JP3919848B2 - 現像装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンター、複写機、FAX等に用いられる電子写真法を利用した静電気的記録装置で、一成分非磁性現像剤により画像形成をする現像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真装置等で用いられる一成分非磁性現像装置は、一般には現像剤担持体と、現像剤担持体上に現像剤層を形成する現像剤規制部材と、現像剤担持体と接触し回転する現像剤供給部材により構成される。電子写真装置では、現像装置を用いて現像剤担持体と潜像担持体を近接、あるいは接触し、潜像担持体上に形成された潜像に現像剤を付着させ、画像を形成する。
【0003】
現像装置を構成する現像剤担持体としては、金属ローラや金属シャフトの外周に樹脂やゴムなどを構成した弾性ローラ、あるいは金属ローラの表面に導電性粉末を分散した樹脂を塗布したローラなどが多く用いられる。近年求められる高画質化やカラー化を達成するため、現像剤担持体の表面粗さに関していくつかの考案がなされている。
【0004】
その中で例えば、現像剤担持体の表面形状と表面粗さとして中心線平均粗さRaを規定するものとして、特開平6−51618号公報が開示されている。
【0005】
また、現像剤担持体の中心線平均粗さRaと、凹凸の平均山間隔Smと、RaとSmの関係を規定するものとして、特開平8−15979号公報が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平6−51618号公報に開示されるようにRaのみを規定したものでは不十分で、Raの他に凹凸の周期の長さによる現像剤の搬送性や帯電付与に対する影響を無視できない。Raが所望範囲に入っていても現像剤の搬送量が不足したり、微小な搬送むらを生じたりする場合があるためである。特に重合法等で作製した実質的に球形の現像剤を用いる場合、現像剤担持体上に稠密に充填塗布されるため、現像剤担持体表面の形状が画像に反映されやすく、Raを規定するのみでは高画質な画像形成が達成できないという問題を有する。
【0007】
特開平8−15979号公報に開示されるように、現像剤担持体表面のRaの他に、SmやRaとSmの関係を規定したものもあるが、これはトナーとキャリア粒子からなる二成分現像であって、一成分非磁性現像剤を用いる場合、キャリア粒子を含まずに現像剤の帯電は現像剤担持体や現像剤規制部材との接触により行うために、現像剤の帯電が不十分となりやすく、その結果カブリを生じたり、微小なドットの再現を行うことができず、良好な画像を形成できくなるという問題を有する。また、供給部材による現像剤担持体に対する現像剤の供給と剥離を十分に行うことができず、依然として現像履歴を発生するという問題を有する。
【0008】
本発明は、以上の内容を鑑みて考案されたものであり、その目的とするところは、一成分非磁性現像装置のおいて、十分な現像剤の搬送を確保しつつ、かつ微小な搬送むらを生ずることなく均一な画像を形成し、かつ微小ドットを再現性よく形成して高精細な画像を達成することである。
【0009】
さらに他の目的は、現像剤担持体上の現像剤の供給と剥離を効率良く行い、現像履歴のない良好な画像を形成することである。
【0010】
さらに他の目的は、長期にわたり画像形成を行っても現像剤担持体への現像剤の固着を発生せず、良好な画像を形成することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の現像装置は、現像剤担持体と前記現像剤担持体と接触し現像剤を塗布する規制部材と現像剤担持体と接触して構成される現像剤供給部材とを有する一成分非磁性現像装置において、前記現像剤担持体の表面は多数の球状凹部を有し、かつ前記凹部の平均径Lと現像剤の平均粒径dの関係が、d/4≦L≦8dであり、前記現像剤担持体の表面粗さ測定をして得られる粗さ曲線で、粗さ曲線の中心線と平行に正負両方向に一定の基準線Hの直線を設けたとき、粗さ曲線が負の基準線を超えた後、正の基準線を超えたときに1カウントとされるピーク数Pcが、現像剤の体積平均粒径dを用いて、基準線Hを0.1dとしたとき、以下の条件10個/cm≦Pc≦100個/cmであり、前記現像剤担持体表面の中心線平均粗さRaが以下の条件0.1μm≦Ra≦2.0μmであることを特徴とする。
【0014】
また、現像剤担持体表面の凹凸の平均山間隔Smが以下の条件
3μm ≦ Sm ≦ 70μm
であることを特徴とする。
【0015】
また、現像剤のワーデルの実用球形化度が0.9〜1であることを特徴とする。
【0016】
また、前記現像剤の凝集度が30%以下であることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の現像装置を用いて画像形成を行なった実施例を、図に従って説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施例における現像装置の概略図で、潜像担持体1は導電性の支持部2の上に有機または無機の光導電性材料からなる感光層3を形成したものである。この感光層3に対して帯電ローラー等の帯電器4を用いて帯電を行った後に、レーザーやLED等の光源5から出た光を結像光学系6を通して感光層3に画像に応じて選択的に光照射して電位コントラストを得て所望の静電潜像パターンを形成する。一方、現像装置7は現像剤8を搬送して現像するもので、現像剤8を搬送する現像剤担持体9に対して、非磁性または磁性の金属や樹脂で形成されるブレード状の規制部材10により押圧して、規制部材10を弾性変形させ現像剤担持体9の当接部で現像剤8を所定の極性に帯電させると共に現像剤層を1〜2層程度に薄層化し、現像剤担持体9上に現像剤8を直接保持し、現像剤担持体9を回転させて薄層化した状態で現像剤8を潜像担持体1へ搬送するものである。供給部材11は、現像剤担持体9上の現像剤層を剥離または均一化し、現像剤担持体9へ現像剤8を供給するものであって、現像剤担持体9に対して所定の接触圧を持つように対向配置され、現像剤担持体9と回転方向が同一(供給部材11と現像剤担持体9の接触部では反対方向に移動)になるように回転駆動される。このような配置及び駆動を供給部材11に対して行うことにより、現像後に現像剤担持体9上に残留する現像剤8の不均一層を供給部材11が除電しながら機械的に剥離し、現像剤貯蔵容器から送られてくる新たな現像剤と共に再度均一に摩擦帯電させてから現像剤担持体9に供給することができる。現像剤担持体9は潜像担持体1に所定の圧力で圧接されており、この圧接部もしくは圧接部近傍において、潜像担持体1の電位コントラスト及び潜像担持体1と現像剤担持体9との間(または潜像担持体1と規制部材10との間)に印加される現像バイアス印加手段12により現像電界が形成され、現像電界に応じて帯電した現像剤8により潜像が顕像化される。このようにして、潜像担持体1の静電潜像パターンを帯電した現像剤8により顕像化する。さらに、転写ローラー等の転写器13を用いて記録紙14上に現像剤8による像を転写し、熱や圧力を用いて現像剤8を記録紙14に定着し所望の画像を記録紙14上に形成することができる。
【0019】
現像剤担持体9は、金属や樹脂で形成され、表面は粗面化しており、表面を樹脂で数μmの厚みでコート、あるいはコートなしで作製したものである。現像剤担持体は、円筒状のパイプの両端に金属や樹脂製のフランジを設けたもの、棒状のローラでその両端を切削してシャフトとしたもの、あるいは弾性を有する円筒状のスリーブで中空に発泡性の樹脂を構成したものなどを用いることができる。円筒状のパイプ、棒状のローラ、弾性を有する円筒状スリーブに用いる金属としては、アルミニウム、ステンレス、ニッケル、りん青銅等を用いることができる。現像剤担持体9の構成として他に、金属シャフトの金属や樹脂で形成されるシャフトの外周に数mm程度の膜厚を有するゴム、エラストマー等のソリッド部材を形成したものなどを用いることができる。ソリッド部材は、ウレタンゴム、天然ゴム、シリコン、ブタジエン、クロロプレン、ネオプレン、EPDM、NBR等のゴム材料、スチロール、塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレン、メタクリル等のエラストマー等を用いることが可能である。また、ソリッド部材の表面に可撓性層を形成することにより、摩擦負荷を低減し、現像剤の帯電性や搬送性を安定化することもできる。さらに、ソリッド部材にゴムやエラストマーを用いる場合は、表面を熱処理や化学処理を用いて硬化処理することにより摩擦負荷を低減して、ソリッド部材表面の耐久性を高めることもできる。現像剤担持体9は、現像電極効果による高解像な印字を実現するために、少なくとも表面は導電性であることが望ましい。
【0020】
現像剤担持体9の表面に多数の球状凹部を形成する方法としては、ブラスト処理、エッチング処理などを用いることができる。ブラスト処理では、ガラス、鉄、セラミックなどの球形粒子を用いて行うことができる。また、粒径の比較的大きな異型の粒子を用いた後、比較的小さな球形粒子によりブラスト処理を行うこともできる。エッチング処理としては、適当な温度に保持された亜硝酸ソーダと水酸化ナトリウムを1:1に溶解させた水溶液に所定時間入れ、その後洗浄、乾燥する方法などを用いることができる。また、これらのブラスト処理やエッチング処理などを組み合わせ、表面に多数の球状凹部を形成こともできる。
【0021】
ここで図2は、本発明の現像剤担持体の表面を拡大顕微鏡により撮影したときの、拡大写真の模式図である。現像剤担持体の表面は、多数の球状凹部を有する。現像剤担持体の表面に多数の球状凹部を有することにより、表面の凹凸が不定形である場合と比較すると、現像剤担持体表面上での現像剤の回転や滑りが起こりやすくなり、現像剤の帯電を十分に行うことができる。
【0022】
また、現像剤が消費された部分と他の部分の画像の濃度変化する現像履歴に対しては、現像剤担持体表面に多数の球状凹部を有する場合は、表面の凹凸が不定形である場合と比較すると、現像剤担持体からの現像剤の剥離が容易であって、特に現像剤担持体に接触して配置された供給部材を有する場合は極めて良好となる。
【0023】
現像剤担持体表面上の球状凹部の径Lの測定は、例えば(株)アビオニクス社製の画像装置にて行なうことができる。この場合、L1やL2のように完全な円のものはその径を測定し、L3やL4のように完全な円ではないものは、円周の3点を入力し、仮想的に完全な円としたときの径を算出した。測定する現像剤担持体上の数カ所を選び、それぞれの箇所で一定面積内の凹部の径LをL1、L2、L3、...、Lnとして測定し、これらの値を平均して現像剤担持体の表面の球状凹部の径Lとした。
【0024】
現像剤担持体の球状凹部の径Lが8dを超える場合は、搬送量が減少し所望の搬送量を得られ難く、さらに凹凸周期に対応した微小な濃度むらを発生する。特に実質的に形状が球形である現像剤を用いる場合は、現像剤が稠密に充填され、微小むらを発生しやすい。
【0025】
一方、球状凹部の径Lがd/4より小さい場合、搬送量は増加するものの、現像剤の帯電量が低くなる。これは、現像剤の搬送量が増加することにより、現像剤担持体や規制部材との接触機会が減少するからである。さらに、球状凹部には現像剤が入り込むと、球状凹部が微小であるために現像剤を剥離にくく、現像履歴を発生しやすい。さらに、球状凹部に滞留した現像剤が固着を発生し、現像剤の現像剤担持体との接触を阻害して現像剤の帯電量を初期特性よりもさらに低下させ、その結果カブリを生じたり、また微小ドットの再現性が悪くなる。
【0026】
従って、現像剤担持体の表面に多数の球状凹部を有し、球状凹部の径Lがd/4≦L≦8d、さらに望ましくはd/2≦L≦4dのとき、現像剤の帯電が良好であり、さらに微小な濃度むらがなく、現像履歴のない画像を形成できる。
【0027】
次に、現像剤担持体の表面のPcについて説明する。
【0028】
現像剤担持体の表面のPcの測定は、(株)東京精密製のサーフコムにより行った。図3は、現像剤担持体のPcの測定について示した図である。横軸は測定距離xであり、縦軸は深さを示す。図3には、表面の粗さの形状を示す粗さ曲線と、上下に等しい面積に分割する中心線と、基準線±Hに対応する±0.1dの線とがある。測定長さtにおいて、負の基準線−Hを超えた後、正の基準線+Hを超えたときカウントされるピーク数Pcを測定する。
【0029】
一般に、基準線Hを中心線から離すほど小さな凹凸をカウントしなくなるため、計測されるPcは小さくなる。Pcは全ての凹凸を計測することはなく、基準線±Hを横切るもの以外を測定しないため、表面を拡大して観察したときの凹凸周期から計測されるPcに相当する値よりも、小さな値として出力される。
【0030】
発明者らが現像剤担持体の評価を行った結果、体積平均粒径がdの現像剤を用いるとき、0.1dを基準線HとしたときのPcにより、適正な現像剤の搬送量を得ている時の現像剤の帯電性が変化することを見いだした。
【0031】
Pcを小さくしていくと、表面の凹凸が現像剤の体積平均粒径dに対して滑らか(凹凸が小さい)であるため、現像剤担持体上で現像剤の回転や滑りが良好で、かつ規制部材との接触機会も増加するために、現像剤の帯電量は高くなる。また、Pcを大きくしていくと、表面の凹凸の一つ一つが独立して深く、凹凸周期も短いため現像剤の搬送性は良いが、現像剤の回転や滑りが起こりにくいために帯電量は低下する。
【0032】
基準線Hを0.05d〜dまで変化させて評価を行なったところ、基準線Hを大きくしていくとPcは指数的に減少し、基準線Hを0.5d以上にした場合は、極めて大きな凸部のみを測定することになり、現像剤の帯電性との相関性を見いだすことはできなかった。しかし、基準線Hを0.1dにした場合、最も帯電量との相関性をみいだすことができた。
【0033】
Pcが10個/cmより小さい場合は、現像剤の帯電量が極めて高くなる。このため、現像効率が低下し、現像剤担持体上に固定層を形成しやすくなるなどの問題が発生する。
【0034】
一方、Pcが100個/cmより大きい場合は、凹部に入り込んだ現像剤の帯電量が低くなり、カブリを生じやすくなる。また、現像剤の帯電が不均一になるため、微小ドットの再現性が悪く、高精細な画像を達成できない。
【0035】
従って、現像剤担持体の表面のPcが、10個/cm≦Pc≦100個/cm、さらに望ましくは30個/cm≦Pc≦90個/cmとすることにより、現像剤の帯電が良好で、かつ現像履歴などの問題のない良好な画像を形成することができる。
【0036】
表面の球状凹部の径LとPcの関係から、球状凹部を横軸、Pcを縦軸として現像特性おける良好域を示した図が、図4である。球状凹部の径Lをある大きさにしたときのPcは、球状凹部の深さにより変化するため、球状凹部の径Lが同様の値であってもPcはある幅をもつ。良好域は斜線部で示され、これ以外の領域ではそれぞれ問題点を有する。本発明の現像装置に用いる現像剤担持体の表面としては、図4の良好域に属する表面特性となるよう管理することが重要である。
【0037】
中心線平均粗さRaと平均山間隔Smの測定は、Pcの測定と同様の表面粗さ装置により行うことができる。粗さ測定は、JIS−B0601に準拠して測定を行った。
【0038】
一般に、Raが2μmより大きい場合、規制部材との接触機会が減少するため、現像剤の帯電量が低下し、画像上でカブリを生じたり、微小ドットの再現性が悪くなる。特に、形状が実質的に球形な現像剤を用いると、Raが大きいときは現像剤の微小な搬送むらが生じやすい。これは、現像剤が稠密に充填されるためである。
【0039】
Raが0.1μmより小さい場合は、現像剤の搬送量が著しく少なくなり、現像剤の帯電量が非常に高くなる。これは、現像剤の搬送量が少なくなり、規制部材との接触機会が増加するためである。
【0040】
従って、Raが0.1μm≦Ra≦2μm、さらに望ましくは0.2μm≦Ra≦0.7μmとすることにより、十分な搬送量が得られ、かつ微小な濃度むらがなく、かつ現像剤の帯電性が良く微小ドットを再現性良く形成でき、良好な画像を形成できる。
【0041】
平均山間隔Smは表面粗さを測定したときの断面曲線において、その平均線と一定方向(例えば山から谷)に向かう曲線とが横切るときの、ある横断点から次の横断点までの間隔の平均値である。Smが3μmより小さい場合は、搬送量が増加し、現像剤担持体や規制部材との接触機会が減少し、現像剤の帯電量は小さくなる。また、現像剤担持体表面の凹凸周期が非常に小さく、特に微小粒径の現像剤が入り込みやすく、現像剤担持体への現像剤の固着を発生しやすい。また、Smが70μmより大きい場合は、現像剤担持体上の現像剤の搬送量が減少し、画像濃度が低下してしまう。また、微小な搬送むらを生ずる。現像剤が実質的に球形の場合は、異形の現像剤の場合と比較して現像剤が稠密に充填されるため、特に微小な濃度ムラを発生しやすい。
【0042】
従って、Smが3μm≦Sm≦70μm、さらに望ましくは4μm≦Sm≦18μmとすることにより、搬送量を十分に得られ、かつ微小な濃度むらがなく、かつ現像剤担持体への現像剤の固着を発生せず、良好な画像を長期にわたり形成できる。
【0043】
図1の規制部材10は、ステンレスやリン青銅等の金属を用いた肉厚が数百μm程度の薄板バネや、ゴムやエラストマー等の薄肉樹脂を用いることができる。規制部材10は、肉厚が薄く変形し易いため、比較的肉厚の厚い固定板により挟持固定され、反固定側端部を自由端として、この自由端先端部近傍で現像剤担持体9を押圧するものである。規制部材10の当接部については、先端部近傍を現像剤担持体9へ押圧することにより、数g/mm程度の低い圧力で現像剤薄層を形成することが可能で、過大な圧力による現像剤の固着の発生を抑制する。また、規制部材10の先端当接部近傍に現像剤流れを矯正するように、折り曲げ部を設けたり、流れを矯正する部材を付加すると、規制部材10により現像剤担持体9から剥離された現像剤を安定に供給部材11に還流することができる。規制部材10に用いる材料としては、鉄鋼、ステンレス、黄銅、アルミ等の金属、或いは、シリコン、ウレタン等の樹脂、或いはこれらの樹脂にカーボンブラック等の導電性微粉末を分散した導電性樹脂である。さらに、規制部材10の表面には、例えば金属錯塩系染料や第四級アンモニウム塩の様な帯電制御剤を塗布して、現像剤担持体9上に形成される現像剤8層の帯電不足や帯電過剰等の摩擦帯電不良を低減することができる。本実施例においては、ステンレス板の先端に方形のウレタン樹脂を接着して作製したものを、規制部材として用いた。
【0044】
供給部材11は、金属や樹脂で形成されるシャフトの外周に所定のセル密度(発泡セル径が数十〜千μm程度)を有する発泡部材を形成したものである。発泡部材は、カーボンブラックなどの導電性顔料や金属錯塩などのイオン導電剤を前記発泡部材に内添したり、前記導電材料を分散した結着剤に発泡部材を含浸して形成した10E8Ωcm以下の比抵抗を有する導電性フォーム、あるいは絶縁性のフォームである。さらに、発泡部材は、本実施例ではポリウレタンフォームを使用しているが、同様にポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ABS、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、アセチルセルロース、ポリアミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、アクリル樹脂、EPDM、シリコン、ポリイミド、クロロプレン、ネオプレン、ブチルゴム、SBRなどのフォームを使用することもできる。特に発泡部材には、ポリエチレン、ポリウレタン、シリコン、ネオプレン等の単泡または連泡の軟質フォームを用いるのが好適であり、現像剤の目詰まり等を防止して耐久性を向上させるためには単泡のフォームを用いるのが望ましい。
【0045】
発泡部材の表層部におけるセル密度は1〜30個/mmであるもの、特に好ましくは、10〜25個/mmであるものを用いるのが好ましい。これは、発泡部材の表層部に現像剤8を保持しながら現像剤担持体9表面へ現像剤8を供給するのに好適であるからで、現像剤8の粒径や流動性の変化に影響されずに現像剤担持体9表面へ現像剤を効率良く供給することができる。これ以外のセル密度である場合、表層部に現像剤8を十分に保持することが事実上困難であり、供給部材の回動によって、現像剤が発泡部材の表層部からすり抜けたり脱落し、現像剤担持体に対する現像剤の供給不良を生じ、搬送むらや搬送量不足が生じる。
【0046】
また、供給部材11としては、金属シャフトの多数の針状部材を有するブラシ状の部材を用いることができる。針状部材として用いる材料は、樹脂や金属を針状にしたものや、動物の体毛などを用いることができる。針状部材の径は任意のものを用いることができ、構成する樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ABS、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、アセチルセルロース、ポリアミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、アクリル樹脂、EPDM、シリコン、ポリイミド、クロロプレン、ネオプレン、ブチルゴム、SBRなどのフォームを使用することができ、金属としてはステンレス、ニッケル、りん青銅などを用いることができる。
【0047】
現像剤担持体9、規制部材10、供給部材11のうち少なくとも2つに現像バイアス電圧を印加することにより、これらの部材と現像剤8との摩擦帯電により発生する逆極性の電荷を電源等に逃がすことができ、不要な電荷の蓄積による濃度変動を防止し、安定な現像状態を維持することができる。但し、現像剤8の付着による固定層の発生を防止するためには、現像バイアス電圧を絶縁性の部材以外に印加するのが好ましい。
【0048】
潜像担持体1の感光層3は、有機または無機の感光性材料が使用可能である。図中の矢印は、各部材の回転方向を示し、潜像担持体と現像剤担持体との周速比は、1:1から1:5の範囲が好ましいが、本発明はこれらの図及び数値に限定されるものではない。また、本発明の現像装置は、圧接現像に用いるのが好ましいが、接触現像や非接触現像で現像剤の薄層形成を必要とする現像装置に用いても良い。
【0049】
現像剤8は、ポリエステル樹脂、スチレンアクリル樹脂、エポキシ樹脂等の結着樹脂と、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックに対応する着色剤と、必要に応じて離型剤、荷電制御剤を均一に分散して内添し、さらに表面に流動性付与剤等を付着させ、構成される。現像剤8は、レジン系、ワックス系のいずれの現像剤も使用可能である。
【0050】
現像剤8の結着樹脂として用いるものとしては、ポリスチレン及び共重合体、例えば、水素添加スチレン樹脂、スチレン・イソブチレン共重合体、ABS樹脂、ASA樹脂、AS樹脂、AAS樹脂、ACS樹脂、AES樹脂、スチレン・クロロスチレン共重合体、スチレン・プロピレン共重合体、スチレン・ブタジエン架橋ポリマー、スチレン・ブタジエン・塩素化パラフィン共重合体、スチレン・アリル・アルコール共重合体、スチレン・ブタジエンゴムエマルジョン、スチレン・マレイン酸エステル共重合体、スチレン・イソブチレン共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、アクリレート系樹脂あるいはメタアクリレート系樹脂及びその共重合体、スチレン・アクリル系樹脂及びその共重合体、例えば、スチレン・アクリル共重合体、スチレン・ジエチルアミノ・エチルメタアクリレート共重合体、スチレン・ブタジエン・アクリル酸エステル共重合体、スチレン・メチルメタアクリレート共重合体、スチレン・nーブチルメタアクリレート共重合体、スチレン・ジエチルアミノ・エチルメタアクリレート共重合体、スチレン・メチルメタアクリレート・n−ブチルアクリレート共重合体、スチレン・メチルメタアクリレート・ブチルアクリレート・N−(エトキシメチル)アクリルアミド共重合体、スチレン・グリシジルメタアクリレート共重合体、スチレン・ブタジエン・ジメチル・アミノエチルメタアクリレート共重合体、スチレン・アクリル酸エステル・マレイン酸エステル共重合体、スチレン・メタアクリル酸メチル・アクリル酸2ーエチルヘキシル共重合体、スチレン・n−ブチルアリレート・エチルグリコールメタアクリレート共重合体、スチレン・n−ブチルメタアクリレート・アクリル酸共重合体、スチレン・n−ブチルメタアクリレート・無水マレイン酸共重合体、スチレン・ブチルアクリレート・イソブチルマレイン酸ハーフエステル・ジビニルベンゼン共重合体、ポリエステル及びその共重合体、ポリエチレン及びその共重合体、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリプロピレン及びその共重合体、フッソ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニールアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂などを一種類あるいは、二種類以上ブレンドしたものを使用する事ができる。
【0051】
また、樹脂以外の物質としてワックス等も使用することができる。例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス等の植物系天然ワックス、みつろう、ラノリン等の動物系天然ワックス、モンタンワックス、オゾケライト等の鉱物系天然ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の天然石油系ワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス等の合成炭化水素ワックス、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体等の変性ワックス、硬化ひまし油、硬化ひまし油誘導体等の水素化ワックス、合成ワックス等のワックス類、ステアリン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸類、低分子量ポリエチレン、酸化ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のオレフィン共重合体を一種あるいは二種以上を用いる。
【0052】
荷電制御剤としては、例えば、サリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸、またはその誘導体の金属化合物、珪素化合物、尿素化合物、ホウ素化合物、スルホン酸やカルボン酸を側鎖に有する高分子型化合物、カリークスアレーン等のネガ荷電制御剤を用いることができる。またグアニジン化合物、有機四級アンモニウム塩、有機四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子化合物、イミダゾール化合物などのポジ荷電制御剤を用いることができる。
【0053】
着色剤としては、カーボンブラック、スピリットブラック、ニグロシンなどの黒色染料・顔料を使用する。カラー用としては、フタロシアニン、ローダミンBレーキ、ソーラピュアイエロー8G、キナクリドン、ポリタングストリン酸、インダスレンブルー、スロホンアミド誘導体などの染料、または顔料を使用することができる。さらに、分散剤として、金属石鹸、ポリエチレングリコールなど、帯電制御剤として、電子受容性の有機錯体、塩素化ポリエステル、ニトロフニン酸、第4級アンモニウム塩、ピリジニル塩などを添加することができる。この他に磁性用トナーとして磁性粉末、例えば、Fe3O4、Fe2O3、Fe、Cr、Niなどを用いる。次に現像剤に表面に外添するものとしては、無機物微粒子で例えば、SiO2、TiO2、(ルチル、アナターゼ)、ZnO、Al2O3(α型、β型)、TiON、TiBaO3、MgO、ZrO2、CaCO3、NiO、SnO、クレー、タルク、ケイ砂、雲母、SiN、SiC、Ba2SO4、カーボンブラック等の微粒子を使用する事ができる。また、樹脂微粒子としてはポリメチルメタアクリレート、ポリエチルメタアクリレート、ポリnーブチルメタアクリレート、ポリエステル、(スチレンーブタジエン)コポリマー、(PVC、PVA、PVAc)コポリマー、ポリγーメチルーグルタメート、フッ素樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、ベンゾクアナミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン66/6、ナイロン11、ナイロン12、ポリスチレン樹脂、架橋ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエチレン樹脂、セルロース等を使用することができる。
【0054】
現像剤8の製造方法としては、混練粉砕法により作製した後、球形化処理を行って作製する方法、多流体ノズルを用いて空気中に霧化して作製する方法、懸濁重合法、分散重合法、ソープフリー重合法などにより作製する方法などを用いることができる。
【0055】
作製した現像剤の体積平均粒径の測定は、(株)コールター社製のコールターカウンターTA−II型にて行った。測定装置は、体積平均粒径および個数平均粒径の出力装置とパーソナルコンピュータに接続されている。コールターカウンターによる測定は、まず1%塩化ナトリウム電解液に測定する現像剤数gを分散させる。分散を良好にするための界面活性剤を数滴加えたのち、超音波装置により現像剤を電解液中に完全分散を行うことができる。その後、100μmアパーチャーを用いて一万個〜十万個の現像剤の粒径を測定した後、コンピュータによる処理を行い、粒度分布と体積平均粒径を算出する。
【0056】
本発明の現像装置に用いる現像剤8は、ワーデルの実用球形度が0.9〜1の範囲のものを用いることができる。ワーデルの実用球形度は、対象とする粒子の投影面積に等しい面積を有する円の直径と、粒子の投影像に外接する最小円の直径との比で表される数値である。測定方法は、例えばスライドガラス上に現像剤を適量付着させ、現像剤粒子が重ならないよう、個別に分散させる。このようにして作製したサンプルの任意の現像剤の映像を、例えば(株)アビオニクス社製の画像処理装置に入力し、投影面積を測定する。本実施例においては、500倍に拡大した映像により処理を行った。測定した投影面積から、等しい面積の円の直径を計算する。一方、同様の映像から現像剤に外接する最小円の直径を測定する。このような方法により、任意100個の現像剤のサンプルを測定し、平均して得られた値から、ワーデルの実用球形度を求める。
【0057】
ワーデルの実用球形度が0.9より小さい場合、現像剤が異形に近くなるため、現像剤の回転や滑りが発生しにくいため、帯電性が悪い。また、現像剤担持体上からの現像剤の剥離をしにくくなるため、現像履歴を発生しやすい。
【0058】
従って、現像剤のワーデルの実用球形度が0.9〜1である、さらに望ましくは0.93〜1であることにより、現像剤の帯電性が良く、現像履歴を発生しなくなる。
【0059】
凝集度の測定は、(株)ホソカワミクロン製のパウダーテスター(PT−D型)にて行うことができる。現像剤を測定環境下に12時間放置後、5gを計量し、振動台に重ねて設置された3種類のふるいの上部から投入する。ふるいは、上から60メッシュ(目開き250μm)、100メッシュ(150μm)、200メッシュ(75μm)の順に重ねて設置されている。現像剤を投入後、DC1.7〜1.75Vにて15秒間振動させ、それぞれのふるいに残留した現像剤の重量を秤量する。
【0060】
凝集度として表される数値は、以下の計算式により算出された結果である。
【0061】
【数1】
【0062】
現像剤の凝集度は、流動性の指標として用いられるものである。近年は、低温定着化の達成のため低軟化点材料を多量に含有させたり、結着樹脂自体の軟化点を下げるために、流動性が低下しやすい傾向にある。このため、現像剤の表面に適正な量のシリカや酸化チタンなどの流動性付与剤を加え、流動性を向上させる。流動性に対する現像剤の形状の影響としては、形状が球形に近づくほど流動性は向上し、ワーデルの実用球形度が0.9〜1の場合、流動性は極めて良好で凝集度が30%以下になる。
【0063】
現像剤の流動性は現像性や転写効率に対して影響がある。現像性においては、凝集度が30%より大きく、流動性が悪い場合、現像剤の回転や滑りが起こりにくいため、帯電性が悪くなり、また現像剤担持体からの剥離が行われにくく現像履歴を発生しやすい。
【0064】
従って、現像剤の流動性を30%以下、さらに望ましくは25%以下にすることにより、現像剤の帯電性が良くなり、かつ剥離を十分に行なうことができるため現像履歴のない画像を形成できる。
【0065】
(実施例1)本実施例は、本発明の請求項1の凹部の平均径Lと現像剤の体積平均粒径dとの関係、現像剤担持体表面の中心線平均粗さRaの関係、請求項2の現像剤担持体表面の平均山間隔Smの関係に対応するものである。
【0066】
前述のような構成の現像装置で、現像剤担持体の表面形状を変化させたサンプルにて構成し、画像形成試験を行った。
【0067】
現像剤担持体は、円筒状のステンレスローラを用いて表面を球形のガラス粒子を用いてブラスト処理し、球状凹部を形成させて作製した。
【0068】
現像剤担持体A、B、Cの3種類を用意し、それぞれのガラス粒子として#600、#300、#60を用いて表面処理を行った。
【0069】
このように作製した現像剤担持体の表面の球状凹部の径L、ピーク数Pc、中心線平均粗さRa、平均山間隔Smを前述のように測定した結果、表1に示すようになった。表1は、作製した現像剤担持体の特性をまとめたものである。
【0070】
【表1】
【0071】
現像剤担持体Aは、球状凹部の径Lが現像剤の体積平均粒径7μmの1/4倍よりも小さく、現像剤担持体Cは現像剤の体積平均粒径の8倍よりも大きくなっている。
【0072】
現像剤として用いたカラー現像剤は、スチレン単重合体とブチレンアクリレート単量体とを用い、懸濁重合法により作製したものである。マゼンタ・シアン・イエロー・ブラックのそれぞれの着色剤として、C.Iピグメントレッド、C.I.ピグメントブルー、C.I.ピグメントイエロー、カーボンブラックを内添した。離型剤としてはエステルワックス、荷電制御剤としてサリチル酸金属化合物を添加した。母粒子表面には、流動性付与剤として疎水性シリカを1%添加した。
【0073】
本実施例の現像剤の体積平均粒径を測定したところ、7μmであった。
【0074】
また、本実施例に用いた現像剤のワーデルの実用球形化度を測定したところ、0.93であった。
【0075】
また、凝集度を測定した。このような現像剤担持体、および現像剤により、前記に説明した現像装置を構成し、画像形成を行い、評価した。評価は○(非常に良い)、△(良い)、×(悪い)の3段階にて行った。
【0076】
【表2】
【0077】
その結果、表2に示す通り、現像剤担持体Aを用いた現像装置は、現像剤の十分な搬送量は得られたものの、現像剤の入れ換えが効率良く行われず、現像履歴を発生した。また、連続して画像を形成した場合、カブリや白ぬけを発生した。白ぬけを発生した現像剤担持体Aの、発生箇所に対応する部分の表面を拡大顕微鏡で観察したところ、現像剤担持体への現像剤の固着が発生していた。その結果、カブリや白ぬけを発生した。
【0078】
また、現像剤担持体Cを用いた現像装置は、十分な搬送量を得ることはできても、微小な搬送むらを生ずるため、画像上に微小な濃度むらを発生せず、良好な画像を形成することができなかった。
【0079】
現像剤担持体Bを用いた現像装置では、現像剤担持体上に十分な量の現像剤を搬送することができ、微小な搬送むらを生じない均一な画質が得られた。さらに、現像剤担持体上の現像剤の供給と剥離を十分に行なうことができ、現像履歴を発生することもなかった。また、長期にわたり画像形成を行っても、現像剤担持体への現像剤固着を発生せず、良好な画質を形成し続けることができた。
【0080】
さらに、表面を異型粒子(#400、セラミック粒子)のブラスト処理による処理を行い、不規則な表面形状を形成させて作製した現像剤担持体Xを用いて、同様の画像形成評価を行った。
【0081】
現像剤担持体の表面を拡大顕微鏡により観察したところ、凹凸は不定形に形成されており、凹凸の周期も非常に細かなものであった。凹凸は不定形であるため径Lを測定することはできなかった。また、Pc、Ra、Smを測定した。
【0082】
このような現像剤担持体を用いて構成した現像装置により、画像形成を行った。現像剤としては、同様のものを使用した。
【0083】
その結果、表2に示すとおり、現像剤担持体上の現像剤量が多く、現像剤の現像剤担持体表面との接触機会が少なくなり、現像剤の帯電量が低かった。このため微小ドットの形成を再現性良くできず、高精細な画像を得られなかった。さらに、現像剤担持体上の現像剤の供給と剥離が十分に行われないため、現像履歴を発生した。さらに、長期にわたり画像形成を行うと、現像剤担持体の現像剤の固着が発生し、カブリと白ぬけを発生した。
【0084】
(実施例2)本実施例は、本発明の請求項1の粗さ曲線の中心線と平行に正負両方向に一定の基準線Hの直線を設けたとき、粗さ曲線が負の基準線−Hを超えた後、正の基準線+Hを超えたときに1カウントとされるピーク数Pcの関係に対応するものである。
【0085】
実施例1と同様の現像剤の母粒子で、外添剤の量を1.0%に変化させたものを用いた。現像剤の凝集度を測定したところ20%であり、その他の特性は同様であった。
【0086】
現像剤担持体としてPcを変化させたサンプル作製した。現像剤担持体の表面処理は、ブラスト粒子径、吹き付け圧力、処理時間を変化させて行なった。表3は、作製した現像剤担持体の特性をまとめたものである。
【0087】
【表3】
【0088】
現像剤担持体DはPcが10個/cmよりも小さい5個/cmであり、現像剤担持体FはPcが100個/cmよりも大きい105個/cmとなっている。
【0089】
これらの現像剤担持体D〜Fを用いて構成した現像装置で、画像評価を行なった。表4は、画像形成評価の結果である。
【0090】
【表4】
【0091】
現像剤の帯電量をそれぞれ測定したところ、D−E−Fの順に高かった。現像剤担持体Dでは、現像剤の静電気的な付着力が強く働いており、現像効率が低かった。
【0092】
現像剤担持体Fは、現像効率は高いものの帯電量が低いためカブリを生じ、微小ドットを再現性よく形成できなかった。
【0093】
現像剤担持体Eでは、現像剤の帯電量が適正で、現像効率も90%を超えており、かつ微小ドットの再現性がよく高精細な画像形成ができた。
【0094】
(実施例3)本発明の請求項1の粗さ曲線の中心線と平行に正負両方向に一定の基準線Hの直線を設けたとき、粗さ曲線が負の基準線−Hを超えた後、正の基準線+Hを超えたときに1カウントとされるピーク数Pcの関係に対応するものである。
【0095】
実施例1と同様の現像剤の母粒子で、外添剤の量を0.5%に変化させた現像剤を用いた。現像剤の凝集度を測定したところ23%であり、その他の特性は同様であった。
【0096】
現像剤担持体としてRaを変化させたサンプルを作製した。現像剤担持体の表面処理は、ブラスト粒子径、吹き付け圧力、処理時間を変化させて作製した。作製した現像剤担持体の特性をまとめたものが表5である。
【0097】
【表5】
【0098】
現像剤担持体GはRaが0.1μmよりも小さい0.03μmであり、現像剤担持体IはRaが2μmよりも大きい2.2μmとなっている。
【0099】
これらの現像剤担持体G〜Iを用いて構成した現像装置で、画像評価を行なった。表6は、画像形成評価の結果である。
【0100】
【表6】
【0101】
現像剤担持体Gは、搬送量が少なく十分な濃度が得られなかった。また、帯電量が極めて高く、現像効率が低かった。
【0102】
現像剤担持体Iは、現像剤の搬送量が多く十分な濃度を得られるものの、カブリを発生し、微小ドットの再現性も悪かった。
【0103】
現像剤担持体Hは、十分な搬送量が得られるとともに、現像剤の帯電性が良好で、微小ドットの再現性がよく、高精細な画像を形成できた。
【0104】
(実施例4)本実施例は、本発明の請求項2の現像剤担持体表面の平均山間隔Smの関係に対応するものである。
【0105】
実施例1と同様の現像剤の母粒子で、外添剤の量を0.6%に変化させた現像剤を用いた。現像剤の凝集度を測定したところ22%であり、その他の特性は同様であった。
【0106】
現像剤担持体としてSmを変化させたサンプルを作製した。現像剤担持体の表面処理は、ブラスト粒子径、吹き付け圧力、処理時間を変化させて作製した。作製した現像剤担持体の特性をまとめたものが表7である。
【0107】
【表7】
【0108】
現像剤担持体JはSmが3μmよりも小さい2μmであり、現像剤担持体LはSmが70μmよりも大きい79μmとなっている。
【0109】
これらの現像剤担持体G〜Iを用いて構成した現像装置で、画像評価を行なった。表6は、画像形成評価の結果である。
【0110】
【表8】
【0111】
現像剤担持体Jは、現像剤の搬送量が多く十分な濃度を得られるものの、カブリを発生し、微小ドットの再現性も悪かった。また、現像剤の供給と剥離が十分に行われず、現像履歴を発生した。さらに、長期にわたり画像を形成したところ、現像剤担持体上に現像剤が固着し、カブリと白ぬけを発生した。
【0112】
現像剤担持体Lは、搬送量が少なく十分な濃度が得られなかった。また、帯電量が極めて高く、微小ドットを再現性よく形成できなかった。
【0113】
現像剤担持体Kは、搬送量も十分に得られ、帯電量が適正であり、微小ドットの再現性もよく、現像履歴のない良好な画像を形成できた。
【0114】
(実施例5)本実施例は、本発明の請求項3の現像剤のワーデルの実用球形化度の関係、請求項4の現像剤の凝集度の関係に対応するものである。
【0115】
現像剤として、ワーデルの実用球形化度の異なるサンプルを作製し、実施例1と同様の評価を行った。
【0116】
現像剤サンプルは、懸濁重合法により作製した現像剤aと混練粉砕法で作製した後、球形化処理を変えて作製した現像剤b、およびyを用意した。現像剤の体積平均粒径は全て6μmで、粒度分布もほぼ同じものを作製した。現像剤の表面には、疎水性シリカを外添しており、凝集度が15%になるように調整している。
以上
【0117】
現像剤担持体として、実施例1の現像剤担持体Bを用い、現像装置を構成した。このような現像装置で、画像形成を行った。
【0118】
【表9】
【0119】
表9は、それぞれの現像剤の現像剤特性と画像形成評価の結果を示すものである。表9に示すとおり、現像剤a、bを用いた場合は、十分な搬送量が得られるとともに、現像剤の帯電性が良好で、微小ドットの再現性良く形成され、高精細な画像を形成することができた。また、現像履歴のない良好な画像を長期にわたり形成することができた。
【0120】
一方、現像剤yを用いた場合は、現像剤の帯電性が悪いため、微小ドットの再現性が悪かった。また、現像剤の供給と剥離が十分に行われず、現像履歴を発生した。さらに長期にわたり画像形成を行なうと現像剤担持体への現像剤の固着が発生し、白ぬけを発生した。
【0121】
さらに、現像剤の外添剤量を変化させ、凝集度を変化させた現像剤zを作製し、て画像形成評価を行った。現像剤zは、実施例1で用いた現像剤の母粒子で、外添剤のないものである。
【0122】
現像剤担持体としては、実施例1で用いた現像剤担持体Bを用いて現像装置を構成し、画像形成を行った。
【0123】
その結果、表9に示すとおり、十分な搬送量を得られるものの、現像剤の帯電量が低かった。このため、微小なドットの画像形成を再現良く行うことができず、高精細な画像の形成を行うことができなかった。さらに、現像剤担持体上の現像剤の供給と剥離が十分行われず、現像履歴を発生した。さらに、長期にわたり画像を形成すると現像剤担持体上に現像剤が固着し、カブリや白ぬけを発生した。
【0124】
(実施例6)
本実施例は、請求項1に対応する他の現像剤担持体の製造方法を示したものである。
【0125】
現像剤担持体として、アルミパイプの両端にフランジを設置したローラで、表面をエッチング処理により粗面化を行ったものを作製し、現像装置を構成した。
【0126】
現像剤担持体の表面のエッチング処理は、温度75℃に一定に保持した、亜硝酸ソーダと水酸化ナトリウムを1:1に溶融させた水溶液中に、あらかじめ表面を鏡面化し、油膜等を洗浄したアルミローラを90sec間浸して行った。その後、硝酸液、純水にて洗浄を数回行なった後、乾燥した。
【0127】
現像剤担持体の表面を拡大し観察したところ、表面に多数の球状凹部が形成されていた。この現像剤担持体を実施例1と同様の方法で測定したところ、球状凹部の径L=7μm、Pc=80個/cm、Ra=0.8μm、Sm=10μmであった。
【0128】
このような現像剤担持体を用いて現像装置を構成した。
【0129】
実施例1と同様の現像剤で、外添剤の量を1.2%にしたものを使用した。この現像剤の凝集度を測定したところ13%であった。
【0130】
以上の構成で画像形成を行ったところ、十分な搬送量が得られるとともに、微小ドットを再現よく現像でき、高精細な画像を形成できた。さらに現像剤担持体上の現像剤の供給と剥離を十分に行なうことができ、現像履歴のない良好な画像を形成することができた。また、長期にわたり画像形成を行っても、現像剤担持体への現像剤の固着を発生せず、良好な画像を形成できた。
【0131】
以上説明したように、現像剤担持体の表面が所望の特性とすることにより、良好な画像形成を長期にわたり形成することができる。現像剤担持体の表面が所望の範囲であれば良く、粗面化の方法や現像剤担持体の材質・構成についてはこれらに限定されるものではない。
【0132】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の現像装置は、現像剤担持体と前記現像剤担持体と接触し現像剤を塗布する規制部材と現像剤担持体と接触して構成される現像剤供給部材とを有する一成分非磁性現像装置において、前記現像剤担持体の表面は多数の球状凹部がを有し、かつ前記凹部の平均径Lと現像剤の平均粒径dの関係が、d/4≦L≦8dであることにより、十分な搬送量を得るとともに、現像剤への帯電量の付与が良好であるため、微小ドットを再現性良く形成でき、高精細な画像を形成できる。さらに、現像剤担持体上の現像剤の供給と剥離を十分に行うことができ、現像履歴のない良好な画像を形成する事ができるという効果を有する。さらに、現像剤担持体への現像剤の固着が発生しにくく、カブリや白ぬけを発生しない、良好な画像を長期にわたり形成することができるという効果を有する。
【0133】
また、現像剤担持体の表面粗さ測定をして得られる粗さ曲線で、粗さ曲線の中心線と平行に正負両方向に一定の基準線Hの直線を設けたとき、粗さ曲線が負の基準線−Hを超えた後、正の基準線+Hを超えたときに1カウントとされるピーク数Pcが、基準線Hを0.1dとしたとき、以下の条件
10個/cm ≦ Pc ≦ 100個/cm
であることにより、十分な搬送量を得ることができるとともに、現像剤の帯電性が良好で、微小ドットを再現性よく形成できるため高精細な画像を形成でき、さらに現像履歴のない良好な画像を長期にわたり形成することができる。特に、現像剤の形状が実質的に球形である場合も、良好な画像を長期にわたり形成できる。
【0134】
また、現像剤担持体表面の中心線平均粗さRaが以下の条件
0.05μm ≦ Ra ≦ 2.0μm
であることにより、良好な画像を形成することができる。特に、現像剤の形状が実質的に球形である場合も、良好な画像を長期にわたり形成できる。
【0135】
また、現像剤担持体表面の平均山間隔Smが以下の条件
3μm ≦ Sm ≦ 70μm
であることにより、現像剤担持体への現像剤の固着を発生することなく、良好な画像を長期にわたり形成することができる。特に、形状が実質的に球形である現像剤を用いた場合も、良好な画像を長期にわたり形成できる。
【0136】
また、現像剤のワーデルの実用球形化度が0.9〜1であることにより、高精細で良好な画像を形成することができる。
【0137】
また、現像剤の凝集度が30%以下であることにより、現像履歴のない良好な画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の現像装置の一実施例を示す概略図。
【図2】本発明の現像装置の現像剤担持体の表面を拡大した模式図。
【図3】現像剤担持体の表面のPcの測定を表わした図。
【図4】本発明の現像装置の現像剤担持体で、表面の球状凹部の径Lを横軸、Pcを縦軸にしたときの良好域を表した図。
【符号の説明】
1 潜像担持体
2 支持部
3 感光層
4 帯電器
5 光源
6 結像光学系
7 現像装置
8 現像剤
9 現像剤担持体
10 規制部材
11 供給部材
12 現像バイアス印加手段
13 転写器
14 記録紙
Claims (4)
- 現像剤担持体と、前記現像剤担持体と接触し現像剤を塗布する規制部材と、現像剤担持体と接触して構成される現像剤供給部材とを有する一成分非磁性現像剤を用いる現像装置において、前記現像剤担持体の表面は多数の球状凹部を有し、かつ前記凹部の平均径Lと現像剤の体積平均粒径dとの関係が以下の条件d/4≦L≦8dであり、前記現像剤担持体の表面粗さ測定をして得られる粗さ曲線で、粗さ曲線の中心線と平行に正負両方向に一定の基準線Hの直線を設けたとき、粗さ曲線が負の基準線−Hを超えた後、正の基準線+Hを超えたときに1カウントとされるピーク数Pcが、基準線Hを0.1dとしたとき、以下の条件10個/cm≦Pc≦100個/cmであり、前記現像剤担持体表面の中心線平均粗さRaが以下の条件0.1μm≦Ra≦2.0μmであることを特徴とする現像装置。
- 現像剤担持体表面の凹凸の平均山間隔Smが以下の条件3μm≦Sm≦70μmであることを特徴とする請求項1記載の現像装置。
- 現像剤のワーデルの実用球形化度が0.9〜1であることを特徴とする請求項1または2記載の現像装置。
- 前記現像剤の凝集度が30%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の現像装置。
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