JP3905584B2 - スパッタ装置及びコリメータ付着物の処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コリメータを有するスパッタ装置に関し、特に、コリメータに付着した付着物の剥離を防止する手段に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の半導体デバイスの高集積化、微細化の進展に伴い、金属配線形成技術の分野においては多層配線構造に関する技術が急速に進んでいる。例えば、アルミニウム膜を配線層とした場合、その下地層として窒化チタン膜(TiN膜)を形成するのが一般的となっている。
【0003】
TiN膜の成膜は、通常、反応性スパッタ技術を用いて行っている。すなわち、真空処理チャンバ内にアルゴン(Ar)と窒素(N2)の混合ガスを導入し、チタン(Ti)製のターゲットからスパッタされたTiを処理チャンバ内のN2と反応させてTiNを形成し、このTiNを半導体ウェハ上に堆積させて成膜を行うこととしている。
【0004】
また、金属配線形成技術においては、近年のデザインルールの細線化に伴い、十分なボトムカバレッジ率を確保すべく、ターゲットと半導体ウェハとの間にコリメータと呼ばれる多数の孔を有する円板を設置する方法、いわゆるコリメーションスパッタ法が採用される傾向にある。コリメーションスパッタ法は、スパッタ粒子をコリメータの孔に通すことで、指向性が実質的にないに等しいスパッタ粒子に単一の指向性をもたせ、半導体ウェハ上に主として垂直方向成分のスパッタ粒子のみを堆積するようにしたものである。
【0005】
ところで、上述したような成膜技術を用いてTiN膜を半導体ウェハ上に形成する際、スパッタ粒子は半導体ウェハのみならず、真空処理チャンバ内のシールドやコリメータ等にも付着してTiN膜を形成する。半導体ウェハ以外に形成されたTiN膜は発塵源となるため、従来一般には、連続したTiNの成膜プロセスの間にTiのみを成膜するペースティングプロセスを入れ、シールド等に付いたTiN膜をTi膜で封じ込めることとしていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来のTiによるペースティングは、ターゲットに対向する面に形成されたTiN膜の剥離防止手段としては簡便な方法であり、効果的なものである。しかしながら、コリメータの下面(ターゲットとは反対側の面)に形成されたTiN膜に対しては十分な剥離防止効果がないという問題点があった。これは、コリメータ下面のTiN膜及びTi膜がいずれも、ガス中の拡散のみにて付着して形成される膜であるため、付着力が弱く不安定な膜となっているからである。また、粒子が付着した際に膜中の表面拡散が殆ど起こらないため、膜中に空孔等が生じ、低密度で脆弱な膜となっていることにも原因があると考えられる。このため、従来においては、ペースティングを繰り返し行っても、コリメータ上面のTiN膜は完全に封じ込まれた状態であるにも拘らず、コリメータ下面のTiN膜が剥離する恐れが出てくるため、早期にコリメータを交換する必要があった。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的はコリメータ下面の付着物の剥離を効果的に防止する手段を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明によるスパッタ装置は、真空チャンバと、真空チャンバ内で基板を支持するための支持手段と、支持手段により支持された基板の表面に対向するように設けられたターゲットと、ターゲット及び支持手段の間の空間にプロセスガスを供給するガス供給手段と、空間に供給されるプロセスガスをプラズマ化するプラズマ化手段と、ターゲット及び支持手段の間に配置されたコリメータと、支持手段とコリメータとの間に配置可能な移動体と、移動体をコリメータに対して負電位にすることができる電位手段とを備えることを特徴としている。
【0009】
かかる構成において、ターゲットと支持手段との間にプラズマを発生させた後、支持手段とコリーメータとの間に配置された例えば表面がTiからなる移動体を、コリメータに対して負電位にすると、Arイオンのようなプラズマ中の正のイオンが移動体に衝突して、移動体の表面からTi粒子が放出される。これによって、コリーメータ下面はTi粒子によって成膜されるようになるので、コリメータ下面に付着したTiN膜等の付着物が有効に封じ込められるようになる。すなわち、コリメータ下面のペースティングプロセスによって、付着物の剥離が防止されることとなる。
【0010】
前記の電位手段としては、移動体に電気的に接続された直流電源や高周波電源が考えられる。また、コリーメータは接地されているのが好適である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図中、同一又は相当部分には同一符号を付すこととする。
【0012】
図1は、本発明が適用されるスパッタ装置10を概略的に示したものである。図示のスパッタ装置10は、トランスファチャンバ11の周囲に処理チャンバ12、ロードロックチャンバ13,14、その他のチャンバ20〜24を配設してなるマルチチャンバ型のものである。このスパッタ装置10は、トランスファチャンバ11及びその周囲のチャンバ12〜14,20〜24内を真空に維持した状態でウェハWの処理や搬送が可能となっている。
【0013】
ウェハWは、それぞれ、第1及び第2のロードロックチャンバ13,14内に設置されたカセット30,31から供給される。各ロードロックチャンバ13,14とトランスファチャンバ11との間を気密に遮断するために、ウェハ搬送通路には開閉扉32、33が設けられている。また、各ロードロックチャンバ13,14は外部に通じる通路が設けられており、この通路にも開閉扉34、35が設けられている。したがって、開閉扉34,35を閉じ、トランスファチャンバ11とロードロックチャンバ13,14との間の開閉扉32,33を開けることにより、トランスファチャンバ11及びその他のチャンバ20〜24等を真空に保った状態で、ロードロックチャンバ13,14内のカセット30,31の出し入れが可能となる。
【0014】
トランスファチャンバ11には、チャンバ間でのウェハWの搬送を行うためのウェハ搬送装置40が設けられている。図示のウェハ搬送装置40は、トランスファチャンバ11の中心に設置された支持軸41と、この支持軸41に駆動機構42を介して水平に支持された細長い平板状のブレード43とを備えている。ブレード43は、駆動機構42の遠隔制御によって、支持軸41を中心として旋回及び径方向に前後動し、その先端部を所望のチャンバ12〜14,20〜24内に差し入れることができるようになっている。かかる構成においては、ブレード43の先端部にウェハWを載せた状態で、ウェハWをチャンバ12〜14,20〜24間で搬送することが可能となる。
【0015】
図2及び図3は、それぞれ、図1のマルチチャンバ型スパッタ装置10において、スパッタ処理をするための処理チャンバ12の一つを概略的に示した縦断面図及び横断面図である。この処理チャンバ12は真空チャンバ50により画成されている。トランスファチャンバ11との境界となる真空チャンバの側壁50aにはウェハ搬送通路50bが設けられており、この通路は開閉扉51により気密に閉じられるようになっている。
【0016】
この処理チャンバ12はTiN膜成膜用のものであって、真空チャンバ50と、その上部開口部に配置されたTi製のターゲット60と、真空チャンバ50の内部においてターゲット60と同軸に対向して配置された基板支持手段たるペディスタル70とを備えている。真空チャンバ50は、基本的に、導電性材料のチャンバ本体52と、その上部に取り付けられたアダプタ53とを有している。このアダプタ53は導電性材料から成り、通常はステンレス鋼やアルミニウム(Al)、Ti等から作られている。アダプタ53の上面には、石英やアルミナ等からなる絶縁リングを介して、ターゲット60の周フランジ61が載置され、着脱可能に固定されている。
【0017】
また、図4に、図2及び図3の処理チャンバ12のガス系統及び電気系統の概略図が示されるように、チャンバ本体52には、プロセスガスの供給手段としてArガス供給源54及びN2ガス供給源55が接続されており、さらに、処理チャンバ12内を真空とするための真空ポンプ56が接続されている。なお、図示されないが、良好な真空状態を保持すべく、部材間の気密性を保つためのOリングが設けられてもよい。
【0018】
ペディスタル70は、その上面で被処理基板である半導体ウェハW等を支持するよう構成されている。また、ペディスタル70は導電性材料から成り、好ましくは、TiN成膜プロセスに対して融和性の高いTiから作られている。このペディスタル70は、昇降機構71により、成膜処理が行われる処理位置(図2において二点鎖線で示す位置)と、その下方の非処理位置(図2において実線で示す位置)との間で上下動可能となっている。より詳細に昇降機構を説明すると、ペディスタル70は、真空チャンバ50の底板50cを貫通して垂直方向に延びる支持管72の上端に支持されている。支持管72は昇降機構71により昇降可能となっている。なお、図2において、符号73はベローズであり、処理チャンバ12内の真空を保つためのものである。
【0019】
また、ペディスタル70の下側にはリフトプレート74が配設されており、このリフトプレート74は、真空チャンバ50の底板50cを貫通し昇降機構75により昇降される支持軸76に支持されている。この支持軸76の周囲には、処理チャンバ12内の気密性を保つためのベローズ77が設けられている。リフトプレート74の上面には複数本(図示実施形態では3本)のリフトピン78が固定され、ペディスタル70に形成された貫通孔79を通って垂直上方に延びている。これらのリフトピン78は、昇降機構75を制御することで、リフトプレート74と共に、図2の実線で示す非処理位置と二点鎖線で示す処理位置との間で昇降される。リフトピン78が非処理位置にあるとき、リフトピン78の上端はウェハ搬送装置40のブレード43よりも下側に配置され、また、リフトピン78が処理位置にあるとき、その上端はブレード43よりも上側に配置される。したがって、ウェハ搬送装置40及び昇降機構75を適宜操作することで、ウェハWをブレード43とペディスタル70との間で移載することが可能となる。
【0020】
また、図示実施形態の処理チャンバ12は、ターゲット60とペディスタル70との間においてコリメータ62を有している。このコリメータ62は、断面六角形の孔63を蜂の巣状に有する従来から知られた型式の円板状プレートであり、Tiから作られている。コリメータ62は、アダプタ53の下部内周面から内方に突出する内フランジ49に載置されたサポートアセンブリ64により支持されている。より詳細に述べるならば、サポートアセンブリ64は、アダプタ53の内フランジ49に載置されるステンレス鋼、Al或はTi等の導電性材料からなるアウタサポートリング65と、このアウタサポートリング65の内周面の内フランジ66に載置される石英或いはアルミナ等の絶縁材料からなるインナサポートリング67とから構成されている。そして、コリメータ62は、インナサポートリング67の内周面下縁から内方に延びる突出部68に載置され、これにより、ターゲット60とペディスタル70との間に平行に配置されるようになっている。
【0021】
処理チャンバ12には、さらに、真空チャンバ内壁面がスパッタ粒子でコーティングされるのを防止するためのシールド80,81が設けられている。図示実施形態においては、アダプタ53とコリメータ62との間のチャンバ内壁面を保護する環状の上部シールド80と、コリメータ62と処理位置にあるペディスタル70との間のチャンバ内壁面を保護する環状の下部シールド81とが設けられている。これらのシールド80,81は導電性材料から成り、好ましくはTiから作られている。上部シールド80は、アダプタ53の下面にねじ止めされ(図示せず)、コリメータ62の上部外周縁の近傍まで延びており、その下縁部はコリメータ62から一定の間隙をもって離隔されている。また、下部シールド81は、アウタサポートリング65下面にねじ止め(図示せず)され、処理位置のペディスタル70の外周面の近傍まで延びている。
【0022】
下部シールド81の自由縁部82は上方に折り返されており、この部分82は、ペディスタル70が非処理位置に下降された際、クランプリング83を支持するようになっている。クランプリング83は、ペディスタル70が処理位置に上昇されたときに半導体ウェハWをペディスタル70に押え付け、ウェハWの周囲に圧力が均等に加わるようにするためのものである。
【0023】
上記説明又は図4から理解されるように、チャンバ本体52、アダプタ53、上下のシールド80,81及びアウタサポートリング65は互いに電気的に接続されている。一方、ターゲット60は絶縁リング69によりチャンバ本体52等から絶縁されている。図4に示されるように、ターゲット60には直流電源93の負端子が電気配線84によって接続されており、直流電源93の正端子はスイッチ85を介してチャンバ本体に電気配線84によって接続されると共に接地されている。また、ペディスタル70は真空チャンバ50と電気的に絶縁された状態になっている。
【0024】
図2及び図4に示されるように、本実施形態では、処理チャンバ12内のコリメータ付着物を処理するために、コリメータ62は、絶縁材料からなるインナサポートリング67により、チャンバ本体52等から絶縁されているが、コリメータ62はスイッチ88が介接された電気配線84により、チャンバ本体52等と接地可能に接続されている。さらに、ターゲット60とペディスタル70との間に、チタン製のシャッタディスク(移動体)Sを適宜配置できるよう、シャッタ機構15が設けられている。また、このシャッタ機構15は、真空チャンバ50との間に、スイッチ87を介して高周波電源86に接続された構成になっている。
【0025】
シャッタ機構15をより詳細に説明すると、真空チャンバ50の底板50cを貫通し回転可能に取り付けられた支持軸16と、この支持軸16の下端部に接続された回転駆動機構17と、支持軸16の上端部に固着され水平に延びるディスク載置アーム18とから構成されている。
【0026】
ディスク載置アーム18は、ペディスタル70の非処理位置と処理位置との中間の高さ位置に配置されており、回転駆動機構17を制御することで、真空チャンバ50の側部に設けられたサイドチャンバ19内の第1位置(図3の実線で示す位置)と図3の二点鎖線で示す第2位置との間で回動される。ディスク載置アーム18の自由端側の部分18aは他の部分18bよりも一段下げられており、後述するように、その部分にシャッタディスクSを載置するようにすることができる。このディスク載置部分18aの最外周部である段差面の径はシャッタディスクSの径と同一又は僅かに大きくされており、載置されたシャッタディスクSが横方向にずれないようにしている。なお、ディスク載置部分18aの中心点は、ディスク載置アーム18が第2位置にあるとき、ペディスタル70の中心軸線上に配置される。また、図示するように、このディスク載置部分18aは完全な円形となっていないが、これは、リフトピン78が処理位置にある状態でディスク載置アーム18を回動させた際、リフトピン78とディスク載置アーム18との干渉を防止するためのものである。このシャッタディスクSはウェハWとほぼ同様の形状、即ちウェハWと実質的に同一の径と厚さを有している。したがって、シャッタディスクSはウェハWと同様な取り扱いができる。
【0027】
このような構成のスパッタ装置10において、半導体ウェハWの表面にTiN膜を反応性スパッタ法により成膜する場合、まず、真空ポンプ56を作動させて真空チャンバ50内を所定の真空度まで減圧する。
【0028】
真空チャンバ50内が所定の真空度に達したならば、ウェハ搬送装置40を制御して、第2のロードロックチャンバ14内のカセット31から処理すべきウェハWを取り出し、処理チャンバ12に搬送させる。つぎに、リフトピン78を上下させてウェハWをペディスタル70上に載り移すようにする。そして、トランスファチャンバ11と処理チャンバ12との間の開閉扉51を閉じ、ペディスタル70を非処理位置から処理位置に上昇させる。なお、ディスク載置アーム18は、半導体ウェハWのTi成膜処理の妨げとならない第1位置にある。
【0029】
この状態で、Arガス供給源54及びN2ガス供給源55から所定流量でArガスとN2ガスを供給して混合ガスとし、真空チャンバ50内に導入する。そして、スイッチ85,88を閉じ、直流電源93を投入してターゲット60に負のバイアスをかけると、ターゲット60とペディスタル70との間に、より詳細にはターゲット60とコリメータ62との間にプラズマが発生し、プラズマ中の正のArイオンが、コリメータ62に対して負に電気的にバイアスされたターゲット60を衝撃する。Arイオンがターゲット60に衝突すると、ターゲット60からターゲット原子、すなわちTi粒子がはじき出される。このTiが真空チャンバ50内のN2と反応してTiNとなり、半導体ウェハW上に堆積されTiN膜を形成する。
【0030】
この成膜プロセスにおいて、ターゲット60とペディスタル70との間には、接地されたコリメータ62が配置されているため、ターゲット60からペディスタル70に向かうTiN粒子のうち実質的に垂直方向に進む粒子のみがコリメータ62の孔63を通過する。したがって、半導体ウェハ上に成膜されたTiN膜は、ボトムカバレッジ率の高いものとなる。
【0031】
一方、垂直方向成分以外のTiN粒子はコリメータ62の上面や孔63の内面に付着してTiN膜を形成する。また、ガスの拡散により、コリメータ62の下面にもTiN粒子は付着する。かかるコリメータ62に形成されたTiN膜は発塵源となる可能性がある。特に、コリメータ62の下面に形成されたTiN膜は、前述したように付着力が弱く、低密度で脆弱な膜となっているため、剥離し易い。
【0032】
そこで、上記の成膜プロセスが連続して所定回数行われたならば、ArとN2の混合ガスの導入を停止し、真空チャンバ50内を清浄化すべく真空引きを行った後、コリメータ62に形成されたTiN膜の剥離を防止するためのプロセスを引続き行う。このTiN膜剥離防止プロセスでは、まず、搬送装置40を用いて、半導体ウェハWを処理チャンバ12から取り出し、搬送装置40によって、ロードロックチャンバ13,14から取り出されたシャッタディスクSを処理チャンバ12内に搬入する(図2及び図3の二点鎖線参照)。その後、昇降機構75を制御してリフトピン78を非処理位置から処理位置に上昇させると、リフトピン78の上端にシャッタディスクSが移載される。シャッタディスクSがリフトピン78により確実に支持されたならば、ブレード43を処理チャンバ12からトランスファチャンバ11内に戻すと共に、シャッタ機構15の回転駆動機構17を制御してディスク載置アーム18を第1位置から第2位置に回動させる。そして、リフトピン78を非処理位置に戻すと、シャッタディスクSはディスク載置アーム18のディスク載置部分18aに移載される。
【0033】
つぎに、従来と同様のTiによるペースティングを行う。すなわち、Arガスのみを真空チャンバ50内に導入する。また、ペディスタル70を処理位置に上昇させる。この後、スイッチ88が閉じられていることを確認し、直流電源93を投入してターゲット60とコリメータ62との間にプラズマを発生させると、プラズマ中のArイオンがターゲット60に衝撃してTi粒子がスパッタされ、コリメータ62はもとより、シャッタディスクSの上面やシールド80,81、クランプリング83等の表面に形成されたTiN膜上に堆積する。ターゲット60からスパッタされたTi粒子が直接コリメータ62の上面等に付着する場合、そのTi粒子の持つエネルギが大きいので、形成されるTi膜は高密度で安定した膜となり、下層となるTiN膜の剥離が防止される。
【0034】
Tiによってコリメータ62の主に上面をペースティングし始めて一定時間経過したならば、スイッチ85を開き、スイッチ87を入れて高周波電源86をシャッタ機構15に投入する。このとき、コリメータ62とシャッタ機構15と電気的に接続されたシャッタディスクSとの間にプラズマが発生し、プラズマ中のArイオンがシャッタディスクSに衝撃してTi粒子がスパッタされる。このTi粒子もまた大きなエネルギを有するので、コリメータ62の下面に主として付着して形成されるTi膜は、高密度で安定した膜となり、下層となるTiN膜の剥離が防止される。
【0035】
このようにして、コリメータ62の表面に形成されたTiN膜はTi膜によって全体的に堅固にペースティングされた状態となり、剥離が防止される。
【0036】
なお、TiN膜剥離防止プロセスにおいて、コリメータ62の上面及び下面を順次ペースティングしているが、そのプロセスが効率的になされるために、その上面及び下面のペースティングが同時になされてもよい。
【0037】
図5は、本発明の第2実施形態を示すガス系統及び電気系統の概略図である。上に述べた第1実施形態では、導電性のシャッタディスクSが、高周波電源86に接続されたシャッタ機構15に載置されることによって、コリメータ付着物の処理を可能にしていた。しかし、図5に示される第2実施形態では、チャンバ本体52等と電気的に絶縁され、且つ、高周波電源86にスイッチ87を介して電気配線84によって接地接続されたペディスタル70に、シャッタディスクSが載置されている。
【0038】
かかる構成において、コリメータ62の下面にTiによるペースティングを行うためには、ウェハWにTiNを成膜させ、そのウェハWを処理チャンバ12から取り出した後、搬送装置40によってウェハWを処理チャンバ12のペディスタル70に載置させるのと同じ手順で、ロードロックチャンバ13,14から取り出されたシャッタディスクSをペディスタル70に載置させる。
【0039】
つぎに、第1実施形態と同様に、TiN膜の剥離防止プロセスによって、コリメータ62上面のペースティングを行った後、スイッチ85を開き、スイッチ87を閉じて高周波電源86をペディスタル70に投入する。このとき、コリメータ62とペディスタル70と電気的に接続されたシャッタディスクSとの間にプラズマが発生し、プラズマ中のArイオンがシャッタディスクSに衝撃して、スパッタによりTi粒子が放出される。このTi粒子もまた大きなエネルギを有するので、コリメータ62の下面に主として付着して形成されるTi膜は、高密度で安定した膜となり、下層となるTiN膜の剥離が防止される。
【0040】
上記第1及び第2実施形態では、コリメータ62とシャッタディスクSとの間にプラズマを発生させるのに高周波電源86を用いたが、陰極がシャッタディスクSに接続された直流電源でもよい。また、このシャッタディスクSを従来のチタン製のものよりも安価なステンレス鋼の表面にTiをコーティングしたものを用いてもよい。さらに、シャッタディスクSを表面にTiがコーティングされていないステンレス製にしても、コリメータ62上面をTiによってペースティングさせるときにシャッタディスクSの表面にTiが成膜されるので、このTi膜を用いてコリメータ62下面のTiによるペースティングを行なうことができる。このため、使い捨て可能なシャッタディスクSを用いてもよいこととなる。
【0041】
また、このシャッタディスクS及びシャッタ機構15は、上記第1実施形態及び第2実施形態においては、コリメータ付着物を処理するために用られている。しかし、それらが、本来の目的からしてターゲット60のクリーンニング時にペディスタル70を保護するように供されてもよいことはもちろんである。
【0042】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、コリメータ上の付着物の剥離が容易に起こらない状態とすることができる。したがって、コリメータ上の付着物が原因となる汚染粒子が生ずる可能性が低減され、製造される半導体デバイス等の歩留りが向上する。
【0043】
また、長期にわたり、コリメータを交換せずに成膜プロセスを実施することが可能となる。コリメータを交換する場合、真空チャンバを開放する必要があり、また、再度チャンジ内を所定の真空度まで減圧するには相当な時間を要するため、スパッタ装置の稼働停止時間が長くなり、生産効率が低下するが、本発明によれば、コリメータの交換回数が減るため、生産性、コスト・オブ・オーナーシップが格段に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されるマルチチャンバ型スパッタ装置を概略的に示す上断面図である。
【図2】図1のスパッタ装置における処理チャンバの一つを概略的に示す縦断面図であり、図3のII−II線に沿っての断面図である。
【図3】図2のIII − III線に沿っての断面図である。
【図4】第1実施形態におけるスパッタ装置のガス系統及び電気系統を示す概略図である。
【図5】第2実施形態におけるスパッタ装置のガス系統及び電気系統を示す概略図である。
【符号の説明】
10…スパッタ装置、11…トランスファチャンバ、12…処理チャンバ、13…ロードロックチャンバ、14…ロードロックチャンバ、15…シャッタ機構、18…ディスク載置アーム、30…カセット、31…カセット、40…ウェハ搬送装置、43…ブレード、50…真空チャンバ、54…Arガス供給源、55…N2ガス供給源、56…真空ポンプ、60…ターゲット、62…コリメータ、70…ペディスタル、93…直流電源、86…高周波電源、W…半導体ウェハ、S…シャッタディスク。
Claims (12)
- 真空チャンバと、
前記真空チャンバ内で基板を支持するための支持手段と、
前記支持手段により支持された基板の表面に対向するように設けられたターゲットと、
前記ターゲット及び前記支持手段の間の空間にプロセスガスを供給するガス供給手段と、
前記空間に供給されるプロセスガスをプラズマ化するプラズマ化手段と、
前記ターゲット及び前記支持手段の間に配置されたコリメータと、
前記支持手段と前記コリメータとの間に配置可能な移動体と、
前記移動体を前記コリメータに対して負電位にすることができる電位手段と、を備えるスパッタ装置。 - 前記電位手段が、前記移動体に接続された直流電源である請求項1に記載のスパッタ装置。
- 前記電位手段が、前記移動体に接続された高周波電源である請求項1に記載のスパッタ装置。
- 前記プラズマ化手段が、前記ターゲットと前記支持手段との間に接続された直流電源である請求項1〜3のいずれか1項に記載のスパッタ装置。
- 前記プロセスガスがアルゴンガスである請求項1〜4のいずれか1項に記載のスパッタ装置。
- 前記ターゲットがチタンであり、前記移動体の表面がチタンからなり、前記ガス供給手段が、アルゴンガス及び窒素ガスの混合ガス又はアルゴンガスをプロセスガスとして選択的に供給できるようになっている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のスパッタ装置。
- 真空チャンバと、前記真空チャンバ内で基板を支持するための支持手段と、前記支持手段により支持された基板の表面に対向するように設けられたターゲットと、前記ターゲット及び前記支持手段の間に配置されたコリメータと、前記支持手段と前記コリメータとの間に配置可能な移動体とを有するスパッタ装置において、前記コリメータ上の付着物の剥離を防止するための処理方法であって、
前記支持手段と前記コリメータとの間に前記移動体を配置させるステップと、
前記真空チャンバ内にプロセスガスを供給するステップと、
前記ターゲットと前記支持手段との間でプラズマを生成するステップと、
前記プラズマ中に存在するプロセスガス成分の正イオンを前記移動体に衝撃させるべく、前記移動体を前記コリメータに対して負電位にするステップと、
を備えるコリメータ付着物の処理方法。 - 前記移動体を前記コリメータに対して負電位にするステップは、前記移動体に直流電源を接続することにより行われる請求項7に記載のコリメータ付着物の処理方法。
- 前記移動体を前記コリメータに対して負電位にするステップは、前記移動体に高周波電源を接続することにより行われる請求項7に記載のコリメータ付着物の処理方法。
- 前記プラズマを生成するステップは、前記ターゲットと前記支持手段との間に直流電源を接続することにより行われる請求項7〜9のいずれか1項に記載のコリメータ付着物の処理方法。
- 前記プロセスガスがアルゴンガスである請求項7〜10のいずれか1項に記載のコリメータ付着物の処理方法。
- 前記付着物が窒化チタンであり、前記移動体の表面がチタンからなる、請求項7〜11のいずれか1項に記載のコリメータ付着物の処理方法。
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