JP3912428B2 - 電子部品の高周波電気特性測定方法および装置、高周波電気特性測定装置の校正方法 - Google Patents

電子部品の高周波電気特性測定方法および装置、高周波電気特性測定装置の校正方法 Download PDF

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Description

本発明は、フィルタやカプラ、バランのような電子部品、またはチップインダクタ、チップコンデンサ等のようなインピーダンス素子の高周波電気特性の測定方法に関する。より詳しくは、ネットワークアナライザなどの測定器によって前記電子部品の散乱係数やインピーダンス値を測定する際の測定誤差の補正方法に関する。
ネットワークアナライザを用いて、表面実装タイプのフィルタやカプラ、またはチップインダクタ等のインピーダンス素子の高周波電気特性を測定する場合、これらの電子部品に直接同軸ケーブル等を接続することは不可能であるため、通常はネットワークアナライザに同軸ケーブルを介して平面伝送路(マイクロストリップラインやコプレーナウェーブガイドなど)を接続し、この平面伝送路上に電子部品を接触させて測定する。この場合、被検体であるインピーダンス素子の散乱係数行列の真値を得るためには、測定系の誤差要因を同定して測定結果から誤差要因の影響を取り除かなければならない。これを補正または校正(キャリブレーション)という。
ネットワークアナライザによる測定において、測定系の誤差を除去する従来技術として、非特許文献1に示されるように、TRL(Through-Reflection-Load) 補正やSOLT(Short-Open-Load-Through) 補正が知られている。
図1,図2に、ネットワークアナライザを用いた測定系と、SOLT補正,TRL補正で使用される各誤差モデルとを示す。
被検体である電子部品1は、測定治具2の上面に形成された伝送路上に接続される。測定治具2の伝送路の両端は同軸ケーブル3を介して図示しないネットワークアナライザの測定ポートに接続されている。
SOLT補正の誤差モデルにおいて、S11A 〜S22A は被検体を含む伝送路の散乱係数、EDF,RF,SFは一方の測定ポート側の散乱係数、ELF,TFは他方の測定ポート側の散乱係数である。
TRL補正の誤差モデルにおいて、S11A 〜S22A は被検体の散乱係数、e00〜e11は一方の測定ポート側の散乱係数、f00〜f11は他方の測定ポート側の散乱係数である。
誤差要因を同定するためには、被検体測定面に少なくとも3種類の散乱係数が既知のデバイス(標準器)を取りつけて測定を行わなければならない。伝統的に開放(OPEN) 、短絡(SHORT )、終端(LOAD=50Ω)が使用されることが多く、同軸環境であればこのような標準器を実現できるため、この方法は広く使用されており、SOLT補正と呼ばれる。SOLT補正では、図3に示すように、短絡(0Ω)と開放(∞Ω)と終端(50Ω)の3種類のコネクタ4を使用するとともに、ポート間を直結してスルー(Through )状態としている。
しかし、SOLT補正の場合、同軸環境以外ではこのような標準器の実現は極めて困難であり、補正に必要な標準器をチップデバイス形状で実現することができない。例えば表面実装部品を測定する際に用いられる平面伝送路は、導波管や同軸伝送路とは異なり、良好な「開放」や「終端」を得ることができず、現実的にSOLT補正を実施することができない。また、一般的に測定によって得られる測定値は、被検体1そのものではなく、被検体1と被検体を接続した測定治具2とを合成した特性となり、被検体単体の特性を測定することができない。
TRL補正とは、実現の難しいデバイス形状の標準器に代えて、図4に示すように、ポート間直結状態(Through )の伝送路5a、全反射(Reflection=通常短絡)の伝送路5b、及び長さが異なる数種類の伝送路(Line )5c,5dを標準器として使用するものである。伝送路5a〜5dは、比較的散乱係数が既知のものを製作しやすく、また全反射も短絡であれば、比較的簡単にその特性を予想できることから、伝送路のみで補正を可能としたものである。そのため、原理的には被検体1単体の特性を測定することができる。
この例では、スルー伝送路5aはいわゆるZero-throughである。被検体の測定時には、スルー伝送路5aより被検体の大きさだけ長さを長くした測定治具2に被検体をシリーズ接続して測定する。
ところが、被検体である表面実装型デバイスにTRL補正を適用しようとすると、以下のような課題を生じる。
1)標準器である伝送路(Line 数種類とReflectionとThrough)5a〜5dにおいて、同軸コネクタ3と伝送路5a〜5dとの接続部に生じる誤差要因が全て等しくなければならない。しかし、たとえ各標準器で同じ種類のコネクタを使用しても、各標準器を測定器に接続する際に特性バラツキが非常に大きくなり、補正誤差を生じ、ミリ波帯に近づくと事実上実施不可能となる。
2)前記課題を解決するため、同軸コネクタ3を共通とし、その同軸ピンを標準器である伝送路と接触接続することでコネクタ測定のバラツキの影響を回避しようという工夫もされている。しかし、同軸ピンが破損するなど、構造上接触部に十分な押しつけ荷重を確保することが難しく、接触が安定しないために補正が不安定になることが多い。また、測定周波数が高くなると一般に伝送路も同軸ピンも細くなるので、これらの位置決め再現性による測定バラツキが大きくなってしまう。
3)補正時の測定が正常であるかどうかを補正作業中に判断することが困難であるので、手間のかかる補正作業を終えて実際に被検体を測定して初めて、補正時の接触不良などの事故に気づくといった無駄を生じる。
特許文献1には、ストリップ線路を経由して被検体に接続される2つの試験端子を有するネットワークアナライザを校正する方法が開示されている。すなわち、最初の校正測定においては、伝送と反射のパラメータを、伝搬定数が未知の線路上で、前記2つの試験端子間で無反射の仕方で接続されたストリップ線路上で測定し、同じ線路を使用してさらなる3回の校正測定を、前記線路上の3つの異なる位置において挿入された反射対称でかつ相反的な不連続部により実現された3つの校正標準器で実施するものである。
つまり、伝送路の状態を3つの状態に変化させることで、3種類の標準器を実現し、標準器の接続を1回のみとするものである。この方法であれば、TRL補正に比べて、標準器の接続回数を減らすことができ、校正作業における測定誤差を少なくできる。
しかし、実際に被検体の測定を行う場合には、標準器として使用したストリップ線路を取り外し、被検体を接続できるストリップ線路(治具)を再度接続しなければならない。当然、再接続した際の接続部の特性は変化するので、測定誤差になってしまう。
また、2つの試験端子間にストリップ線路を無反射の仕方で接続することは、実際上難しく、試験端子とストリップ線路との接続部での反射係数が誤差要因となる。
さらに、被検体を接続して得られる測定値は、被検体だけでなく、被検体と被検体を接続したストリップ線路とを合成した特性となり、被検体単体の特性を測定することができない。
Application Note 1287-9; In-Fixture Measurements Using Vector Network Analyzers ((C) 1999 Hewlett-Packard Company) 特開平6−34686号公報
そこで、本発明の目的は、TRL補正やSOLT補正における問題点を解消するとともに、接続部の特性ばらつきの影響を受けない高精度な電子部品の高周波電気特性測定方法を提供することにある。
また、高精度な電子部品の高周波電気特性測定装置を提供することにある。
さらに、高精度な高周波電気特性測定装置の校正方法を提供することにある。
前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、電子部品の高周波電気特性を測定する方法において、互いに離間して配置された複数の信号導体と、少なくとも1つの接地導体とを持ち、単位長さ当たりの電気特性が既知の伝送路を準備するステップと、前記各信号導体と前記接地導体とを測定器の測定ポートにそれぞれ接続するステップと、前記各信号導体の長さ方向の少なくとも3箇所において、信号導体と接地導体とを接続状態にして電気特性を測定するステップと、前記信号導体間を相互にスルー状態にして電気特性を測定するステップと、前記接続状態での測定値、スルー状態での測定値および前記伝送路の電気特性から、前記伝送路を含む測定系の誤差要因を求めるステップと、前記信号導体間あるいは前記信号導体間と前記接地導体との間に、被測定電子部品を接続して電気特性を測定するステップと、前記被測定電子部品の測定値から前記測定系の誤差要因を除去し、被測定電子部品の電気特性の真値を求めるステップと、を含むことを特徴とする電子部品の高周波電気特性測定方法を提供する。
本発明は、測定治具である伝送路の信号導体と接地導体との間に被検体をシリーズ接続するか、あるいは信号導体間と接地導体との間に接続して、その反射および伝達係数などを測定し、これからインピーダンス値や品質係数等の電気特性を求める方法において、伝送路その他の測定系の誤差を除去する手法である。本発明は、測定系の誤差を測定する際、伝送路の短絡状態は良質なものを容易に実現できる、という知見に基づいてなされたものである。
本発明にかかる補正方法(以下、RRRR校正と呼ぶ)の好ましい例では、校正基準(標準器)として短絡基準を用いる。これは、短絡状態であればほぼ全反射状態になるので、信号導体の終端側の影響を受けないこと、及び、対象とする伝送路がTEM単一モード動作する周波数範囲では短絡状態の特性には誘電体の影響が実質的に無く、電磁界シミュレーションで非常に精度良くその電気特性を予想できること等の理由による。
一般的に、伝送路特性のシミュレーション時の精度を制限するパラメータは誘電率であるが、短絡状態の反射特性では誘電率を変化させてもほとんど計算結果に変化が見られないことを確認しており、シミュレーション結果を物理的真値と仮定して校正時に使用して差し支えないといえる。なお、伝送路の幅が測定信号の波長よりも十分に小さい場合は、短絡特性として−1(理想短絡の反射係数)を使用しても大きな誤差にはならないと考えられる。
ここで、本発明にかかるRRRR校正の概略について説明する。
校正工程1:短絡状態での測定
RRRR校正では、長さ方向に一様な電気特性を有する複数の信号導体を持つ伝送路上の少なくとも3箇所において、伝送路を短絡状態とすることで、測定系の誤差要因を同定する。短絡状態とするため、例えば短絡基準を信号導体と接地導体との間に接続する。具体的には、伝送路の被検体測定位置に短絡基準を接続して測定を行い、次に被検体測定位置からL1 だけ離れた点に短絡基準を接続して測定を行い、さらに被検体測定位置からL2 だけ離れた点に短絡基準を接続して測定を行う。なお、伝送路特性が未知の場合には、さらに異なる1点での測定が必要である。
ここで短絡基準とは、電気的に短絡状態の部品一般を指し、チップ部品に限らず、金属片や工具などでもよい。望ましくは、ナイフエッジのような伝送路の長さ方向の接触長さが短いものがよい。短絡基準が理想的であれば、反射係数が−1(全反射)の値になるが、実際には短絡基準といえどもある程度のインダクタンスを持つので、インダクタンス値が既知である必要があるということである。通常、マイクロ波帯では、オープン状態と比較してショート状態は比較的容易に理想に近い状態を得られる。高い測定精度が要求される場合には、簡単なシミュレーション等によって短絡基準のインダクタンスを求めれば良い。
校正工程2:スルー状態での測定
短絡状態での測定とは別に、信号導体間を相互にスルー状態にして測定系の誤差要因を同定する。スルー状態を得るために、例えば伝達係数に方向性がないスルーチップをシリーズ接続する。シリーズ法による測定が可能なRRRR校正では、ポート間をスルー接続する必要がある。このとき、スルーチップの特性は既知でなくても良く、例えば抵抗値が未知のチップ抵抗でも良いが、方向性はあってはならない。なお、アイソレータやサーキュレータ(直流磁界下の磁性体を使用した特殊な素子)、または半導体アンプのような能動素子を除き、信号伝達に方向性を有するデバイスは作れない(相反定理)ので、この仮定は事実上自動的に満たされる。スルーチップとは、チップ部品に限らず、信号伝達に方向性がない部品であれば、いかなる部品でもよい。
実測工程:被検体の測定
伝送路の信号導体間に被測定電子部品をシリーズ接続するか、あるいはシリーズ接続および接地導体との接続の両方を同時に行って、その電気特性を測定する。
測定した被検体の電気特性と校正工程1,2で求めた誤差要因とを用いて、計算により被検体の電気特性の真値を求めることができる。
特に、短絡状態での測定を4箇所以上で実施すれば、測定系の誤差要因に加えて、伝送路の電気特性も求めることができる。
前記説明では、校正工程において、信号導体と接地導体とを短絡させたが、必ずしも短絡させる必要はなく、何らかの反射状態が得られるように信号導体と接地導体とを接続すればよい。
短絡基準に代えてチップ抵抗のような伝達係数のある校正基準を用いた場合、一方のポートから入力された信号のうち一部が校正基準との接触部を通過し、信号導体の開放端で全反射して戻ってくるため、測定誤差になる可能性がある。しかしながら、例えば入力信号のうち16%(−16dB)が校正基準との接触部を通過して信号導体の開放端へ伝達し、ここで全反射したと仮定すると、往復で約−32db(=−16×2)となり、誤差のレベルは入力信号の約2.5%程度である。したがって、開放端へ流れる信号が入力信号の16%程度以下であれば、誤差は非常に小さく、校正に必要な精度が得られる。
一方、16%より大きな信号が校正基準との接触部を通過した場合には、誤差が大きくなる可能性があるが、その場合は、接触検出と同様にポート1とポート2との間をスルーチップなどで接続しておけばよい。スルーチップを介して信号がポート2側へ伝達し、信号導体の開放端で全反射しないため、戻ってくる信号レベルを低くできる。
以上のようにして実施される本RRRR校正法は、次のような特徴を有する。
(1)補正・測定は全て同一の1つの伝送路上で行う。
TRL補正では、いくつもの長さの伝送路が標準器として必要で、かつこれらと同軸ケーブルとの接続部の電気特性が全て等しい必要があるが、RRRR校正では補正作業だけでなく、測定作業でも全て同一の1つの伝送路を使用するので、伝送路を付け替える必要がなく、伝送路やコネクタ、接続部などの特性バラツキの影響を受けない。
(2)2端子素子のシリーズ法による測定はもちろん、通常の2ポート以上の電子部品(3端子以上の電子部品)の測定も問題なく行うことができ、測定対象を選ばない。特に、伝送路の特性インピーダンスより高いインピーダンスを持つ電子部品の測定精度が高い。
(3)測定治具に必要な伝送路の長さは、測定したい周波数の下限によって決まる。低周波数に対応するには長い伝送路が必要であるが、高周波数に対応するには短い伝送路で足りる。
(4)補正のための測定は、伝送路上の数ヵ所での校正基準(例えば短絡基準)による測定と適当なデバイスによるスルー測定を行うことで行う。
被検体の測定位置からどれだけ離れた位置で何ヶ所の校正基準による測定をすべきかは、測定周波数帯域幅と周波数上限によって決定する。また、スルーチップは方向性さえなければ、その散乱係数は未知でよい。
(5)校正基準での測定を伝送路の4箇所以上で実施すれば、伝送路の特性も知ることができる。
伝送路の特性が既知である場合には、3箇所で校正基準を接続すれば、測定系の誤差要因を求めることができるが、4箇所以上で校正基準を接続すれば、測定系の誤差要因だけでなく伝送路自体の特性(誘電率,損失係数など)を求めることが可能になる。したがって、伝送路治具に使用する誘電体材料の誘電率や損失係数が未知の場合や、誘電体材料がロット毎に特性バラツキを有する場合であっても、使用する伝送路治具そのものの特性を正確に求めることができ、誤差のない高精度な校正が可能になる。
一般に、テフロン(登録商標)やアルミナなどの基材で構成された伝送路治具は、電気特性のバラツキが小さく、その物理的真値を求めやすいが、高価である。これに対し、エポキシ樹脂などの汎用樹脂よりなる基材で構成された伝送路治具は、安価であるが、材料特性のばらつきが大きく、誘電率や損失係数にもばらつきがある。このような場合には、4箇所以上で校正基準を接続して伝送路特性を求めれば、伝送路特性のばらつきの影響を受けず、被検体の電気特性を高精度に測定できる。
(6)インピーダンス測定を行う場合には、伝送路の特性インピーダンス等は既知である必要がある。
伝送路の特性インピーダンスを基準とする散乱係数測定のみが必要な場合には、伝送路の特性インピーダンスは未知で良いが、インピーダンス測定を行いたい場合等には、伝送路の特性インピーダンスが既知である必要がある。これには、シミュレーションで計算したり、タイムドメインリフレクトリー法で実測するなどした値を用いれば良い。
前述の説明では、短絡状態での測定結果の他に、伝達係数に方向性のないスルーチップをシリーズ接続した測定結果を用いて誤差係数を決定したが、被検体に方向性がない場合には、被検体も一種のスルーチップとみなすことができる。そのため、スルーチップによる測定を省略し、被検体の測定結果と短絡状態での測定結果とを用いて誤差係数を決定することが可能である。
この場合、被検体は2端子に限らず、各ポート間に方向性がなければ3端子以上の電子部品でも適用可能である。
短絡基準の測定時に、被検体測定箇所に適当なスルーチップを接続しておく事で、短絡基準の接触不良を伝達係数の大小で検出できる。すなわち、何らかの原因で接触不良が発生じている場合には、ポート間の伝達係数が大きくなることで、接触不良を検出できる。このように、補正手順中に測定ミスを検出できるため、後に被検体を測定した時点で補正に失敗していたと判明するような無駄を防げる。
上記補正では、被検体測定位置までの誤差要因を除去できるが、被検体測定位置間の誤差、例えば2ポートの場合なら各ポートの被検体電極の接触点間の誤差要因は未考慮である。このような誤差のなかで最大のものは、信号導体間に存在する浮遊容量である。浮遊容量があると、被検体を測定したとき、浮遊容量を含んだ値を測定することになり、誤差要因となる。
そこで、信号導体に何も接続しない状態(オープン状態)の電気特性を測定し、その測定結果から浮遊アドミタンスを求め、被検体の測定結果から浮遊アドミタンスの影響を数学的に除去すれば、浮遊容量による誤差を解消でき、より高精度の特性測定が可能になる。
伝送路の信号導体と接地導体とを短絡状態にするため、短絡基準を伝送路に接続したが、周波数が高いために短絡基準の残留インダクタンスの影響が大きく、十分に短絡に近くならない場合(ポート間を信号が通過してしまい、全反射が得られない場合)がある。
この場合には、校正基準を伝送路に対して近接(非接触)させ、伝送路と校正基準との間に発生する浮遊容量と校正基準の残留インダクタンスを直列共振状態とするのがよい。
直列共振状態では、校正基準接続部のインピーダンスは0Ω、つまり理想の短絡状態になる。つまり、良好な短絡基準が得られない高い周波数においても、良好な短絡基準を使用したのと同じ効果が得られる。
なお、校正基準として微小容量のコンデンサを用いた場合には、このコンデンサを伝送路に接触(完全接続)させて直列共振させることもできる。
本発明の伝送路としては、信号導体と接地導体とが同一平面上に形成された伝送路を用いるのがよい。校正基準を用いた補正作業や被検体を用いた測定作業において、校正基準や被検体を信号導体と接地導体とに同時に接続しやすいからである。しかも、補正測定時の校正基準や被検体の押し付けを伝送路に対して垂直に行えるので、十分な押しつけ荷重を確保することが容易で、接触が安定しやすい。
具体的な伝送路としては、コプレーナウエーブガイドやスロット線路を用いることができる。コプレーナウエーブガイドは信号導体とこの信号導体を間にしてその両側に接地導体を有し、前記信号導体と接地導体とが同一平面上に形成されたものであり、10GHzまでの高周波特性の測定に適している。
一方、スロット線路は、信号導体と接地導体とが同一平面上に間隔をあけて設けられたものであり、10GHz以上の高周波特性の測定に適している。
校正基準を接続する位置は、各位置間の位相差が70°〜145°となる位置とするのが望ましい。
補正を高精度に行うためには、補正データが相互にできるだけ離れていることが望ましく、校正基準の反射の位相によって異なる補正データを得るRRRR校正では、補正に必要な校正基準の接続位置間の位相差を70°〜145°とするのが、校正精度を高める上で望ましい。但し、接続位置間の位相差を前記のように設定すれば、校正精度は高いが、1組の校正基準で対応できる周波数範囲がかなり狭くなってしまう。しかし、校正基準接続位置の設定が非常に簡単で、かつ、校正時の測定データをうまく使いまわせば、広帯域測定であっても実用上問題になるほどは校正基準測定回数が増えるわけでも無い。
従来のネットワークアナライザを用いた測定系およびSOLT補正の誤差モデルを示す図である。 従来のネットワークアナライザを用いた測定系およびTRL補正の誤差モデルを示す図である。 SOLT校正法を示す図である。 TRL校正法を示す図である。 本発明にかかるRRRR校正法の一例を示す高周波電気特性測定装置の平面図である。 図5に示す校正時における高周波電気特性測定装置の正面図である。 本発明にかかるスルー測定における高周波電気特性測定装置の平面図である。 本発明にかかるRRRR校正法で使用される誤差モデル図である。 本発明にかかる高周波電気特性測定装置の被検体測定時における平面図である。 本発明にかかるRRRR校正法の一例のフローチャート図である。 本発明にかかるRRRR校正法の他の例のフローチャート図である。 伝送路間に発生する浮遊容量の影響を示す図である。 本発明にかかるRRRR校正法を用いて測定したチップインダクタの高周波特性図である。 本発明にかかるRRRR校正法の他の例を示す高周波電気特性測定装置の平面図である。 校正基準と伝送路との間で直列共振させる例を示す図である。 3ポートを持つ伝送路の例を示す平面図である。 伝送路としてスロット線路を用いた例の平面図である。
以下に、本発明によるRRRR校正について、実施例を参照しながら具体的に説明する。
図5〜図9は本発明にかかる第1実施例を示す。
−RRRR校正の校正基準−
RRRR校正では、測定すべき校正基準は全て同じ短絡基準10であり、使用する測定治具11(伝送路12)も同じ治具である。
図5に示すように、測定治具11に形成された伝送路12上の3箇所以上で測定する。ここではポート1(コネクタ11a)側の補正について説明するが、ポート2(コネクタ11b)側についても同じ操作が必要である。
測定治具11として、ここではコプレーナウエーブガイドを例にして説明する。測定治具11は、図5,図6に示すように、治具基板11cの上面に2つの信号導体12a,12bが一直線上にかつ一端が間隔をあけて配置され、他端がコネクタ11a,11bにそれぞれ接続されている。信号導体12a,12bの幅方向両側に間隔をあけて接地導体12cが配置されており、信号導体12a,12bと接地導体12cとが治具基板11c上の同一平面上に形成されている。なお、この治具基板11aでは、裏面にも接地導体12dが形成されている。コネクタ11a,11bには同軸ケーブル14がそれぞれ接続され、測定器の一例であるネットワークアナライザ20の測定ポート21〜24に接続されている。同軸ケーブル14の信号線14aは、接続ばらつきを解消するため信号導体12a,12bに半田付けや溶接等によって固定されている。測定ポート21,24は同軸ケーブル14を介して信号導体12a,12bに接続され、測定ポート22,23は接地導体12bに接続されている。
測定治具11の上方には、図6に示すように短絡基準10を伝送路12に押し付けるプッシャ15と、プッシャ15を伝送路12に沿って自由に移動できる機構16とが設けられている。ここでは、短絡基準10として、絶縁性のプッシャ15の先端に取り付けたナイフエッジ状の導体を用いた。
−短絡基準の接続・測定−
まず、被検体の測定時に一方の電極を接続する箇所(図5中の測定点1:P1、以下「被検体測定箇所」という)に短絡基準10を接続して測定を行い、この時の測定結果をS11M1とする。この際、測定箇所における反射係数の真値をΓA1とする。ΓA1は短絡基準の真値であるが、これは短絡基準10の伝送路12の長さ方向の大きさが測定信号波長と比較して十分に小さければ−1とすればよく、そうでなければその真値の予想値をシミュレーション等で求めておくべきものである。
次に、被検体測定箇所よりポート1側にL1 だけ離れた信号導体12a上の位置(測定点2:P2)に短絡基準10を接続して測定を行い、この時の測定結果をS11M2とする。この際、測定点2における短絡基準10の反射係数の真値はもちろんΓA1であるが、被検体測定箇所を基準面にとると、反射係数の真値は数式1のように変換される。ポート1側より入射した電磁波は、短絡基準10で全反射するため、被検体測定箇所に短絡基準10を接続した場合と比較して往復分2L1 だけ伝送路を伝達する距離が短いからである。ここで、αは単位長さ当たりの伝送路の伝達度[U/mm]、βは伝送路の位相定数[rad/mm]であり、ΓA2は被検体測定箇所を基準面とした場合の測定点2に接続された短絡基準10の真値である。
Figure 0003912428
続けて、被検体測定箇所よりポート1側にL2 だけ離れた信号導体12a上の位置(測定点3:P3)に短絡基準10を接続して測定を行い、この時の測定結果をS11M3とする。測定点2の場合と同様に被検体測定箇所を基準面に取ると、反射係数の真値は数式2のようになる。
Figure 0003912428
なお、数式1、数式2は伝送路の伝達度の負の冪になっていることから明らかなように、ΓA2、ΓA3はその大きさが1を越えることがある。通常であれば、反射係数の大きさが1を超える短絡基準など存在し得ないが、これはあくまでも数式1、数式2が基準面を被検体測定箇所に取っているために発生している状態であり、異常ではない。
伝送路の特性α,βが未知の場合には、さらに測定点1よりポート1側に距離L3 だけ離れた伝送路上の位置(測定点4:P4)に短絡基準10を接続して測定を行い、この時の測定結果をS11M4とする。測定点2の場合と同様に測定点1を基準面に取ると、測定点4における反射係数の真値ΓA4は数式3のようになる。
Figure 0003912428
ここで、次式の通りα,βを含む式をξとおく。ξは、物理的には単位長さ当たりの伝送路の伝達係数を表している。
Figure 0003912428
数式4を用いると、数式1〜数式3はそれぞれ数式5〜数式7のように書き直すことが出来る。
Figure 0003912428
Figure 0003912428
Figure 0003912428
前述のとおり、伝送路特性ξが未知の場合には、短絡基準を伝送路の4箇所で短絡させることで、誤差係数だけでなく、伝送路特性ξをも求めることができる。
伝送路特性ξには伝達度αと位相係数βの2つの未知数が含まれるが、伝送路特性ξは、実数部が伝達度αに関係し、虚数部が位相係数βに関係する複素数であるから、1つの未知数として求めることができる。
なお、後の計算の都合により、短絡基準を測定する被検体測定位置からの距離L1 ,L2 ,L3 は、次のいづれかの関係を満たすことが望ましい。
1 :L2 :L3 =1:2:3
1 :L2 :L3 =1:2:4
前記関係を満たしていれば、以下に示す数式を用いて伝送路特性を陽に計算することができる。前記関係を満たしていない場合、下記数式では伝送路特性を計算できないので、反復計算等によって求める必要がある。
短絡基準を測定する位置L1 ,L2 ,L3 が、L1 :L2 :L3 =1:2:3の関係を満足している場合は、数式8によってξを求めることができる。
Figure 0003912428
一方、L1 :L2 :L3 =1:2:4の関係を満足している場合は、数式9によってξを求めることができる。
Figure 0003912428
1 :L2 :L3 の比が前記の条件を満たさない場合については、ξを求める式を陽に導いていないので、必要に応じて同様の式を誘導しておくか、あるいは反復計算によってξを求めるかすれば良い。
数式8または数式9によってξが求まれば、数式5、数式6によってΓA2、ΓA3の値が計算できるので、後述の誤差係数を順次求めることが可能になる。
−スルーチップの接続・測定−
次に、図7に示すようにスルー(ポート間直結)状態での測定を行う。ポート間を接続するために適当なデバイス(以下、スルーチップという)13を信号導体12a,12b間にシリーズ接続する。測定値は、反射係数がS11MT、S22MTで、伝達係数はS21MT、S12MTとする。なお、後述するが、スルーチップ13の電気特性は未知で良く、例えば抵抗値が分からないチップ抵抗などでも良いが、伝達係数に方向性があってはならない。伝達係数は、直流磁界下のフェライトなどの特殊な材料を使用しない限り、相反定理により方向性を持たないので、通常この条件は自動的に満足される。
−RRRR校正の誤差モデルの誤差係数の計算−
RRRR校正の誤差モデルを図8に示す。これは特に新規なものではなく、従来から使用されているTRL補正の誤差モデルと同じものである。図中のS11M 、S21M は反射係数及び伝達係数の測定値であり、S11A 、S21A 等は被検体の散乱係数の真値である。また、誤差係数Exx、Fxxは8個あるが、散乱係数測定は比測定であるので、このうち7個の誤差要因を定められれば良い。具体的には、E21=1と置けば良い。
さて、前述の短絡基準10の接続による測定結果から、図8中の各誤差係数を求めなければならないが、まずE11(E 12 ・E 22 、F11、(F21・F12) 、F22は次式で求められる。なお、FxxはExxと同様のため、Exxとのみ記載する。この段階では( 21 12)については、2つの誤差係数 21 12の積は求められるが、これらを別個独立に求めることはできない。なお、D1 は中間変数である。
Figure 0003912428
次に、スルーチップの順方向および逆方向の伝達係数の測定結果S21MT、S12MTは、図8の誤差要因を用いて次式のように書ける。ただし、スルーチップの散乱係数の真値を仮にS11A , S21A , S12A ,S22A としておく。
Figure 0003912428
ここで、S21MT、S12MTの比を考える。数式11をもとに、スルーチップの正逆方向の伝達係数が等しい(S21A =S12A )ことに注意しつつ整理すると、次式が得られる。ここで注目すべきは、スルーチップの散乱係数S11A , S21A , S12A ,S22A は除算ですべて消滅してしまう点である。つまり、スルーチップの散乱係数真値が不明であっても、スルーチップに方向性がない場合はS21MT、S12MT(これは測定可能量である)の比さえ分かれば、誤差係数の関係が決まるという事である。
Figure 0003912428
数式10と数式12をもとに、次式の通り全誤差係数を決定できる。
Figure 0003912428
以上で、全ての誤差係数を決定する事ができた。以上はポート1側からポート2側へ信号を印加した場合(順方向)の議論であるが、逆方向についてはE21=1とする代わりにF21=1とすれば導出できる。
−被検体の測定とRRRR校正の実施−
誤差係数が求まれば、被検体17を伝送路12に接続し、その特性を測定する。例えばチップマウンタなどを用いて被検体17を吸着し、この被検体17を伝送路12の被検体測定位置へ接触させて、電気特性(S11M,21M,12M,22M )を測定する。この際、被検体17が2端子の場合には、図9の(a)のように信号導体12a,12b間にシリーズ接続すればよいが、3端子または4端子の場合には、図9の(b)のように信号導体12a,12bおよび接地導体12cの間に接続すればよい。したがって、本発明による測定方法は、2端子の電子部品の他、フィルタのような3端子以上の電子部品にも適用できる。
RRRR校正の誤差モデルはTRL補正の誤差モデルと同じものであるから、実際の被検体測定結果から誤差の影響を除去するにはTRL補正と同様の計算を行えば良く、誤差の影響を除去する数式を以下に記載しておく。なお、誤差要因の影響を除去するには、本式は2ポート測定の場合の反射係数をもとに計算する式であるが、ネットワークアナライザの4つのレシーバ出力から計算してもよい。また、3ポート以上の場合にも、本式と同様の式を使用してもよいし、あるいは回路シミュレーション手法を用いて誤差要因の影響を除去しても良い。要するに、どのような公知技術を選択しても良い。なお、数式14において、D2 は中間変数である。
Figure 0003912428
図10は、RRRR校正方法の一例のフローチャート図である。
補正を開始すると、まず測定器と測定治具とを同軸ケーブルを介して接続する(ステップS1)。次に、一方の信号導体12aの開放端である第1の位置で短絡基準10により信号導体12aと接地導体12cとを短絡する(ステップS2)。第1の位置とは被検体測定位置近傍でもよいし、他の位置でもよい。短絡基準10を接続した状態で、ポート1側の反射係数(S11M1)を測定する(ステップS3)。
次に、第2の位置で短絡基準10により信号導体12aと接地導体12cとを短絡し(ステップS4)、ポート1側の反射係数(S11M2)を測定する(ステップS5)。続いて、第3の位置で短絡基準10により信号導体12aと接地導体12cとを短絡し(ステップS6)、ポート1側の反射係数(S11M3)を測定する(ステップS7)。伝送路特性が未知の場合には、さらに第4の位置で短絡基準10により信号導体12aと接地導体12cとを短絡し(ステップS8)、ポート1側の反射係数(S11M4)を測定する(ステップS9)。そして、これら反射係数からポート1側の伝送路特性ξを計算で求める(ステップS10)。伝送路特性が既知の場合には、ステップS8〜S10の工程は不要である。
次に、他方の信号導体12bの開放端である第5の位置で短絡基準10により信号導体12bと接地導体12cとを短絡する(ステップS11)。第5の位置とは被検体測定位置近傍でもよいし、他の位置でもよい。短絡基準10を接続した状態で、ポート2側の反射係数(S22M1)を測定する(ステップS12)。
次に、第6の位置で短絡基準10により信号導体12bと接地導体12cとを短絡し(ステップS13)、ポート2側の反射係数(S22M2)を測定する(ステップS14)。続いて、第7の位置で短絡基準10により信号導体12bと接地導体12cとを短絡し(ステップS15)、ポート2側の反射係数(S22M3)を測定する(ステップS16)。伝送路特性が未知の場合には、さらに第8の位置で短絡基準10により信号導体12bと接地導体12cとを短絡し(ステップS17)、ポート2側の反射係数(S22M4 )を測定する(ステップS18)。そして、これら反射係数からポート2側の伝送路特性ξを計算で求める(ステップS19)。伝送路特性が既知の場合には、ステップS17〜S19の工程は不要である。
次に、スルーチップ13を信号導体12a,12b間にシリーズ接続し(ステップS20)、伝達係数(S21MT,12MT) を測定する(ステップS21)。
その後、測定した反射係数、伝達係数、および伝送路特性ξを用いて、数式10〜数式13により誤差係数を計算する(ステップS22)。
誤差係数を計算した後、測定治具に被検体を接続し(ステップS23)、被検体の順方向・逆方向の反射係数および伝達係数(S11M,21M,12M,22M )を測定する(ステップS24)。次に、数式14で測定値から誤差の影響を除去し(ステップS25)、誤差除去結果(被検体の真値)のディスプレーなどへの表示や被検体の選別等を実施する(ステップS26)。その後、全ての被検体の測定が完了するまでステップS23〜26を繰り返し(ステップS27)、全ての被検体の測定が完了すれば、RRRR校正を終了する。
前記短絡基準10の接続時、短絡基準10と伝送路12との間で接触不良が発生していると、測定された反射係数は誤った値となる。接触不良を知らずに測定を行うと、後で被検体を測定した時点で補正に失敗していたと判明するような無駄が発生する。
図11は、図10の誤差係数の導出過程において、伝達係数から接触不良を検出するステップを追加したものである。ここでは、第1の位置における接触不良検出についてのみ示すが、他の位置においても同様である。
まず、測定器と測定治具とを同軸ケーブルを介して接続し(ステップS1)、第1の位置で短絡基準10により信号導体12aと接地導体12cとを短絡する(ステップS2)と同時に、スルーチップ13を信号導体12a,12b間に接続する(ステップS30)。短絡基準10とスルーチップ13とを同時に接続した状態で、ポート1側の反射係数(S11M1)と伝達係数(S21M1)とを測定し(ステップS31)、測定した伝達係数が十分に小さいか否かを判定し(ステップS32)、十分に小さくない場合には接触不良であると判定し、再度ステップS2以下を繰り返す。一方、伝達係数が十分に小さい場合には、接触が良好であると判定し、次の第2の位置での測定に移る。
前記のように、短絡基準10が正常に接触している場合には全反射が起こるため、治具ポート間の伝達係数は非常に小さいが、短絡基準10と伝送路12との間で接触不良が発生していると、ポート間の伝達係数が大きくなる。この伝達係数の違いを利用して、接触不良を簡単に判別できる。
このように、補正手順中に測定ミスを検出できるため、後に被検体を測定した時点で補正に失敗していたと判明するような無駄を防げる。
ここで、短絡基準10の測定位置をどのように選択するべきかについて説明する。
伝送路12の被検体測定箇所と、ここから5mm離れた点で短絡基準10を測定したとする。伝送路12の損失が大きくないとすると、この2点の測定結果の違いは位相だけである。ここで、波長が30mm(真空中での1GHzの電磁波の波長)であるとする。5mm位置の違いは、往復で10mmの位置の違いに相当するので、測定データは(10mm÷30mm)×360°=120°の位相差があると期待できる。ところが、波長が10mm(真空中での3GHzの電磁波の波長)であったとすると、同じく往復10mmの位置の違いが生み出す位相差は10mm÷10mm×360°=360°であり、結局位相の差が生じない。このため、5mmの位置の違いでは、波長10mmの周波数では補正を正常に行えない。
補正を高精度に行うためには、補正データが相互にできるだけ離れていることが望ましく、短絡基準の反射の位相によって異なる補正データを得るRRRR校正では、短絡基準の接続位置間の位相差が70°〜145°となる条件を採用するのがよい。
校正基準間の位相差を大きく確保すると校正の精度は向上するが、一組の校正基準で対応できる周波数範囲が狭くなり、広帯域の測定をする場合に多くの校正基準を測定する必要が生じる。RRRR校正と同じく校正基準間の位相差を用いて校正を行うTRL校正の場合、良好な測定精度を得るために校正基準間の位相差は20°〜30°以上程度確保するべきであるとされている。
これに対し、短絡基準の接続位置間の位相差を70°〜145°とすると、校正精度は高いが1組の校正基準で対応できる周波数範囲が前記の場合と比較してかなり狭くなってしまう。しかし、以下に説明するように短絡基準接続位置の設定が非常に簡単で、かつ、校正時の測定データをうまく使いまわせば、広帯域測定であっても実用上問題になるほどは短絡基準測定回数が増えるわけでも無いからである。
まず、測定上限周波数において位相が145°程度になる第2の短絡基準測定位置を求める。具体的には、β[rad/mm]を位相定数、L[mm]を短絡基準測定位置として次式により求めれば良い。
Figure 0003912428
次に、第3の短絡基準測定位置を2L[mm]に、第4の短絡基準測定位置を4L[mm]に設定する。同様に、第nの短絡基準測定位置を2n-2 L[mm]に設定する。
測定上限周波数fmax からfmax /2までの周波数帯は、第1、第2、第3の短絡基準測定位置の測定結果によってRRRR校正を行う。fmax /2〜fmax /4までの周波数帯は、第1、第3、第4の短絡基準測定位置の測定結果を用いる。同様に、n番目の周波数帯、すなわちfmax /2n-1 〜fmax /2n の周波数帯は、第1、第n+1、第n+2の短絡基準測定位置の測定結果を用いる。このようにすることで、概ね短絡基準測定位置間の位相差が70°〜145°の範囲に保たれる。
−オープン補正−
RRRR校正では、被検体測定位置までの誤差要因を除去できるが、被検体測定位置間の誤差、例えば2ポートの場合なら各ポートの被検体電極の接触点間の誤差要因は未考慮である。このような誤差の中で最大のものは、図12に示すようなポート間の浮遊容量(信号導体12a,12b間の浮遊容量Cs)である。つまり、コプレーナウェーブガイドをTEM伝送してきた信号は、高インピーダンスの被検体17に阻まれて反射するが、一部がTM波として伝達してしまうという誤差要因が存在する。RRRR法が属するシリーズ法は、高いアイソレーションの測定治具を使用すれば高いインピーダンスの測定に対応できるはずのものであるが、ガラスエポキシ材等の誘電率の高い材料の治具を使用したり、あるいは治具の厚みが例えば1.6mm等と厚いものを使用すると、ポート間の浮遊容量が大きくなり、アイソレーションが低くなってしまう。テフロン(登録商標)のように誘電率が低い材料で、薄い治具を作成すればこの問題は低減する。しかし、これでも十分でない場合、あるいは、コスト等の問題で満足できる特性の治具を使用できない場合(テフロン(登録商標)基板は一般的に高価である)には、数学的にこの誤差を補正できる。
つまり、測定治具単体(オープン状態)の測定結果から、測定結果の浮遊アドミタンスを求め、被検体測定結果から浮遊アドミタンスの影響を数学的に除去するのである。測定治具単体をRRRR校正してインピーダンスを求めたものをZC 、被検体測定結果をRRRR校正してインピーダンスを求めたものをZM とすると、前記数学処理(オープン補正)後のインピーダンスZL は次式で求められる。あまりにZC が大きいと測定系のダイナミックレンジが狭くなり、測定バラツキが大きくなるなどの問題が生じる可能性があるので、あまりにアイソレーションが低い治具を使用するべきではないが、通常は以上の処理で十分な結果を得られる。
Figure 0003912428
RRRR法の説明は主に散乱係数で議論してきているが、オープン補正についてはインピーダンスを用いて議論している。インピーダンスと散乱係数は相互変換可能な物理量で、伝送路の特性インピーダンスをZ0 、散乱係数の反射係数をS11、伝達係数をS21とすると、散乱係数とインピーダンスZは次式で変換できる。2つの式を載せているが、どちらの式を用いても原理的には同じ結果を与える。
Figure 0003912428
−測定結果−
以上のRRRR校正およびオープン補正を用いて、1mm×0.5mmサイズで10nHのチップインダクタ(巻線タイプチップインダクタ)を100MHz〜20GHzの範囲で測定してみた結果が図13である。
図13から分かるように、インダクタの一般的なインピーダンス特性カーブが得られている。つまり、自己共振周波数までは周波数上昇に比例してインピーダンスが上昇し、自己共振周波数以降は周波数上昇に反比例してインピーダンスが低下している。また、従来技術であるTRL校正法による測定にもほぼトレースした結果が得られている。
以上のとおり、RRRR校正により被検体の真値を測定できることが確かめられた。
−スルーチップを用いない誤差補正方法−
実施例1では、方向性のないスルーチップ13を信号導体12a,12b間にシリーズ接続して、順方向および逆方向の伝達係数S21MT、S12MTを測定し、その比S21MT/S12MTの比を求めることで誤差係数の関係を決定したが、被検体に方向性がない場合には、スルーチップ測定を省略して被検体の測定結果を用いて誤差係数を決定することが可能である。
例えば、フィルタ、カプラ、バラン、コンデンサ、抵抗、コイルなどの殆どの被検体では、被検体に方向性がないので、被検体も一種のスルーチップとみなすことができる。被検体の測定結果から伝達係数の比S21M /S12M を求め、この比をS21MT/S12MTに代えて用いれば、数式12から誤差係数の関係を決定できる。
−短絡基準以外の校正基準を用いた校正方法−
RRRR校正において、短絡基準10に代えてチップ抵抗のような伝達係数のある校正基準18を用いた場合、一方のポートから入力された信号のうち一部が校正基準との接触部を通過し、信号導体の開放端で全反射して戻ってくるため、測定誤差になる可能性がある。
この場合には、図14に示すように、信号導体12aの開放端と信号導体12bの開放端とをスルーチップ19で接続しておき、この状態で、校正基準18を伝送路12の少なくとも3か所に接続してRRRR校正を実施すればよい。スルーチップ19は、スルー測定(図7参照)におけるスルーチップ13と同様な部品であってもよいし、短絡基準10のようなショートチップでもよい。
信号の一部が校正基準18と信号導体12aとの接触部を通過しても、その信号はスルーチップ19を介してポート2側へ伝達され、信号がポート2側で吸収されてポート1側へ戻ってくる信号レベルを低くできる。例えば、通常予想されるポート2での反射レベルは−15dB〜−25dBであり、その平均を−20dBとすると、入力信号のうち50%(−6dB)が校正基準との接触部を通過してポート2側へ伝達しても、往復で約−32db(=−6−20−6)となり、誤差のレベルは入力信号の約2.5%程度となる。
したがって、伝達係数のある校正基準18を使用しても、高い校正精度を確保できる。
RRRR校正は、単体で行えば測定系全体の誤差を補正できる。一方、治具基板を接続する同軸コネクタまでをSOLT補正等の手法で補正した上で、RRRR校正を行うと、得られる誤差係数は治具基板の誤差係数になる。つまり、RRRR校正を治具の誤差要因の同定手法として利用できる。
最近のネットワークアナライザには、治具などの誤差係数を与えれば、測定結果から与えた誤差の影響を自動的に除去してくれる機能(ディエンベディング機能)がある。しかし、治具の誤差を求める方法がないために、実際にはあまり使われない機能である。本発明にかかるRRRR校正の手法と組み合わせると、これは非常に便利な機能になる。
なお、ディエンベディングとは、既知の誤差要因を数学的に除去する手法であり、伝送行列を用いると簡単に実施できる。得られた治具の誤差要因の散乱係数行列を伝送行列に変換して逆行列にしたものを、ポート1側、ポート2側それぞれE-1、F-1とする。このとき、治具の各ポートの誤差要因の伝送行列がEFである。さらに、デバイスの伝送行列をAとする。この時、同軸ケーブル先端まで校正したネットワークアナライザで治具ごとデバイスを測定した測定結果は、デバイスに各ポートの誤差が重畳されたものであるから
E・A・F
が測定されているはずである。そこで、左右からそれぞれE-1、F-1をかけると、
-1・E・A・F・F-1=A
となり、デバイスの特性を得ることができる。
ディエンベディング手法を用いると、高い精度での校正基準の位置決め等が必要なRRRR校正手順は研究室的な環境で行い、各治具の誤差要因を高精度に定めておき、量産工程では誤差要因が既に分かっている治具を使用して量産することができる。勿論、治具の誤差は研究室で求めた誤差要因をディエンベディングすることで除去する。
このようにすることで、各工程で高い精度での校正基準の位置決め手段等を準備することなくRRRR法を運用でき、コスト的・工程管理的に有利である。
測定器に計算機と専用ソフトウェアを備え、校正基準の残留インダクタンス及び伝送路のパラメータ(位相定数β[rad/mm]及び伝達損失δ[dB/Hz])と校正基準の接触位置を入力すると、各位置における校正基準特性を数式1〜3に基づいて自動的に算出し、これを数式10〜数式13の補正計算に使用することもできる。要するに、ネットワークアナライザが自動的に校正基準の値を予想してRRRR校正をすることができるものである。
量産工場のデバイスの検査工程において、校正基準の値をオペレータ等が計算する必要が無くなり、また測定器単体でRRRR校正が行えるため、工程を簡素化できる。
周波数が高いなどのために校正基準(例えば短絡基準)の残留インダクタンスの影響が大きく、校正基準を伝送路に接続しても、十分に短絡に近くならない場合(ポート間を信号が通過してしまい、全反射が得られない場合)がある。
この場合には、図15の(a)のように校正基準25を伝送路12から浮かして、伝送路と校正基準の間に発生する容量C[F] と校正基準の残留インダクタンスL[H] を直列共振状態とするのがよい。この場合C=1/(2πf√L)となるように設定する。
なお、校正基準と伝送路の間の浮遊容量を利用する方法に代えて、図15の(b)のように校正基準26を伝送路12に接触させて直列共振させることもできる。この場合の校正基準26は微小容量のコンデンサを用いればよい。
直列共振状態では、校正基準接続部のインピーダンスは0Ω、つまり理想の短絡状態になる。つまり、良い短絡基準が得られない高い周波数においても良い短絡基準を使用したのと同じ効果が得られる。
図16は3ポートを持つ測定治具の例を示す。
図において、30は治具基板、31〜33は治具基板30の上面に形成された3本の信号導体、34は同じく治具基板30の上面に信号導体31〜33の両側を挟むように形成された接地導体、35〜37は治具基板30の端部に設けられたコネクタである。信号導体31〜33の一端は3方から互いに近接して対向しており、他端がコネクタ35〜37にそれぞれ接続されている。各信号導体31〜33と接地導体34との間にそれぞれ校正基準を接続し、補正を行った後、信号導体31〜33間、または信号導体31〜33と接地導体32との間に被検体38を接続し、電気特性を測定する。
このように3端子以上の被検体38の電気特性を測定することもできる。
前記実施例では、伝送路としてコプレーナウエーブガイドを用いた例を示したが、図17のようなスロット線路40を用いることもできる。スロット線路40は、信号導体41,42と接地導体43とが同一平面上に隙間をあけて設けられたものである。この場合は、被検体44を信号導体41,42間、あるいは信号導体41,42と接地導体43との間に接続して電気特性を測定する。
本発明にかかる高周波電気特性測定方法は、前記実施例に限定されるものではない。
本発明における測定器としては、ネットワークアナライザに限らず、高周波電気特性を測定できるものであれば、使用可能である。
被検体測定位置で校正基準を測定したが、被検体測定位置で校正基準を測定する必要はなく、その場合、3回以上の校正基準測定が全て数式1のような形で表される。
伝送路は、平面伝送路に限るものではなく、校正基準を接続でき、スルーチップをシリーズ接続でき、かつ被検体を信号導体間あるいは信号導体間と接地導体との間に接続できるものであれば、任意の構造のものを用いることができる。
1ポート〜3ポートを持つ測定治具を用いた例について説明したが、4ポート以上の測定治具を用いることもできる。この場合も、同様の補正と測定とを実施できる。
以上のように、本発明にかかる高周波電気特性測定方法は次のような効果を有する。
(1)補正に使用する伝送路と被検体測定に使用する伝送路は同じものであるから、伝送路のバラツキの影響を受けにくい。また、伝送路と測定器との接続も、補正および実測定において固定であり、再接続の必要がないので、伝送路の接触不良等による補正失敗等の事故も起こらない。
(2)被検体の部品単体の特性を高精度に測定可能であり、治具等の誤差の影響を受けない。特に、伝送路の特性インピーダンスより高いインピーダンスを持つ電子部品の測定精度が高い。
(3)被検体は2端子だけでなく、3端子以上の電子部品でも測定でき、測定できる対象部品を選ばない。従って、本発明はフィルタやカプラ、バランのような電子部品、またはチップインダクタ、チップコンデンサなどのようなインピーダンス素子の散乱係数やインピーダンス値を精度よく測定するためには非常に有効な方法である。

Claims (22)

  1. 電子部品の高周波電気特性を測定する方法において、
    互いに離間して配置された複数の信号導体と、少なくとも1つの接地導体とを持ち、単位長さ当たりの電気特性が既知の伝送路を準備するステップと、
    前記各信号導体と前記接地導体とを測定器の測定ポートにそれぞれ接続するステップと、
    前記各信号導体の長さ方向の少なくとも3箇所において、信号導体と接地導体とを接続状態にして電気特性を測定するステップと、
    前記信号導体間を相互にスルー状態にして電気特性を測定するステップと、
    前記接続状態での測定値、スルー状態での測定値および前記伝送路の電気特性から、前記伝送路を含む測定系の誤差要因を求めるステップと、
    前記信号導体間あるいは前記信号導体間と前記接地導体との間に、被測定電子部品を接続して電気特性を測定するステップと、
    前記被測定電子部品の測定値から前記測定系の誤差要因を除去し、被測定電子部品の電気特性の真値を求めるステップと、を含むことを特徴とする電子部品の高周波電気特性測定方法。
  2. 電子部品の高周波電気特性を測定する方法において、
    互いに離間して配置された複数の信号導体と、少なくとも1つの接地導体とを持ち、単位長さ当たりの電気特性が未知の伝送路を準備するステップと、
    前記各信号導体と前記接地導体とを測定器の測定ポートにそれぞれ接続するステップと、
    前記各信号導体の長さ方向の少なくとも4箇所において、信号導体と接地導体とを接続状態にして電気特性を測定するステップと、
    前記信号導体間を相互にスルー状態にして電気特性を測定するステップと、
    前記接続状態での測定値およびスルー状態での測定値から、前記伝送路を含む測定系の誤差要因および前記伝送路の電気特性を求めるステップと、
    前記信号導体間あるいは前記信号導体間と前記接地導体との間に、被測定電子部品を接続して電気特性を測定するステップと、
    前記被測定電子部品の測定値から前記測定系の誤差要因を除去し、被測定電子部品の電気特性の真値を求めるステップと、を含むことを特徴とする電子部品の高周波電気特性測定方法。
  3. 電子部品の高周波電気特性を測定する方法において、
    互いに離間して配置された複数の信号導体と、少なくとも1つの接地導体とを持ち、単位長さ当たりの電気特性が既知の伝送路を準備するステップと、
    前記各信号導体と前記接地導体とを測定器の測定ポートにそれぞれ接続するステップと、
    前記各信号導体の長さ方向の少なくとも3箇所において、信号導体と接地導体とを接続状態にして電気特性を測定するステップと、
    前記信号導体間あるいは前記信号導体間と前記接地導体との間に、被測定電子部品を接続して電気特性を測定するステップと、
    前記接続状態での測定値、前記被測定電子部品を接続して測定された測定値および前記伝送路の電気特性から、前記伝送路を含む測定系の誤差要因を求めるステップと、
    前記被測定電子部品の測定値から前記測定系の誤差要因を除去し、被測定電子部品の電気特性の真値を求めるステップと、を含むことを特徴とする電子部品の高周波電気特性測定方法。
  4. 電子部品の高周波電気特性を測定する方法において、
    互いに離間して配置された複数の信号導体と、少なくとも1つの接地導体とを持ち、単位長さ当たりの電気特性が未知の伝送路を準備するステップと、
    前記各信号導体と前記接地導体とを測定器の測定ポートにそれぞれ接続するステップと、
    前記各信号導体の長さ方向の少なくとも4箇所において、信号導体と接地導体とを接続状態にして電気特性を測定するステップと、
    前記信号導体間あるいは前記信号導体間と前記接地導体との間に、被測定電子部品を接続して電気特性を測定するステップと、
    前記接続状態での測定値および前記被測定電子部品を接続して測定された測定値から、前記伝送路を含む測定系の誤差要因および前記伝送路の電気特性を求めるステップと、
    前記被測定電子部品の測定値から前記測定系の誤差要因を除去し、被測定電子部品の電気特性の真値を求めるステップと、を含むことを特徴とする電子部品の高周波電気特性測定方法。
  5. 前記信号導体と接地導体とを接続状態にするため、短絡基準を前記信号導体と接地導体とに対して接触させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の高周波電気特性測定方法。
  6. 前記信号導体と接地導体とを接続状態にして電気特性を測定するステップを、前記信号導体間にスルーチップを接続した状態で実施することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の高周波電気特性測定方法。
  7. 前記信号導体間にスルーチップを接続した状態で、前記信号導体と接地導体とを接続状態にして伝達係数を測定し、測定した伝達係数に基づいて前記接続状態の接触不良を検出するサブステップを含むことを特徴とする請求項6に記載の高周波電気特性測定方法。
  8. 前記信号導体と接地導体とを接続状態にするため、校正基準を前記信号導体と接地導体とに対して接触または近接させ、前記校正基準内の容量または前記校正基準と伝送路の間の容量と、前記校正基準の残留インダクタンスとで直列共振させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の高周波電気特性測定方法。
  9. 前記スルー状態とするため、伝達係数に方向性がないスルーチップを前記信号導体間にシリーズ接続することを特徴とする請求項1に記載の高周波電気特性測定方法。
  10. 前記測定系の誤差要因を求めるために、前記接続状態およびスルー状態での測定値のほかに、前記伝送路をオープン状態として測定した測定値を用いることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の高周波電気特性測定方法。
  11. 前記伝送路を含む測定系の誤差要因を求めるステップは、次式により実行されることを特徴とする請求項1,2,5〜9のいずれかに記載の高周波電気特性測定方法。
    Figure 0003912428
    Figure 0003912428
    Figure 0003912428
    上式において、ΓA1:第1の測定位置における反射係数、ΓA2:第2の測定位置における反射係数、ΓA3:第3の測定位置における反射係数、S11M1:第1の測定位置における測定値、S11M2:第2の測定位置における測定値、S11M3:第3の測定位置における測定値、S11MT:スルー状態での反射係数,S21MT:スルー状態での伝達係数、Exx,xx:測定系の誤差要因。
  12. 前記被測定電子部品の測定値から前記測定系の誤差要因を除去し、被測定電子部品の電気特性の真値を求めるステップは、次式により実行されることを特徴とする請求項11に記載の電子部品の高周波電気特性測定方法。
    Figure 0003912428
    上式において、S11A :被測定電子部品の反射係数、S21A :被測定電子部品の伝達係数。
  13. 前記伝送路は、信号導体と接地導体とが同一平面上に形成された伝送路であることを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の高周波電気特性測定方法。
  14. 前記伝送路は、信号導体とこの信号導体を間にしてその両側に接地導体とを有するコプレーナウエーブガイドであることを特徴とする請求項13に記載の高周波電気特性測定方法。
  15. 前記伝送路は、信号導体と接地導体とが間隔をあけて設けられたスロット線路であることを特徴とする請求項13に記載の高周波電気特性測定方法。
  16. 前記信号導体と接地導体とを接続状態にして電気特性を測定する位置は、各位置間の位相差が70°〜145°となる位置であることを特徴とする請求項1ないし15のいずれかに記載の高周波電気特性測定方法。
  17. 電子部品の高周波電気特性を測定する装置において、
    互いに離間して配置された複数の信号導体と、少なくとも1つの接地導体とを持ち、単位長さ当たりの電気特性が既知の伝送路と、
    前記各信号導体に接続された測定ポートと、前記接地導体に接続された測定ポートとを有し、高周波電気特性を測定可能な測定器と、
    前記各信号導体の長さ方向の少なくとも3箇所において、信号導体と接地導体とを接続状態にする手段と、
    前記信号導体間を相互にスルー状態にする手段と、
    前記接続状態での測定値、スルー状態での測定値および前記伝送路の電気特性から、前記伝送路を含む測定系の誤差要因を求める手段と、
    前記信号導体間あるいは前記信号導体間と前記接地導体との間に、被測定電子部品を接続する手段と、
    前記被測定電子部品を前記信号導体間あるいは前記信号導体間と前記接地導体との間に接続して測定される測定値から前記測定系の誤差要因を除去し、被測定電子部品の電気特性の真値を求める手段と、を含むことを特徴とする電子部品の高周波電気特性測定装置。
  18. 電子部品の高周波電気特性を測定する装置において、
    互いに離間して配置された複数の信号導体と、少なくとも1つの接地導体とを持ち、単位長さ当たりの電気特性が未知の伝送路と、
    前記各信号導体に接続された測定ポートと、前記接地導体に接続された測定ポートとを有し、高周波電気特性を測定可能な測定器と、
    前記各信号導体の長さ方向の少なくとも4箇所において、信号導体と接地導体とを接続状態にする手段と、
    前記信号導体間を相互にスルー状態にする手段と、
    前記接続状態での測定値およびスルー状態での測定値から、前記伝送路を含む測定系の誤差要因および前記伝送路の電気特性を求めるステップと、
    前記信号導体間あるいは前記信号導体間と前記接地導体との間に、被測定電子部品を接続する手段と、
    前記被測定電子部品を前記信号導体間あるいは前記信号導体間と前記接地導体との間に接続して測定される測定値から前記測定系の誤差要因を除去し、被測定電子部品の電気特性の真値を求める手段と、を含むことを特徴とする電子部品の高周波電気特性測定装置。
  19. 前記信号導体と接地導体とを接続状態にする手段は、短絡基準と、この短絡基準を伝送路に対して接触させる手段とで構成されることを特徴とする請求項16または17に記載の高周波電気特性測定装置。
  20. 前記スルー状態にする手段は、伝達係数に方向性がないスルーチップと、このスルーチップを伝送路にシリーズ接続する手段とで構成されることを特徴とする請求項17ないし19のいずれかに記載の高周波電気特性測定装置。
  21. 電子部品の高周波電気特性測定装置の校正方法において、
    互いに離間して配置された複数の信号導体と、少なくとも1つの接地導体とを持ち、単位長さ当たりの電気特性が既知の伝送路を準備するステップと、
    前記各信号導体と前記接地導体とを測定器の測定ポートにそれぞれ接続するステップと、
    前記各信号導体の長さ方向の少なくとも3箇所において、信号導体と接地導体とを接続状態にして電気特性を測定するステップと、
    前記信号導体間を相互にスルー状態にして電気特性を測定するステップと、
    前記接続状態での測定値、スルー状態での測定値および前記伝送路の電気特性から、前記伝送路を含む測定系の誤差要因を求めるステップと、を含むことを特徴とする校正方法。
  22. 電子部品の高周波電気特性測定装置の校正方法において、
    互いに離間して配置された複数の信号導体と、少なくとも1つの接地導体とを持ち、単位長さ当たりの電気特性が未知の伝送路を準備するステップと、
    前記各信号導体と前記接地導体とを測定器の測定ポートにそれぞれ接続するステップと、
    前記各信号導体の長さ方向の少なくとも4箇所において、信号導体と接地導体とを接続状態にして電気特性を測定するステップと、
    前記信号導体間を相互にスルー状態にして電気特性を測定するステップと、
    前記接続状態での測定値およびスルー状態での測定値から、前記伝送路を含む測定系の誤差要因および前記伝送路の電気特性を求めるステップと、を含むことを特徴とする校正方法。
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