JP3969712B2 - 袋詰め包装機における脱気方法及び脱気装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液状物からなる充填物又は液状物を含む充填物を充填した袋内のエアー抜きを行う脱気方法及び脱気装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
このような脱気方法又は脱気装置として、特許第3016052号明細書及び特許第3138916号明細書には、袋口から真空源に連通する吸引ノズルを挿入し、該吸引ノズルにより袋内のエアー及び余分の液状物を吸引することが記載されている。ところが、袋内に吸引ノズルを挿入することから、吸引ノズル内に付着していた充填物や、吸引ノズルの表面から剥がれたコーティング材(通常、充填物の付着を防止する目的でテフロン(登録商標)コーティングが施されている)が袋内に混入する恐れがあり、そのことは充填物が食品等の場合は衛生上きわめて重大な問題となる。
【0003】
一方、特許第2805378号明細書には、通気溝を有する一対の顎形部材からなるチャンバーで袋口のシール予定部位の下方位置を挟持し、チャンバー内を真空に引き前記通気溝を通して袋内のエアーを吸引し、続いて前記チャンバー内に設置されたシールバーを作動させて前記シール予定部位をシールすることが記載されている。しかし、前記通気溝の箇所からエアーとともに袋内の余分の液状物が吸引されると、当該液状物はチャンバー内において通気溝の箇所を出てシール予定部位全体に広がり、さらには袋口から溢れてチャンバー内に入る。チャンバー内に溢れた液状物を清掃するのは、その構造の複雑性もあって大変面倒で時間もかかる。
【0004】
さらに、いずれのタイプでも袋口のシール予定部位に液状物の付着、残留が避けられず、それが噛み込みシールされ、シール不良を引き起こすという問題がある。すなわち、前者の吸引ノズルを用いるタイプでは、吸引ノズルにより吸引された液状物が、袋口の吸引ノズルが存在していた箇所に残留して、シール時に噛み込みシールされ、後者の顎形部材からなるチャンバーを用いるタイプでは、シール部位全体にわたり付着した液状物及び通気溝の箇所に残留した液状物がシール時に噛み込みシールされる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、液状物からなる充填物又は液状物を含む充填物を充填した袋内のエアー抜き(脱気)を行う場合において、吸引ノズルを用いないことで袋内に付着物や異物等が混入するのを避け、同時に、エアーとともに吸引された液状物が袋口全体に広がるようなこともなく、かつ清掃の手間も余りかからないようにすることを目的とする。また、噛み込みシールが起こるのを防止することをさらに他の目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る脱気方法は、一対の挟圧部材により、袋口を袋内から袋外へ抜ける通路を残して上端縁まで含めて挟圧するとともに、挟圧部材の挟圧面に開口しかつ前記通路の上端に連通する真空通路に真空を作用させ、前記通路を通して袋内のエアー及び余分の液状物を袋外へ吸引し、それらを前記真空通路を通して除去することを特徴とする。この脱気方法において、袋内からのエアー抜き及び余分の液状物の排出のため、プレス脱気(前記各特許明細書にも記載されている)等の公知の機械的脱気手段を併用することが望ましい。
この脱気方法によれば、挟圧部材により挟圧されたとき袋口は閉じた状態となるが、前記通路になる部分は挟圧されていないので、その部分からの脱気及び余分の液状物の排出が可能である。そして、袋口が前記通路の部分を除き上端縁まで含めて挟圧され閉じているので、前記通路を通って袋外へ出た液状物が袋口の幅方向に広がってシール予定部位を広く濡らすようなことはなく、そのまま挟圧面に開口した真空通路を経て排出される。
【0007】
上記脱気方法において、続いて袋口の前記通路の部分を該袋口の上端縁まで含めて挟圧し、通路の部分にある液状物を当該通路から押し出すとともに、袋外に押し出された液状物を真空通路を通して除去する。こうすることで、前記通路に残留する液状物まで袋口から押し出し、排出することができ、噛み込みシールをより確実に防止することができる。
また、本発明の脱気方法において、前記通路が下拡がりに形成されていることが望ましい。これにより袋内の幅方向に広く吸引作用が与えられ、脱気が確実かつ安定する。
【0009】
本発明に係る脱気装置は、上下方向に所定幅を有する平らな挟圧面で袋口を両面から挟圧する一対の挟圧部材を備え、少なくとも一方の挟圧部材は、本体部とその内側にはまり込み挟圧面に対し垂直に進退し得るスライド部からなり、スライド部の上部と本体部との間に一端が真空源に連通する真空通路としての空間が形成され、前記スライド部は前進したときその前面が挟圧面の一部をなし、後退したとき挟圧面側にその下端縁から前記真空通路に達する一定深さの凹溝が形成されることを特徴とする。
この装置は、一対の挟圧部材の挟圧面で袋口を上端縁まで含めて挟圧するものだが、前記凹溝の部分においては袋口は挟圧されないため、この凹溝の部分において袋口に袋内から袋外へ抜ける通路が形成され、該通路を通して脱気及び余分の液状物の排出が可能である。また、スライド部を前進させて前記通路に残留する液状物まで袋口から押し出し、排出することができる。このように、この脱気装置により前記脱気方法を実施することができる。
なお、この脱気装置において、前記凹溝は下拡がりに形成されていることが望ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る脱気方法及び脱気装置について、図1〜図8を参照して具体的に説明する。
図1及び図2に脱気装置の挟圧部材1、2を示す。挟圧部材1は全面鉛直で平らな挟圧面1aを有し、図1の実線と仮想線の間を移動する。
挟圧部材2は本体部3とスライド部4からなり、図1の実線と仮想線の間を移動する。本体部3の幅方向の中間位置には(図2参照)、下端縁から上端よりやや下方位置まで略八の字形に下拡がりになった切欠き5が形成され、本体部3はその切欠き5の箇所を除いて鉛直で平らな挟圧面3aを有する。この切欠き5には、その上部に空間(真空通路6)を残してスライド部4がはまり込み、これが挟圧面3aに垂直な方向に進退可能とされている。真空通路6は水平であり、その上部に図示しない真空源に図示しないフィルター及び切換弁等を介して連通する配管部材7が接続され、その後部に図示しない洗浄水供給源に図示しないフィルター及び切換弁等を介して連通する配管部材8が接続されている。なお、本体部3はブロック部3bと取付部(配管部材7、8の取付部)3cが一体化されたもので、これらの前面は面一とされ前記挟圧面3aを構成している。
【0011】
スライド部4は本体部3に対して相対的に進退し、その前面4aは全面鉛直で平らであり、前進したとき本体部3の挟圧面3aと面一になる位置にきて、挟圧面3aとともに袋口に対する挟圧面の一部をなす。後退したときは、図1の位置にあり、挟圧面3a側にその下端縁から真空通路6に達する深さdの平面視八の字形の凹溝9が形成される。
【0012】
この挟持部材1、2を用いた脱気方法について、図3(a)〜(d)を参照して説明すると次のようになる。
(a)両縁をグリッパー11に把持されて袋Wが挟持部材1、2の間に停止したところで、挟持部材1、2が閉動作を開始する。このとき、スライド部4は前進位置、すなわちその前面4aが本体部3の挟圧面3aと面一になる位置にきている。
(b)挟圧部材1、2が接近し完全に閉じる直前まで、挟持部材2の本体部3とスライド部4は一緒に移動するが、挟圧部材2がこの位置にきたとき、スライド部4の移動は停止する。なお、この図に明瞭に示されるように、袋Wの高さは、その袋口の上端縁がスライド部4の上端縁と同一高さかそのやや下に位置するように(逆にいえば、スライド部4の上端縁が袋口の上端縁と同一高さかその上に位置するように)位置決めされるのが望ましい。
【0013】
(c)挟圧部材1と挟圧部材2の本体部3が閉じて(スライド部材は本体部3に対し相対的に距離dだけ後退する)、挟圧面1a及び3aが袋Wの袋口をその上端縁まで含めて挟圧し、それと同時又はその前後のタイミングで真空吸引が開始される。このとき、スライド部4が後退位置にあるので、挟圧面3a側にその下端縁から真空通路6に達する深さdの凹溝9が形成される。これにより、挟圧されていない凹溝9の部分において袋Wの袋口に袋内から袋外に抜ける通路が形成され、真空吸引の力により(必要に応じてプレス脱気等の作用が加わり)、この通路を通して袋内のエアー及び余分の液状物が袋外に吸引され、排出される。このエアー及び液状物は真空通路6を通り、さらに配管部材7を通って外部に排出される。
(d)続いてスライド部4が前進位置にきて、挟圧面1a及びスライド部4の前面4aが袋Wの袋口のそれまで凹溝9の部分に位置していた箇所を、その上端縁まで含めて挟圧する。これにより、それまで前記袋口の通路に溜っていた液状物が押し出され、袋外に押し出された液状物は真空通路6を通り、さらに配管部材7を通って外部に排出される。
次いで挟圧部材1、2が開き、真空吸引が停止し、袋Wは次のシール工程位置に向けて移動する。
【0014】
なお、外部に排出されたエアーと液状物の混合物は、例えば特許第3016052号明細書に記載されたように、フィルターでエアーと液状物に分離され、液状物は廃棄又は必要に応じて再利用される。
また、挟圧部材1、2は必要に応じて洗浄されるが、外部に露出している挟圧面1a、3a及びスライド部4の前面4a等は容易に洗浄することができ、外部に露出していない真空通路6、配管部材7等は、図3(d)の状態で洗浄水供給源から配管部材を通して洗浄水を供給することにより、定位置洗浄(分解することなく洗浄すること)が可能である。
【0015】
次に、図4〜図8を参照して、挟圧部材1、2(及びスライド部4)の駆動機構について説明する。なお、ここに示すのは2連式(2袋を同時処理する方式)の袋詰め包装機に適用される脱気装置であり、本質的に同じ機構が2つ並列設置されている。
主として図4及び図5に示すように、機台12の上面にスタンド13が立設し、その上端に支持ボックス14が固定され、支持ボックス14にブッシュ15を介して上側摺動軸16及び下側摺動軸17が水平に支持され、上側摺動軸16の先端に取付ブロック18を介して挟圧部材1が固定され、下側摺動軸17の先端に取付ブロック19を介して挟圧部材2の本体部3が固定されている。
【0016】
支持ボックス14内にブッシュ21及びブッシュ22を介し上側摺動軸16及び下側摺動軸17に直交して支点軸23が回動自在に支持され、該支点軸23の周囲に揺動レバー24が固定されている。なお、ブッシュ22は支持ボックス14内に固定された支点軸支持ブロック25内に保持されている。揺動レバー24には第1アーム26、第2アーム27及び第3アーム28があり、第1アーム26の先端は連結ロッド29を介してエアシリンダ31に連結し、第2アーム27の先端は連結部材32を介して後側進退ブロック33に連結し、第3アーム28の先端は連結ロッド34を介して前側進退ブロック35に連結している。
後側進退ブロック33は下側摺動軸17に固定され、上側摺動軸16を回り止めブッシュ36を介して支持し(上側摺動軸16の回転が防止される)、前側進退ブロック35は上側摺動軸16に固定され、下側摺動軸17を回り止めブッシュ37を介して支持している(下側摺動軸17の回転が防止される)。
エアシリンダ31が作動してそのピストンロッドが伸びると、図4において揺動レバー24が左回転し、上側摺動軸16が左に移動(後退)し、下側摺動軸17が右に移動(前進)して挟圧部材1、2が閉じ、逆にピストンロッドが縮むと(図4の状態)、挟圧部材1、2が開く。
【0017】
図6〜図8に示すように、後側進退ブロック33の側面に摺動軸支持部38が形成され、これにホルダー39を介して摺動軸41が摺動自在に支持されている。摺動軸41の端部にはストッパー42が固定され、その前方側にバネ受け部材43、さらにその前方側に当接バー44が固定され、さらにその前方側はブッシュ45を介して支持ボックス14に摺動自在に支持されている。ホルダー39とバネ受け部材43の間には圧縮バネ46が介在し、摺動軸41を常時前方に向けて付勢している。また、支持ボックス14の内側にエアシリンダ47が設置され、そのピストンロッド48が当接バー44に対向している。
なお、図8に示すように、取付ブロック19には、摺動軸41の逃がし凹部(切欠き)49と、配管部材8の逃がし孔部51が形成されている。
【0018】
摺動軸41の先端は挟圧部材2のスライド部4の後部に固定されている。摺動軸41が圧縮バネ46により前方に付勢され、ストッパー42がホルダー39に当接した状態のとき、挟圧部材2のスライド部4は本体部3に対し相対的に前進位置にあり、その前面4aが本体部3の挟圧面3aと面一の位置にある(図8又は図3(a)参照)。
エアシリンダ31が作動して、上側摺動軸16が後退し、下側摺動軸17が前進して挟圧部材1、2が閉じるとき、摺動軸41は下側摺動軸17とともに前進するが、このとき、エアシリンダ47が作動してピストンロッド48が突出した状態にあり、挟圧部材1、2が完全に閉じる直前、当接部材44がピストンロッド48に当接し、圧縮バネ46の付勢力に抗して摺動軸41の前進が止められる(図3(b)参照)。一方、上側摺動軸16の後退と下側摺動軸17の前進は継続し、挟圧部材1と挟圧部材2の本体部3が閉じる(図3(c)参照)。次にエアシリンダ47が逆に作動してピストンロッド48が縮むと、圧縮バネ46の付勢力により摺動軸41が前進し、それに伴い挟圧部材2のスライド部4が距離dだけ前進し、その前面4aが本体部3の挟圧面3aと面一の位置にくる(図3(d)参照)。
【0019】
なお、以上具体的に説明した脱気方法及び装置は、主として請求項2及び請求項5の発明に対応したものだが、挟圧部材2の本体部3とスライド部4が図1に示す位置で一体化した挟圧部材(つまり、挟圧面に凹溝9が形成され、その上端が挟圧部材の挟圧面に開口した真空通路6に連通した挟圧部材)を想定すれば、それが請求項1及び請求項4の発明に対応したものとなる。その場合、当然、スライド部を前進させて袋口の通路内の液状物を押し出す操作はできないことになる。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、液状物からなる充填物又は液状物を含む充填物を充填した袋内の脱気を行う場合において、袋内に付着物や異物等が混入するのが防止され、同時にエアーとともに吸引された液状物が袋口全体に広がるようなこともなく、清掃の手間も余りかからないようにできる。
また、脱気工程の最後に袋内から袋外へ通じる通路を挟圧して、該通路に残留する液状物を押し出し、それも吸引除去することにより、袋口のシール予定部位から液状物を追い出すことができ、噛み込みシールが起こるのをより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る挟圧部材の側面断面図である。
【図2】 一方の挟圧部材の正面図(一部断面)である。
【図3】 本発明に係る脱気方法を順に示す図(一部断面)である。
【図4】 本発明に係る脱気装置の側面断面図である。
【図5】 その背面断面図である。
【図6】 その平面図(一部断面)である。
【図7】 摺動軸の作用を説明するための正面断面図である。
【図8】 摺動軸の作用を説明するための側面断面図である。
【符号の説明】
1、2 挟圧部材
1a、3a 挟圧面
3 挟圧部材2の本体部
4 挟圧部材2のスライド部
4a スライド部の前面
6 真空通路
9 凹溝
16 上側摺動軸
17 下側摺動軸
24 揺動レバー
31 エアシリンダ
33 後側進退ブロック
35 前側進退ブロック
41 摺動軸
42 ストッパー
44 当接バー
46 圧縮バネ
47 エアシリンダ
48 ピストンロッド
Claims (5)
- 一対の挟圧部材により、袋口を袋内から袋外へ抜ける通路を残して上端縁まで含めて挟圧するとともに、挟圧部材の挟圧面に開口しかつ前記通路の上端に連通する真空通路に真空を作用させ、前記通路を通して袋内のエアー及び余分の液状物を袋外へ吸引し、それらを前記真空通路を通して除去し、さらに袋口の前記通路の部分を該袋口の上端縁まで含めて挟圧し、前記通路の部分にある液状物を当該通路から押し出すとともに、袋外に押し出された液状物を真空通路を通して除去することを特徴とする袋詰め包装機における脱気方法。
- 前記通路が下拡がりに形成されることを特徴とする請求項1に記載された袋詰め包装機における脱気方法。
- 上下方向に所定幅を有する平らな挟圧面で袋口を両面から挟圧する一対の挟圧部材を備え、少なくとも一方の挟圧部材は、本体部とその内側にはまり込み挟圧面に対し垂直に進退し得るスライド部からなり、スライド部の上部と本体部との間に一端が真空源に連通する真空通路としての空間が形成され、前記スライド部は前進したときその前面が挟圧面の一部をなし、後退したとき挟圧面側に前記スライド部の下端縁から前記真空通路に達する一定深さの凹溝が形成されることを特徴とする袋詰め包装機における脱気装置。
- 前記凹溝は、下拡がりに形成されていることを特徴とする請求項3に記載された袋詰め包装機における脱気装置。
- 前記真空通路に洗浄水供給源に通じる開口が形成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載された袋詰め包装機における脱気装置。
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