JP3948300B2 - 電動パワーステアリング装置の制御装置 - Google Patents

電動パワーステアリング装置の制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
この発明は、電動パワーステアリング装置の制御装置に関し、特にそのモータ電流検出手段の故障を検出できる電動パワーステアリング装置の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両用の電動パワーステアリング装置は、操向ハンドルの操作によりステアリングシヤフトに発生する操舵トルクと車速を検出し、その検出信号に基づいてモータを駆動して操向ハンドルの操舵力を補助するものである。このような電動式パワーステアリング装置の制御は電子制御回路で実行されるが、その制御の概要は、トルクセンサで検出された操舵トルクと車速センサで検出された車速に基づいてモータに供給する電流の大きさを演算し、その演算結果に基づいてモータに供給する電流を制御する。
【0003】
即ち、電子制御回路は、操向ハンドルが操作されて操舵トルクが発生しているときに、検出された車速が零あるいは低速の場合は大きな操舵補助力を供給し、検出された車速が速い場合は小さな操舵補助力を供給するように操向ハンドルの操舵力と車速に応じてモータに供給する電流を制御することで、走行状態に応じた最適の操舵補助力を与えることができるものである。
【0004】
この種の装置では、実際にモータに流れる電流が、操舵トルクや車速に基づいて演算されたモータ電流の制御目標値に一致するようフイードバツク制御を行なっており、このためにモータに流れる電流を検出するモータ電流検出手段を備えている。
【0005】
前記したモータ電流検出手段が故障した場合は正確なモータ電流を測定することができず、この結果、必要以上の電流がモータに流れて過大な操舵補助力を供給したり、或いはモータに必要なだけの電流が流れず、十分な操舵補助力を供給できないという不都合が発生することになる。
【0006】
さらに、モータに電流を流してモータ電流検出手段の動作を確認するときにモータが回転してしまうと、モータ軸とステアリング機構が結合している状態では操向ハンドルが回転してしまい、不測の事故が発生するおそれがある。
【0007】
この課題への対応として本出願人は、モータの電気的時定数よりも十分に大きく、且つモータの機械的時定数よりも十分に小さい時間だけ前記モータに電圧を印加したときに予測される電流値と、モータ電流検出手段により検出されたモータ電流値に基づいて、モータ電流検出手段の故障を判定する故障判定手段を提案した(特開平8−91239号公報参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記したモータ電流検出手段の故障判定手段では、イグニツシヨンキーをONとしたエンジン始動の直後の短時間だけ、即ち、モータの電気的時定数よりも十分に大きく、且つモータの機械的時定数よりも十分に小さい時間だけモータに電圧を印加して、故障を判定している。これは、エンジン始動直後にモータが回転すると、操向ハンドルが突然回転してしまい不測の事故が発生することを防ぐために必要なことである。
【0009】
しかしながら、モータが新しい場合は特に支障はないが、ある程度の期間使用されるとモータの整流子とブラシとの接触面に電気絶縁特性を持つ酸化被膜が形成され、時間経過と共に酸化被膜が厚くなり電気抵抗が高まる傾向があるから、より高い電圧をモータに印加しないとモータ電流が流れなくなる。
【0010】
図8はモータの整流子とブラシとの接触面の酸化被膜の影響を説明する図である。図8の(a)において、線Aはモータ新品で接触面に酸化被膜が無い正常な場合を示しており、印加電圧が高くなると、モータ電流もこれに比例して増加している。線Bは接触面に酸化被膜が生じた場合を示しており、印加電圧が高くなってもモータ電流は殆ど増加せず、印加電圧がある値sに達すると酸化被膜が破壊されて電気抵抗が急激に低下し、正常な場合の印加電圧に対応するモータ電流が流れるようになることがわかる。
【0011】
図8の(b)は、時間経過と共に酸化被膜が厚くなった場合に、酸化被膜が破壊される印加電圧がs1 、s2 、s3 と次第に高まる様子を示している。
【0012】
このように、モータ電流検出手段の故障判定のために短時間だけ低い電圧をモータに印加したのでは、整流子とブラシとの接触面の酸化被膜のためにモータ電流が検出されないか、或いは僅かのモータ電流しか検出されず、モータ電流検出手段が故障していると誤った判定をするおそれがある。この発明は、上記課題を解決することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記課題を解決するもので、請求項1の発明は、少なくともステアリングシヤフトに発生する操舵トルク信号に基づいてステアリング機構に操舵補助力を与えるモータの出力を制御する制御手段を備えた電動パワーステアリング装置の制御装置において、モータ電流検出手段を備え、前記制御手段は、モータの電気的時定数よりも十分に大きく、且つモータの機械的時定数よりも十分に小さい時間だけモータ電流指令値を設定すると共に、モータ電流指令値に基づく電流制御値で決定されるモータ印加電圧値を、電気絶縁性の酸化被膜が破壊可能な最低のモータ印加電圧値から出発してモータが回転を開始する直前の最高のモータ印加電圧値まで、時間の経過と共に高めながら変更してモータ整流子とブラシとの接触面の電気絶縁性の酸化被膜の影響を排除し、モータ電流指令値に基づくモータ電流予測値と前記モータ電流検出手段で検出されたモータ電流検出値とを比較しモータ電流検出手段の故障を検出することを特徴とする電動パワーステアリング装置の制御装置である。
【0014】
そして、前記制御手段は、モータ電流検出手段の故障が検出されたときは、故障が検出された時のモータ印加電圧値よりも低いモータ印加電圧値から出発してモータ印加電圧値を時間の経過と共に高めながら変更し、再度モータ電流検出手段の故障を検出するようにするとよい。
【0015】
また、前記モータ印加電圧値は、モータの機械的時定数に対応する電圧値を上限値とする。
【0016】
前記モータ印加電圧値は、モータに印加する電圧のデューテイ比を時間の経過と共に変更して印加電圧値を時間の経過と共に高める。
【0017】
前記モータに印加する電圧のデューテイ比は、1回のサンプリング期間の中で、時間の経過と共に変更するようにしてもよい。
【0018】
また、前記モータに印加する電圧のデューテイ比は、複数回のサンプリング期間の中で、サンプリング回数の増加と共に変更するにしてもよい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について説明する。図1は、この発明を実施するに適した電動パワーステアリング装置の構成の概略を説明する図で、操向ハンドル1の軸2は減速ギア4、ユニバーサルジョイント5a、5b、ピニオンラツク機構7を経て操向車輪のタイロツド8に結合されている。軸2には操向ハンドル1の操舵トルクを検出するトルクセンサ3が設けられており、また、操舵力を補助するモータ10がクラツチ9、減速ギア4を介して軸2に結合している。
【0020】
パワーステアリング装置を制御する電子制御回路13は、バツテリ14からイグニツシヨンキー11を経て電力が供給される。電子制御回路13は、トルクセンサ3で検出された操舵トルクと車速センサ12で検出された車速に基づいて電流指令演算を行い、演算された電流指令値に基づいてモータ10に供給する電流iを制御する。
【0021】
クラツチ9は電子制御回路13により制御される。クラツチ9は通常の動作状態では結合しており、電子制御回路13によりパワーステアリング装置の故障と判断された時、及び電源がOFFとなっている時に切離される。
【0022】
図2は、制御手段を構成する電子制御回路13のブロツク図である。この実施の形態では電子制御回路13は主としてCPUから構成されるが、ここではそのCPU内部においてプログラムで実行される機能を示してある。例えば、位相補償器21は独立したハードウエアとしての位相補償器21を示すものではなく、CPUで実行される位相補償機能を示す。なお、電子制御回路13をCPUで構成せず、これらの機能要素をそれぞれ独立したハードウエア(電子回路)で構成できることは言うまでもない。
【0023】
以下、電子制御回路13の機能と動作を説明する。トルクセンサ3から入力された操舵トルク信号は、位相補償器21で操舵系の安定を高めるために位相補償され、電流指令演算器22に入力される。また、車速センサ12で検出された車速も電流指令演算器22に入力される。
【0024】
電流指令演算器22は、入力されたトルク信号と車速信号に基づいて所定の演算式によりモータ10に供給する電流の制御目標値である電流指令値Iを決定する。
【0025】
比較器23、微分補償器24、比例演算器25及び積分演算器26から構成される回路は、実際のモータ電流値iが電流指令値Iに一致するようにフイードバツク制御を行う回路である。
【0026】
比例演算器25では、電流指令値Iと実際のモータ電流値iとの差に比例した比例値が出力される。さらに比例演算器25の出力信号はフイードバツク系の特性を改善するため積分演算器26において積分され、差の積分値の比例値が出力される。
【0027】
微分補償器24では、電流指令演算器22で演算された電流指令値Iに対する実際にモータに流れるモータ電流値iの応答速度を高めるため、電流指令値Iの微分値が出力される。
【0028】
微分補償器24から出力された電流指令値Iの微分値、比例演算器25から出力された電流指令値と実際のモータ電流値との差に比例した比例値、及び積分演算器26から出力された積分値は、加算器27において加算演算され、演算結果である電流制御値(モータ印加電圧を決定するPWM信号のデユーテイ比)がモータ駆動信号としてモータ駆動回路41に出力される。
【0029】
図3にモータ駆動回路41の構成の一例を示す。モータ駆動回路41は加算器27から入力された電流制御値をPWM信号と電流方向信号とに分離変換する変換部44、FET1 〜FET4 、及びそれ等のゲートを開閉駆動するFETゲート駆動回路45等からなる。なお、昇圧電源46はFET1 、FET2 のハイサイド側を駆動する電源である。
【0030】
PWM信号(パルス幅変調信号)は、Hブリツジ接続されたFET(電界効果トランジスタ)スイツチング素子FET1 〜FET2 のゲートを駆動する信号で、加算器27において演算された電流制御値の絶対値によりPWM信号のデユーテイ比(FETのゲートをON/OFFする時間比)が決定される。
【0031】
電流方向信号は、モータに供給する電流の方向を指示する信号で、加算器27において演算された電流制御値の符号(正負)により決定される信号である。
【0032】
FET1 とFET2 は前記したPWM信号のデユーテイ比に基づいてゲートがON/OFFされるスイツチング素子で、モータに流れる電流の大きさを制御するためのスイツチング素子である。また、FET3 とFET4 は前記した電流方向信号に基づいてゲートがON或いはOFFされる(一方がONの時、他方はOFFとなる)スイツチング素子で、モータに流れる電流の方向、即ちモータの回転方向を切り換えるスイツチング素子である。
【0033】
FET3 が導通状態にあるときは、電流はFET1 、モータ10、FET3 、抵抗R1 を経て流れ、モータ10に正方向の電流が流れる。また、FET4 が導通状態にあるときは、電流はFET2 、モータ10、FET4 、抵抗R2 を経て流れ、モータ10に負方向の電流が流れる。
【0034】
モータ電流検出手段を構成するモータ電流検出回路42は、抵抗R1 の両端における電圧降下に基づいて正方向電流の大きさを検出し、また、抵抗R2 の両端における電圧降下に基づいて負方向電流の大きさを検出する。検出された実際のモータ電流値は比較器23にフイードバツクして入力される(図2参照)。
【0035】
以上説明した電子制御回路は、操向ハンドルが操作されて操舵トルクが発生しているときに、検出された操舵トルクが大きく、また検出された車速が零あるいは低速の場合は電流指令値Iを大きく設定し、検出された操舵トルクが小さく、また検出された車速が速い場合は電流指令値Iを小さく設定するから、走行状態に応じた最適の操舵補助力を与えることができる。
【0036】
次に、この発明によるモータ電流検出手段の故障の検出、及び検出結果に基づくフエールセーフ処理について説明する。
【0037】
まず、その原理を説明する。イグニツシヨンキー11をONとし、モータに電圧Vを印加したとき、モータ端子間電圧Vとモータに流れる電流iとの間には、以下の式(1)の関係がある。
【0038】
V=L・di/dt+Ri+kT ω・・・・・・・・・(1)
ここで、kT はモータの逆起電力定数、ωはモータの角速度、
Lはモータのインダクタンス、Rはモータの端子間抵抗である。
【0039】
モータの機械的時定数Tm はモータの慣性モーメントJをモータの粘性抵抗Bで割った値で、Tm =J/Bで表され、また、モータの電気的時定数Te はモータのインダクタンスLをモータの抵抗Rで割った値であり、Te =L/Rで表される。
【0040】
モータの機械的時定数Tm よりも十分に小さく、モータの電気的時定数Te よりも十分に大きい時間Tを設定し(Te <<T<<Tm )、初期状態から時間Tだけモータに電圧Vを印加した場合の、モータ電流iとモータの角速度ωの過渡特性、及びモータ電流をサンプリングする時期を図4により説明する。
【0041】
即ち、図4(a)はモータに印加される電圧と時間の関係を示すもので、モータ電流をサンプリングする前の時間T0 までは、モータには一定電圧V0 が印加される。なお、サンプリングが開始されるとデユーテイ比が変更されるからモータ印加電圧Vは時間の経過とともに変化する。
【0042】
また、図4(b)はモータ電流と時間の関係を示すもので、モータに電圧Vが印加されるとモータ電流は早い時期に立上がり(モータの電気的時定数Te <<電圧Vの印加時間T)、定常電流iが流れることを示している。なお、is は後述するモータ電流の予測値を示している。
【0043】
図4(c)はモータの角速度ωと時間の関係を示すもので、モータに電圧Vが印加される時間Tの範囲では、モータの機械的時定数Tm が大きく、モータの角速度ωは殆ど零であること、即ち回転しないことを示している。更に、前記モータ電流の予測値is をステアリング機構の静止摩擦トルクに対応した値以下になるようにモータ印加電圧を設定すれば、モータが回転しない条件を完全に達成することができる。
【0044】
また、図4(d)はモータ電流を検出するサンプリング時期を示すもので、モータに電圧Vを印加後、T0 時間後からサンプリングを開始することを示している。
【0045】
上記したモータ電流iとモータの角速度ωの過渡特性によれば、モータに電圧Vを印加した後、時間Tが経過するよりもやや早い時間T0 の経過後には、モータ電流は立ち上がり、モータには定常電流iが流れており、且つこの時点ではモータは殆ど回転していないから、角速度ω及びモータ電流iの微分値は近似的に零である。
【0046】
従って、前記式(1)は以下の式(2)で表すことができる。
【0047】
V=Ri・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
従って、モータ電流の予測値is は、モータの端子間電圧Vをモータの内部抵抗Rで割った以下の式(3)で表すことができる。
【0048】
is =V/R・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
式(3)から明らかなとおり、モータ電流の予測値is にはモータの逆起電力kT ωや、回生電圧L・di/dtの項を含まないから、モータの逆起電力や回生電圧影響を受けることなくモータ電流の予測値is を推定することができる。
【0049】
モータへ印加する電圧値はモータの端子間電圧Vを直接検出してもよいが、また以下のような手段で求めることもできる。
【0050】
即ち、モータの端子間電圧Vは、モータに供給される電流制御値(PWM信号のデユーテイ比)と以下の式(4)で示す関係がある。
【0051】
V=VBA・D・・・・・・・・・・・・・・・・・(4)
ここで、VBAはバツテリ電圧
DはPWM信号のデユーテイ比である。
【0052】
従って、前記モータ電流の予測値is を示す式(3)は、以下の式(5)で表すことができる。
【0053】
is =(VBA・D)/R・・・・・・・・・・・・(5)
以下、図2によって、この発明によるモータ電流検出手段の故障の判定、及び検出結果に基づくフエールセーフ処理の構成と動作について説明する。
【0054】
イグニツシヨンキー11をONにすると、図示しないタイマTMにより予め設定された所定時間Tだけモータに電圧が印加される。イグニツシヨンキー11のONはI.G.キーON検出器31により検出され、検出信号は故障検出器32に入力される。また、バツテリ電圧検出器36により検出されたバツテリ電圧VBA、及びモータ駆動回路の入力信号である電流制御値(PWM信号のデユーテイ比D)が故障検出器32に入力される。
【0055】
さらに、図示しないタイマTMにより予め設定された所定時間T0 (T0 <T)だけ経過した時点において、モータ電流値iのサンプリングが開始され、モータ電流検出回路42により検出されたモータ電流値iがサンプル値として故障検出器32に入力される。サンプリングはタイマTMにより予め設定された所定時間Tだけ実行される。
【0056】
故障検出手段を構成する故障検出器32は、検出され入力されたバツテリ電圧値VBAとPWM信号のデユーテイ比D、並びにモータ端子間抵抗Rを前記式(5)に代入してモータ電流の予測値is を演算し、前記モータ電流検出回路42によりサンプル値として検出されたモータ電流値iと比較する。その結果、(is −i)の絶対値が所定の許容値Δiよりも大きい場合は、モータ電流検出回路42が故障であると判定する。
【0057】
モータ電流検出回路42が故障であると判定されたときは、フエールセーフ処理器33を作動させ、フエールリレー34をOFFとして接点34aを開き、モータ10への給電を断ち、電動パワーステアリング装置を不作動とする。
【0058】
上記したモータ電流検出回路42の故障判定においては、実際にモータ電流検出回路42が故障している場合と、モータの整流子とブラシとの接触面が酸化被膜で覆われてモータ電流が検出されないか或いは僅かのモータ電流しか検出されないため、誤ってモータ電流検出回路42が故障していると判定してしまう場合とがある。
【0059】
そこで、この発明ではモータの端子間電圧、即ちモータ印加電圧を時間の経過と共に次第に高めて酸化被膜を破壊し、酸化被膜の影響を排除してからモータ電流値iを検出し、モータ電流検出回路42の故障の判定を行うようにした。以下、この構成について説明する。
【0060】
前記式(4)で示すように、モータの端子間電圧、即ちモータ印加電圧Vは、PWM信号のデユーテイ比Dとバツテリ電圧値VBAとにより決定されるから、デユーテイ比Dを変更することでモータの端子間電圧、即ちモータ印加電圧Vを変更することができる。
【0061】
ここでは、モータ印加電圧Vを変更するためのPWM信号のデユーテイ比Dの変更について、1回のサンプリング期間の間にデユーテイ比Dを時間の経過と共に変化させる方法と、複数回のサンプリングにおいてサンプリング回数に応じてデユーテイ比Dを変化させる方法とについて説明する。
【0062】
図5は1回のサンプリング期間の間にデユーテイ比Dを時間の経過と共に変化させる方法を説明する図で、デユーテイ比Dは図5の(a)に示すように時刻T1 からT2 までの1回のサンプリング期間の間にD1 からD2 に変更されることを示している。このときのモータ印加電圧Vは図5の(b)に示すように、デユーテイ比Dの増加によりモータ印加電圧Vの通電時間が次第に長くなり、結果としてモータ印加電圧Vの平均値はV1 からV2 にまで次第に高くなる。
【0063】
図6は複数回のサンプリング期間の間にデユーテイ比Dを時間の経過と共に変化させる方法を説明する図で、デユーテイ比は図6の(a)に示すように第1回のサンプリングではデユーテイ比D1 であるが、後のサンプリングになる程デユーテイ比は高くなり、第n回のサンプリング期間ではデユーテイ比D2 に変更される。1回のサンプリング期間の中ではデユーテイ比は一定とする。このときのモータ印加電圧Vは図6の(b)に示すように、後のサンプリングになるほどモータ印加電圧Vの通電時間が次第に長くなり、結果としてモータ印加電圧Vの平均値はV1 からV2 にまで次第に高くなる。
【0064】
ここで、デユーテイ比D1 は最低限界デユーテイ比で、通常予想される電気絶縁性の酸化被膜を破壊させるのに必要な最低のモータ印加電圧V1 に対応する値である。また、デユーテイ比D2 は最高限界デユーテイ比で、モータが回転を開始して操向ハンドルが回転を開始する直前の最高のモータ印加電圧V2 に対応する値である。
【0065】
前記したいずれのデユーテイ比の変更方法でもモータ印加電圧Vを次第に高くすることができるのであり、いずれかを任意に選択することができる。
【0066】
図7は、複数回のサンプリングにおいてサンプリング回数に応じてデユーテイ比を変化させる方法を採用した場合の故障検出器32の制御動作を説明するフローチヤートである。
【0067】
まず初期化を行い、タイマTMの計時を開始する(ステツプP1)。ついでバツテリ電圧値VBAを検出して読み込むと共に、PWM信号のデユーテイ比Dを読み込む(ステツプP2、P3)。このとき設定されるデユーテイ比Dは、最初は最低限界デユーテイ比D1 に設定され、以降デユーテイ比Dが変更されたときは変更されたデユーテイ比Dが設定されるものとする。
【0068】
設定されたデユーテイ比Dに対応するモータ印加電圧Vが出力され、モータの端子間に印加される(ステツプP4)。タイマTMによる所定時間T0 の計時終了を待ち(ステツプP5)、モータ電流検出回路42からモータ電流のサンプル値iを読み込む(ステツプP6)。前記式(5)によりモータ電流の予測値is を演算し(ステツプP7)、(is −i)の絶対値が所定の許容値Δiよりも大きいか否かを判定する(ステツプP8)。ステツプP8の判定で否定的な場合は、故障なしと判定して通常の処理に移る。
【0069】
ステツプP8の判定で(is −i)の絶対値が所定の許容値Δiよりも大きい場合は、モータ電流検出器の故障の可能性と、モータの整流子とブラシとの接触面が酸化被膜で覆われてモータ電流が正確に検出できない場合があるので、酸化被膜を破壊するため、デユーテイ比Dを変更する。まず、設定されているデユーテイ比が最高限界デユーテイ比D2 か否かを判定し(ステツプP9)、最高限界デユーテイ比D2 であれば、酸化被膜は破壊されているものと推定し、これ以上デユーテイ比を高く変更することはせず、モータ電流検出回路42が故障であると判定し、フエールセーフ処理を実行し(ステツプP10)、処理を終了する。
【0070】
ステツプP9の判定で最高限界デユーテイ比D2 でない場合は、バツテリ電圧値VBAを検出して読み込むと共に、デユーテイ比Dを一段増加して読み込み(ステツプP11、P12)、ステツプP4以下の処理を繰り返す。
【0071】
なお、本願特許請求の範囲の請求項3において、モータ印加電圧値は、モータの機械的時定数に対応する電圧値を上限値とすることを規定しているが、これはモータ印加電圧が高くなるとモータが回転を開始するおそれがあるから、モータ印加電圧値をモータの機械的時定数に対応する電圧値を上限値として、モータが回転しない範囲に留めているのである。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したとおり、この発明の電動パワーステアリング装置の制御装置は、イグニツシヨンキーをONにした直後にモータ電流検出手段の故障を調べるものであり、モータの機械的時定数Tm よりも十分に小さく、モータの電気的時定数Te よりも十分に大きい時間T(Te <<T<<Tm )だけモータ電流指令値を設定すると共にモータ電流指令値に基づく電流制御値を時間の経過と共に変更し、モータ印加電圧値を時間の経過と共に高めながら、モータ電流指令値に基づくモータ電流予測値と前記モータ電流検出手段で検出されたモータ電流検出値とを比較することによりモータ電流検出手段の故障を検出するものであるから、モータが実質的に回転しない状態においてモータ電流検出手段の故障を判断することができる。
【0073】
そして、モータに短時間だけ電流を流してモータ電流検出手段の故障を検出するが、このとき故障状態が検出されても、モータ電流検出器の故障である可能性と、モータの整流子とブラシとの接触面が酸化被膜で覆われてモータ電流が正確に検出できない場合とがあるので、モータ電圧を決定するデユーテイ比を時間の経過と共に変更してモータに次第に高い電圧を印加し、整流子とブラシとの接触面の酸化被膜を破壊し、酸化被膜の影響を排除してからモータ電流検出手段の故障を検出するから、常に正確に故障を検出することができる。
【0074】
さらにイグニツシヨンキーをONにした直後、モータの角速度ωが殆ど零、即ちモータが殆ど回転しない状態で検出することができるから、モータ電流検出手段の故障検出の際、操向ハンドルが回転してしまう危険性もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】電動パワーステアリング装置の構成の概略を説明する図。
【図2】この発明の実施例の電子制御回路のブロツク図。
【図3】モータ駆動回路の構成の一例を示すブロツク図。
【図4】モータ電流iとモータの角速度ωの過渡特性、及びモータ電流iのサンプリング時期を説明する図。
【図5】1回のサンプリング期間の間にデユーテイ比Dを時間の経過と共に変化させる方法を説明する図。
【図6】複数回のサンプリング期間の間にデユーテイ比Dを時間の経過と共に変化させる方法を説明する図。
【図7】電子制御回路における制御動作を説明するフローチヤート。
【図8】モータの整流子とブラシとの接触面の酸化被膜の影響を説明する図。
【符号の説明】
3 トルクセンサ
10 モータ
11 イグニツシヨンキー
12 車速センサ
13 電子制御回路
21 位相補償器
22 電流指令演算器
23 比較器
24 微分補償器
25 比例演算器
26 積分演算器
27 加算器
31 I.G.キーON検出器
32 故障検出器
33 フエールセーフ処理器
34 フエールリレー
36 バツテリ電圧検出器
41 モータ駆動回路
42 モータ電流検出回路

Claims (6)

  1. 少なくともステアリングシヤフトに発生する操舵トルク信号に基づいてステアリング機構に操舵補助力を与えるモータの出力を制御する制御手段を備えた電動パワーステアリング装置の制御装置において、
    モータ電流検出手段を備え、
    前記制御手段は、モータの電気的時定数よりも十分に大きく、且つモータの機械的時定数よりも十分に小さい時間だけモータ電流指令値を設定すると共に、モータ電流指令値に基づく電流制御値で決定されるモータ印加電圧値を、電気絶縁性の酸化被膜が破壊可能な最低のモータ印加電圧値から出発してモータが回転を開始する直前の最高のモータ印加電圧値まで、時間の経過と共に高めながら変更してモータ整流子とブラシとの接触面の電気絶縁性の酸化被膜の影響を排除し、モータ電流指令値に基づくモータ電流予測値と前記モータ電流検出手段で検出されたモータ電流検出値とを比較しモータ電流検出手段の故障を検出すること
    を特徴とする電動パワーステアリング装置の制御装置。
  2. 前記制御手段は、モータ電流検出手段の故障が検出されたときは、故障が検出された時のモータ印加電圧値よりも低いモータ印加電圧値から出発してモータ印加電圧値を時間の経過と共に高めながら変更し、再度モータ電流検出手段の故障を検出することを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置の制御装置。
  3. 前記モータ印加電圧値は、モータの機械的時定数に対応する電圧値を上限値とすることを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置の制御装置。
  4. 前記モータ印加電圧値は、モータに印加する電圧のデューテイ比を時間の経過と共に変更して印加電圧値を時間の経過と共に高めることを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置の制御装置。
  5. 前記モータに印加する電圧のデューテイ比は、1回のサンプリング期間の中で、時間の経過と共に変更することを特徴とする請求項4記載の電動パワーステアリング装置の制御装置。
  6. 前記モータに印加する電圧のデューテイ比は、複数回のサンプリング期間の中で、サンプリング回数の増加と共に変更することを特徴とする請求項4記載の電動パワーステアリング装置の制御装置。
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