JP4099328B2 - スパッタリング装置におけるパーティクル発生防止方法、スパッタリング方法、スパッタリング装置及び被覆用部材 - Google Patents

スパッタリング装置におけるパーティクル発生防止方法、スパッタリング方法、スパッタリング装置及び被覆用部材 Download PDF

Info

Publication number
JP4099328B2
JP4099328B2 JP2001359878A JP2001359878A JP4099328B2 JP 4099328 B2 JP4099328 B2 JP 4099328B2 JP 2001359878 A JP2001359878 A JP 2001359878A JP 2001359878 A JP2001359878 A JP 2001359878A JP 4099328 B2 JP4099328 B2 JP 4099328B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sputtering
substrate
coating
chamber
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001359878A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003160854A (ja
Inventor
信行 高橋
暁夫 小西
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Anelva Corp
Original Assignee
Canon Anelva Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Anelva Corp filed Critical Canon Anelva Corp
Priority to JP2001359878A priority Critical patent/JP4099328B2/ja
Publication of JP2003160854A publication Critical patent/JP2003160854A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4099328B2 publication Critical patent/JP4099328B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Preparing Plates And Mask In Photomechanical Process (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願の発明は、スパッタリング装置、特にフォトマスクの製造の際に好適に用いられるスパッタリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
スパッタリング装置は、対象物の表面に薄膜を作成する装置として産業の各分野で盛んに使用されている。特に、LSIを始めとする各種電子デバイスの製造では、各種導電膜や絶縁膜の作成にスパッタリング装置は多用されている。また、スパッタリング装置は、微細な回路パターンを転写するフォトリソグラフィ工程で使用されるフォトマスクの製造にも使用されている。
このようなスパッタリング装置においては、作成される薄膜の品質は、その装置の性能を評価する最も重要な指標の一つである。作成される薄膜の品質を損なう要因の一つとして、スパッタチャンバー内に存在するパーティクルの問題がある。パーティクルとは、作成される薄膜の品質を損なう微粒子の総称である。
【0003】
パーティクルが発生する主な原因として次のようなものがある。スパッタリングを行うスパッタチャンバー内では、基板の表面のみならず、スパッタチャンバー内の露出面にも薄膜が堆積することが避けられない。この露出面への薄膜の堆積が重なると、内部応力や自重により薄膜が剥離することがある。剥離した薄膜は、ある程度の大きさの微粒子となる。この微粒子が、基板に付着すると、作成される薄膜に微小な突起が形成される等の形状欠陥を生じさせる場合がある。また、基板の表面に予め微細回路が形成されている場合、微粒子の付着により回路の断線や短絡等の重大な欠陥が生じる恐れがある。従って、この微粒子はパーティクルである。
【0004】
特に、フォトマスクの製造においては、クロム(Cr)やケイ化モリブデン(MoSi)等の材料の薄膜を作成することが多い。これらの材料の薄膜は、内部応力が高い状態で堆積し易く、パーティクルを発生させ易い。その一方で、フォトマスクは、LSIなどの集積回路を製造する際の「原画」であるので、回路の形状精度に対する要求はウェーハプロセスに比べて格段に厳しい。僅かなパーティクルの付着でも、製造されるフォトマスクが欠陥品になってしまうことが多い。
【0005】
パーティクルの発生を防止するため、通常、スパッタチャンバー内には、防着シールドと呼ばれる部材が設けられている。防着シールドは、基板の表面以外の不必要な場所へのスパッタ粒子の付着を防止するものである。防着シールドにはスパッタ粒子が付着して薄膜が堆積することが避けられないが、防着シールドには、表面に微細な凹凸を形成する等、薄膜の剥離を防止する構成となっている。それでも、スパッタリングを数多く繰り返すと、薄膜の剥離が避けられないため、所定回数のスパッタリングの後、防着シールドは新品又は薄膜が除去されたものと交換される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、防着シールドの交換のためには、スパッタチャンバーを一旦大気に開放する必要がある。さらに、防着シールドを交換した後、スパッタチャンバー内の雰囲気の清浄度を確保するため、スパッタチャンバー内を再度高真空排気するとともに、スパッタチャンバー内の残留パーティクル数が基準値以内であることや処理の再現性が確保されるかどうか等の確認を行う必要がある。このような作業の後、スパッタリングを再開する。このため、処理の再開までに長時間(例えば8時間)要し、生産性を著しく低下させる原因となっている。
【0007】
本願の発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、パーティクルの発生を抑制する効果的な構成を提供するとともに、その際にも生産性を低下させないようにするという技術的意義を有する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本願の請求項1記載の発明は、スパッタチャンバー内に基板を配置するとともにターゲットをスパッタして基板の表面に成膜処理を施すスパッタリング装置において、ターゲットの材料より小さな応力で膜が堆積する材料から成る被覆用部材をスパッタチャンバー内に配置するとともに、この被覆用部材をスパッタし、前記成膜処理の際にスパッタチャンバー内の基板以外の表面に堆積した薄膜を被覆用部材の材料の薄膜で被覆する被覆オペレーションを行うとともに、この被覆オペレーションの後、基板をスパッタチャンバーに搬入することなくターゲットをスパッタすることで、前記被覆オペレーションの際に被覆用部材から放出されてターゲットに付着したスパッタ粒子をターゲットから弾き出して除去する除去オペレーションを行うという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項2記載の発明は、スパッタチャンバー内に基板を配置するとともにターゲットをスパッタして基板の表面に成膜処理を施すスパッタリング方法において、前記成膜処理の後、ターゲットの材料より小さな応力で膜が堆積する材料から成る被覆用部材をスパッタチャンバー内に配置するとともにこの被覆用部材をスパッタし、前記成膜処理の際にスパッタチャンバー内の基板以外の表面に堆積した薄膜を被覆用部材の材料の薄膜で被覆する被覆オペレーションを行うとともに、この被覆オペレーションの後、基板をスパッタチャンバーに搬入することなくターゲットをスパッタすることで、前記被覆オペレーションの際に被覆用部材から放出されてターゲットに付着したスパッタ粒子をターゲットから弾き出して除去する除去オペレーションを行い、その後、基板をスパッタチャンバー内に搬入して前記成膜処理を行うという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項3記載の発明は、排気系を備えたスパッタチャンバーと、スパッタチャンバー内に基板を保持する基板ホルダーと、ターゲットの被スパッタ面を臨む空間に電界を設定してスパッタ放電を生じさせる基板用スパッタ電源とを備え、スパッタ放電によりスパッタされたターゲットから放出されるスパッタ粒子を基板の表面に到達させて基板の表面に成膜処理を施すスパッタリング装置であって
前記成膜処理の際にスパッタチャンバー内の基板以外の表面に堆積した膜である成膜時堆積膜の表面に、その成膜時堆積膜より小さな応力で堆積する膜であるパーティクル防止膜を堆積させて被覆する被覆手段を有しており、
前記被覆手段は、成膜時堆積膜より小さな応力で膜が堆積する材料から成る被覆用部材と、この被覆用部材をスパッタチャンバー内の所定位置に搬送する被覆用搬送系と、前記スパッタチャンバー内に搬送された被覆用部材をスパッタするスパッタ放電を発生させる被覆用スパッタ電源とから成るものであり、
前記被覆用部材は、前記被覆用スパッタ電源によるスパッタ放電をマグネトロン放電とするための磁石を備えているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項4記載の発明は、排気系を備えたスパッタチャンバーと、スパッタチャンバー内に基板を保持する基板ホルダーと、ターゲットの被スパッタ面を臨む空間に電界を設定してスパッタ放電を生じさせる基板用スパッタ電源とを備え、スパッタ放電によりスパッタされたターゲットから放出されるスパッタ粒子を基板の表面に到達させて基板の表面に成膜処理を施すスパッタリング装置であって、
前記成膜処理の際にスパッタチャンバー内の基板以外の表面に堆積した膜である成膜時堆積膜の表面に、その成膜時堆積膜より小さな応力で堆積する膜であるパーティクル防止膜を堆積させて被覆する被覆手段を有していおり、
前記被覆手段は、成膜時堆積膜より小さな応力で膜が堆積する材料から成る被覆用部材と、この被覆用部材をスパッタチャンバー内の所定位置に搬送する被覆用搬送系と、前記スパッタチャンバー内に搬送された被覆用部材をスパッタするスパッタ放電を発生させる被覆用スパッタ電源とから成るものであり、
さらに、
装置全体を制御する制御部が設けられており、この制御部は、前記被覆手段によるパーティクル防止膜の堆積の後、前記基板を前記スパッタチャンバーに搬送することなく前記 基板用スパッタ電源を動作させて、前記ターゲットに付着した前記被覆用部材からのスパッタ粒子である被覆用スパッタ粒子を弾き出す除去オペレーションが行われるよう前記基板用スパッタ電源を制御する制御プログラムを有しているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項5記載の発明は、前記請求項3又は4の構成において、前記被覆用搬送系は、前記スパッタチャンバー内に前記基板を搬送する基板搬送系が兼用されているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項6記載の発明は、前記請求項3、4又は5の構成において、前記被覆用部材を、前記スパッタチャンバーと真空が連通するように設けられた他の真空チャンバー内に収容する収容部材が設けられており、前記被覆用搬送系は、この他の真空チャンバーと前記スパッタチャンバー内との間で前記被覆用部材を搬送するものであるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項7記載の発明は、前記請求項3乃至6いずれかの構成において、前記被覆用部材を前記スパッタチャンバーの所定位置に配置するものとして前記基板ホルダーが兼用されており、前記被覆用スパッタ電源は前記基板ホルダーに接続されているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項記載の発明は、前記請求項の構成において、前記除去オペレーションの際、前記基板ホルダーの表面のうち前記基板が接触する領域を、前記ターゲットから弾き出された前記被覆用スパッタ粒子から遮蔽する遮蔽用部材を有しているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項記載の発明は、前記請求項の構成において、前記遮蔽用部材は前記基板と同様の寸法形状の板状の部材であって、この遮蔽用部材を、前記スパッタチャンバーに真空が連通するように設けられた他の真空チャンバー内に収容する収容部材と、この他の真空チャンバーとスパッタチャンバーとの間で前記遮蔽用部材を搬送する遮蔽用搬送系とが設けられているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項10記載の発明は、前記請求項の構成において、前記遮蔽用搬送系は、前記スパッタチャンバー内に前記基板を搬送する基板搬送系が兼用されているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項12記載の発明は、前記請求項6又はの構成において、前記スパッタチャンバーと大気側との間の前記基板の搬送の際に前記基板が一時的に滞留するチャンバーであるロードロックチャンバーが設けられているとともに、このロードロックチャンバー内には、複数の基板を一時的に収容するロック内カセットが設けられており、前記収容部材は、このロック内カセットが兼用されているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項12記載の発明は、前記請求項6、9又は11の構成において、前記被覆用部材又は前記遮蔽用部材を前記収容部材から取り出して交換する時期が到来した旨の表示を行う表示部を有しているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項13記載の発明は、排気系を備えたスパッタチャンバーと、スパッタチャンバー内の所定位置に基板を保持するための基板ホルダーと、スパッタチャンバー内に被スパッタ面が露出するよう設けられたターゲットと、ターゲットの被スパッタ面を臨む空間に電界を設定してスパッタ放電を生じさせる基板用スパッタ電源とを備えてスパッタ放電によりスパッタされたターゲットから放出されるスパッタ粒子を基板に到達させて基板の表面に成膜処理を施すスパッタリング装置に使用される被覆用部材であるとともに、基板ホルダーに基板に代えて保持される被覆用部材であって、前記成膜処理の際にスパッタチャンバー内の基板以外の表面に堆積した膜である成膜時堆積膜より小さな応力で膜が堆積する材料で形成された部材本体と、基板ホルダーを介してスパッタ放電用の電界が設定された際にその放電をマグネトロン放電にする磁石とから成り、スパッタ放電によって放出するスパッタ粒子が堆積させる膜により前記成膜時堆積膜が被覆されるものであるという構成を有する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の実施の形態について説明する。図1は、本願発明の実施の形態であるスパッタリング装置の構成を説明する平面概略図である。
このスパッタリング装置は、マルチチャンバータイプの装置であり、中央に配置されたセパレーションチャンバー1と、セパレーションチャンバー1の周囲に設けられた複数の処理チャンバー2,3,4及び二つのロードロックチャンバー5とからなるチャンバー配置になっている。各チャンバー1,2,3、4,5は、専用又は兼用の不図示の排気系を備えており、所定の圧力まで排気されるようになっている。各チャンバー1,2,3、4,5同士の接続箇所には、ゲートバルブ10が設けられている。
そして、ロードロックチャンバー5の外側には、オートローダ6が設けられている。オートローダ6は、大気側にある外部カセット61から基板9を一枚ずつ取り出し、ロードロックチャンバー5内のロック内カセット51に収容するようになっている。
【0010】
また、セパレーションチャンバー1内には、搬送ロボット11が設けられている。この搬送ロボット11は多関節ロボットが使用されている。搬送ロボット11は、いずれか一方のロードロックチャンバー5から基板9を一枚ずつ取り出し、各処理チャンバー2,3,4に送って順次処理を行い、最後の処理を終了した後、いずれか一方のロードロックチャンバー5に戻すようになっている。セパレーションチャンバー1内は不図示の排気系によって常時10−3〜10−5Pa程度の真空圧力が維持される。従って、搬送ロボット11としてはこの真空圧力下で動作可能なものが採用される。
【0011】
複数の処理チャンバー2,3,4のうちの一つは、基板9の表面に所定の薄膜を作成するためのスパッタリングを行うスパッタチャンバー4である。この他は、スパッタリングの前に基板9の表面の自然酸化膜又は表面汚染物質を除去するための前処理エッチングを行う前処理エッチングチャンバー2、スパッタリングの前に基板9を予備加熱するプリヒートチャンバー3である。
【0012】
まず、スパッタリング装置の主要部を成すスパッタチャンバー4の構成について図2を使用して説明する。図2は、図1に示す装置の断面概略図概略図である。スパッタチャンバー4は、ゲートバルブ10を介してセパレーションチャンバー1に気密に接続された真空チャンバーであり、電気的には接地されている。そして、スパッタチャンバー4内は、排気系46により常時10−4〜10−6Pa程度に排気されるよう構成されている。
【0013】
スパッタチャンバー4には、ガス導入系45が設けられており、アルゴン等のスパッタ率の高いガスを内部に所定の流量で導入できるようになっている。具体的には、ガス導入系45は、アルゴン等のスパッタ放電用のガスを溜めたガスボンベ451と、スパッタチャンバー4とガスボンベ451とをつなぐ配管452と、配管452に設けられたバルブ453や流量調整器454とから主に構成されている。
スパッタチャンバー4内に被スパッタ面が露出するようにして、ターゲット41が設けられている。ターゲット41は、基板9の表面に作成しようとする薄膜の材料で形成されている。ターゲット41は、ターゲットホルダー411及び絶縁体412を介して、スパッタチャンバー4上部の開口を気密に塞ぐようスパッタチャンバー4に取り付けられている。
【0014】
ターゲット41をスパッタするための基板用スパッタ電源43が、ターゲット41に接続されている。基板用スパッタ電源43は、700V、30kW程度の負の直流電圧をターゲット41に印加するよう構成されている。ガス導入系45によって所定のガスが導入された状態でこの基板用スパッタ電源43が動作すると、スパッタ放電が生じターゲット41がスパッタされるようになっている。また、この基板用スパッタ電源43には、高周波電源が用いられることがある。
【0015】
ターゲット41の背後には、磁石機構42が設けられている。磁石機構42は、中心磁石421と、この中心磁石421を取り囲む周辺磁石422と、中心磁石421及び周辺磁石422とを繋ぐ円盤状のヨーク423とから構成されている。
この磁石機構42は、上記ガス放電をマグネトロン放電にして効率のよいマグネトロンスパッタリングを行うために備えられている。即ち、磁石機構42により、ターゲット41の付近に磁場が形成され、この磁場の作用により電子がマグネトロン運動を行い、より密度の高いプラズマが形成される。この結果スパッタ放電の効率がよくなり、基板9への成膜の効率も良くなる。尚、磁石機構42の各磁石412,422は、いずれも永久磁石であるが、電磁石でこれらを構成することも可能である。
【0016】
また、スパッタチャンバー4内には、基板ホルダー44が設けられている。基板ホルダー44は、基板9をスパッタチャンバー4内の所定の位置に保持するものである。基板ホルダー44は、絶縁材441を介してスパッタチャンバー4に気密に取り付けられている。基板ホルダー44は、台状で上面に基板9が載置されるようになっている。そして、基板ホルダー44は、ターゲット41に対してこの基板9が平行になるよう構成されている。尚、成膜中に基板9を加熱して成膜を効率的にする不図示の加熱機構が基板ホルダー44内に設けられる場合がある。基板ホルダー44によって基板9が保持された状態で、上記スパッタ放電を生じさせると、ターゲット41から放出されたスパッタ粒子が基板9の表面に達し、この到達が重なって薄膜が作成される。
【0017】
また、ターゲット41と基板ホルダー44との間の空間を取り囲むようにして、防着シールド47が設けられている。防着シールド47は円筒状の部材であり、スパッタチャンバー4の内壁面等、基板9の表面以外の不必要な場所へのスパッタ粒子の付着を防止するものである。
【0018】
上述した成膜処理において、前述した通り、薄膜は基板9の表面のみならず、防着シールド47にも堆積する。以下、この成膜処理の際に基板9の表面以外に堆積した膜を「成膜時堆積膜」と呼ぶ。スパッタチャンバー4内でのスパッタリング処理の回数が増えるに従い、防着シールド47を含む放電を囲む内面全体に堆積する成膜時堆積膜の量は次第に増加する。そして、この成膜時堆積膜は、内部応力により剥離する場合があり、この剥離した膜の破片は、パーティクルとなる。さらにスパッタリングを繰り返すと、スパッタチャンバー4内に生じるパーティクルの数は増加する。
【0019】
そこで、本実施形態では、このパーティクルの発生を防ぐため、成膜時堆積膜をさらに別の膜で被覆する処理(以下、被覆オペレーションと呼ぶ)が行える構成となっている。具体的には、被覆オペレーションは、成膜時堆積膜の上に、さらにこの成膜時堆積膜よりも小さな応力で堆積する材料の膜(以下、パーティクル防止膜と呼ぶ)を堆積させることにより被覆を行う動作である。
【0020】
上記被覆オペレーションを可能にするため、本実施形態の装置は、パーティクル防止膜を堆積させて被覆する被覆手段を有している。本実施形態の装置の特徴点は、被覆手段が、成膜時堆積膜よりも小さく応力で堆積する材料から成る被覆用部材71をターゲット41とは別にスパッタチャンバー4内に配置し、この被覆用部材71をスパッタしてパーティクル防止膜を堆積させるようになっている点である。被覆手段は、被覆用部材71をスパッタチャンバー4内に搬入する被覆用搬送系と、スパッタチャンバー4内に搬入された被覆用部材71の表面を臨む空間にスパッタ放電を生じさせる被覆用スパッタ電源72等から主に構成されている。
【0021】
まず、被覆用部材71について説明する。図3は、被覆用部材71の正面断面概略図である。図4は、図3の被覆用部材71の平面断面概略図である。被覆用部材71は、成膜対象である基板9とほぼ同じ径の円盤状である。但し、厚さは、図3に示すように、若干厚くなっている。被覆用部材71は、ターゲット41の材料より小さな応力で膜が堆積する材料で形成された部材本体711を有している。
【0022】
上記被覆用部材71をスパッタチャンバー4の所定位置に配置するものとして、上述した基板ホルダー44が兼用されている。従って、被覆用スパッタ電源72は基板ホルダー44に接続されている。尚、被覆用スパッタ電源72と基板ホルダー44の間には、スイッチ73が設けられている。スイッチ73は、成膜処理の際には基板ホルダー44にアースを接続し、被覆オペレーションの際には被覆用スパッタ電源72を接続するよう制御される。
【0023】
上記被覆用部材71は、被覆オペレーションの際、基板ホルダー44に基板9に代えて載置されるようになっている。基板ホルダー44に被覆用部材71を載置するとともに、通常のスパッタリングの際と同様にアルゴン等のガスをスパッタチャンバー4内に導入する。この状態で、被覆用スパッタ電源72が動作すると、基板ホルダー44及び被覆用部材71を介して被覆用部材71の表面を臨む空間に電界が形成され、被覆用部材71の部材本体711の表面がスパッタされる。スパッタにより被覆用部材71から放出されたスパッタ粒子は、成膜時堆積膜の表面に達し、パーティクル防止膜として堆積する。上記説明から明らかなように、パーティクル防止膜は、成膜時堆積膜よりも小さな応力で堆積するため、成膜時堆積膜の応力を緩和する作用がある。このため、パーティクル防止膜で被覆されない場合に比べ、成膜時堆積膜の剥離は抑制され、この結果、パーティクルの発生を防止することができる。
【0024】
具体的には、成膜時堆積膜がクロム、クロム化合物、ケイ化モリブデン(MoSi)、シリコン又は窒化シリコン等である場合、これらよりも小さな応力の材料としてはアルミニウムが挙げられる。従って、被覆用部材71の部材本体711にはアルミニウムが使用される。
膜の応力に関しては、一般的には、塑性変形を生じやすい材料が小さい応力で膜を形成するものと考えられる。従って、アルミニウム、銅、銀、鉛又はこれらの合金等が小さな応力で膜を形成する。ただし、蒸気圧が高い材料は、蒸発してスパッタチャンバー4内を汚損する原因となりやすいので、蒸気圧の高くないものが適している。さらにコストの点等を考えると、上記材料のうちアルミニウム,銅又はこれらの合金が実用上好ましい。このような点を考慮して、被覆用材料は適宜選定される。
【0025】
本実施形態の別の特徴点は、上記被覆オペレーションにおけるスパッタリングがマグネトロンスパッタリングになっているとともに、このマグネトロンスパッタリングを可能にする磁石を被覆用部材71自体が持っている点である。この点を、再び図3及び図4を使用して説明する。
【0026】
図3及び図4に示すように、被覆用部材71を構成する部材本体711の裏側(被スパッタ面である表面とは反対側)に、一対の磁石712,713が取り付けられている。一対の磁石712,713は、中央磁石712と、中央磁石712と取り囲む周辺磁石713である。そして、中央磁石712と周辺磁石713とをつなぐヨーク714が設けられている。ヨーク714は板状であり、部材本体711と面一になるように、部材本体711に対してネジ止め等により固定されている。
【0027】
図3に示すように、中央磁石712と周辺磁石713との間には、部材本体711を貫く弧状の磁力線715が設定される。図4から解るように、この磁力線715と部材本体711の表面とによって閉空間は、被覆用部材71の中心軸の周り周状に連なる。また、被覆用スパッタ電源72による電界は、被覆用部材71の中心軸にほぼ平行である。従って、上記被覆用部材71のスパッタリングの際、この周状の閉空間内で電子がマグネトロン運動して閉じ込められる。即ち、マグネトロンスパッタリングが達成され、高効率のスパッタリングとなる。
このようなマグネトロンスパッタリングのため、パーティクル防止膜の成膜速度が向上する。この結果、被覆オペレーションが短時間に終了するようになっている。
【0028】
尚、マグネトロンスパッタリングのための磁石を被覆用部材71が持っていない場合、基板ホルダー44内等に設ける必要が生じる。この場合、通常の成膜処理の際、基板9の表面を臨む空間に設定される磁力線に電子が捉えられて電子が基板9の表面に過剰に入射したり、基板9の表面がスパッタエッチングされたりする恐れがある。磁石を電磁石で構成し、通常の成膜処理の場合には通電しないようにすることも可能であるが、いずれにしても、機構的に複雑になる問題がある。従って、被覆用部材71がマグネトロンスパッタリングのための磁石を持っている構成は、通常の成膜処理に影響を与えないという長所や、基板ホルダー44等の構造を複雑にしないというメリットがある。
【0029】
また、本実施形態では、上記被覆オペレーションの後、ターゲット41に付着した被覆用部材71のスパッタ粒子を除去する処理(以下、除去オペレーション)が行える構成となっている。以下、この点について説明する。
上述した被覆オペレーションの際、被覆用部材71から放出されるスパッタ粒子(以下、被覆用スパッタ粒子)は、防着シールド47上の成膜時堆積膜の表面のみならず、ターゲット41の表面にも付着することが避けれられない。被覆用スパッタ粒子がターゲット41の表面に付着した状態で、基板9をスパッタチャンバー4内に搬入してスパッタを行うと、ターゲット41から被覆用スパッタ粒子が弾き出され、基板9の表面に付着する。被覆用スパッタ粒子はターゲット41とは異なる材料であるから、基板9の表面に作成される薄膜を汚損してしまうことになる。
【0030】
そこで、本実施形態では、被覆オペレーション後、通常の成膜処理を再開する前に除去オペレーションを行うようにしている。除去オペレーションは、基板9をスパッタチャンバー4内に搬入しない状態でターゲット41をスパッタする動作である。ターゲット41に付着した被覆用スパッタ粒子は、ターゲット41から弾き出されて防着シールド47等に付着するので、その後に基板9を搬入して成膜を行っても、作成される薄膜を汚損する恐れはない。
【0031】
本実施形態の装置の別の大きな特徴点は、上記除去オペレーションの際、基板ホルダー44の表面を被覆用スパッタ粒子から遮蔽する遮蔽用部材8が設けられている点である。上記除去オペレーションの際、ターゲット41から弾き出される被覆用スパッタ粒子は、防着シールド47に付着したり、あるいは排気系によって排気されたりすることが理想的であるが、時として基板ホルダー44の表面のうちの基板9が接触する領域(以下、単に基板ホルダー44の表面)に付着してしまうことがある。この状態で、基板9が搬入されて基板ホルダー44に載置されると、基板9の裏面に被覆用スパッタ粒子が付着してしまうことになる。成膜終了後、この基板9が基板ホルダー44から取り去れられる際、被覆用スパッタ粒子が基板9の裏面から遊離してスパッタチャンバー4内に浮遊し、パーティクルとなる恐れがある。もしくは、裏面に被覆用スパッタ粒子が付着したまた基板9が他のチャンバーに搬送され、そのチャンバーで被覆用スパッタ粒子が遊離すると、そのチャンバーにパーティクルを発生させることになる。
【0032】
このような問題を防ぐため、本実施形態の装置では、除去オペレーションの際、遮蔽用部材8で基板ホルダー44の表面を被覆用スパッタ粒子から遮蔽している。遮蔽用部材8は、基板9と同様の寸法及び形状の板状部材である。遮蔽用部材8の材料としては、万が一スパッタされてもパーティクルを発生させないよう、基板9と同様の材料とすることが好ましい。
また、上記除去オペレーションの際に遮蔽用部材8をスパッタチャンバー4内に搬送する遮蔽用搬送系が設けられている。遮蔽用搬送系は、基板9が通常基板ホルダー44に載置する位置と同じ位置に遮蔽用部材8を配置する必要がある。
【0033】
尚、遮蔽用部材8の他の構成としては、スパッタチャンバー4内で駆動されるシャッターのような構成でも良い。即ち、基板ホルダー44の表面を覆うことが可能なシャッターをスパッタチャンバー4内に設ける。通常の成膜処理の際にはシャッターを開けて基板9を基板ホルダー44に載置する。除去オペレーションの際にはシャッターにより基板ホルダー44の表面を被覆用スパッタ粒子から遮蔽する。但し、このようなシャッター機構を設けることは、スパッタチャンバー4内の機構が複雑になる欠点がある。これに比べると、遮蔽用搬送系で遮蔽用部材8を搬送して使用する構成は、機構的に簡略化される長所がある。
【0034】
本実施形態の装置は、大気側とスパッタチャンバー4との間で基板9を搬送する基板搬送系を備えている。前述した被覆用部材71を搬送する被覆用搬送系と上記遮蔽用搬送系は、いずれもこの基板搬送系が兼用されている。以下、この点を説明する。
被覆用部材71及び遮蔽用部材8は、不使用時にはロードロックチャンバー5内に収容されている。即ち、ロードロックチャンバー5内には、被覆用部材71及び遮蔽用部材8を収容する収容部材が設けられている。この収容部材としては、ロードロックチャンバー5内で基板9を収容するロック内カセット51が兼用されている。
【0035】
ロック内カセット51は、左右の側壁の内側面に水平方向に細長い突起511を設けている。この突起511は、上下方向に所定の間隔をおいて複数設けられている。そして、これらの突起511に基板9の縁が載ることで、基板9が収容される構成となっている。ロック内カセット51の基板9の収容枚数は25枚であるが、上記突起511は上下方向に29個設けられている。従って、4個の余分な収容箇所がある。この4個の余分な収容箇所に二つの被覆用部材71と二つの遮蔽用部材8が収容されるようになっている。
【0036】
本実施形態において、基板9を搬送する基板搬送系は、上述した搬送ロボット11と、オートローダ6と、後述するロック内カセット51を昇降させる昇降機構52とから主に構成されている。本実施形態では、搬送ロボット11のアームは、あらかじめ定められ高さにおいてロック内カセット51に進入し、ロック内カセット51から後退するよう構成されている。以下、この高さを「アーム進入ライン」と呼ぶ。ロック内カセット51の昇降機構52は、ロック内カセット51を上下に動作させ、所定の基板9の収容箇所をこのアーム進入ラインに合わせるためのものである。具体的には、昇降機構52としては、ロック内カセット51に固定された不図示の支柱を上下に動作させるエアシリンダでも良いし、不図示の支柱に固定されたボールネジとそのボールネジを回転させて支柱を上下動させるモータの組み合わせでも良い。
【0037】
ロック内カセット51と搬送ロボット11の間における基板9の搬送の動作を説明すると、基板9をスパッタチャンバー4へ搬入する際、昇降機構52は、アーム進入ラインよりもやや高い位置に所定の基板9の収容箇所が位置するようロック内カセット51を昇降させる。搬送ロボット11のアームがこの基板9の下に進入すると、昇降機構52によりロック内カセット51は下降し、アームに基板9が載る。その後、アームが後退してセパレーションチャンバー1まで移動し、基板9はスパッタチャンバー4へ搬入される。
【0038】
また、成膜処理済みの基板9がスパッタチャンバー4から搬出される際、昇降機構52は、アーム進入ラインよりもやや低い位置に基板9の所定の収容箇所が位置するよう、ロック内カセット51を予め昇降させる。搬送ロボット11のアームは、スパッタチャンバー4から基板9を取り出し、アーム進入ラインの高さからロック内カセット51に進入する。基板9を載せたアームがロック内カセット51に進入した後、昇降機構52によってロック内カセット51は上昇し、基板9を所定の収容箇所に収容する。
【0039】
次に、被覆用部材71及び遮蔽用部材8を搬送する構成について説明する。ロードロックチャンバー5とスパッタチャンバー4の間の被覆用部材71及び遮蔽用部材8の搬送は、ロック内カセット51の昇降機構52と搬送用ロボット11によって行われる。具体的には、上述した昇降機構52は、ロック内カセット51を上下させることにより、アーム進入ラインに沿って、所定の収容箇所の被覆用部材71又は遮蔽用部材8を取り出したり、所定の収容箇所に被覆用部材71又は遮蔽用部材8を収容したりするよう構成されている。
【0040】
より具体的に説明すると、例えば被覆用部材71をスパッタチャンバー4へ搬入する際、昇降機構52は、アーム進入ラインよりもやや高い位置に所定の被覆用部材71の収容箇所が位置するようロック内カセット51を昇降させる。その後、基板9の場合と同様に搬送ロボット11が動作し、被覆用部材71はスパッタチャンバー4に搬入される。
【0041】
また、被覆オペレーションが終了し、スパッタチャンバー4から被覆用部材71が搬出される際、昇降機構52は、アーム進入ラインよりもやや低い位置に、所定の被覆用部材71の収容箇所が位置するようロック内カセット51を昇降させる。その後、基板9の場合と同様に搬送ロボット11が動作して、被覆用部材71が収容される。遮蔽用部材8についても、同様に搬入搬出が行われる。
前述したように、被覆用部材71は、スパッタ粒子を放出する元、即ち、ターゲット41と同様のものであるから、被覆オペレーションに繰り返し使用されるうち、徐々に表面が削られる。限度以上に使用されると、部材本体711を突き抜けて磁石がスパッタされることになりかねない。そこで、本実施形態では、被覆用部材71の使用回数を管理する手段が設けられている。以下、この点を説明する。
【0042】
具体的には、本実施形態の装置は、装置全体の動作を制御する制御部25を備えている。この制御部25はマイクロコンピュータであり、各部の制御のためのプログラムを記憶した不図示の記憶部や、装置の動作状態などの各種表示を行う表示部251が設けられている。
図5は、制御部25が備えるプログラムの概略について説明するフローチャートである。図5に示すように、制御部25は、未処理の基板9を前処理エッチングチャンバー2及びプリヒートチャンバー3を経由してスパッタチャンバー4に搬入する「基板搬入指令」、スパッタチャンバー4内で基板9の成膜処理を行わせる「成膜処理指令」、処理済みの基板9を大気側に搬出する「基板搬出指令」を順次発するようにプログラミングされている。
【0043】
そして、「基板搬出指令」の後、記憶された成膜処理の回数である処理カウンタの数を計算し、カウンタの数が限度処理回数未満であったら、再び「基板搬入指令」、「成膜処理指令」及び「基板搬出指令」を繰り返す。また、カウンタの数が限度処理回数に達していたら、「被覆オペレーション指令」及び「除去オペレーション指令」をそれぞれ発するようプログラミングされている。尚、「限度処理回数」とは、被覆オペレーションを行うことなしに連続して成膜処理が行える回数のことであり、予め決定されて入力部252から入力されている。
【0044】
また、制御部25は、被覆オペレーションの回数及び除去オペレーションの回数を記憶する不図示の記憶部を有している。ロック内カセット51に収容されている各被覆用部材71毎及び各遮蔽用部材8毎に使用回数が記憶されるようになっている。
図5に示すように、「除去オペレーション指令」の後、被覆オペレーションの回数である被覆カウンタの数を計算し、被覆カウンタの数が使用限度回数に達していたら、その際に使用していた被覆用部材61が一つめであるか二つめであるかを判断する。一つめであれば、次回の被覆オペレーションから使用する被覆用部材61を二つめのものに変更するよう基板搬送系の制御信号を変更する処理を行う。また、二つめであれば、被覆用部材71の交換時期が来た旨の表示を行う。
【0045】
次に、除去オペレーションの回数である除去カウンタの数を計算し、除去カウンタの数が使用限度回数未満であったら、「スタート」に戻る。また、除去カウンタの数が使用限度回数に達していたら、その際に使用していた遮蔽用部材61が一つめであるか二つめであるかを判断する。一つめであれば、次回の除去オペレーションから使用する遮蔽用部材8を二つめのものに変更するよう基板搬送系の制御信号を変更する処理を行う。また、二つめであれば、遮蔽用8の交換時期が来た旨の表示を行う。このような処理の後、「スタート」に戻る。上記プログラムにおいて、各カウンタの数と比較する使用限度回数は、予め決定され、入力部252から入力されたデータである。
【0046】
上記説明から解るように、本実施形態の装置では、被覆用部材71が限度回数以上に使用され、被覆用部材71中の磁石等が誤ってスパッタされてしまう事故が未然に防止されるようになっている。尚、被覆用部材71の交換は、使用済みの被覆用部材71を基板9と同様にオートローダ6によってロック内カセット51から外部カセット61に搬送することにより行う。そして、新たな二つの被覆用部材71をオートローダ6により外部カセット61からロック内カセット51の所定の収容箇所に搬入するようにする。
【0047】
尚、遮蔽用部材8は、単に被覆用スパッタ粒子が付着していくだけなので、被覆用部材71に比べて多くの回数繰り返し使用できる。それでも、多くの被覆用スパッタ粒子が付着して薄膜に成長すると、搬送の際の衝撃等により剥離してパーティクルを発生させるため、所定の回数の使用の後、交換するようになっている。交換の際の基板搬送系の制御等の構成は、被覆用部材71の場合と同様である。
【0048】
上記説明から解るように、本実施形態では、被覆用部材71及び遮蔽用部材8は、大気側に取り出されることなく常時真空側に保持され複数回のオペレーションに使用される。真空側に保持された被覆用部材71及び遮蔽用部材8の表面は、大気側に取り出されることによる水分などの付着がない。このため、水分などの大気中の不純物がスパッタチャンバー4に取り込まれることによる問題が防止されている。
特に、パーティクル防止膜中やパーティクル防止膜と成膜時堆積膜との界面に不純物が存在すると、膜の内部応力は大きくなる。前述したように、内部応力が大きくなると、これらの膜は剥離しやすくなりパーティクルが生じる恐れが大きくなる。しかし、本実施形態では上述の通り、不純物のないパーティクル防止膜が形成されるので、被覆オペレーションの効果を高く得ることができる。
【0049】
次に、図1に示す複数の処理チャンバーのうちの前処理エッチングチャンバー2について説明する。前処理エッチングチャンバー2は、高周波放電により基板9の表面をスパッタエッチングして自然酸化膜又は表面汚染物質を除去するようになっている。このような絶縁膜が形成されたままでスパッタチャンバー4で成膜を行うと、下地との密着性が悪くなったり、導電膜の場合には下地との導通性が低下したりする問題がある。このため、スパッタチャンバー4での成膜に先だって基板9の表面をエッチングするようにしている。
【0050】
前処理エッチングチャンバー2は、内部にアルゴン又は窒素等のガスを導入するガス導入系と、高周波電極と、高周波電極に高周波電圧を印加して高周波放電を生じさせる高周波電源等を備えている。尚、高周波電極には、前処理エッチングチャンバー2内で基板9を保持する基板ホルダーが兼用されることが多く、基板9に自己バイアス電圧を生じさせるためのコンデンサを介して基板ホルダーに高周波電圧が印加されることが多い。
【0051】
また、プリヒートチャンバー3におけるプリヒート(予備加熱)は、基板9の吸蔵ガスを放出させる目的で行われる。この吸蔵ガスの放出を行わない場合、成膜時の熱により吸蔵ガスが放出され、発泡によって膜の表面が粗くなる問題がある。
プリヒートチャンバー3内には、所定の温度に加熱維持される不図示のヒートステージが設けられている。基板9は、このヒートステージに載置され、所定温度に加熱されることによりプリヒートされる。
【0052】
また、図1に示すように、セパレーションチャンバー1の周囲には、さらに別の真空チャンバー100が設けられている。これらの真空チャンバー100は、必要に応じて、スパッタチャンバー4と同一の構成として生産性を向上させたり、または異種薄膜を積層する場合には異種材料のターゲット41を備えたスパッタチャンバーとしたりする。もしくは、成膜処理の後、基板9を冷却する冷却チャンバーとされたりする場合もある。
【0053】
次に、本実施形態のスパッタリング装置の全体の動作について説明する。
外部セット8に収容された基板9は、オートローダ6によってロードロックチャンバー5内のロック内カセット51に搬入される。ロック内カセット51に搬入された基板9は、セパレーションチャンバー1に設けられた搬送ロボット11により、まず前処理エッチングチャンバー2に搬入され、前処理エッチングが行われる。次に、基板9はプリヒートチャンバー3に搬送され、不図示のヒートステージに載置されて所定の温度に加熱される。これによって基板9はプリヒートされ、基板9中の吸蔵ガスが放出される。
【0054】
そして、基板9はスパッタチャンバー4に搬入され、スパッタリングによる成膜処理が行われる。その後、基板9は搬送ロボット11によりスパッタチャンバー4から搬出され、ロック内カセット51に収容される。ロック内カセット51に収容された処理済みの基板9はオートローダ6によって外部カセット61に収容される。このような動作を繰り返して、多数の基板9に対して順次、枚葉処理を行う。
【0055】
そして、枚葉処理が所定の回数に達した時点で制御部25は、被覆用搬送系に兼用された基板搬送系に信号を送り、被覆用部材71をスパッタチャンバー4内に搬入するよう制御する。この結果、被覆用部材71はロック内カセット51からスパッタチャンバー4に搬入され、基板ホルダー44上の所定位置に載置される。スパッタチャンバー4は予め高真空排気されており、ガス導入系45によって所定のガスを所定の流量で導入する。そして、スイッチ73を切り替えて被覆用スパッタ電源72を動作させ、被覆用部材71をスパッタする。これにより、前述した被覆オペレーションが行われる。その後、被覆用部材71は基板搬送系によってロック内カセット51に収容される。
【0056】
次に、制御部25は、遮蔽用搬送系に兼用された基板搬送系に信号を送り、遮蔽用部材8をスパッタチャンバー4内に搬入するよう制御する。この結果、前述したように、遮蔽用部材8はロック内カセット51からスパッタチャンバー4に搬入され、基板ホルダー44上の所定位置に載置される。スパッタチャンバー4は再び高真空排気されており、ガス導入系45によって所定のガスを所定の流量で導入する。そして、スイッチ73を切り替えて基板ホルダー44をアースにつなぐとともに、基板用スパッタ電源43を動作させてターゲット41をスパッタする。これにより、ターゲット41に付着した被覆用スパッタ粒子が弾き出される。その後、遮蔽用部材8は基板搬送系によってロック内カセット51に収容される。
この後、スパッタチャンバー4内を再度高真空排気する。そして、前述したように、次の基板9を、前処理エッチングチャンバー2及びプリヒートチャンバー3を経由してスパッタチャンバー4に搬送し、通常の成膜処理を再開する。
【0057】
上述したように、本実施形態の装置及び方法は、被覆用部材71をスパッタチャンバー4内に搬入してスパッタすることにより、成膜時堆積膜をパーティクル防止膜で被覆する。パーティクル防止膜は、成膜時堆積膜よりも小さな応力で堆積するため、成膜時堆積膜の剥離を抑制することができる。この結果、防着シールド47の交換頻度は、従来に比べ飛躍的に少なくなる。従って、従来に比べ、パーティクルの発生の防止に要する全体の時間は短くなる。よって、本実施形態では、従来の装置に比べると、生産性が大きく向上する。また、パーティクルの発生が防止される結果、作成される薄膜の品質が大きく向上する。
【0058】
【実施例】
次に、上記実施形態の装置を、フォトマスク製造用とした場合の実施例について説明する。成膜対象としての基板9は、ガラス製である。作成される膜は、MoSiとする。
スパッタチャンバー4におけるMoSiスパッタリングの条件としては、以下の条件が挙げられる。
・ガス:アルゴン
・ガス流量:30cc/分
・圧力:0.5Pa
・スパッタ電力:3kW
上記条件でスパッタリングを行うとスパッタレートは直径8インチの基板9で150nm/分となり、300nmのMoSi膜を作成するのに要する時間は2分である。尚、「スパッタ電力」とは、ターゲット41に印加した電圧とターゲット41を通して流れた電流の積である。
【0059】
また、被覆オペレーションの条件としては、以下の条件が挙げられる。
・被覆用部材71:アルミニウム
・ガス:アルゴン
・ガス流量:30cc/分
・圧力:0.2Pa
・スパッタ電力:8kW
上記条件で被覆オペレーションを行うと、パーティクル防止膜の成膜速度は500nm/分となり、72秒程度で一回の被覆オペレーションが終了する。また、一回のアルミニウムのスパッタ量は600nm程度である。
また、除去オペレーションの条件としては、以下の条件が挙げられる。
・ガス:アルゴン
・ガス流量:30cc/分
・圧力:0.5Pa
・スパッタ電力:6kW
【0060】
次に、以上のような条件である本実施例の効果について説明する。
まず、上記条件では、基板9の成膜処理の回数が500回を越えるとパーティクルの発生が50個以上になるため、500枚の基板9について成膜処理を行った後に被覆オペレーションと除去オペレーションとを行うようにする。これによってパーティクルの発生は、10個以下に抑えることができる。そして、再び基板9の成膜処理を500回行った後、被覆オペレーションと除去オペレーションを行う。このようにして、500回の成膜処理を行う度に、一回の被覆オペレーションと除去オペレーションとを行う。
【0061】
しかし、この500回の成膜処理を行う度に一回の被覆オペレーション及び除去オペレーションを行うサイクルを繰り返すと、防着シールド47に堆積した成膜時堆積膜とパーティクル発生防止膜の全膜厚は増加していく。この厚さがある限度以上になると、防着シールド47に堆積したこれらの膜は自重などによって剥離し、パーティクルの発生量が限度以上になってしまう場合がある。
具体的には、上記条件で成膜処理及び被覆オペレーションを行った場合には、2500回の成膜処理(被覆オペレーション及び除去オペレーションは各5回)が限度であり、これ以上成膜処理を行うとパーティクルの発生が50個以上になってしまう。そこで、2500回の成膜処理を行った後、防着シールド47を新たな防着シールド47に交換するようにする。従来の場合には500回の成膜処理を行った後に防着シールド47の交換を行っており、これに比較すると、生産性は飛躍的に増大することがわかる。
【0062】
上述した構成及び動作に係る本実施の形態において、被覆用部材71及び遮蔽用部材8はロック内カセット51に配備され、搬送ロボット11によりスパッタチャンバー4内に持ち込まれるよう構成されているが、それ以外の方式として、次のような構成をすることも可能である。
まず、被覆用部材71や遮蔽用部材8を収容する専用の収容部材をセパレーションチャンバー1内に設け、セパレーションチャンバー1内で被覆用部材71や遮蔽用部材8を保管しても良い。また、セパレーションチャンバー1の周囲の真空チャンバーの一つを、被覆用部材71や遮蔽用部材8を収容する専用のチャンバーとしても良い。
【0063】
さらに、被覆用部材71は、スパッタチャンバー4内に常時備えられていてもよい。具体的には、被覆用部材71は、交換自在にスパッタチャンバー4の内壁に対して固定されるよう構成される。そして、被覆用部材71がスパッタされる位置にスパッタ放電を生じさせる。尚、通常のスパッタリングの時には被覆用部材71にスパッタ粒子が付着したり被覆用部材71がスパッタされたりしないよう、シールドで被覆用部材71を覆う。そして、被覆オペレーションを行う際、このシールドは除かれ、プラズマによって被覆用部材71がエッチングされるよう構成する。この構成に比べると、上述した実施形態の構成は、シールドを設ける等の構成の煩雑さがないという点で優れている。
【0064】
また、被覆用搬送系や遮蔽用搬送系として、基板搬送系を兼用するのではなく、専用のものを設けるようにしても良い。専用の搬送系を設けると、基板搬送系で搬送できるように基板9とほぼ同様の寸法形状や重量にする必要がなく、設計の自由度が増す。但し、基板搬送系を兼用すると、機構的に簡略化され、装置全体を小型化できるメリットがある。また、被覆用部材71の別の構成としては、基板9と同じか同等または同様の板材の表面に被覆用材料の薄膜をスパッタリングやメッキにより形成したもの等を使用することができる。
【0065】
また、基板用スパッタ電源43や被覆用スパッタ電源73としては負の直流電源が使用されているが、高周波電源が使用されることもある。また、基板用スパッタ電源73は基板ホルダー44に接続されたが、基板ホルダー44とは別に被覆用の電極をスパッタチャンバー4内に設けても良い。この場合には、被覆用スパッタ電源73をこの電極に接続するとともに、この電極に接触するように被覆用部材71を搬入する。但し、基板ホルダー44が被覆用の電極に兼用すると、スパッタチャンバー内の構造が簡略化できるので好適である。
また、上記の装置はフォトマスク製造用のものであったが、LSI製造用等についても同様に実施することができる。
【0066】
【発明の効果】
以上説明した通り、本願の各請求項記載の発明によれば、パーティクルの発生を抑制する効果的な構成が提供されるとともに、その際にも生産性を低下させないというメリットが得られる。
また、請求項2又は記載の発明によれば、上記効果に加え、基板の表面に作成される薄膜が被覆用スパッタ粒子によって汚損される問題が防止される。
また、請求項3記載の発明によれば、上記効果に加え、マグネトロンスパッタリングによって被覆オペレーションが行われるので、被覆オペレーションが短時間に終了する上、マグネトロンスパッタリングのための磁石を被覆用部材が持っているので、通常の成膜処理に影響を与えたり、基板ホルダー等の構造を複雑にしたりする問題が無いという効果が得られる。
また、請求項5記載の発明によれば、上記効果に加え、基板搬送系が被覆用搬送系に兼用されているので、機構的に簡略化されるという効果が得られる。
また、請求項6記載の発明によれば、上記効果に加え、被覆用部材が大気に取り出されることなく複数回被覆オペレーションに使用されるので、大気側の不純物がスパッタチャンバーに持ち込まれることによる問題が抑制される。
また、請求項7記載の発明によれば、上記効果に加え、基板ホルダーが被覆用の電極に兼用されているので、スパッタチャンバー内の構造が簡略化される効果が得られる。
また、請求項記載の発明によれば、上記効果に加え、基板の裏面への被覆用スパッタ粒子の付着が抑制されるので、これが原因によるパーティクルの発生が防止されるという効果が得られる。
また、請求項記載の発明によれば、上記効果に加え、遮蔽用部材が大気に取り出されることなく複数回除去オペレーションに使用されるので、大気側の不純物がスパッタチャンバーに持ち込まれることによる問題が抑制される。
また、請求項10記載の発明によれば、上記効果に加え、基板搬送系が遮蔽用搬送系に兼用されているので、機構的に簡略化されるという効果が得られる。
また、請求項11記載の発明によれば、上記効果に加え、ロック内カセットが被覆用部材の収容部材又は遮蔽用部材の収容部材に兼用されているので、収容部材を別途設ける場合に比べ、構造的にシンプルになるという効果が得られる。
また、請求項12記載の発明によれば、上記効果に加え、被覆用部材又は遮蔽用部材の交換時期の到来が表示されるので、被覆用部材や遮蔽用部材を限度以上に使用してしまうことによる問題が抑制されるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施の形態であるスパッタリング装置の構成を説明する平面概略図である。
【図2】図1に示す装置のX−Xにおける断面概略図概略図である。
【図3】被覆用部材71の正面断面概略図である。
【図4】図3の被覆用部材71の平面断面概略図である。
【図5】制御部25が備えるプログラムの概略について説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1 セパレーションチャンバー
10 ゲートバルブ
11 搬送ロボット
2 前処理エッチングチャンバー
3 プリヒートチャンバー
4 スパッタチャンバー
41 ターゲット
42 磁石機構
43 基板用スパッタ電源
44 基板ホルダー
45 ガス導入系
46 排気系
47 防着シールド
5 ロードロックチャンバー
51 ロック内カセット
52 昇降機構
6 オートローダ
61 外部カセット
71 被覆用部材
711 部材本体
712 中央磁石
713 周辺磁石
714 ヨーク
72 被覆用スパッタ電源
73 スイッチ
8 遮蔽用部材
9 基板

Claims (13)

  1. スパッタチャンバー内に基板を配置するとともにターゲットをスパッタして基板の表面に成膜処理を施すスパッタリング装置において、ターゲットの材料より小さな応力で膜が堆積する材料から成る被覆用部材をスパッタチャンバー内に配置するとともに、この被覆用部材をスパッタし、前記成膜処理の際にスパッタチャンバー内の基板以外の表面に堆積した薄膜を被覆用部材の材料の薄膜で被覆する被覆オペレーションを行うとともに、この被覆オペレーションの後、基板をスパッタチャンバーに搬入することなくターゲットをスパッタすることで、前記被覆オペレーションの際に被覆用部材から放出されてターゲットに付着したスパッタ粒子をターゲットから弾き出して除去する除去オペレーションを行うことを特徴とするパーティクル発生防止方法。
  2. スパッタチャンバー内に基板を配置するとともにターゲットをスパッタして基板の表面に成膜処理を施すスパッタリング方法において、前記成膜処理の後、ターゲットの材料より小さな応力で膜が堆積する材料から成る被覆用部材をスパッタチャンバー内に配置するとともにこの被覆用部材をスパッタし、前記成膜処理の際にスパッタチャンバー内の基板以外の表面に堆積した薄膜を被覆用部材の材料の薄膜で被覆する被覆オペレーションを行うとともに、この被覆オペレーションの後、基板をスパッタチャンバーに搬入することなくターゲットをスパッタすることで、前記被覆オペレーションの際に被覆用部材から放出されてターゲットに付着したスパッタ粒子をターゲットから弾き出して除去する除去オペレーションを行い、その後、基板をスパッタチャンバー内に搬入して前記成膜処理を行うことを特徴とするスパッタリング方法。
  3. 排気系を備えたスパッタチャンバーと、スパッタチャンバー内に基板を保持する基板ホルダーと、ターゲットの被スパッタ面を臨む空間に電界を設定してスパッタ放電を生じさせる基板用スパッタ電源とを備え、スパッタ放電によりスパッタされたターゲットから放出されるスパッタ粒子を基板の表面に到達させて基板の表面に成膜処理を施すスパッタリング装置であって
    前記成膜処理の際にスパッタチャンバー内の基板以外の表面に堆積した膜である成膜時堆積膜の表面に、その成膜時堆積膜より小さな応力で堆積する膜であるパーティクル防止膜を堆積させて被覆する被覆手段を有しており、
    前記被覆手段は、成膜時堆積膜より小さな応力で膜が堆積する材料から成る被覆用部材と、この被覆用部材をスパッタチャンバー内の所定位置に搬送する被覆用搬送系と、前記スパッタチャンバー内に搬送された被覆用部材をスパッタするスパッタ放電を発生させる被覆用スパッタ電源とから成るものであり、
    前記被覆用部材は、前記被覆用スパッタ電源によるスパッタ放電をマグネトロン放電とするための磁石を備えていることを特徴とするスパッタリング装置。
  4. 排気系を備えたスパッタチャンバーと、スパッタチャンバー内に基板を保持する基板ホルダーと、ターゲットの被スパッタ面を臨む空間に電界を設定してスパッタ放電を生じさせる基板用スパッタ電源とを備え、スパッタ放電によりスパッタされたターゲットから放出されるスパッタ粒子を基板の表面に到達させて基板の表面に成膜処理を施すスパッタリング装置であって、
    前記成膜処理の際にスパッタチャンバー内の基板以外の表面に堆積した膜である成膜時堆積膜の表面に、その成膜時堆積膜より小さな応力で堆積する膜であるパーティクル防止膜を堆積させて被覆する被覆手段を有していおり、
    前記被覆手段は、成膜時堆積膜より小さな応力で膜が堆積する材料から成る被覆用部材と、この被覆用部材をスパッタチャンバー内の所定位置に搬送する被覆用搬送系と、前記スパッタチャンバー内に搬送された被覆用部材をスパッタするスパッタ放電を発生させる被覆用スパッタ電源とから成るものであり、
    さらに、
    装置全体を制御する制御部が設けられており、この制御部は、前記被覆手段によるパーティクル防止膜の堆積の後、前記基板を前記スパッタチャンバーに搬送することなく前記基板用スパッタ電源を動作させて、前記ターゲットに付着した前記被覆用部材からのスパ ッタ粒子である被覆用スパッタ粒子を弾き出す除去オペレーションが行われるよう前記基板用スパッタ電源を制御する制御プログラムを有していることを特徴とするスパッタリング装置。
  5. 前記被覆用搬送系は、前記スパッタチャンバー内に前記基板を搬送する基板搬送系が兼用されていることを特徴とする請求項3又は4に記載のスパッタリング装置。
  6. 前記被覆用部材を、前記スパッタチャンバーと真空が連通するように設けられた他の真空チャンバー内に収容する収容部材が設けられており、前記被覆用搬送系は、この他の真空チャンバーと前記スパッタチャンバー内との間で前記被覆用部材を搬送するものであることを特徴とする請求項3、4又は5に記載のスパッタリング装置。
  7. 前記被覆用部材を前記スパッタチャンバーの所定位置に配置するものとして前記基板ホルダーが兼用されており、前記被覆用スパッタ電源は前記基板ホルダーに接続されていることを特徴とする請求項3乃至6いずれかに記載のスパッタリング装置。
  8. 前記除去オペレーションの際、前記基板ホルダーの表面のうち前記基板が接触する領域を、前記ターゲットから弾き出された前記被覆用スパッタ粒子から遮蔽する遮蔽用部材を有していることを特徴とする請求項記載のスパッタリング装置。
  9. 前記遮蔽用部材は前記基板と同様の寸法形状の板状の部材であって、この遮蔽用部材を、前記スパッタチャンバーに真空が連通するように設けられた他の真空チャンバー内に収容する収容部材と、この他の真空チャンバーとスパッタチャンバーとの間で前記遮蔽用部材を搬送する遮蔽用搬送系とが設けられていることを特徴とする請求項記載のスパッタリング装置。
  10. 前記遮蔽用搬送系は、前記スパッタチャンバー内に前記基板を搬送する基板搬送系が兼用されていることを特徴とする請求項記載のスパッタリング装置。
  11. 前記スパッタチャンバーと大気側との間の前記基板の搬送の際に前記基板が一時的に滞留するチャンバーであるロードロックチャンバーが設けられているとともに、このロードロックチャンバー内には、複数の基板を一時的に収容するロック内カセットが設けられており、前記収容部材は、このロック内カセットが兼用されていることを特徴とする請求項6又は請求項記載のスパッタリング装置。
  12. 前記被覆用部材又は前記遮蔽用部材を前記収容部材から取り出して交換する時期が到来した旨の表示を行う表示部を有していることを特徴とする請求項6、又は11記載のスパッタリング装置。
  13. 排気系を備えたスパッタチャンバーと、スパッタチャンバー内の所定位置に基板を保持するための基板ホルダーと、スパッタチャンバー内に被スパッタ面が露出するよう設けられたターゲットと、ターゲットの被スパッタ面を臨む空間に電界を設定してスパッタ放電を生じさせる基板用スパッタ電源とを備えてスパッタ放電によりスパッタされたターゲットから放出されるスパッタ粒子を基板に到達させて基板の表面に成膜処理を施すスパッタリング装置に使用される被覆用部材であるとともに、基板ホルダーに基板に代えて保持される被覆用部材であって、前記成膜処理の際にスパッタチャンバー内の基板以外の表面に堆積した膜である成膜時堆積膜より小さな応力で膜が堆積する材料から成る部材本体と、基板ホルダーを介してスパッタ放電用の電界が設定された際にその放電をマグネトロン放電にする磁石とから成り、スパッタ放電によって放出するスパッタ粒子が堆積させる膜により前記成膜時堆積膜が被覆されるものであることを特徴とする被覆用部材。
JP2001359878A 2001-11-26 2001-11-26 スパッタリング装置におけるパーティクル発生防止方法、スパッタリング方法、スパッタリング装置及び被覆用部材 Expired - Fee Related JP4099328B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001359878A JP4099328B2 (ja) 2001-11-26 2001-11-26 スパッタリング装置におけるパーティクル発生防止方法、スパッタリング方法、スパッタリング装置及び被覆用部材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001359878A JP4099328B2 (ja) 2001-11-26 2001-11-26 スパッタリング装置におけるパーティクル発生防止方法、スパッタリング方法、スパッタリング装置及び被覆用部材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003160854A JP2003160854A (ja) 2003-06-06
JP4099328B2 true JP4099328B2 (ja) 2008-06-11

Family

ID=19170795

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001359878A Expired - Fee Related JP4099328B2 (ja) 2001-11-26 2001-11-26 スパッタリング装置におけるパーティクル発生防止方法、スパッタリング方法、スパッタリング装置及び被覆用部材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4099328B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4930964B2 (ja) * 2005-05-20 2012-05-16 Hoya株式会社 位相シフトマスクブランクの製造方法及び位相シフトマスクの製造方法
JP2007025118A (ja) * 2005-07-14 2007-02-01 Seiko Epson Corp 配向膜の製造装置、液晶装置、及び電子機器
US20140272684A1 (en) 2013-03-12 2014-09-18 Applied Materials, Inc. Extreme ultraviolet lithography mask blank manufacturing system and method of operation therefor
JP6762207B2 (ja) * 2016-11-22 2020-09-30 株式会社アルバック 成膜方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003160854A (ja) 2003-06-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPWO2002065532A1 (ja) 被処理体の処理方法及びその処理装置
KR20100049686A (ko) 진공박막 형성가공장치
WO2000018979A9 (en) Sputter deposition apparatus
JP2002525437A (ja) スパッタ蒸着装置
JPH03170671A (ja) スパツタ装置、及びターゲツト交換装置、並びにその交換方法
JP2879887B2 (ja) プラズマ処理方法
JP4473410B2 (ja) スパッタリング装置及び成膜方法
JP4695297B2 (ja) 薄膜形成装置及びロードロックチャンバー
US6589398B1 (en) Pasting method for eliminating flaking during nitride sputtering
JPH10237638A (ja) バックスパッタリングシールド
JP2001214264A (ja) スパッタ堆積用コイル
JP4099328B2 (ja) スパッタリング装置におけるパーティクル発生防止方法、スパッタリング方法、スパッタリング装置及び被覆用部材
WO2009157228A1 (ja) スパッタリング装置、スパッタリング方法及び発光素子の製造方法
TWI343419B (en) Target backing plate for sputtering system
JP3254482B2 (ja) プラズマ処理装置及びそのクリーニング方法
US6620298B1 (en) Magnetron sputtering method and apparatus
JPH11269644A (ja) パーティクル発生防止方法及びスパッタリング装置
JP4364335B2 (ja) スパッタリング装置
JP3905584B2 (ja) スパッタ装置及びコリメータ付着物の処理方法
JP4902054B2 (ja) スパッタリング装置
JP4437347B2 (ja) 前処理エッチング装置及び薄膜作成装置
JPS60249329A (ja) スパッタエッチング装置
JPH10265953A (ja) スパッタ膜、液晶素子及びこれらの製造方法
JP7134112B2 (ja) 成膜装置および成膜方法
JP2002302764A (ja) スパッタリング装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041126

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070702

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070710

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070910

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080219

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080317

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4099328

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110321

Year of fee payment: 3

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070910

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110321

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120321

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120321

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130321

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140321

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees