JP3914224B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Description
させる車両用操舵装置に関するものである。
図1において、車両用操舵装置系は、ハンドル1からステアリング軸2を通じ、ステアリング軸2に付加されるモータ5の出力と足し合わせたトルクをステアリングギアBOX3を通じて数倍にし、ラック&ピニオン6機構を通じてタイヤ7を動作させる仕組みである。
次に、力学的・電気的な構成を説明する。車両用操舵装置は、ドライバの操舵トルク9に応じたアシストトルク10を発生させることを主な機能とする。電気的には、ドライバが、ハンドル1を切った時の操舵トルク9をトルクセンサ4で測定し、ECUの制御装置8に操舵トルク検出信号13を送る。制御装置8は、モータの状態量である、電流検出信号15及び電圧検出信号16と操舵トルク検出信号13よりアシストトルク10を発生させるための印加電圧14を演算し、モータ5に付加する。
また、モータによるアシストトルク10は、次式(2)の関係が成立する。
また、ステアリング軸反力トルクTtranは、路面反力トルクTalign12とステアリング機構内の摩擦トルクTfric11の和であり、式(3)のとおりである。
以下、この発明の実施の形態1について図に基づいて説明する。
図2は、この発明の実施の形態1による車両用操舵装置の構成を示すブロック図である。
図2において、図1の制御装置8を構成するマイコン21は、図に記載以外にも様々な
機能を有するが、本発明の特徴を示す部分のみを記載している。マイコン21のアシストマップ補償器25は、車速検出手段22、操舵トルク検出手段23の出力信号に基づき、基本アシストトルク電流を演算する。マイコン21の車両安定化補償器26の周波数特性変更手段27は、車両状態検出手段24の出力に基づき、演算される信号に、車両安定化ゲイン28を乗じて、車両安定化電流を求める。加算器29にて、基本アシストトルク電流及び車両安定化電流を加算して、電流目標値を定め、モータ33で発生しているモータ電流検出器32の出力信号と比較することで、加算器30にて制御電圧を決定し、モータ駆動機31にてモータを駆動し、目的とするアシストトルクを得る構成となっている。
なお、マイコン21は、アシストマップ補償器25、車両安定化補償器26及び加算器29を有している。
ここで、車両状態検出手段24は、車両の運動状態としてのヨーレートを検出するものである。
図3は、この発明の実施の形態1による車両用操舵装置の周波数特性変更手段の周波数特性を示す図であり、図3(a)は車両状態信号の周波数特性変更を示す図、図3(b)は周波数とゲインの関係を示す図、図3(c)は周波数と位相の関係を示す図である。
図3(a)には、周波数特性変更により車両状態信号の位相が進められた様子が示されている。図3(b)、図3(c)には、時定数T1相当の周波数、時定数T2相当の周波数が示されている。
車両振動が発生する周波数より低く設定してしまうと、周波数特性変更手段27は、ヨー加速度フィードバックとして作用せず、ヨーレート単独をフィードバックする際のゲインを向上したことになり、車両が不安定になる可能性がある。
また、周波数特性変更手段27の車両状態信号の位相を進めるための周波数は、操舵周波数がおおよそ0.1Hzから5Hzであり、周波数特性を考え、操舵周波数の低い周波数の1/3倍から高い周波数の3倍の範囲(0.03〜15Hz程度)にすれば良いし、ローパスフィルタの時定数T2も、前述の周波数の範囲でT1>T2なるように設定すればよい。時定数Tとカットオフ周波数fは、式(7)で表される関係である。
次に、実施の形態1における動作を図4のフローチャートに基づいて説明する。
まず、操舵トルク検出手段23により操舵トルクを検出し、メモリに記憶する(ステップS101)。次に、車速検出手段33により車速を検出し、メモリに記憶する(ステップS102)。次に、車両状態検出手段24によりヨーレートを検出し、メモリに記憶する(ステップS103)。次に、アシストマップ補償器25にてメモリに記憶した車速と操舵トルクに基づき、基本アシストトルク電流を演算する(ステップS104)。次に、周波数特性変更手段27にてメモリに記憶したヨーレートの周波数特性変更を演算する(ステップS105)。次に、周波数特性を変更したヨーレートに車両安定化ゲイン28を乗算し、車両安定化電流を演算する(ステップS106)。
以上の過程を経て、基本アシストトルク電流と車両安定化電流に基づいて電流目標値を演算して出力を得ることができる(S107)。なお、これらの電流値は、先述の通り、式(2)に基づいてモータの出力トルクとなる。
また、ヨーレートの代替信号として、車両の横加速度、横滑り角、前輪の横滑り角、後輪の横滑り角などの車両の運動状態を用いることができ、特定のセンサを設置する必要がない。
以下、この発明の実施の形態2を図に基づいて説明する。
図5は、この発明の実施の形態2による車両用操舵装置の構成を示すブロック図である。
図5において、図2の実施の形態1との差異は、車両不安定検出手段34を備え、車両
安定化電流を車両不安定検出手段34の出力に基づいてスイッチ35を切り替えるようにした点である。21〜33は図2におけるものと同一のものである。
次に、実施の形態2の動作を図6のフローチャートに基づいて説明する。
まず、操舵トルク検出手段23により操舵トルクを検出し、メモリに記憶する(ステップS201)。次に、車速検出手段22により車速を検出し、メモリに記憶する(ステップS202)。次に、車両状態検出手段24によりヨーレートを検出し、メモリに記憶する(ステップS203)。次に、アシストマップ補償器25にて、メモリに記憶した車速と操舵トルクに基づき、基本アシストトルク電流を演算する(ステップS204)。次に、周波数特性変更手段27にてメモリに記憶したヨーレートの周波数特性変更を演算する(ステップS205)。次に、周波数特性を変更したヨーレートに車両安定化ゲイン28を乗算し、車両安定化電流を演算する(ステップS206)。
次に、車両不安定検出手段34にて車両の運動状態を検出する(ステップS207)。車両状態が不安定なら、基本アシストトルク電流と車両安定化電流に基づいて電流目標値を演算して出力を得る(ステップS208)。車両の運動状態が安定なら、基本アシストトルク電流に基づいて電流値目標値が決定され、出力を得ることができる(ステップS209)。
また、車両のアンダーステアは、特開2003−341538号公報で提案されているように、路面反力トルクと操舵角の比率より得ることもできる。
また、車両の左右で路面摩擦が異なるμスプリット路は、特開2003−291838号公報で提案されているように、左右輪の制動力の差によって、μスプリット路であることが得られる。
この他にも、4輪独立制動装置ESC(Electronic Stability Control)から車両のオーバーステア、アンダーステア、μスプリット路の情報をCANなどの通信ラインを通して情報を得てもよく、公知の技術を用いても良い。以下の実施例においても同様である。
また、車両の不安定検出では、オーバーステア、アンダーステア、μスプリット路を検出し、不安定状態に応じて、車両安定化電流を加算し、車両が不安定になることを防ぐことができる。
以下、この発明の実施の形態3について図に基づいて説明する。
図7は、この発明の実施の形態3による車両用操舵装置の構成を示すブロック図である。
図7において、図5の実施の形態2の構成に、ハンドルを回転したときの操舵角を検出する操舵角検出手段36と、検出された操舵角に基づき、操舵角を中点に戻すようにアシストトルクを補償する操舵アシストトルク補償器37を加え、操舵アシスト電流と車両安定化電流とを車両不安定検出手段34の出力に基づいてスイッチ35を切替えることにより実現したものである。21〜35は図5におけるものと同一のものである。
次に、実施の形態3の動作を図8のフローチャートに基づいて説明する。
まず、操舵トルク検出手段23により操舵トルクを検出し、メモリに記憶する(ステップS301)。次に、車速検出手段22により車速を検出し、メモリに記憶する(ステップS302)。次に、車両状態検出手段24によりヨーレートを検出し、メモリに記憶する(ステップS303)。次に、操舵角検出手段36により、ハンドルを回転させたときの操舵角を検出し、メモリに記憶する(ステップS304)。次に、アシストマップ補償器25にてメモリに記憶した車速と操舵トルクに基づき、基本アシストトルク電流を演算する(ステップS305)。次に、周波数特性変更手段27にて、メモリに記憶したヨーレートの周波数特性変更を演算する(ステップS306)。
次に、周波数特性を変更したヨーレートに車両安定化ゲイン28を乗算し、車両安定化電流を演算する(ステップS307)。次に、操舵角アシストトルク補償器37にて、マイコンに予め記憶されている操舵角と車速の関係に基づいた操舵角アシストトルク電流を演算する(ステップS308)。次に、車両不安定検出34にて車両の運動状態を検出する(ステップS309)。車両の運動状態が不安定なら、基本アシストトルク電流と車両安定化電流に基づいて、電流目標値を演算して出力を得る(ステップS310)。車両の運動状態が安定なら、基本アシストトルク電流と操舵角アシストトルク電流に基づいて、電流目標値が決定され、出力を得ることができる(ステップS311)。
また、操舵角に基づき操舵角アシストトルク電流を演算するので、マッチング工数も少ない。
以下、この発明の実施の形態4を図に基づいて説明する。
図9は、この発明の実施の形態4による車両用操舵装置の構成を示すブロック図である。
図9において、図5の実施の形態2の構成に、タイヤに発生する路面反力トルクを検出する路面反力トルク検出手段38と、路面反力トルクに基づき、路面反力を中点に戻すよ
うにアシストトルクを補償する路面反力アシストトルク補償器39を加え、路面反力アシストトルク電流と車両安定化電流とを、車両不安定検出手段34の出力に基づいて、スイッチ35で切り替えるようにした。21〜35は図5におけるものと同一のものである。
次に、実施の形態4の動作を図10のフローチャートに基づいて説明する。
まず、操舵トルク検出手段23により操舵トルクを検出し、メモリに記憶する(ステップS401)。次に、車速検出手段22により車速を検出し、メモリに記憶する(ステップS402)。次に、車両状態検出手段24によりヨーレートを検出し、メモリに記憶する(ステップS403)。次に、路面反力トルク検出手段38により路面反力トルクを検出し、メモリに記憶する(ステップS404)。次に、アシストマップ補償器25にてメモリに記憶した車速と操舵トルクに基づき、基本アシストトルク電流を演算する(ステップS405)。次に、周波数特性変更手段27にてメモリに記憶したヨーレートの周波数特性変更を演算する(ステップS406)。次に、周波数特性を変更したヨーレートに車両安定化ゲイン28を乗算し、車両安定化電流を演算する(ステップS407)。
次に、路面反力アシストトルク補償器39にてマイコンに予め記憶されている路面反力トルクと車速の関係に基づいた路面反力アシストトルク電流を演算する(ステップS408)。次に、車両不安定検出手段34にて車両の運動状態を検出する(ステップS409)。車両の運動状態が不安定なら、基本アシストトルク電流と車両安定化電流に基づいて電流目標値を演算して出力を得る(ステップS410)。車両の運動状態が安定なら、基本アシストトルク電流と路面反力アシストトルク電流に基づいて、電流目標値が決定され、出力を得ることができる(ステップS411)。
また、一般的に制御装置8は、電流検出器、操舵トルク検出器、モータ角速度検出器、モータ角加速度検出器を備えており、特開2003−312521号公報に提案されているように、マイコン21にて式(2)により、ステアリング軸反力トルクを演算することで、路面反力トルク推定値を得ることも可能である。
以下、この発明の実施の形態5を図に基づいて説明する。
図11は、この発明の実施の形態5による車両用操舵装置の構成を示すブロック図である。
図11において、図7の実施の形態3の構成に、操舵角アシストトルク電流と車両安定化電流とを、車両不安定検出手段34の出力に基づいて切り替えるスイッチ35の出力に、平滑化手段40を設置したものである。21〜37は図7におけるものと同一のものである。
4 トルクセンサ、5 モータ、6 ラック&ピニオン軸、7 タイヤ、
8 制御装置、9 操舵トルク、10 アシストトルク、11 摩擦トルク、
12 路面反力トルク、13 操舵トルク検出信号、14 印加電圧、
15 電流検出信号、16 電圧検出信号、
17 ステアリング軸反力トルク、21 マイコン、22 車速検出手段、
23 操舵トルク検出手段、24 車両状態検出手段、
25 アシストマップ補償器、26 車両安定化補償器、
27 周波数変更手段、28 車両安定化ゲイン、29 加算器、
30 加算器、31 モータ駆動機、32 モータ電流検出器、
33 モータ、34 車両不安定検出手段、35 スイッチ、
36 操舵角検出手段、37 操舵角アシストトルク補償器、
38 路面反力トルク検出手段、39 路面反力トルク補償器、
40 平滑化手段。
Claims (9)
- モータ制御にて運転者の操舵トルクを補助するアシストトルクを発生させる車両用操舵装置において、基本アシストトルク電流を演算するアシストマップ補償器、車両の運動状態を検出する車両状態検出手段、及びこの車両状態検出手段により検出された車両状態信号に基づき、車両安定化電流を演算する車両安定化補償器を備え、上記車両安定化補償器は、上記車両状態検出手段により検出された車両状態信号の位相を進めるように周波数特性を変更する周波数特性変更手段を有し、この周波数特性変更手段により変更された周波数特性に車両安定化ゲインを乗算することにより、上記車両安定化電流を演算すると共に、この演算された車両安定化電流は、上記アシストマップ補償器により演算された基本アシストトルク電流に加算されることを特徴とする車両用操舵装置。
- モータ制御にて運転者の操舵トルクを補助するアシストトルクを発生させる車両用操舵装置において、基本アシストトルク電流を演算するアシストマップ補償器、車両の運動状態を検出する車両状態検出手段、車両が不安定状態にあることを検出する車両不安定検出手段、及び上記車両状態検出手段により検出された車両状態信号に基づき、車両安定化電流を演算する車両安定化補償器を備え、上記車両安定化補償器は、上記車両状態検出手段により検出された車両状態信号の周波数特性を変更する周波数特性変更手段を有し、この周波数特性変更手段により変更された周波数特性に車両安定化ゲインを乗算することにより、上記車両安定化電流を演算すると共に、この演算された車両安定化電流は、上記車両不安定検出手段の検出により車両が不安定状態にあるとき、上記アシストマップ補償器により演算された基本アシストトルク電流に加算されることを特徴とする車両用操舵装置。
- モータ制御にて運転者の操舵トルクを補助するアシストトルクを発生させる車両用操舵装置において、基本アシストトルク電流を演算するアシストマップ補償器、車両の運動状態を検出する車両状態検出手段、車両が不安定状態にあることを検出する車両不安定検出手段、上記車両状態検出手段により検出された車両状態信号に基づき、車両安定化電流を演算する車両安定化補償器、ハンドルを回転させたときの操舵角を検出する操舵角検出手段、及びこの操舵角検出手段により検出された操舵角に基づき、操舵角アシストトルク電流を演算する操舵角アシストトルク補償器を備え、上記車両安定化補償器は、上記車両状態検出手段により検出された車両状態信号の周波数特性を変更する周波数特性変更手段を
有し、この周波数特性変更手段により変更された周波数特性に車両安定化ゲインを乗算することにより、上記車両安定化電流を演算すると共に、この演算された車両安定化電流及び上記操舵角アシストトルク補償器により演算された操舵角アシストトルク電流は、上記車両不安定検出手段の出力により切替えられて、上記アシストマップ補償器により演算された基本アシストトルク電流に加算されることを特徴とする車両用操舵装置。 - モータ制御にて運転者の操舵トルクを補助するアシストトルクを発生させる車両用操舵装置において、基本アシストトルク電流を演算するアシストマップ補償器、車両の運動状態を検出する車両状態検出手段、車両が不安定状態にあることを検出する車両不安定検出手段、上記車両状態検出手段により検出された車両状態信号に基づき、車両安定化電流を演算する車両安定化補償器、タイヤに発生する路面反力トルクを検出する路面反力トルク検出手段、及びこの路面反力トルク検出手段によって検出された路面反力に基づき、路面反力アシストトルク電流を演算する路面反力アシストトルク補償器を備え、上記車両安定化補償器は、上記車両状態検出手段により検出された車両状態信号の周波数特性を変更する周波数特性変更手段を有し、この周波数特性変更手段により変更された周波数特性に車両安定化ゲインを乗算することにより、上記車両安定化電流を演算すると共に、この演算された車両安定化電流及び上記路面反力アシストトルク補償器により演算された路面反力アシストトルク電流は、上記車両不安定検出手段の出力により切替えられて、上記アシストマップ補償器により演算された基本アシストトルク電流に加算されることを特徴とする車両用操舵装置。
- 上記車両不安定検出手段の出力による切替えを滑らかにする平滑化手段を備えたことを特徴とする請求項3または請求項4記載の車両用操舵装置。
- 上記車両不安定検出手段は、車両のオーバーステア、車両のアンダーステア、及び車両の左右で路面摩擦が異なるμスプリット路における制動力のアンバランスのいずれかにより、上記車両の不安定を検出することを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれかに記載の車両用操舵装置。
- 上記周波数特性変更手段による車両状態信号の周波数特性の変更は、車両状態信号の位相を進めるものであることを特徴とする請求項2〜請求項6のいずれかに記載の車両用操舵装置。
- 上記周波数特性変更手段は、運転者が操舵可能な操舵周波数の範囲で、上記車両状態信号の位相を進めることを特徴とする請求項1または請求項7記載の車両用操舵装置。
- 上記車両状態検出手段によって検出される車両状態信号は、車両のヨーレートまたは車両の横加速度であることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の車両用操舵装置。
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