JP3962743B2 - 析出硬化型マルテンサイト鋼及びその製造方法並びにそれを用いたタービン動翼及び蒸気タービン - Google Patents

析出硬化型マルテンサイト鋼及びその製造方法並びにそれを用いたタービン動翼及び蒸気タービン Download PDF

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Description

本発明は、高強度、高靭性及び良好な耐遅れ割れ特性を有する析出硬化型マルテンサイト鋼及びその製造方法並びにそれを用いたタービン動翼及び蒸気タービンに関する。
蒸気タービンの熱効率を向上するには、低圧最終段動翼の翼長を長大化するのが有利である。タービン動翼を長大化するためには、高比強度の翼材料が必要である。しかしながら、3600rpm蒸気タービンにおいて、現状、スチール製翼では40インチ級が限界であり、45インチ級にはチタン合金が使用されている。
タービン翼用の高強度スチール材として、特開2001−98349号公報には、重量比で0.13〜0.40%のCと、0.5%以下のSiと、1.5%以下のMnと、2〜3.5%のNiと、8〜13%のCrと、1.5〜4%のMoと、合計で0.02〜0.3%のNb及びTaと、0.05〜0.35%のVと、0.04〜0.15%のNと、残部のFeとからなる組成のマルテンサイト鋼が記載されている。
また、高強度・高靭性・高耐食性の析出硬化型ステンレス鋼として多数の技術が出願公開されているが、そのうちマルテンサイト単相のものとして特許3251648号公報の表1には、重量比で0.08%以下のCと、0.7〜2.5%のSiと、3.0%以下のMnと、6.0〜7.2%のNiと、10.0〜17.0%のCrと、0.5〜2.0%のCuと、0.5〜3.0%のMoと、0.15〜0.45%のTiと、0.015%以下のNと、0.003%以下のSと、残部のFeとからなる組成の析出硬化型マルテンサイト鋼が記載されている。
特開2001−98349号公報 特許3251648号公報(表1)
タービン動翼用高強度スチール材として、3600rpm蒸気タービン用の翼長45インチ級の翼材としては引張強さが1350MPa以上、翼長50インチ級の翼材としては引張強さが1500MPa以上と高強度で、室温のシャルピー吸収エネルギーが20J以上と高靭性で、かつ良好な耐遅れ割れ(SCC)特性を満足する必要がある。しかし、上記の特開2001−98349号公報に記載のような焼入れ・焼戻しにより強度を調整する焼戻しマルテンサイト鋼では、後述するように引張強さを1350MPa以上に高めると遅れ割れが発生する可能性がある。一方、析出硬化型マルテンサイト鋼は高強度・高靭性・高耐食性であるものの、従来技術のCuやNbやTiの析出物のみでは引張強さ1500MPa以上の要求値に対しては強度不足である。特許3251648号公報に記載の技術では結晶粒径を細粒化して高強度・高靭性を達成しているが、タービン翼根部のような厚肉部で細粒組織を得るのは困難であり、強度・靭性が不足するという問題がある。
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、引張強さが1350MPa以上と高強度で、室温のシャルピー吸収エネルギーが20J以上と高靭性で、かつ良好な耐遅れ割れ特性を満足する析出硬化型マルテンサイト鋼及びその製造方法並びにそれを用いたタービン動翼及び蒸気タービンを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係る析出硬化型マルテンサイト鋼は、重量比で、12.25〜14.25%のCrと、7.5〜8.5%のNiと、1.0〜2.5%のMoと、0.05%以下のCと、0.2%以下のSiと、0.4%以下のMnと、0.03%以下のPと、0.005%以下のSと、0.008%以下のNと、0.90〜2.25%のAlと、残部が実質的にFeとからなり、CrとMoの合計が14.25〜16.75%であることを特徴とする。
また、本発明に係る析出硬化型マルテンサイト鋼は、
Cr当量=[Cr]+2[Si]+1.5[Mo]+5.5[Al]+1.75[Nb]+1.5[Ti]
Ni当量=[Ni]+30[C]+0.5[Mn]+25[N]+0.3[Cu]
であり、Cr当量が28.0未満で、Ni当量が10.5未満であることが好ましい。なお、上記式において、括弧内の単位は重量%である。このようにCr当量とNi当量を調整することで、合金組織中のδフェライト相および残留オーステナイト相の析出を確実に防止でき、高い靭性と良好な熱間鍛造性を確保することができる。
また、上記CrとMoの合計は15.5〜16.75%とすることがより好ましい。このようにCrとMoの合計量をより限定することで、引張強さが1500MPa以上となり高強度で、室温のシャルピー吸収エネルギーが20J以上と高靭性で、かつ良好な耐遅れ割れ特性を満足する析出硬化型マルテンサイト鋼を提供することができる。
さらに、上記Alは1.35%を超えて2.25%以下にすることがより好ましい。このようにAlの量を高い範囲で限定することで、引張強さが1500MPa以上となる高強度で、室温のシャルピー吸収エネルギーが20J以上と高靭性で、かつ良好な遅れ割れ特性を満足する析出硬化型マルテンサイト鋼を提供することができる。また、このようにAlの量を高い範囲で限定することで、550℃以上の高い時効温度でも引張強さ1500MPa以上を達成でき、時効温度が高いためにCrとMoの合計量が15.5%以下と低い範囲のままでも良好な遅れ割れ特性を満足させることができる。
本発明は、別の態様として、析出硬化型マルテンサイト鋼の製造方法であって、重量比で、12.25〜14.25%のCrと、7.5〜8.5%のNiと、1.0〜2.5%のMoと、0.05%以下のCと、0.2%以下のSiと、0.4%以下のMnと、0.03%以下のPと、0.005%以下のSと、0.008%以下のNと、0.90〜1.35%のAlと、残部が実質的にFeとからなり、CrとMoの合計が14.25〜16.75%である鋼片に910℃〜940℃で溶体化処理後、510℃〜550℃で時効処理を施すことを特徴とする。なお、この場合、CrとMoの合計は15.5〜16.75%とすることが好ましい。
また、本発明に係る析出硬化型マルテンサイト鋼の製造方法は、別の形態として、重量比で、12.25〜14.25%のCrと、7.5〜8.5%のNiと、1.0〜2.5%のMoと、0.05%以下のCと、0.2%以下のSiと、0.4%以下のMnと、0.03%以下のPと、0.005%以下のSと、0.008%以下のNと、1.35%を超えて2.25%以下のAlと、残部が実質的にFeとからなり、CrとMoの合計が14.25〜16.75%である鋼片に910℃〜940℃で溶体化処理後、550℃〜600℃で時効処理を施すことを特徴とする。なお、本発明に係る析出硬化型マルテンサイト鋼の製造方法は、上記どちらの形態においても、上記Cr当量が28.0未満で、上記Ni当量が10.5未満であることが好ましい。
本発明は、また別の態様として、タービン動翼であって、前記のマルテンサイト鋼を用いたことを特徴とする。これにより従来はチタン合金を用いていた翼長45インチ級長翼(3600rpm蒸気タービン用)についてもスチール製にすることができ、低コスト化を図ることができる。
本発明は、さらに別の態様として、蒸気タービンであって、前記のマルテンサイト鋼を用いたタービン動翼と、9〜12Cr鋼を少なくとも長翼植設部に用いたロータとを備えたことを特徴とする。このように長翼植設部に9〜12Cr鋼を用いることにより、翼溝のSCC強度を向上させることができるので、低コストで高信頼性の蒸気タービンを提供することができる。
このように、本発明によれば、引張強さが1350MPa以上と高強度で、室温のシャルピー吸収エネルギーが20J以上と高靭性で、かつ良好な耐遅れ割れ特性を満足する析出硬化型マルテンサイト鋼及びその製造方法並びにそれを用いたタービン動翼及び蒸気タービンを提供することができる。
以下に、本発明に係る析出硬化型マルテンサイト鋼に含まれる成分及びその含有量について説明する。なお、以下の説明において、特に説明のない限り、含有量を表す%は重量比である。
クロム(Cr)は、優れた耐食性および優れた耐遅れ割れ(SCC)特性を得るため、少なくとも12.25%以上のCrを含有させる必要がある。一方、Cr含有量が14.5%を超えると、δフェライト相が多量に析出し、引張強さや靭性などの機械的特性を悪化させる原因となる。よって、Cr含有量の上限は安全のために14.25%とするのがよい。このような理由から、Cr含有量を12.25〜14.25%の範囲に設定した。
ニッケル(Ni)は、δフェライト相の析出を抑制し、かつアルミニウム(Al)との金属間化合物を形成して析出硬化に寄与する必要不可欠な元素である。本発明においては、高強度かつ高靭性の特性を得るために、少なくとも7.5%のNiを含有させる必要がある。一方、Ni含有量が8.5%を超えると、残留オーステナイト相が生成し、必要とする強度が得られない。よって、Ni含有量は、7.5〜8.5%の範囲に設定した。
モリブデン(Mo)は、クロム(Cr)とともに耐食性および耐遅れ割れ(SCC)特性を向上させるうえで有効な合金元素であり、その効果を得るためには、少なくとも1.0%のMoを含有させる必要がある。一方、Moの含有量が2.5%を超えると、δフェライト相の析出が助長され、靭性低下の一因となる。よって、Mo含有量は、1.0〜2.5%の範囲に設定した。
また、CrとMoの合計は、遅れ割れ試験によりき裂が発生する限界の引張強さ(遅れ割れ発生限界強度)とよい相関が認められることがわかった。よって、1350MPa以上の引張強さで優れた耐遅れ割れ(SCC)特性を発現させるために、CrとMoの合計量は、14.25〜16.25%の範囲に設定した。さらに、CrとMoの合計量は、1500MPa以上の引張強さでも優れた耐SCC特性を発現させるために、15.5〜16.25%の範囲に限定することがより好ましい。なお、後述するように、Al含有量が高く、時効温度が550℃以上でも引張強さ1500MPa以上となる場合には、CrとMoの合計量が15.5%未満と低い範囲のままでも良好な遅れ割れ特性を満足させることができる。
なお、高強度、高靭性および優れた機械的特性の観点から、δフェライト相の析出は体積分率で1%以内にすることが好ましい。δフェライト相の析出は、Cr当量を28.0未満にすることで回避することができる。また、δフェライト相の析出を回避しても、残留オーステナイト相が析出すると所望の強度が得られない。残留オーステナイト相の析出は、Ni当量を10.5未満にすることで回避することができる。すなわち、Cr当量を28.0未満とし、かつNi当量を10.5未満とすることで、δフェライト相と残留オーステナイト相の両方の析出を回避することができる。なお、Cr当量とNi当量は以下の式で表される。
Cr当量=[Cr]+2[Si]+1.5[Mo]+5.5[Al]+1.75[Nb]+1.5[Ti]
Ni当量=[Ni]+30[C]+0.5[Mn]+25[N]+0.3[Cu]
炭素(C)は、δフェライト相を抑制する上で有効な元素であるが、C含有量が増加すると残留オーステナイト相が生成し、溶体化処理後の冷却でマルテンサイト単相組織とならないために十分な強度を得ることができない。また、炭化物が析出すると耐食性に悪影響を及ぼす。よって、C含有量の上限は0.05%とした。より好ましくは0.01〜0.05%である。
アルミニウム(Al)は、ニッケル(Ni)との金属間化合物を形成して析出硬化に寄与し、本発明では必要不可欠な重要元素である。有効な析出硬化能を発現するためには、少なくとも0.90%のAlを含有させる必要がある。一方、Al含有量が2.25%を超えると、過剰な析出またはδフェライト相の生成により、靭性や熱間鍛造性を著しく低下させる原因となる。よって、Al含有量は、0.90〜2.25%の範囲に設定した。
また、Al含有量を増加させるに従って、引張強さが向上することがわかった。特に、Al含有量を1.35%より高く2.25%以下と高い範囲に限定することで、十分に過時効条件にある550℃以上の高い時効温度条件でも、引張強さ1500MPa以上、シャルピー吸収エネルギー20J以上の高強度かつ高靭性を達成することができる。また、Al含有量を上記の高い範囲に限定し、かつ時効温度を550℃以上の高い範囲に限定することで、CrとMoの合計量が15.5%未満と低い範囲に限定したままでも遅れ割れの発生を抑制することができる。さらに、CrとMoの含有量を上記の低い範囲に限定することで、δフェライト相の析出を抑制することができ、大型鋼塊の相安定性を向上させることができる。
マンガン(Mn)は、δフェライト相の生成を抑制する上で有効な元素である。しかし、Mn含有量が増加すると、残留オーステナイト相が生成し、十分な強度を得ることができない。よって、Mn含有量の上限は、大気溶解法で製造可能で、かつ強度・靱性の目標を満足できる限界の含有量として、0.4%とした。なお、真空誘導溶解法、真空アーク再溶解法、及びエレクトロスラグ再溶解法などによれば必ずしもMn添加の必要がなく、Mn含有量を0.1%以下、より好ましくは0.05%以下にすることができる。
ケイ素(Si)は、溶鋼の脱酸剤として有効な元素である。しかし、Si含有量が増加すると、δフェライト相の生成が助長され、強度及び靭性が低下する。よって、Si含有量の上限は、大気溶解法で製造可能で、かつ強度・靱性の目標を満足できる限界の含有量として、0.2%とした。なお、真空誘導溶解法、真空アーク再溶解法、及びエレクトロスラグ再溶解法などによれば必ずしもSi添加の必要がなく、Si含有量を0.1%以下、より好ましくは0.05%以下にすることができる。
リン(P)は、強度の向上に寄与するものではなく、逆に靭性に悪影響を与える。よって、靭性確保の観点から、P含有量は可能な限り低減することが望ましく、大気溶解法で製造可能で、かつ強度・靱性の目標を満足できる限界の含有量として、上限を0.03%とした。より好ましい範囲は0.005%以下である。この場合、Siを0.1%以下、Mnを0.1%以下とすることが好ましい。
硫黄(S)は、MnS等の非金属介在物として鋼中に存在し、疲労強度、靭性、耐食性等に悪影響を与える。よって、S含有量は可能な限り低減することが望ましく、上限を0.005%とした。
窒素(N)は、δフェライト相を抑制する上で有効な元素であるが、N含有量が増加すると残留オーステナイト相の生成により強度不足となる。さらに、N含有量の増加によりリン(P)と同様に靭性に悪影響を及ぼす。よって、N含有量の上限を0.008%とした。
その他の元素として、ニオブ(Nb)及びタンタル(Ta)を添加することもできる。Nb及びTaは、炭化物を形成して強度の向上に効果がある一方、靭性や熱間鍛造性を悪化させる。よって、これらを添加する場合は、Nb及びTaの合計の含有量の上限を0.01%とするのがよい。また、本発明鋼の残部は、基本的にはFeであるが、不可避的に混入する不純物も含まれる。
次に、本発明に係る析出硬化型マルテンサイト鋼の熱処理について説明する。上記で規定した化学組成を有する析出硬化型マルテンサイト鋼を、先ず、溶解・鍛造して所定の形状に成形した後に、好ましくは910〜940℃の温度に加熱した後、水冷または強制空冷して溶体化処理を行う。溶体化温度を910℃以上とすることで、析出物の固溶化を図り、未固溶の析出物を低減させて靭性を確保する。また、溶体化温度を940℃以下とすることで、結晶粒の粗大化抑制により微細組織が得られ、良好な靭性が得られる。加熱時間は特に限定されないが0.5〜3時間が好ましい。
溶体化処理後、Al含有量が1.35%までの場合は、好ましくは510〜550℃の温度に加熱した後、空冷して時効処理を行う。時効処理の加熱温度を510℃以上にすることで、得られる鋼の室温のシャルピー吸収エネルギーを20J以上にすることができ、高い靭性を得ることができる。また、時効処理の温度を550℃以下にすることで、得られる鋼の室温の引張強さを1350MPa以上にすることができ、高い強度を得ることができる。特に時効処理の温度を530℃以下にすることで、引張強さを1500MPa以上にすることができ、より高い強度を得ることができる。時効処理の加熱時間は特に限定されないが3〜5時間が好ましい。
また、Al含有量が1.35%を超える場合は、溶体化処理後、好ましくは550〜600℃の温度に加熱した後、空冷して時効処理を行う。時効処理の加熱温度を550〜600℃にすることで、得られる鋼の室温の引張強さを1350MPa以上、シャルピー吸収エネルギーを20J以上にすることができ、高強度かつ高靭性を達成することができる。特に時効処理の温度を550〜580℃に限定することで、引張強さを1500MPa以上にすることができ、より高い強度を得ることができる。時効処理の加熱時間は特に限定されないが3〜5時間が好ましい。
次に、本発明に係る析出硬化型マルテンサイト鋼を用いたタービン動翼について説明する。図1に、3600rpm蒸気タービン用の翼長45インチ級の長翼の一例を示す。図1に示すように、長翼1はセレーション型の翼根4を有しており、この翼根4はロータ(図示省略)にサイドエントリー式に植え込まれる。複数の長翼1をロータの外周に放射状に植設し、シュラウド2及びスタブ3を介して左右に隣り合う長翼1同士を組み合わせ、環状のタービン翼列をなすようにする。
エロージョンシールド5は水滴によるエロージョンを防止するためのものであり、通常、Co基合金のステライト板をろう付けする。また、レーザーや高周波を用いた表面焼入れによる硬化層を用いることもできる。本発明に係る析出硬化型マルテンサイト鋼は450Hv程度の硬度を有するため、マイルドな環境であればエロージョンシールド5を省略することも可能である。なお、図1ではシュラウド2が翼と一体成型されたインテグラルシュラウド動翼を示したが、これに限定されるものではなく従来翼にも適用可能である。
このように、本発明に係る析出硬化型マルテンサイト鋼をタービン動翼に採用することで、従来の45インチ級チタン翼をスチール翼に置換でき、大幅なコストダウンを達成することができる。なお、本発明に係るタービン動翼は、翼長45インチ級長翼(3600rpm蒸気タービン用)に限定されるものではなく、上記説明したように、化学組成や熱処理条件を変えることにより、例えば、Al含有量が1.35%までの場合にはCrとMoの合計量を15.5〜16.75%かつ時効条件を510〜530℃にし、Al含有量が1.35%を超える場合には時効条件を550〜580℃にすることで、1500MPa以上の引張強さが得られるので、翼長50インチ級長翼(3600rpm蒸気タービン用)にすることも可能である。また、各種長翼に対応でき、例えば、3000rpm蒸気タービン用の54インチ級、60インチ級の長翼に対応可能であるとともに、1500/1800rpm蒸気タービン用長大翼にも対応可能である。
次に、本発明に係るタービン動翼を備えた蒸気タービンについて説明する。上記説明した通り、本発明に係る析出硬化型マルテンサイト鋼をタービン動翼に採用することで、3600rpm蒸気タービン用45インチ、50インチ級長翼にも対応することができる。しかし、チタン合金製翼より翼重量が増大することによってロータ翼溝の遠心応力も増大するため、従来の低合金鋼ロータ材では翼溝のSCC強度不足となる。そこで、低合金鋼よりもSCC強度が高い高強度9〜12Cr鋼をロータ材として採用し、本発明のマルテンサイト鋼を用いた長翼と組み合わせることによって、45インチ、50インチ級のスチール製長翼を備えた蒸気タービンを提供することができる。
高強度9〜12Cr鋼としては、例えば、特開平11−131190号公報や特許2948324号公報に記載の9〜12Cr鋼を採用することができる。特に、0.05〜0.2%のC、2.5%以下のNi、8〜11%のCr、0.3〜2%のMo、0.1〜0.3%のV、0.01〜0.08%のN及び0.02〜0.15%Nbを含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、該不可避的不純物のうちのSiが0.1%以下、Mnが0.3%以下、Pが0.015%以下、Sが0.008%以下である高強度耐熱鋼や、0.08〜0.25%のC、0.10%以下のSi、0.10%以下のMn、0.05〜1.0%のNi、10.0〜12.5%のCr、0.6〜1.9%のMo、1.0〜1.95%のW、0.10〜0.35%のV、0.02〜0.10%のNb、0.01〜0.08%のN、0.001〜0.01%のB、2.0〜8.0%のCoを含有し、残部が実質的にFeであり、組織が焼戻しマルテンサイト基地からなる耐熱鋼の次式によって求められるCr当量(Cr当量=Cr+6Si+4Mo+1.5W+11V+5Nb−40C−2Mn−4Ni−2Co−30N)が7.5%以下であり、(B+0.5N)で表されるB当量が0.030%以下であり、(Nb+0.4C)で表されるNb当量が0.12%以下であり、(Mo+0.5W)で表されるMo当量が1.40〜2.45%であり、かつ、不純物元素のうち、Sを0.01%以下、Pを0.03%以下に抑えてなり、M236型炭化物および金属間化合物を主として結晶粒界およびマルテンサイトラス境界に析出させ、かつMX型炭窒化物をマルテンサイトラス内部に析出させ、これら析出する析出物の合計量が1.8〜4.5%である耐熱鋼より形成されている高強度・高靱性耐熱鋼が好ましい。
図2に本発明に係る蒸気タービンの一例を示す。図2は、単一のロータ材料で構成された一体型低圧タービンロータの断面図である。図2に示すように、一体型ロータ20は、長翼植設部21も含めて全て9〜12Crロータ材23で構成されているので、翼溝のSCC強度を、本発明鋼を用いた45インチ、50インチ級長翼に耐え得る強度まで向上させることができる。しかし、低合金鋼ロータ材よりも9〜12Crロータ材の方が高コストであるため、チタン製長翼の代わりにスチール製長翼を採用したコストメリットが小さくなる可能性がある。そこで、3600rpmタービン用の45インチ、50インチ級翼や3000rpmタービン用の54インチ、60インチ級翼を植設するタービン最終段のみの翼溝部を9〜12Cr鋼とし、その他の部分を従来の低合金鋼とすることで、コストを低減することができる。その一例を図3及び図4に示す。
図3は、長翼植設部を含む部分とその他の部分とを溶接した溶接型低圧タービンロータの断面図である。図3に示すように、溶接型ロータ30は、9〜12Cr鋼ロータ材33で構成された長翼植設部31を含むロータ両端部と、低合金鋼ロータ材75で構成されたロータ中央部とからなり、これらは溶接部37で溶接され接合されている。このような構成にすることで、溶接型ロータ30全体の約半分の部分についてのみ9〜12Cr鋼ロータ材33が使用されるので、コスト低減を図ることができる。
図4は、長翼植設部を含む部分とその他の部分とを焼き嵌めした焼き嵌め型低圧タービンロータの断面図である。図4に示すように、焼き嵌め型ロータ40は、長翼植設部41が一体に構成された9〜12Cr鋼ディスク45を、低合金鋼ロータ材43で構成されたロータ本体に焼き嵌めして接合されている。このような構成にすることで、焼き嵌め型ロータ40全体の一部分についてのみ9〜12Cr鋼が使用されるので、コスト低減をより顕著に図ることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。表1は、蒸気タービン長翼用材料に係る高強度鋼の化学組成(重量%)を示し、残部はFeと不可避的不純物からなる。各試料は、それぞれ50kg高周波真空溶解した後、角材または丸棒に熱間鍛造して、以下の熱処理に供した。
Figure 0003962743
試料1と試料2は高強度・高靭性の12Cr系鋼であり、1100℃×2h加熱後油焼入れし、400〜650℃範囲の任意の温度×3.5h加熱後空冷して焼戻しを行った。試料3は現用の長翼材である17−4PH鋼であり、1038℃×1h加熱後空冷して焼入れし、450〜650℃範囲の任意の温度×3h加熱後空冷して時効処理を行った。試料4はマルエージ鋼と呼ばれる市販鋼であり、820℃×2h加熱後空冷して焼入れし、410〜550℃範囲の任意の温度×5h加熱後空冷して時効処理を行った。試料5〜11は本発明鋼であり、925℃×1h加熱後空冷して焼入れし、450〜620℃範囲の任意の温度×4h加熱後空冷して時効処理を行った。試料12と試料13は本発明鋼の比較鋼であり、925℃×1h加熱後空冷して焼入れし、550℃×4h加熱後空冷して時効処理を行った。
これら試料1〜13について、室温(20℃)において引張試験及びシャルピー衝撃試験を行った。その結果を図5及び図6に示す。図5は、各試料の時効・焼戻し温度に対する引張強さの変化を表すグラフである。図6は、各試料の時効・焼戻し温度に対するシャルピー吸収エネルギーの変化を表すグラフである。図5及び図6に示すように、本発明鋼の試料5、6は、約550℃の時効により、翼長45インチ級(3600rpm蒸気タービン用)の翼材に要求される特性である引張強さ1350MPa以上、シャルピー吸収エネルギー20J以上を満足した。また、約510℃の時効により、翼長50インチ級(3600rpm蒸気タービン用)の翼材に要求される特性である引張強さ1500MPa以上、シャルピー吸収エネルギー20J以上を満足した。
また、Al量が1.36%である本発明鋼の試料7は、図5及び図6に示すように、約550℃の時効により、引張強さ1500MPa以上、シャルピー吸収エネルギー20J以上を満足した。Al量が2.13%である本発明鋼の試料10は、図5及び図6に示すように、約580℃の時効により、引張強さ1500MPa以上、シャルピー吸収エネルギー20J以上を満足した。Al量を増加させた場合の結果を比較するため、試料5及び試料7〜11についてまとめたグラフを図7及び図8に示す。
図7に示すように、550℃の時効温度において、Al量の増加に従って引張強さが向上した。遅れ割れの観点から、時効温度はできるだけ高く過時効条件とすることが望ましく、十分に過時効条件にある時効温度を550℃において、Al量を1.35%より高くにすることで1500MPa以上の引張強さを得られることがわかった。また、図8に示すように、引張強さが向上するに従ってシャルピー吸収エネルギーは低下する傾向があるが、引張強さ1350MPa及び1500MPaにおいても20J以上のシャルピー吸収エネルギーを満足し、本発明鋼は約1580MPa以下の引張強さであれば20J以上のシャルピー吸収エネルギーを得られることがわかった。
また、Mn量が0.39%、Si量が0.19%、P量が0.024%である試料11は、図5及び図6に示すように、Mn、Si、Pの各量が低減された本発明鋼の試料と同様の優れた引張強さおよびシャルピー吸収エネルギーを得ることができた。
一方、比較鋼であるCr当量が28.0を越える試料12は、δフェライト相が多量析出したため、引張強さが約800MPaと非常に低く、要求される強度特性を満足しなかった。また、比較鋼であるNi当量が10.5を超える試料13は、残留オーステナイト相が生成したため、引張強さ1350MPaとなる550℃の時効条件においてシャルピー吸収エネルギーが20Jより低く、必要な靭性を得ることができなかった。
また、本発明鋼とは異なる鋼種である高強度12Cr系鋼の試料1は、約500℃以下の焼き戻しにより、引張強さが1350MPa以上でシャルピー吸収エネルギーが20J以上の1350MPa級の目標値を満足したが、1500MPa級の引張強さには至らなかった。試料2は、約500℃を超える焼き戻しでは引張強さが1350MPa以下となり、約500℃以下の焼き戻しではシャルピー吸収エネルギーが20J以下となり、1350MPa級の目標値にも至らなかった。
本発明鋼と同じ析出硬化型ステンレス鋼である17−4PH鋼の試料3は、約480℃の時効により、引張強さが1350MPa以上でシャルピー吸収エネルギーが20J以上の1350MPa級の目標値は満足したが、1500MPa級の引張強さには至らなかった。また、市販マルエージ鋼である試料4は、約480〜550℃の時効により、引張強さとシャルピー吸収エネルギーが1350MPa級の目標値、1500MPa級の目標値を満足した。
次に、本発明鋼の試料5〜10と他鋼種の試料1〜4について、遅れ割れ試験を行った。遅れ割れ試験は、温度80℃、溶存酸素濃度8.0ppmの水中で、500h経過後の試料片にき裂が発生したか否かを評価した。その結果を図9及び図10に示す。図9は、試料1〜6のCr+Mo量に対して、遅れ割れ試験によりき裂が発生する限界の引張強さ(遅れ割れ発生限界強度)の変化を表すグラフである。図10は、試料5及び試料7〜10のAl量に対する遅れ割れ発生限界強度の変化を表すグラフである。図9及び図10中、黒塗りのマークはき裂の発生を示し、白抜きのマークはき裂が発生しなかったことを示す。
図9に示すように、他鋼種の試料1、試料2、試料4は、1350MPa級以上の強度レベルでは遅れ割れが発生した。一方、他鋼種の試料3と、本発明鋼の試料5は、1350MPa級でも遅れ割れが発生しなかった。但し、1500MPa級の強度が要求される場合には遅れ割れが発生した。本発明鋼の試料6は、目標とする1350MPa級で遅れ割れが発生せず、さらに1500MPa級でも遅れ割れが発生しなかった。このように、引張強さが高いほど遅れ割れが生じやすく、また、遅れ割れ発生限界強度は一般に耐食性を表すパラメータであるCr+Mo量とよい相関が認められることから、Cr+Mo量が高いほど遅れ割れが発生しにくいことがわかる。すなわち、図9から、Cr+Mo量を15.5重量%以上にすることで、1500MPa級でも遅れ割れの発生を防止することができる。
また、Al量を増加させた場合の遅れ割れ特性を比較した図10から、Al量が1.35%を超える本発明鋼の試料7〜10は、いずれも1500MPa級の引張強さでは遅れ割れが発生しなかった。表1に示したように、これらの試料のCr+Mo量は約14.5%程度と低いにもかかわらず、1500MPa級でも遅れ割れの発生を防止することができた。すなわち、Al含有量が高く、時効温度が過時効領域の550℃以上でも引張強さ1500MPa以上となる場合には、CrとMoの合計量が15.5%未満と低い範囲のままでも良好な遅れ割れ特性を満足させることができる。
さらに、他鋼種の試料3、本発明鋼の試料5〜11、比較鋼の試料12、13について、δフェライト相析出および残留オーステナイト相析出の検出試験を行った。検出試験は、上記熱処理後の試料の組織を光学顕微鏡により観察した。その結果、試料12で1%を超えるδフェライト相の析出が検出されたものの、他の試料についてはδフェライト相の析出量は1%以下と軽微であった。また、試料13で残留オーステナイト相析出が検出されたものの、他の試料については残留オーステナイト相の析出は検出されなかった。試料3及び試料5〜13について、組織に及ぼすCr当量及びNi当量の影響(シェフラーの状態図)を図11に示す。図11に示すように、Cr当量が28.0未満でかつNi当量が10.5未満である場合に、δフェライト相および残留オーステナイト相の両方の析出を回避することができる。
以上の結果を纏めたものを表2に示す。表2に示すように、本発明鋼である試料5〜11は、1350MPa級の目標値を全て満足した。なお、Cr+Mo量を15.5wt%以上とした試料6は、1500MPa級の目標値をも満足した。また、Al量を1.35wt%より高くした試料7〜10も1500MPa級の目標値を満足した。
Figure 0003962743
以下に、実施例1で示した試料6の化学組成の鋼を用いて、図1に示した翼長45インチ級長翼(3600rpm蒸気タービン用)を作製した手順を示す。先ず、試料6の化学組成の鋼を真空誘導溶解後、真空アーク再溶解し、熱間鍛造によりφ200mm程度の丸棒状の素材を作製した。その後、翼根等の各部の肉厚により径の異なる串団子状に荒地鍛伸を施し、高温に加熱後型鍛造によりニアネット形状とした後、熱処理を行った。熱処理は、1350MPa以上の引張強さとなるように925℃×2h加熱後強制空冷して溶体化処理を行い、550℃×4h加熱後空冷して時効処理を行った。ひずみ取り・研磨・機械加工により仕上げ加工を行い、翼長45インチ級長翼を製作した。
製作した翼の各部位(翼先端、翼中央、翼根)から試験片を採取し、室温(20℃)において引張試験及びシャルピー衝撃試験を行った。その結果を表3に示す。いずれの部位の試験片も、引張強さが1350MPa以上でシャルピー吸収エネルギーが20J以上の目標値を満足した。また、組織もδフェライト相の析出は認められずマルテンサイト単相の微細組織であり、45インチ翼は健全な性状であることが確認された。
Figure 0003962743
本発明に係る析出硬化型マルテンサイト鋼は、引張強さが1350MPa以上と高強度で、室温のシャルピー吸収エネルギーが20J以上と高靭性で、かつ良好な耐食性を満足するので、蒸気タービン用のタービン動翼に用いることができる他、ガスタービン圧縮機や化学プラント圧縮機の翼にも適用することが可能である。
翼長45インチ級長翼の一例を示す模式図である。 一体型低圧タービンロータの一例を示す断面図である。 溶接型低圧タービンロータの一例を示す断面図である。 焼き嵌め型低圧タービンロータの一例を示す断面図である。 時効・焼戻し温度に対する引張強さの変化を表すグラフである。 時効・焼戻し温度に対する吸収エネルギーの変化を表すグラフである。 Al量に対する引張強さの変化を表すグラフである。 引張強さと吸収エネルギーの関係を表すグラフである。 Cr+Mo量に対する遅れ割れ発生限界強度の変化を表すグラフである。 Al量に対する遅れ割れ発生限界強度の変化を表すグラフである。 組織に及ぼすCr当量及びNi当量の影響(シェフラーの状態図)を表すグラフである。
符号の説明
1 長翼
2 シュラウド
3 スタブ
4 翼根
5 エロージョンシールド
20 一体型ロータ
30 溶接型ロータ
40 焼き嵌め型ロータ

Claims (10)

  1. 質量比で、12.25〜14.25%のCrと、7.5〜8.5%のNiと、1.0〜2.5%のMoと、0.05%以下のCと、0.2%以下のSiと、0.4%以下のMnと、0.03%以下のPと、0.005%以下のSと、0.008%以下のNと、0.90〜1.35%のAlと、合計の上限が0.01%であるNb及びTaと、残部Fe及び不可避的に混入する不純物とからなり、CrとMoの合計が14.25〜16.75%であり、910℃〜940℃で溶体化処理後、510℃〜530℃で時効処理を施した析出硬化型マルテンサイト鋼。
  2. Cr当量=[Cr]+2[Si]+1.5[Mo]+5.5[Al]+1.75[Nb]+1.5[Ti]、
    Ni当量=[Ni]+30[C]+0.5[Mn]+25[N]+0.3[Cu]
    であり、上記式中の角括弧はその元素の質量比(%)を指し、Cr当量が28.0未満で、Ni当量が10.5未満である請求項1に記載の析出硬化型マルテンサイト鋼。
  3. 質量比で、12.25〜14.25%のCrと、7.5〜8.5%のNiと、1.0〜2.5%のMoと、0.05%以下のCと、0.2%以下のSiと、0.4%以下のMnと、0.03%以下のPと、0.005%以下のSと、0.008%以下のNと、0.90〜2.25%のAlと、合計の上限が0.01%であるNb及びTaと、残部のFe及び不可避的に混入する不純物とからなり、CrとMoの合計が15.5〜16.75%である析出硬化型マルテンサイト鋼。
  4. 質量比で、12.25〜14.25%のCrと、7.5〜8.5%のNiと、1.0〜2.5%のMoと、0.05%以下のCと、0.2%以下のSiと、0.4%以下のMnと、0.03%以下のPと、0.005%以下のSと、0.008%以下のNと、1.35%を超えて2.25%以下であるAlと、合計の上限が0.01%であるNb及びTaと、残部のFe及び不可避的に混入する不純物とからなり、CrとMoの合計が14.25〜16.75%である析出硬化型マルテンサイト鋼。
  5. 質量比で、12.25〜14.25%のCrと、7.5〜8.5%のNiと、1.0〜2.5%のMoと、0.05%以下のCと、0.2%以下のSiと、0.4%以下のMnと、0.03%以下のPと、0.005%以下のSと、0.008%以下のNと、0.90〜1.35%のAlと、合計の上限が0.01%であるNb及びTaと、残部Fe及び不可避的に混入する不純物とからなり、CrとMoの合計が14.25〜16.75%である鋼片に910℃〜940℃で溶体化処理後、510℃〜530℃で時効処理を施すことを特徴とする析出硬化型マルテンサイト鋼の製造方法。
  6. 質量比で、12.25〜14.25%のCrと、7.5〜8.5%のNiと、1.0〜2.5%のMoと、0.05%以下のCと、0.2%以下のSiと、0.4%以下のMnと、0.03%以下のPと、0.005%以下のSと、0.008%以下のNと、1.35%を超えて2.25%以下のAlと、合計の上限が0.01%であるNb及びTaと、残部Fe及び不可避的に混入する不純物とからなり、CrとMoの合計が14.25〜16.75%である鋼片に910℃〜940℃で溶体化処理後、550℃〜600℃で時効処理を施すことを特徴とする析出硬化型マルテンサイト鋼の製造方法。
  7. Cr当量=[Cr]+2[Si]+1.5[Mo]+5.5[Al]+1.75[Nb]+1.5[Ti]、
    Ni当量=[Ni]+30[C]+0.5[Mn]+25[N]+0.3[Cu]
    であり、上記式中の角括弧はその元素の質量比(%)を指し、Cr当量が28.0未満で、Ni当量が10.5未満である請求項5又は6に記載の析出硬化型マルテンサイト鋼の製造方法。
  8. CrとMoの合計が15.5〜16.75%である請求項5又は7に記載の析出硬化型マルテンサイト鋼の製造方法。
  9. 請求項1〜4のいずれかに記載のマルテンサイト鋼を用いたタービン動翼。
  10. 請求項9に記載のタービン動翼備えた蒸気タービン。
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