝撃強度を得るのに、2倍量を添加する必要があり、耐衝撃性付与剤としての効果は半分である。
【0121】
【表2】
【0122】
【表3】
【0123】
【表4】
【0124】
【表5】
【0125】
【表6】
【0126】
上表中、貯蔵弾性率は、20℃におけるもので、その単位は、GPaであり、IZOD衝撃強度の単位は、KJ/m2である。
【0127】
【表7】
【0128】
上表中、貯蔵弾性率は、20℃におけるもので、その単位は、GPaであり、IZOD衝撃強度の単位は、KJ/m2である。
【0129】
【表8】
【0130】
上表中、貯蔵弾性率は、20℃におけるもので、その単位は、GPaであり、IZOD衝撃強度の単位は、KJ/m2である。
【0131】
【表9】
【0132】
上表中、貯蔵弾性率は、20℃におけるもので、その単位は、GPaであり、IZOD衝撃強度の単位は、KJ/m2である。
表8及び9に示した比較例の耐衝撃性付与剤を含有する組成物あるいは耐衝撃性付与剤を含有しないポリ乳酸と比較して、表6及び7に示した本発明の耐衝撃性付与剤を添加した各実施例の組成物は、高い衝撃強度と引張伸度を示し、また、各比較例の組成物からなるフィルムと比較して、各実施例の組成物からなるフィルムは、透明性及び耐ブリードアウト性に優れていることが明らかである。
【0133】
【発明の効果】
本発明はポリ乳酸の透明性、耐熱性を維持しつつ、耐衝撃性、柔軟性、引張伸度を向上させ、ブリードアウト性が低い耐衝撃性付与剤を提供できる。また、本発明は、耐衝撃性、柔軟性、引張伸度、透明性、耐熱性、耐ブリードアウト性に優れた、耐衝撃性付与剤とポリ乳酸とを含有するポリ乳酸組成物を提供できる。
Claims (5)
- ポリマー(A)とポリマー(B)とを重縮合させて得られる、0℃以下のガラス転移温度を有するポリエステル(C)から成るポリ乳酸用の耐衝撃性付与剤であって、
前記ポリマー(A)が、
式(1) 7.80≦σ/ρ<8.54
(式中、σはポリマーの溶解度パラメータ値を表わし、ρはポリマーの密度値を表わす)を満足する炭素原子数4以下のジオールと炭素原子数6以下のジカルボン酸とからなるポリエステルであり、且つ前記ポリエステルが0℃以下のガラス転移温度を有するポリマーであり、
前記ポリマー(B)が、
式(2) 8.54≦σ/ρ<9.20
(式中、σ及びρはそれぞれ前記と同様の意味を表わす)を満足する、炭素原子数6以上のジオール成分とジカルボン酸とを反応させて得られるポリエステル又は炭素原子数7以上のジカルボン酸とジオール成分とを反応させて得られるポリエステルであり、且つ前記ポリエステルが−20℃以下のガラス転移温度を有するポリマーであることを特徴とするポリ乳酸用の耐衝撃性付与剤。 - 前記ポリエステル(C)が、その重量平均分子量が5,000〜200,000の範囲にあるものである請求項1に記載のポリ乳酸用の耐衝撃性付与剤。
- ポリマー(A)とポリマー(B)とを重縮合させて得られる、0℃以下のガラス転移温度を有するポリエステル(C)から成るポリ乳酸用の耐衝撃性付与剤であって、
前記ポリマー(A)が、
式(1) 7.80≦σ/ρ<8.54
(式中、σはポリマーの溶解度パラメータ値を表わし、ρはポリマーの密度値を表わす)を満足する炭素原子数4以下のジオールと炭素原子数6以下のジカルボン酸とからなるポリエステルであり、且つ前記ポリエステルが0℃以下のガラス転移温度を有するポリマーであり、
前記ポリマー(B)が、
式(2) 8.54≦σ/ρ<9.20
(式中、σ及びρはそれぞれ前記と同様の意味を表わす)を満足する、炭素原子数6以上のジオール成分とジカルボン酸とを反応させて得られるポリエステル又は炭素原子数7以上のジカルボン酸とジオール成分とを反応させて得られるポリエステルであり、且つ前記ポリエステルが
−20℃以下のガラス転移温度を有するポリマーである耐衝撃性付与剤と、ポリ乳酸とを含むことを特徴とするポリ乳酸組成物。 - 前記ポリエステル(C)が、その重量平均分子量が20,000〜200,000の範囲にあるものである請求項3に記載のポリ乳酸組成物。
- 日本工業規格のK 7110に規定されたアイゾット衝撃試験法による衝撃強度が3kJ/m2以上である請求項3に記載のポリ乳酸組成物。
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