JP3923314B2 - 内燃機関のsohc型動弁装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関、特に吸気弁および排気弁に対して共通の単一のカムシャフトが、シリンダヘッドと該ヘッド上に結合される複数のホルダとの間で回転自在に支承され、該カムシャフトと吸気弁との間には、連動および連動解除を切換可能な連動切換機構を有する複数の吸気弁駆動部材が、カムシャフトよりも上方でホルダに支持した吸気側揺動支軸を介して揺動可能に配設され、前記カムシャフトと排気弁との間には、各排気弁に個別に対応する排気弁駆動部材が、カムシャフトよりも上方でホルダに支持した排気側揺動支軸を介して揺動可能に配設され、前記複数の吸気弁駆動部材のうち、連動切換機構が連動解除状態にあるときに吸気弁に対して自由となる特定の吸気弁駆動部材をカム側に弾発付勢するロストモーション機構が、ホルダに固定されて吸気弁駆動部材及び排気弁駆動部材よりも上側に位置する支持板に支持されてなる内燃機関のSOHC型動弁装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、かかる動弁装置は、例えば特開平4−1405号公報等で既に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来のものでは、一対の吸気弁に一端がそれぞれ連動、連結される2つのロッカアームを含む3つの吸気弁側ロッカアームの他端がローラーを介してカムにそれぞれ摺接され、それにより摩擦損失の低減が図られているが、連動切換機構は各吸気弁側ロッカアームの一端および揺動軸線間に設けられていたので、各吸気弁側ロッカアームの一端寄りの中間部(連動切換機構が配設される部分)が厚肉となる上、吸気弁上端部の弁ばね支持用リテーナと干渉し易くなって、相隣なるロッカアーム相互間のリフト量の設定自由度が狭くなる等の問題があった。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、摩擦損失の低減を図った上で上記問題を解決できるようにし、しかも高さ方向にコンパクトな内燃機関のSOHC型動弁装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明によれば、吸気弁および排気弁に対して共通の単一のカムシャフトが、シリンダヘッドと該ヘッド上に結合される複数のホルダとの間で回転自在に支承され、該カムシャフトと吸気弁との間には、連動および連動解除を切換可能な連動切換機構を有する複数の吸気弁駆動部材が、カムシャフトよりも上方でホルダに支持した吸気側揺動支軸を介して揺動可能に配設され、前記カムシャフトと排気弁との間には、各排気弁に個別に対応する排気弁駆動部材が、カムシャフトよりも上方でホルダに支持した排気側揺動支軸を介して揺動可能に配設され、前記複数の吸気弁駆動部材のうち、連動切換機構が連動解除状態にあるときに吸気弁に対して自由となる特定の吸気弁駆動部材をカム側に弾発付勢するロストモーション機構が、ホルダに固定されて吸気弁駆動部材及び排気弁駆動部材よりも上側に位置する支持板に支持されてなる、内燃機関のSOHC型動弁装置において、前記連動切換機構は、隣接する吸気弁駆動部材を連動させる位置ならびにその連動を解除する位置間で移動可能な切換ピンと、切換ピンの移動を案内すべく複数の吸気弁駆動部材に各々固設される吸気弁用円筒状軸部材とを備えていて、吸気側揺動支軸から見て吸気弁とは反対側に配置されると共に、各々の円筒状軸部材には、前記カムシャフトにおける吸気弁用カムに摺接する円筒状の回転体が回転自在に支承され、前記特定の吸気弁駆動部材の、吸気弁用円筒状軸部材と吸気側揺動支軸との中間部上面に前記ロストモーション機構が当接することを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、添付図面に例示した本発明の実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
【0007】
添付図面において、図1ないし図5は本発明の一実施例を示すものであり、図1はV型内燃機関の側面図、図2は図1の2−2線矢視拡大断面図、図3は図2の3−3線断面図、図4は図2の4−4線断面図、図5は図3の5−5線断面図である。
【0008】
先ず図1において、このV型内燃機関は、クランク軸6の軸線方向に並ぶ1あるいは複数のシリンダ7と、該シリンダ7に対して上方に開いた略V字形に配置されてクランク軸6の軸線方向に並ぶ1あるいは複数のシリンダ7とがシリンダブロック8に設けられ、該シリンダブロック8に結合されるシリンダヘッド9,9に、上記V字形の内方側で各シリンダ7…の吸気ポート10…が設けられるとともに上記V字形の外方側で各シリンダ7…の排気ポート11…が設けられ、シリンダヘッド9,9間に各吸気ポート10…に接続される吸気マニホールドMが配置されて成るものである。図1に示されるように各シリンダヘッド9の頂部には、これを覆うヘッドカバーCが結合される。
【0009】
図2ないし図4を併せて参照して、シリンダ7にはピストン12が摺動可能に嵌合され、該ピストン12の上面およびシリンダヘッド9間に燃焼室13が形成される。シリンダヘッド9には、燃焼室13の天井面に開口するようにして一対の吸気弁口14…ならびに一対の排気弁口15…が設けられており、両吸気弁口14…は吸気ポート10に連通され、両排気弁口15…は排気ポート11に連通される。
【0010】
両吸気弁口14…を個別に開閉可能な一対の吸気弁16,16は、シリンダヘッド9にそれぞれ設けられたガイド筒17…に摺動可能に嵌合され、各ガイド筒17…から上方に突出した吸気弁16,16の上端部に設けられるリテーナ18,18とシリンダヘッド9との間には各吸気弁16,16を囲繞する弁ばね19,19が縮設され、それらの弁ばね19,19により吸気弁16,16は吸気弁口14…を閉じる方向に付勢される。また両排気弁口15…を個別に開閉可能な一対の排気弁20,20は、シリンダヘッド9にそれぞれ設けられたガイド筒21…に摺動可能に嵌合され、各ガイド筒21…から上方に突出した排気弁20,20の上端部に設けられるリテーナ22,22とシリンダヘッド9との間には各排気弁20,20を囲繞する弁ばね23,23が縮設され、それらの弁ばね23,23により排気弁20,20は排気弁口15…を閉じる方向に付勢される。
【0011】
上記両吸気弁16,16と、クランク軸6に1/2の減速比で連動、連結されるカムシャフト26との間には、カムシャフト26の回転運動を吸気弁16,16の開閉運動に変換する吸気弁駆動手段271 が設けられ、両排気弁20,20と前記カムシャフト26との間には、カムシャフト26の回転運動を排気弁20,20の開閉運動に変換する排気弁駆動手段272 が設けられる。
【0012】
図5を併せて参照して、カムシャフト26は、シリンダヘッド9と該シリンダヘッド9に結合されるホルダ28とで、クランク軸6の回転軸線と平行な軸線を有して回転自在に支承される。このカムシャフト26には、吸気弁用高速カム29と、一方の吸気弁16に対応して吸気弁用高速カム29の一側に配置される吸気弁用低速カム30と、吸気弁用高速カム29に関して吸気弁用低速カム30とは反対側で他方の吸気弁16に対応して配置される吸気弁用休止カム31と、吸気弁用低速カム30および吸気弁用休止カム31の両側で両排気弁20,20に個別に対応して配置される排気弁用カム32,32とがそれぞれ固設される。
【0013】
吸気弁用高速カム29は、機関の高速運転域で両吸気弁16,16を開閉作動せしめるための形状を有するものであり、カムシャフト26の軸線を中心とする円弧状のベース円部29aと、該ベース円部29aから半径方向外方に張出す高位部29bとを有する。吸気弁用低速カム30は、機関の低速運転域で一方の吸気弁16を開閉作動せしめるための形状を有するものであり、カムシャフト26の軸線を中心とする円弧状のベース円部30aと、カムシャフト26の半径方向外方へのベース円部30aからの張出量を吸気弁用高速カム29の高位部29bよりも小とするとともに該高位部29bよりも狭い中心角範囲にわたってベース円部30aから張出した高位部30bとを有する。また吸気弁用休止カム31は、機関の低速運転域で他方の吸気弁16を実質的に休止させるための形状を有するものであり、基本的には前記両カム29,30のベース円部29a,30aに対応した真円状に形成されるが、前記両カム29,30の高位部29b,30bに対応する部分には、吸気弁16を実質的には休止状態に保つものの該吸気弁16の吸気弁口14への固着を回避すべくわずかに開弁させるための突部31aが設けられる。しかも吸気弁用低速カム30の軸方向に沿う幅W2 は吸気弁用高速カム29の幅W1 よりも小さく、また吸気弁用休止カム31の軸方向に沿う幅W3 は吸気弁用低速カム30の幅W2 よりも小さい。さらに排気弁用カム32,32は、機関の運転状態にかかわらず両排気弁20,20を開閉作動せしめるための形状を有する。
【0014】
一方、吸気弁駆動手段271 は、相互に隣接配置される吸気弁駆動部材としての第1、第2および第3吸気弁側ロッカアーム33,34,35と、それらのロッカアーム33〜35の連動および連動解除を切換可能な連動切換機構36とを有するものであり、第1吸気弁側ロッカアーム33は一方の吸気弁16に連動、連結され、第3吸気弁側ロッカアーム35は他方の吸気弁16に連動、連結され、第2吸気弁側ロッカアーム34は第1および第3吸気弁側ロッカアーム33,35間に配置される。第1〜第3吸気弁側ロッカアーム33〜35は、カムシャフト26の斜め上方位置でホルダ28に固定的に支持された吸気弁側ロッカアームシャフト37で揺動自在に支承される。また排気弁駆動手段272 は、各排気弁20,20に個別に連動、連結される排気弁駆動部材としての一対の排気弁側ロッカアーム38,38を有し、それらの排気弁側ロッカアーム38,38は、カムシャフト26の斜め上方位置でホルダ28に固定的に支持された排気弁側ロッカアームシャフト39で揺動自在に支承される。第1〜第3吸気弁側ロッカアーム33〜35はクランク軸6の軸線に沿うシリンダ7の両側に配置されるホルダ28,28間に隣接配置され、両排気弁側ロッカアーム38,38は、排気弁側ロッカアームシャフト39を囲繞するコイルばね42を相互間に介設するようにして両ホルダ28,28間に配置される。
【0015】
吸気弁駆動手段271 において第1および第3吸気弁側ロッカアーム33,35には、吸気弁16,16側に延びる腕部33a,35aが一体に設けられており、それらの腕部33a,35aの先端には、両吸気弁16,16の上端に当接するタペットねじ40,40が進退自在に螺合される。また排気弁駆動手段272 における両排気弁側ロッカアーム38,38には、両排気弁20,20側に延びる腕部38a,38aが一体に設けられており、それらの腕部38a,38aの先端には、両排気弁20,20の上端に当接するタペットねじ41,41が進退自在に螺合される。
【0016】
第1吸気弁側ロッカアーム33において、その揺動軸線すなわち吸気弁側ロッカアームシャフト37の軸線に関して吸気弁16とは反対側の端部には、吸気弁用低速カム30に摺接する円筒状の回転体45が回転自在に支承され、第2吸気弁側ロッカアーム34において、その揺動軸線に関して両吸気弁16,16とは反対側の端部には吸気弁用高速カム29に摺接する円筒状の回転体46が回転自在に支承され、第3吸気弁側ロッカアーム35において、その揺動軸線に関して吸気弁16とは反対側の端部には吸気弁用休止カム31に摺接する円筒状の回転体47が回転自在に支承され、両排気弁側ロッカアーム38,38において、その揺動軸線すなわち排気弁側ロッカアームシャフト39の軸線に関して両排気弁20,20とは反対側の端部には排気弁用カム32,32に摺接する円筒状の回転体48,48が回転自在に支承される。
【0017】
第1吸気弁側ロッカアーム33には、第2吸気弁側ロッカアーム34側に開放した有底の嵌合穴49が吸気弁側ロッカアームシャフト37と平行に穿設され、第2吸気弁側ロッカアーム34には、嵌合穴49に対応して両側面に開口する嵌合孔50が穿設され、第3吸気弁側ロッカアーム35には、嵌合孔50に対応して第2吸気弁側ロッカアーム34側に開放した有底の嵌合穴51が吸気弁側ロッカアームシャフト37と平行に穿設される。而して前記嵌合穴49、嵌合孔50および嵌合穴51には、同径である円筒状軸部材52,53,54がそれぞれ嵌合、固定され、円筒状軸部材52〜54と、それらの円筒状軸部材52〜54を同軸に囲繞する回転体45〜47との間には複数のころ55…,56…,57…がそれぞれ介装される。また排気弁側ロッカアーム38,38には、両側面に開口する嵌合孔58,58が排気弁側ロッカアームシャフト39と平行に穿設され、各嵌合孔58,58に嵌合、固定される円筒状軸部材59,59と、それらの円筒状軸部材59,59を同軸に囲繞する回転体48,48との間には複数のころ60…,60…がそれぞれ介装される。したがって第1〜第3吸気弁側ロッカアーム33〜35は回転体45〜47を介して対応するカム30,29,31にそれぞれ摺接される。しかも吸気弁用高速カム29の幅W1 >吸気弁用低速カム30の幅W2 >吸気弁用休止カム31の幅W3 であるので、回転体46の軸方向長さ>回転体45の軸方向長さ>回転体47の軸方向長さ、に設定されている。さらに排気弁側ロッカアーム20,20は回転体48,48を介して排気弁用カム32,32にそれぞれ摺接される。
【0018】
各吸気弁側ロッカアーム33〜35ならびに排気弁側ロッカアーム38,38の上方でホルダ28…上には支持板61が固定されており、この支持板61には、第2吸気弁側ロッカアーム34をその回転体46が吸気弁用高速カム29に摺接する方向に弾発付勢するロストモーション機構62が設けられ、該ロストモーション機構62は、下方に開放した有底円筒状に形成されて支持板61に固定されるガイド部材63と、第2吸気弁側ロッカアーム34に先端を当接させてガイド部材63に摺動可能に嵌合されるリフタ64と、リフタ64およびガイド部材63間に縮設されるリフタばね65とを備える。この場合、リフタ64の先端は、第2吸気弁側ロッカアーム34の、吸気弁側ロッカアームシャフト37と円筒状軸部材53との中間部上面に当接しているため、リフタ64(ロストモーション機構62)に対する受け座を該第2吸気弁側ロッカアーム34の一端から特別に延設(例えば特開昭63-100211 号公報の第3図参照)させる必要はなくなり、それだけ第2吸気弁側ロッカアーム34の構造簡素化と小型化が図られる。
【0019】
連動切換機構36は、第3および第2吸気弁側ロッカアーム35,34の連動および連動解除を切換可能な第1切換ピン68と、第2および第1吸気弁側ロッカアーム34,33の連動および連動解除を切換可能な第2切換ピン69と、第1切換ピン68とは反対側で第2切換ピン69に摺接する規制部材70と、規制部材70を第2切換ピン69側に付勢する戻しばね71とを備える。
【0020】
第1切換ピン68は、第3吸気弁側ロッカアーム35の円筒状軸部材54に摺動可能に嵌合されるものであり、第3吸気弁側ロッカアーム35における嵌合穴51の閉塞端と第1切換ピン68との間には液圧室72が画成される。また第3吸気弁側ロッカアーム35には液圧室72に通じる連通路73が穿設され、吸気弁側ロッカアームシャフト37内には、前記連通路73に常時通じる液圧路74が設けられる。而して該液圧路74は図示しない制御弁を介して液圧源に接続される。
【0021】
第2切換ピン69は、第2吸気弁側ロッカアーム34の円筒状軸部材53に摺動可能に嵌合され、第2切換ピン69の一端は第1切換ピン68に摺接されている。
【0022】
規制部材70は、有底円筒状に形成されて第1吸気弁側ロッカアーム33の円筒状軸部材52に摺動可能に嵌合されるものであり、この規制部材70の閉塞端が第2切換ピン69の他端に摺接される。また円筒状軸部材52の内面には、規制部材70に当接して該規制部材70が円筒状軸部材52から脱落するのを阻止するための止め輪75が嵌着される。戻しばね71は、第1吸気弁側ロッカアーム33における嵌合穴49の閉塞端と規制部材70との間に縮設され、前記嵌合穴49の閉塞端には開放孔76が穿設される。
【0023】
ところで、燃焼室13の天井面中央部には点火プラグ78が配設されるものであり、該点火プラグ78を挿入するためのプラグパイプ79がシリンダヘッド9に配設される。而して吸気弁駆動手段271 において、各吸気弁側ロッカアーム33〜35は吸気弁側ロッカアームシャフト37に関して両吸気弁16,16とは反対側で回転体45〜47を介してカムシャフト26の各カム30,29,31に摺接されるものであって連動切換機構36もそれらの回転体45〜47と同軸に配置されるので、第1および第3吸気弁側ロッカアーム33,35の腕部33a,35a間には空きスペースがあり、その空きスペースに上記プラグパイプ79を配設することができる。したがって、吸気側を内方側に配置した車載用V型内燃機関において、点火プラグ78の脱着のためのプラグパイプ79を、V型内燃機関の内方側に配設することが可能となる。
【0024】
次にこの実施例の作用について説明すると、機関の低速運転域では、連動切換機構36の液圧室72に液圧は作用しておらず、第1および第2切換ピン68,69の摺接面は第3および第2吸気弁側ロッカアーム34,35間に対応する位置に在り、第2切換ピン69および規制部材70の摺接面は第2および第1吸気弁側ロッカアーム34,33間に対応する位置に在る。したがって各吸気弁側ロッカアーム33〜35は相対揺動可能な状態にあり、一方の吸気弁16が吸気弁用低速カム30に応じたタイミングおよびリフト量で開閉駆動されるのに対し、他方の吸気弁16は実質的に休止されている。
【0025】
機関の高速運転域では、連動切換機構36の液圧室72に高圧の液圧が作用せしめられ、第1切換ピン68は第2切換ピン69を押圧しながら第2吸気弁側ロッカアーム34の円筒状軸部材53に嵌合し、第2切換ピン69は規制部材70を押圧しながら第1吸気弁側ロッカアーム33の円筒状軸部材52に嵌合する。したがって第1〜第3吸気弁側ロッカアーム33〜35は一体的に連結された状態となり、両吸気弁16,16は吸気弁用高速カム29に応じたタイミングおよびリフト量で開閉駆動されることになる。
【0026】
このようにして機関の低速運転域および高速運転域で両吸気弁16,16の開閉作動特性を変化させることにより、機関の運転状態に適合した動弁特性として機関出力の向上を図ることができる。
【0027】
一方、両排気弁20,20は、機関の低速運転域および高速運転域とも、排気弁用カム32,32に応じたタイミングおよびリフト量で開閉駆動されることになる。
【0028】
このような動弁装置において、吸気弁駆動手段271 および排気弁駆動手段272 とも、各ロッカアーム33〜35,38,38は回転体45〜47,48,48を介して対応するカム30,29,31,32,32に摺接するので、摩擦損失を低減して開弁動力の低減を図ることができる。また第1〜第3吸気弁側ロッカアーム33〜35に設けられる連動切換機構36は、前記回転体45〜47と同軸に配置されるものであり、連動切換機構36を構成する切換ピン68,69、規制部材70および戻しばね71は、回転体45〜47を支承すべく各ロッカアーム33〜35に設けられた円筒状軸部材52〜54内に挿入されるので、連動切換機構36を構成するための穿孔加工を各ロッカアーム33〜35に施すことが不要となり、加工工数の低減に寄与することができる。
【0029】
しかも点火プラグ78を吸気弁16,16側に配置することができるので、点火プラグ78まわりの熱引き性を向上することができ、最大トルクを発生させる点火時期近傍に点火プラグ78の点火時期を設定してもノッキングの発生を抑えることができ、したがって充分な出力トルクを得ることができる。
【0030】
また吸気側を内方側に配置した車載用V型内燃機関において、点火プラグ78が吸気弁16,16側に配置されることにより、点火プラグ78の脱着のためのスペースをV型内燃機関の上方に確保すればよく、点火プラグ78の脱着のためのスペースを確保することが容易となる。
【0031】
ところで、連動切換機構36において、液圧室72に高圧の液圧を作用させたにもかかわらず、第1および第2切換ピン68,69の連結作動が何らかの原因により阻害され、連動切換機構36が連動解除状態のままとなる場合が考えられる。その場合、相互に独立して作動する両吸気弁16,16のうち相対的に高リフトとなる吸気弁16を駆動する第1吸気弁側ロッカアーム33に、所定の高回転域まで動弁系挙動を保証するために、弁ばね19のばね荷重を第1吸気弁側ロッカアーム33の重量に対応して比較的高く設定しておく必要がある。したがって第1吸気弁側ロッカアーム33が比較的大重量であれば、上記弁ばね19のばね荷重もそれに対応して大きく設定せねばならず、連動解除状態ならびに連動状態での開弁動力が大きくなる。しかるに、相互に独立して作動する両吸気弁16,16のうち相対的に低リフトとなる吸気弁16を駆動する第3吸気弁側ロッカアーム35に液圧室72および連通路73が設けられることにより、第1吸気弁側ロッカアーム33は、液圧室72および連通路73がない分だけ軽量化可能であり、したがって第1吸気弁側ロッカアーム33を付勢するばね荷重を比較的低く設定して開弁動力の低減に寄与することができる。
【0032】
また液圧室72および連通路73が設けられる第3吸気弁側ロッカアーム35では、回転体46の軸方向長さ>回転体45の軸方向長さ>回転体47の軸方向長さとなっているために、液圧室72および連通路73を配設しても吸気弁側ロッカアームシャフト37の軸線に沿う幅を比較的小さく設定することが可能であり、それにより第3吸気弁側ロッカアーム35の重量増大を抑えて開弁動力低減に寄与することができるとともに、カムシャフト26の軸線に沿って動弁装置を比較的コンパクトに構成することが可能となる。
【0033】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
【0034】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、連動切換機構は、隣接する吸気弁駆動部材を連動させる位置ならびにその連動を解除する位置間で移動可能な切換ピンと、切換ピンの移動を案内すべく複数の吸気弁駆動部材に各々固設される吸気弁用円筒状軸部材とを備えていて、吸気側揺動支軸から見て吸気弁とは反対側に配置され、各々の円筒状軸部材には、カムシャフトにおける吸気弁用カムに摺接する円筒状の回転体が回転自在に支承されるので、各吸気弁駆動部材の吸気弁側の端部ないしはその近くに連動切換機構を配設する必要はなくなり、従って、吸気弁上端部の周辺において弁ばね支持用リテーナ等の部品を配置するスペースを連動切換機構に影響されずに十分に確保可能となるから、相隣なる吸気弁駆動部材相互間のリフト量の設定自由度を高めることができ、しかも吸気側揺動支軸よりも下方に配設されるカムシャフトの上方スペースを有効に利用して連動切換機構を無理なく配設できることから動弁機構の高さ方向の小型化に寄与することができ、さらに吸気弁駆動部材の、連動切換機構を保持する部分の肉厚(特に上下方向)も十分に確保できるから該部材の変形防止に効果的であって、該連動切換機構の切換作動の信頼性向上にも寄与することができる。
【0035】
また連動切換機構が連動解除状態にあるときに吸気弁に対して自由となる特定の吸気弁駆動部材をカム側に弾発付勢するロストモーション機構が、シリンダヘッド上に結合されたカムシャフト用ホルダに固定されて吸、排気弁駆動部材よりも上側に位置する支持板に支持され、前記特定の吸気弁駆動部材の、吸気弁用円筒状軸部材と吸気側揺動支軸との中間部外面に前記ロストモーション機構が当接しているので、カムシャフトと支持板間で特定の吸気弁駆動部材及びロストモーション機構を上下方向に極力詰めてコンパクトに配置しつつ、該吸気弁駆動部材の前記中間部でロストモーション機構からの付勢力を直接受けることができて、その付勢力を吸気弁駆動部材に効率よく伝達し得るばかりか、ロストモーション受け座を該吸気弁駆動部材の一端から特別に延設させる必要はなくなり、それらの結果、全体として動弁装置の高さ方向小型化を図りながら、該吸気弁駆動部材自体の構造簡素化と小型化とが達成できて、その慣性質量の低減、延いては機関の高出力化に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 V型内燃機関の側面図
【図2】 図1の2−2線矢視拡大断面図
【図3】 図2の3−3線断面図
【図4】 図2の4−4線断面図
【図5】 図3の5−5線断面図
【符号の説明】
16・・・・・・吸気弁
20・・・・・・排気弁
26・・・・・・カムシャフト
28・・・・・・ホルダ
29,30,31・・吸気弁用カム
32・・・・・・排気弁用カム
33,34,35・・・・・・吸気弁駆動部材としての吸気弁側ロッカアーム
36・・・・・・連動切換機構
37・・・・・・吸気側揺動支軸としての吸気弁側ロッカアームシャフト
38・・・・・・排気弁駆動部材としての排気弁側ロッカアーム
39・・・・・・排気側揺動支軸としての排気弁側ロッカアームシャフト
45,46,47・・回転体
52,53,54・・吸気弁用円筒状軸部材
59・・・・・・排気弁用円筒状軸部材
61・・・・・・支持板
62・・・・・・ロストモーション機構
68,69・・・切換ピン
Claims (1)
- 吸気弁(16)および排気弁(20)に対して共通の単一のカムシャフト(26)が、シリンダヘッド(9)と該ヘッド(9)上に結合される複数のホルダ(28)との間で回転自在に支承され、該カムシャフト(26)と吸気弁(16)との間には、連動および連動解除を切換可能な連動切換機構(36)を有する複数の吸気弁駆動部材(33,34,35)が、カムシャフト(26)よりも上方でホルダ(28)に支持した吸気側揺動支軸(37)を介して揺動可能に配設され、前記カムシャフト(26)と排気弁(20)との間には、各排気弁(20)に個別に対応する排気弁駆動部材(38)が、カムシャフト(26)よりも上方でホルダ(28)に支持した排気側揺動支軸(39)を介して揺動可能に配設され、前記複数の吸気弁駆動部材(33,34,35)のうち、連動切換機構(36)が連動解除状態にあるときに吸気弁(16)に対して自由となる特定の吸気弁駆動部材(34)をカム(29)側に弾発付勢するロストモーション機構(62)が、ホルダ(28)に固定されて吸気弁駆動部材(33,34,35)及び排気弁駆動部材(38)よりも上側に位置する支持板(61)に支持されてなる、内燃機関のSOHC型動弁装置において、
前記連動切換機構(36)は、隣接する吸気弁駆動部材(34,35;33,34)を連動させる位置ならびにその連動を解除する位置間で移動可能な切換ピン(68,69)と、切換ピン(68,69)の移動を案内すべく複数の吸気弁駆動部材(35,34,33)に各々固設される吸気弁用円筒状軸部材(54,53,52)とを備えていて、吸気側揺動支軸(37)から見て吸気弁(16)とは反対側に配置されると共に、各々の円筒状軸部材(54,53,52)には、前記カムシャフト(26)における吸気弁用カム(31,29,30)に摺接する円筒状の回転体(47,46,45)が回転自在に支承され、
前記特定の吸気弁駆動部材(34)の、吸気弁用円筒状軸部材(53)と吸気側揺動支軸(37)との中間部上面に前記ロストモーション機構(62)が当接することを特徴とする、内燃機関のSOHC型動弁装置。
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