JP4239242B2 - フェニルナフタレン誘導体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は新規液晶性化合物である、フェニルナフタレン誘導体とそれを含有する液晶組成物に関する。これらは電気光学的液晶表示用、特に温度範囲が広く、低電圧駆動が可能なネマチック液晶材料として有用である。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子は、時計、電卓をはじめとして、各種測定機器、自動車用パネル、ワードプロセッサー、電子手帳、プリンター、コンピューター、テレビ等に用いられるようになっている。液晶表示方式としては、その代表的なものにTN(捩れネマチック)型、STN(超捩れネマチック)型、DS(動的光散乱)型、GH(ゲスト・ホスト)型あるいはFLC(強誘電性液晶)等があり、また駆動方式としても従来のスタティック駆動からマルチプレックス駆動が一般的になり、さらに単純マトリックス方式、最近ではアクティブマトリックス方式が実用化されている。
【0003】
これらの表示方式や駆動方式に応じて、液晶材料としても種々の特性が要求されている。中でも温度範囲が広いことはほとんどの場合に共通して非常に重要であるが、これにはネマチック相上限温度(TN-I)が充分高いことと、融点(TC-N)あるいはスメクチック−ネマチック転移温度(TS-N)が充分低いことを含んでいる。
【0004】
また、駆動電圧が充分低いことも多くの場合に共通して重要な特性であり、そのためには閾値電圧(Vth)が低い必要がある。
一方、上述のアクティブマトリックス駆動においては液晶材料の電圧保持率が非常に高くなければならないという制約がある。一般に閾値電圧は誘電率異方性(Δε)の平方根に逆比例するため、閾値電圧を低減するためには極性の基を液晶分子の長軸方向に導入してその誘電率異方性を増大させる必要がある。しかしながら、アクティブマトリックス駆動用の液晶材料においては、上記の制約のために、極性基としてシアノ基やエステル結合等通常閾値電圧の低下に大きい効果のある基を用いることができず、フッ素原子やトリフルオロメトキシ基等の限られたフッ素系の基が用いられているにすぎない。ただし、誘電率異方性増大に対するフッ素原子導入の効果は例えば前述のシアノ基と比較するとかなり小さい。従って、液晶分子の誘電率異方性を充分増大させ、閾値電圧を低減させるためには、分子中に2個以上のフッ素原子を同方向に導入する必要がある。こうした理由から、アクティブマトリックス駆動用の液晶材料として現在汎用されているのは3,4-ジフルオロフェニル基(A)及び3,4,5-トリフルオロフェニル基(B)
【0005】
【化2】
【0006】
を分子中に有する液晶化合物が主である。
ところでこれらのフッ素系液晶化合物にも大きな問題点が存在する。その第一は液晶性が低いことであり、そのためにこうしたフッ素系化合物は通常3環性の化合物が使用されるが、それでもそのネマチック相上限温度は充分高いと言えるものではない。第二の問題点は相溶性が悪くその混合によってネマチック相を低温域まで拡大させることが容易でないことである。液晶材料においては通常、液晶化合物を多数混合(ブレンド)することによりその融点を降下させ、低温域まで安定にネマチック相を存在させることを可能としている。しかしながら、こうしたフッ素系の液晶ではその混合による融点の降下は比較的小さく、従って組成物の融点を充分に低下させるためには異種骨格からなる非常に多数の液晶化合物を混合させる必要があるのが実情である。そのために、組成物の調製には非常な手間がかかり、高コスト化が避けられなかった。
【0007】
こうしたことから、アクティブマトリックス駆動用として使用可能なフッ素系液晶化合物として、より液晶性に優れ、かつ相溶性に優れて混合により低温域温度範囲の拡大がより容易であるような液晶化合物が求められている。
【0008】
一般に液晶化合物は構造的に中心骨格(コア)部分と側方基(側鎖及び極性基)から形成されており、そのコア部分を構成する環構造としては、1,4-フェニレン基(フッ素置換されていてもよい)やトランス-1,4-シクロヘキシレン基をはじめとして、ピリジン-2,5-ジイル基やピリミジン-2,5-ジイル基等の複素芳香環、ジオキサン-トランス-1,4-ジイル基やピペリジン-1,4-ジイル基等の飽和複素環等、既に多くのものが知られている。しかしながら、アクティブマトリックス駆動用としては、前述の制約から1,4-フェニレン基(フッ素置換されていてもよい)とトランス-1,4-シクロヘキシレン基にほぼ限定されているのが実情である。
【0009】
ところで、この1,4-フェニレン基を2,6-ナフチレン基に変換することにより液晶性の向上及び屈折率異方性(Δn)の増大といった効果が得られることは知られている。しかも、2,6-ナフチレン基には酸素原子や窒素原子といったヘテロ原子が含まれないため、この変換により電圧保持率が低下することもない。従って、2,6-ナフチレン基を有するフッ素系液晶化合物は温度範囲の広いアクティブマトリックス駆動用液晶材料として使用可能と考えられるわけであるが、そのような液晶化合物はほとんど知られていないのが実情である。
【0010】
特表平4−504571号公報には(3,4-ジフルオロフェニル)ナフタレン骨格を有する化合物(R−1)
【0011】
【化3】
【0012】
が記載されている。しかしながら、この化合物はネマチック相上限温度が42℃(モノトロピック)と低い。さらに側鎖がアルコキシル基であるため、充分に高い電圧保持率を得ることができず、アクティブマトリックス駆動には適さない。また、その屈折率異方性も通常のアクティブマトリックス用としては大きすぎる問題点がある。
【0013】
また、英国公開特許2271771号公報には(3,4,5-トリフルオロフェニル)ナフタレン骨格を有する化合物(R−2)
【0014】
【化4】
【0015】
が示されている。しかしながら、この公報には(R−2)の転移温度等に対する記載は一切なく、本発明者らが実際に別途合成し検討したところでは、(R−2)は融点50℃であり単独では液晶性を示さないことが判明した。また、(R−1)と同様にその屈折率異方性が通常のアクティブマトリックス駆動用としては大きすぎる問題点もある。
【0016】
更に、特表平4−501575号に記載された発明における一般式は、広義に解釈するならば本発明の一般式(I)で表されるフェニルナフタレン誘導体の一部を包含しうるものである。しかしながら、当該明細書には、本発明の一般式(I)のフェニルナフタレン誘導体に相当する化合物を実際に合成した例はなく、また、これを用いた液晶組成物についても一切例示されていない。更には、当該明細書には数種の合成例が示されているが、これらの例から本発明に関わる一般式(I)の化合物を合成することはできず、また、これらの例によって本発明に関わる一般式(I)の化合物の合成が示唆されるものでもない。
【0017】
従って、フッ素系のフェニルナフタレン骨格を有する液晶化合物であって、ネマチック相上限温度がより高く、屈折率異方性がより小さく、アクティブマトリックス駆動用としてより優れた液晶化合物が求められている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、以上の目的に応じるため、ネマチック相上限温度が高く、適当な大きさの屈折率異方性を有するフッ素系のフェニルナフタレン誘導体である液晶性化合物を提供し、さらにこれを用いて、広いネマチック相温度範囲と低電圧駆動性を有し、かつアクティブマトリックス駆動用としても使用可能な液晶組成物、更にはこの液晶組成物を構成要素とする液晶素子をも提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、
1.一般式(I)
【0020】
【化5】
【0021】
(式中、Rは炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基又はアルコキシルアルキル基を表し、Lは−CH2CH2−又は単結合を表し、Xは水素原子又はフッ素原子を表す。また、シクロヘキシレン基の1,4-位はトランス配置である。)で表されるフェニルナフタレン誘導体。
2.一般式(I)においてLが単結合を表すところの上記1記載のフェニルナフタレン誘導体。
3.一般式(I)においてLが−CH2CH2−を表すところの上記1記載のフェニルナフタレン誘導体。
4.一般式(I)においてXがフッ素原子を表すところの上記1、2又は3記載のフェニルナフタレン誘導体。
5.一般式(I)においてRが炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基を表すところの上記1、2、3又は4記載のフェニルナフタレン誘導体。
6.上記1、2、3、4又は5記載の一般式(I)で表される化合物を含有する液晶組成物。
7.上記6記載の液晶組成物を構成要素とする液晶素子。
を前記課題を解決するための手段として見出した。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の一例について説明する。
本発明は、上記課題を解決するために、一般式(I)
【0023】
【化6】
【0024】
で表されるフェニルナフタレン誘導体を提供する。
式中、Rは炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基又はアルコキシルアルキル基を表すが、直鎖状アルキル基が好ましく、炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基が特に好ましい。Lは−CH2CH2−又は単結合を表す。Xは水素原子又はフッ素原子を表すが、誘電率異方性(Δε)を増大させ閾値電圧(Vth)の低減効果を高めるためにはフッ素原子であることが好ましく、液晶性を向上させネマチック相の上限温度を上昇させるためには水素原子であることが好ましい。また、シクロヘキシレン基の1,4-位はトランス配置である。
【0025】
一般式(I)においては、そのR、L及びXの選択によって数種の化合物群を包含するけれども、それらの中では一般式(Ia)〜(If)
【0026】
【化7】
【0027】
(式中、Raは炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基を表し、Rbは炭素原子数2又は4の末端二重結合を有するアルケニル基を表す。)で表される化合物が好ましいものであり、(Ia)、(Ib)、(Ie)及び(If)が特に好ましい。
【0028】
一般式(I)の化合物は以下の工程に基づいて製造することができる
(i) (Ia)及び(Ib)で表される化合物
6−ブロモ−2−メトキシナフタレン(IIa)
【0029】
【化8】
【0030】
をマグネシウムと反応させてグリニヤール反応剤を調製し、これを4-アルキルシクロヘキサノン(IIIa)
【0031】
【化9】
【0032】
(式中、Raは一般式(Ia)におけるとおなじ意味を表す。)と反応させ、次いで酸で脱水させることにより、シクロヘキセン誘導体(IVa)
【0033】
【化10】
【0034】
(式中、Raは一般式(Ia)におけるとおなじ意味を表す。)を得る。これを接触還元した後、必要に応じてシス/トランスの異性化を行い、トランス体を分離して一般式(Va)
【0035】
【化11】
【0036】
で表される6-(トランス-4-アルキル)シクロヘキシル-2-メトキシナフタレンを得ることができる。これを臭化水素酸等により脱メチル化し、得られたナフトール誘導体(Vb)
【0037】
【化12】
【0038】
(式中、Raは一般式(Ia)におけるとおなじ意味を表す。)のヒドロキシル基をトリフルオロメタンスルホン酸無水物等によりトリフラートとし、これを一般式(VIa)
【0039】
【化13】
【0040】
(式中、Xは一般式(I)におけるとおなじ意味を表し、Yは塩素、臭素、ヨウ素のハロゲン原子好ましくは臭素原子を表す。)で表されるグリニヤール反応剤もしくは一般式(VIb)
【0041】
【化14】
【0042】
(式中、Xは一般式(I)におけるとおなじ意味を表す。)で表されるフェニルほう酸誘導体(この化合物は(VIa)をホウ酸トリアルキルと反応させ、次いで酸で加水分解することにより得ることができる。)と遷移金属触媒存在下に反応させることにより一般式(Ia)あるいは(Ib)で表される化合物を得ることができる。ここで遷移金属触媒としてはパラジウム(0)錯体及びパラジウム(II)錯体が特に好ましい。
(ii) (Ic)及び(Id)で表される化合物
6−ブロモ−2−メトキシナフタレン(IIa)から調製したグリニヤール反応剤をシクロヘキサン-1,4-ジオンモノエチレンアセタール(IIIb)
【0043】
【化15】
【0044】
と反応させ、(i)と同様にして酸で脱水後、必要に応じ再アセタール化した後に同様に接触還元し、次いで脱アセタール化することによりナフチルシクロヘキサノン誘導体(Vc)
【0045】
【化16】
【0046】
を得る。これにウィッティヒ反応剤(VIIa)
【0047】
【化17】
【0048】
を反応させ、次いで酸で処理した後、塩基で異性化して、(Vd)
【0049】
【化18】
【0050】
のシクロヘキサンカルバルデヒドを得る。これをさらにウィッティヒ反応剤(VIIb)
【0051】
【化19】
【0052】
と反応させるか、あるいは(VIIa)とさらに2回繰り返し反応させた後に、(VIIb)と反応させることにより、一般式(Ve)
【0053】
【化20】
【0054】
(式中、Rbは一般式(Ic)におけるとおなじ意味を表す。)で表されるシクロヘキシルナフタレン誘導体を得る。これから(i)と同様にして一般式(Ic)あるいは(Id)で表される化合物を得ることができる。
(iii) (Ie)及び(If)で表される化合物
4-アルキルシクロヘキサノン(IIIa)にウィッティヒ反応剤(VIIa)を反応させ、加水分解後、シクロヘキサン環をトランスに異性化し、得られたシクロヘキサンカルバルデヒド誘導体をさらに(VIIa)と再度同様に反応させることにより一般式(IIIc)
【0055】
【化21】
【0056】
(式中、Raは一般式(Ia)におけるとおなじ意味を表す。)で表されるシクロヘキサンエタナール誘導体を得る。これから(i)と同様にして一般式(Ie)あるいは(If)で表される化合物を得ることができる。
【0057】
あるいは(Ie)及び(If)は対応するエチニルナフタレン誘導体(VIII)
【0058】
【化22】
【0059】
(式中、Raは一般式(Ia)、Xは一般式(I)におけるとおなじ意味を表す。)の接触還元により得ることもできる。ここで、(VIII)は一般式(IX)
【0060】
【化23】
【0061】
(式中、Raは一般式(Ia)におけるとおなじ意味を表す。)で表されるエチニルシクロヘキサン誘導体と一般式(X)
【0062】
【化24】
【0063】
(式中、Xは一般式(I)におけるとおなじ意味を表す。)で表されるトリフラート(この化合物は(IIa)に遷移金属触媒存在下にジあるいはトリフルオロフェニルグリニヤール反応剤を反応させ、次いで脱メチル化した後、無水トリフルオロメタンスルホン酸でエステル化することにより得ることができる。)とをパラジウム系触媒及びヨウ化銅(I)存在下に反応させることにより得ることができる。
【0064】
斯くして製造される本発明の一般式(I)で表される代表的な化合物の具体例をその相転移温度とともに第1表にまとめて示す。
【0065】
【表1】
【0066】
(表中、Crは結晶相を、Nはネマチック相を、Iは等方性液体相をそれぞれ示す。)
一般式(I)の化合物を液晶組成物中に添加することにより得られる優れた効果は以下の通りである。
【0067】
第1表中に示された(I−3)
【0068】
【化25】
【0069】
の化合物20重量%及び温度範囲が広く低粘性でアクティブマトリックス駆動にも使用可能なホスト液晶組成物(H)
【0070】
【化26】
【0071】
80重量%からなる液晶組成物(H−3)を調製した。ここで、ホスト液晶(H)の物性値ならびにそれを用いて作製した液晶素子の電気光学的特性値は以下の通りである。
【0072】
TN-I: 116.7℃
TC-N: +11℃
閾値電圧(Vth): 2.14V
誘電率異方性(Δε): 4.8
屈折率異方性(Δn): 0.090
ここで、閾値電圧(Vth)は厚さ6μmのTNセルに封入して20℃で測定した値である。
【0073】
これに対して(H−3)の物性値ならびにそれを用いて作製した液晶素子の電気光学的特性値は以下の通りとなった。
TN-I: 120.0℃
TC-N: −2℃
閾値電圧(Vth): 2.06V
誘電率異方性(Δε): 5.5
屈折率異方性(Δn): 0.110
従って、(I−3)を添加することにより、ネマチック相上限温度(TN-I)を3°以上上昇させることができた。また、この(H−3)を−60℃に冷却して結晶化させ、その融点(TC-N)を測定したところ、−2℃であり、ホスト液晶(H)と比較して13°も降下していた。従って、ネマチック相の安定な温度範囲は約16°も拡大できたことになる。また、(I−3)の添加により誘電率異方性を増大させ、閾値電圧を低減させていることがわかる。さらに、屈折率異方性の増加はホスト液晶(H)に対し0.02に押さえることができた。
【0074】
次に、この素子の室温及び80℃における電圧保持率を測定したがいずれも極めて良好でアクティブマトリックス駆動用としても充分使用可能であることがわかった。
【0075】
これに対して前述のフェニルナフタレン誘導体(R−2)
【0076】
【化27】
【0077】
20重量%及びホスト液晶(H)80重量%からなる比較組成物(HR−2)を調製したところ、ネマチック相上限温度(TN-I)は85℃と大きく降下した。また、その融点(TC-N)は2℃であり、(H−3)より高くなった。従って、ネマチック相温度範囲は大幅に狭くなった。
【0078】
次に、(I−3)と類似の構造を有するが、(I−3)における2,6-ナフチレン基が1,4-フェニレン基に置き換わった構造の化合物である(R−3)
【0079】
【化28】
【0080】
20重量%及びホスト液晶(H)80重量%からなる比較組成物(HR−3)を調製した。この組成物のネマチック相上限温度(TN-I)は101℃と(H−3)と比較するとやはりかなり低くなった。また、その融点(TC-N)は5℃であり、(H−3)より高くなった。従って、ネマチック相温度範囲は(H−3)と比較して25°以上も狭くなってしまった。
【0081】
以上のように、広い温度範囲と、低い閾値電圧と、適当な屈折率異方性を兼ね備えた液晶組成物を得る上において(I−3)は従来の化合物より優れた効果を有していることがわかる。
【0082】
従って、本発明の一般式(I)で表される化合物は、他のネマチック液晶化合物との混合物の状態で、TN型あるいはSTN型等の電界効果型表示セル用として、特に温度範囲が広く低電圧駆動が可能な液晶材料として好適に使用することができる。また、一般式(I)の化合物は分子内に強い極性基を持たないので、大きい比抵抗と高い電圧保持率を得ることが容易であり、アクティブマトリックス駆動用液晶材料の構成成分として使用することも可能である。本発明はこのように一般式(I)で表される化合物の少なくとも1種類をその構成成分として含有する液晶組成物をも提供する。また、この組成物を構成要素とする液晶素子も提供する。
【0083】
この組成物中において、本発明の一般式(I)の化合物と混合して使用することのできるネマチック液晶化合物の好ましい代表例としては、例えば、4−置換安息香酸4−置換フェニル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4−置換フェニル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4’−置換ビフェニリル、4−(4−置換シクロヘキサンカルボニルオキシ)安息香酸4−置換フェニル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4−置換フェニル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4−置換シクロヘキシル、4,4’−置換ビフェニル、1−(4−置換シクロヘキシル)−4−置換ベンゼン、4,4’−置換ビシクロヘキサン、1−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4−置換ベンゼン、1−(4−置換シクロヘキシル)−2−(4−置換シクロヘキシル)エタン、4,4”−置換ターフェニル、4−(4−置換シクロヘキシル)−4’−置換ビフェニル、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4’−置換ビフェニル、4−(4−置換フェニル)−4’−置換ビシクロヘキサン、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4’−置換ビフェニル、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]シクロヘキシル−4’−置換ベンゼン、4−[2−(4−置換フェニル)エチル]−4’−置換ビシクロヘキサン、1−(4−置換フェニルエチニル)−4−置換ベンゼン、1−(4−置換フェニルエチニル)−4−(4−置換シクロヘキシル)ベンゼン、2−(4−置換フェニル)−5−置換ピリミジン、2−(4’−置換ビフェニリル)−5−置換ピリミジン及び上記各化合物においてベンゼン環が側方置換基を有する化合物等を挙げることができる。
【0084】
このうちアクティブマトリックス駆動用としては4,4’−置換ビフェニル、1−(4−置換シクロヘキシル)−4−置換ベンゼン、4,4’−置換ビシクロヘキサン、1−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4−置換ベンゼン、1−(4−置換シクロヘキシル)−2−(4−置換シクロヘキシル)エタン、4,4”−置換ターフェニル、4−(4−置換シクロヘキシル)−4’−置換ビフェニル、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4’−置換ビフェニル、4−(4−置換フェニル)−4’−置換ビシクロヘキサン、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4’−置換ビフェニル、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]シクロヘキシル−4’−置換ベンゼン、4−[2−(4−置換フェニル)エチル]−4’−置換ビシクロヘキサン、1−(4−置換フェニルエチニル)−4−置換ベンゼン、1−(4−置換フェニルエチニル)−4−(4−置換シクロヘキシル)ベンゼン及び上記においてベンゼン環がフッ素置換されている化合物が適している。
【0085】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示し、本発明を更に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0086】
化合物の構造は、核磁気共鳴スペクトル(NMR)、質量スペクトル(MS)及び赤外吸収スペクトル(IR)により確認した。組成物の%は重量%を表す。
(実施例1) 2-(3,4-ジフルオロ)フェニル-6-(トランス-4-プロピル)シクロヘキシルナフタレン(第1表中のNo.(I−1)の化合物)の合成
【0087】
【化29】
【0088】
(1−a) 2-(4-プロピルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)-6-メトキシナフタレンの合成
マグネシウム5.7gをテトラヒドロフラン12mlに懸濁し、6-ブロモ-2-メトキシナフタレン50gのテトラヒドロフラン200ml溶液をテトラヒドロフランが穏やかに還流する速さで滴下した。さらに1時間撹拌後、4-プロピルシクロヘキサノン30gのテトラヒドロフラン120ml溶液を室温で滴下した。さらに1時間撹拌後、10%塩酸200mlを加えた。トルエン300mlで抽出し、水、飽和重曹水、飽和食塩水で洗滌し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を溜去し、トルエン280mlとP-トルエンスルホン酸1水和物4.0gを加え、3時間加熱還流させた。室温まで放冷し、水、飽和重曹水、飽和食塩水で洗滌し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を溜去し、エタノールから再結晶し、2-(4-プロピルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)-6-メトキシナフタレン44.8gを得た。
(1−b) 2-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)-6-メトキシナフタレンの合成
上記(1−a)で得た2-(4-プロピルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)-6-メトキシナフタレン44.8gを酢酸エチル800mlに溶解し、5%パラジウムカーボン10gを加え、水素圧4Kg/cm2下で6時間撹拌した。触媒を濾別し、溶媒を溜去し、N,N-ジメチルホルムアミド180mlに溶解した、t−ブトキシカリウム18gを加え、120℃で1時間加熱撹拌した。室温まで放冷し、10%塩酸70mlを加え析出した結晶を濾過し、水で洗滌後、減圧乾燥した。エタノールから再結晶し、2-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)-6-メトキシナフタレン28.0gを得た。
(1−c) 6-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)-2-ナフトールの合成
上記(1−b)で得た2-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)-6-メトキシナフタレン28.0gに酢酸280mlと48%臭化水素酸280mlを加え、12時間加熱還流させた。室温まで放冷し、水500mlを加え、析出した結晶を濾過した。これを水洗し、減圧乾燥し、6-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)-2-ナフトール26.8gを得た。
(1−d) トリフルオロメタンスルホン酸6-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)ナフタレン-2-イルの合成
上記(1−c)で得た6-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)-2-ナフトール25.0gにジクロロメタン100mlとトリフルオロメタンスルホン酸無水物30gを加え、5℃に冷却した。20℃を越えない速さでピリジン11.0gのジクロロメタン40ml溶液を滴下した。滴下後、撹拌しながら室温に戻し、水150mlを加えた。有機層を水、飽和食塩水で洗滌し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を溜去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ジクロロメタン)を用いて精製し、トリフルオロメタンスルホン酸6-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)ナフタレン-2-イル36.7gを得た。
(1−e) 2-(3,4-ジフルオロ)フェニル-6-(トランス-4-プロピル)シクロヘキシルナフタレンの合成
マグネシウム1.0gをテトラヒドロフラン2mlに懸濁し、3,4-ジフルオロ-1-ブロモベンゼン7.0gのテトラヒドロフラン35ml溶液をテトラヒドロフランが穏やかに還流する速さで滴下した。室温で1時間撹拌後、過剰のマグネシウムを濾別し、6-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)ナフタレン-2-イル10.0gとテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.3gのテトラヒドロフラン50ml溶液に室温で滴下した。室温で1時間撹拌後、水100mlを加えた。トルエン200mlで抽出し、水、飽和食塩水で洗滌し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を溜去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)を用いて精製し、さらにエタノールから再結晶させて精製物7.1gを得た。相転移温度は第1表にまとめて示した。
【0089】
同様にして以下の化合物を得た。
2-(3,4-ジフルオロ)フェニル-6-(トランス-4-エチル)シクロヘキシルナフタレン
2-(3,4-ジフルオロ)フェニル-6-(トランス-4-ブチル)シクロヘキシルナフタレン
2-(3,4-ジフルオロ)フェニル-6-(トランス-4-ペンチル)シクロヘキシルナフタレン
2-(3,4,5-トリフルオロ)フェニル-6-(トランス-4-エチル)シクロヘキシルナフタレン
2-(3,4,5-トリフルオロ)フェニル-6-(トランス-4-プロピル)シクロヘキシルナフタレン
2-(3,4,5-トリフルオロ)フェニル-6-(トランス-4-ブチル)シクロヘキシルナフタレン
2-(3,4,5-トリフルオロ)フェニル-6-(トランス-4-ペンチル)シクロヘキシルナフタレン
(実施例2) 2-(3,4,5-トリフルオロ)フェニル-6-[2-(トランス-4-プロピル)シクロヘキシル]エチルナフタレン(第1表中のNo.(I−3)の化合物)の合成
【0090】
【化30】
【0091】
(2−a) トリフルオロメタンスルホン酸6-(3,4,5-トリフルオロフェニル)ナフタレン-2-イルの合成
6-(3,4,5-トリフルオロフェニル)-2-ヒドロキシナフタレン25.0gにジクロロメタン200mlとトリフルオロメタンスルホン酸無水物34.0gに加え、5℃に冷却した。20℃を越えない速さでピリジン12.0gのジクロロメタン48ml溶液を滴下した。滴下後、撹拌しながら室温に戻し、水200mlを加えた。有機層を水、飽和食塩水で洗滌し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を溜去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ジクロロメタン)を用いて精製し、トリフルオロメタンスルホン酸6-(3,4,5-トリフルオロフェニル)ナフタレン-2-イル37.3gを得た。
(2−b) 2-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)エチニル-6-(3,4,5-トリフルオロフェニル)ナフタレンの合成
上記(2−a)で得たトリフルオロメタンスルホン酸6-(3,4,5-トリフルオロフェニル)ナフタレン-2-イル25.0gと1-エチニル-4-プロピルシクロヘキサンをN,N-ジメチルホルムアミド125mlとトリエチルアミン25mlに溶解した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.7gとヨウ化銅(I)0.2gを加え、50℃で3時間撹拌した。室温まで放冷し、水150mlを加え、トルエン200mlで抽出した。水、飽和食塩水で洗滌し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を溜去した。エタノールから再結晶し、2-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)エチニル-6-(3,4,5-トリフルオロフェニル)ナフタレン17.6gを得た。
(2−c) 2-(3,4,5-トリフルオロ)フェニル-6-[2-(トランス-4-プロピル)シクロヘキシル]エチルナフタレンの合成
上記(2−b)で得た2-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)エチニル-6-(3,4,5-トリフルオロフェニル)ナフタレン17.6gをテトラヒドロフラン400mlに溶解し、5%パラジウムカーボン5gを加え、水素圧5Kg/cm2で6時間撹拌した。触媒を濾別し、溶媒を溜去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)を用いて精製し、さらにエタノールから再結晶させて精製物11.5gを得た。相転移温度は第1表にまとめて示した。
【0092】
同様にして以下の化合物を得た。
2-(3,4,5-トリフルオロ)フェニル-6-[2-(トランス-4-エチル)シクロヘキシル]エチルナフタレン
2-(3,4,5-トリフルオロ)フェニル-6-[2-(トランス-4-ブチル)シクロヘキシル]エチルナフタレン
2-(3,4,5-トリフルオロ)フェニル-6-[2-(トランス-4-ペンチル)シクロヘキシル]エチルナフタレン
2-(3,4-ジフルオロ)フェニル-6-[2-(トランス-4-エチル)シクロヘキシル]エチルナフタレン
2-(3,4-ジフルオロ)フェニル-6-[2-(トランス-4-プロピル)シクロヘキシル]エチルナフタレン(第1表中のNo.(I−2)の化合物)
2-(3,4-ジフルオロ)フェニル-6-[2-(トランス-4-ブチル)シクロヘキシル]エチルナフタレン
2-(3,4-ジフルオロ)フェニル-6-[2-(トランス-4-ペンチル)シクロヘキシル]エチルナフタレン
(実施例3) 2-(3,4-ジフルオロ)フェニル-6-(トランス-4-ビニル)シクロヘキシルナフタレンの合成
【0093】
【化31】
【0094】
実施例1の(1−a)において、4-プロピルシクロヘキサノンに換えて、シクロヘキサン-4,4'-ジオンモノエチレンアセタールを用いた他は同様にして、グリニヤール反応を行った。硫酸水素カリウムによる脱水の後、トルエン溶液にエチレングリコールを加え、共沸する水を系外に除去しながら、加熱還流させた。室温まで冷却して、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗滌し、無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥した後、溶媒を溜去して、4-(6-メトキシナフタレン-2-イル)-3-シクロヘキセノンエチレンアセタールを得た。これをトルエンに溶解し、(1−b)と同様にして接触還元した後、蟻酸を加え加熱撹拌させた。冷却後、水を加え、分離したトルエン層を洗滌後、溶媒を溜去した。得られた粗結晶をエタノールから再結晶させて、4-(6-メトキシナフタレン-2-イル)シクロヘキサノンの結晶を得た。これをトルエン及びTHFの混合溶媒に溶解して冷却し、臭化メトキシメチルトリフェニルホスホニウムとt-ブトキシカリウムから調製したウィッティヒ反応剤を加えた。室温に戻し、水及びヘキサンを加え、ヘキサン層から不溶物を濾別後、水/メタノール混合溶媒で洗滌した。溶媒を溜去後、THFに溶解し、稀塩酸を加え、1時間加熱還流させた。冷却後水を加え、酢酸エチルで抽出した。溶媒を溜去後、エタノールに溶解し、20%水酸化ナトリウム水溶液を加え、室温で撹拌させた。水を加え、トルエンで抽出し、洗滌、乾燥した後、溶媒を溜去してトランス-4-(6-メトキシナフタレン-2-イル)シクロヘキサンカルバルデヒドの結晶を得た。これをTHFに溶解し、ヨウ化メチルトリフェニルホスホニウムとt-ブトキシカリウムから調製したウィッティヒ反応剤を加えた。室温に戻し、水及びヘキサンを加え、ヘキサン層から不溶物を濾別後、水/メタノール混合溶媒で洗滌した。乾燥後、溶媒を溜去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン)を用いて精製して、2-(トランス-4-ビニルシクロヘキシル)-6-メトキシナフタレンの結晶を得た。これから(1−c)、(1−d)及び(1−e)と同様にして、表記の2-(3,4-ジフルオロ)フェニル-6-(トランス-4-ビニル)シクロヘキシルナフタレンを得た。
【0095】
同様にして以下の化合物を得た。
2-(3,4-ジフルオロ)フェニル-6-[トランス-4-(3-ブテニル)シクロヘキシル]ナフタレン
2-(3,4,5-トリフルオロ)フェニル-6-(トランス-4-ビニル)シクロヘキシルナフタレン
2-(3,4,5-トリフルオロ)フェニル-6-[トランス-4-(3-ブテニル)シクロヘキシル]ナフタレン
(実施例4) 液晶組成物の調製(1)
アクティブマトリックス駆動にも使用可能な汎用のホスト液晶(H)
【0096】
【化32】
【0097】
を調製した。このホスト液晶(H)は116.7℃以下でネマチック相を示し、その融点は11℃である。この組成物の物性値ならびに、これを用いて作製したTNセル(セル厚6μm)の閾値電圧(Vth)の20℃における測定値は以下の通りであった。
【0098】
閾値電圧(Vth): 2.14V
誘電率異方性(Δε): 4.8
屈折率異方性(Δn): 0.090
次に、このホスト液晶(H)の80%及び実施例2で得た本発明の化合物である式(I−3)
【0099】
【化33】
【0100】
20%からなる液晶組成物(H−3)を調製したところ、ネマチック相上限温度は120.0℃に上昇した。この組成物は0℃で1ヶ月以上放置しても結晶の析出や相分離は観察されず、式(I−1)の化合物は汎用の液晶との相溶性にも優れていることがわかる。次に−60℃に冷却して結晶化させその融点を測定したところ、−2℃であり、ホスト液晶(H)より13°も低下した。
【0101】
従って、(H−3)ではホスト液晶(H)と比較して、約16°もネマチック相の安定な温度範囲が拡大したことになる。これを用いて同様に作製した液晶素子の特性値は以下の通りとなった。
【0102】
閾値電圧(Vth): 2.06V
誘電率異方性(Δε): 5.5
屈折率異方性(Δn): 0.110
従って、本発明に関わる式(I−3)の化合物の添加により、誘電率異方性を増大させ、閾値電圧を低減させていることがわかる。さらに、屈折率異方性の増加はホスト液晶(H)に対し0.02だけ増加した。
【0103】
次に、この素子の室温及び80℃における電圧保持率を測定したがいずれも極めて良好でアクティブマトリックス駆動用としても充分使用可能であることがわかった。
(比較例1)
実施例4において、式(I−3)の化合物に換えて、フェニルナフタレン骨格を有するがシクロヘキサン環を含まない式(R−2)
【0104】
【化34】
【0105】
の化合物をホスト液晶(H)に同量(20%)添加して比較組成物(HR−2)を調製した。この組成物のネマチック相上限温度(TN-I)は85℃とホスト液晶(H)あるいは本発明に関わる液晶組成物(H−3)と比較して大きく降下した。また、同様にして結晶化させ、その融点(TC-N)を測定したところ2℃であった。従って、ネマチック相温度範囲は(H−3)より大幅に狭くなった。
(比較例2)
式(I−3)の化合物と類似の構造を有するが、(I−3)における2,6-ナフチレン基が1,4-フェニレン基に置き換わった構造の化合物である式(R−3)
【0106】
【化35】
【0107】
の化合物20%及びホスト液晶(H)80%からなる比較組成物(HR−3)を調製した。この組成物のネマチック相上限温度(TN-I)は101℃と、本発明に関わる液晶組成物(H−3)と比較するとやはりかなり低くなった。また、その融点(TC-N)は5℃であり、(H−3)より高くなった。従って、ネマチック相温度範囲は(H−3)と比較して25°以上も狭くなってしまった。
【0108】
以上のように、広い温度範囲と、低い閾値電圧と、適当な屈折率異方性を兼ね備えた液晶組成物を得る上において本発明に関わる式(I−3)の化合物は、従来の化合物より優れた効果を有していることがわかる。
【0109】
【発明の効果】
本発明により提供されるフェニルナフタレン誘導体は、液晶性及び現在汎用の液晶化合物あるいは組成物との相溶性に極めて優れる。従って、これを従来の液晶組成物に添加することにより、低温域から高温域まで広い温度範囲を有する液晶組成物を容易に得ることができる。また、誘電率異方性が大きくその添加により閾値電圧の低減化をはかることも可能である。また、分子内に強い極性の基を含まないため、アクティブマトリックス駆動用としても使用可能である。さらに、実施例にも示したように工業的にも製造が容易であり、無色で化学的にも安定である。
【0110】
従って、これを含有する液晶組成物は実用的液晶として、特に温度範囲が広く低電圧駆動を必要とする液晶表示用として極めて有用である。
Claims (5)
- 一般式(I)においてLが単結合を表すところの請求項1記載のフェニルナフタレン誘導体。
- 一般式(I)においてLが−CH2CH2−を表すところの請求項1記載のフェニルナフタレン誘導体。
- 一般式(I)においてXがフッ素原子を表すところの請求項1、2又は3記載のフェニルナフタレン誘導体。
- 一般式(I)においてRが炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基を表すところの請求項1、2、3又は4記載のフェニルナフタレン誘導体。
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