JP2008015151A - 磁性微粒子含有型樹脂キャリアを用いた二成分系現像剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】定着性を改善したシャープメルトなトナーを二成分現像剤のトナーとして使用し、帯電安定・定着性を両立した二成分現像剤を提案する。
【解決手段】少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックス成分を含有したトナー粒子を有するトナーと、結着樹脂中に金属化合物粒子が分散されているキャリアコア及び該キャリアコア表面を被覆する樹脂を有する磁性微粒子含有型樹脂キャリアとを少なくとも有する二成分系現像剤において、
該トナーは、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体を含有し、
該現像剤の移送性指数が75〜150であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真方式により静電荷像を現像するための二成分系現像剤に関する発明である。より詳しくは、磁性微粒子含有型樹脂キャリアとトナーによって構成する二成分系現像剤及び、前記現像剤を使用する画像形成方法に関するものである。
従来の電子写真法としては、光導電層に原稿に応じた光像を照射することにより静電荷像を形成し、次いで該静電荷像上にトナーを付着させて該静電荷像を現像し、必要に応じて紙の如き転写材にトナー画像を転写した後、熱、圧力、加熱加圧あるいは溶剤蒸気により定着し複写物又はプリントを得る方法が用いられている(例えば、特許文献1、2参照)。
近年、コンピュータ及びマルチメディアの発達により、オフィスから家庭まで幅広い分野で、更なる高精細フルカラー画像を出力する手段が要望されている。ヘビーユーザーは、多数枚の複写又はプリントによっても画質低下のない高耐久性を要求する。スモールオフィスや家庭では、高画質な画像を得ると共に省スペース、省エネルギーの観点から装置の小型化、廃トナーの再利用又は廃トナーレス(クリーナーレス)、定着温度の低温化が要望されている。これらの目的を達成するため各々の観点から種々の検討が行われている。
電子写真法において、静電荷像を現像する工程は、帯電させたトナー粒子を静電荷像の静電相互作用を利用して静電荷像上に画像形成を行うものである。トナーを用いて静電荷像を現像するための現像剤のうち、磁性体を樹脂中に分散してなる磁性トナーを用いる一成分系現像剤と、非磁性トナーを磁性キャリアと混合した二成分系現像剤とがある。特に高画質を要求されるフルカラー複写機又はフルカラープリンタの如きフルカラー画像形成装置では、後者が好適に用いられている。
二成分系現像剤に使用される磁性キャリアとしては、鉄粉キャリア、フェライトキャリア、または磁性体微粒子を結着樹脂中に分散した磁性微粒子含有型樹脂キャリアが知られている。鉄粉キャリアにおいては、キャリア比抵抗が低いために、静電荷像の電荷がキャリアを通してリークしてしまい、静電荷像を乱すことから画像欠陥を生じる場合がある。
比較的比抵抗の高いフェライトキャリアを用いた場合でも、特に交番電界を印加する現像方法においては、キャリアを介しての静電荷像の電荷リークを防止することができない場合もある。これらは大きな飽和磁化を有しているために磁気ブラシが剛直になり、トナー像に磁気ブラシのはきめを生じる場合もある。
このような問題を解決するために磁性体微粒子を結着樹脂中に分散させた磁性微粒子含有型樹脂キャリアの提案がなされている(例えば、特許文献3、4参照)。磁性微粒子含有型樹脂キャリアはフェライトキャリアに比べ、比較的高比抵抗で、かつ飽和磁化も小さく、真比重も小さいためにキャリアの磁気ブラシが剛直とはならず、はきめのない良好なトナー画像を形成し得る。
一方で、従来の二成分系現像剤においては、粒子間の衝突及び粒子と現像機械との衝突の如き機械的衝突、又はこれらによる発熱によって、トナー粒子の一部はキャリア粒子の表面に物理的に付着して膜を形成する、所謂「スペント化」が生じる性質がある。この現象は、後述するトナーが柔らかければ柔らかいほど本現象が助長される。昨今、環境対応として、トナーはシャープメルトナー定着温度を下げる方向が望まれており、そのようなトナーは本述のスペントに対しては不利な方向である。具体的には、キャリア粒子表面上にトナーの成分による膜が徐々に蓄積され、キャリア粒子とトナー粒子との間の摩擦帯電がトナー同士の摩擦帯電に置換されてしまい、現像剤全体の摩擦帯電特性が劣化し、ひいては画像の地肌部にトナーが多数付着する、所謂「地汚れ」の現象が生じ、画像品質が低下することとなる。さらに、キャリア表面に対するトナー成分による膜の形成が顕著になると、現像剤全体を交換しなければならなくなり、コスト増につながるという問題点を有している。
これに対して、上述した磁性微粒子含有型樹脂キャリアは、飽和磁化が小さく、且つ真比重が小さいため、トナーとキャリアの衝突時のエネルギーが小さくなり、このようなスペント化に対して有利である。さらに、小さな真比重は現像器を軽くできるという利点も有している。
また、磁性微粒子含有型樹脂キャリアの表面を樹脂でコートする方法が提案されている(例えば特許文献5参照)。樹脂により被覆されたキャリアは、耐スペント性、耐衝撃性、印加電圧に対する耐圧性を改良することができる。また、被覆する樹脂の帯電特性によりトナーの帯電特性を制御することが可能である為、被覆する樹脂を選択することによりトナーに所望の帯電電荷を付与することができる。しかしながら、磁性微粒子含有型樹脂キャリアは、フェライトキャリアと比較して、抵抗が高い傾向にあり、表面を樹脂で被覆した場合にはより一層抵抗が高まってしまうことになる。このようなキャリアを用いて低温低湿下で画像形成を行った場合には、トナーのチャージアップ現象が生じ、エッジの効いた画が得られるが、反面大面積の画像面では、中央部の画像濃度が非常に薄くなるといった問題が生じてしまうことがある。さらに、キャリアが、現像器内の壁等トナー以外の物質と帯電してしまい、本来与えられるべきトナーの帯電量が不均一になってしまうことがある。逆に被覆樹脂の量が少ない場合には、キャリアの比抵抗が低くなりすぎる為に、現像バイアス電圧のリークによる画像不良が生じ易い。また、被覆樹脂によっては、該樹脂で被覆されたキャリアの比抵抗が測定上適正比抵抗と考えられるものでも、現像バイアス電圧のリークによる画像不良が生じ易い、或いは、低湿環境下でのチャージアップ現象が生じ易いものもある。また、耐表面汚染性、耐衝撃性、帯電の環境依存性、帯電の立ち上がり性、電荷交換性などを改良したキャリアとして、内層にシランカップリング剤を用い、外層にフッ素系樹脂を用いたキャリアが提案されている(例えば特許文献6,7,8参照。)。特許文献6,7は、製法上の制約もあり、高い被覆率が得られないため、環境変動が少なく、十分な帯電性をトナーに付与するには課題を残している。また、特許文献8は、キャリアの電気抵抗が103[V/cm]電圧印加時の抵抗が1.5×109〜3.0×1010[Ω・cm]と比較的中抵抗のキャリアを使用している。特に低磁化キャリアや低抵抗の静電荷像担持体の使用時には、現像域で現像剤担持体から静電荷像担持体へ電荷注入が起こりやすく、キャリアが静電荷像担持体へ付着し、静電荷像の乱れや画像欠陥を引き起こしやすい。さらに、提案されている現像剤においては、トナー消費量の多い大画像面積を多数枚複写した場合に、キャリアへのトナーのスペントがおこりやすく、トナーの帯電量が変化しやすい。
従って、二成分現像剤としてキャリアのみでは、トナーへの帯電安定性や画像安定性を得ることは困難であるのが現状である。
一方トナーに関して、近年では、画像形成装置におけるプリントスピードの高速化、画像上グロスの高グロス化、それに加え省エネルギー化に対する要求により、トナー特性としてシャープメルトナー溶融特性を有する結着樹脂を用いたり、トナーに離型剤を添加したりして対応が図られている。この時、離型剤は定着時にトナー表面で機能する為に、コアシェル構造かつトナー表面付近で一定の分散径を持って存在することが必要となってくる。このコアシェル構造を有する為の好ましいトナー製造方法として、懸濁重合法がある。懸濁重合法で製造したトナーは、円径度が高く、転写効率を向上させることが可能である。しかし、転写効率が100%でない限り転写工程後の感光体上に転写残トナーは残留するため、そのトナーを除去するためのクリーニング工程が必要となる。このクリーニング工程においては、トナーの円形度が高くなると流動性が良くなることによりクリーニングブレードをすり抜けて掻き取りにくくなり、トナーの電荷が高いと像担持体との間に鏡像力が作用しクリーニング工程にて除去しにくくなる。
このような実状に対して、高分子タイプの荷電制御剤を使用した円形度の高いトナーにおいて、現像性・帯電性だけでなく、クリーニング性についても満足することは容易でない。
また、コアシェル構造をとりつつ、ワックスをトナー表面で均一に分散させた粒子形態をとると、トナー表面は、離型剤の存在の影響で柔らかくなり、キャリアとの摺察によって、外添剤が遊離あるいは埋没し易くなり、初期と異なる表面状態になる。その結果、帯電特性は大きく変化はしてしまう。
この遊離した外添剤は、磁性微粒子含有型樹脂キャリアの粒子表面の凹部に付着し易く、現像時にはトナーと同様の挙動をとる。現像剤担持体である現像スリーブに印加される交流バイアス電圧により現像領域に形成される交番電界によって、感光体上に現像され、その後さらに記録材上に転写され、定着器で定着される。しかし、一部は転写されずに感光体上に残留して、クリーニング部材で除去されてクリーニング器に回収される。したがって、定着器及びクリーニング器には、必要以上の外添剤が供給されるので、定着器寿命や感光体寿命を短くしてしまい画像形成装置本体にまで大きな影響を与える場合がある。
このように、現像性・定着性・クリーニング性などを両立したトナーの開発には、まだ多くの課題が残されている(例えば特許文献9参照)。尚のことこれらの種々の問題を解決する最適なキャリア及びトナーの組み合わせた二成分現像剤ついては、いまだ検討の余地が残されている。
一方、フルカラーの画像形成方法としては、前述した通り、1)高精細化、2)高耐久化、3)省エネルギー化(環境配慮)、4)省スペース化、5)ユーザビリティー性の向上が求められている。現像剤としては、1)〜3)を満足させることが限界である。更に、4)や5)を満足させる為には、画像形成装置としての改良を加えなければならない。具体的な改良としては、市場の要望としてある、特定色、特に使用頻度の高い特定色(特にブラック)の画像形成能力のみを高めることや、使用頻度の高い色の補給用現像剤カートリッジの交換回数を減らし、かつ本体装置がコンパクト(小型)でありながら現像器槽内の現像剤寿命を長くし、現像器槽内の現像剤の交換回数を減らすなどの対応が必要である。
この背景には、一般的に白黒専用機からカラー機への代替において、白黒機と同様のランニングコスト、スピード及び安定な品質を維持しつつ高速性能を維持しつつカラーも出力したいという要望から来ている。
この要望に対応する為に、現像器槽内の現像剤の劣化を抑制し現像剤交換回数を低減させることを目的に、現像装置内のキャリアを徐々に回収する一方、未使用のキャリアを徐々に補給する方式(以下、オートリフレッシュ現像方式と略すことがある。)の現像装置が提案されている(例えば、特許文献10乃至14参照)。
すなわち、現像剤補給装置から現像装置へ徐々に未使用のキャリアを補給する一方、この補給によって過剰となった現像装置内の古い現像剤を現像剤廃棄口からオーバーフローによって排出させ、現像剤回収容器に回収する方法である。このような現像装置において、現像剤の帯電能は、現像装置に未使用のキャリアが充填されたときからある一定の使用時間を経過するまでの間、劣化していくものの、その後は、未使用のキャリアが徐々に補給され、古い現像剤が徐々に排出されることにより、安定してほぼ一定となる。また、現像剤回収容器は、回収された現像剤で一杯になったときに交換すればよく、キャリアの劣化に応じた定期的な交換作業のインターバルが長くなる。その結果、このような現像方式は、本体構成が複雑になるものの、現像剤回収容器のみの交換作業においてはトナーの舞い上がり、飛散による、画像形成装置内の汚れが生じ難いといった利点を有するものとなっている。また、現像剤の交換の際に生じやすい、画質の変化を抑制できる。さらには、定期的なサービスマン等による新たな現像剤の交換回数が減り、ランニングコストを低減することが出来る。
このように、現像剤としての要望とユーザビリティーという観点から、現状の二成分現像剤・画像形成方法には改良の余地が残されている。
米国特許第2,297,691号明細書 特公昭42−23910号公報 特許第3397543号 特開昭61−9659号公報 特開昭58−21750号公報 特登録2536280号 特登録2625281号 特開平7−319218号公報 特開2003−280276号公報 特開2001−265088号公報 特公平2−21591号公報 特開平1−43301号公報 特開平3−145678号公報 特開2002−328493号公報
上述したように、従来の二成分現像剤において、キャリア同士のパッキングや現像器内における各種部材による摺擦により、トナーの耐久劣化が起こりやすかった。このため、定着性改善の為のシャープメルトトナー溶融特性を有するトナーなどは、前記理由により使いこなしが非常に困難であった。
本発明の目的は、耐久を通して常に安定したトナー帯電を得る為のキャリア・トナーを提供することにある。
更に、定着性を改善したシャープメルトなトナーを二成分現像剤のトナーとして使用し、帯電安定・定着性を両立した二成分現像剤を提案する。
更には、本提案の二成分現像剤で耐久安定性・環境特性・高画質を得ると共に、使用するユーザーのユーザビリティーも考慮した画像形成方法を提案することにある。
上記の目的を達成する為、本出願に係わる発明は、下記の構成により達成することができる。
本発明は、結着樹脂、着色剤及びワックス成分を含有したトナー粒子を有するトナーと、結着樹脂中に金属化合物粒子が分散されているキャリアコア、及び該キャリアコア表面を被覆する樹脂を有する磁性微粒子含有型樹脂キャリアとを少なくとも有する二成分系現像剤において、
該トナーは、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基の重合体又は共重合体を含有し、
該キャリアと該トナーを混合させた現像剤の移送性指数が、75〜150であることを特徴とする二成分系現像剤
を使用することにより課題を達成することができる。
キャリア表面汚染をさせず、長期に渡って安定的な帯電付与能力を示す二成分系現像剤の設計は、キャリア・トナー双方の最適な組み合わせが必要である。すなわち、本発明によれば、
樹脂をコートした金属微粒子含有型樹脂キャリアの粒径・真比重・磁化の強さを特定範囲内に制御することで、トナー劣化を軽減する事が可能となる。
一方で、トナー粒子において、帯電サイトとして機能するスルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基の重合体又は共重合体の含有量と、リークサイトとして機能する元素の含有量とを調整する事により、キャリア表面がスペントを起こし、トナーに対する電荷付与能力が低下しても、トナーとして帯電が安定していることにより、耐久を通して帯電量分布をシャープにすることができ、その結果、終始鮮明な画像を得ることができる。またトナーの熱特性を向上させることによって、定着温度を下げるといった環境特性が得られ、同時に画像上のグロスが出ることによって、写真画質の画像を出力することが可能となる。
これらのキャリア・トナーの組み合わせによって発揮される現像剤の移送性指数が、耐久を通した剤の劣化予測をする事ができる。移送性指数が高ければ現像器内での現像剤循環が良くなり、剤劣化が抑制される。このような現像剤を用いることによって、終始耐久を通して良好な帯電性・耐久性・現像性・環境安定性・定着性を得ることができるようになる。
更には、補給系の画像形成装置において、その補給剤が該トナー、あるいは、補給剤がトナーとキャリアで構成される画像形成装置において、優れた特性を得ることができるようになる。
本発明者らは鋭意検討した結果、省エネの観点から低温定着性、尚且つ高グロスを達成するトナーを用いながら、画像形成耐久を通してトナー劣化を抑制し、常に安定した帯電特性を示すことのできる二成分現像剤を見出した。
以下、本発明について詳細に説明する。
今まで、電子写真装置を高速化させる場合、十分な定着性を確保する為に定着器の設定温度を高くする必要があったが、特に省エネの観点からできるだけ低温で定着できるようなトナーが要求されてきた。低温定着可能なトナーは、分子量ピークがシャープであり、低温にて瞬時にトナーが溶融することによって、トナー内のワックス成分も溶出する設計が好ましい。しかし、現像機内での長期に渡る通紙により、現像に関わらなかったトナーが各現像機部材に摺擦されて劣化しやすい状態になってしまう。
これに対し、本発明では、低温定着性とトナー劣化を抑制し、本発明のキャリアとの組み合わせにより、耐久を通して常に安定した帯電特性が得られる二成分現像剤を発明できた。更には、補給系の画像形成装置において、補給用現像剤がトナーであればもちろんのこと、補給用現像剤がトナー及びキャリアである画像形成装置であれば、更なる剤劣化の抑制が可能となり、より好ましい形態である。この補給用現像剤がトナー及びキャリアである画像形成方法に関しては、後ほど詳細に説明する。
最初に本発明の二成分系現像剤に関して説明する。
本発明者らが鋭意検討した結果、少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックス成分を含有したトナー粒子を有するトナーと、結着樹脂中に金属化合物粒子が分散されているキャリアコア及び該キャリアコア表面を被覆する樹脂を有する磁性微粒子含有型樹脂キャリアとを少なくとも有する二成分系現像剤において、二成分現像剤の移送性指数は75〜150でなければならない。更には、二成分現像剤の移送性指数は80〜120であることが好ましい。
この二成分現像剤の移送性指数は、現像剤としての流動性を「帯電の因子」も含めて示す指数である。トナーやキャリア単体の流動性を規定した特許は数多く存在するが、一方で二成分系現像剤としての流動性は、数値化が困難であった。つまり二成分系現像剤を従来法によるメッシュ上に残った量から流動性を測定しても、振幅中にトナーとキャリア間の脱離などが起こり、正確な数値を出すことができなかった。また、静置した後の測定であることから、本来の現像器内で帯電した状態での二成分現像剤状態を観察することは困難であった。しかしながら、本発明における移送性指数は、二成分現像剤が帯電した状態で流動状態を見ることが可能となり、実際現像器内で帯電した状態での移送状態が分かる。また、測定中に二成分現像剤の剤状態が変化しにくい事から、現像剤そのものの流動性及びパッキング性を確認することが可能となった。
移送性指数が高いと現像剤の動的な状態での流動性が高いことを意味しているものと発明者らは考えており、静的な状態からの流動性を示す通常の流動性(凝集度)とは異なる概念としてとらえている。
流動性が高ければ、トナーがキャリアでパッキングされた時のシェアがかかりにくくなり、キャリアによるトナーへの劣化が軽減される。よって、トナーとして定着性に優れた柔らかいトナーを使用したとしてもキャリアによるパッキング劣化が発生せず、これまでの課題であった、「定着性に優れた二成分系現像剤」が実現できる。また、本測定では二成分現像剤の帯電能が高ければ移送性指数も大きくなる。これは二成分現像剤としての帯電能が高いと、(キャリア+トナー)粒子毎の接触によりグリップ力が増し、移送性指数として増加するものと考えている。
この移送性指数は、実際現像器内に二成分系現像剤が入ったときの循環シュミレーションとして活用することも可能である。移送性指数が高ければ高いほど現像剤の循環性が良いことになる。つまり、移送性指数が高ければ循環性が良くなり、剤が滞留すること無く劣化を抑制することが可能となる。また、剤循環が良いということは、新たに補給されたトナー、あるいは磁性微粒子含有型樹脂キャリアとの混合性も良くなり、帯電の立ち上がりが良くなり、補給時のかぶりや帯電不良による部材汚染などが無くなる。本移送性指数は二成分現像剤の粉体特性を示すのに好適な方法である。
移送性指数が75未満であると、二成分系現像剤の移送性が低下し、トナーとキャリアのパッキングが発生しやすく、トナーへのキャリアによる劣化が促進されてしまう。また、二成分現像剤の循環が悪く、現像容器内における滞留が増加する。つまり、現像容器内の搬送スクリューや撹拌部材との摺察が増えることにより剤劣化が促進されることになる。磁性微粒子含有型樹脂キャリアとしては、該キャリア表面にトナーやトナー粒子表面に付着している無機微粒子がスペントを起こしやすくなり、一方でトナーとしては、該キャリア同士の接触によるトナーへの摺察により、トナー粒子表面の無機微粒子が遊離あるいは埋没し、劣化が促進されてしまう。
一方、移送性指数が150を超えると、現像容器内の循環が良すぎてしまい、補給トナー、あるいは補給された該キャリアとの混合が十分に行われなくなってしまう。その結果、前述のようなトナー帯電不良による補給時のかぶりが発生したり、また濃度ムラや部材汚染による画像弊害が発生してしまう。
これらを達成する為に、キャリアは磁性微粒子含有型樹脂キャリアであって、トナーはスルホン酸基、スルホン酸塩基またはスルホン酸エステル基の重合体または共重合体を有したトナーであることが重要である。該キャリアは、後に述べる磁化の強さが一般的なフェライトキャリア等よりも低く、キャリア同士のパッキングを防ぐことができ、トナーに対する劣化ダメージが軽減される。逆にフェライトキャリア等を使用すると、本発明の樹脂キャリアと比べ異型かつパキングを起こし、トナーは劣化し、移送性指数値も低くなる。
一方、該トナーを使用することにより、二成分剤としての帯電が向上し、たとえ現像器内での二成分剤循環によりトナー劣化が起こったとしても安定した帯電を本発明のトナーは持ちうる。このため、移送性指数としても値が高くなる。
従って、本測定の移送性指数を75〜150、好ましくは80〜120にすることによって、現像剤としてパッキングが緩和され、長期に渡って安定した帯電能力をもつ二成分現像剤となりうる。
本移送性指数は、以下のようにして求めた。
図1に示すパーツフィーダー(コニカミノルタ社製)に対して振動を与えた状態における二成分現像剤の移動性を指数化したものであり、二成分現像剤の移送されやすさ、すなわち、二成分現像剤の循環性を示すものである。
この移送性指数は、一般にいう、二成分現像剤の静止時における、例えば静かさ密度、安息角などによって評価される流動性とは異なるものである。
具体的には、パーツフィーダーは、図1に示すように、特定の振動を発生させるための駆動源3および、この駆動源3の上方において支持された円筒状のボール4により構成されており、ボール4には、その内周壁面に沿って、その底面と上端縁とを連絡する螺旋状の坂路Eが形成されている。
ここで、坂路5は、その上端部5Aが、ボール4の上端縁と同じ高さ位置において当該ボール4の側壁から径方向外方に突出した態様で配設されている。
図1において、6はボール4の中心軸、7は坂路5の上端部5Aの下方に設けられた受け皿、2は受け皿7に接続された計量手段である。
このパーツフィーダー1においては、駆動源3により供給される回転動力をボール4に伝達することによりボール4を全体的に振動させる振動運動に変換し、上下運動の戻り位置を角度をもたせて配設されたバネの作用により変更させることにより、ボール4内に位置されたトナーが坂路5に沿って上方に移送され、当該坂路5の上端部5Aより受け皿7に落下する。
而して、本発明における二成分現像剤の移送性指数の測定は、ボール4の内部の中心軸6の周辺に二成分現像剤1gを投入すると共に、駆動源3を周波数145Hz、振幅0.1mmの条件で駆動させて、二成分現像剤を坂路5に沿って上方に移送させ受け皿7に到達させ、計量手段2によって計量された当該受け皿7に到達した二成分現像剤の量が300mgおよび700mgとなった時の、前記駆動源3の駆動を開始した時からの時間を測定し、下記一般式を利用して算出することができる。
移送性指数=(700−300)mg/(T700−T300)sec
上記一般式(1)において、T300は、受け皿7に300mgのトナーを移送するために要した時間を示し、T700は、受け皿7に700mgのトナーを移送するために要した時間を示す。
二成分現像剤の移送性は、トナーとキャリアの比率によって異なる値を示すので、本測定においては、トナー(T)/(トナー+キャリア)(D)=8%に調整し、23℃,50%RHの環境に24時間放置したものを測定サンプルとして使用した。
次に本発明のキャリアに関して説明する。
上記移送性を達成する為のキャリアは、結着樹脂中に金属化合物粒子が分散されているキャリアコア、及び該キャリアコア表面を被覆する樹脂を有する磁性微粒子含有型樹脂キャリアであることが好ましい。
更に、磁性微粒子含有型樹脂キャリアの磁気特性は、1000/4π[kA/m]の磁界下で測定した磁化の強さ(σ1000)が40〜70[Am2/kg]であるような低磁気力であることが良い。
上記範囲に磁性微粒子含有型樹脂キャリア磁気特性があると、現像剤担持体(現像スリーブ)に内包されている磁界発生手段(例えば、固定磁石)の磁界下において、該キャリアの静電荷像担持体へのキャリア付着が防止される。そして、二成分系現像剤の磁気ブラシ中でのトナーへの圧縮力が緩和され無機微粒子及びトナーによるキャリア汚染が抑制されるので好ましい。
磁性微粒子含有型樹脂キャリアの磁化の強さが70[Am2/kg]を超えると該キャリア粒径にも関係するが、現像極での現像スリーブ上に形成される磁気ブラシの密度が減少し、穂長が長くなり、かつ剛直化してしまう。このためコピー画像上に掃き目ムラが生じやすく、特に多数枚の複写又はプリントによる現像剤の耐久劣化が生じやすい。
磁性微粒子含有型樹脂キャリアの磁化の強さが40[Am2/kg]未満では、キャリア微粉を除去しても該キャリアの磁気力が低下し、キャリア付着が生じやすく、トナー搬送性が低下し易い。
磁性微粒子含有型樹脂キャリアの磁気特性の測定は、理研電子(株)製の振動磁場型磁気特性自動記録装置BHV−35を用いて行なった。測定条件としては、該キャリア粉体の磁気特性は1000/4π[kA/m]の外部磁場を作り、そのときの磁化の強さを求めた。該キャリアを円筒状のプラスチック容器に該キャリア粒子が動かないように十分密になるようにパッキングした状態に作製し、この状態で磁化モーメントを測定し、試料を入れたときの実際の重量を測定して、磁化の強さ[Am2/kg]を求めた。
本発明における磁性微粒子含有型樹脂キャリアの真比重は、2.5〜4.2[g/cm3]であることが好ましい。本真比重は、二成分現像剤の移送性指数を最適値にするために重要なファクターであり、前述の範囲にすることにより、二成分現像剤としての長寿命化が達成できる。
該キャリアの真比重が4.2[g/cm3]を超えると二成分現像剤の移送性指数が高くなりすぎ、二成分現像剤と補給トナーあるいは補給キャリアとの混合性が悪くなってしまう。混合性が悪くなると、補給トナーの帯電分布がブロードになり、かぶりや濃度のムラなどの発生の要因となってしまう。更に、該キャリアの真比重が高いと、該キャリア同士の摺察によるストレス以外にも、トナーに対するストレスが大きくなってしまい、二成分現像剤としての長寿命化が達成できなくなってしまう。
一方、該キャリアの真比重が2.5[g/cm3]よりも小さくなると、該キャリアの磁気的特性の影響で画像へのキャリア付着が発生し、良質な画像を得られない。そのため、該キャリアの真比重は、2.5〜4.2[g/cm3]であることが好ましい。
本発明におけるキャリアの真比重は、オートトルーデンサーMAT7000(セイシン企業製)を用いて、JISのZ2504(1994)に従い測定した。
本発明において、磁性微粒子含有型樹脂キャリアの5000[V/cm]における比抵抗は、1×107〜5×1015[Ω・cm]であることが好ましい。磁性微粒子含有型樹脂キャリアの比抵抗が1×107[Ω・cm]未満であると、感光体表面へのキャリア付着を起こし易く、感光体に傷を生じさせたり、直接紙上に転写されたりして画像欠陥を起こし易くなる。さらに、現像バイアスが、該キャリアを介してリークし、感光体ドラム上に描かれた静電潜像を乱してしまうことがある。
磁性微粒子含有型樹脂キャリアの比抵抗が5×1015[Ω・cm]を超えると、エッジ強調のきつい画像が形成され易く、さらに、該キャリア表面の電荷がリークしづらくなるため、チャージアップ現象による画像濃度の低下や、新たに補給されたトナーへの帯電付与ができなくなくなることによるカブリ及び飛散などを起こしてしまうことがある。さらに、現像器内壁等の物質と帯電してしまい、本来与えられるべきトナーの帯電量が不均一になってしまうこともある。その他、静電気的な無機微粒子の付着など、画像欠陥を引き起こしやすい。
磁性微粒子含有型樹脂キャリアの比抵抗の測定は、図2に示す粉体用絶縁抵抗測定器を用いて測定した。セルAに該キャリアを充填し、充填した該キャリアに接するように電極11,12を配し、該電極11,12間に電圧を印加し、そのとき流れる電流を測定することにより比抵抗を求める方法を用いた。この測定方法においては、該キャリアが粉末であるために充填率に変化が生じ、それに伴って比抵抗が変化する場合があるために注意を要する。本発明における比抵抗の測定条件は、23℃,50%RH条件下に24時間以上放置した該キャリアを充填する。その時の電極11,12との接触面積S=約2.3cm2、厚みd=約1mm、上部電極12の荷重180g、印加電圧を200Vから400V・600V・800V・1000Vと200Vずつ上げ、その後1000Vから800V・600V・400V・200Vと印加電圧を下げた時の比抵抗値を読み取り、その5000[V/cm]の値を測定した。尚、図2において、13は絶縁物、14は電流計、15は電圧計、16は定電圧装置、17はキャリア、18はガイドリングである。
本発明の好ましい磁性微粒子含有型樹脂キャリア形態としては、結着樹脂中に磁性を有する金属化合物粒子と共に、非磁性無機化合物粒子を混合するキャリアコアであることが好ましい。非磁性無機化合物粒子を混合することにより、キャリアコアの抵抗をコントロールすることが可能となり、前述した望ましいキャリア抵抗値を得ることができる。
本発明の磁性微粒子含有型樹脂キャリアにおいて、磁性微粒子と非磁性無機微粒子の含有比率が、50:50〜100:0であることが好ましい。
含有する金属化合物全体に占める磁性を有する金属化合物の含有量が50質量%未満であると、該キャリアコアの高抵抗化は良好になる反面、該キャリアとしての磁気力が小さくなり、キャリア付着を招く場合がある。
本発明において、磁性微粒子含有型樹脂キャリアコアに用いる金属化合物粒子としては、下記式(1)又は(2)で表される磁性を有するマグネタイト又はフェライトが挙げられる。
MO・Fe23 ・・・(1)
M・Fe24 ・・・(2)
(式中、Mは3価、2価又は1価の金属イオンを示す。)
Mとしては、Mg、Al、Si、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、Sn、Ba、Pb及びLiが挙げられ、これらは、単独あるいは複数で用いることができる。
上記の磁性を有する金属化合物粒子の具体的化合物としては、例えば、マグネタイト、Zn−Fe系フェライト、Mn−Zn−Fe系フェライト、Ni−Zn−Feフェライト、Mn−Mg−Fe系フェライト、Ca−Mn−Fe系フェライト、Ca−Mg−Fe系フェライト、Li−Fe系フェライト及びCu−Zn−Fe系フェライトの如き鉄系酸化物が挙げられる。
さらに、本発明において、磁性微粒子含有型樹脂キャリアコアに用いる非磁性の無機金属化合物としては、例えば、Al23、SiO2、CaO、TiO2、V25、CrO、MnO2、α−Fe23、CoO、NiO、CuO、ZnO、SrO、Y23及びZrO2が挙げられる。この場合、1種類の無機金属化合物を用いることもできるが、とくに好ましくは少なくとも2種以上の無機金属化合物を混合して用いるのが良い。その場合には、比重や形状が類似している粒子を用いるのが結着樹脂との密着性及び該キャリアコア粒子の強度を高めるためにより好ましい。
本発明において、磁性微粒子がマグネタイト微粒子であることが好ましい。また非磁性無機化合物微粒子がヘマタイト(α−Fe23)の微粒子であることが、磁性微粒子含有型樹脂キャリアの磁気特性、比抵抗値を調整する上で好ましい。それ以外の組み合わせ例として、例えば、マグネタイトとr−Fe23、マグネタイトとSiO2、マグネタイトとAl23、マグネタイトとTiO2、マグネタイトとCa−Mn−Fe系フェライト、マグネタイトとCa−MgFe系フェライトが好ましく用いることができる。
上記の磁性を示す金属化合物を単独で使用する場合、又は非磁性の金属化合物と混合して使用する場合、磁性を示す金属化合物の個数平均粒径は、磁性微粒子含有型樹脂キャリアコアの個数平均粒径によっても変わるが、好ましくは0.02〜2μm、より好ましくは0.05〜1μmであることが良い。
磁性を示す金属化合物の個数平均粒径が0.02μm未満の場合には、好ましい磁気特性を得られ難くなる。磁性を示す金属化合物の個数平均粒径が2μmを超える場合には、造粒不均一により、強度の高い好ましい粒径の該キャリアが得られ難くなる。
磁性を有する金属化合物と非磁性の化合物とを混合して用いる場合、非磁性の金属化合物の個数平均粒径は、好ましくは0.05〜5μm、より好ましくは0.1〜3μmであることが良い。この場合、磁性を有する金属化合物の個数平均粒径(平均粒径ra)と、非磁性の金属化合物の個数平均粒径(平均粒径rb)との粒径比(rb/ra)は、好ましくは1.0乃至5.0、より好ましくは1.2乃至5.0であることが良い。非磁性の金属化合物の個数平均粒径が0.05μm未満の場合には、好ましい抵抗が得られず、キャリア付着しやすくなる。非磁性の金属化合物の個数平均粒径が5μmを超える場合には、造粒不均一により強度の高い好ましい粒径の該キャリアが得られがたくなる。さらに、rb/raが1.0未満であると比抵抗の低い強磁性を示す金属化合物粒子が表面に出やすくなり、該キャリアコアの比抵抗を上げにくく、キャリア付着を防止する効果が得られ難くなる。rb/raが5を超えると、該キャリアの強度が低下しやすく、キャリア破壊を引き起こしやすくなる。
上記金属酸化物の個数平均粒径は、日立製作所(株)製の透過型電子顕微鏡S4700により5000〜20000倍に拡大した写真画像を用い、ランダムに粒径0.01μm以上の粒子を300個以上抽出し、ニレコ社(株)製の画像処理解析装置Luzex3により水平方向フェレ径をもって金属酸化物粒径として測定し、平均化処理して個数平均粒径を算出した。
結着樹脂に含有されている金属化合物の比抵抗は、磁性を有する金属化合物粒子の比抵抗が1×103Ω・cm以上の範囲のものが好ましい。特に、磁性を有する金属化合物と非磁性の化合物とを混合して用いる場合には、他方の非磁性の金属化合物粒子は磁性金属化合物粒子よりも高い比抵抗を有するものを用いることが好ましい。好ましくは、本発明に用いる非磁性の金属化合物の比抵抗は1×108[Ω・cm]以上、より好ましくは1×1010[Ω・cm]以上のものが良い。このことからも、磁性金属化合物との比重差があまり無いヘマタイトを使用することがキャリア製造上からもより好ましい。
磁性を有する金属化合物粒子の比抵抗が1×103[Ω・cm]未満であると、含有量を減量しても所望の高比抵抗が得られ難く、電荷注入を招き、画質の劣化や、キャリア付着を招きやすい。また、磁性を有する金属化合物と非磁性の無機化合物とを混合して用いる場合には、非磁性の金属化合物の比抵抗が1×108Ω・cm未満であると、磁性キャリアコアの比抵抗が低くなり、本発明の効果が得られにくくなる。
本発明において、磁性を有する金属化合物及び非磁性の金属化合物の比抵抗測定方法は、キャリア粒子の比抵抗の測定方法に準じて行なう。
本発明において、磁性微粒子含有型樹脂キャリア粒径は、体積基準による50%粒径(D)が好ましくは15〜70μm、より好ましくは20〜50μmであることがよい。さらに該キャリアは、50%粒径の2/3以下の粒径(2D/3≧)の粒子の含有量が、好ましくは5体積%以下、より好ましくは0.1〜5体積%以下であることが良い。
該キャリアの50%粒径が15μm未満である場合には、該キャリア粒度分布の微粒子による非画像部へのキャリア付着を良好に防止できない場合がある。該キャリアの50%粒径が70μmより大きい場合には、磁気ブラシの剛直さによるはきめは生じないが、大きさ故の画像のムラを生じてしまう場合がある。
本発明において、該キャリア粒径の測定は、下記測定方法によって行った。
<キャリア粒径の測定方法>
キャリア粒径の測定は、シンパテック(SYNPATEC)社製で乾式分散機(ロドス<RODOS>)を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置(へロス<HELOS>)を用いて、フィードエア圧力3bar、吸引圧力0.1barの条件で測定し、キャリア粒子の体積基準の50%粒径及び粒度分布を得た。
本発明に用いる磁性微粒子含有型樹脂キャリアコア粒子の結着樹脂としては、熱硬化性樹脂であり、一部または全部が3次元的に架橋されている樹脂であることが好ましい。このことにより、分散する金属化合物粒子を強固に結着できるため、該キャリアコアの強度を高めることができ、多数枚の複写においても金属化合物の脱離が起こり難い。さらに、被覆樹脂をより良好に被覆することができ、その結果、表面凹凸が少なく、キャリア表面への無機微粒子の付着が起こりにくくなる。
磁性微粒子含有型樹脂キャリアコア粒子の結着樹脂としては、例えば、ビニル系又は非ビニル系の熱可塑性樹脂、磁性微粒子、その他の添加剤を混合機により十分に混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き混練機を用いて溶融・混練して、これを冷却後、粉砕・分級を行って該キャリアコア粒子を得ることができる。この際、得られた該キャリアコアを熱あるいは機械的に球形化してコアとして用いることが好ましい。該キャリアコアを構成する第1の樹脂としては、ポリマー鎖中にメチレンユニットを有するビニル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース樹脂及びポリエーテル樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、混合して使用しても良い。
しかしながら、本発明においては、磁性微粒子含有型樹脂キャリアコアを得る方法としてモノマーと溶媒が均一に分散又は溶解されているような溶液中から、モノマーを重合させることにより粒子を生成する重合法の製造方法が好ましい。この重合法においては、該キャリアコア粒子中に分散する金属酸化物に、親油化処理を施すことにより、粒度分布が非常にシャープになり、また微粉の少ない該キャリアコアを得ることが可能となる。
本発明においては、高画質化を達成するために重量平均粒径が1〜10μmの小粒径トナーと組み合わせて用いられる磁性微粒子含有型樹脂キャリアの場合、該キャリア粒径もトナーの粒径に応じて小粒径化することが好ましい。上述した製造方法では該キャリア粒径を小粒径化させても平均粒径に関係なく微粉の少ない該キャリアを製造できることから特に好ましい。
該キャリアコア粒子の結着樹脂に使用されるモノマーとしては、ラジカルの重合性モノマーを用いることができる。例えばスチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン、p−ターシャリーブチルスチレンの如きスチレン誘導体;
アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル;
メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノメチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ベンジルの如きメタクリル酸エステル類;
2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド;
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルエーテル、イソブチルエーテル、β−クロルエチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、p−メチルフェニルエーテル、p−クロルフェニルエーテル、p−ブロムフェニルエーテル、p−ニトロフェニルビニルエーテル、p−メトキシフェニルビニルエーテルの如きビニルエーテル;
ブタジエンの如きジエン化合物を挙げることができる。
これらのモノマーは単独または混合して使用することができ、好ましい特性が得られるような好適な重合体組成を選択することができる。
前述したように、該キャリアコア粒子の結着樹脂は3次元的に架橋されていることが好ましい。結着樹脂を3次元的に架橋させるための架橋剤としては、重合性の2重結合を一分子当たり2個以上有する架橋剤を使用することが好ましい。このような架橋剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンの如き芳香族ジビニル化合物;
エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセロールアクロキシジメタクリレート、N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド及びジビニルスルフォンが挙げられる。これらは、2種類以上を適宜混合して使用しても良い。架橋剤は、重合性混合物にあらかじめ混合しておくこともできるし、必要に応じて適宜重合の途中で添加することもできる。
その他の該キャリアコア粒子の結着樹脂のモノマーとして、エポキシ樹脂の出発原料としてなるビスフェノール類とエピクロルヒドリン;フェノール樹脂のフェノール類とアルデヒド類;尿素樹脂の尿素とアルデヒド類;メラミンとアルデヒド類が挙げられる。
もっとも好ましい結着樹脂は、フェノール系樹脂である。その出発原料としては、フェノール、m−クレゾール、3,5−キシレノール、p−アルキルフェノール、レゾルシル、p−tert−ブチルフェノールの如きフェノール化合物、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、フルフラールの如きアルデヒド化合物が挙げられる。特にフェノールとホルマリンの組み合わせが好ましい。
これらのフェノール樹脂又はメラミン樹脂を用いる場合には、硬化触媒として塩基性触媒を用いることができる。塩基性触媒として通常のレゾール樹脂製造に使用される種々のものを用いることができる。具体的にはアンモニア水、ヘキサメチレンテトラミン、ジエチルトリアミン、ポリエチレンイミンの如きアミン類を挙げることができる。
本発明において、該キャリアコアに含有される金属化合物は、親油化処理されていることが磁性微粒子含有型樹脂キャリアの粒度分布をシャープにすること及び無機金属化合物粒子のキャリアからの脱離を防止する上で好ましい。親油化処理された金属化合物を分散させた該キャリアコア粒子を形成する場合、モノマーと溶媒が均一に分散又は溶解している液中から重合反応が進むと同時に溶液に不溶化した粒子が生成する。そのときに無機金属化合物が粒子内部で均一に、かつ高密度に取り込まれる作用と粒子同士の凝集を防止し粒度分布をシャープ化する作用があると考えられる。更に、親油化処理を施した金属化合物を用いた場合、フッ化カルシウムの如き懸濁安定剤を用いる必要がなく、懸濁安定剤が該キャリアコア粒子表面に残存することによる帯電性阻害、コート時におけるコート樹脂の不均一性、シリコーン樹脂の如き反応性樹脂をコートした場合における反応阻害を防止することができる。
親油化処理は、エポキシ基、アミノ基及びメルカプト基から選ばれた、1種又は2種以上の官能基を有する有機化合物や、それらの混合物である親油化処理剤で処理されていることが好ましい。特に、表面凹凸を制御、すなわち表面積を特定範囲内に制御し、帯電付与能が安定したキャリアを得るためには、エポキシ基が好ましく用いられる。
磁性金属微粒子は、磁性金属微粒子100質量部当り好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.2〜6重量部の親油化処理剤で処理されているのが磁性金属微粒子の親油性及び疎水性を高める上で好ましい。
エポキシ基を有する親油化処理剤としては、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシラン、エピクロルヒドリン、グリシドール及びスチレン−(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体が挙げられる。
アミノ基を持つ親油化処理剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメトキシジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、エチレンジアミン、エチレントリアミン、スチレン−(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体及びイソプロピルトリ(N−アミノエチル)チタネート等が用いられる。
メルカプト基を有する親油化処理剤としては、例えば、メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸及びγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランが用いられる。
磁性微粒子含有型樹脂キャリアコア表面を被覆する樹脂は、特に限定を受けるものではない。具体的には、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体の如きアクリル樹脂、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン樹脂、フルオロカーボン樹脂、パーフロロカーボン樹脂、溶剤可溶性パーフロロカーボン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、石油樹脂、セルロース、セルロース誘導体、ノボラック樹脂、低分子量ポリエチレン、飽和アルキルポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、無水マレインとテレフタル酸と多価アルコールとの重縮合によって得られる不飽和ポリエステル、尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素−メラミン樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−グアナミン樹脂、アセトグアナミン樹脂、グリプタール樹脂、フラン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂及びポリウレタン樹脂を挙げることができる。
本発明においては、これらの樹脂の中でも、フッ素系樹脂及び/またはシリコーン樹脂を少なくとも使用することが好ましい。前記樹脂として、フッ素系樹脂及び/又はシリコーン樹脂を使用すると、該コアとの密着性がよく、トナーや無機微粒子によるキャリア汚染を防止できる効果が高い点で有利である。フッ素系樹脂及び/又はシリコーン樹脂は、単独で用いることもできるが、被覆層の強度を高め好ましい帯電に制御するために、カップリング剤と併用して用いることが好ましい。更に、前述のカップリング剤は、その一部が、樹脂をコートする前に、該キャリアコア表面に処理される、いわゆるプライマー剤として用いられることが好ましく、その後の被覆層が、共有結合を伴った、より密着性の高い状態で形成することができる。
樹脂被覆層には樹脂粒子及び/又は導電性粒子を分散することもできる。
前記樹脂粒子としては、例えば、熱可塑性樹脂粒子、熱硬化性樹脂粒子等が挙げられる。その中でも、硬度を上げることが比較的容易な熱硬化性樹脂が好適であり、また、トナーに負帯電性を付与するためには、窒素原子を含有する樹脂粒子を用いることが好ましい。なお、これらの樹脂粒子、導電性粒子は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属粒子、カーボンブラック粒子、酸化亜鉛等の半導電性酸化物粒子、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム粉末等の表面を酸化スズ、カーボンブラック、金属等で覆った粒子などを使用できる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
カップリング剤としては、アミノシランを用いると良い。その結果、ポジ帯電性を持ったアミノ基をキャリア表面に導入でき、良好にトナーに負帯電特性を付与できる。更に、アミノ基の存在は、金属化合物に好ましく処理されている親油化処理剤と、シリコーン樹脂の両者を活性化させる。このため、シリコーン樹脂と該キャリアコアとの密着性を更に高め、同時に樹脂の硬化を促進することでより強固な被覆層を形成することができる。
被覆層の被覆処理時は、30℃〜80℃の温度下において、減圧状態で被覆することが好ましい。これは、該キャリアコアの持つ水分が、樹脂を活性化することに使用され、該キャリア全体としての水分量を適度に制御できる。また、被覆段階で適度の反応が進行し、該キャリアコア表面に被覆材が均一に、また平滑に被覆され、焼き付け工程において、少なくとも160℃以下での低温処理が可能となり、樹脂の過度な架橋を防止し、被覆層の耐久性を高められる為であると考えられている。
また、最終工程において23℃,60%RHのような通常環境下に少なくとも24時間以上放置することによる調湿工程を行なうことが好ましい。その結果、工程中に熱をかけることで消失した水分を、本発明の構成内に、すばやく制御することが可能となる。また、工程中にキャリア同士の接触や、装置の壁などとの接触でキャリア自身が電荷を保持してしまい、トナーへの帯電付与性能を低下させてしまう、いわゆる「キャリアの自己帯電」を緩和させ、トナーに安定した帯電を与えることを可能にする。
次に本発明のトナーに関して詳細に説明する。
上述の磁性微粒子含有型樹脂キャリアと組み合わせて二成分系現像剤を構成するためのトナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックス成分を含有したトナー粒子を有し、該トナー粒子にスルホン酸基・スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基の重合体又は共重合体を含有することが好ましい。更に好ましくは、トナー粒子中の硫黄元素と、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム及びリンからなるグループより選ばれる少なくとも一種の元素とを含有し、硫黄元素の含有量(S)に対する前記グループに含まれる元素の含有量の合計(T)の比(T/S)が4以上30以下であることが好ましい。
また、本発明に用いられるトナーは、損失正接(tanδ)が70℃以上110℃未満に極小値1および極大値1を有し、140℃以上200℃未満に極大値2を有し、該トナーの140℃における損失弾性率G”(140℃)が1.0×104〜2.0×105[dN/m2]であることが好ましい。
更には、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量が分子量分布において、数平均分子量(Mn)が2,000〜50,000であり、重量平均分子量(Mw)が2,000〜500,000であり、Mw/Mnが1〜10である。更に前記トナーは、重量平均粒径(D4)が3〜10μmである。また前記トナーは、平均円形度が0.950〜0.995である。
以下に、それぞれの物性値の適正範囲とその理由を示す。
本発明に用いられるトナーは、損失正接(tanδ)が70℃以上110℃未満に極小値1および極大値1を有し、140℃以上200℃未満に極大値2を有し、該トナーの140℃における損失弾性率G”(140℃)が1.0×104〜2.0×105[dN/m2]であることが好ましい。
本発明によれば、上記値を満足した場合、異なる種類の転写材を用いた場合でも定着条件を変更することなく、画像グロスが好適な状態を維持した画像を得ることができる。
今まで、二成分現像剤を構成する既知のフェライトキャリア等を用いて二成分現像剤を調整すると、本発明のトナーを使用した場合、耐久劣化が促進されてしまい、画像欠陥が発生する弊害があり、これまで実用化が非常に困難であった。
本発明において、使用するキャリアを磁性微粒子含有型樹脂キャリアを用い、かつ真比重、磁化力、粒径を制御することにより、本発明のトナーを使用することが可能となった。
本発明のトナーによると、異なる種類の転写材を用いた場合でも定着条件を変更することなく、画像グロスが好適な状態を維持した画像を得られる。その為には、トナーの溶融状態における転写材表層の凹凸への追従性が良いこと、およびトナーの溶融状態における定着部材へのオフセットを抑制することの双方を同時に満足する必要がある。ここで、前者はトナーの粘性項である損失弾性率(以後G”とも記す)と相関が大きく、後者はトナーの弾性項である貯蔵弾性率(以後G’とも記す)と相関が大きいものと推察される。
ところで、転写材の厚みが変化する場合には、トナー像定着時に転写材に奪われる熱量が変化する。また、転写材の表面積が同一で表面凹凸性が異なる場合にもトナー像定着時に転写材に奪われる熱量は変化する。これは、表面凹凸とトナー像との間隙に生ずる空気層の比熱が加味されるためであると推察される。結果、定着工程終了までにトナー像に与えられる熱量の総量は、定着速度、定着温度、定着圧等の設定が同じであれば、転写材の種類および表面凹凸性によって増減する。
よって上記のことから、定着条件同一のもとで異なる種類の転写材を用いた場合に定着部材へのオフセットを抑制するためには、トナーが溶融状態となる温度近傍においてG’の温度依存性を従来のものより小とすることが必要である。これは、定着部材へのオフセットは転写材が定着部材と離間する定着工程後半において発生するものであるから、転写材および空気層の比熱を考慮する必要があるためである。
一方、G”であるが、定着条件を一定にしている場合には、ある温度におけるG”の値を好適な範疇となるよう定めればよい。これは、転写材表層への凹凸への追従性は定着工程の前半に関係しており、このときには転写材の比熱を考慮する必要がない、すなわち定着部材とトナー像との相互作用のみに着目すれば良いからであると思われる。
トナーのG”(140℃)が1.0×104[dN/m2]未満である場合には、転写材表層への凹凸への追従性は優れたトナーとなるものの、転写材自体のグロス差を忠実に反映した画像となってしまうためにグロス値を好適な範疇に維持することができない。一方、G”(140℃)が2.0×105[dN/m2]を超える場合には、転写材表層への凹凸への追従性に劣るトナーとなり、異なる種類の転写材を用いた場合にグロスが好適な状態を維持した画像を得ることができない。
なお、ここで用いた140℃という温度は必ずしも定着設定温度とは一致しないが、これは、実際の定着工程では温度に加えて圧、速度等のパラメータが関係しているためであると推察される。
また、本発明に係るトナーでは、損失弾性率G”と貯蔵弾性率G’との比である損失正接tanδ(=G”/G’)が70℃以上110℃未満に極大値および極小値を持つことが好ましい(以降、この温度範疇における極大値および極小値をそれぞれ極大値1、極小値1と記す)。
この温度範疇におけるtanδの極大値1は、バインダー樹脂がガラス状態から熱変形可能な状態へと転移する温度に相当するものであり、その温度でバインダー樹脂を構成する高分子鎖のミクロブラウン運動が活発化していることを示唆している。また、この温度範疇におけるtanδの極小値1は、その温度でバインダー樹脂が外部から力を加えなくても流動し変形しやすい状態にあることを示しており、トナー中の離型剤成分が染み出しやすくなっていることを示唆している。従って、tanδが極大値1を取るときの温度はtanδが極小値1を取るときの温度よりも低くなる。
tanδが極大値1を取るときの温度が70℃未満である場合には、トナーが帯電部材および現像部材との摩擦熱によって容易に変形、破損してしまうため、初期画像としては問題ないものの耐久性に劣るトナーとなるため好ましくない。具体的には連続印字によって初期画像グロスを好適に維持できないものとなるのに加えて、非画像部へのトナー付着(カブリ)が発生し好ましくない。また、tanδが極小値1を取るときの温度が110℃を超える場合には、離型剤であるワックスの染み出しが効果的に行われず、トナー像の転写材への定着が不十分となり好ましくない。
さらに本発明に係るトナーでは、tanδが140℃以上200℃未満に極大値を持つことが好ましい(以降、この温度範疇における極大値を極大値2と記す)。
この温度範疇でtanδが極大値2を持つということは、測定温度上昇に伴い減少してきた貯蔵弾性率G’が、極大値2を示す温度近傍で、その減少割合が緩やかになったことを示している。これはすなわち、前述の「トナーが溶融状態となる温度近傍においてG’の温度依存性を従来のものより小とする」ことに相当する。
極大値2が上記温度領域で出現しない場合には、温度上昇に伴いG’が単調に減少しつづけることとなり、定着条件同一のもとで異なる種類の転写材を用いた場合にその画像グロスを好適な範疇に定めることができなくなる。
これらの貯蔵弾性率は、結着樹脂の種類や重合度を変更することによって調整は可能だが、後述する重合法によって得られる粒子であれば、その際の重合性単量体組成比や重合開始剤量、または重合反応温度等によって調整することが可能である。
なお、本発明におけるG”(140℃)およびtanδは以下の方法により求めたものである。
測定装置としては、ARES(レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー株式会社製)を用いた。下記の条件で、40〜200℃の温度範囲における貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”およびtanδの測定を行った。
・測定冶具:直径8mmの円形パラレルプレートを使用する。アクチュエーター(actuator)側には円形パラレルプレートに対応するシャローカップを使用する。シャローカップの底面と円形プレートの間隙は約2mmである。
・測定資料:トナーを直径約8mm、高さ約2mmの円盤状試料となるよう、加圧成型した後、使用する。
・測定周波数:6.28ラジアン/秒
・測定歪の設定:初期値を0.1%に設定した後、自動測定モードにて測定を行う。
・試料の伸長補正:自動測定モードにて調整する。
・測定温度:40〜200℃まで毎分2℃の割合で昇温する。
上記の方法により、40〜200℃の温度範囲において損失弾性率G”を測定した際の140℃における損失弾性率G”の値を、G”(140℃)とした。
本発明のトナーの貯蔵弾性率G’および損失弾性率G”の一例について、図3に示す。
本発明のトナーの損失正接(tanδ)の一例について、図4に示す。
次に本発明に用いられるトナーの分子量について説明する。
本発明に用いられるトナーの分子量は、GPCによって測定されるTHF可溶分の分子量であり、重量平均分子量(Mw)が2,000乃至500,000であり、数平均分子量(Mn)が2,000乃至50,000であり、これらの比であるMw/Mnが1〜10である。重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量が2,000未満の場合には、耐久におけるトナー劣化が促進されるだけでなく、長期保存安定性が低下することがあり、キャリアへのスペント発生や、現像器内でのトナー融着の発生等多くの問題点がある。
トナー分子量の数平均分子量(Mn)が50,000を超える場合、又は重量平均分子量(Mw)が500,000を超える場合は、トナー粒子への無機微粒子がしっかりと付着せず、遊離した無機微粒子が発生してしまう。また定着の観点からも、耐オフセット性に優れるものの、定着設定温度を高くせざるを得ない。
またMw/Mnが1未満の場合では、前述の分子量が小さい場合と同様に耐久によるトナー劣化、長期保存安定性の低下、現像器内でのトナー融着が生じやすくなり、更にトナー帯電量のばらつきが生じやすくなることがある。
Mw/Mnが10を超える場合では、トナー粒子への無機微粒子がしっかりと付着せず、遊離した無機微粒子が発生してしまう。また定着の観点からも、耐オフセット性に優れるものの、定着設定温度を高くせざるを得なくなることがある。
本発明において、トナーの前記THF可溶分の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)における分子量分布から、ポリスチレンで換算した分子量として求めることができる。GPCの測定方法としては、以下のとおりである。
まず、サンプルの調製として、試料中の樹脂成分が0.4〜0.6mg/mlとなるように、トナーを室温でテトラヒドロフラン(THF)に24時間溶解せしめ、得られた溶液をポア径が0.2μmの耐溶剤製メンブランフィルターでろ過する。
次に、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。検出器には、RI(屈折率)検出器とUV(紫外線)検出器とを直列に配列して用いる。また、カラムには、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせたものを用いる。このようなカラムには、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807、800Pを組み合わせたものが用いられる。
試料の分子量は、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料には、例えば東ソー社製TSK スタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500が用いられる。また、測定装置には、例えば高速GPC HPLC8120 GPC(東ソー社製)が用いられる。
トナーのTHF可溶分の数平均分子量や重量平均分子量は、例えば結着樹脂の種類や重合度等によって調整することが可能である。
次に、トナーの粒径について説明する。
本発明に用いられるトナーは、更に高画質化のため、より微小な潜像ドットを忠実に現像するためには、重量平均粒径が3〜10μmであることが必要である。このトナーの重量平均粒径は、4〜8μmであることが好ましい。
重量平均粒径が3μm未満のトナーにおいては、特に低湿環境下においてチャージアップの如き問題が起こり易くなり、本発明のキャリアを用いた効果が充分に得られ難くなる。さらに、トナー自身としても粉体としてのハンドリング性.が低い。さらに、トナー全体の表面積が増えることに加え、粉体としての流動性及び撹拌性が低下し、個々のトナー粒子を均一に帯電させることが困難となることから、耐カブリ性や転写性が悪化する傾向を示すため、本発明で使用するトナーには好ましくない。トナーの重量平均粒径が10μmを超えると、特に高温高湿下において、飛散及ビーカーブリの如き問題が起こり易く、本発明のキャリアを用いた効果が充分に見られなくなる。さらに、トナー粒子1個が大きくなるために、解像度が高く、緻密な画像が得られ難く、さらに、静電的な転写を行なうと、トナーの飛び散りが生じ易くなる。
前記トナーの重量平均粒径は、コールターカウンターTA−II型或いはコールターマルチサイザー(コールター社製)等種々の測定装置での測定から求めることができる。これらの測定装置を用いると、トナーの個数平均粒径を求めることも可能である。具体的には、下記のように測定できる。
コールターマルチサイザー(コールター社製)と、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)と、PC9801パーソナルコンピューター(NEC製)とを接続し、一方で1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。このように調製される電解液の代わりに、例えばISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)を用いても良い。
測定手順は以下の通りである。前記電解液を100〜150ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液を、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記コールターマルチサイザーにより、アパーチャーを用いて、2μm以上のトナー粒子の体積、個数を測定して、体積分布と個数分布とを算出する。それから、本発明に係わる所の体積分布から求めた体積基準の重量平均粒径(D4)を求める。なお、個数平均粒径は、個数分布から求めた個数基準の平均粒径として求められる。
前記重量平均粒径は、トナーの分級や、所定の粒径について前記トナーを分級した分級品の混合によって調整することが可能であり、後述する重合法によって得られる粒子であれば、その分散安定剤の量により調整が可能である。
次に本発明に用いられるトナーの形状について述べる。
本発明に用いられるトナーは、平均円形度が0.950〜0.995である。平均円形度が0.950〜0.995のトナーは、紙への転写効率が高く、感光体上に乗せるトナー量が少なくても有利である。また、キャリア上を転がりやすく、更に現像剤のパッキング密度が高くなり易いため、キャリアとの接触機会は多く、常に安定した帯電を保持しやすい。
一方、0.950未満のトナーは、現像剤の流動性が乏しく、キャリアとの接触による帯電が起こりにくい。
平均円形度が0.995を超えるトナーから構成されるトナーは、円形度が非常に高いために、現像剤の流動性変化が大きくなりやすく、長期の耐久試験において帯電量の変化を起こし易い。また、画像形成装置における感光体等のクリーニング性が落ちてしまうことがあり、好ましくない。
トナーの平均円形度は、トナーの投影像に基づいて以下の式(1)より求められる円形度の、以下の式(2)より求められる平均値である。前記平均円形度は、トナーの表面形状の凹凸の度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合は1.000を示し、トナーの表面形状が複雑になるほど平均円形度は小さな値を示す。
Figure 2008015151
前記平均円形度は、例えば東亜医用電子製フロー式粒子像分析装置「FPIA−1000」を用いて測定することができる。
具体的な測定方法としては、界面活性剤を約0.1mg溶解している水10mlにトナー約5mgを分散させて分散液を調製し、超音波(20kHz、50W)を分散液に5分間照射し、分散液濃度を5,000〜2万個/μlとして、前記装置により測定を行い、3μm以上の円相当径の粒子群の円形度を測定し、平均円形度を求める。
なお、この測定方法において、3μm以上の円相当径の粒子群についてのみ円形度を測定する理由は、3μm未満の円相当径の粒子群にはトナー粒子とは独立して存在する前記無機微粒子の粒子群も多数含まれ、その影響によりトナー粒子群についての円形度が正確に見積もれないことを防止するためである。
また、前記「FPIA−1000」では、各粒子の円形度を算出後、平均円形度の算出に当たって、円形度0.40〜1.00を上記の如く61分割したクラスに分け、分割点の中心値と頻度を用いて粒子の円形度を求め、平均円形度を算出している。この算出法で算出される平均円形度の各値と、上述した式(1)及び(2)から算出される平均円形度の各値との誤差は、非常に少なく、実質的には無視出来る程度のものであるので、本発明においては、前述したような算出方法を用いても良い。このように、前記平均円形度の測定では、算出時間の短絡化や算出演算式の簡略化の如きデータの取り扱い上の理由で、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこのような算出法を用いても良い。
前記平均円形度は、トナー粒子の製造方法として重合法を採用することや、機械的衝撃や熱的衝撃等によってトナー粒子の円形度を制御する処理を行うこと等により調整することが可能である。
本発明に用いられるトナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックス成分を含有するトナー粒子と無機微粒子とを有する。前記トナーの物性を実現することができるものであれば、前記トナーの材料には特に限定はなく、公知の材料を用いることができる。
前記結着樹脂は、スチレン−アクリル化合物を主成分とする。結着樹脂は、スチレン−アクリル化合物を最も多く含有するのであれば、その組成は特に限定されず、スチレン−アクリル化合物のみから構成されていても良いし、その他の樹脂を副成分として含むものであっても良い。
前記スチレン−アクリル化合物としては、スチレン及びその誘導体と、(メタ)アクリル酸及びそのエステル等の誘導体とが化学的に結合してなる化合物であれば特に限定されない。このようなスチレン−アクリル化合物としては、例えばスチレン系化合物とアクリル酸系化合物とを単量体とするオリゴマーやコポリマー等が挙げられる。
前記トナー粒子には、着色力を付与するために着色剤を必須成分として含有する。本発明に好ましく用いられる着色剤としての有機顔料又は有機染料としては以下のものが挙げられる。
シアン系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー7、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66等が挙げられる。
マゼンタ系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物等が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド254等が挙げられる。
イエロー系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物等が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー111、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー127、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー174、C.I.ピグメントイエロー175、C.I.ピグメントイエロー176、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントイエロー191、C.I.ピグメントイエロー194等が挙げられる。
これらの着色剤は、単独又は混合した状態、さらには固溶体の状態で用いることができる。前記着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナーへの分散性の点から選択される。前記着色剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対し1〜20質量部である。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、上記イエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたもの等が用いられる。
黒色着色剤として磁性体を用いた場合には、他の着色剤と異なり、結着樹脂100質量部に対し30〜200質量部が添加される。
本発明において、後述する重合法を用いてトナーを得る場合には、着色剤の持つ重合阻害性や水相移行性に注意を払う必要がある。好ましくは、表面改質、例えば重合阻害のない物質による疎水化処理を施しておいたほうが良い。特に、染料系やカーボンブラックは、重合阻害性を有しているものが多いので、使用の際に注意を要する。染料系を表面処理する好ましい方法としては、あらかじめこれら染料の存在下で重合性単量体を重合せしめる方法が挙げられ、得られた着色重合体を単量体系に添加する。
また、カーボンブラックについては、上記染料と同様の処理の他、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質、例えば、ポリオルガノシロキサン等で処理を行っても良い。
前記トナー粒子には、ワックス成分が含まれる。転写材上に転写されたトナー像は、その後、熱及び圧力等のエネルギーにより転写材上に定着され、半永久的画像が得られる。この際、熱ロール式定着やフィルム式定着が一般に良く用いられるが、トナー粒子に前記ワックス成分を含有させることにより、グロスムラ等のムラを発生しない画像を提供できる。
前述のように、重量平均粒径が10μm以下のトナー粒子を用いれば、非常に高精細な画像を得ることができるが、粒径の細かいトナー粒子は、紙等の転写材を使用した場合に、紙の繊維の隙間に入り込み、定着部材からの熱の受け取りが不十分となり、低温オフセットが発生しやすい。しかしながら、本発明に用いられるトナーにおいて、適正量の前記ワックス成分を含有させることにより、高解像性と耐オフセット性とを両立させることが可能となる。
前記ワックス成分としては、各種のワックス等、例えばパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス及びその誘導体等が挙げられる。これらの誘導体には、酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。さらには、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、或いはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックス等が挙げられる。
前記ワックス成分の含有量は、結着樹脂100質量部に対して0.5〜50質量部の範囲が好ましい。含有量が0.5質量部未満では低温オフセット抑制効果に乏しく、50質量部を超えてしまうと長期間の保存性が悪化すると共に、他のトナー材料の分散性が悪くなり、トナーの流動性の悪化や画像特性の低下につながることがある。
トナーには、荷電特性を安定化するために荷電制御剤を配合しても良い。荷電制御剤は、その種類等に応じて、トナー粒子中に添加することもできるし、トナー粒子に外添することもできる。荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が、現像システムに応じた最適の摩擦帯電量のコントロールを実現する上で好ましい。さらに、直接重合法を用いてトナーを製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
特に、本発明に用いられるトナーは、帯電に対して影響の高いスルホン酸基中の硫黄元素の量と、帯電を阻害する、即ちリークサイトとして機能しうるマグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム及びリンからなるグループより選ばれる少なくとも一種の元素(以下、「グループ1元素」とも略す)の量との関係が、硫黄元素の含有量を(S)、グループ1元素の含有量を(T)としたときに、T/Sの値が4以上30以下の範囲を有していることが好ましい。このことは、トナーの耐久帯電安定性及びクリーニング不良の抑制とトナー飛散の抑制との両立を図る上で、より好ましい。特にリークサイトとして機能する元素を含有することによって、トナーのチャージアップを抑制する。
これは、主としてリークサイトとして機能するグループ1元素と、帯電サイトとして機能するスルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基の重合体又は共重合体の硫黄元素との存在量のバランスが、一定の粒径範囲及び一定の平均円形度範囲にあるトナーの耐久帯電安定性及びクリーニング不良の抑制とトナー飛散の抑制との両立に大きく関与しているためである。
T/Sが4より小さい場合には、リークサイトとして機能するグループ1元素量に対するスルホン酸基中の硫黄元素量が少ないため、チャージアップの傾向が強くなり、過帯電した成分により、キャリア離れしづらく、クリーニング不良が発生しやすくなる等、画質が低下することがある。また、二成分現像剤中にトナーを補給する際、チャージアップしていると、キャリアと良好に混合することができず、トナーの帯電ムラが発生してしまう。一方、T/Sが30を越えると、リークサイトとして機能する成分であるグループ1元素が多くなるため、トナーの帯電量が電子写真プロセスに必要とされる適正値に達しないので、トナー飛散や画質の低下が起こることがある。このT/Sの値を制御するためには、トナー粒子中に導入する硫黄元素量、グループ1元素量のコントロールにより達成することが可能である。
前記トナー粒子中のこれらの元素の含有量は、これらの元素を含有するトナー粒子の原料の使用や、これらの元素を含有し、トナー粒子の製造に用いられる各種材料の使用、及びその使用量によって調整することが可能である。硫黄元素を含有するトナー粒子の原料や製造用の各種材料としては、例えばスルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基の重合体又は共重合体等の硫黄原子を含有する置換基を有する樹脂、ワックス成分、界面活性剤等が挙げられる。また、前記グループ1元素を含有するトナー粒子の原料や製造用の各種材料としては、例えば一般に金属石鹸と呼ばれる脂肪酸塩を含むワックス成分、荷電制御剤や、後述する懸濁重合法で用いられる無機分散剤等が挙げられる。
前記T/Sは、トナー粒子中の硫黄元素やグループ1元素を定量することによって求めることができる。このような定量には、例えば(トナー粒子表面に存在する硫黄元素含有量(S)とグループ1元素含有量(T)との比(T/S)は、以下のように、ESCA(X線光電子分光分析)により表面組成分析を行うことにより測定できる。
本発明では、ESCAの装置および測定条件は、下記の通りである。
使用装置:PHI社製 1600S型 X線光電子分光装置
測定条件:X線源 MgKα(400W)
分光領域 800μmφ
本発明では、測定された各元素のピーク強度から、PHI社提供の相対感度因子を用いて表面原子濃度を算出した。
本測定はトナーを超音波洗浄し、トナー粒子表面に付着している無機微粒子を除去した後、磁気力にて分離し、乾燥し測定することが好ましい。)を用いることができる。
また、本発明に係わるトナーにおいて好適な懸濁重合等の製造方法においては、高分子タイプの荷電制御剤と無機分散剤として使用されるグループ1元素を含有する化合物との相互作用によりT/Sが決まる。この系においては、硫黄元素量を一定にしても、硫黄元素の存在状態の分布によりT/Sの値が変化しうる。
例えば、隣接する帯電サイト同士の距離が短く、近傍に存在する帯電サイトの濃度が高い荷電制御剤成分の比率が高い場合、その成分は隣接する帯電サイト同士の距離が短いことに起因して、グループ1元素と接触すると、強い相互作用により、それらのグループ1元素を包み込む傾向が有り、T/S値が大きくなる。この傾向が顕著になると、前述のグループ1元素が露出しなくなり、それら元素の帯電に関する特性の一つである電荷のリークが行われなくなり、リークサイトとしての機能が失われることがある。その結果、チャージアップを引き起こす傾向となり、キャリア離れはよりし難くなる。このため、現像されないトナーがキャリアに連れまわることにより、トナー劣化が促進され、キャリア汚染が発生しやすくなる。さらに、荷電制御剤の帯電サイトの多くが前述の元素と相互に作用するため、帯電制御に関与する帯電サイトが減少し、帯電量の制御機能が失われ、高湿環境下では帯電量低下によりトナー飛散を引き起こしたり、低湿環境下ではチャージアップを引き起こし、またクリーニング不良を誘発したりすることもある。
一方、隣接する帯電サイト同士の距離が適度な距離となると、グループ1元素との相互作用が小さくなり、それら元素が高分子タイプの荷電制御剤に包み込まれることなく、帯電サイトが有効に機能し、かつそれらのグループ1元素の残留量も減少する。また、高分子タイプの荷電制御剤中における帯電サイトのうち、前述の元素と相互に作用しやすい部位は、帯電サイト濃度が高い傾向にあるため、帯電サイトの集中によるトナーの帯電量分布の広がりをも抑制するものと発明者らは考えている。
しかし、完全に均一になってしまうとグループ1元素が硫黄元素との相互作用が小さくなり、グループ1元素量が少なくなりT/Sも小さくなり、リークサイトが不足してチャージアップし、キャリア離れし難かったり、クリーニング不良の発生、画質の低下が顕著となる。本発明者らは、これらの現象を総合的に把握し、画質の低下を抑制する範囲を規定する上でT/Sを定義した。
しかも、後述する懸濁重合法では、極性が高いものほどトナー粒子の表面に存在する傾向があり、硫黄元素を有する樹脂がトナー粒子の表面に存在すると、前述の効果がより明確に発現される。
さらに、本発明のトナーにおいては、X線光電子分光分析により測定されるトナー表面に存在する炭素元素の含有量(A:原子個数%)とトナー表面に存在する硫黄元素の含有量(E:原子個数%)との比(E/A)が0.0015〜0.0035の範囲であることが好ましい。この比は、用いられるスルホン酸基を含有するビニル系モノマーを有する重合体量により好適な範囲に制御することが可能である。0.0015未満では高温高湿下において十分な帯電量が得られにくくなることに起因してハーフトーン画像の均一性が失われ、0.0035を超えると帯電量の湿度変化に対する安定性が低下して画質全体が低下する傾向にある。
表面原子濃度の算出に際して、硫黄原子に関しては、結合エネルギー160〜172eV、炭素原子に関しては、結合エネルギー280〜290eVに存在するピークトップの強度を用いた。
本発明では、測定された各元素のピーク強度から、PHI社提供の相対感度因子を用いて表面原子濃度を算出した。
本発明に用いられるトナー粒子は、重合法によって得られる粒子であるのが好ましい。本発明に用いられるトナーは、粉砕法によって製造することも可能であるが、この粉砕法で得られるトナー粒子は一般に不定形のものであり、本発明に用いられるトナーの必須要件である平均円形度が0.950〜0.995という物性を得るためには、機械的、熱的或いは何らかの特殊な処理を行うことが必要となる。
そこで、上述の諸問題を解決するため、本発明に用いられるトナーにおいては、トナー粒子を重合法により製造することが好ましい。トナー粒子の重合法としては、直接重合法、懸濁重合法、乳化重合法、乳化会合重合法、シード重合法等の公知の重合法が挙げられるが、これらの中では、粒径と粒子形状のバランスのとりやすさという点で、特に懸濁重合法が好ましい。
懸濁重合法とは、重合性単量体及び着色剤(更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤)を均一に溶解又は分散せしめて単量体組成物とした後、この単量体組成物を、分散安定剤を含有する連続層(例えば水相)中に適当な撹拌器を用いて分散し、同時に重合反応を行わせ、所望の粒径を有するトナー粒子を得るものである。この懸濁重合法で得られるトナー粒子は、個々のトナー粒子の形状がほぼ球形に揃っているため、平均円形度が0.950〜0.995という物性要件を満たすトナーが得られやすく、さらにこういったトナーは帯電量の分布も比較的均一となるため、高い転写性を有している。
さらに、懸濁重合して得られた微粒子に再度、重合性単量体と重合開始剤を添加して表面層を設けるコア・シェル構造も必要に応じて設計することが可能である。
本発明では、トナー粒子表面を走査型プローブ顕微鏡にて観測することにより得られる平均面粗さが5.0nm未満であることが好ましい。5.0nm未満の凹凸であれば、凹部に付着した外添剤の付着強度と凸部に付着した外添剤の付着強度に差がなくなり、外添剤の遊離に起因するキャリアの汚染が低減されるため、画質が安定すると共に現像剤を長期に亘り使用することが可能となる。この平均面粗さは、本発明の必須要件である移送性指数の値を制御する上でも関係している。平均面粗さは、例えばトナーまたはトナー粒子をガラス転移温度以上に一定時間加熱したり、機械的なストレスを与えたりすることにより、制御することができる。その中でも、水中で加熱する方法により制御することがワックスの滲み出しを抑制できるので好ましい。さらに、水中での平均面粗さ制御を行う際にトナー粒子にスルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体を含有していると、トナー粒子表面に前記重合体・共重合体が偏析し、得られるトナーの帯電性が均一となり、より好ましい。
本発明において、トナー粒子の平均面粗さは、走査型プローブ顕微鏡を用いて測定される。以下に、測定方法の例を示す。
プローブステーション:SPI3800N(セイコーインスツルメンツ(株)製)
測定ユニット:SPA400
測定モード:DFM(共振モード)形状像
カンチレバー:SI−DF40P
解像度:Xデータ数 256
Yデータ数 128
本発明においては、トナー粒子の表面の1μm四方のエリアを測定する。測定するエリアは、走査型プローブ顕微鏡で測定されるトナー粒子表面の、中央部の1μm四方のエリアとする。測定するトナー粒子は、コールターカウンター法で測定される重量平均粒径(D4)に等しいトナー粒子をランダムに選択して、そのトナー粒子を測定する。測定されたデータは、2次補正を行う。異なるトナー粒子を5個以上測定し、得られたデータの平均値を算出して、そのトナー粒子の平均面粗さとする。
トナー粒子に外添剤が外添されているトナーにおいて、トナー粒子の表面を走査型プローブ顕微鏡を用いて測定する場合は外添剤を取り除く必要があり、具体的な方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
1)トナー45mgをサンプル瓶に入れ、メタノールを10ml加える。
2)超音波洗浄機で1分間試料を分散させて外添剤を分離させる。
3)吸引ろ過(10μmメンブランフィルター)してトナー粒子と外添剤を分離する。磁性体を含むトナーの場合は、磁石をサンプル瓶の底にあててトナー粒子を固定して上澄み液だけ分離させても構わない。
4)上記2)、3)を計3回行い、得られたトナー粒子を真空乾燥機で室温で十分に乾燥させる。
前記の方法は、ESCAの測定の際にも用いることが可能である。
外添剤を取り除いたトナー粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、外添剤がなくなっているのを確認した後、走査型プローブ顕微鏡でトナー粒子の表面観察をすることができる。外添剤が十分に取り除ききれていない場合には、外添剤が十分に取り除かれるまで2)、3)を繰り返し行った後に走査型プローブ顕微鏡でのトナー粒子の表面観察を行う。
2)、3)に代わる外添剤を取り除く他の方法としては、アルカリで外添剤を溶解させる方法が挙げられる。アルカリとしては水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
以下に各用語を説明する。
・平均面粗さ(Ra)
JIS B0601で定義されている中心線平均粗さRaを、測定面に対して適用できるよう三次元に拡張したもの。基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値で次式で表される。
Figure 2008015151
次に本発明に用いられるトナーの懸濁重合法による製造方法を説明する。
本発明に用いられるトナーを懸濁重合法で製造する場合、使用される重合性単量体としては以下のものが挙げられる。
前記重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン等のスチレン系単量体;
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロロエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類;
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類;
その他のアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の単量体等が挙げられる。
これらの重合性単量体は、単独又は混合して使用し得る。上述の重合性単量体の中でも、スチレン又はスチレン誘導体を単独で、或いは他の重合性単量体と混合して使用することが、トナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。
懸濁重合法でのトナー粒子の製造においては、重合性単量体系に樹脂を添加して重合しても良い。
例えば、単量体では水溶性のため、水性懸濁液中では溶解して乳化重合を起こすので使用できないアミノ基、カルボン酸基、水酸基、グリシジル基、ニトリル基等、親水性官能基を有する単量体成分をトナー粒子中に導入したい時には、これらとスチレン或いはエチレン等ビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体或いはグラフト共重合体等、共重合体の形にして、或いはポリエステル、ポリアミド等の重縮合体、ポリエーテル、ポリイミン等重付加重合体の形で使用が可能となる。こうした極性官能基を含む高分子重合体をトナー粒子中に共存させると、前述のワックス成分を相分離させ、より内包化が強力となり、耐オフセット性、耐ブロッキング性、低温定着性の良好なトナーを得る上でより好ましい。
また、材料の分散性や定着性、或いは画像特性の改良等を目的として、上記以外の樹脂を重合性単量体系中に添加しても良い。このような場合に用いられる樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体;
スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;
ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で、或いは混合して使用することができる。
これらの樹脂の添加量としては、重合性単量体100質量部に対し1〜20質量部が好ましい。1質量部未満では添加効果が小さく、一方20質量部を超えるとトナー粒子の種々の物性設計が難しくなることがある。
さらに、前記重合性単量体を重合して得られるトナー粒子の分子量範囲とは異なる分子量の重合体を単量体中に溶解して重合すれば、分子量分布の広い、耐オフセット性が高く、また耐久性の良いトナー粒子を得ることができる。
前記懸濁重合法において使用される重合開始剤としては、重合反応時に半減期0.5〜30時間であるものを、重合性単量体100質量部に対し0.5〜20質量部の添加量で重合反応を行うと、分子量1万〜10万の間に極大を有する重合体を得、トナーに望ましい強度と適当な溶融特性を与えることができる。重合開始剤例としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;
ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエ−ト、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエ−ト、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカ−ボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
前記懸濁重合法でトナー粒子を製造する際は、架橋剤を添加しても良い。好ましい添加量としては、0.001〜15質量%である。
前記懸濁重合法でトナー粒子を製造する際は、分子量調整剤を使用することができる。分子量調整剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素類;α−メチルスチレンダイマー等を挙げることができる。これらの分子量調整剤は、重合開始前或いは重合途中に添加することができる。分子量調整剤は、重合性単量体100質量部に対して、通常、0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部の割合で用いられる。
前記懸濁重合法では、一般に前述したトナー粒子の原料、すなわち重合性単量体中に、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基の重合体又は共重合体、磁性体、ワックス成分、荷電制御剤、架橋剤等のトナー粒子として必要な成分及びその他の添加剤、例えば重合反応で生成する重合体の粘度を低下させるために入れる有機溶媒、高分子重合体、分散剤等を適宜加えて、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機等の分散機によって均一に溶解又は分散せしめた重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁する。
この時、高速撹拌機もしくは超音波分散機のような高速分散機を使用して一気に所望のトナー粒子のサイズとなるように重合性単量体組成物を分散すると、得られるトナー粒子の粒径がシャープになる。重合開始剤を添加する時期としては、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時に同時に加えても良いし、重合性単量体組成物を水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体組成物或いは溶媒に重合開始剤を溶解して加えることもできる。
造粒後は、通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され、且つ粒子の浮遊、沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。
懸濁重合法でトナー粒子を製造する場合には、分散安定剤として公知の界面活性剤や有機或いは無機の分散剤を用いることができる。中でも無機分散剤が、有害な超微粉を生じ難く、その立体障害性により分散安定性を得ているので、反応温度を変化させても安定性が崩れ難く、洗浄も容易でトナーに悪影響を与え難いので、好ましく使用できる。こうした無機分散剤の例としては、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛等のリン酸多価金属塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、ベントナイト、アルミナ等の無機酸化物等が挙げられる。
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2〜20質量部を単独で使用しても良く、粒度分布を調整する目的で0.001〜0.1質量部の界面活性剤と併用しても良い。界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられる。
これら無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用しても良いが、水系媒体中にて前記無機分散剤粒子を生成させると、より細かい粒子を得ることができる。例えば、リン酸カルシウムの場合、高速撹拌下、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、水不溶性のリン酸カルシウムを、より均一で細かく分散した状態で生成させることができる。
この時、同時に水溶性の塩化ナトリウム塩が副生するが、水系媒体中に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶解が抑制されて、乳化重合による超微粒トナーが発生し難くなるので、より好都合である。
しかしながら前記水溶性塩は、重合反応終期に、残存する重合性単量体を除去する時には障害となることから、水系媒体を交換するか、イオン交換樹脂で脱塩する等により除去することが好ましい。無機分散剤は、重合終了後に、酸或いはアルカリで溶解することができ、ほぼ完全に取り除くことができる。
重合性単量体組成物の重合においては、重合温度は40℃以上、一般には50〜90℃に設定される。この温度範囲で重合を行うと、内部に封じられるべきワックス成分が相分離により析出して、ワックス成分の内包化がより完全となる。残存する重合性単量体を消費するために、重合反応終期ならば、反応温度を90〜150℃にまで上げることは可能である。本発明に用いられるトナーは、重合終了後、得られたトナーを公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥を行い、無機微粒子を混合し、トナー粒子の表面に付着させることで得ることができる。また、製造工程に分級工程を入れ、粗粉や微粉をカットすることも、望ましい形態の一つである。
スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基の重合体又は共重合体樹脂をトナー粒子中に配合する場合では、該樹脂をそのままトナー粒子の原料として添加しても良いし、前述した懸濁重合法等の重合法によってトナー粒子を製造する場合では、スルホン酸基を含有する重合性単量体を前記重合性単量体組成物中に配合しても良い。
前記スルホン酸基を含有する樹脂を製造するための含硫黄単量体としては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、下記構造式(1)で示されるマレイン酸アミド誘導体、下記構造式(2)で示されるマレイミド誘導体、及び下記構造式(3)で示されるスチレン誘導体等が挙げられる。
Figure 2008015151
(結合部位はオルト位又はパラ位である。)
前記スルホン酸基を含有する樹脂は、上記単量体の単重合体であっても構わないが、上記単量体と他の単量体との共重合体であっても構わない。上記単量体と共重合体をなす単量体としては、ビニル系重合性単量体があり、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することが出来る。
本発明に使用するトナーの平均円形度、所望の平均粒径を得る上では、上記単量体のうちスルホン酸を有する単量体が好ましく、スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドがより好ましい。
前記スルホン酸基を含有する樹脂に含まれる含硫黄単量体の含有量は、0.01〜20質量%の範囲であることが、トナーの適切な帯電特性と平均円形度とを達成する上で好ましい。同様の理由により、0.05〜10質量%の範囲がより好ましく、0.1〜5質量%の範囲がさらに好ましい。
前記単官能性重合性単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン誘導体;
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、i−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェ−トエチルアクリレート、ジエチルフォスフェ−トエチルアクリレート、ジブチルフォスフェ−トエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系重合性単量体;
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、i−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェ−トエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェ−トエチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体;
メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルの如きビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトン等が挙げられる。
前記多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオ−ルジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオ−ルジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル等が挙げられる。
前記スルホン酸基を含有する樹脂を形成する単量体としては、上述の如き単量体を用いることができるが、スチレン誘導体を単量体として含有していることが、より好ましい。
前記スルホン酸基を含有する樹脂の製造方法は、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、イオン重合等があるが、操作性等の面から溶液重合が好ましい。
前記スルホン酸基を有する重合体を構成する単量体としては、下記一般式に示す単量体が挙げられる。
X(SO3 -)n・mYk+
(Xは前記重合性単量体に由来する重合体部位を表し、Y+はカウンターイオンを表し、kはカウンターイオンの価数であり、m及びnは整数であり、n=k×mである。)
前記一般式におけるカウンターイオンとしては、水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、アンモニウムイオン等であることが好ましい。
前記スルホン酸基中の硫黄原子を含有する樹脂において、スルホン酸基を有する重合体の酸価(mgKOH/g)は3〜80が好ましい。より好ましくは5〜40が良い。さらに好ましくは10〜30が良い。
前記スルホン酸基を有する重合体の酸価が3未満の場合には、本発明で言及するような十分な荷電制御作用が得られないことがあり、かつ環境特性が悪くなることがある。前記酸価が50を超える場合には、この様な重合体を含有する組成物を用いて、懸濁重合で粒子を造る場合、トナー粒子がいびつな形状を有する様になり、トナーの平均円形度が小さくなってしまい、含有するワックス成分がトナー粒子の表面に現れ、現像性の低下を引き起こすことがある。
前記スルホン酸基を含有する樹脂は、結着樹脂100質量部当たり0.05乃至20質量部含有されていることが良い。好ましくは0.1乃至10質量部が良い。前記スルホン酸基を含有する樹脂の含有量が0.05質量部未満の場合には、本発明で言及するような十分な荷電制御作用が得られにくく、20質量部を超えると、トナーの平均円形度が低下し、現像性や転写性の低下を引き起こすことがある。トナー粒子中のスルホン酸基を含有する樹脂の含有量は、キャピラリ−電気泳動法等を用いて測定することができる。
本発明に用いられるトナーには、前述したトナー粒子の他に無機微粒子を外添剤として有する。本発明では、流動化剤として平均一次粒径4〜80nmの無機微粒子が、トナー全体に対し0.1〜4質量%添加されていることも非常に好ましい使用形態である。4質量部を超えると、定着性が悪化する懸念がある。無機微粒子は、トナーの流動性の改良及びトナー粒子の帯電の均一化のために添加されるが、無機微粒子を疎水化処理する等の処理によってトナーの帯電量の調整、環境安定性の向上等の機能を付与することも好ましい。
無機微粒子の平均一次粒径が80nmよりも大きい場合、無機微粒子がトナー粒子に付着しにくく、結果的にキャリア汚染を招く。良好なトナーの流動性が得られず、トナー粒子への帯電付与が不均一になり易く、低湿下での摩擦帯電性の不均一化につながるため、カブリの増大、画像濃度の低下或いは耐久性の低下等の問題が生じやすくなる。また前記回転体への微細欠損についても生じやすくなる。
無機微粒子の平均一次粒径が4nmよりも小さい場合には、無機微粒子同士の凝集性が強まり、一次粒子ではなく、解砕処理によっても解れ難い強固な凝集性を持つ粒度分布の広い凝集体として挙動し易い。この凝集体がキャリアへ補給された場合、凝集体が良好に分散せず、トナーに対して帯電付与をする事が困難になる。トナー粒子の帯電分布をより均一とするためには、無機微粒子の平均一次粒径は6〜35nmであることがより好ましい。
無機微粒子の平均一次粒径は、走査型電子顕微鏡により拡大撮影したトナーの写真で、更に走査型電子顕微鏡に付属させたXMA等の元素分析手段によって無機微粒子の含有する元素でマッピングされたトナーの写真を対照しつつ、トナー粒子の表面に付着或いは遊離して存在している無機微粒子の一次粒子を100個以上測定し、個数平均粒径を求めることで測定することができる。また、無機微粒子の含有量は、蛍光X線分析を用い、標準試料から作成した検量線を用いて定量できる。
前記無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア等が使用できる。例えば、シリカとしては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能である。表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 2-等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において、例えば塩化アルミニウム、塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能である。前記乾式シリカは、それらも包含する。
前記無機微粒子は、疎水化処理されたものであることが、高湿環境下での特性を向上させ、キャリアに対する離型性の向上等の機能を付与する上で好ましい。
疎水化処理の処理剤としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物の如き処理剤等が挙げられる。このような処理剤は、を単独で、或いは併用して用いることができる。
その中でも、シリコーンオイルにより処理したものが好ましく、より好ましくは、無機微粒子を疎水化処理すると同時に、或いは処理した後に、シリコーンオイルにより処理したものが、高湿環境下でもトナー粒子の帯電量を高く維持し、選択現像性を低減する上で好ましい。
無機微粒子の処理条件としては、例えば第一段反応としてシリル化反応を行い、無機微粒子の表面の活性水素基を化学結合により消失させた後、第二段反応としてシリコーンオイルにより表面に疎水性の薄膜を形成する条件が挙げられる。シリル化剤の使用量としては、無機微粒子100質量部に対し5〜50質量部が好ましい。5質量部未満では無機微粒子表面の活性水素基を消失させるのに十分でなく、50質量部を超えると、余分なシリル化剤同士の反応で生成するシロキサン化合物が糊の役割となって、無機微粒子同士の凝集が起こり、画像欠陥を生じ易くなる。
上記シリコーンオイルは、25℃における粘度が10〜200,000mm2/sのものが好ましく、さらには3,000〜80,000mm2/sのものがより好ましい。シリコーンオイルの25℃における粘度が10mm2/s未満では、無機微粒子に安定性が無く、熱及び機械的な応力により、画質が劣化する傾向がある。200,000mm2/sを超える場合は、均一な処理が困難になる傾向がある。
シリコーンオイルの処理方法としては、例えばシラン化合物で処理された無機微粒子とシリコーンオイルとを、ヘンシェルミキサー等の混合機を用いて直接混合しても良いし、無機微粒子にシリコーンオイルを噴霧する方法を用いても良い。或いは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解或いは分散せしめた後、無機微粒子を加え混合し溶剤を除去する方法でも良い。無機微粒子の凝集体の生成が比較的少ない点で、噴霧機を用いる方法がより好ましい。
シリコーンオイルの処理量は、無機微粒子100質量部に対し1〜23質量部、好ましくは5〜20質量部が良い。シリコーンオイルの量が少なすぎると良好な疎水性が得られず、多すぎるとやはり無機微粒子の凝集が起こりやすい。
本発明に用いられるトナーには、クリーニング性の向上等の目的で、一次粒径30nmを超える(好ましくは比表面積が50m2/g未満)、より好ましくは一次粒径50nm以上(好ましくは比表面積が30m2/g未満)の無機又は有機の球状に近い微粒子をさらに添加することも好ましい形態のひとつである。このような微粒子紙としては、例えば球状シリカ粒子、球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子、球状樹脂粒子等が好ましく用いられる。
本発明に用いられるトナーには、実質的な悪影響を与えない範囲内で更に他の添加剤を添加することができる。このような他の添加剤としては、例えばフッ素樹脂粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末;或いは酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末等の研磨剤;
或いは例えば酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末等の流動性付与剤;ケーキング防止剤;また、逆極性の有機微粒子及び無機微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。これらの添加剤も表面を疎水化処理して用いることも可能である。
本発明におけるトナーの最良の形態は、該トナー粒子とケイ素・酸化マグネシウム・チタン化合物・アルミナ及びフッ素を含有する微粒子から選ばれる少なくとも1種以上の微粒子を外添剤として混合することが好ましい。
特に、トナー粒子に混合する全微粒子の内、チタン化合物が質量%で50%以上を占めることが好ましい形態である。更には、50%〜70%の範囲が最も好ましい。
これはチタン化合物を全無機微粒子に対して多く入れることにより、流動性が増加し、本発明の磁性微粒子含有型樹脂キャリアとの混合性が良くなる。そのことで、帯電の立ち上がりが良好になり、画質の向上が図られる。質量%で70%以上になると、遊離チタン化合物が増加し、その遊離チタン化合物が該キャリア表面をスペント化してしまう。つまり、トナーへの帯電付与能力が劣り、非画像部へのかぶりが発生しやすくなってしまう。50%以下になると、トナーの流動性が悪化し、トナー劣化を促進させてしまう。
このように、本発明によれば、最適なキャリア・トナーの組み合わせによって、トナーは劣化が抑制されつつ、定着画像グロスを高く発現することが可能になった。更には、定着温度も従来から低く設定することによって、環境配慮型の画像形成装置を提案することが可能になる。
以下に本発明の磁性微粒子含有型樹脂キャリアとスルホン酸基含有トナーに搭載するに好ましい画像形成装置に関して説明する。
本発明の画像形成装置の概要について具体的に説明する。
図5、6及び7に例示するように、画像形成装置本体(図5)内に設置される複数の各色成分現像器(23−2、23−3、23−4、23−5)に各色成分補給用現像剤を補給する複数の補給用現像剤カートリッジ(2a、3a、4a、5a)において、全色補給用現像剤中には、本発明のトナーのみが含まれる。好ましくは全色キャリアを含んだオートリフレッシュ現像方式でも、特定色のみをオートリフレッシュ現像方式にしても良い。この特定色とは、通常使用頻度の高いブラックが挙げられるが、ユーザーの要求などに応じて自由に選定される。ここで、特定色の補給用現像剤カートリッジは、非特定色の補給用現像剤カートリッジの容量よりも大きければよく、複数の補給用現像剤カートリッジで構成してもよいし、非特定色の補給用現像剤カートリッジの容量よりも大きい1つの補給用現像剤カートリッジであってもよい。尚、図5中、符号1は環状像形成ユニット群23により可視像化される静電潜像を形成する静電荷像担持体である。
本発明の二成分現像剤を用いても、多数枚高印字率の画像を出力するといったまれな出力モードを行うと、耐久後半に剤劣化を起こすようなことも度々発生する。本画像形成方法にて、オートリフレッシュ現像方式を使用することにより、どんな印字率で印刷をしても、レアケースな出力モードでも、ラチチュードの広い良好な画質を得ることが可能となる。
なお、本発明に好ましく使用されるオートリフレッシュ方式の画像形成方法として、ロータリー現像方式を採用したものを用いて例示したが、これに限らず、いかなる画像形成方法においてオートリフレッシュ方式を使用しても良い。
例えば、1つの静電荷像担持体に対向せしめた記録材保持体表面に静電気力やグリッパーの如き機械的作用により記録材を巻き付け、現像−転写工程を4回転実施することでカラー画像を得る方法(転写ドラム方式)、1つの感光体上に4色のトナー像を形成し、紙に一括転写する方法(多重現像方式)や、4つの静電荷像担持体を用い各静電荷像担持体上に形成された静電潜像を例えばイエロー現像剤、マゼンタ現像剤、シアン現像剤、ブラック現像剤を用いて現像し、中間転写体を介してあるいは介さず、各トナー像を記録材へ転写し、カラー画像を形成せしめる方法(タンデム方式)にも適用可能である。
図5、6及び7を参照しながら本発明に用いることができる画像形成装置についての一例を説明する。本説明では、特定色(ブラック)のみオートリフレッシュ現像方式を採用したものであるが、先に述べたとおり全色(図8)でも好ましい使用方法である。
図5は、ロータリー回転方式の各色毎に像形成ユニット(現像器とそれに付随する補給用現像剤カートリッジ)を有する環状像形成ユニット群23及び中間転写体55を搭載しており、特定色をブラック、非特定色をイエロー、マゼンタ、シアンとした電子写真方式のカラー画像形成装置の一例の概略構成図である。静電潜像担持体20は、帯電装置25によりその表面を例えば負極性に一様に帯電される。次に、露光装置24により、一色目、例えばイエロー画像に対応する像露光がなされ、静電潜像担持体20の表面にはイエロー画像に対応する静電潜像が形成される。
環状像形成ユニット群23の概略構成図を図6に示す。環状像形成ユニット群23は、移動手段によって回転移動可能なように構成されている。前記イエロー画像に対応する静電潜像の先端が現像位置に到達する以前に、イエロー現像器が静電潜像担持体20に対向し、その後磁気ブラシが静電潜像を摺擦して、前記静電潜像担持体上にイエロートナー像を形成する。尚、移動手段としては、環状像形成ユニットを回転移動させることができるものであれば、特に制限されない。
図7は、図6の現像器23−2、23−3、23−4および23−5の概略構成図である。なお、オートリフレッシュ現像方式を用いない非特定色の現像器2、3、4については、44〜48の現像剤回収機能部を有していない。
現像に用いられる各現像器には、図7に示すように、例えば、現像剤担持体としての現像スリーブ36、マグネットローラ38、規制部材37、現像剤搬送スクリュー40、41、図示されていないスクレーパ等が設けられている。
図5、6及び7を用いて現像器内の現像剤が現像されるまでの搬送されていく流れを説明する。現像スリーブ36は固定したマグネットローラ38を内包し、静電潜像担持体20の周面との間に所定の現像間隔を保ち駆動回転される。なお、現像スリーブ36と静電潜像担持体20とは接触している場合もある。規制部材37は剛性かつ磁性を有する部材である。尚、規制部材37としては、現像スリーブ36に対し現像剤が介在しない状態で所定の荷重をもって圧接されるものや、現像スリーブ36との間に所定の間隔を保って配されるもの等、種々のものがある。一対の現像剤搬送スクリュー40、41は、スクリュー構造を持ち、互いに逆方向に現像剤を搬送循環させて、トナーとキャリアを十分撹拌混合した上、現像剤として現像スリーブ36に送る作用をするものである。マグネットローラ38は、例えば、N極およびS極を交互に等間隔に配置した磁力同じ4極の磁石から構成されるもの、6極の磁石から構成されるもの、或いは、スクレーパに接する部分において反発磁界を形成し、現像剤の剥離を容易にするために、1極欠落させて5極とし、前記現像スリーブ36内で固定した状態で内包させたものであっても良い。
上記一対の現像剤搬送スクリュー40、41は、互いに相反する方向に回転する撹拌部材を兼ねる部材であって、補給用現像剤カートリッジ(図6:2a、3a、4a、5a)から補給用現像剤収容装置39のスクリューの推力によって補給される補給用現像剤を搬送すると共に、トナーとキャリアとの混合作用によって、摩擦帯電がなされた均質な二成分の現像剤とし、現像スリーブ36の周面上にその二成分現像剤を層状に付着させる。
現像スリーブ36の表面の現像剤は、マグネットローラ38の磁極に対向して設けた規制部材37により、均一な層を形成する。均一に形成された現像剤層は、現像領域において、静電潜像担持体20の周面上の潜像を現像し、トナー像を形成する。
そして、このトナー像は、転写装置50で中間転写体55に転写されることになる。
上記のイエローのコピーサイクルが終了すると、イエロートナーの転写を終えた静電潜像担持体20は、その後、必要に応じてクリーニング前処理が施された後、除電装置で除電され、クリーニング装置28により表面に残ったイエロートナーが掻き取られる。クリーナーシステムも好ましく使用でき、その場合に関しては、後ほど述べる。
そして、像形成ユニット群23が回転し、順次現像器3、4、5が静電潜像担持体1に対向するように切り替わり、上記の同様のコピーサイクルで、例えばマゼンタ、シアン、ブラックのトナー像が中間転写体55に転写されることとなる。
上記の各コピーサイクルが実行されると、各色成分別のトナー像は、転写装置50により同じ位置で中間転写体55へ転写されることになり、各色成分別のトナーが重ねられることで完成したひとつのトナー像を形成することになる。一方、給紙トレイ36に収容された用紙または透明シート等の記録材22は、送り出しローラー38により1枚ずつレジストレーションローラー35に給紙され、中間転写体55に同期して記録材22を中間転写体55と転写ローラー53との間に搬送する。搬送された記録材22は、転写ローラー53により中間転写体55のトナー像が転写された後、剥離フィンガー54により中間転写体55から分離され、搬送ベルト30により定着装置31へ導入される。そして、記録材22へのカラートナー像の定着が行われた後、外部へ排出されることで、1回のコピーモードが終了することになる。尚、符号26は前露光装置であり、符号51a及び51bは中間転写体を回転させるローラーであり、符号52は転写ローラーに対向させて設けた対向ローラーである。
また、記録材にトナー像を転写した中間転写体55は、その表面を図示されていない除電装置で除電した後、クリーニング装置33で表面クリーニングが行われ、次のコピーサイクルを待つことになる。
上記のような複写動作が繰り返されると、図7の現像器内の現像槽47内に収納されている現像剤中のトナーは徐々に消費され、キャリアに対するトナーの比率、すなわちトナー濃度が低下していく。このトナー濃度の変化は、現像槽47に設けられた図示しないトナー濃度センサー及び/または、静電潜像担持体上及び/または中間転写体上の基準画像の濃度推移によりトナー濃度が現像に必要な適性範囲内に常に入るようにフィードバック制御される。
上記制御により、補給用現像剤カートリッジから補給用現像剤が補給用現像剤収容装置39に排出され、ついで、スクリューの推進力によって補給用現像剤収容装置39の補給口から、補給用現像剤が現像器内の現像槽47に供給される。
また、オートリフレッシュ現像方式を用いたブラック用現像器5においては、本発明のトナーとキャリアを混合した補給用現像剤が、補給用現像剤カートリッジ5aから、補給用現像剤収容装置39の補給口を経て、ブラック用現像器23−5に補給される。
次に、図5に示した回転移動する環状像形成ユニット群23内の回転移動を利用したブラック用現像器23−5からの過剰になった現像剤の排出について図6及び図7を用いて説明する。
回転移動方式を採用したロータリー現像ユニットを有する像形成ユニット群23を具備するカラー画像形成装置において、現像器23−2、23−3、23−4、23−5は、像形成ユニット群23の内部で回転移動し、現像時、静電潜像担持体20に対向する位置に回転移動して現像を行い、非現像時は静電潜像担持体20に対向していない位置に回転移動する。
現像器23−5が静電潜像担持体20に対向し、現像動作を行っている位置で、過剰になった現像剤(劣化したキャリア)は、現像器23−5に設けられた現像器側現像剤排出口44から溢出され、回転動作により現像剤回収オーガ46内を移動し、ロータリー回転方式現像装置の回転中心軸に設けられた現像剤回収容器(図示せず)に排出される。なお、現像剤回収オーガを有さずに現像剤回収容器に現像剤を回収する方法、また、現像剤回収容器が回転中心軸ではなく例えば補給用現像剤カートリッジ内に具備されている方法でもよい。
本発明における現像方法は、具体的には、現像スリーブに交流電圧を印加して、現像領域に交番電界を形成しつつ、磁気ブラシが静電潜像担持体20に接触している状態で現像を行うことが好ましい。現像スリーブ36と静電潜像担持体20の距離(S−D間距離)は、100〜800μmであることがキャリア付着防止及びドット再現性の向上において良好である。100μmより狭いと現像剤の供給が不十分になりやすく画像濃度が低くなり、800μmを超えると磁極からの磁力線が広がり磁気ブラシの密度が低くなり、ドット再現性に劣ったり、キャリアを拘束する力が弱まりキャリア付着が生じたりしやすくなる。
交番電界のピーク間の電圧は300〜3000Vが好ましく、周波数は500〜10000Hzであり、それぞれプロセスにより適宜選択して用いることができる。この場合、交番電界を形成するための交流バイアスの波形としては三角波、矩形波、正弦波、あるいはDuty比を変えた波形が挙げられる。ときにトナー像の形成速度の変化に対応するためには、非連続の交流バイアス電圧を有する現像バイアス電圧(断続的な交番重畳電圧)を現像スリーブに印加して現像を行うことが好ましい。印加電圧が300Vより低いと十分な画像濃度が得られにくく、また非画像部のカブリトナーを良好に回収することができない場合がある。また、3000Vを超える場合には磁気ブラシを介して、潜像を乱してしまい、画質低下を招く場合がある。
良好に帯電したトナーを有する二成分系現像剤を使用することで、カブリ取り電圧(Vback)を低くすることができ、静電潜像担持体の一次帯電を低めることができるために静電潜像担持体寿命を長寿命化できる。Vbackは、現像システムにもよるが200V以下、より好ましくは150V以下が良い。コントラスト電位としては、十分画像濃度が出るように100〜400Vが好ましく用いられる。
また、周波数が500Hzより低いと、プロセススピードにも関係するが、静電潜像担持体に接触したトナーが現像スリーブに戻される際に、十分な振動が与えられずカブリが生じやすくなる。10000Hzを超えると、電界に対してトナーが追随できず画質低下を招きやすい。
本画像形成方法における現像方法で重要なことは、十分な画像濃度を出しドット再現性に優れ、かつキャリア付着のない現像を行うために、現像スリーブ36上の磁気ブラシの静電潜像担持体20との接触幅(現像当接部)を好ましくは3〜8mmにすることである。現像当接部が3mmより狭いと十分な画像濃度とドット再現性を良好に満足することが困難であり、8mmより広いと現像剤のパッキングが起き機械の動作を止めてしまったり、またキャリア付着を十分に抑えることが困難になったりする。
現像当接部の調整方法としては、規制部材37と現像スリーブ36との距離を調整したり、現像スリーブ36と静電潜像担持体20との距離(S−D間距離)を調整したりすることで当接幅を適宜調整する方法がある。
静電潜像担持体の構成としては、通常の画像形成装置に用いられる静電潜像担持体と同じで良く、例えば、アルミニウム、SUS等の導電性基体の上に、順に導電層、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層、必要に応じて電荷注入層を設ける構成の感光体が挙げられる。導電層、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層は、通常の感光体に用いられるもので良い。感光体の最表面層として、例えば電荷注入層あるいは保護層を用いてもよい。
オートリフレッシュ現像方式の画像形成方法に、クリーナーレスシステムを適用した例について図10を用いて説明する。
帯電ローラー122を静電潜像担持体110の表面に接触させ、静電潜像担持体110を帯電する。帯電ローラ122には、図示されないバイアス印加手段により帯電バイアスが印加されている。帯電された静電潜像担持体110に、図示されない露光装置によりレーザー光124を照射することにより、デジタルな静電潜像を形成する。静電潜像担持体110上に形成された静電潜像は、マグネットローラ112を内包し、図示されないバイアス印加装置によって現像バイアスを印加されている現像スリーブ111に担持された二成分系現像剤119中のトナー119aによって、現像される。
現像器140は、隔壁117により現像剤室R1、撹拌室R2に区画され、それぞれ現像剤搬送スクリュー113、114が設置されている。撹拌室R2の上方には、補給用現像剤118を収容した補給用現像剤収容室R3が設置され、補給用現像剤収容室R3の下部には補給用現像剤補給口120が設けられている。
現像剤搬送スクリュー113は回転することによって、現像剤室R1内の現像剤を撹拌しながら現像スリーブ111の長手方向に沿って一方向に搬送する。隔壁117には図の手前側と奥側に図示しない開口が設けられており、スクリュー113によって現像剤室R1の一方に搬送された現像剤は、その一方側の隔壁117の開口を通って撹拌室R2に送り込まれ、現像剤搬送スクリュー114に受け渡される。スクリュー114の回転方向はスクリュー113と逆で、撹拌室R2内の現像剤、現像剤室R1から受け渡された現像剤及び補給用現像剤収容室R3から補給された補給用現像剤を撹拌、混合しながら、スクリュー114とは逆方向に撹拌室R2内を搬送し、隔壁117の他方の開口を通って現像剤室R1に送り込む。
静電潜像担持体110上に形成された静電潜像を現像するには、現像剤室R1内の現像剤119がマグネットローラ112の磁力により汲み上げられ、現像スリーブ111の表面に担持される。
現像スリーブ111上に担持された現像剤は、現像スリーブ111の回転にともない規制部材115に搬送され、そこで適正な層厚の現像剤薄層に規制された後、現像スリーブ111と静電潜像担持体110とが対向した現像領域に至る。マグネットローラ112の現像領域に対応した部位には、磁極(現像極)N1が位置されており、現像極N1が現像領域に現像磁界を形成し、この現像磁界により現像剤が穂立ちして、現像領域に現像剤の磁気ブラシが形成される。そして磁気ブラシが静電潜像担持体110に接触し、反転現像法により、磁気ブラシに付着しているトナーおよび現像スリーブ111の表面に付着しているトナーが、静電潜像担持体1上の静電潜像の領域に転移して付着し、静電潜像が現像されトナー像が形成される。
現像領域を通過した現像剤は、現像スリーブ111の回転にともない現像器140内に戻され、スクリュー113により現像スリーブ111から剥ぎ取られ、現像剤室R1及び撹拌室R2内に落下して回収される。
上記の現像により現像器140内の現像剤TのT/C比(トナーとキャリアの混合比)が減ったら、補給用現像剤収容室R3から補給用現像剤118を現像で消費された量に見あった量で撹拌室R2に補給し、現像剤119のT/Cが所定量に保たれる。現像器140内の現像剤119のT/C比の検知には、コイルのインダクタンスを利用して現像剤の透磁率の変化を測定するトナー濃度検知センサーを使用する。該トナー濃度検知センサーは、図示されないコイルを内部に有している。
現像スリーブ111の下方に配置され、現像スリーブ111上の現像剤119の層厚を規制する規制部材115としては、アルミニウム又はSUS316の如き非磁性材料で作製される非磁性ブレードが挙げられる。規制部材115の端部と現像スリーブ111面との距離は150〜800μmが好ましく、特に好ましくは160〜600μmである。この距離が150μmより小さいと、キャリアが凝集してこの間に詰まり現像剤層にムラを生じやすいと共に、良好な現像を行うのに必要な現像剤を塗布しにくく、濃度の薄いムラの多い現像画像が形成されやすい。現像剤中に混在している不用粒子による不均一塗布(いわゆるブレードづまり)を防止するためにはこの距離は150μm以上が好ましい。800μmより大きいと現像スリーブ111上へ塗布される現像剤量が増加し所定の現像剤層厚の規制が行いにくく、静電潜像担持体110へのキャリアの付着が多くなると共に現像剤の循環、規制部材115による現像規制が弱まりトナーのトリボが低下しカブリやすくなる。
この磁性キャリア層は、現像スリーブ111が矢印方向に回転駆動されても磁気力・重力に基づく拘束力と現像スリーブ111の移動方向への搬送力との釣合いによってスリーブ表面から離れるに従って動きが遅くなる。重力の影響により落下するものである。
また、現像されたトナー像は、搬送されてくる転写材(記録材)125上へ、バイアス印加手段126により転写バイアス印加されている転写手段である転写ブレード127により転写され、転写材上に転写されたトナー像は、図示されていない定着装置により転写材に定着される。転写工程において、転写材に転写されずに静電潜像担持体110上に残った転写残トナーは、帯電工程において、帯電を調整され、現像時に回収される。
図9は、本発明の画像形成装置及び補給用現像剤キットを適用することのできるタンデム方式のフルカラー画像形成装置の概略図である。
図9におけるフルカラー画像形成装置は、静電荷像担持体上に残存した転写残トナーを回収し貯蔵するための独立したクリーニング手段を有さず、現像手段がトナー像を転写材上に転写した後に静電潜像担持体に残留したトナーを回収する現像兼クリーニング方式を採用したものである。尚、図5においては、現像兼クリーニング方式を採用した画像形成装置を例示したが、クリーニングブレードの如きクリーニング手段を用いた装置であっても良い。
フルカラー画像形成装置本体には、図10のクリーナーレスシステムの構成を有する第1画像形成ユニットPa、第2画像形成ユニットPb、第3画像形成ユニットPc及び第4画像形成ユニットPdが併設されている。Pdのみ、オートリフレッシュ現像方式を用いた画像形成ユニットであり、図7に記載の現像器の如く現像剤回収部44〜48を有している。Pa〜Pdは、各々異なった色の画像が潜像形成、現像、転写のプロセスを経て転写材上に形成される。
画像形成装置に併設される各画像形成ユニットの構成について第1の画像形成ユニットPaを例に挙げて説明する。
第1の画像形成ユニットPaは、静電潜像担持体としての直径30mmの静電潜像担持体61aを具備し、この静電潜像担持体61aは矢印a方向へ回転移動される。帯電手段としての一次帯電装置62aは、直径16mmのスリーブの表面に形成された帯電用磁気ブラシが静電潜像担持体61aの表面に接触するように配置されている。レーザー光67aは、一次帯電器62aにより表面が均一に帯電されている静電潜像担持体61aに静電潜像を形成するために、図示されていない露光装置により照射される。静電潜像担持体61a上に担持されている静電潜像を現像してカラートナー像を形成するための現像手段としての現像器63aは、カラートナーを保持している。
転写手段としての転写ブレード64aは、静電潜像担持体61aの表面に形成されたカラートナー像をベルト状の転写材担持体68によって搬送されて来る転写材(記録材)の面に転写する。この転写ブレード64aは、転写材担持体68の裏面に当接して転写バイアスを印加し得るものである。尚、60aは、転写バイアス印加手段である。
第1の画像形成ユニットPaは、一次帯電装置62aによって静電潜像担持体61aを均一に一次帯電した後、露光装置67aにより静電潜像担持体に静電潜像を形成し、現像器63aで静電潜像をカラートナーを用いて現像し、この現像されたトナー像を第1の転写部(静電潜像担持体と転写材の当接位置)で転写材を担持搬送するベルト状の転写材担持体68の裏面側に当接する転写ブレード64aから転写バイアスを印加することによって転写材の表面に転写する。
現像によりトナーが消費され、T/C比が低下すると、その低下をコイルのインダクタンスを利用して現像剤の透磁率の変化を測定する図示されていないトナー濃度検知センサーで検知し、消費されたトナー量に応じて、補給用現像剤収容容器の排出手段により、補給用現像剤が補給用現像剤収容装置66aに排出され、ついで、補給用現像剤装置66aのスクリューの推進力によって補給口から、補給用現像剤が現像器内の現像槽に供給される。なお、図示されていないトナー濃度検知センサーはコイルを内部に有している。
本画像形成装置は、第1の画像形成ユニットPaと同様の構成で、現像器に保有されるカラートナーの色の異なる第2の画像形成ユニットPb、第3の画像形成ユニットPc、第4の画像形成ユニットPdの4つの画像形成ユニットを併設するものである。
例えば、第1の画像形成ユニットPaにイエロートナー、第2の画像形成ユニットPbにマゼンタトナー、第3の画像形成ユニットPcにシアントナー、及び第4のオートリフレッシュ現像方式を用いた画像形成ユニットPdにブラックトナーをそれぞれ用い、各画像形成ユニットの転写部で各カラートナーの転写材上への転写が順次行われる。
この工程で、レジストレーションを合わせつつ、同一転写材上に一回の転写材の移動で各カラートナーは重ね合わせられ、終了すると分離帯電器69によって転写材担持体68上から転写材が分離され、搬送ベルトの如き搬送手段によって定着装置70に送られ、ただ一回の定着によって最終のフルカラー画像が得られる。
定着装置70は、例えば、一対の直径40mmの定着ローラー71と直径30mmの加圧ローラー72を有し、定着ローラー71は、内部に加熱手段75及び76を有している。
転写材上に転写された未定着のカラートナー像は、この定着装置70の定着ローラー71と加圧ローラー72との圧接部を通過することにより、熱及び圧力の作用により転写材上に定着される。
図9において、転写材担持体68は、無端のベルト状部材であり、このベルト状部材は、駆動ローラー80によって矢印e方向に移動するものである。他に、転写ベルトクリーニング装置79、ベルト従動ローラー81、ベルト除電器82を有している。また、転写材ホルダーから転写材担持体68への転写材の搬送には、紙送りローラー84、一対のレジストローラー83が用いられる。
転写手段としては、転写材担持体の裏面側に当接する転写ブレードに代えて、ローラー状の転写ローラーの如き転写材担持体の裏面側に当接して転写バイアスを直接印加可能な接触転写手段を用いることが可能である。
さらに、上記の接触転写手段に代えて一般的に用いられている転写材担持体の裏面側に非接触で配置されているコロナ帯電器から転写バイアスを印加して転写を行う非接触の転写手段を用いることも可能である。しかしながら、転写バイアス印加時のオゾンの発生量を制御できる点で接触転写手段を用いることが、より好ましい。
図11は、タンデム方式のフルカラー画像形成装置において、オートリフレッシュ機構を搭載した現像器の概略図である。現像方法は図9におけるタンデムフルカラー画像形成装置と同様であるが、63aには、キャリアとトナーの混合剤が保持されている。また、図12は図11現像器が搭載されたタンデム方式のオートリフレッシュフルカラー画像形成方法の概略図である。
従来のトナーでは、キャリアとの摺擦による耐久劣化を抑制する為に、トナーとしての溶融特性は悪くし、それによる定着温度を上げて紙に定着させる等の環境負荷が大きくなっていた。つまり、今までは、耐久劣化を抑制しつつ、画像上のグロスを高グロス化し、かつ定着温度を低温化等の省エネルギー化に対応できるような、シャープメルトトナー溶融特性を有するトナーの使いこなしは非常に困難であった。
本発明に係る磁性微粒子含有型樹脂キャリアとスルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基の重合体又は共重合体を含有したトナーの組み合わせにより、良好な帯電性・耐久性・現像性・環境安定性・定着性を得ることが可能となった。
更には、補給系の画像形成装置において、その補給剤が該トナー、あるいは、補給剤がトナーとキャリアで構成されるオートリフレッシュ現像方式の画像形成装置において、最も優れた特性を得ることができるようになる。
以下、本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
ガラス転移温度Tgは、示差熱分析測定装置(DSC測定装置),DSC−7(パーキンエルマー社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定した。
測定試料は5〜20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。
これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。
この昇温過程で、メインピークの吸熱ピークが得られる。
このときの吸熱ピークが出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を本発明におけるガラス転移温度Tgとした。
(キャリア製造例1)
・フェノール 7.5質量部
・ホルマリン溶液 11.25質量部
(ホルムアルデヒド約40%、メタノール約10%、残りは水)
・γ−アミノプロピルトリメトキシシラン1.0質量%で親油化処理したマグネタイト微粒子 70質量部
(平均粒径0.24μm、比抵抗5×105Ω・cm)
・γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1.0質量%で親油化処理したα−Fe23微粒子 30質量部
(平均粒径0.6μm、比抵抗2×109Ω・cm)
ここで用いたマグネタイト及びα−Fe23の親油化処理は、マグネタイト99質量部及びα−Fe2399質量部のそれぞれに対して1.0質量部のγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを加え、ヘンシェルミキサー内で100℃で30分間、予備混合撹拌することによって行なった。
上記材料および水11質量部を40℃に保ちながら、1時間混合を行った。このスラリーに塩基性触媒として28質量%アンモニア水2.0質量部、および水11質量部をフラスコに入れ、撹拌・混合しながら40分間で85℃まで昇温・保持し、3時間反応させ、フェノール樹脂を生成し硬化させた。その後、30℃まで冷却し、100質量部の水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗し、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)に180℃で乾燥して、フェノール樹脂を結着樹脂としたマグネタイト微粒子含有球状の磁性キャリアコア粒子を得た。
この粒子を60メッシュ及び100メッシュの篩によって、粗大粒子の除去を行ない、次いでコアンダ効果を利用した多分割風力分級機(エッポジェットラボEJ−L−3、日鉄鉱業社製)を使用して微粉除去及び粗粉除去をおこない、体積平均50%粒径35μmのキャリアコア粒子を得た。得られたキャリアコアは、比抵抗が5.2×1010Ω・cm、比表面積が0.25m2/gであった。
得られたキャリアコア粒子をコーター内に投入し、トルエン溶媒を用いて希釈したγ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3質量%を剪断応力を連続して印加しつつ、コア表面に処理した。またその際、40℃,100torr,乾燥窒素気流下で溶媒を揮発させながら行なった。引き続き、置換基がすべてメチル基であるストレートシリコーン樹脂0.5質量%及び、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.015質量%の混合物をトルエンを溶媒として被覆した。その際、40℃,500torr,乾燥窒素気流下で溶媒を揮発させながら行なった。
さらに、この磁性コートキャリアを140℃で焼き付け、100メッシュの篩で、凝集した粗大粒子をカットし、次いで多分割風力分級機で微粉及び粗粉を除去して粒度分布を調整した。
その後23℃,60%内で保たれたホッパー内で100h調湿して磁性コートキャリアNo.1を得た。得られた磁性コートキャリアNo.1の製法・物性を表1に示す。
(キャリア製造例2)
キャリア製造例1において、非磁性体粒径を0.11μmにすることを除いては、キャリア製造例1と同様にして磁性コートキャリアNo.2を得た。得られた磁性コートキャリアNo.2の製法・物性を表1に示す。
(キャリア製造例3)
キャリア製造例1において、マグネタイトとヘマタイトの比率を60:40に変更し、非磁性体粒径を0.55μmにすることを除いては、キャリア製造例1と同様にして磁性コートキャリアNo.3を得た。得られた磁性コートキャリアNo.3の製法・物性を表1に示す。
(キャリア製造例4)
キャリア製造例1において、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランで表面処理されたマグネタイトを使用し、かつマグネタイトとヘマタイトの比率を90:10の割合に変更し、非磁性体粒径を0.64μmにすることを除いては、キャリア製造例1と同様にして磁性コートキャリアNo.4を得た。得られた磁性コートキャリアNo.4の製法・物性を表1に示す。
(キャリア製造例5)
キャリア製造例4において、マグネタイトとヘマタイトの比率を80:20の割合に変更し、非磁性体粒径を0.46μmにすることを除いては、キャリア製造例1と同様にして磁性コートキャリアNo.5を得た。得られた磁性コートキャリアNo.5の製法・物性を表1に示す。
(キャリア製造例6)
キャリア製造例1において、マグネタイトとヘマタイトの比率を100:0の割合に変更することを除いては、キャリア製造例1と同様にして磁性コートキャリアNo.6を得た。得られた磁性コートキャリアNo.6の製法・物性を表1に示す。
(キャリア製造例7)
キャリア製造例1において、非磁性金属化合物をr−Fe23とし、マグネタイトとr−Fe23の比率を70:30の割合に変更し、非磁性体粒径を0.3μmにすることを除いては、キャリア製造例1と同様にして磁性コートキャリアNo.7を得た。得られた磁性コートキャリアNo.7の製法・物性を表1に示す。
(キャリア製造例8)
キャリア製造例1において、非磁性金属化合物をSiO2とし、マグネタイトとSiO2の比率を70:30の割合に変更し、非磁性体粒径を0.58μmにすることを除いては、キャリア製造例1と同様にして磁性コートキャリアNo.8を得た。得られた磁性コートキャリアNo.8の製法・物性を表1に示す。
(キャリア製造例9)
キャリア製造例1において、非磁性金属化合物をAl23とし、マグネタイトとAl23の比率を70:30の割合に変更し、非磁性体粒径を3.6μmにすることを除いては、キャリア製造例1と同様にして磁性コートキャリアNo.9を得た。得られた磁性コートキャリアNo.9の製法・物性を表1に示す。
(キャリア製造例10)
キャリア製造例1において、マグネタイトとヘマタイトの比率を20:80の割合に変更し、非磁性体粒径を0.6μmにすることを除いては、キャリア製造例1と同様にして磁性コートキャリアNo.10を得た。得られた磁性コートキャリアNo.10の製法・物性を表1に示す。
(キャリア製造例11)
キャリア製造例1において、マグネタイトとヘマタイトの比率30:70の割合に変更し、非磁性体粒径を0.7μmにすることを除いては、キャリア製造例1と同様にして磁性コートキャリアNo.11を得た。得られた磁性コートキャリアNo.11の製法・物性を表1に示す。
(キャリア製造例12)
キャリア製造例1において、マグネタイトとヘマタイトの比率を90:10の割合に変更し、非磁性体粒径を0.3μmにし、プライマー処理をせずにフッ素アクリル樹脂のみを1質量部コーティングすることを除いては、キャリア製造例1と同様にして磁性コートキャリアNo.12を得た。得られた磁性コートキャリアNo.12の製法・物性を表1に示す。
Figure 2008015151
次にトナーの製造例を示す。
まず先に極性重合体の製造例を示す。
還流管、撹拌機、温度計、窒素導入管、滴下装置及び減圧装置を備えた加圧可能な反応容器に、溶媒としてメタノール250質量部、2−ブタノン150質量部、及び2−プロパノール100質量部、モノマーとしてスチレン82質量部、アクリル酸−2−エチルヘキシル10質量部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸8質量部を添加し、撹拌しながら還流温度まで加熱した。重合開始剤であるt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエ−ト1質量部を2−ブタノン20質量部で希釈した溶液を、30分かけて滴下して5時間撹拌を継続し、さらにt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート1質量部を2−ブタノン20質量部で希釈した溶液を、30分かけて滴下して、更に5時間撹拌して重合を終了した。さらに、温度を維持したまま脱イオン水と酢酸エチルの混合溶媒(水/酢酸エチル=95/5vol%)を500部添加し、有機層と水層の界面が乱れないように毎分80〜100回転で2時間撹拌した後に、30分静置して分層した後に、水層を廃棄し、有機層に無水硫酸ナトリウムを添加し、脱水した。
次に、有機層から重合溶媒を減圧留去した後に得られた重合体を、150メッシュのスクリーンを装着したカッターミルを用いて100μm以下に粗粉砕した。得られた極性重合体をn−ヘキサン/酢酸エチルの混合溶媒(n−ヘキサン/酢酸エチル=95/5vol%)を樹脂100質量部に対して1000質量部添加し、24時間洗浄した。樹脂をろ別し乾燥させることにより本発明の極性重合体1を得た。この極性重合体のTg約75℃であった。
次にトナーの製造例を示す。
(トナー製造例1)
イオン交換水400質量部に、0.1M−Na3PO4水溶液450質量部を投入し、50℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、10,000rpmにて撹拌した。これに1.0M−CaCl2水溶液68質量部を添加し、リン酸カルシウム塩を含む水系媒体を得た。
一方、
スチレン 80質量部
n−ブチルアクリレート 20質量部
C.I.ピグメントブルー15:3 5質量部
極性重合体1 1質量部
飽和ポリエステル 10質量部
(酸価10mgKOH/g、ピーク分子量11,000)
エステルワックス(吸熱ピーク=67℃) 9質量部
上記処方を60℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、5,000rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3.5質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、70℃、N2雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて11,000rpmで撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。
その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、5時間経過時に昇温速度40℃/hrで80℃に昇温し、5時間反応させた。重合反応終了後、100℃に6時間加熱して残存モノマーを留去し、冷却後、塩酸を加えpHを1.4にし、6時間撹拌することでリン酸カルシウム塩を溶解した。その後、ろ過、イオン交換水による水洗、乾燥をして、トナー粒子(1)を得た。
このトナー粒子100質量部に対し、流動向上剤として、ヘキサメチルジシラザンで処理した後にシリコーンオイルで処理した疎水性シリカ微粉体(BET:180m2/g、平均一次粒径30nm)0.5質量部と酸化チタン微粒子を0.7質量部をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で5分間乾式混合して、本発明のトナー1とした。
東亜医用電子株式会社製のフロー式粒子像測定装置を用いて、トナー1の重量平均粒径及び平均円形度を算出したところ、それぞれ6.8μm及び0.984であった。また、本発明のトナーのガラス転移温度は55℃、本発明のトナー粒子のE/Aは0.0028、Raは2.8nmであった。
表2にトナーの物性値を示す。なお、表中「St」はスチレンを示し、「Ac」はn−ブチルアクリレートを示す。
(トナー製造例2)
60℃に加温したイオン交換水900質量部にリン酸三カルシウム3質量部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を得た。
一方、
スチレン 80質量部
n−ブチルアクリレート 20質量部
飽和ポリエステル樹脂 5質量部
極性重合体 1.2質量部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物、Tg=65℃、Mn=17000、Mw/Mn=2.4)
サリチル酸アルミニウム化合物 1質量部
(ボントロンE−88、オリエント化学社製)
C.I.ピグメントブルー15:3 10質量部
ベヘン酸ベヘニルを主体とするエステルワックス 14質量部
(DSC測定における最大吸熱ピーク72℃)
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。この単量体組成物を60℃に加温し、これに重合開始剤ラウロイルパーオキサイド(10時間半減期62℃)4質量部を溶解した。
前記水系媒体中に上記重合性単量体系を投入し、60℃,N2雰囲気下においてTK式ホモミキサーにて10,000rpmで7分間撹拌し、造粒した。所定時間経過後、
スチレン 5質量部
サリチル酸アルミニウム化合物 1.7質量部
(ボントロンE−88、オリエント化学社製)
の混合物を加え、さらに10,000rpmで1分間撹拌した。
その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ、60℃で6時間反応させた。その後液温を80℃とし更に4時間撹拌を続けた。反応終了後、100℃で6時間加熱して残存モノマーを留去し、室温(25℃)まで冷却された懸濁液に塩酸を加えて燐酸カルシウム塩を溶解し、濾過・水洗を行い、湿潤着色粒子を得た。
上記粒子を45℃にて12時間乾燥して重量平均粒径5.9μmの着色粒子(トナー粒子)を得た。
このトナー粒子100質量部と、シリコーンオイルで処理したBET値が200m2/gであり、一次粒径が12nmの疎水性シリカ微粉体0.6質量部と酸化チタンを0.8質量部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合して、トナー2を得た。トナー2の物性を表2に示す。また、本発明のトナーのガラス転移温度は56℃、本発明のトナー粒子のE/Aは0.0033、Raは3.1nmであった。
(トナー製造例3)
60℃に加温したイオン交換水900質量部にリン酸三カルシウム3質量部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を得た。
一方、
スチレン 86質量部
n−ブチルアクリレート 14質量部
ジビニルベンゼン 0.5質量部
極性重合体 0.8質量部
飽和ポリエステル樹脂 5質量部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物、Tg=65℃、Mn=17000、Mw/Mn=2.4)
サリチル酸アルミニウム化合物 1質量部
(ボントロンE−88、オリエント化学社製)
C.I.ピグメントブルー15:3 10質量部
ステアリン酸ステアリルを主体とするエステルワックス 1.5質量部
(DSC測定における最大吸熱ピーク67℃)
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。この単量体組成物を60℃に加温し、これに重合開始剤ラウロイルパーオキサイド(10時間半減期62℃)4質量部を溶解した。
前記水系媒体中に上記重合性単量体系を投入し、60℃,N2雰囲気下においてTK式ホモミキサーにて10,000rpmで7分間撹拌し、造粒した。所定時間経過後、
トルエン 5質量部
サリチル酸アルミニウム化合物 2質量部
(ボントロンE−88、オリエント化学社製)
の混合物を加え、さらに10,000rpmで1分間撹拌した。
その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ、60℃で6時間反応させた。その後液温を80℃とし更に4時間撹拌を続けた。反応終了後、100℃で7時間加熱して残存モノマーを留去し、室温(25℃)まで冷却された懸濁液に塩酸を加えて燐酸カルシウム塩を溶解し、濾過・水洗を行い、湿潤着色粒子を得た。
上記粒子を45℃にて12時間乾燥して重量平均粒径5.2μmの着色粒子(トナー粒子)を得た。
このトナー粒子100質量部と、シリコーンオイルで処理したBET値が200m2/gであり、一次粒径が12nmの疎水性シリカ微粉体0.6質量部と、BET値が150m2/gであり、一次粒径が30nmの酸化チタン微粉体0.8質量部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合して、トナー3を得た。トナー3の物性を表2に示す。また、本発明のトナーのガラス転移温度は68℃、本発明のトナー粒子のE/Aは0.0020、Raは4.9nmであった。
(トナー製造例4)
60℃に加温したイオン交換水900質量部にリン酸三カルシウム3質量部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を得た。
一方、
スチレン 83質量部
n−ブチルアクリレート 17質量部
極性重合体 1質量部
飽和ポリエステル樹脂 5質量部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物、Tg=65℃、Mn=17000、Mw/Mn=2.4)
C.I.ピグメントブルー15:3 10質量部
フィッシャートロプシュワックス FT−100 22質量部
(日本精鑞株式会社製 DSC測定における最大吸熱ピーク88℃)
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。この単量体組成物を60℃に加温し、これに重合開始剤ラウロイルパーオキサイド(10時間半減期62℃)4質量部を溶解した。
前記水系媒体中に上記重合性単量体系を投入し、60℃,N2雰囲気下においてTK式ホモミキサーにて10,000rpmで7分間撹拌し、造粒した。所定時間経過後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、60℃で6時間反応させた。その後液温を80℃とし更に4時間撹拌を続けた。反応終了後、100℃で2時間加熱し、残存モノマーを留去し、室温(25℃)まで冷却された懸濁液に塩酸を加えて燐酸カルシウム塩を溶解し、濾過・水洗を行い、湿潤着色粒子を得た。
上記粒子を45℃にて12時間乾燥して重量平均粒径6.8μmの着色粒子を得た。
この着色粒子137質量部に対して、
サリチル酸アルミニウム化合物 2質量部
(ボントロンE−88、オリエント化学社製)
をブレンダーにて混合し、110℃に加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をジェットミル衝突式ジェットミル(日本ニューマチック工業社製)で微粉砕した。得られた微粉砕物を分級して重量平均粒径6.8μmのトナー粒子を得た。
このトナー粒子100質量部と、シリコーンオイルで処理したBET値が200m2/gであり、一次粒径が12nmの疎水性シリカ微粉体0.5質量部BET値が150m2/gであり、一次粒径が30nmの酸化チタン微粉体0.7質量部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合して、トナー4を得た。トナー4の物性を表2に示す。また、本発明のトナーのガラス転移温度は63℃、本発明のトナー粒子のE/Aは0.0025、Raは4.2nmであった。
(トナー製造例5)
2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル3質量部に換えて、t−ヘキシル−パーオキシピバレート(日本油脂製「パーへキシルPV」)を14質量部用い、極性重合体を1.5質量部入れること以外には、トナー製造例1と同様の方法にてトナー5を得た。また、本発明のトナーのガラス転移温度は56℃、本発明のトナー粒子のE/Aは0.0028、Raは2.9nmであった。
トナー5の物性を表2に示す。
(トナー製造例6)
70℃に加温したイオン交換水900質量部にリン酸三カルシウム3質量部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を得た。
一方、
スチレン 91質量部
n−ブチルアクリレート 9質量部
ジビニルベンゼン 0.3質量部
極性重合体 0.9質量部
飽和ポリエステル樹脂 4.5質量部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物、Tg=65℃、Mn=17000、Mw/Mn=2.4)
C.I.ピグメントブルー15:3 10質量部
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。この単量体組成物を70℃に加温し、そこにステアリン酸ステアリルを主体とするエステルワックス(DSC測定における最大吸熱ピーク67℃)9質量部を添加混合溶解し、これに重合開始剤2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(10時間半減期温度67℃)3質量部を溶解した。
前記水系媒体中に上記重合性単量体系を投入し、70℃,N2雰囲気下においてTK式ホモミキサーにて10,000rpmで7分間撹拌し、造粒した。所定時間経過後、
スチレン 5質量部
を加え、さらに10,000rpmで1分間撹拌した。
その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ、70℃で6時間反応させた。その後液温を80℃とし更に4時間撹拌を続けた。反応終了後、100℃で5時間加熱し、残存モノマーを留去し、室温(25℃)まで冷却された懸濁液に塩酸を加えて燐酸カルシウム塩を溶解し、濾過・水洗を行い、湿潤着色粒子を得た。
上記粒子を40℃にて12時間乾燥して重量平均粒径10.5mの着色粒子(トナー粒子)を得た。
このトナー粒子100質量部と、シリコーンオイルで処理したBET値が200m2
/gであり、一次粒径が12nmの疎水性シリカ微粉体0.5質量部と酸化チタン微粒子を0.7質量部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合して、トナー6を得た。また、本発明のトナーのガラス転移温度は81℃、本発明のトナー粒子のE/Aは0.0018、Raは5.2nmであった。
トナー6の物性を表2に示す。
(トナー製造例7)
(7−1.トナーバインダー7の合成)
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724質量部、イソフタル酸276質量部およびジブチルチンオキサイド2質量部を入れ、常圧で230℃、8時間反応させた後、10〜15mmHgの減圧下で5時間反応させた。これを160℃まで冷却して、32質量部の無水フタル酸を加え2時間反応させた。さらに、これを80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート188質量部と2時間反応を行いイソシアネート含有プレポリマー(1)を得た。次にこのプレポリマー(1)267質量部とイソホロンジアミン14質量部を50℃で2時間反応させ、重量平均分子量64000のウレア変性ポリエステル(1)を得た。
上記と同様にビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724質量部、テレフタル酸276質量部を常圧下、230℃で8時間重縮合し、次いで10〜15mmHgの減圧で5時間反応して、ピーク分子量5000の変性されていないポリエステル(a)を得た。
ウレア変性ポリエステル(1)200質量部と変性されていないポリエステル(a)800質量部を酢酸エチル/エチルメチルケトン(MEK)(1/1)混合溶剤2000質量部に溶解、混合し、トナーバインダー(7)の酢酸エチル/MEK溶液を得た。一部減圧乾燥し、トナーバインダー(7)を単離した。Tgは62℃であった。
(7−2.トナー粒子の作製)
ビーカー内に前記のトナーバインダー(7)の酢酸エチル/MEK溶液300質量部、ステアリン酸ステアリルを主体とするエステルワックス9質量部、極性重合体1を0.4質量部、サリチル酸アルミニウム化合物1質量部(ボントロンE−88、オリエント化学社製)とシアン顔料としてC.I.ピグメントブルー15:3を6質量部入れ、TK式ホモミキサーで60℃、12000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させた。ビーカー内にイオン交換水706質量部、ハイドロキシアパタイト10%懸濁液(日本化学工業(株)製スーパタイト10)294質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2質量部を入れ均一に溶解した。ついで60℃に昇温し、TK式ホモミキサーで12000rpmに撹拌しながら、上記トナー材料溶液を投入し10分間撹拌した。ついでこの混合液を撹拌棒および温度計付のコルベンに移し、98℃まで昇温して6時間かけて溶剤を除去し、濾別、洗浄、乾燥した後、風力分級し、体積平均粒径が5.8μmの着色粉体(トナー粒子)を得た。
このトナー粒子100質量部と、シリコーンオイルで処理したBET値が200m2/gであり、一次粒径が12nmの疎水性シリカ微粉体0.6質量部と、酸化チタン微粒子を0.8質量部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合して、トナー7を得た。また、本発明のトナーのガラス転移温度は62℃、本発明のトナー粒子のE/Aは0.0014、Raは3.8nmであった。
トナー7の物性を表2に示す。
(トナー製造例8)
73℃に加温したイオン交換水900質量部にリン酸三カルシウム3質量部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を得た。
一方、
スチレン 80質量部
n−ブチルアクリレート 20質量部
ジビニルベンゼン 0.5質量部
エチレングリコールジアクリレート 2.1質量部
極性重合体 3.0質量部
飽和ポリエステル樹脂 1.0質量部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物、Tg=62℃、Mn=17000、Mw/Mn=2.4)
サリチル酸アルミニウム化合物 1質量部
(ボントロンE−88、オリエント化学社製)
C.I.ピグメントブルー15:3 10質量部
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。この単量体組成物を73℃に加温し、そこにステアリン酸ステアリルを主体とするエステルワックス0.7質量部を添加混合溶解し、これに重合開始剤2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル2質量部を溶解した。
前記水系媒体中に上記重合性単量体系を投入し、73℃,N2雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株))にて10,000rpmで7分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ、73℃で6時間反応させた。その後液温を80℃とし更に4時間撹拌を続けた。反応終了後、100℃で1時間加熱し、残存モノマーを留去し、室温(25℃)まで冷却された懸濁液に塩酸を加えて燐酸カルシウム塩を溶解し、濾過・水洗を行い、湿潤着色粒子を得た。
次に、上記粒子を40℃にて12時間乾燥して重量平均粒径6.4μmの着色粒子(トナー粒子)を得た。また、本発明のトナーのガラス転移温度は56℃、本発明のトナー粒子のE/Aは0.0045、Raは4.9nmであった。
このトナー粒子100質量部とは、無機微粒子と混合せず、トナー8とした。
トナー8の物性を表2に示す。
(トナー製造例9)
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物704質量部、イソフタル酸296質量部およびジブチルチンオキサイド2質量部を入れ、常圧で230℃、5時間反応させた後、10〜15mmHgの減圧下で5時間反応させた。これを160℃まで冷却して、30質量部の無水フタル酸を加え2時間反応させた。さらに、これを80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート188質量部と2時間反応を行いイソシアネート含有プレポリマー(2)を得た。次にこのプレポリマー(2)267質量部とイソホロンジアミン14質量部を60℃で2時間反応させ、重量平均分子量59000のウレア変性ポリエステル(2)を得た。Tgは60℃であった。
ウレア変性ポリエステル(2)100質量部を酢酸エチル/メチルエチルケトン(MEK)(1/1)混合溶剤200質量部に溶解、混合した。
この溶解液に、ベヘン酸ベヘニルを主体とするエステルワックス23質量部、シアン顔料としてC.I.ピグメントブルー15:3を6質量部入れ、TK式ホモミキサーで70℃、12000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させた。ビーカー内にイオン交換水706質量部、ハイドロキシアパタイト10%懸濁液(日本化学工業(株)製スーパタイト10)294質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2質量部を入れ均一に溶解した。ついで73℃に昇温し、TK式ホモミキサーで12000rpmに撹拌しながら、上記トナー材料溶液を投入し10分間撹拌した。ついでこの混合液を撹拌棒および温度計付のコルベンに移し、98℃まで昇温して10時間かけて溶剤を除去し、濾別、洗浄、乾燥した後、風力分級し、体積平均粒径が9.2μmの着色粉体(トナー粒子)を得た。本トナーには極性重合体は入れなかった。
このトナー粒子100質量部と、シリコーンオイルで処理したBET値が200m2/gであり、一次粒径が12nmの疎水性シリカ微粉体0.4質量部と酸化チタン微粒子を0.6質量部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合して、トナー9を得た。また、本発明のトナーのガラス転移温度は61℃、本発明のトナー粒子のE/Aは検出されず、Raは2.1nmであった。
トナー9の物性を表2に示す。
(トナー製造例10)
極性重合体を0.2質量部にし、トナー粒子に対する無機微粒子混合の工程において、トナー粒子100質量部に対して、シリコーンオイルで処理したBET値が200m2/gであり、一次粒径が12nmの疎水性シリカ微粉体1.0質量部と酸化チタン微粒子を0.8質量部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合したこと以外は、トナー製造例1と同様にした、本製造例によるトナーをトナー10とした。また、本発明のトナーのガラス転移温度は55℃、本発明のトナー粒子のE/Aは0.0012、Raは2.7nmであった。
(トナー製造例11)
着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:3をC.I.ピグメントイエロー17 10質量部にすること以外は、トナー製造例1と同様にした。本製造例によるトナーをトナー11とした。また、本発明のトナーのガラス転移温度は54℃、本発明のトナー粒子のE/Aは0.0028、Raは2.8nmであった。
トナー11の物性を表2に示す。
(トナー製造例12)
着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:3をC.I.ピグメントレッド122 14質量部にすること以外は、トナー製造例1と同様にした。本製造例によるトナーをトナー12とした。また、本発明のトナーのガラス転移温度は56℃、本発明のトナー粒子のE/Aは0.0027、Raは2.8nmであった。
トナー12の物性を表2に示す。
(トナー製造例13)
着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:カーボンブラック(BET:60m2/g)7.5質量部にすること以外は、トナー製造例1と同様にした。本製造例によるトナーをトナー11とした。また、本発明のトナーのガラス転移温度は55℃、本発明のトナー粒子のE/Aは0.0029、Raは2.8nmであった。
トナー13の物性を表2に示す。
Figure 2008015151
〔実施例1〕
キャリアNo.1とトナーNo.1を全質量に対するトナーの割合が8質量%となるように混合して二成分系現像剤Aを製造した。
得られた二成分現像剤Aを市販のキヤノン製フルカラーレーザー複写機IR3200用いて画像出しを行った。このとき、現像器の現像剤担持体(現像スリーブ)と現像剤規制部材(磁性ブレード)との距離を600μm、現像スリーブと静電潜像担持体(感光ドラム)との距離を500μm、現像スリーブと感光ドラムとの周連比が1.5:1、現像スリーブの現像極の磁場が1キロガウス。更に現像条件は、周波数1.8kHz、交番電界3×104Vp−p/cmとなるように設定し、帯電安定性、キャリア付着(結果表には略してキャリ着と記載)、トナーかぶり、トナー長期保存安定性、定着性(耐オフセット・定着開始温度)に関して評価を行なった。
この結果、ベタ画像の濃度が高く、電荷のリークに起因するドットのガサツキもなく、ハーフトーン部の再現性、ライン画像の再現性も良好であった。更に、キャリア飛散及びキャリアが現像される等による画像部、非画像部へのキャリア付着は認められなかった。また、多数枚の出力に対しても濃度が安定しており、トナー飛散、かぶり等の問題は生じなかった。主な項目に関する測定条件及び評価基準を以下に示す。
・画だし評価環境は、常温低湿下(23℃/5%RH)、常温常湿下(23℃/60%RH)、高温高湿下(30℃/80%RH)の各環境下にて行なった。
・帯電安定性は、高温高湿下で5万枚の複写テストを行ない、現像剤の帯電量変化から帯電安定性を評価した。評価は、1000枚複写時の帯電量と終了時の帯電量の変化幅を%で表わし、以下の評価基準で行なった。
(評価基準)
A:帯電量の変化幅が0%〜11%未満
B:帯電量の変化幅が11%〜20%未満
C:帯電量の変化幅が21%〜30%未満
D:帯電量の変化幅が31%〜40%未満
E:帯電量の変化幅が40%以上
・キャリア付着は、ベタ白画像を画出し、現像部とクリーナ部との間の感光ドラム上の部分を透明な粘着テープを密着させてサンプリングし、5cm×5cm中の感光ドラム上に付着していた磁性キャリア粒子の個数をカウントし、1cm2当りの付着キャリア粒子の個数を算出する。
A:5個未満
B:5〜10個未満
C:10〜20個未満
D:20〜30個未満
E:30個以上
・長期保存安定性は、高温高湿下の環境においてトナーの保存安定性、耐久安定性を評価した。評価は、高温高湿下での耐久前後において、トナーのブロッキング具合を確認することにより行った。
ブロッキングは、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)での凝集度測定で確認した。測定方法は、3gのトナーを、100メッシュ、200メッシュ、400メッシュの篩を3段重ね合わせた所に落とし、振幅0.6mmで15秒振動させた時のメッシュONトナー量から下記式によって凝集度を算出した。
凝集度=(100メッシュONトナー)×5+(200メッシュONトナー)×3+(400メッシュONトナー)×4
また評価は、以下4項目に分けて行った。
A:非常に良好(耐久前後の凝集度の差が3未満)。
B:良好(耐久前後の凝集度の差が3以上6未満)。
C:実用上問題なし(耐久前後の凝集度の差が6以上10未満)。
D:やや難あり(耐久前後の凝集度の差が10以上)
定着性は、1)耐高温オフセット性と、2)定着開始温度の両項目を確認した。
(耐高温オフセット性)
定着温度を上げ、目視でオフセット現象の発生しない最高温度を高温オフセットフリー温度とし、耐オフセット性の指標とする。その程度に応じて以下の4ランクで評価した。
A:高温オフセットフリー温度が210℃以上。
B:高温オフセットフリー温度が200℃以上210℃未満。
C:高温オフセットフリー温度が190℃以上200℃未満。
D:高温オフセットフリー温度が190℃未満。
(定着開始温度)
定着器加熱部の温度を100〜230℃の温度範囲で5℃おきに温調し、定着させ、得られた定着画像を4900N/m2の荷重をかけたシルボン紙で2回摺擦し、摺擦前後の画像濃度低下率が10%以下となる温度を定着開始温度とする。その程度に応じて以下の4ランクで評価した。
A:定着開始温度が150℃未満。
B:定着開始温度が150℃以上160℃未満。
C:定着開始温度が160℃以上170℃未満。
D:定着開始温度が170℃以上。
・カブリに関しては、高温高湿下で反射濃度計(densitometer TC6MC:(有)東京電色技術センター)を用いて、白紙の反射濃度、及び複写機の紙の非画像部の反射濃度を測定し、両者の反射濃度の差を白紙の反射濃度を基準として評価した。また、画像不良程度に関しては、下記の評価で判断した。
(評価基準)
A:0.6%未満
B:0.6〜1.1%未満
C:1.1〜1.6%未満
D:1.6〜2.1%未満
E:2.1〜4.1%未満
F:4.1%以上
〔実施例2〜14、比較例1〜10〕
表3に示すようなキャリア及びトナーの組み合わせ(現像剤B〜X)に替えること以外は実施例1と同様にして二成分系現像剤製造し、単色での画出しを行ない評価した。評価結果を表4に示す。
いずれの評価項目においても、本発明では、Bランク以上が許容範囲内である。
実施例2乃至14においては、ベタ画像の濃度が高く、電荷のリークに起因するドットのガサツキもなく、ハーフトーン部の再現性、ライン画像の再現性も良好であった。更に、キャリア飛散及びキャリアが現像される等による画像部、非画像部へのキャリア付着は認められなかった。また、多数枚の出力に対しても濃度が安定しており、トナー飛散、かぶり等の問題は生じなかった。また、定着開始温度はいずれも160℃以下であり、クイックスタートの観点から好ましく、またグロスムラ、カブリ等の発生もなく、耐オフセット性に優れた画像が得られた。
比較例1では、無機微粒子を添加しないことにより移送性指数が低く、耐久での帯電安定性に大きく欠ける。また白部のかぶりも非常に悪いレベルで発生した。長期保存安定性や定着性も好ましくない。
比較例2では、極性樹脂微粒子を含有していないことから、帯電安定性に乏しい。よって、かぶりもCランクで発生している。
比較例3では、トナー10の無機微粒子全体に占めるチタン化合物の割合が、少ない為、帯電安定性に欠け、結果としてかぶりが悪くなっている。
比較例4では、キャリア6の抵抗値が低い為、トナーに対して安定に帯電付与ができず、結果として帯電安定性に欠ける。またカブリも悪く、画像もボソ付き感があったり濃度が不均一であることから、二成分現像剤としてふさわしくない。
比較例5では、キャリア6の帯電付与能力が低いことからトナーの極性樹脂微粒子を増量した系である。トナー粒子として十分な帯電能力があると思われ、無機微粒子を添加しない系であるが、やはり帯電安定性に欠け、かぶりが悪化した。また長期保存安定性も無機微粒子がない分、実施例中のトナーよりも劣る。オフセットも満足しない。
比較例6では、キャリア8の粒径が非常に小さいことから、感光体から帯電ローラへキャリアが移行し、キャリア汚染が非常に悪い。また、帯電付与能力はあるが、新旧トナーとの帯電差が大きくなり、結果として帯電安定性に欠ける。また新トナーの補給時におけるかぶりも悪化した。
比較例7では、キャリア9の非磁性微粒子が酸化アルミニウムであり、またトナー中の全無機微粒子における酸化チタンの量が少ないことから、帯電安定性に欠ける。また耐オフセット性も若干劣る。
比較例8では、キャリア10の比抵抗値が高い為、トナーへの帯電付与能が高すぎ、トナーがチャージアップ傾向を起こしやすい。また、二成分現像剤の搬送性指数が高すぎ、補給されるトナーと二成分現像剤との混合が上手くいかず、その結果帯電安定性に欠けトナー補給時のかぶりが発生した。
比較例9では、キャリア11の比抵抗が高く、またキャリア粒径が大きいことから、キャリアとしての真比重が結果として高くなり、二成分現像剤の劣化が促進され、帯電安定性が若干劣る。また地かぶりも悪かった。
比較例10では、磁性微粒子含有型樹脂キャリアとは異なりフェライトキャリア(同和鉄粉社製 DSP138)を使用した。その結果、十分な二成分現像剤の移送性が得られず、現像器内での現像剤の滞留が見られ、帯電安定性に欠ける。その結果かぶりも発生した。
また、現像剤A〜Xを、タンデム方式のフルカラー画像形成方法であるキヤノン社製 IRC3200を図11〜図12に示すような、オートリフレッシュ機構を搭載した画像形成方法に変更し評価を行った。
その評価結果(実施例15〜28、比較例11〜20)を表4に示す。
また、現像剤A〜Xに関して、異なる転写材1(LETTERサイズのXEROX 4024用紙 75g/m2)と転写材2(LETTERサイズのFOX RIVER BOND用紙 90g/m2)にてマクベス反射濃度の画像均一性を確認した。
上記2種類の用紙に対して、画像形成を1000枚行い、その1000枚目の濃度均一性(全ベタ画像の5点濃度均一性)を確認したところ、A〜Nの現像剤に関しては、濃度差が1以内であり、転写材種によらず、画像均一性の良い濃度が得られた。
Figure 2008015151
Figure 2008015151
補給用現像剤の移送性を測定するためのパーツフィーダーの構成を示す説明用概略図である。 比抵抗の測定装置の構成図である。 トナーの貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”の一例を示す図である。 トナーの損失正接(tanδ)の一例を示す図である。 補給用現像剤が使用されるロータリー回転方式の現像装置を備えた画像形成装置の構成図である。 図5の像形成ユニット群23の構成図である。 図5及び6の現像器の断面図である。 図6において、補給用現像剤カートリッジの容量を同じにし、現像器の配置を等配置にした場合の環状像形成ユニット群の構成図である。 タンデム方式の画像形成装置の構成図である。 クリーナーレスシステムに用いられる現像装置の断面図である。 オートリフレッシュ機構を搭載した現像器の概略図である。 図11の現像器が搭載されたフルカラー画像形成装置の概略図である。
符号の説明
11 下部電極
12 上部電極
13 絶縁物
14 電流計
15 電圧計
16 定電圧装置
17 キャリア
18 ガイドリング
20 静電潜像担持体
23 像形成ユニット群
61a 感光ドラム
62a 一次帯電器
63a 現像器
64a 転写ブレード
65a 補給用トナー
67a レーザー光
68 転写材担持体
69 分離帯電器
70 定着器
71 定着ローラー
72 加圧ローラー
73 ウェッブ
75,76 加熱手段
79 転写ベルトクリーニング装置
80 駆動ローラー
81 ベルト従動ローラー
82 ベルト除電器
83 レジストローラ
85 トナー濃度検知センサー
110 静電荷像担持体(感光ドラム)
140 現像装置
111 現像剤担持体(現像スリーブ)
112 マグネットローラ
113,114 現像剤搬送スクリュー
115 規制ブレード
117 隔壁
118 補給用トナー
119 現像剤
119a トナー
119b キャリア
120 補給口
121 マグネットローラ
122 搬送スリーブ
123 磁性粒子
124 レーザー光
125 転写材(記録材)
126 バイアス印加手段
127 転写ブレード
128 トナー濃度検知センサー

Claims (17)

  1. 少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックス成分を含有したトナー粒子を有するトナーと、結着樹脂中に金属化合物粒子が分散されているキャリアコア及び該キャリアコア表面を被覆する樹脂を有する磁性微粒子含有型樹脂キャリアとを少なくとも有する二成分系現像剤において、
    該トナーは、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体を含有し、
    該現像剤の移送性指数が75〜150であることを特徴とする二成分系現像剤。
  2. 該現像剤の移送性指数が80〜120であることを特徴とする請求項1に記載の二成分系現像剤。
  3. 該キャリアは、体積分布基準の50%粒径(D50)が15〜70[μm]であり、真比重が2.5〜4.2[g/cm3]であり、1000/4π[kA/m]の磁界下で測定した磁化の強さ(σ1000)が40〜70[Am2/kg]である請求項1または2に記載の二成分系現像剤。
  4. 該キャリアの5000[V/cm]における比抵抗が、1×107〜5×1015[Ω・cm]である請求項1乃至3のいずれかに記載の二成分系現像剤。
  5. 該キャリアのコアが少なくとも磁性微粒子と非磁性無機化合物微粒子とを含有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の二成分系現像剤。
  6. 該キャリアコアに含有している磁性微粒子と非磁性無機化合物微粒子の含有比率が、質量比で50:50〜100:0である請求項5に記載の二成分系現像剤。
  7. 該磁性微粒子と該非磁性無機化合物微粒子は、それぞれマグネタイト微粒子とヘマタイト微粒子である請求項5又は6に記載の二成分系現像剤。
  8. 該キャリアコアが、重合法により製造されたものであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の二成分系現像剤。
  9. 該トナーは、
    a)損失正接(tanδ)が70℃以上110℃未満に極小値1および極大値1を有し、140℃以上200℃未満に極大値2を有し、該トナーの140℃における損失弾性率G”(140℃)が1.0×104〜2.0×105[dN/m2]であり、
    b)テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量が、
    数平均分子量(Mn)2000〜50000、
    重量平均分子量(Mw)2000〜500000
    及びMw/Mnが1〜10であり、
    c)重量平均粒径(D4)が3〜10[μm]であり、
    d)平均円形度が、0.950〜0.995である
    ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の二成分系現像剤。
  10. 該トナーは、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体を含有し、
    4≦(上記元素の含有量の合計(T):ppm)/(硫黄元素の含有量(S):ppm)〕≦30
    式を満足することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の二成分現像剤。
  11. 該トナーは、シリカ微粒子、酸化マグネシウム微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子及びフッ素を含有する微粒子からなる群から選ばれる微粒子を外添剤として有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の二成分系現像剤。
  12. 該外添剤の内、チタン化合物が50質量%以上を占めることを特徴とする請求項11に記載の二成分系現像剤。
  13. 走査型プローブ顕微鏡で観測される該トナー粒子の平均面粗さRaが5.0nm未満であることを特徴とする請求項1〜12に記載の二成分系現像剤。
  14. X線光電子分光分析により測定されるトナー粒子表面に存在する炭素元素の原子個数%(A)に対する硫黄元素の原子個数%(E)の比(E/A)が0.0015〜0.0035であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の二成分系現像剤。
  15. 水中でガラス転移温度以上の温度で処理することにより得られるトナー粒子を含有することを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の二成分系現像剤。
  16. 静電荷像担持体を帯電手段によって帯電し、帯電された静電荷像担持体を露光して静電荷像を静電荷像担持体に形成し、静電荷像を二成分系現像剤を有する現像手段で現像することによってトナー画像を静電荷像担持体上に形成し、静電荷像担持体上のトナー画像を中間転写体を介して、又は、介さずに転写材へ転写し、転写材上のトナー画像を加熱加圧定着手段によって定着する画像形成方法において、
    二成分系現像剤が請求項1乃至15のいずれかに記載の二成分現像剤であることを特徴とする画像形成方法。
  17. トナーとキャリアとを含有する補給用現像剤を現像手段の有する現像器に補給しながら画像形成が繰り返され、且つ少なくとも該現像器内部で過剰になったキャリアを現像器から排出することを特徴とする請求項16に記載の画像形成方法。
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