JP3954479B2 - 防食用パネル構造体および海洋構造物の防食構造体を作る方法 - Google Patents

防食用パネル構造体および海洋構造物の防食構造体を作る方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、海洋上に建設される空港や橋梁等の海洋構造物における鋼矢板の様に、優れた耐食性が要求される部材の表面防食に使用される防食用パネル構造体、およびこうしたパネル構造体を用いて海洋構造物に防食構造体を作る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記のような海洋構造物においては常時厳しい腐食環境下に晒されており、特にこの海洋構造物の鋼矢板では、海面の干満差による変動によって海水と空気が交互に接触する領域が存在し、こうした領域では他の領域よりも更に優れた耐食性が要求される。
【0003】
海洋構造物の耐食性を向上させるという観点から、これまでにも様々な技術が提案されており、その一つとして海洋構造物の鋼矢板表面をポリエチレンやウレタンエラストマーからなる防食層で被覆する技術が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、こうした技術では強度や耐久性の点で十分とは言えず、10〜15年程度で耐食性が劣化してしまい、その都度全面的な補集工事が必要になるという問題がある。こうしたことから、海洋構造物における鋼矢板の耐食性を更に向上させるための技術の確立が望まれているのが実情である。
【0005】
一方、チタン材は優れた強度や耐食性を有することが知られており、こうした特性を生かして幅広い分野で利用されている。また、チタン材を海洋構造物の防食技術に応用するという観点からも検討されており、海洋構造物に防食層を形成する手段として、(1)鋼板表面にチタンを被覆したチタンクラッド鋼板を鋼管杭等に溶接(鋼材同士を溶接)することによってライニングする方法や、(2)鋼管杭等にチタン薄板を直接的にライニングする方法等が提示されている(非特許文献2)。
【0006】
このうち上記(2)の方法では、施工現場で鋼矢板等の表面に直接的にチタン薄板をライニングするには施工上の問題がある。また上記(1)の方法でも、チタンクラッド鋼板を用いて防食構造体を構成するには、次に示すような解決すべき様々の問題があり、その適用は限られたものとなっており、(1)、(2)のいずれの方法でも既設物に対しては防食構造体を得るに至っていないのが実情である。
【0007】
上記の様なチタンクラッド鋼板では、基材としての鋼材に被覆材としてのチタンを接合する手段として、(a)熱間圧接圧延法、(b)爆着法、(c)爆着圧延法等が代表的な方法として知られているが、いずれの方法を採用するにしても特殊な製造設備が必要となってくる。
【0008】
チタンクラッド鋼板では管状のものも製造できるが、その形状が大型になると、一旦平板状のチタンクラッド鋼板を製造した後、曲げ加工して所定の曲率を有する構成部材(防食用部材)として作製することになる。しかしながら、こうした手順で防食用部材を作製すると、チタンが母材から剥離してしまうという問題がある。即ち、チタンクラッド鋼板では平面部分には比較的容易に溶接施工できるのであるが、鋼矢板等では所定の曲率を有する管状に形成されることが多く、こうした鋼矢板の曲面に防食層を形成するには制約があり、十分に対応できていないのが実情である。
【0009】
また、上記の様なチタンクラッド鋼板では、高温になるとチタンが剥離してしまうことがあり、特にチタンクラッド鋼板を鋼矢板表面に溶接する際の熱によってその周縁部におけるチタンが剥離し、耐食性が劣化することがある。
【0010】
更に、既存の海洋構造物の鋼矢板表面にチタンクラッド鋼板を溶接するには、水中溶接を施すことが余儀なくされるのであるが、そのままで溶接を行うと多量の気泡の発生によって、作業者が溶接部分を目視確認できず、溶接不良部分が発生して鋼板間(鋼矢板とチタンクラッド鋼板の間)に海水が浸入して耐食性が劣化するという問題もある。
【0011】
【非特許文献1】
「防食技術セミナー」、社団法人鋼材倶楽部、平成6年3月発行、第20頁
【非特許文献2】
「チタンとその合金の新展開」、日本金属学会、平成12年7月発行、第32頁
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の様な従来技術が有する問題を解決するためになされたものであって、その目的は、海洋構造物の鋼矢板表面に防食構造体を形成するための有用な防食用パネル構造体、およびこうしたパネル構造体を用いて海洋構造物の防食構造体を作る為の有用な方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成し得た本発明のパネル構造体とは、鋼板からなる基材表面に、当該基材の周縁部を残してチタン板またはチタン合金板をMIG溶接法によって接合したものである点に要旨を有するものである。また、このパネル構造体においては、前記周縁部の鋼板表面の内、水中溶接予定ラインに沿って凸条が形成されたものであることが好ましく、こうした構成を採用することによって水中溶接を容易に行うことができる。更に、本発明のパネル構造体においては、基材の中央部には、チタンまたはチタン合金板との接合部分を残して切欠が形成されたものとすることも有用である。
【0014】
一方、上記目的を達成することのできた本発明方法とは、上記の様な本発明のパネル構造体を施工現場に準備しておき、海洋構造物の鋼矢板表面に、前記基材の周縁部を溶接接合することによって、前記鋼矢板表面上にチタンまたはチタン合金板からなる防食層を形成する点に要旨を有するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明者らは上記目的を達成するために、施工現場において鋼矢板表面にチタン材を被覆することができるパネル構造体の構成について様々な角度から検討した。その結果、鋼板からなる基材の表面に、当該基材の周縁部を残してチタンまたはチタン合金板をMIG溶接法(イナートガスメタルアーク溶接法)によって接合してパネル構造体としたものでは、上記目的が見事に達成されることを見出し、本発明を完成した。
【0016】
本発明者らは、チタン板と鋼板を接合する方法についてかねてより研究を進めており、その研究の一環として特開平10−272560号の様な技術も提案している。この技術では、チタンまたはチタン合金材と鋼材とを、溶接ワイヤー(消耗電極)として銅合金を用いたMIG溶接法によって直接接合するものである。また本発明者らは、チタン板と鋼板とをMIGスポット溶接によって接合する方法についても提案している(例えば、「R&D 神戸製鋼技報」、Vol.49,No.3,Dec.1999)。これらの溶接方法を適用することによって、本発明のパネル構造体を製造することができる。本発明のパネル構造体の構成を図面によって説明する。
【0017】
図1は、本発明のパネル構造体の一構成例を示す概略説明図[(a)は部分断面図、(b)は部分斜視図]であり、図中1は基材としての鋼板、2はチタンまたはチタン合金板(以下、「チタン板」で代表することがある)、3は溶接金属、4は鋼板1の表面に形成された凸条を夫々示す。このパネル構造体は、鋼板1の表面にその周縁部1aを残してチタン板2が接合されたものであるが、チタン板2の接合に当たっては、銅合金を溶接ワイヤー(消耗電極)とするMIG溶接を適用し、チタン板2の周囲を隅肉溶接することによって銅合金からなる溶接金属3を形成する。
【0018】
このようにして、鋼板1の表面にチタン板2を強固に接合することによって、本発明のパネル構造体が製造することができる。また、こうしたパネル構造体を鋼矢板表面に接合するには、前記周縁部1aを溶接すればよいが、この周縁部1aにチタン板2が存在しない状態であるので、こうした接合も何らの支障を生じることなく容易に行うことができる。
【0019】
図1に示したパネル構造体においては、平板状の鋼板1表面に平板状のチタン板2を接合する場合を示したけれども、曲面を有するパネル構造体を製造するときには、鋼板1およびチタン板2をその形状に曲げ加工した後に両者を接合することによって、希望する形状を得ることができる。こうしたパネル構造体では、従来のチタンクラッド鋼板の様に接合した後に曲げ加工するものではないので、チタン板2が鋼板1から剥離するということもない。
【0020】
図1に示したと凸条4は、前記周縁部1aの鋼板1表面の内、水中溶接予定ラインに沿って形成されるものである。こうした凸条4を形成することによって、水中溶接を容易に行うことができる。即ち、本発明のパネル構造体を海洋構造物の鋼矢板表面に溶接するには、水中溶接を施すことが必要になるが、こうした凸条を形成しておくことによって、手探りの状態であっても希望する溶接予定ラインに沿って(目外れ状態にならずに)溶接を行うことができ、溶接不良部の発生を防止できる。尚、上記凸条を形成するには、前記周縁部1aの鋼板1表面の内、溶接予定ラインに沿って、断面矩形の鋼棒材を溶接接合すれば良い。
【0021】
図2は、本発明のパネル構造体の他の構成例を示す概略説明図[(a)は部分断面図、(b)は部分斜視図]である。この構成では、図1に示した様なMIG溶接法による隅肉溶接(溶接金属3の形成)の代わりに、MIGスポット溶接によってチタン板2を鋼板1表面に接合する以外は基本的には前記図1に示した構成と類似するものであり、対応する部分には同一の参照符号を付すことによって重複説明を回避する。
【0022】
図2に示した構成では、チタン板2に多数の孔5を形成しておき、この孔5に溶接トーチの先端部(即ち、銅合金からなる溶接ワイヤー)を挿入して鋼板1表面に押し付け、シールドガスを流しつつアークを発生させることによって、前記孔5内に銅合金6を充填しつつチタン板2と鋼板1を接合するものである。また、銅合金6を充填した上部は、チタン製カバー7を溶接することによって覆われる。尚、チタン製カバー7を溶接するには、チタン同士の接合になるので、TIG溶接法(イナートガスタングステンアーク溶接法)や電子ビーム溶接法を適用できる。
【0023】
上記図1、2に示したパネル構造体では、チタン板2を隅肉溶接またはスポット溶接の夫々によって鋼板1の表面に接合した構成を示したけれども、例えば図3に示す様に、これらを併用してチタン板2を鋼板1の表面に接合しても良い。こうした構成を採用することによって、チタン板2の鋼板1に対する接合強度を高めることができる。
【0024】
図4は、本発明のパネル構造体の更に他の構成例を示す概略説明図[(a)は部分断面図、(b)は部分斜視図]である。この構成では、基材である鋼板1の中央部に、チタン板2との接合部分を残して切欠8が形成されたものであり、他の構成は前記図1と同様であり、対応する部分には同一の参照符号が付してある。尚、図4に示した構成では、前記図1に示したパネル構造体に切欠8を形成した構成を示したけれども、図5に示す様に前記図2に示したパネル構造体に切欠8を形成した構成や、図6に示す様に前記図3に示したパネル構造体に切欠8を形成する様にしても良い。
【0025】
前記図4〜6に示した切欠8を形成することによって、パネル構造体の軽量化が図れることになる。しかも、こうしたパネル構造体を鋼矢板表面に溶接接合する際に、切欠8によって形成される空隙(即ち、鋼矢板表面とチタン板2裏面との間で形成される空隙)に樹脂、ゴム、セメント等を緩衝材として充填することができ、これによってパネル構造体の外力に対する強度を高めて耐久性を更に向上させることができるという効果も得られる。尚、図4〜6に示したパネル構造体は、上下逆で使用しても本発明の効果が得られるものである。
【0026】
上記のようなパネル構造体を製造するときに使用する銅合金(溶接用ワイヤー)としては、Siを1〜4%、Mnを0.3〜3%の範囲で含むSi青銅系の銅合金が挙げられる。また、こうした銅合金からなる溶接ワイヤーは、安定したアークを得るという観点からして、その直径は0.8〜1.2mm程度であることが好ましい。
【0027】
尚、本発明のパネル構造体で用いるチタン板(チタンまたはチタン合金板)の種類については、特に限定するものではなく、純チタンは勿論のこと、汎用されている各種チタン合金材(例えば、Ti−Pd合金、Ti−6Al−4V合金等)のいずれも使用できる。また本発明で用いるチタン材の厚さは、その種類によっても異なるが、加工性および溶接性の両特性を考慮すれば、0.3〜2mm程度が適当である。
【0028】
一方、本発明のパネルで構造体の基材となる鋼板(前記凸条も含め)の種類についても特に限定されるものではなく、耐食性に優れた各種耐候性鋼は勿論のこと、例えば軟鋼、高張力鋼、ステンレス鋼等、様々な鋼材を使用することができる。また基材として用いる鋼板の厚みについては特に限定されるものではなく、2mm未満ではパネル製作時の溶接熱によりパネルが歪み易く、4mmを超えると重量増加によって現地施工効率を低下させることを考慮すれば、2〜4mm程度が適当である。更に、前記凸条の突出高さは、5mm未満では海中溶接時のガイドの役目を果たせず、15mmを超えると重量増加により現地施工効率を低下させること等を考慮すれば、5〜15mm程度が適当である。尚、チタンクラッド鋼でも上記凸条をパネル周囲に設けることにより、本発明と同様の海中溶接性の向上効果が得られる。
【0029】
本発明のパネル構造体は、前記基材の周縁部を海洋構造物の鋼矢板表面に溶接接合することによって、鋼矢板表面上にチタンまたはチタン合金板からなる防食層を形成して海洋構造物の防食構造体を作ることができるが、この方法について図面を用いて説明する。
【0030】
図7は、本発明方法の一実施形態を説明するための図であり、この図では円筒状の鋼矢板10の表面に本発明の防食用パネル構造体11を溶接接合することを示したものである。即ち、図7[図7(a)は平面図、図7(b)斜視図]に示す様に、鋼矢板10は複数本並んだ状態で建設されているのであるが、こうした鋼矢板10の表面に、一対の半割状パネル構造体11[図7(c)は斜視図、図7(d)は断面図]を組み合わせて溶接接合することによって、鋼矢板10の表面にチタンからなる防食層を形成する。
【0031】
パネル構造体11を溶接接合するに際しては、鋼材同士の溶接を行うものであるので、その方法はアーク溶接、抵抗溶接、レーザ溶接等の一般的な溶接方法を採用できる。また、鋼矢板10の間では溶接作業が困難であることから、パネル構造体相互間が正面となるように溶接作業を行えば良い(このときの溶接部分を、図7中符号12で示す)。尚、パネル構造体11の鋼矢板10表面への溶接接合(パネル構造体の上端部および下端部の溶接接合)は隅肉溶接で行い、パネル相互間は突合せ溶接を行えば良い。また、パネル構造体11を鋼矢板10の表面に溶接接合した後における鋼板1の露出部分(前記周縁部1a)については、その表面に樹脂層を形成することによって耐食性を維持する。
【0032】
上記図7においては、鋼矢板10相互間に何らの障害物がない場合について示したが、鋼矢板10間には強度向上の観点からジョイントが配置されるのが一般的である。次に、こうしたジョイントが存在する場合の施工手順について説明する。
【0033】
図8は、本発明方法の他の実施形態を説明するための平面図であり、この図では鋼矢板10間にジョイント13が存在する場合を想定したものである。この場合には、前記図7(c)に示した様な半割状のパネル構造体11を、ジョイント13の領域を外して溶接12(パネル構造体の上端部および下端部の溶接接合も行い)し、当該溶接12の部分とジョイント13を含めて樹脂15で覆うものである。また、パネル構造体11を鋼矢板10の表面に溶接接合した後における鋼板1の露出部分(前記周縁部1a)については、その表面に樹脂層を形成することは、前記図7の場合と同様である。
【0034】
図9は、本発明方法の更に他の実施形態を説明するための図であり[図9(a)は平面図、図9(b)は図9(a)の要部拡大図]、その構成は基本的に前記図8に示した構成と同様であるが、この構成ではジョイント13にスタッドボルト14をたて、このスタッドボルト14に保護板18(例えば、チタン板)を固定し、溶接12の部分とジョイント13を含めてコンクリート19を詰めるものである。こうした構成を採用することによって、耐食性が更に優れた防食構造体とすることができる。
【0035】
前記図8、9に示した構成では、いずれもジョイント13の近傍で溶接を行うものであるが、この様な構成では場所的に溶接作業において支障を来たすこともある。このような事態に対処するために、例えば図10[図10(a)は平面図、図10(b)は斜視図]に示す様な構成も採用できる。図10に示した構成では、鋼矢板10の1/4周分長さに相当する曲面を有するパネル構造体11を準備しておき、その一方側(ジョイント側)に孔開き突縁16を設けておき、ジョイント13に設けたスタッドボルト14によって前記突縁16を固定するものである。また、孔開き突縁16の反対側は、突合せ溶接17を行うことによってパネル構造体11相互間を固定する。尚、ジョイント13の部分は樹脂15で覆うことは、前記図8に示した構成と同様である。
【0036】
以下、本発明を実施例によって本発明のパネル構造体の構成をより具体的に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0037】
【実施例】
実施例1
(曲率をもったパネルの製作性)
海洋構造物の防食構造体の施工法として、鋼管にチタン材を被覆する部材(パネル構造体)の作製を前提として、従来のチタンクラッド鋼板を曲げ加工してパネル構造体を作成する場合と、本発明のパネル構造体で作成する場合について、製作性について比較検討した。このとき用いたチタンクラッド鋼板(比較例)は、厚み:1mmのチタン板と厚み:4mmの鋼板を大気中圧延によって接合したものを用いた。また、本発明のパネル構造体としては、厚み:3mmの鋼板の表面に1mmのチタン板を溶接によって接合したもの(前記図1)を用いた。曲げ加工は、曲げ半径が400mm、300mm、200mmの夫々について行った。
【0038】
その結果、従来のチタンクラッド鋼板を曲げ加工した場合には、曲げ半径が400mで端部のチタンが一部剥離し、曲げ半径が300mm、200mmでチタンが完全に剥離してしまいパネルが製作できなかった。
【0039】
これに対して、本発明によるパネル構造体では、まず鋼板とチタン板を所定の曲げ半径に加工した後、チタン板を接合する方法であり、曲げ半径に対する制限が殆どないので、いずれの半径であっても良好なパネル構造体を作成できることが確認できた。
【0040】
実施例2
従来のチタンクラッド鋼板(チタン板:1mm,鋼板:4mm,300mm×500mm、周囲は約30mmのカットバック)、および本発明のチタンライニングパネル[チタン板:1mm、鋼板:3mm、300×500mm、周囲は鋼材のみであり、且つ周縁部15mmは板厚7mmに増厚(前記凸条4)したもの]を、軟鋼板(板厚:14mm、幅:500mm、長さ:700mm)に夫々重ね合わせた上で、水槽(水深:200mm)にセットし、チタンクラッド鋼板と本発明のパネル構造体の夫々の周縁部の鋼材と、軟鋼板を被覆アーク溶接法にて水中にて隅肉溶接で接合した。
【0041】
得られた各パネルについて、軟鋼板裏面から軟鋼板を貫通する気密テスト用の空気導入孔を形成し、この導入孔から圧力(3kg/cm2)をかけて空気を供給し、隅肉溶接部から空気が漏れるか否かによって隅肉溶接部の健全性を調査した。
【0042】
その結果、本発明のパネル構造体を使用したものでは、所定の圧力でも隅肉溶接分から空気の漏れは認められず、該溶接部における健全性が確認できた。これに対して、従来のチタンクラッド鋼板を用いたものでは、一部に隅肉溶接で所定の狙い位置から外れた目外れ状態となっており、僅かな圧力でも圧力でも漏れが発生していた。
【0043】
実施例3
各種パネル構造体について、海水環境を想定した条件で浸漬試験を行い、腐食の程度について調査した。このとき試験片としては、チタンの周囲を溶接したサンプルを作成し、鋼板部および溶接部をマスクしてもの(実施例)と、チタンクラッド鋼において鋼材部と接合端面(合せ目)をマスクしたもの(比較例)を使用した。これらの試験片を、6%NaCl溶液(pH8)に浸漬し、25℃および80℃の夫々にて1週間経過したときの腐食発生状況を目視によって確認した。その結果、本発明のパネル構造体は、従来のチタンクラッド鋼板と同様に、腐食の発生は認められず、良好な耐食性が確認できた。
【0044】
【発明の効果】
本発明は以上の様に構成されており、海洋構造物の鋼矢板表面に防食構造体を形成するための有用な防食用パネル構造体が実現でき、こうしたパネル構造体は海洋構造物の防食構造体を作る為の素材として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパネル構造体の一構成例を示す概略説明図である。
【図2】本発明のパネル構造体の他の構成例を示す概略説明図である。
【図3】本発明のパネル構造体の他の構成例を示す概略説明図である。
【図4】本発明のパネル構造体の更に他の構成例を示す概略説明図である。
【図5】本発明のパネル構造体の他の構成例を示す概略説明図である。
【図6】本発明のパネル構造体の他の構成例を示す概略説明図である。
【図7】本発明方法の一実施形態を説明するための図である。
【図8】本発明方法の他の実施形態を説明するための図である。
【図9】本発明方法の更に他の実施形態を説明するための図である。
【図10】本発明方法の他の実施形態を説明するための図である。
【符号の説明】
1 鋼板
2 チタン板
3 溶接金属
4 凸条
5 孔
10 鋼矢板
11 パネル構造体
12 溶接
13 ジョイント
14 スタッドボルト
15 樹脂

Claims (3)

  1. 鋼板からなる基材表面に、当該基材の周縁部を残してチタン板またはチタン合金板をMIG溶接法によって接合したものであり、前記周縁部の鋼板表面の内、水中溶接予定ラインに沿って凸条が形成されたものであることを特徴とする防食用パネル構造体。
  2. 基材の中央部には、チタンまたはチタン合金板との接合部分を残して切欠が形成されたものである請求項1に記載のパネル構造体。
  3. 請求項1または2に記載のパネル構造体を施工現場に準備しておき、海洋構造物の鋼矢板表面に、前記基材の周縁部を溶接接合することによって、前記鋼矢板表面上にチタンまたはチタン合金板からなる防食層を形成することを特徴とする海洋構造物の防食構造体を作る方法。
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