JP3944611B2 - ジアルケニルビフェニル誘導体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は新規液晶性化合物である、ジアルケニルビフェニル誘導体、より詳しくは4−アルケニル−4’−アルケニルビフェニル及びそれを含有する液晶組成物に関する。これらは電気光学的液晶表示用、特にネマチック液晶表示用材料として有用である。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子は、時計、電卓をはじめとして、各種測定機器、自動車用パネル、ワープロ、電子手帳、プリンター、コンピューター、テレビ等に用いられるようになっている。液晶表示方式としては、その代表的なものにTN(捩れネマチック)型、STN(超捩れネマチック)型、DS(動的光散乱)型、GH(ゲスト・ホスト)型あるいはFLC(強誘電性液晶)等があり、また駆動方式としても従来のスタティック駆動からマルチプレックス駆動が一般的になり、さらに単純マトリックス方式、最近ではアクティブマトリックス方式が実用化されている。 これらの表示方式や駆動方式に応じて、液晶材料としても種々の特性が要求されているが、高速応答性は中でも非常に重要な特性である。応答の高速化のためには直接的には(i)粘性を小さくするか、あるいは(ii)弾性定数を大きくすることが必要であるが、弾性定数を大きくすると閾値電圧が上昇することが多いので粘性を小さくすることが効果的である。
【0003】
液晶材料の粘性を小さくするためには、液晶組成物中に粘性の小さい液晶性化合物(いわゆる減粘剤)を適量添加することが一般的である。減粘剤としては通常、2環性のn型液晶性化合物が用いられることが多いが、液晶組成物に添加した場合にそのネマチック相上限温度(TN-I)をあまり低下させないならば、化合物単独では必ずしもネマチック液晶性を示す必要はない。
【0004】
応答の高速化には液晶材料の屈折率異方性も重要な物性である。液晶素子応答を高速化するためには、素子のセル厚を薄くすることが最も効果的であるが、干渉縞の発生によるセルの色むらを防止するためには、セル厚(d(μm))と屈折率異方性(Δn)の積(Δn・d)がある一定の値(0.5、1.0、1.6、2.2)をとらなければならない。通常は0.5あるいは1.0に設定されるが、従ってセル厚を薄くするためには液晶材料の屈折率異方性を大きくする必要がある。現在用いられている減粘剤のなかで、シクロヘキサン系の2環性n型液晶化合物ではこの値が小さいため、屈折率異方性が比較的大きい液晶組成物には充分な量を添加することができず、その効果があまり期待できない。
【0005】
こうした目的にかなうような、減粘効果に優れ且つ屈折率異方性の比較的大きい液晶性化合物としては例えば、一般式(II)
【0006】
【化2】
【0007】
(式中、Ra及びRbは直鎖状アルキル基を表わす。)で表わされるビフェニル誘導体が知られており、現在よく用いられている。しかしながら、この一般式(II)の化合物の減粘効果は、表示品質の向上に伴う液晶材料の粘性低下の要求には応え難くなってきているのが実情である。また、一般式(II)の化合物は液晶性があまり高くなく、その添加によるネマチック相上限温度の降下が著しいという問題点を有する。
【0008】
液晶化合物においてその側鎖アルキル基に二重結合を導入してアルケニルとすることにより粘性の低下や、ネマチック相上限温度の上昇といった効果が得られる場合があることが知られている。そこで本発明者らは一般式(II)の化合物において片側の側鎖をアルケニル基に変換した一般式(III)
【0009】
【化3】
【0010】
(式中、Rcは直鎖状アルキル基を表わし、lは2以上の整数を表わし、Rdは水素原子又はアルキル基を表わす。)のビフェニル誘導体を合成し、その減粘剤としての効果を検討した。しかしながら、一般式(III)の化合物は液晶組成物に添加した場合のネマチック相上限温度に関しては若干の効果が見られたものの、予想に反して粘性においては一般式(II)の化合物より劣っていた。
【0011】
従って、減粘効果に優れ且つ屈折率異方性の比較的大きい液晶性化合物であって、且つ液晶組成物に添加した場合のネマチック相上限温度の降下がより少ない減粘剤が要求されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、以上の目的に応じるため、減粘効果に優れた液晶性化合物としてジアルケニルビフェニル誘導体を提供し、さらにこれを用いて低粘性で液晶温度範囲が広い液晶組成物を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、一般式(I)
【0014】
【化4】
【0015】
(式中、R及びR’はそれぞれ独立的に水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表わし、R及び/又はR’がアルキル基の場合、それに隣接する二重結合はトランス(E)又はシス(Z)配置を表わし、m及びnはm≦nであってそれぞれ独立的に2〜8の整数を表わす。)で表わされるジアルケニルビフェニル誘導体を提供する。
【0016】
式中、R及びR’は好ましくは水素原子又は炭素原子数1〜3の直鎖状アルキル基を表わし、さらに好ましくは水素を表わす。m及びnは好ましくは2〜4の整数を表わす。さらに側鎖があまり長くなると減粘効果が低下するのでm+nは6以下であることがさらに好ましく、特にmは2が好ましい。又、m=n=2が好ましい。
【0017】
従って、一般式(I)で表わされる化合物のうち好ましいのは以下の式(Ia)〜(If)
【0018】
【化5】
の各化合物であり、この中でも式(Ia)が特に好ましい。
一般式(I)の化合物は一般的には以下のように、一般式(IVa)
【0019】
【化6】
【0020】
(式中、R及びmは一般式(I)におけると同じ意味を表わし、XはMgCl、MgBr、MgI、Li、B(OH)2、TiR1R2、SiR3R4R5、SnR6R7R8を表わす。ここでR1〜R8は低級アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表わす。)で表わされる有機金属化合物と、一般式(Vb)
【0021】
【化7】
【0022】
(式中、R’及びnは一般式(I)におけると同じ意味を表わし、Yは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、p−トルエンスルホニル基、メタンスルホニル基あるいはトリフルオロメタンスルホニル基等の脱離基を表わす。)で表わされる化合物とを遷移金属触媒の存在下に反応させることにより製造することができる。ここで遷移金属触媒としてはパラジウム(0)系、パラジウム(II)系及びニッケル(II)系等が一般的に用いられる。もちろん一般式(IVa)と一般式(Vb)を用いる代わりに、一般式(Va)
【0023】
【化8】
【0024】
(式中、R’、n及びXは前述の意味を表わす。)で表わされる有機金属化合物と、一般式(IVb)
【0025】
【化9】
【0026】
(式中、R、m及びYは前述の意味を表わす。)で表わされる化合物とを同様に反応させても良い。
あるいは、特にR=R’であり、且つm=nである場合には、一般式(IVc)
【0027】
【化10】
【0028】
(式中、R及びmは前述の意味を表わし、Zは臭素原子又はヨウ素原子を表わす。)で表わされるハロゲン化ベンゼン誘導体を銅粉存在下に加熱することにより製造することもできる。
【0029】
また、このR=R’であり且つm=nである場合に限り、式(VIa)
【0030】
【化11】
【0031】
の4,4’−ジホルミルビフェニルに式(VIIa)
【0032】
【化12】
【0033】
のウィッティヒ反応剤を反応させ、次いで酸で加水分解する工程をm回繰り返し、一般式(VIb)
【0034】
【化13】
【0035】
(式中、mは前述の意味を表わす。)で表わされるビフェニル−4,4’−ジアルカナールを得て、これに一般式(VIIb)
【0036】
【化14】
【0037】
(式中、Rは前述の意味を表わす。)で表わされるウィッティヒ反応剤を反応させることによる製造方法も考えることができる。しかしながら、この方法では中間体の溶媒に対する溶解度が極端に低いこと、加水分解の進行が遅く副反応が優先して起こり目的物の反応収率が非常に低いなどの問題点があり、実際にこの方法で製造することは不可能に近い。
【0038】
斯くして製造された本発明の化合物を液晶組成物中に添加することにより得られる優れた効果は以下の通りである。
本発明の一般式(I)で表わされる化合物の中で代表的な化合物の一つである式(Ia)
【0039】
【化15】
【0040】
の化合物30重量%及びホスト液晶組成物(H)
【0041】
【化16】
【0042】
70重量%からなる液晶組成物(M−a)を調製した。ここでホスト液晶(H)の物性値は以下の通りである。
ネマチック相上限温度(TN-I): 116.7℃
粘度(20℃): 19.8cp
応答時間(τr=τd): 21.5m秒
屈折率異方性(Δn): 0.090
ここで、粘度は20℃における測定値、応答時間は厚さ4.5μmのTNセルに封入した場合に、立ち上がり時間(τr)と立ち下がり時間(τd)が等しくなる電圧印加時の測定値である。
【0043】
このとき、(M−a)の物性値は以下の通りとなった。
TN-I: 76.4℃
粘度(20℃): 13.1cp
応答時間(τr=τd): 12.0m秒
屈折率異方性(Δn): 0.113
これに対して、一般式(II)で表わされる化合物のうち、代表的な化合物の一つである一般式(IIa)
【0044】
【化17】
【0045】
30重量%及びホスト液晶(H)70重量%からなる液晶組成物(MR−1)の物性値は以下の通りであった。
TN-I: 70.2℃
粘度(20℃): 14.3cp
応答時間(τr=τd): 13.3m秒
屈折率異方性(Δn): 0.107
以上から明らかなように、一般式(Ia)、一般式(IIa)の化合物は共にホスト液晶(H)に添加することによりその粘性及び応答性を大幅に改善させているけれども、一般式(Ia)の方がより改善効果が著しいことがわかる。さらに(M−1)のTN-Iは(MR−1)よりも約6゜も高く、本発明の一般式(Ia)の化合物は、比較化合物である一般式(IIa)と比較するとネマチック相上限温度をあまり低下させないことが理解できる。また、屈折率異方性も(M−1)がやや大きい。
【0046】
また、片方の側鎖がアルケニル基である一般式(III)で表わされる化合物のうち、代表的な化合物の一つである一般式(IIIa)
【0047】
【化18】
【0048】
30重量%及びホスト液晶(H)70重量%からなる液晶組成物(MR−2)を調整した。その物性値は以下の通りであった。
TN-I: 71.2℃
粘度(20℃): 18.9cp
応答時間(τr=τd): 15.0m秒
屈折率異方性(Δn): 0.108
以上からTN-Iは(MR−1)よりわずかに高いけれども、本発明の一般式(Ia)の化合物を含有する(M−1)と比較するとかなり低く、応答時間や粘性では(MR−2)にもはるかに劣っていることがわかる。従って、本発明の一般式(I)の化合物は従来から知られているビフェニル系の減粘性液晶性化合物と比較して、その両側鎖にアルケニル基を導入することにより、予想もできなかったような優れた効果を示すことが明らかとなった。
【0049】
従って、一般式(I)の化合物は、他のネマチック液晶化合物との混合物の状態で、TN型あるいはSTN型等の電界効果型表示セル用として、特に低粘性高速応答性の材料として好適に使用することができる。また一般式(I)の化合物は分子内に強い極性基を持たないので、大きい比抵抗と高い電圧保持率を得ることが容易であり、アクティブマトリックス駆動用液晶材料の構成成分として使用することも可能である。本発明はこのように一般式(I)で表わされる化合物の少なくとも1種類をその構成成分として含有する液晶組成物をも提供するものであり、特に、一般式(I)においてm及びnがそれぞれ独立的に2〜4の整数である化合物を含有する液晶組成物、あるいは一般式(I)においてm=n=2である化合物を含有する液晶組成物が好ましい。
【0050】
この組成物中において、一般式(I)の化合物と混合して使用することのできるネマチック液晶化合物の好ましい代表例としては、例えば、4−置換安息香酸4−置換フェニル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4−置換フェニル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4’−置換ビフェニリル、4−(4−置換シクロヘキサンカルボニルオキシ)安息香酸4−置換フェニル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4−置換フェニル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4−置換シクロヘキシル、4,4’−置換ビフェニル、1−(4−置換シクロヘキシル)−4−置換ベンゼン、4,4’−置換ビシクロヘキサン、1−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4−置換ベンゼン、1−(4−置換シクロヘキシル)−2−(4−置換シクロヘキシル)エタン、4,4”−置換ターフェニル、4−(4−置換シクロヘキシル)−4’−置換ビフェニル、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4’−置換ビフェニル、4−(4−置換フェニル)−4’−置換ビシクロヘキサン、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4’−置換ビフェニル、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]シクロヘキシル−4’−置換ベンゼン、4−[2−(4−置換フェニル)エチル]−4’−置換ビシクロヘキサン、1−(4−置換フェニルエチニル)−4−置換ベンゼン、1−(4−置換フェニルエチニル)−4−(4−置換シクロヘキシル)ベンゼン、2−(4−置換フェニル)−5−置換ピリミジン、2−(4’−置換ビフェニリル)−5−置換ピリミジン及び上記各化合物においてベンゼン環が側方置換基を有する化合物等を挙げることができる。
【0051】
このうちアクティブマトリックス駆動用としては4,4’−置換ビフェニル、1−(4−置換シクロヘキシル)−4−置換ベンゼン、4,4’−置換ビシクロヘキサン、1−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4−置換ベンゼン、1−(4−置換シクロヘキシル)−2−(4−置換シクロヘキシル)エタン、4,4”−置換ターフェニル、4−(4−置換シクロヘキシル)−4’−置換ビフェニル、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4’−置換ビフェニル、4−(4−置換フェニル)−4’−置換ビシクロヘキサン、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4’−置換ビフェニル、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]シクロヘキシル−4’−置換ベンゼン、4−[2−(4−置換フェニル)エチル]−4’−置換ビシクロヘキサン、1−(4−置換フェニルエチニル)−4−置換ベンゼン、1−(4−置換フェニルエチニル)−4−(4−置換シクロヘキシル)ベンゼン及び上記においてベンゼン環がフッ素置換されている化合物が適している。
【0052】
本発明の一般式(I)の化合物は新規であり、本発明者等がはじめて報告するものであるが、液晶分子の両側鎖がともにアルケニル基である化合物は知られていなかったわけでなく、特開昭61−83136号公報において式(Ra)あるいは式(Rb)
【0053】
【化19】
【0054】
等の化合物が既に報告されている。この特開昭61−83136号公報に記載されている一般式の範囲は非常に広く、極めて広義に解釈するならば、本発明の化合物もこの一般式に包含されると考えられなくもない。しかしながら、以下に述べるように本発明は特開昭61−83136号公報とは独立して新規であると考えられるべきでる。
【0055】
まず、特開昭61−83136号公報には側鎖の一方がアルケニル(あるいはアルケニルオキシ)基である化合物と両方がアルケニル(あるいはアルケニルオキシ)基である化合物とが含まれるが、一方がアルケニル(あるいはアルケニルオキシ)基である化合物と比較して、両方の側鎖をアルケニル(あるいはアルケニルオキシ)基とすることによる効果については全くふれられていない。また、特開昭61−83136号公報に記載されている一般式は、その選択により中心骨格だけでも1000種類をはるかに越える組み合わせが可能であって、実際に合成されているものはそのうちのわずかにすぎない。本文中には好ましい液晶中心骨格(コア)としてその例が18例挙げられているが、この中には本発明の化合物のようにビフェニル骨格は含まれていない。実際、両側鎖がアルケニル基(アルケニルオキシ基ではなく)である化合物の例はほとんどがエステル化合物であり、本発明の一般式(I)の化合物のようなビフェニル誘導体の例はない。さらに、特開昭61−83136号公報に記載されている合成方法を用いて本発明の一般式(I)の化合物を製造しようとすると、4’−アルケニル−4−シアノビフェニルにアルケニルグリニヤール反応剤を反応させ、加水分解して得られたケトンをヒドラジンでWolff-Kishner還元する方法に限られる。しかしながら、この方法では還元時に2重結合の移動が生じる危険性が強く、例えば3−アルケニル基を導入することは非常に困難である。
【0056】
以上のように本発明の化合物は特開昭61−83136号公報に含まれるものでも、あるいはそれにより容易に類推できるものでもないことは明らかであり、新規であると考えられるべきであることがわかる。
【0057】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示し、本発明を更に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0058】
化合物の構造は、核磁気共鳴スペクトル(NMR)、質量スペクトル(MS)及び赤外吸収スペクトル(IR)により確認した。また転移温度の測定はホットステージを備えた偏光顕微鏡で行った。組成物の「%」は「重量%」を表わす。
(実施例1) 4,4’−ビス(3−ブテニル)ビフェニルの合成。
【0059】
【化20】
【0060】
マグネシウム2.1gを乾燥させたテトラヒドロフラン(THF)5mL中に懸濁させた。これに4−ブロモ−1−(3−ブテニル)ベンゼン18.0gのTHF72mL溶液を溶媒が穏やかに還流する速度で滴下した。滴下終了後、攪拌しながら室温まで放冷し不溶物を濾別してグリニヤール反応剤を調製した。4−ブロモ−1−(3−ブテニル)ベンゼン16.4gのTHF50mL溶液にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)900mgを加えた。これに上記のグリニヤール反応剤溶液を30℃以下で2時間かけて滴下し、さらに室温で5時間攪拌した。稀塩酸を加え、ヘキサンで抽出し、水次いで飽和食塩水で洗滌し、無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥させた。溶媒を溜去して得られた粗生成物21.3gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製しさらにエタノールから低温で再結晶させて、表記化合物13.8gを得た。
【0061】
相転移温度: 20℃以下(Cr→S)、 71℃(S→I)、
MS: m/e=262(P+)
1HNMR:δ=2.1〜2.7(m,8H)、4.9〜5.1(m,2H)、7.1(d,4H,J=8.2Hz)
(実施例2) 液晶組成物の調製
特にアクティブマトリックス駆動用として好適なホスト液晶(H)
【0062】
【化21】
【0063】
を調製した。この(H)の物性値は以下の通りである。
ネマチック相上限温度(TN-I): 116.7℃
粘度(20℃): 19.8cp
応答時間(τr=τd): 21.5m秒
屈折率異方性(Δn): 0.090
ここで、粘度は20℃における測定値、応答時間は厚さ4.5μmのTNセルに封入した場合に、立ち上がり時間(τr)と立ち下がり時間(τd)が等しくなる電圧印加時の測定値である。
【0064】
このホスト液晶(H)70%及び実施例1で得た式(Ia)
【0065】
【化22】
【0066】
30%からなる液晶組成物(M−a)を調製した。このとき、(M−a)の物性値は以下の通りであった。
TN-I: 76.4℃
粘度(20℃): 13.1cp
応答時間(τr=τd): 12.0m秒
屈折率異方性(Δn): 0.113
このように、ネマチック相上限温度(TN-I)は降下しているけれども、その粘度は大幅に低下し、応答時間も大幅に改善されていることがわかる。また、屈折率異方性も25%も大きくすることができた。従って、一般式(I)の化合物は低粘性高速応答性液晶組成物の構成成分として非常に有用であることがわかる。(比較例1)
実施例2において、式(Ia)の化合物に換えて、両側鎖が直鎖状アルキル基である本発明外の一般式(II)で表わされる化合物の中で代表的な化合物の一つである式(IIa)
【0067】
【化23】
【0068】
30重量%及びホスト液晶(H)70重量%からなる液晶組成物(MR−1)を調製した。この物性値は以下の通りであった。
TN-I: 70.2℃
粘度(20℃): 14.3cp
応答時間(τr=τd): 13.3m秒
屈折率異方性(Δn): 0.107
このように、式(IIa)の化合物もホスト液晶(H)に添加することによりその粘性及び応答性を大幅に改善させているけれども、本発明の式(Ia)と比較するとその改善効果は少し劣っている。さらに(MR−1)のTN-Iは(M−1)よりも約6゜も低く、式(IIa)の化合物は式(Ia)の化合物よりもネマチック相上限温度の降下の度合いが大きくなってしまっていることがわかる。また、屈折率異方性も(M−1)ほど大きくすることができない。
(比較例2)
実施例2において、式(Ia)の化合物に換えて、片方の側鎖がアルケニル基である本発明外の一般式(III)で表わされる化合物のうち、代表的な化合物の一つである式(IIIa)
【0069】
【化24】
【0070】
30%及びホスト液晶(H)70%からなる液晶組成物(MR−2)を調製した。この物性値は以下の通りであった。
TN-I: 71.2℃
粘度(20℃): 18.9cp
応答時間(τr=τd): 15.0m秒
屈折率異方性(Δn): 0.108
以上から(MR−2)のTN-Iは(MR−1)よりわずかに高いけれども、本発明に係わる(M−1)と比較するとかなり低く、応答時間や粘性の改善効果においては(MR−2)のほうがはるかに劣っていることがわかる。
【0071】
従って、本発明の一般式(I)の化合物は従来から知られているビフェニル系の減粘性液晶性化合物と比較して、その両側鎖にアルケニル基を導入することにより、予想もできなかったような優れた効果を示すことが明らかとなった。
【0072】
【発明の効果】
本発明により提供される、ジアルケニルビフェニル誘導体は、実施例にも示したように市販の入手容易な化合物から工業的にも容易に製造することができる。得られたジアルケニルビフェニル誘導体を含有する液晶組成物は、従来用いられている同様あるいは類似骨格を有する減粘性液晶性化合物と比較して、その減粘効果及び応答性の改善効果に優れるため、実用的液晶として特に高速応答を必要とする液晶表示用として極めて有用である。
Claims (5)
- 一般式(I)において、R及びR’が共に水素原子である請求項1記載の液晶組成物。
- 一般式(I)において、m及びnがそれぞれ独立的に2〜4の整数である請求項1又は2記載の液晶組成物。
- 一般式(I)において、m=2であり、nが2〜4の整数である請求項1又は2記載の液晶組成物。
- 一般式(I)において、m=n=2である請求項1又は2記載の液晶組成物。
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