JP3906880B2 - 内燃機関制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃費向上、排気浄化率向上等を狙って内燃機関を安定運転限界に制御する内燃機関制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、内燃機関(エンジン)の気筒内で混合気が燃焼する際にイオンが発生する点に着目し、このイオン電流を点火プラグを介して検出することで、ノッキング、失火等を検出する技術が提案されている。更に、最近では、イオン電流の検出値から燃焼状態を判定して、それをエンジン制御に反映させるために、特開平6−249048号公報、特開平6−193514号公報に示すように、イオン電流の検出値から燃焼ラフネス値(燃焼のばらつき度合を表すパラメータ)を算出し、この燃焼ラフネス値が目標燃焼ラフネス値に一致するように燃料噴射量やEGR量(排気還流量)をフィードバック制御することが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、イオン電流は、エンジン運転条件によって大きく変動するため、イオン電流の検出値から算出した燃焼ラフネス値には、エンジン運転条件によるイオン電流の変動の影響がそのまま含まれてしまい、燃焼ラフネス値の算出精度が悪く、混合気の燃焼状態を精度良く判定できない。従って、イオン電流の検出値から算出した燃焼ラフネス値を用いてエンジン制御を行ったのでは、エンジン制御に実際の燃焼状態を精度良く反映させることができない。
【0004】
また、特開平6−34491号公報に示すように、イオン電流がしきい値以上になる期間の長さやイオン電流のピーク値のばらつきの度合によってリーン限界を検出し、リーン限界付近で空燃比制御を行うことが提案されている。しかし、イオン電流がしきい値以上になる期間の長さやイオン電流のピーク値のばらつきの度合は、エンジン運転条件によるイオン電流の変動の影響を受けて変動してしまい、リーン限界を精度良く検出することができず、リーン限界付近で空燃比制御を精度良く行うことができない。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、従ってその目的は、イオン電流の検出情報を用いて内燃機関の制御を精度良く行うことができる内燃機関制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の内燃機関制御装置によれば、イオン電流検出手段の出力信号からイオン電流の発生タイミングを発生タイミング判定手段により判定し、その判定結果に基づいて内燃機関の制御値(以下「機関制御値」という)を制御手段によって内燃機関の安定運転限界付近に制御する(以下、この制御を「安定運転限界制御」という)。例えば、空燃比を稀薄化したりEGR量を増加するに従って、混合気の燃焼時の火炎伝播速度が遅くなって燃焼期間が長くなり、更に、安定運転限界領域では、火炎伝播速度不良により未燃混合気が排気行程で燃焼する後燃え発生サイクルが発生する。イオン電流は、混合気の燃焼により発生するため、安定運転限界領域では、後燃え発生サイクルにより排気行程でもイオン電流が発生する。
【0007】
この特性に着目し、本発明では、イオン電流の発生タイミングから安定運転限界を判定して内燃機関の運転状態を安定運転限界付近に制御するものである。安定運転限界におけるイオン電流の発生タイミングは、エンジン運転条件によるイオン電流の増減変動の影響を受けないため、イオン電流の発生タイミングから安定運転限界を精度良く検出することができ、安定運転限界付近で安定した内燃機関の制御が可能となる。
【0008】
しかも、請求項1に係る発明では、イオン電流が排気行程中に発生したか否かを判定し、イオン電流が排気行程中に発生する状態を内燃機関の安定運転限界として機関制御値を制御するようにしている。これにより、失火寸前の状態(着火限界)となる、例えばリーン限界、EGR限界で安定した制御が可能となり、燃費低減、排気浄化率向上等を実現できる。
【0009】
更に、請求項2,3のように、発生タイミング判定手段の判定結果から内燃機関の運転状態が安定運転限界であるか否かを判定する手段と、その判定結果に応じて機関制御値を増減補正する手段とを有し、所定期間の機関制御値の変動幅が所定範囲内に収まる毎に該機関制御値の増減補正量を縮小するようにしても良い。このようにすれば、機関制御値を安定運転限界付近に収束させることができ、安定運転限界制御を更に安定させることができる。
【0010】
また、請求項4のように、学習手段によって所定期間の機関制御値の平均値やなまし値等を求めて、これを機関制御値の初期値として学習するようにしても良い。このようにすれば、安定運転限界制御を開始又は再開する際に、機関制御値の初期値(学習値)と安定運転限界値とのずれを少なくすることができ、機関制御値を安定運転限界付近に速やかに収束させることができる。
【0011】
また、請求項5のように、安定運転限界制御を空燃比フィードバック制御中に実行するようにしても良い。つまり、空燃比フィードバック制御が停止されている期間は、内燃機関の運転状態が比較的不安定であるため、この期間に安定運転限界制御を行うと、内燃機関の運転状態が更に不安定になるおそれがある。これを回避するため、安定運転限界制御を空燃比フィードバック制御中に実行するようにすれば、内燃機関の運転状態の安定性を損なうことなく、実効性の高い安定運転限界制御を行うことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。まず、図1に基づいて点火制御系及びイオン電流検出系の回路構成を説明する。点火コイル11の一次コイル12の一端は、バッテリ電圧VB が供給される電源供給端子(+B)に接続され、該一次コイル12の他端は、点火制御用のパワートランジスタ15のコレクタに接続されている。点火コイル11の二次コイル16の一端は点火プラグ17に接続され、該二次コイル16の他端は、2つのツェナーダイオード18,19を介してグランドに接続されている。
【0013】
2つのツェナーダイオード18,19は互いに逆向きに直列接続され、一方のツェナーダイオード18にコンデンサ20が並列に接続され、他方のツェナーダイオード19にイオン電流検出抵抗21が並列に接続されている。コンデンサ20とイオン電流検出抵抗21との間の電位Vinが抵抗22を介して増幅回路23の−入力端子に入力されて増幅される。イオン電流検出回路24(イオン電流検出手段)は、ツェナーダイオード18,19、コンデンサ20、イオン電流検出抵抗21、増幅回路23等から構成されている。このイオン電流検出回路24の出力電圧(増幅回路23の出力電圧)がイオン電流信号として信号処理回路28に入力される。
【0014】
エンジン運転中は、エンジン制御回路27から出力される点火信号IGtの立ち上がり/立ち下がりでパワートランジスタ15がオン/オフする。パワートランジスタ15がオンすると、バッテリ(図示せず)から一次コイル12に一次電流が流れ、その後、パワートランジスタ15がオフすると、一次コイル12の一次電流が遮断されて、二次コイル16に高電圧が電磁誘導され、この高電圧によって点火プラグ17の電極30,29間に火花放電が発生する。
【0015】
この際、火花放電電流は点火プラグ17の接地電極29から中心電極30へ流れ、二次コイル16を経てコンデンサ20に充電されると共に、ツェナーダイオード18,19を経てグランド側に流れる。コンデンサ20の充電後は、ツェナーダイオード18のツェナー電圧によって規制されるコンデンサ20の充電電圧を電源としてイオン電流検出回路24が駆動され、次のようにしてイオン電流が検出される。
【0016】
火花放電終了後は、コンデンサ20の充電電圧によって点火プラグ17の電極30,29間に電圧が印加され、混合気が燃焼する際に発生したイオンがイオン電流として点火プラグ17の電極30,29間に流れる。このイオン電流は、中心電極30から接地電極29へ流れ、更に、グランド側からイオン電流検出抵抗21を通ってコンデンサ20に流れる。
【0017】
この際、イオン電流検出抵抗21に流れるイオン電流の変化に応じて増幅回路23の入力電位Vinが変化し、この増幅回路23の出力端子からイオン電流に応じた電圧のイオン電流信号が信号処理回路28に出力される。
【0018】
この信号処理回路28には、ノイズマスク25と比較回路26とが設けられ、ノイズマスク25では、入力されるイオン電流信号から火花放電直後のLC共振ノイズを取り除き、比較回路26では、ノイズマスク25を通過したイオン電流信号Vion を所定のしきい値Vthと比較し、Vion ≧Vthの時にハイレベル信号をエンジン制御回路27に出力する。そして、エンジン制御回路27は、比較回路26の出力Vout がローレベルからハイレベルに反転するタイミング(ラッチ時間Tup)を検出することで、イオン電流の発生タイミングを判定する。尚、このラッチ時間Tupは、エンジン制御回路27のRAM(図示せず)に一時的に記憶される。
【0019】
次に、混合気の燃焼状態とイオン電流の発生タイミングとの関係を説明する。正常燃焼時には、図2に示すように、点火後の燃焼に伴って比較的大きなイオン電流が流れる。正常燃焼時には、膨張行程で燃焼室内の混合気が全て燃焼し終えるため、膨張行程のみにイオン電流が発生し、排気行程では、イオン電流は発生しない。
【0020】
正常燃焼領域でも、空燃比を稀薄化したりEGR量(排気還流量)を増加するに従って、混合気の燃焼時の火炎伝播速度が遅くなって燃焼期間が長くなると共に、イオン電流のピーク値が低下する。この傾向が更に進むと、膨張行程で、火炎伝播速度不良により燃焼室内の混合気の一部が燃焼せずに残り、その未燃混合気が排気行程で燃焼する後燃え発生サイクルが発生する。このような運転領域は、失火が発生する寸前の安定運転限界領域であり、空燃比をリーンにできる限界(リーン限界)であると共に、EGR量を増加できる限界(EGR限界)でもある。従って、空燃比やEGR量を安定運転限界付近に制御することで、燃費低減や排気浄化率向上が可能となる。
【0021】
この安定運転限界領域では、図3に示すように、膨張行程でイオン電流が発生すると共に、排気行程でも、後燃え発生サイクルによりイオン電流が発生する。このため、膨張行程と排気行程の双方でイオン電流信号Vion がしきい値Vthを越え、イオン電流が検出される。
【0022】
この安定運転限界領域より燃焼性が更に低下すると、膨張行程で火炎伝播不良により火炎が燃え広がる途中で消える“失火”が発生する。失火時には、膨張行程で火炎が途中で消えるまで、イオン電流が僅かに発生するが、イオン電流信号Vion がしきい値Vth以下であるため、イオン電流は検出されない。尚、完全失火時には、着火不良により混合気に全く着火されないため、イオン電流は全く発生しない。
【0023】
以上のようなイオン電流の発生タイミングと混合気の燃焼状態、安定運転限界との関係を考慮し、エンジン制御回路27は、イオン電流の発生タイミングから安定運転限界を判定して、機関制御値(例えば空燃比)を安定運転限界付近(リーン限界付近)に制御する。この安定運転限界制御は、エンジン制御回路27のROM(記憶媒体)に記憶された図5のイオン電流発生タイミング判定プログラムと図6の安定運転限界制御プログラムによって次のように実行される。
【0024】
図5のイオン電流発生タイミング判定プログラムは、例えば各気筒の排気行程終了毎に実行され、特許請求の範囲でいう発生タイミング判定手段としての役割を果たす。本プログラムが起動されると、まずステップ101で、点火後にイオン電流が検出されたか否か(つまり比較回路26からハイレベル信号Vout が出力されたか否か)を判定し、もし、イオン電流が検出されなかった場合(つまり失火が検出された場合)には、念のために空燃比をリッチ側に戻すために、ステップ105に進み、燃焼フラグIexを後述する安定運転限界時と同じく「1」にセットして本プログラムを終了する。
【0025】
これに対し、点火後にイオン電流が検出された場合には、ステップ102に進み、比較回路26の出力Vout がローレベルからハイレベルに反転したタイミング(ラッチ時間Tup)をエンジン制御回路27のRAM(図示せず)から読み込む。尚、点火後にイオン電流が複数回検出された場合には、最も遅い時期のラッチ時間Tupを読み込む。
【0026】
この後、ステップ103で、ラッチ時間Tupをクランク角に換算して、イオン電流の発生タイミングθupをクランク角で求める。この後、イオン電流の発生タイミングθupが排気行程中であるか否か、つまり、θ1 <θup<θ2 (θ1 は排気行程開始時のクランク角、θ2 は排気行程終了時のクランク角)であるか否かを判定し、イオン電流の発生タイミングθupが排気行程中であれば、ステップ105に進み、燃焼フラグIexを、安定運転限界(失火寸前の状態)を意味する「1」にセットして本プログラムを終了する。
【0027】
一方、イオン電流の発生タイミングθupが排気行程中でないと判定されれば、ステップ106に進み、燃焼フラグIexを、正常燃焼を意味する「0」にセットして本プログラムを終了する。
【0028】
図6の安定運転限界制御プログラムは、例えば噴射タイミング毎(所定クランク角毎)に実行され、特許請求の範囲でいう制御手段としての役割を果たす。本プログラムが起動されると、まずステップ201で、空燃比フィードバック制御中であるか否かを判定し、空燃比フィードバック制御中でなければ、以降の安定運転限界制御の処理を行わず、後述する補正回数カウンタiを初期値「1」にリセットして(ステップ202)、本プログラムを終了する。空燃比フィードバック制御の停止中は、エンジン運転状態が比較的不安定であるため、この期間に安定運転限界制御を行うと、エンジン運転状態が更に不安定になるおそれがあるためである。
【0029】
一方、空燃比フィードバック制御中であれば、ステップ203に進み、燃焼フラグIexをが安定運転限界(失火寸前の状態)を意味する「1」であるか否かを判定し、Iex=1(安定運転限界)であれば、ステップ204に進み、空燃比補正量ΔVを−v1 (リッチ側補正量)に設定し、Iex=0(正常燃焼)であれば、ステップ205に進み、空燃比補正量ΔVをv2 (リーン側補正量)に設定する。ここで、リッチ側補正量|−v1 |は、リーン側補正量|v2 |よりも大きい値に設定されている。空燃比補正量ΔVの設定後、ステップ206で、前回の空燃比Vi に空燃比補正量ΔVを加算して、空燃比Vi をリーン側又はリッチ側に補正する。ここで、空燃比Vi の添字のi は空燃比の補正回数を表す。
【0030】
そして、次のステップ207で、補正回数カウンタiが例えば「50」であるか否か、つまり、本プログラムによる空燃比Vi の補正回数が50回になったか否かを判定し、50回未満であれば、ステップ208に進み、補正回数カウンタiを1だけカウントアップして本プログラムを終了する。
【0031】
以上のようにして、空燃比フィードバック制御中に空燃比Vi の補正回数が50回になるまで、ステップ203〜206の処理により燃焼フラグIexの値に応じて空燃比Vi の増減補正を繰り返す。その後、空燃比Vi の補正回数が50回になると、ステップ207からステップ209に進み、過去50回の空燃比Vi の変動幅ΔVH、つまり空燃比Vi の最大値 (Vi)max と最小値 (Vi)min との差を算出する。
【0032】
この後、ステップ210で、空燃比の変動幅ΔVHが所定範囲内(A<ΔVH<B)であるか否かを判定し、所定範囲内であれば、空燃比が安定運転限界(リーン限界)の付近で比較的安定していると判断し、ステップ211に進み、空燃比補正量v1 ,v2 の縮小割合を決めるための係数a,bを共に例えば1/2に設定し、空燃比補正量v1 ,v2 を1/2に縮小する(ステップ213)。これにより、空燃比Vi を安定運転限界(リーン限界)付近に収束させる。尚、係数a,bは、1/2に限定されず、2/3、3/4等、他の値であっても良い。
【0033】
これに対し、上記ステップ210で、空燃比の変動幅ΔVHが所定範囲外(ΔVH≦A又はΔVH≧B)と判定された場合、つまり、空燃比の変動が大きすぎる場合、又は、空燃比の変動が十分に小さい場合は、空燃比補正量v1 ,v2 を縮小する必要がないので、ステップ212に進み、空燃比補正量v1 ,v2 を決めるための係数a,bを共に1に設定し、空燃比補正量v1 ,v2 を縮小しない(ステップ213)。
【0034】
この後、ステップ214で、過去50回の空燃比Vi の平均値を算出して、これを空燃比の初期値V0 として学習する。この空燃比の初期値V0 の学習値は、安定運転限界制御を開始又は再開する際の空燃比の初期値V0 として用いられる。このステップ214の処理が特許請求の範囲でいう学習手段として機能する。尚、空燃比の初期値V0 の学習値は、過去50回の空燃比Vi をなまし処理して求めても良い。学習終了後、ステップ215で、補正回数カウンタiを初期値「1」にリセットして、本プログラムを終了する。
【0035】
以上説明した安定運転限界制御の一例を図7に示すタイムチャートに従って説明する。空燃比フィードバック制御の停止中は、エンジン運転状態が比較的不安定であるため、安定運転限界制御は行われない。その後、空燃比フィードバック制御が開始されると同時に、安定運転限界制御が開始される。安定運転限界制御開始時の空燃比の初期値V0 は、図6のステップ214で学習した過去50回の空燃比Vi の平均値が用いられる。
【0036】
安定運転限界制御中(空燃比フィードバック制御中)は、Iex=0(正常燃焼)であれば、空燃比Vi を噴射タイミング毎にリーン側に小刻みに補正して(リーン側補正量=v2 )、空燃比Vi をリーン限界(安定運転限界)に近付ける。これにより、空燃比Vi がリーン限界まで補正されると、排気行程で後燃え発生サイクルによりイオン電流が発生し始めるため、燃焼フラグIexがリーン限界(失火寸前の状態)を意味する「1」にセットされる。
【0037】
Iex=1になると、空燃比Vi がリッチ側に補正される。この時のリッチ側補正量|−v1 |は、空燃比Vi がリーン限界内に確実に戻されるように、ある程度大きな値に設定されている。従って、空燃比Vi がリッチ側に補正されると、再び、Iex=0(正常燃焼)となり、以後、リーン限界付近で、上述した空燃比Vi のリーン側補正又はリッチ側補正が繰り返される。
【0038】
その後、空燃比Vi の補正回数が例えば50回になると、過去50回の空燃比Vi の変動幅ΔVH、つまり空燃比の最大値 (Vi)max と最小値 (Vi)min との差を算出し、空燃比の変動幅ΔVHが所定範囲内(A<ΔVH<B)であれば、空燃比がリーン限界付近で比較的安定していると判断し、空燃比のリーン側/リッチ側補正量を例えば1/2に縮小する(空燃比Vi の変動幅ΔVHが所定範囲外の場合にはリーン側/リッチ側補正量を縮小しない)。以後、このリーン側/リッチ側補正量を用いて、リーン限界付近で、上述した空燃比Vi のリーン側補正又はリッチ側補正を繰り返し、空燃比Vi をリーン限界付近に収束させる。
【0039】
以上説明した実施形態(1)では、イオン電流の発生タイミングからリーン限界を判定するようにしたので、エンジン運転条件によるイオン電流の増減変動の影響を受けずに、イオン電流の発生タイミングからリーン限界を精度良く検出することができ、リーン限界付近で安定した空燃比の制御が可能となる。しかも、所定期間の空燃比の変動幅が所定範囲内に収まる毎に空燃比補正量を縮小するようにしたので、空燃比をリーン限界付近に収束させることができ、空燃比制御の安定性を高めることができる。更に、所定期間の空燃比から空燃比の初期値を学習するようにしたので、安定運転限界制御を開始又は再開する際に、空燃比の初期値(学習値)とリーン限界値とのずれを少なくすることができ、空燃比をリーン限界付近に速やかに収束させることができる。
【0040】
尚、上記実施形態は、本発明を空燃比(燃料噴射量)のリーン限界制御に適用したものであるが、EGR量をEGR限界に制御するEGR限界制御に適用しても良く、その他、排気浄化用の触媒を点火時期の遅角により暖機する際に点火時期を遅角限界に制御する触媒暖機制御等に適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における点火制御系及びイオン電流検出系の回路構成を示す図
【図2】正常燃焼時のイオン電流信号Vion と比較回路出力Vout の信号波形を示すタイムチャート
【図3】安定運転限界時のイオン電流信号Vion と比較回路出力Vout の信号波形を示すタイムチャート
【図4】失火時のイオン電流信号Vion と比較回路出力Vout の信号波形を示すタイムチャート
【図5】イオン電流発生タイミング判定プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図6】安定運転限界制御プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図7】安定運転限界制御の一例を示すタイムチャート
【符号の説明】
11…点火コイル、17…点火プラグ、21…イオン電流検出抵抗、24…イオン電流検出回路(イオン電流検出手段)、25…ノイズマスク、26…比較回路、27…エンジン制御回路(制御手段,発生タイミング判定手段,学習手段)、28…信号処理回路。
Claims (5)
- 混合気の燃焼時に発生するイオン電流を検出するイオン電流検出手段と、
前記イオン電流検出手段の出力信号から前記イオン電流の発生タイミングを判定する発生タイミング判定手段と、
前記発生タイミング判定手段の判定結果に基づいて内燃機関の制御値(以下「機関制御値」という)を該内燃機関の安定運転限界付近に制御する制御手段とを備えた内燃機関制御装置において、
前記発生タイミング判定手段は、前記イオン電流が排気行程中に発生したか否かを判定し、
前記制御手段は、前記イオン電流が排気行程中に発生する状態を内燃機関の安定運転限界として前記機関制御値を制御することを特徴とする内燃機関制御装置。 - 前記制御手段は、前記発生タイミング判定手段の判定結果から内燃機関の運転状態が安定運転限界であるか否かを判定する手段と、その判定結果に応じて前記機関制御値を増減補正する手段とを有し、所定期間の機関制御値の変動幅が所定範囲内に収まる毎に該機関制御値の増減補正量を縮小することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関制御装置。
- 混合気の燃焼時に発生するイオン電流を検出するイオン電流検出手段と、
前記イオン電流検出手段の出力信号から前記イオン電流の発生タイミングを判定する発生タイミング判定手段と、
前記発生タイミング判定手段の判定結果に基づいて内燃機関の制御値(以下「機関制御値」という)を該内燃機関の安定運転限界付近に制御する制御手段とを備えた内燃機関制御装置において、
前記制御手段は、前記発生タイミング判定手段の判定結果から内燃機関の運転状態が安定運転限界であるか否かを判定する手段と、その判定結果に応じて前記機関制御値を増減補正する手段とを有し、所定期間の機関制御値の変動幅が所定範囲内に収まる毎に該機関制御値の増減補正量を縮小することを特徴とする内燃機関制御装置。 - 所定期間の前記機関制御値から前記機関制御値の初期値を学習する学習手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の内燃機関制御装置。
- 前記制御手段は、前記機関制御値を内燃機関の安定運転限界に制御する安定運転限界制御を空燃比フィードバック制御中に実行することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の内燃機関制御装置。
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