JP3953799B2 - スエード調皮革様シート - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ライティング(手書き効果)があって高級な外観とタッチを有し、黒等の濃色に染色して用いるスエード調皮革様シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スエード調皮革様シートは、現在各用途に用いられているが、特に濃色に染色して用いられるスエード調皮革様シートには技術的背景から、以下のような特徴があった。
▲1▼天然皮革並の高級な外観を有するスエード調皮革様シート
天然皮革を構成するコラーゲン繊維並の繊維径を有する極細繊維を用いるために、高級な外観が得られるが、繊維径が細いために、引っ張り、引裂き物性が低下し、また染色による発色が光の乱反射のため、くすんだ色となり、濃色が出にくい。
▲2▼濃色が得られるスエード調皮革様シート
濃色を得るために、構成する繊維の発色性を上げるため太い繊維径を有する繊維を用いることによって、引っ張り、引裂き物性は充分なものが得られるが、風合いが硬く、外観が荒く、高級感に欠ける傾向がある。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、高級な外観および天然皮革並みの充実感と、皮革様シートとしての充分な物性、また充分な濃色の得られるスエード調皮革様シートについて鋭意検討を行った結果、高級な外観と濃色を達成するためのカーボンブラック原着極細繊維と、充分な物性を得るためのカーボン原着量の少ない極細繊維を積層することによって目的が達成できることを見出し本発明を完成した。すなわち、本発明は、0.01デシテックス以下で、かつ極細繊維を構成する樹脂成分100重量部に対し3重量部以上のカーボンブラックにて原着されている極細繊維(a)からなる層(A)と、0.1デシテックス以下で、かつ極細繊維を構成する樹脂成分100重量部に対し3重量部未満のカーボンブラックにて原着されているまたは原着されていない極細繊維(b)からなる層(B)が、重量比(a)/(b)=10/90〜90/10の範囲で積層され、絡合一体化された不織布に弾性重合体が含有されており、かつ(A)層側の表面が起毛された立毛により覆われていることを特徴とするスエード調皮革様シートである。
また、極細繊維(b)の繊度が極細繊維(a)よりも太い繊維であることが好ましい。また、極細繊維(a)を原着するカーボン重量部(Ca)と極細繊維(b)を原着するカーボン重量部(Cb)の比が、Cb/Ca=0〜0.5であることが好ましい。
【0004】
以下、本発明について詳述する。本発明を構成するスエード調皮革様シートは、0.01デシテックス以下で、かつ極細繊維を構成する樹脂成分100重量部に対し3重量部以上のカーボンブラックにて原着されている極細繊維(a)と、0.1デシテックス以下で、かつ極細繊維を構成する樹脂成分100重量部に対し3重量部未満のカーホンブラックにて原着されているまたは原着されていない極細繊維(b)が絡合一体化された不織布と、それに含浸・凝固された弾性重合体からなる。以下、該不織布に、弾性重合体を含浸・凝固したものを単にシートと表す。該皮革様シートを構成する極細繊維(a)の繊度は0.01デシテックス以下であることが必要で、好ましくは、0.005〜0.0001デシテックスの範囲である。0.01デシテックスを越えると、立毛面の触感がざらざらとした感じとなり、きめの細かい光沢が得られず、外観の高級感が低下する。また0.0001デシテックス未満では、染色後の発色性が更に低下する傾向があり、充分な濃色が得られなくなる場合がある。また、極細繊維(b)の繊度は、0.1デシテックス以下であることが必要で、好ましくは、繊度が0.1〜0.001デシテックスの範囲である。0.1デシテックスを超えると、絡合により表面付近、すなわち極細繊維(a)からなる層に突き上げてきた繊維により、外観が低下し、0.001デシテックス未満では、該皮革様シートの充分な物性が得られなくなる傾向がある。また、極細繊維(a)と極細繊維(b)は、それぞれが0.01デシテックス以下であれば繊維径が同一であってもよい。なお、本発明で言う繊度とは平均繊度のことであり、後述するように、極細繊維発生型繊維から極細繊維になった状態で電子顕微鏡写真より観察された繊維の平均直径から求められる。
【0005】
極細繊維の製造方法としては、相溶性を有しておらず、溶解性または分解性の異なる2種類以上のポリマーを使用して混合紡糸法や複合紡糸法等の紡糸方法により、断面形状が海島構造や分割可能な貼合せ構造となっている極細繊維発生型繊維を得て、そしてその繊維の一部(例えば海成分)を抽出または分解除去、貼合せ部を剥離して極細繊維とする方法や、溶融紡糸ノズルから繊維形成性ポリマーを吐出した直後に高速気体で吹き飛ばし繊維を細くする、いわゆるメルトブロー法など、公知の極細繊維製造方法を用いることができるが、好ましくは繊維太さの管理や極細繊維の安定性から、上記極細繊維発生型繊維を経由する方法である。
【0006】
極細繊維を構成する樹脂としては、特に限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、さらにこれらを主体とする共重合ポリエステル等の芳香族ポリエステル類や、ナイロン−6,ナイロン−66,ナイロン−610等のポリアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン等で代表されるポリオレフィン類などの公知の樹脂から選ばれたポリマーが挙げられる。なかでも、上記芳香族ポリエステル類や、ポリアミド類が天然皮革調の人工皮革が得られ、染色性も優れていることなどの点で好ましい。
【0007】
また、これらの樹脂には、紡糸の際の安定性を損なわない範囲で、カーボンブラックを加えて着色を施す。
本発明を構成する極細繊維(a)は、繊維を構成する樹脂100重量部に対して3重量部以上のカーボンブラックを有することを特徴とする。カーボンブラック量は、好ましくは3〜15重量部の範囲で用いられ、より好ましくは4〜10重量部の範囲で用いられる。15重量部を超えると、例えば混合紡糸により得られる島成分の極細繊維が脆くなり、得られる皮革様シートの強度が低下する傾向がある。3重量部未満の場合には、得られる繊維の黒度が低く、本発明の条件を満たす極細繊維にした場合、充分な濃色が得られにくい。
【0008】
一方、本発明を構成する極細繊維(b)は、繊維を構成する樹脂100重量部に対して3重量部未満のカーボンブラックを有することを特徴とする。また好ましくは2重量部以下である。3重量部以上になると、本発明の構造にしたときに充分な強度のスエード調皮革様シートが得られない。さらに好ましくは極細繊維(a)を原着するカーボン重量部(Ca)と極細繊維(b)を原着するカーボン重量部(Cb)の比が、Cb/Ca=0〜0.5の範囲で、最も好ましくは0〜0.3である。それによって表面の濃色度と高強力とを兼ね備え、かつ天然皮革と酷似したその構造ゆえの柔軟で伸びにくく充実感に優れたスエード調皮革様シートを得ることが可能となる。
ここで、該極細繊維(b)からなる層(B)を積層することにより、スエード調皮革様シートの強度が向上する理由を以下に説明する。
濃色を得るために、カーボンブラックの重量部数を増やしていくと、それを含有した樹脂の溶融粘度が上昇していく。特に、混合紡糸法のように、島成分となる樹脂と、海成分となる樹脂との溶融粘度比により、島数が決定され、すなわち繊維径が決定される方法の場合、黒度を得るために、カーボンブラックの添加量を増加させると、カーボンブラック配合樹脂の溶融粘度を一定に保つために、繊維を構成する樹脂の重合度を落として溶融粘度を下げる必要がある。この方法によると、樹脂の重合度を下げたために、繊維の強度が低くなる。このように、濃色でかつ高級感のある極細繊維からなるスエード調皮革様シートを得るためには、強度を犠牲にする必要がある。本発明の極細繊維(b)は、カーボンブラックの添加量を落とすことにより、繊維を構成する樹脂の重合度を上げても溶融粘度を繊維の強度が低くなるまで下げる必要はなくなり、さらに、意図的に太い繊維径を有する繊維を本発明の極細繊維(b)とすることにより、よりいっそうの繊維強度向上が達成される。
【0009】
次に、極細繊維発生型繊維を構成する抽出除去または分解除去される樹脂成分の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、スチレン−アクリル系モノマー共重合体、スチレン−エチレン共重合体、共重合ポリエステル等のポリマーから選ばれた少なくとも1種のポリマーが挙げられる。なかでも、ポリエチレンやポリスチレンまたはこれらを主体とする共重合体等が抽出の容易さの点で好ましい。
【0010】
次に上記極細繊維または極細繊維発生型繊維を用いて基材を形成する方法について説明する。不織布を形成する方法としては、公知の方法、たとえば極細繊維発生型繊維からなる絡合不織布を製造する工程、その絡合不織布に弾性重合体溶液を含浸・凝固する工程、極細繊維発生型繊維を極細繊維に変性する工程を順次行うことにより達成できる。もちろん極細繊維に変性する工程と弾性重合体を含浸・凝固させる工程を逆転させてもよい。
【0011】
極細繊維発生型繊維を用いて絡合不織布を製造する方法としては、極細繊維発生型繊維を、従来公知の方法により、紡糸、延伸、熱処理、捲縮、カット等の処理を行って、同繊維の原綿を作製し、かかる原綿を、カードで解繊し、ウェーバーでランダムウェブまたはクロスラップウェブに形成する。
【0012】
この際に、極細繊維(a)を形成することとなる極細繊維発生型繊維からなる繊維層と、極細繊維(b)を形成することとなる極細繊維発生型繊維からなる繊維層を積層させるが、繊維層としてウェブを用い、ウェブを積層し、所望の重さにする。極細繊維(a)を形成することとなる繊維からなるウェブと極細繊維(b)を形成することとなる繊維からなるウェブの積層重量比は、極細繊維(a)と極細繊維(b)を形成させた後において(a)/(b)=90/10〜10/90であり、好ましくは、(a)/(b)=15/85〜50/50となるように積層する。(a)の重量比が10%未満の場合には、極細繊維(a)からなる層(A)が薄くなり、絡合時に表面に多量の極細繊維(b)が出てくることにより、極細繊維(a)および(b)の混在による表面の色ムラや、外観の低下等の問題となる。逆に(a)の重量比が90%を超えると、繊維層(B)による強度の向上効果が薄れ、充分な強度が得られなくなる。より好ましくは極細繊維(a)を原着するカーボン重量部(Ca)と極細繊維(b)を原着するカーボン重量部(Cb)の比が、Cb/Ca=0〜0.5の範囲とし、(a)/(b)=15/85〜50/50とすることにより、本発明のスエード調皮革様シートは天然皮革並みの風合い、バランスの取れた充実感、発色性、および強度を兼ね備えることが可能となる。
【0013】
極細繊維(a)を形成することとなる極細繊維発生型繊維からなる繊維層と、極細繊維(b)を形成することとなる極細繊維発生型繊維からなる繊維層を積層した後の積層体単位広さ当たりの繊維の重さは、目的とする最終的な用途分野に応じて適宜選択され、一般的に100〜3000g/mの範囲が好ましい。また低コスト化などの目的で、必要とする重量の約2倍の不織布に弾性重合体溶液を含浸・凝固させた後にバンドナイフなどにより厚さ方向に分割することにより、効率よく1度に2枚の基材を製造することもできる。この場合には、(a)/(b)/(a)と(b)/(a)/(b)の2通りの積層方法が考えられる。特に限定はないが、ニードルパンチ法による絡合処理を行うにあたって(a)/(b)/(a)の積層の方がより緻密な立毛面が得られやすく、また、得られるスエード調皮革様シートが厚み方向の密度勾配構造となり、より天然皮革に近い風合いになる点から好ましく用いられる。
【0014】
ウェブの積層に次いで公知の手段、たとえばニードルパンチング法を用いて絡合処理を施して、絡合不織布を形成する。ニードルパンチング数及びニードルパンチング条件は使用針の形状やウェブの厚みにより異なるが、一般的には200〜2500パンチ/cmの範囲で設定するのがよい。
【0015】
絡合不織布は、弾性重合体の含有処理に先立って、必要に応じて熱プレスなどの公知の方法により表面の平滑化処理を行うこともできる。絡合不織布を構成する繊維が、たとえばポリエチレンを海成分とし、ポリエステルやポリアミドを極細の島成分とする海島型極細繊維発生型繊維である場合には、熱プレスにより海成分のポリエチレンを溶融させ、繊維同士を融着させることによりきわめて表面平滑性に優れた絡合不織布とすることが出来るので特に好ましい。また絡合不織布を構成する繊維が一成分を溶解除去して極細繊維に変性することのできる多成分繊維でない場合には、含有させる弾性重合体が繊維に固着して風合いが硬くなることを防止するために、含浸処理に先立ってポリビニルアルコールなどの仮充填物質で繊維表面を覆っておき、弾性重合体を付与した後に仮充填物質を除去することが好ましい。また極細化工程を弾性重合体の含浸・凝固工程の前又は後に行う場合にも、極細化前の絡合不織布の段階で仮充填物質を付与することにより、より柔軟なシートとすることができる。
【0016】
次に絡合不織布に含有させる弾性重合体としては、公知のものが使用できるが、風合いの点からポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。好ましいポリウレタン樹脂としては、ソフトセグメントとして、ジオールとジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とを反応させて得られるポリエステル系ジオール、ポリラクトン系ジオール、ポリカーボネート系ジオール、ポリエーテル系ジオール等からなる群から選ばれた数平均分子量が500〜5000の少なくとも1種類のポリマージオールを使用し、これとジイソシアネート化合物と低分子鎖伸長剤とを反応させて得られる、いわゆるセグメント化ポリウレタンが挙げられる。
【0017】
ソフトセグメントを構成する上記ジオール化合物としては、耐久性あるいは皮革様の風合いの点で炭素数6以上10以下の化合物が好ましく、たとえば、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールなどが挙げられる。ジカルボン酸の代表例としてはコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸等の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
【0018】
ポリマージオールの数平均分子量が500未満の場合には、柔軟性に欠け、天然皮革様の風合いが得られないため好ましくない。またポリマージオールの数平均分子量が5000を越える場合には、ウレタン基濃度が減少するため柔軟性及び耐久性、耐熱性、耐加水分解性においてバランスのとれたものが得られにくい。ジイソシアネート化合物としては、例えばジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート等が挙げられる。
また低分子鎖伸長剤としては、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、N−メチルジエタノールアミン、エチレンジアミンなどの分子量が300以下の活性水素原子を2個有する低分子化合物が挙げられる。
また必要に応じて、弾性重合体には、凝固調節剤、安定剤などを添加してもよく、更に2種以上のポリマーを併用しても構わない。さらに、カーボンブラックなどの着色剤を添加してもよい。
【0019】
絡合不織布に弾性重合体を含有させる方法については特に限定されるものではないが、風合いのバランスの点から絡合不織布に弾性重合体溶液を直接含浸させ、必要によりマングルで絞る方法や、弾性重合体溶液をコーターでコーティングしながらしみ込ませる方法などが好ましい。
また天然皮革様の柔軟な風合いの点から、不織布を構成する繊維(極細繊維発生型繊維の場合には極細繊維化処理後の繊維)と弾性重合体との重量比率は、20/80〜95/5の範囲が好ましく、更に好ましくは25/75〜90/10の範囲内である。繊維の比率が低くなりすぎると、皮革様シートがゴムライクな風合いとなり好ましくなく、繊維の比率が高くなりすぎるとペーパーライクな風合いになるため、目標とする天然皮革様の風合いが得られない。
【0020】
絡合不織布に弾性重合体を含有させた後に、弾性重合体及び海島型極細繊維発生型繊維の場合においては極細繊維発生型繊維の島成分に対しては非溶剤で、かつ海成分に対しては溶剤または分解剤として働く液体で処理することにより極細繊維発生型繊維を極細繊維束に変性し、極細繊維絡合不織布と弾性重合体からなるシートとする。もちろん、弾性重合体を含有させるのに先立って、極細繊維発生型繊維を極細繊維束に変性する方法を用いてシートとすることもできる。このようにして得られるシートの厚みは特に限定されるものではないが、通常0.5〜3.0mmの範囲である場合が多い。これは、製造ライン上の都合によるものであり、0.5mm未満では途中工程での伸びにより設計がしにくい等の問題が生じる場合があり、3.0mmを越えると不織布の絡合がしにくい、弾性重合体の含浸がしにくい等の問題が生じる場合がある。
目付けは、1枚取り、2枚取り等シートの設計によって決定されるものであり、限定はない。また、比重も特に限定されるものではないが、0.3〜0.7g/cmであることが好ましい。0.3g/cm未満では、シートの強度が不足する傾向があり、逆に0.7g/cmを越えると風合が硬くなる傾向があり、さらに天然皮革の比重に近くなり、従来人工皮革として一般に認知されてきた「軽い」という特徴を表現し難い傾向となる。
【0021】
得られた極細繊維の絡合不織布と弾性重合体からなるシートの表面起毛は、バフ、整毛等の公知の方法により行うことができる。起毛する毛羽長は、触感や光沢等の外観に影響するため、バフや整毛の条件、例えばバフに用いるサンドペーパーの番手や、削る速度、押し当てる圧力等を調整することにより、好みの毛羽長を得ることができる。
【0022】
以上のように得られたスエード調皮革様シートは、公知の方法により染色される。立毛処理されたスエード面は、カーボンブラックの効果により、少量の染料で風合いを損なうことなく効果的に濃色を得ることが出来、さらに極細繊維からなるライティング効果により高級な外観を有する。さらに、裏面を形成するカーボンブラックの少ないまたは含まない繊維からなる層により、充分な強度を有するスエード調人工皮革となる。
このようにして得られる該人工皮革は、衣料用素材としてはもちろん、機械的強度の必要とされるスポーツ手袋用素材としても好適に用いられる。
【0023】
【実施例】
次に、本発明を具体的な実施例で説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。尚、実施例中の部はことわりのない限り、重量に関するものである。
強伸度は、JIS L―1096により測定され、基材の生産時の進行方向を縦方向、その直角方向を横方向とする。
厚さにおいては、JIS L−1096に示される方法により測定され、240g/cm荷重時の厚さである。
また、タッチ、風合いおよび外観(ライティング、黒度、表裏面色の濃度差)は、触感や光沢等を加味して発明者らが判断し、良好:○、普通:△、不良:×で表現した。
【0024】
繊維製造例
ナイロン−6とポリエチレンをチップの状態で50:50の重量比で混合して押出機により溶融紡糸を行いポリエチレンが海成分の海島断面混合紡糸繊維を紡糸する際に、ナイロンの相対粘度を3.2、2.1、ナイロンに練りこむカーボンブラック(以下C.B)をナイロン100重量部に対して1重両部、5重量部とし、得られた繊維を延伸、捲縮、カットして4デシテックス(以下dtexと略す場合もある)、51mm長の短繊維を作製した。作製した短繊維をそれぞれ繊維A、繊維B、繊維C、繊維Dとする。
得られた繊維の海成分を溶解除去して極細繊維化した後の任意の繊維束の断面を電子顕微鏡写真2000倍に拡大し観察して、島成分の平均直径から算出した。
その結果を表1に示す。繊維A、B、CおよびDの平均繊度は、それぞれ0.003dtex、0.004dtex、0.080dtexおよび0.095dtexであった。
【0025】
【表1】
Figure 0003953799
【0026】
実施例1
上記繊維製造例で得られた繊維Bと繊維Aからなる短繊維をカードで解繊後ウェバーでウエブにし、B/A/B=25/50/25の重量比で積層した後、ニードルパンチング機を用いて700パンチ/cmのニードルパンチングを施して絡合不織布を得た。この繊維質シートにポリ3−メチルペンタンアジペート/ポリエチレングリコール共重合系ポリウレタン樹脂のジメチルホルムアミド溶液を含浸し、湿式凝固させた後、繊維の海成分であるポリエチレンを80℃のトルエンで抽出し、目付420g/m、厚み1.1mm、ポリウレタン樹脂と繊維の比率が30/70のシートを得た。得られたシートは、厚み方向に2分割スライスし、スライス面をサンドペーパーにてバフして厚さを0.5mmに調整した後、繊維Bからなる面を起毛バフして該ナイロン極細繊維からなる立毛表面を有したシート1を得た。さらに厚み方向に2分割スライスしてそれぞれの比重を測定した結果、繊維Bを主体に構成されている方の比重は0.401g/cmで、繊維Dを主体に構成されている方の比重は0.359g/cmで比重勾配のあるシートが得られた。得られたシート1をウインス染色機にて、黒の含金属錯塩染料(IRGALAN BLACK GL)をowfが3%となる条件下で、90℃、1時間の染色を行った。得られたスエード調皮革様シートは、充分な黒度を有しており、表面の濃度は裏面よりも濃く、自然な色合いであった。また、きめの細かいライティング効果により高級感のある外観、タッチおよび充実感のある風合いを兼ね備えていた。結果を表2に示す。
【0027】
実施例2
繊維製造例で得られた繊維B,繊維Cを用い、B/C=30/70の重量比で積層した以外は、実施例1と同様の方法にて、目付け189g/m、厚み0.5mm、ポリウレタン樹脂と繊維の比率が30/70のシートを得た。さらに繊維Bからなる表面を起毛バフして立毛シート2を得た。さらに厚み方向に2分割スライスしてそれぞれの比重を測定したところ、繊維Bを主体に構成されている方の比重は0.395g/cmで、繊維Cを主体に構成されている方の比重は0.370g/cmであった。得られたシート2を染色してスエード調皮革様シートを得た。
得られた皮革様シートは、充分な黒度を有しており、表面の濃度は裏面よりも濃く、自然な色合いであった。また、きめの細かいライティング効果による高級感のある外観、タッチおよび充実感のある風合いを兼ね備えていた。結果を表2に示す。
【0028】
実施例3
繊維製造例で得られた繊維B、繊維Cを用い、B/C/B=25/50/25の重量比で積層した以外は、実施例1と同様の方法にて、目付424g/m、厚み1.1mm、ポリウレタン樹脂と繊維の比率が30/70のシートを得た。得られたシートは、厚み方向に2分割スライスし、スライス面をサンドペーパーにてバフして厚さを0.5mmに調整した後、繊維Bからなる面を起毛バフして該ナイロン極細繊維からなる立毛表面を有したシート3を得た。さらに厚み方向に2分割スライスしてそれぞれの比重を測定した結果、繊維Bを主体に構成されている方の比重は0.393g/cmで、繊維Cを主体に構成されている方の比重は0.375g/cmであった。得られたシート3を、実施例1と同条件で染色し、スエード調皮革様シートを得た。得られたスエード調皮革様シートは、充分な黒度を有しており、表面の濃度は裏面よりも濃く、自然な色合いであった。また、きめの細かいライティング効果により高級感のある外観、タッチおよび充実感のある風合いを兼ね備えていた。結果を表2に示す。
【0029】
比較例1
繊維製造例で得られた繊維Aのみを用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、目付け175g/m、厚み0.5mm、ポリウレタン樹脂と繊維の比率が30/70のシートを得た。得られたシートは表面を起毛バフして立毛シート4を得、その後染色してスエード調皮革様シートを得た。得られた皮革様シートは、黒度が低く、濃いグレーであった。
また、色の濃さは表裏面とも同一の濃度であった。また、きめの細かいライティング効果による高級感のある外観、タッチを備えていた。結果を表2に示す。
【0030】
比較例2
繊維製造例で得られた繊維B,繊維Dを用い、B/D=50/50の重量比で積層した以外は、実施例1と同様の方法にて、目付け184g/m、厚み0.5mm、ポリウレタン樹脂と繊維の比率が35/65のシートを得た。得られたシートの繊維Bからなる表面を起毛バフして立毛シート5を得た。さらに厚み方向に2分割スライスしてそれぞれの比重を測定した結果、繊維Bを主体に構成されている方の比重は0.389g/cmで、繊維Dを主体に構成されている方の比重は0.345g/cmであった。得られたシート5は、その後染色してスエード調皮革様シートを得た。得られた皮革様シートは、充分な黒度を有していたが、裏面のほうがより黒度が高く、不自然な色合いであった。また、きめの細かいライティング効果による高級感のある外観、タッチおよび充実感のある風合いを備えていたが、強度が低かった。結果を表2に示す。
【0031】
比較例3
繊維製造例で得られた繊維C、繊維Dを用い、D/C=50/50の重量比で積層した以外は、実施例1と同様の方法にて、目付け193g/m、厚み0.5mm、ポリウレタン樹脂と繊維の比率が30/70のシートを得た。得られたシートの繊維Dからなる表面を起毛バフして立毛シート6を得た。さらに厚み方向に2分割スライスしてそれぞれの比重を測定した結果、繊維Dを主体に構成されている方の比重は0.403g/cmで、繊維Cを主体に構成されている方の比重は0.367g/cmであった。得られたシート6は、その後染色してスエード調皮革様シートを得た。得られた皮革様シートは、充分な黒度を有しており、表面の濃度は裏面よりも濃く、自然な色合いであった。しかしながら、外観、タッチともきめが粗く、高級感は得られなかった。結果を表2に示す。
【0032】
【表2】
Figure 0003953799
【0033】
【発明の効果】
本発明により、比較的少量の染料でも濃色が得られ、ライティング(手書き効果)があって高級な外観とタッチを有し、かつ天然皮革に近い柔らかな風合いと伸び止め効果を兼ね備えたスエード調皮革様シートが得られる。

Claims (3)

  1. 0.01デシテックス以下で、かつ極細繊維を構成する樹脂成分100重量部に対し3重量部以上のカーボンブラックにて原着されている極細繊維(a)からなる層(A)と、0.1デシテックス以下で、かつ極細繊維を構成する樹脂成分100重量部に対し3重量部未満のカーホンブラックにて原着されているまたは原着されていない極細繊維(b)からなる層(B)が、重量比(a)/(b)=10/90〜90/10の範囲で積層され、絡合一体化された不織布に弾性重合体が含有されており、かつ(A)層側の表面が起毛された立毛により覆われていることを特徴とするスエード調皮革様シート。
  2. 極細繊維(b)の繊度が極細繊維(a)よりも太い繊維である請求項1に記載のスエード調皮革様シート。
  3. 極細繊維(a)を原着するカーボン重量部(Ca)と極細繊維(b)を原着するカーボン重量部(Cb)の比が、Cb/Ca=0〜0.5である請求項1または2に記載のスエード調皮革様シート。
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