JP3950230B2 - 現在位置算出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車に搭載されるナビゲーション装置などにおいて現在位置を算出する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、自動車に搭載されるナビゲーション装置では、マップマッチングと呼ばれる技術によって車両の現在位置を算出することが行われている。
【0003】
このマップマッチングの技術では、たとえば、次のように現在位置を算出している。
【0004】
すなわち、まず、車速センサや方位センサなどを用いて求めた走行距離、走行方位より、前回算出した現在位置に対する車両の相対変位を求める。そして、これを前回算出した現在位置に加えることにより、今回の仮現在位置を求める。そして、仮現在位置や現在の走行方位に最も整合する道路上の地点を、その道路上の地点と仮現在位置との間の距離や、その道路の方向などを考慮して求め、これを今回の現在位置とする。
【0005】
ところで、たとえば、ジャイロ装置などを方位センサとして用いる場合には、方位の変位のみが求まるため、これを積分して走行方位として用いると、方位センサの測定誤差が蓄積され、求めた走行方位の真の走行方位に対するずれが時間と共に大きくなってしまう。また、他の方位の変位を測定するセンサを方位センサとして用いる場合にも、求めた走行方位には誤差が含まれるために、真の走行方位から大きくはずれた方位が測定方位として求まってしまうことがある。そして、このような場合には、前記マップマッチングの技術によっては、現在位置を正しく算出することができなくなってしまう。
【0006】
そこで、従来は、このような走行方位の誤差を補正するために、マップマッチングによって道路上の地点に現在位置が求まった時点で、この現在位置が位置する道路の方位に、現在の走行方位を補正することが行われている。
【0007】
また、この走行方位の補正において、Y字路を分岐する方向に通過した直後は、マップマッチングによって進入した枝ではなく他方の枝の道路上の地点に現在位置が誤って算出されてしまうことが多いことと、誤った道路の方位に走行方位を補正してしまうと以降の現在位置の算出にも悪影響を与えることを考慮して、Y字路を分岐する方向に通過した直後は一定距離走行するまで、走行方位の補正を行わないことが行われている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記Y字路を分岐する方向に通過した直後は一定距離走行するまで、マップマッチングによって算出した現在位置が位置する道路の方位に走行方位の補正を行わない技術によれば、この間、走行方位の補正を行わないので、次回、現在位置を算出する際に真の走行方位から許容範囲を超えてはずれたままの走行方位を使用することがある。そして、このために、次回の現在位置として、マップマッチングによって誤った道路上に現在位置を算出してしまうことがある。そして、この場合、この誤った道路の方位に走行方位を補正してしまうことになり、以降の現在位置の算出にも悪影響を与えることになる。
【0009】
そこで、本発明は、Y字路を分岐する方向に通過した場合における、走行方位が真の走行方位から許容範囲を超えてはずれていることによって生じる、以降のマップマッチングによる現在位置の算出に対する悪影響を軽減することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題達成のために、本発明は、たとえば、移動体の現在位置を算出する現在位置算出装置であって、
道路地図を表す道路地図データを記憶する手段と、
前回求めた移動体の走行方位を基準として移動体の現在の走行方位を求める手段と、
移動体の移動距離を求める手段と、
道路地図データを参照し、前回算出した現在位置に、前回の現在位置算出以降の移動体の走行方位と移動距離より求まる移動体の変位を加えた位置に、最も整合する道路上の位置を現在位置として算出する手段と、
現在位置が算出された時点の走行方位を、算出された現在位置が位置する道路の方位に合わせる補正を行う補正手段と、
Y字路を分岐する方向に通過した直後、所定距離、移動体が移動する間、分岐する2つの道路の方位差が所定値より小さくない場合に、前記補正手段に前記補正を行わせず、分岐する2つの道路の方位差が所定値より小さい場合に前記補正手段に前記補正を行わなせる手段とを有する現在位置算出装置を提供する。
【0011】
このような現在位置算出装置によれば、Y字路を通過した直後は分岐した道路の方位差がしきい値より小さい場合のみ走行方位の補正を行い、他の場合は、従来と同様、Y字路を通過後一定距離走行するまで走行方位の補正を行わない。ここで、しきい値を適当な小さな角度値とすることにより、分岐した道路の方位差がしきい値小さい場合には、たとえ、分岐する2道路のうち真の現在位置が一方の道路に位置する場合に、誤って他方の道路上に現在位置を算出していたとしても、この誤った道路の方位と真の現在位置が位置する他方の道路との方位の差が小さいのであるから、誤った道路の方位に測定方位を補正してもほぼ正しい補正が行われることとになる。また、真の現在位置が位置する道路上に現在位置を算出している場合には、走行方位の補正により正しい補正を行うことができる。したがって、分岐した道路の方位差が小さい場合には、従来のように一定距離を走行することを待たずに、ほぼ正しい走行方位の補正を行うことができるので、以降のマップマッチングによる現在位置の算出に対する悪影響を軽減することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る現在位置算出装置の一実施形態を、車載用ナビゲーション装置への適用を例にとり説明する。
【0013】
図1に、本実施形態に係るナビゲーション装置の構成を示す。
【0014】
図中、1はマイクロプロセッサやメモリから構成される処理装置、2は表示装置、3は地図データが記憶されたCD-ROMなどの記憶媒体のアクセスを担うドライブ装置、4は利用者の指示の入力を受け付ける入力装置、5は車速センサや方位センサなどから構成されるセンサ装置である。
【0015】
次に、ドライブ装置3に装着されるCD-ROMなどの記憶媒体に記録された地図データを図2に示す。
【0016】
ここで、ドライブ装置3に装着されるCD-ROMなどの記憶媒体に記録された地図データについて説明する。
【0017】
地図データは、メッシュと呼ばれる矩形の地理的範囲毎に用意される。各メッシュの地図データは、図2に示すように、各道路毎に設けられた道路データ21より構成され、道路データ21は、道路情報22と、リンク情報23よりより構成される。
【0018】
道路情報22には、道路を一意に表す道路番号26と、道路の名称を表す道路名称24と、その道路の種別(有料道路、国道、県道)などを表す道路種別27と、その他の道路の情報を表すその他属性25が含まれる。
【0019】
また、リンク情報23には、道路を構成する各リンクについて設けられた、リンクの情報を表すリンクデータ28が含まれる。ここで、リンクは、道路の形状位置を集合として近似する直線である。
【0020】
リンクデータ28は、リンクを一意に表すリンク番号29と、そのリンクのコスト30が記述される。
【0021】
また、リンクデータ28は、その両端の点である2つのノードについて、それぞれ、ノードを一意に示すノード番号32と、ノードの位置を表すノード座標35と、そのノードとリンクを介して連結する全てのノードのノード番号のリストである隣接ノード番号リスト34を含む。ここで、リンク同士の連結は必ずノードにおいて行われる。たとえば、十字路では、その中心にノードが設けられ、この中心に設けられたノードに4つのリンクが連結する。そして、この場合、中心に設けられたノードの隣接ノード番号リスト34には、自ノードに連結する4つのリンクの他端の4つのノードのノード番号が記述される。
【0022】
このような構成において、処理装置1は、センサ装置5の方位センサから入力する車両の走行方位変位を前回求めた走行方位に加えることに今回の走行方位を算出する処理を繰り返す。また、処理装置1は車速センサから入力する車速を時間で積分し車両の走行距離を算出する処理を繰り返す。
【0023】
そして、処理装置1は、2m走行毎に、算出した走行方位や走行距離の履歴より求まる前回算出した現在位置からの現在の相対変位を、前回算出した現在位置に加えることにより、今回の仮現在位置を求める処理を繰り返す。
【0024】
そして、処理装置は、一定距離走行毎(たとえば、2m毎)に、仮現在位置周辺の、地図データを参照し、マップマッチング処理によって、仮現在位置や現在の走行方位に最も整合するリンク上の地点を、そのリンク上の地点と仮現在位置との間の距離や、そのリンクの方向などを考慮して求め、これを今回の現在位置とする。
【0025】
また、処理装置1は、算出した現在位置や、車両の進行方位や、入力装置5を介して利用者より指定された内容に基づき、ドライブ装置3を制御し地図データを読み出し、当該地図データの表す地図を表示装置2に表示する。また、この際、地図上に車両の現在位置と進行方位を表すマークを地図に重畳して表示したりする。
【0026】
以下、本実施形態において、処理装置1が行う走行方位補正処理について説明する。
【0027】
図3に、走行方位補正処理の手順を示す。
【0028】
走行方位補正処理は、車両が20m走行する毎に実行される。
【0029】
図示するように、この処理では、処理装置1は、まず、最後に算出した現在位置と、その直前に算出した現在位置より、Y字路を分岐する方向に通過したかどうか、すなわち、Y字路のV部分を形成している2つのリンクのいずれかにIを形成するリンクから進入したかどうかを調べる(ステップ301)。ここで、Y字路は異なかは、V部分を形成している2つのリンクの方位差が、たとえば、30度以下であるかどうかなどより判定する。
【0030】
そして、Y字路を分岐する方向に通過していれば、監視距離Lとして500mを設定する(ステップ302)。
【0031】
次に、監視距離Lが0より大きいかどうかを調べる(ステップ303)。そして、0より小さければ、監視距離Lを0とし(ステップ308)、現在位置が位置するリンクの方位に、走行方位を補正し(ステップ309)、処理を終了する。
【0032】
一方、監視距離Lが0より大きい場合には、通過したY字路のV部分を形成している2つの道路の方位差θdiffを求める(ステップ304)。ここで、求める道路の方位差θdiffは、その時点の現在位置が位置するリンクの方位と、他方の道路のリンクの内で仮現在位置や走行方位に最も整合するリンクの方位の差である。ここで、この方位差の算出に用いる他方の道路上のリンクは、この他方の道路のみをマップマッチングの対象とした場合に、マップマッチングによって、現在位置がその上に求まることになるリンクであり、言い換えるならば、マップマッチングによって現在位置を誤った道路のリンク上に算出していると仮定した場合に、真の現在位置が位置すると推定できる他方の道路のリンクである。実際には、マップマッチングにおいては、現在位置を算出する際に、仮現在位置周辺の複数のリンクについて、仮現在位置や走行方位に整合するリンク上の位置と整合度を求め、最も整合度が大きいリンク上の位置を現在位置として算出する。したがって、方位差の算出二用いる他方の道路のリンクは、このマップマッチング処理において求めた他方の道路の各リンクの整合度を用いて決定することができる。
【0033】
そして、方位差θdiffが、あらかじめ定めたしきい値mdeg(たとえば5度)以下かどうかを調べる(ステップ305)。
【0034】
そして、方位差θdiffがmdeg以下でなければ、監視距離Lから移動した距離20mを減算し(ステップ307)、処理を終了する。
【0035】
一方、方位差θdiffがmdeg以下であれば、現在位置が位置するリンクの方位に、走行方位を補正する(ステップ306)。
【0036】
以上の処理の結果、Y字路を分岐した方向に通過した場合、その後500mを走行する間に、V部分を形成している2つの道路の方位差θdiffがしきい値mdeg以下となれば、その時点で、測定方位は現在位置が位置するリンクの方位に補正される。一方、500mを走行する間に、V部分を形成している2つの道路の方位差θdiffがしきい値mdeg以下とならなければ、500mを走行した時点で、測定方位は現在位置が位置するリンクの方位に補正される。
【0037】
すなわち、本実施形態では、Y字路を通過した直後は分岐した道路の方位差が小さい場合のみ走行方位の補正を行い、他の場合は、従来と同様、Y字路を通過後一定距離走行するまで走行方位の補正を行わない。ここで、分岐した道路の方位差が小さい場合には、たとえ、分岐する2道路のうち真の現在位置が一方の道路に位置する場合に、マップマッチングによって誤って他方の道路に現在位置を算出していたとしても、この誤った道路の方位と真の現在位置が位置する他方の道路との方位の差が小さいのであるから、誤った道路の方位に測定方位を補正してもほぼ正しい補正が行われることとになる。また、マップマッチングによって真の現在位置が位置する道路上に現在位置を算出している場合には、走行方位の補正により正しい補正を行うことができる。
【0038】
したがって、本実施形態によれば分岐した道路の方位差が小さい場合には、従来のように一定距離を走行することを待たずに、ほぼ正しい走行方位の補正を行うことができるので、以降ののマップマッチングによる現在位置の算出に対する悪影響を軽減することができる。
【0039】
以上、本発明の一実施形態について説明した。
【0040】
なお、本実施形態における処理装置1は、CPUやメモリや適当なOSを備えた電子計算機であってよく、この場合、処理装置1が行う前記各処理は、CPUが、各処理の手順を記述したプログラムを実行することにより実現される。また、このばあい、これらのプログラムはCD-ROMなどの記憶媒体を介して、処理装置1に供給するようにしてもよい。
【0041】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、Y字路を分岐する方向に通過した場合における、走行方位が真の走行方位から許容範囲を超えてはずれていることによって生じる、以降のマップマッチングによる現在位置の算出に対する悪影響を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る地図データの構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 処理装置
2 表示装置
3 ドライブ装置
4 入力装置
5 センサ装置
Claims (4)
- 移動体の現在位置を算出する現在位置算出装置であって、
道路地図を表す道路地図データを記憶する手段と、
前回求めた移動体の走行方位を基準として移動体の現在の走行方位を求める手段と、
移動体の移動距離を求める手段と、
道路地図データを参照し、前回算出した現在位置に、前回の現在位置算出以降の移動体の走行方位と移動距離より求まる移動体の変位を加えた位置に、最も整合する道路上の位置を現在位置として算出する手段と、
現在位置が算出された時点の走行方位を、算出された現在位置が位置する道路の方位に合わせる補正を行う補正手段と、
Y字路を分岐する方向に通過した直後、所定距離、移動体が移動する間、分岐する2つの道路の方位差が所定値より小さくない場合に、前記補正手段に前記補正を行わせず、分岐する2つの道路の方位差が所定値より小さい場合に前記補正手段に前記補正を行わなせる手段とを有する現在位置算出装置。 - 移動体の現在位置を算出する現在位置算出装置であって、
道路地図を表す道路地図データを記憶する手段と、
前回求めた移動体の走行方位を基準として移動体の現在の走行方位を求める手段と、
移動体の移動距離を求める手段と、
道路地図データを参照し、前回算出した現在位置に、前回の現在位置算出以降の移動体の走行方位と移動距離より求まる移動体の変位を加えた位置である仮現在位置に、最も整合する道路上の位置を現在位置として算出する手段と、
現在位置が算出された時点の走行方位を、算出された現在位置が位置する道路の方位に合わせる補正を行う補正手段と、
Y字路を分岐する方向に通過した後、所定距離、移動体が移動する間、分岐する二つの道路のうち現在位置が位置する道路の方位と、分岐する二つの道路のうち現在位置が位置しない道路上の仮現在位置に最も整合する位置における道路の方位との差が所定値より小さい場合に前記補正手段に前記補正を行わなせ、小さくない場合には前記補正手段に前記補正を行わなせない手段とを有する現在位置算出装置。 - 道路地図を表す道路地図データを記憶する装置上において移動体の現在位置を算出する方法であって、
前回求めた移動体の走行方位を基準として移動体の現在の走行方位を求めるステップと、
移動体の移動距離を求めるステップと、
道路地図データを参照し、前回算出した現在位置に、前回の現在位置算出以降の移動体の走行方位と移動距離より求まる移動体の変位を加えた位置に、最も整合する道路上の位置を現在位置として算出するステップと、
Y字路を分岐する方向に通過した後、所定距離、移動体が移動する間、分岐する2つの道路の方位差が所定値より小さい場合に現在位置が算出された時点の走行方位を、算出された現在位置が位置する道路の方位に合わせる補正を行い、分岐する2つの道路の方位差が所定値より小さくない場合に前記補正を行わないステップと、
Y字路を分岐する方向に通過した後に前記所定距離、移動体が移動した後、現在位置が算出された時点の走行方位を、算出された現在位置が位置する道路の方位に合わせる補正を行うステップとを有することを特徴とする方法。 - 電子計算機によって読み取られ実行されるプログラムを記憶した記憶媒体であって、
前記プログラムは、
前回求めた移動体の走行方位を基準として移動体の現在の走行方位を得るステップと、
移動体の移動距離を得るステップと、
道路地図データを参照し、前回算出した現在位置に、前回の現在位置算出以降の移動体の走行方位と移動距離より求まる移動体の変位を加えた位置に、最も整合する道路上の位置を現在位置として算出するステップと、
Y字路を分岐する方向に通過した後、所定距離、移動体が移動する間、分岐する2つの道路の方位差が所定値より小さい場合に 現在位置が算出された時点の走行方位を、算出された現在位置が位置する道路の方位に合わせる補正を行い、分岐する2つの道路の方位差が所定値より小さくない場合に前記補正を行わないステップと、
Y字路を分岐する方向に通過した後に前記所定距離、移動体が移動した後、現在位置が算出された時点の走行方位を、算出された現在位置が位置する道路の方位に合わせる補正を行うステップとを前記電子計算機に実施させることを特徴とする記憶媒体。
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