JP3921739B2 - 室温硬化性組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は湿分存在下で硬化する室温硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
末端に加水分解性ケイ素基を有する各種の重合体を硬化させてシーラント、接着剤等に使用する方法はよく知られており、工業的に有用な方法である。このような重合体のうち、特に主鎖がポリオキシアルキレンである重合体は、室温で液状であり、かつ硬化物が比較的低温でも柔軟性を保持し、シーラント、接着剤等に利用する場合に好ましい特性を備えている。
【0003】
そのような湿分硬化性の重合体としては、特開平3−72527、特開平3−47825等に記載されている末端に加水分解性ケイ素基を有する重合体が挙げられる。このような末端に加水分解性ケイ素基を有する重合体は、伸びや柔軟性を保持するためにケイ素原子1つ当たり2つの加水分解性基が結合してなる加水分解性ケイ素基を通常有する。
【0004】
しかしこのようなケイ素原子1つ当たり2つの加水分解性基が結合してなる加水分解性ケイ素基を有する重合体は硬化性に劣り、特に低温条件下では内部硬化性が悪いため短時間で充分な強度特性を発現する硬化体を得ることができない、という問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、加水分解性ケイ素基を有する重合体に対して、その柔軟性や作業性を大きく悪化させることなく硬化特性を改良でき、特に低温でも最終的な強度に到達する時間を大幅に短縮でき、短時間で硬化体が本来有する引張剪断特性が発現できる組成について検討した結果本発明に至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記一般式(1)で表される加水分解性ケイ素基を有する重合体を含有する室温硬化性組成物であって、一般式(1)中のaが1または2である加水分解性ケイ素基および一般式(1)中のaが3である加水分解性基を併有し、主鎖がポリオキシアルキレン鎖である重合体(A’)、硬化触媒(B)、ならびに、下記低分子ケイ素化合物(C−1)および/または(C−2)からなるケイ素化合物(C)を含有し、一般式(1)で表される全加水分解性ケイ素基中の、aが3である加水分解性ケイ素基の割合が5〜80%である、室温硬化性組成物である。
本発明はまた、下記一般式(1)で表される加水分解性ケイ素基を有する重合体を含有する室温硬化性組成物であって、一般式(1)中のaが1または2である加水分解性ケイ素基を有し、主鎖がポリオキシアルキレン鎖である重合体(A”)、一般式(1)中のaが3である加水分解性ケイ素基を有し、主鎖がポリオキシアルキレン鎖である重合体(A”’)、硬化触媒(B)、ならびに、下記低分子ケイ素化合物(C−1)および/または(C−2)からなるケイ素化合物(C)を含有し、一般式(1)で表される全加水分解性ケイ素基中の、aが3である加水分解性ケイ素基の割合が5〜80%である、室温硬化性組成物である。
【0007】
−SiXa R3-a ・・・(1)
(一般式(1)中、Rは炭素数1〜20の置換または非置換の1価の有機基であり、Xは水酸基または加水分解性基であり、aは1、2または3である。ただし、Rが複数個存在するときは同じでも異なってもよく、Xが複数個存在するときは同じでも異なってもよい。)
【0008】
ケイ素化合物(C):
(C−1):一般式(2)で表される加水分解性ケイ素基と官能基を有する低分子ケイ素化合物。
(C−2):低分子ケイ素化合物(C−1)のうち、相互に反応しうる官能基を有する2種以上の低分子ケイ素化合物(C−1)を反応させて得られる反応生成物。
【0009】
−SiX1 bR1 3-b・・・(2)
(一般式(2)中、R1 は炭素数1〜20の置換または非置換の1価の有機基であり、X1 は水酸基または加水分解性基であり、bは1、2または3である。ただし、R1 が複数個存在するときは同じでも異なってもよく、X1 が複数個存在するときは同じでも異なってもよい。)
【0010】
本発明で使用する重合体は、分子鎖末端または側鎖に上記式(1)で表される加水分解性ケイ素基を有する。重合体の主鎖はポリオキシアルキレン鎖である。
【0011】
このような重合体は、たとえば特開平3−47825、特開平3−72527、特開平3−79627、特公昭46−30711、特公昭45−36319、特公昭46−17553等に提案されている。
【0012】
以下、主鎖がポリオキシアルキレンである重合体について説明する。このような重合体は、下記に述べるように官能基を有するポリオキシアルキレン化合物を原料とし、末端に適宜有機基を介して加水分解性ケイ素基を導入して製造されることが好ましい。
【0013】
原料ポリオキシアルキレン化合物としては、触媒の存在下1つ以上の水酸基を有するヒドロキシ化合物などの開始剤にモノエポキシドなどを反応させて製造する水酸基末端のものが好ましい。
【0014】
モノエポキシドとしてはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ヘキシレンオキシド等が挙げられる。テトラヒドロフラン等も使用できる。触媒としては、カリウム系化合物やセシウム系化合物等のアルカリ金属触媒、複合金属シアン化物錯体触媒、金属ポルフィリン触媒などが挙げられる。
【0015】
原料ポリオキシアルキレン化合物として高分子量のポリオキシアルキレン化合物を使用する場合には、アルカリ触媒等にて製造した比較的低分子量のポリオキシアルキレン化合物に塩化メチレン等の多ハロゲン化合物を反応させることにより多量化して得られるポリオキシアルキレン化合物を使用できる。
【0016】
複合金属シアン化物錯体触媒を用いて製造したポリオキシアルキレン化合物は、アルカリ触媒を用いた場合に比べ分子量分布が狭く、良好な硬化性が得られるため、このポリオキシアルキレンを用いることが好ましい。
【0017】
複合金属シアン化物錯体としては亜鉛ヘキサシアノコバルテートを主成分とする錯体が好ましく、そのエーテルおよび/またはアルコール錯体が特に好ましい。その組成は本質的に特公昭46−27250に記載されているものが使用できる。エーテルとしてはエチレングリコールジメチルエーテル(グライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)等が好ましく、錯体の製造時の取り扱い点からグライムが特に好ましい。アルコールとしては特開平4−145123に記載されているt−ブタノールが好ましい。
【0018】
原料ポリオキシアルキレン化合物の官能基数は2以上が好ましく、硬化物特性として柔軟性を強調したい場合には2または3が特に好ましく、接着性や硬化性を強調したい場合には3〜8が特に好ましい。
【0019】
原料ポリオキシアルキレン化合物としては、具体的にはポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシヘキシレン、ポリオキシテトラメチレンおよびこれらの共重合物が挙げられる。
【0020】
特に好ましい原料ポリオキシアルキレン化合物はポリオキシプロピレンジオールとポリオキシプロピレントリオールである。また、下記(イ)や(ニ)の方法に用いる場合、アリル末端ポリオキシプロピレンモノオールなどのオレフィン末端のポリオキシアルキレン化合物も使用できる。
【0021】
一般式(1)で表される加水分解性ケイ素基について説明する。
一般式(1)中Rは炭素数1〜20の置換または非置換の1価の有機基であり、より好ましくは炭素数1〜20の置換または非置換の1価の炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素数8以下のアルキル基、フェニル基またはフルオロアルキル基である。特に好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基等である。Rが複数個存在するときは同じでも異なってもよい。
【0022】
Xにおける加水分解性基としては、たとえばハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミド基、アミノ基、アミノオキシ基、ケトキシメート基、ヒドリド基などがある。
【0023】
これらのうち炭素原子を有する加水分解性基の炭素数は6以下が好ましく、4以下が特に好ましい。好ましいXは炭素数4以下の低級アルコキシ基、特にメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基またはプロペニルオキシ基が例示できる。またXが複数個存在するときは同じでも異なってもよい。
【0024】
aは1、2または3である。
重合体中の加水分解性ケイ素基の数は1〜8が好ましく、2〜6が特に好ましい。
【0025】
加水分解性ケイ素基の原料ポリオキシアルキレン化合物への導入の方法は特には限定されないが、たとえば以下の(イ)〜(ニ)の方法により、原料ポリオキシアルキレン化合物に適宜有機基を介して導入できる。
【0026】
(イ)水酸基を有するポリオキシアルキレン化合物の末端にオレフィン基を導入したものと、一般式(3)で表されるヒドロシリル化合物を反応させる方法。
HSiXa R3-a ・・・(3)
(一般式(3)中、R、X、aは前記に同じ。)
【0027】
ここでオレフィン基を導入する方法としては、不飽和基および官能基を有する化合物をポリオキシアルキレン化合物の末端水酸基に反応させて、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合またはカーボネート結合などにより結合させる方法、またはアルキレンオキシドを重合する際に、アリルグリシジルエーテルなどのオレフィン基含有エポキシ化合物を添加して共重合させることにより原料ポリオキシアルキレン化合物の側鎖にオレフィン基を導入する方法などが挙げられる。
【0028】
(ロ)水酸基を有するポリオキシアルキレン化合物の末端に一般式(4)で表される化合物を反応させる方法。
R3-a −SiXa −R2 NCO・・・(4)
(一般式(4)中、R、X、aは前記に同じ。R2 は炭素数1〜17の2価炭化水素基。)
【0029】
(ハ)水酸基を有するポリオキシアルキレン化合物の末端にトリレンジイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物を反応させてイソシアネート基末端とした後、該イソシアネート基に一般式(5)で表されるケイ素化合物のW基を反応させる方法。
R3-a −SiXa −R2 W・・・(5)
(一般式(5)中、R、R2 、X、aは前記に同じ。Wは水酸基、カルボキシル基、メルカプト基およびアミノ基(1級または2級)から選ばれる活性水素含有基。)
【0030】
(ニ)水酸基を有するポリオキシアルキレン化合物の末端にオレフィン基を導入し、そのオレフィン基と、Wがメルカプト基である一般式(5)で表されるケイ素化合物のメルカプト基を反応させる方法。
【0031】
本発明の組成物は、「一般式(1)中のaが3である加水分解性ケイ素基」(以下、「加水分解性ケイ素基(Z)」という)を有する重合体を含有することを要する。本発明の組成物において、一般式(1)で表される加水分解性ケイ素基中における加水分解性ケイ素基(Z)の数は、用途、必要とする特性などに応じて変えうる。
【0032】
一般式(1)で表される加水分解性ケイ素基を有する重合体が、該加水分解性ケイ素基として加水分解性ケイ素基(Z)のみを有する重合体である場合、すなわち、組成物中における一般式(1)で表される加水分解性ケイ素基のほぼ100%、すなわち80〜100%が加水分解性ケイ素基(Z)である場合、硬化速度が大きいという効果があり、深部硬化性が特に優れた室温硬化性組成物が得られる。この場合、特に一般式(1)で表される加水分解性ケイ素基の90〜100%、さらに好ましくは95〜100%が、加水分解性ケイ素基(Z)であることが好ましい。
【0033】
また、一般式(1)中のaが1または2である加水分解性ケイ素基と加水分解性ケイ素基(Z)が混在している場合には、良好な伸び特性と速硬化性を両立しうる室温硬化性組成物が得られる。
【0034】
この場合、一般式(1)で表される全加水分解性ケイ素基中の加水分解性ケイ素基(Z)の割合が5〜80%であることが好ましい。この割合を任意に変えることにより要求に応じた特性を自由に制御できる。すなわち加水分解性ケイ素基(Z)の割合が5〜50%のときは、硬化性を向上させると同時にシーラントなどで必要とされる良好な伸び特性や柔軟性を提供でき、また加水分解性ケイ素基(Z)の割合が50〜80%のときは、弾性接着剤などに必要とされる伸び特性を充分に確保しながら飛躍的に硬化性を改善できる。
【0035】
また、一般式(1)で表される加水分解性ケイ素基中において加水分解性ケイ素基(Z)以外の加水分解性ケイ素基は一般式(1)中のaが2の加水分解性ケイ素基であることが特に好ましい。
【0036】
一般式(1)中のaが1または2である加水分解性ケイ素基と加水分解性ケイ素基(Z)が混在した組成物を得るためには、たとえば、下記の方法(ホ)、(ヘ)がある。(ホ)、(ヘ)の方法を併用してもよい。
【0037】
(ホ)一般式(1)中のaが1または2である加水分解性ケイ素基および一般式(1)中のaが3である加水分解性ケイ素基(Z)を併有する重合体を使用する。
(ヘ)一般式(1)中のaが1または2である加水分解性ケイ素基を有する重合体および一般式(1)中のaが3である加水分解性ケイ素基(Z)を有する重合体の両方を使用する。
【0038】
本発明における重合体の分子量は、その使用される用途に応じて1000〜50000の範囲から適当な値を選択することが好ましい。すなわち柔軟性が重視されるシーラントなどの用途には原料である水酸基を有するポリオキシアルキレン化合物の水酸基価から換算した分子量(以下、水酸基価換算分子量)で4000〜50000の重合体が適する。6000〜50000であることがより好ましく、8000〜25000であることが特に好ましい。また強度が要求される接着剤などの用途には水酸基価換算分子量1000〜30000の重合体が適する。1000より低い場合は硬化物が脆いものとなり50000を超える場合は高粘度のため作業性が著しく悪くなる。3000〜20000であることがより好ましく、6000〜20000であることが特に好ましい。
【0039】
本発明では重合体を硬化させるために硬化触媒(B)が必須である。硬化触媒(B)を使用しない場合、加水分解性ケイ素基の架橋反応は有意な反応速度を得にくい。硬化触媒の使用量としては、重合体(重合体(A’)、または、重合体(A”)および(A”’))100重量部に対し、0.001〜10重量部の範囲で使用するのがよく、0.01〜5重量部使用するのが特に好ましい。
【0040】
硬化触媒(B)としては、チタン酸アルキルエステル塩、有機ケイ素チタン酸塩、およびジブチル錫ジラウレート等のような各種金属のカルボン酸の塩、アセチルアセトナート錯体、アセト酢酸エステレート錯体、各種の酸および塩基物質が使用できる。具体的には、2−エチルヘキサン酸スズ、2−エチルヘキサン酸鉛やジアルキルスズジカルボン酸塩、ジブチルスズビスアセチルアセトナート等の金属塩、有機アミン、ジブチルアミン−2−エチルヘキソエート等のようなアミン塩、等が挙げられる。これらの触媒は単独でまたは併用して使用できる。
【0041】
本発明において下記ケイ素化合物(C−1)および/または(C−2)からなるケイ素化合物(C)を使用する。下記ケイ素化合物(C)は、被着体に対する接着力を高め、プライマー処理をしなくとも強固な接着力を発現する組成物を得るために必須である。
【0042】
ケイ素化合物(C):
(C−1):一般式(2)で表される加水分解性ケイ素基と官能基を有する低分子ケイ素化合物。
(C−2):低分子ケイ素化合物(C−1)のうち、相互に反応しうる官能基を有する2種以上の低分子ケイ素化合物(C−1)を反応させて得られる反応生成物。
−SiX1 bR1 3-b・・・(2)
(一般式(2)中、R1 は炭素数1〜20の置換または非置換の1価の有機基であり、X1 は水酸基または加水分解性基であり、bは1、2または3である。ただし、R1 が複数個存在するときは同じでも異なってもよく、X1 が複数個存在するときは同じでも異なってもよい。)
【0043】
低分子ケイ素化合物(C−1)においてR1 は前記Rと同様の群から選ばれる基であることが好ましい。X1 は前記Xと同様の群から選ばれる基であることが好ましい。低分子ケイ素化合物(C−1)は式(2)で表される加水分解性ケイ素基を1個以上有すればよく、1個または2個有することが好ましい。
低分子ケイ素化合物(C−1)の分子量は1000以下が好ましく、さらには500以下が好ましい。
【0044】
低分子ケイ素化合物(C−1)が有する官能基は水酸基、メルカプト基、アミノ基、エポキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基およびウレタン基から選ばれる官能基であることが好ましい。アミノ基、エポキシ基、アクリロイルオキシ基およびメタクリロイルオキシ基から選ばれる官能基であることがより好ましい。低分子ケイ素化合物(C−1)は官能基を1個以上有すればよく、2個以上有していてもよい。
【0045】
アミノ基を有するケイ素化合物としては、1級アミノ基を有するケイ素化合物が好ましい。なかでも1級アミノ基と2級アミノ基および/または3級アミノ基とを併有する化合物が特に好ましい。
【0046】
アミノ基を有するケイ素化合物としては次の化合物が挙げられる。
N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、N,N’−ビス(γ−トリエトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N−γ−トリメトキシシリルプロピル−N’−β−アミノエチル−エチレンジアミンH2 NCH2 CH2 NHCH2 CH2 NHCH2 CH2 CH2 Si(OCH3 )3 、N−γ−メチルジメトキシシリルプロピル−N’−β−アミノエチル−エチレンジアミンH2 NCH2 CH2 NHCH2 CH2 NHCH2 CH2 CH2 Si(OCH3 )2 (CH3 )。
【0047】
エポキシ基を有するケイ素化合物としては次の化合物が挙げられる。
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン。
【0048】
アクリロイルオキシ基を有するケイ素化合物としては次の化合物が挙げられる。
γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン。
【0049】
メタクリロイルオキシ基を有するケイ素化合物としては次の化合物が挙げられる。
γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン。
【0050】
メルカプト基を有するケイ素化合物としては次の化合物が挙げられる。
γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン。
【0051】
ウレタン基を有するケイ素化合物としてはイソシアネート基を有するケイ素化合物のイソシアネート基変性物が挙げられる。すなわち、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシランなどのイソシアネート基を有するケイ素化合物とアンモニア、モノアミン、ポリアミン、モノオール、ポリオール、チオアルコールなどの活性水素化合物との反応物である。アロファネート変性物やビューレット変性物でもよい。
【0052】
低分子ケイ素化合物(C−1)としては上記したアミノ基を有するケイ素化合物、エポキシ基を有するケイ素化合物またはメタクリロイルオキシ基を有するケイ素化合物であることが好ましい。
【0053】
低分子ケイ素化合物(C−2)は、低分子ケイ素化合物(C−1)のうち、相互に反応しうる官能基を有する2種以上の低分子ケイ素化合物(C−1)を反応させて得られる反応生成物(C−2)である。
【0054】
好ましくは、アミノ基を有するケイ素化合物とエポキシ基またはメタクリロイルオキシ基を有するケイ素化合物との組み合せであり、アミノ基とエポキシ基またはメタクリロイルオキシ基とを反応させることにより得られる反応生成物であることが特に好ましい。
【0055】
この反応はアミノ基を有するケイ素化合物1モルに対しエポキシ基またはメタクリロイルオキシ基を有するケイ素化合物を0.2〜5モルの割合で混合し、室温〜180℃の温度範囲で窒素雰囲気下撹拌することによって容易に得られる。
【0056】
上記ケイ素化合物(C)は重合体(重合体(A’)、または、重合体(A”)および(A”’))100重量部に対し、0.01〜20重量部使用される。0.01重量部未満では期待される接着性が発現しにくく、20重量部を超えると硬化体の物性に悪影響を与える。
【0057】
本発明の組成物にはさらに必要であれば、充填剤、可塑剤、顔料、チキソ性付与剤、各種の老化防止剤、紫外線吸収剤等が使用できる。
【0058】
充填剤としては 炭酸カルシウム、フュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸およびカーボンブラック、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛、活性亜鉛華、シラスバルーン、木粉、パルプ、木綿チップ、マイカ、くるみ穀粉、もみ穀粉、グラファイト、アルミニウム微粉末、フリント粉末等の粉体状充填剤、石綿、ガラス繊維、ガラスフィラメント、炭素繊維、ケブラー繊維、ポリエチレンファイバー等の繊維状充填剤が使用できる。充填剤の使用量は重合体(重合体(A’)、または、重合体(A”)および(A”’)100重量部に対して50〜800重量部が好ましい。特に50〜250重量部が好ましい。
【0059】
可塑剤としては、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、セバシン酸ジブチル、オレイン酸ブチル等の脂肪族カルボン酸エステル;ペンタエリスリトールエステルなどのアルコールエステル類;リン酸トリオクチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル類;エポキシ化大豆油、4,5−エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤;塩素化パラフィン;2塩基酸と2価アルコールとのポリエステル類などのポリエステル系可塑剤、ポリオキシプロピレングリコールやその誘導体等のポリオキシアルキレン類、ポリ−α−メチルスチレン、ポリスチレン等のポリスチレンのオリゴマー類、ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリブテン、水添ポリブテン、エポキシ化ポリブタジエン等のオリゴマー類等の高分子可塑剤が使用できる。可塑剤の使用量は重合体(重合体(A’)、または、重合体(A”)および(A”’)100重量部に対して0〜100重量部が好ましい。
【0060】
顔料には酸化鉄、酸化クロム、酸化チタン等の無機顔料およびフタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の有機顔料が、チキソ性付与剤として有機酸処理炭酸カルシウム、水添ひまし油、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、微粉末シリカ等が挙げられる。
【0061】
本発明の室温硬化性組成物は、シーラント、防水材、接着剤、コーティング剤などに使用でき、特に硬化物自体の充分な凝集力と被着体への動的追従性が要求される用途に好適である。
【0062】
【実施例】
以下に本発明を製造例(例1〜6)、実施例(例7〜9、例13〜15)、比較例(例10〜12、例16〜18)により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。部は重量部を示す。
【0063】
[例1]
グリセリンを開始剤として亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒を用いてプロピレンオキシドの重合を行い、ポリオキシプロピレントリオールを得た。これにイソシアネートプロピルトリメトキシシランを加え、ウレタン化反応を行い末端をトリメトキシシリル基に変換して、分子量18000の重合体P1を得た。
【0064】
[例2]
水酸化カリウム触媒を用いて得られた平均分子量3000のポリオキシプロピレンジオールを金属ナトリウムの存在下、クロロブロモメタンと反応させて高分子量化を行った。得られたポリオキシプロピレンジオールをナトリウムアルコキシドに変換した後、塩化アリルを反応させて末端にアリルオキシ基を有するポリオキシプロピレンを得た。ヒドロシリル化合物としてトリメトキシシランを白金触媒の存在下に反応させて末端にトリメトキシシリル基を有する分子量9000の重合体を得た。
【0065】
水酸化カリウム触媒を用いて開始剤としてグリセリンにプロピレンオキシドを反応して得られたポリオキシプロピレントリオールの末端水酸基を上記と同様の方法で末端アリルオキシ化した後、ヒドロシリル化合物としてメチルジメトキシシランを白金触媒の存在下に反応させて末端にメチルジメトキシシリル基を有する分子量6000の重合体を得た。
【0066】
この分子量9000の重合体と分子量6000の重合体を重量比にして60:40の割合で混合し、重合体混合物P2を得た。
【0067】
[例3]
プロピレングリコールを開始剤として亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒を用いてプロピレンオキシドの重合を行い、ポリオキシプロピレンジオールを得た。得られたポリオキシプロピレンジオールの末端水酸基を例2と同様の方法で末端アリルオキシ化した後、ヒドロシリル化合物としてトリメトキシシランとメチルジメトキシシランの70:30重量比の混合物を白金触媒の存在下に反応させて末端にトリメトキシシリル基とメチルジメトキシシリルプロピル基の両方を有する分子量12000の重合体P3を得た。
【0068】
[例4]
グリセリンを開始剤として亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒を用いてプロピレンオキシドの重合を行い、ポリオキシプロピレントリオールを得た。これにイソシアネートプロピルメチルジメトキシシランを加え、ウレタン化反応を行い両末端をメチルジメトキシシリルプロピル基に変換して、分子量18000の重合体P4を得た。
【0069】
[例5]
水酸化カリウム触媒を用いて得られた平均分子量3000のポリオキシプロピレンジオールを金属ナトリウムの存在下、クロロブロモメタンと反応させて高分子量化を行った。得られたポリオキシプロピレンジオールの末端水酸基を例2と同様の方法で末端アリルオキシ化した後、ヒドロシリル化合物としてメチルジメトキシシランを白金触媒の存在下に反応させて末端にメチルジメトキシシリル基を有する分子量9000の重合体を得た。
【0070】
水酸化カリウム触媒を用いて開始剤としてグリセリンにプロピレンオキシドを反応して得られたポリオキシプロピレントリオールの末端水酸基を例2と同様の方法で末端アリルオキシ化した後、ヒドロシリル化合物としてメチルジメトキシシランを白金触媒の存在下に反応させて末端にメチルジメトキシシリル基を有する分子量6000の重合体を得た。
【0071】
この分子量9000の重合体と分子量6000の重合体を重量比にして60:40の割合で混合し、重合体混合物P5を得た。
【0072】
[例6]
プロピレングリコールを開始剤として亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒を用いてプロピレンオキシドの重合を行い、ポリオキシプロピレンジオールを得た。得られたポリオキシプロピレンジオールの末端水酸基を例2と同様の方法で末端アリルオキシ化した後、ヒドロシリル化合物としてメチルジメトキシシランを白金触媒の存在下に反応させて末端にメチルジメトキシシリル基を有する分子量12000の重合体P6を得た。
【0073】
[例7〜12]
例1〜6で得られた重合体(P1〜P6)100部に対し、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン1部、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン1部および硬化触媒としてジブチルスズジラウレート/ラウリルアミンの重量比3/1混合物2部を添加して、均一な混合物とし、下記に示す方法でサンプルを作製し、引張剪断強度の経時変化を追跡した。結果を表1に示す。
【0074】
<引張剪断強度測定法>
アセトンでよく拭いた25mm巾のアルミニウム板2枚の間に上記組成物を1mm厚で接着面積が25mm巾×25mm長となるように塗布し、5℃で一定時間保持後、50mmのヘッドスピードで2枚のアルミニウム板の両端を引張り、剪断強度を測定した。
【0075】
[例13〜18]
例1〜6で得られた重合体(P1〜P6)100部に対し、炭酸カルシウム100部、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン2部、硬化触媒としてジブチルスズジラウレート/ラウリルアミンの重量比3/1混合物2部を添加して、均一な混合物とし、上記と同様にサンプルを作製し、引張剪断強度の経時変化を追跡した。結果を表2に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
【発明の効果】
以上示したように、本発明の室温硬化性組成物はきわめて硬化性に優れるという特徴を有する。
Claims (5)
- 下記一般式(1)で表される加水分解性ケイ素基を有する重合体を含有する室温硬化性組成物であって、
一般式(1)中のaが1または2である加水分解性ケイ素基および一般式(1)中のaが3である加水分解性基を併有し、主鎖がポリオキシアルキレン鎖である重合体(A’)、
硬化触媒(B)、ならびに、
下記低分子ケイ素化合物(C−1)および/または(C−2)からなるケイ素化合物(C)を含有し、
一般式(1)で表される全加水分解性ケイ素基中の、aが3である加水分解性ケイ素基の割合が5〜80%である、
室温硬化性組成物。
−SiXaR3−a・・・(1)
(一般式(1)中、Rは炭素数1〜20の置換または非置換の1価の有機基であり、Xは水酸基または加水分解性基であり、aは1、2または3である。ただし、Rが複数個存在するときは同じでも異なってもよく、Xが複数個存在するときは同じでも異なってもよい。)
ケイ素化合物(C):
(C−1):一般式(2)で表される加水分解性ケイ素基と官能基を有する低分子ケイ素化合物。
(C−2):低分子ケイ素化合物(C−1)のうち、相互に反応しうる官能基を有する2種以上の低分子ケイ素化合物(C−1)を反応させて得られる反応生成物。
−SiX1 bR1 3−b・・・(2)
(一般式(2)中、R1は炭素数1〜20の置換または非置換の1価の有機基であり、X1は水酸基または加水分解性基であり、bは1、2または3である。ただし、R1が複数個存在するときは同じでも異なってもよく、X1が複数個存在するときは同じでも異なってもよい。) - 下記一般式(1)で表される加水分解性ケイ素基を有する重合体を含有する室温硬化性組成物であって、
一般式(1)中のaが1または2である加水分解性ケイ素基を有し、主鎖がポリオキシアルキレン鎖である重合体(A”)、
一般式(1)中のaが3である加水分解性ケイ素基を有し、主鎖がポリオキシアルキレン鎖である重合体(A”’)、
硬化触媒(B)、ならびに、
下記低分子ケイ素化合物(C−1)および/または(C−2)からなるケイ素化合物(C)を含有し、
一般式(1)で表される全加水分解性ケイ素基中の、aが3である加水分解性ケイ素基の割合が5〜80%である、
室温硬化性組成物。
−SiXaR3−a・・・(1)
(一般式(1)中、Rは炭素数1〜20の置換または非置換の1価の有機基であり、Xは水酸基または加水分解性基であり、aは1、2または3である。ただし、Rが複数個存在するときは同じでも異なってもよく、Xが複数個存在するときは同じでも異なってもよい。)
ケイ素化合物(C):
(C−1):一般式(2)で表される加水分解性ケイ素基と官能基を有する低分子ケイ素化合物。
(C−2):低分子ケイ素化合物(C−1)のうち、相互に反応しうる官能基を有する2種以上の低分子ケイ素化合物(C−1)を反応させて得られる反応生成物。
−SiX1 bR1 3−b・・・(2)
(一般式(2)中、R1は炭素数1〜20の置換または非置換の1価の有機基であり、X1は水酸基または加水分解性基であり、bは1、2または3である。ただし、R1が複数個存在するときは同じでも異なってもよく、X1が複数個存在するときは同じでも異なってもよい。) - 重合体(A’)の主鎖が、複合金属シアン化物錯体を触媒として開始剤にアルキレンオキシドを重合させて得られるポリオキシアルキレン鎖である、請求項1記載の室温硬化性組成物。
- 重合体(A”)および(A”’)の主鎖が、複合金属シアン化物錯体を触媒として開始剤にアルキレンオキシドを重合させて得られるポリオキシアルキレン鎖である、請求項2記載の室温硬化性組成物。
- 複合金属シアン化物錯体が亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体である、請求項3または4記載の室温硬化性組成物。
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