JP3903958B2 - 省エネ保温方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は省エネ保温方法に関するものであり、例えば家庭用の電気ポットなどに利用される。
【0002】
【従来の技術】
電気ポットは家庭や職場、飲食店などで広く使用されているが、家庭での依存度は特に高く、内容液の入れ替えなどを除いて電源が投入されっ放しで、使用時の再沸騰操作による途中立ち上げ時や内容液の補給による初期沸騰時を除いて保温を継続していることが多くなっている。しかし、容量の大きなものの消費電力は大型冷蔵庫に匹敵するほどのもので、省エネ上問題になっている。
【0003】
そこで、就寝時やお出かけ時の不使用時間帯に対し、タイマの時間設定により通電停止を含む保温温度の低減といった節電や省エネを図ることが行えるようになった。また、消費電力が気になるユーザは電源をまめに落したり、省エネ保温モードを設定するなどしてきめ細かく対応することも行われている。しかし、それにはユーザの頻繁な操作が必須となるので面倒である。
【0004】
これを解消するのに、制御系への通電とは別の、本体側への通電時の電力情報を検出してメモリに蓄積し、蓄積した電力情報から使用実績を分析して、この分析の結果、通電の必要のない時間帯は通電遮断器をオフにすることが知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載のものは、省エネを図る時間帯を自動的に判断して対応するのに、本体への通電時の電力情報、つまり、単位時間当りの平均電力、タイマの設定による所定タイミングでの瞬時電力、電圧と電流の位相差、ダイナミックインピーダンスなどの情報を蓄積し、蓄積したデータから通電をしなくてもよい時間帯かどうかを判定するようにしている。また、判定した通電をしなくてもよい時間帯は全て省エネ保温を行っている。
【0005】
特に、省エネ保温では加熱を一旦停止するが、所定の下限温度、例えば60℃にまで降温すると、以降、加熱を再開してこの下限温度を保つように省エネ保温を続行している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、省エネ保温は実使用がないか実使用の頻度が低い時間帯に行うが、電源をオフした使用停止状態にしておくよりは、不測な実使用にも不便がないようにする意図がある。しかし、特許文献1に記載のもののように、省エネ保温時の下限温度を1通りに設定してしまうのでは、不都合が生じる。
【0007】
通常保温での実使用においても再沸騰を図って後に実使用することがあることから、通常保温よりも低い省エネ保温温度での省エネ保温状態にて実使用にあっては、再沸騰の後に実使用することが大半であると考えられるにもかかわらず、保温温度が低い分沸騰に要する時間が長くかかる上、同じ保温温度でも液量によって沸騰に要する時間がまちまちで、これを管理できないまま使用に供するのはユーザを困惑させる。
【0008】
例えば、下限温度が低過ぎると液量が多い場合に沸騰までの待ち時間が思いがけない長さになってユーザに不満や不便を与えやすい。そこで、下限温度を高く設定すると省エネ効果が低下する。
【0009】
本発明の目的は、省エネ保温モードでの液量による再沸騰時間のばらつきを所定の範囲に抑えられるようにした電気貯湯容器の省エネ保温方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の省エネ保温方法は、電気貯湯容器にて内容液を通常保温や通常保温温度よりも低い省エネ保温温度での省エネ保温をしながら使用状態を継続して吐出操作による実使用に供するのに、設定した省エネ時間帯になる都度、内容液を所定の時間で沸騰させられるように現在の液量に応じ省エネ保温温度を変えて省エネ保温を行い、省エネ保温中に吐出ロックのロック解除操作があると、その後所定の時間だけ通常保温を行うことを特徴としている。
【0011】
このような構成では、電気貯湯容器の使用継続状態にて設定した省エネ時間帯になる都度、通常保温温度よりも低い省エネ保温温度での省エネ保温を行うのに、内容液を所定の時間で沸騰させられるよう現在の液量に応じ省エネ保温温度を変えるので、省エネ保温の時間帯によって液量に違いがあっても、省エネ保温中の沸騰操作にて湯沸しを行う場合、湯沸しモードに設定している加熱容量で所定の所要時間にて沸騰させることができ、湯沸し時間が不定であったり、湯沸し時間が長すぎたり、省エネ保温温度が一律に高くて省エネ効果を損なったりすることが解消される。特に、省エネ保温中の吐出ロックのロック解除操作によってその後所定の時間だけ通常保温を行うのに、ロック解除は吐出操作に先立って行われるので、吐出に対する温度の立ち上げを早期に開始することができる。
【0021】
本発明のそれ以上の目的および特徴は、以下の詳細な説明で明らかになる。本発明の各特徴は、それ単独で、あるいは可能な限り種々な組合せで複合して採用することができる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図を参照しながら詳細に説明し、本発明の理解に供する。以下の説明は、本発明の具体例であって、特許請求の範囲を限定するものではない。
【0023】
本実施例は、家庭用の電気ポットの場合の一例であり断熱容器を内容器に用いている。図1に示す例の断熱容器はステンレス鋼製の真空二重容器3を外装ケース2に内容器として収容した器体1を持ち、ヒータ11によって内容液を加熱して貯湯し、内容液を電動ポンプ26および手動ベローズポンプなどの手動ポンプ10のいずれかによって、管路タイプの吐出系25を通じ外部に吐出して給湯し使用に供する構成を有している。しかし、本発明はこれに限定されることはなく、内容液をヒータ11により加熱して湯沸しや通常保温、省エネ保温をしながら貯湯し、使用に供するものであれば足り、吐出は必ずしも電動や手動のポンプによらなくても器体1を傾けて行うことも含め本発明は有効であるし、湯沸しを行わないものでも対象として有効である。もっとも、ステンレス鋼は金属の中で熱伝導性が低く、かつ曲げ剛性、強度が十分であり、しかも防錆効果を持ち、Cuを含有するなどで抗菌性をも発揮させやすいので、飲食用の電気貯湯容器には好適であり、真空二重容器3を提供するのに適している。また、真空二重容器3は必ずしも外装ケース2に収容する必要はなく外装体に共用することができる。また、電源回路基板27と操作部Dや初期設定にて設定された動作モードに従った動作制御を行うのにマイクロコンピュータ33aを搭載した制御基板33を用いているが、これもハード回路を含めた種々な機器を採用した制御手段とすることができる。操作部Dは器体1の上端部前方へ例えば嘴状に突出した突出部31の上面に設けた操作パネル32で構成してあり、その内側に設けられる制御基板33上の各種スイッチ類48を、操作パネル32に一体形成した樹脂ばねや別体に設けられたキー部材による操作手段によって個々に押動してオン操作できるようにしているが、これも、本発明の本質的なものではなく具体的な構成は特に問うものではない。マイクロコンピュータ33aは湯沸しや通常保温、省エネ保温のために内容液の温度を検知する内容液温度検知手段29からの温度情報を用いるようにしている。内容液温度検知手段29は内容器としての真空二重容器3におけるヒータ11を当てがっている一重底部の中央に、個別に当てがった内容器センサとしてある。
【0024】
なお、操作パネル32は図3に示すように、中央部に設定保温温度や現在温度、現在動作モード、あるいは危険報知や必要操作の促しなどを画面表示する液晶表示部81、そのまわりに貯湯内容液71を吐出して給湯を行う吐出キー82、吐出キー82による吐出操作をロックまたはロック解除するロック・解除キー83、省エネモードを手動設定する省エネキー84、通常保温、省エネ保温中に再沸騰を行う再沸騰キー85、98度保温や90度保温の別、タイマ設定時間の別などを選択する選択キー86、吐出操作があったときの吐出量を設定する計量カップキー87、および設定数値をアップダウンするアップキー88、ダウンキー89を有している。また、ランプ表示としてはロック解除ランプ91、給湯報知ランプ92、省エネランプ93などがLEDなどを利用して設けてある。
【0025】
本実施例の電気貯湯容器としての電気ポットは、特に、省エネ保温方法として、貯湯内容液71を通常保温や通常保温温度T0よりも低い省エネ保温温度T1での省エネ保温をしながら使用状態を継続して吐出操作による実使用に供するのに、例えば1日24時間中に設定した図8(b)に示すような省エネ時間帯Z1〜Z4になる都度、貯湯内容液71を図14に例示する所定の時間tで沸騰させられるように現在の液量Qに応じ省エネ保温温度T1を変えて省エネ保温を行う。図14での例では流量Q1に対して省エネ保温温度T11を設定し、流量Q2に対して省エネ保温温度T12を設定し、流量Q3に対して省エネ保温温度T13を設定してある。ここに、Q1>Q2>Q3である。
【0026】
このように電気ポットの電源がオンした使用継続状態にて、設定した省エネ時間帯Z1〜Z4になる都度、通常保温温度T0よりも低い省エネ保温温度T1での省エネ保温を行うのに、貯湯内容液71を所定の時間tで沸騰させられるよう現在の液量に応じ省エネ保温温度T1を上記のように変える。これによって、省エネ保温の時間帯Z1〜Z4によって液量Qに違いがあっても、省エネ保温中の沸騰操作にて湯沸しを行う場合、湯沸しモードに設定している図14に示す加熱容量WH0で所定の所要時間tにて沸騰させることができる。従って、湯沸し時間が不定であったり、湯沸し時間が長すぎたり、省エネ保温温度が一律に高くて省エネ効果を損なったりすることが解消される。
【0027】
なお、通常保温は設定された選択保温温度に合った図14に示す加熱容量WH1にて加熱するが、それよりも低い省エネ保温温度T1での省エネ保温時の加熱容量WH2は図14に示すように通常保温時の加熱容量WH1よりも低くなる。ここに、WH0>WH1>WH2であり、加熱容量WH1は選択された保温温度によって複数設定されるし、加熱容量WH2もその時々で検出される液量Qに応じて複数に設定される。もっとも、加熱容量WHはデューティ比、消費電力量などにて種々に設定することができる。
【0028】
以上のような方法を達成するのに、貯湯内容液71をヒータ11により加熱して通常保温や通常保温温度T0よりも低い省エネ保温温度T1での省エネ保温をしながら使用状態を継続して吐出操作による使用に供するようにした本実施例の電気ポットは、図2に示すように省エネ保温に関する時間帯Z1〜Z4を記憶した記憶手段75と、設定した省エネ時間帯Z1〜Z4になる都度、貯湯内容液71を所定の時間tで沸騰させられるように現在の液量Qに応じ省エネ保温温度T1を設定する省エネ保温温度設定手段78と、設定された省エネ保温温度T1にて対応する省エネ時間帯Z1〜Z4での省エネ保温を行う省エネ保温制御手段74とを備えたもので足り、記憶手段75は内容液の交換や洗浄などで電源がオフされても、設定された省エネ時間帯Z1〜Z4を記憶し続けるのにバックアップ電源76を持つなどした不揮発メモリを採用するのが好適である。
【0029】
なお、省エネ時間帯Z1〜Z4は、ユーザなど人手によって設定することもできるが、所定期間における時刻変化や経過時間の変化に伴うユーザの実使用の実績を記憶手段75に記憶し、記憶した実使用の実績経過から実使用がないか頻度の低い時間帯を省エネ保温制御手段74によって省エネ時間帯Z1〜Znとして自動設定することができ、それ以外は通常保温時間帯R1〜Rnとして設定することができる。ここで、省エネ時間帯Z1〜Znを設定してそれ以外を通常保温時間帯R1〜Rnとして取り扱い、あるいは通常保温時間帯R1〜Rnを設定してそれ以外を省エネ時間帯Z1〜Znとして取り扱うことができる。従って、記憶手段75には通常保温時間帯R1〜Rnおよび省エネ時間帯Z1〜Znのいずれを設定して記憶しておいても実質的な変わりはない。これを達成するには実使用の実績経過を判定する図2に示すような実使用の実績判定手段73を設けておけばよい。また、実使用の実績を時刻管理するには時計手段77も設けておけばよい。経過時間で見るタイマ機能を用いるだけでよい。しかし、週間での実使用パターン、期間、時期、季節などでの実使用パターンに適合した省エネ時間帯を設定するにはカレンダ機能が好適となる。図2では実績判定手段73、省エネ保温制御手段74、時計手段77、省エネ保温温度設定手段78のいずれもマイクロコンピュータ33aの内部機能としている。しかし、必要に応じ個々の機器と代替することもできる。
【0030】
省エネ保温温度T1は通常保温温度T0よりも十分に低いので、通常保温モードから省エネ保温モードに移行するのに、どんな場合も加熱を停止してよく、これによって省エネの開始と、そのときの内容液の降温変化による省エネ保温温度T1の自動設定操作の開始とが確実に図れる。そこで、上記の省エネ保温方法とは別に、電気貯湯容器にて貯湯内容液71を通常保温や通常保温よりも低い省エネ保温温度での省エネ保温をしながら使用状態を継続して吐出操作による実使用に供するのに、設定した省エネ時間帯Z1〜Znになる都度、一旦加熱を停止して以降、内容液を所定の時間tで沸騰させられるように現在の液量Qに応じて変えた省エネ保温温度T1にて省エネ保温を行うようにするのが好適である。
【0031】
これにより、電気貯湯容器の使用継続状態にて設定した省エネ時間帯Z1〜Znになる都度、加熱を停止して省エネを図りながら、加熱の停止によって貯湯内容液71が通常保温温度T0よりも低く自然降温していくのに対しては、貯湯内容液71を所定の時間tで沸騰させられるよう現在の液量Qに応じ省エネ保温温度T1を変えて通常保温温度T0よりも低温での省エネ保温を行って対応する。従って、省エネ保温の時間帯Z1〜Znによって液量Qに違いがあっても、省エネ保温中の沸騰操作にて湯沸しを行う場合、湯沸しモードに設定している加熱容量WHで所定の所要時間tにて沸騰させることができる。このため、湯沸し時間が不定であったり、湯沸し時間が長すぎたり、省エネ保温温度が一律に高くて省エネ効果を損なったりすることが解消される。
【0032】
なお、液量Qは、加熱を停止して省エネ保温モードに入ってからの内容液の温度変化によって判定することができる。このようにすると、加熱を停止して省エネ保温モードに入ると貯湯内容液71は自然に降温するが、その降温速度は液量Qによって違うので、そのときの温度変化、具体的には降温勾配ないしは降温特性や所定温度幅変化する時間などから液量を判定して省エネ保温温度T1の設定に供することができる。従って、液量検出のためのセンサ類が不要となる。また、自然降温には室温も関係しているので、室温の違いによる沸騰時間のばらつきも特別なモニタなしに併せ解消することができる。
【0033】
また、液量Qは、通常保温時の加熱またはおよび加熱停止によって判定することもできる。このようにすると、通常保温時でも所定の通常保温温度T0を保つために、加熱をしたり停止したりするので、昇温または降温の速度が液量によって違うし、加熱のオン、オフ繰り返しサイクルが違うので、これらを利用して液量Qを判定し、省エネ保温温度T1の設定に供することができる。従って、液量検出のためのセンサ類が不要となる。また、加熱昇温、自然降温には室温も関係しているので、室温の違いによる沸騰時間のばらつきも、室温の特別なモニタなしに併せ解消することができる。また、省エネ保温モードになる前に次の省エネ時間帯Z1〜Znのための省エネ保温温度を設定しておくことができる。
【0034】
また、省エネ保温モード中、従って省エネ時間帯Z1〜Znの途中に、図14に示すような吐出または沸騰操作があると、その後所定の時間t1だけ、通常保温を行うようにする。このように省エネ保温モード中に吐出や、沸騰操作があると、実使用が繰り返される確率が高いといえる。しかし、その後所定時間t1の間は通常保温を行うので、省エネ保温モードにて実使用が繰り返されて、その都度省エネ保温温度T1からの立ち上げが必要になるといったことによるユーザの不便が解消する。
【0035】
ここで、液量と液温とによる沸騰までに要する待ち時間の違いは、本発明者の実験例によると容量3Lの電気ポットで図7に示す通りであり、種々に変化する。ユーザの待ち時間を例えば7分を限度とすると、7/7の液量Q1では省エネ保温温度T1は80℃、6/7の液量Q2では省エネ保温温度T1は75℃、5/7の液量Q3では省エネ保温温度T1は70〜75℃の間、4/7の液量Q4では省エネ保温温度T1は65℃、3/7の液量Q5では省エネ保温温度T1は55℃、2/7の液量Q6では省エネ保温温度T1は35〜30℃と設定してよいし、1/7の液量Q2では省エネ保温温度T1は20℃と設定しても待ち時間は5分と短縮することができ、一律に保温温度を60℃に設定する場合に比し、液量Q1〜Q3においてユーザに対する待ち時間が少なくて済み、液量Q4、Q5において大差なく、液量Q6、Q7において待ち時間が少なく、かつ高い省エネ効果が得られる。しかし、待ち時間は5分前後が標準的と思われる。
【0036】
しかし、液量Qと省エネ保温温度T1との関係は、ユーザによる所定の時間t1の設定に基づき変えることができる。これにより、液量Qに応じて設定する省エネ保温温度T1を、ユーザが限度とする待ち時間に対応して設定する所定の時間t1によって変更し、省エネ効果を優先するか、待ち時間の短縮を優先するかの選択ができ、便利となる。
【0037】
ここで、図8(a)に示す省エネ時間帯Z1〜Z4の設定は、図8(b)に示す食事時の時間ブロックB1、B3、B5と、そうでない時間ブロックB2、B4、B6とで、実使用Pによる使用実績としての異なった取り扱いのもとに設定、つまり、食事時での実使用Pの重みを大きくして、非食事時の実使用Pの重みを小さくして取り扱うことで、一般に実使用されやすい食事時の時間帯を通常保温時間帯R1〜R4に優先して設定し、実情に合わせやすくしている。
【0038】
具体的には、時計手段77が計時している時間における1日単位での食事時の時間ブロックB1、B3、B5に対応する時刻間t1〜t2、t3〜t4、t5〜t6および、非食事時の時間ブロックB2、B4、B6に対応する時刻間t2〜t3、t4〜t5、t6〜t1ごとに実使用Pの実績を実績判定手段73により判定し、省エネ保温制御手段74が、食事時の時間ブロックB1、B3、B5では実使用Pが1回でもあれば通常保温時間帯R1〜R3に設定するのに対し、非食事時の時間ブロックB2、B4、B6では、実使用Pが2回以下では通常保温時間帯Rとはせず、省エネ時間帯Zとする。しかし、非食事時の時間ブロックB2、B4、B6は就寝時を含むなど長時間に及ぶことが多いので、その間での実使用Pの回数だけで見ると実情にあわないことが多い。そこで、図8の例では非食事時の時間ブロックB2、B4、B6では、所定の時間t2の間に2回以上の実使用があると、実使用の頻度が高いと見て通常保温R3を設定するようにしている。
【0039】
このような実績の判定は24時間の実使用データを数日分累積した結果から判定するほど、通常保温時間Rを設定しなくてもよいイレギュラーな実使用かどうかをより正確に判定することができる。また、数日間サイクル以外にも、1週間サイクル、数週間サイクル、1ケ月間サイクル、数ケ月間サイクル、四季サイクルを通じた長期の記憶データからユーザの実使用の実績経過、ないしは使用パターン、生活パターンを容易かつ的確に判定し対応することができる。曜日ごと以上のパターンサイクルに対応するには時計手段77としてカレンダ機能を採用するのが好適である。
【0040】
ところで、既述した操作パネル32によると、貯湯内容液71を吐出するには必ず吐出キー82が操作されるし、ロック・解除キー83の操作もこれがあると次に吐出操作を行う意思表示となるので、ほぼ100%の確率で吐出操作が行われる筈であり、いずれによっても吐出操作に関係する電気信号が得られる。また、手動ポンプ10による吐出であってもこれをスイッチやセンサにて検出すれば吐出操作の電気信号が得られる。
【0041】
また、電気ポットでの吐出系25内の吐出系内容液71aは通常、図1に示すように湯沸し後や保温中の貯湯内容液71と同じ液量を保っている。しかし、吐出系内容液71aはヒータ11によって加熱されないので貯湯内容液71よりも温度が低い。このため、貯湯内容液71の吐出によってそれが吐出系25に吐出されてくる都度、吐出系25およびそのまわりの温度が上昇する。図5に98度保温の場合の吐出系25各部における温度変化、図6に90度保温の場合の吐出系25各部における温度変化の実験例を示している。図5、図6のいずれも▲1▼は制御基板33の裏面、▲2▼は突出部31の制御基板33を収容したボックス101の内側、▲3▼は吐出口部25cの表面、▲4▼は電源・駆動系基板27の裏面、▲5▼は電動ポンプ26の表面である。98度保温では保温温度が高い分だけ吐出の影響が大きく、▲1▼〜▲5▼のどの個所でも貯湯内容液71の吐出によってはっきりした1つの温度ピークが得られ、90°保温では▲4▼を除いてはっきりした1つの温度ピークが得られ、▲4▼の場合でもその数やタイミングは不定であるが、保温時にはなかった温度ピークが得られている。
【0042】
したがって、吐出系25またはその近傍の温度を吐出系センサ72などによって貯湯内容液71が吐出された実使用の有無を、吐出が電動ポンプ26によって行なわれるか、手動ポンプ10によって行われるか、あるいは器体1を傾けて行われるかといった別なく、吐出に関した1つの電気信号によって実使用Pの信号が確実に得られ、上記のような省エネ時間帯の自動設定が単純なデータによる簡単なデータ処理によって容易に行える。
【0043】
なお、吐出系センサ72はサーミスタなどを用いたもので、吐出系25またはその近傍の温度を検出できる、例えば図1に示すような位置に設けた吐出系センサ72としてあり、実績判定手段73、省エネ保温制御手段74、時計手段77はそれぞれ単独の回路ないしは機器によって、あるいは複数の回路ないしは機器の組合せによって構成することはできる。しかし、本実施例では図2に示すように前記動作制御用のマイクロコンピュータ33aの内部機能として設けてある。
【0044】
また、吐出系温度検知手段としての吐出系センサ72は、図1に示すように吐出系25の近傍にある既設の回路基板としての制御基板33に搭載してある。このように、吐出系センサ72を用いるのに、既設の制御基板33に搭載することによって、特別な取付け部材や配線部材なしに設けられるので、特にコスト上昇の原因にはならない。
【0045】
さらに、前記制御基板33は、前記器体1の肩部6前部へ突出し吐出系25の吐出口部25cを内蔵した突出部31の上面の内側に位置している。これにより制御基板33は、前記器体1の突出部31に内蔵した吐出系25の吐出口部25cの直ぐ上にあって、それに搭載している吐出系センサ72を前記吐出口部25cの近傍に位置させられるので、吐出系25の近傍の温度を検出しやすい。
【0046】
しかも、吐出系センサ72は、図に示すように制御基板33の裏面に設けられるなどして、吐出系25の上方、より具体的には吐出口部25cの上方に位置しているので、吐出系25からの熱を受けやく、吐出系25の温度をより検出しやすい。
【0047】
ここで、制御基板33の上に向いた表面は前記スイッチ類48や図示しない表示ランプなどのハード部品を搭載しているのに対し、制御基板33の裏面はチップ型のマイクロコンピュータ33aなどのチップ部品を面実装してあり、吐出系センサ72をチップ型のサーミスタなどによるものとすることで、部品コストおよび搭載コスト共に低減することができる。
【0048】
図4に示す例では、制御基板33を収容している操作部ボックス101と吐出口部25cとの間に熱伝導部材102を挟みこんである。これによって、吐出系25の吐出口部25cの貯湯内容液71の吐出による温度上昇に対する吐出系センサ72の応答性能を高めることができる。熱伝導部材102は例えば熱伝導用のシリコンシートを利用するのが好適で、少し厚めのものを弾性を利用して挟み込むと特別な成形を必要とすることなく操作部ボックス101と吐出口部25cとの双方に密着させられる。
【0049】
ここで、本実施例のマイクロコンピュータ33aによる制御例について説明すると、図9に主な制御のメインルーチンを示しているように、電源オンによって初期設定が行われた後、各種センサや操作による入出力の処理が行われる。次いで、入出力およびそれに伴う動作制御に関した表示処理が行われる。続いて、初期沸騰や再沸騰を図る沸騰処理、98度や90度での通常保温や、それよりも低く、加熱停止をも含む手動設定および設定での省エネ保温を行う保温処理が行われる。さらに、吐出操作による吐出処理、および前記自動省エネ設定のための省エネ設定処理、その他の処理が行われる。そこで、何らかの異常による異常信号がなく、電源がオフされない限り、それ以降、入出力処理以下の処理が繰り返される。
【0050】
上記省エネ設定処理を行うサブルーチンは図10に示すように、専用キーの操作ないしは省エネキー84など他のキーの長押し操作などの省エネ設定操作があると省エネ設定フラグを0とし、これが次に判定されることによって時計手段77が計時している時刻の取り込みを開始し省エネ設定操作を自動的に行う。ここで、省エネフラグを初期設定によって0にしておくと、人による省エネ設定操作なしに電気ポットの使用初期に自動的に行うことができる。省エネ設定後は省エネ設定フラグが1とされ、これが省エネ設定操作による手動解除や特別な理由による自動解除があるまで、その省エネ設定状態のままリターンする。
【0051】
省エネ設定処理は計時時刻読み込み開始に併せ、吐出に関する実使用Pの電気信号がある都度、貯湯内容液の吐出を伴う実使用Pがある都度、現在時刻を記憶手段に記憶することを繰り返す。この繰り返しに伴い省エネ判定の日時、周、月、季節など所定の日時が経過したかどうかを判定し、経過した時刻でそれまで記憶手段に記憶された実使用Pの実績から、初期設定され、あるいは手動設定などされた食事時の時間ブロックと非食事時の時間ブロックとで異なった基準での実使用の実績経過が判定され、それ以降に適用する省エネ時間帯Zや通常保温時間帯Rを図11に示す省エネ時間帯設定サブルーチンに示すような処理によって設定し、省エネ設定フラグを1にする。
【0052】
図11に示す処理では、まず、現在時間ブロックBが判別され、時間ブロックB1〜Bnのうちの該当する時間ブロックの制御フローに移行する。食事時につき時間ブロックB1で代表して説明すると、開始時刻から終了時刻までの実使用Pの回数がカウントされ、終了時刻までに時間ブロックB1に対応する実使用の回数基準値N1に達したかどうかを判定し、達していない場合は当該時間ブロックB1を省エネ時間帯Zに設定する。達していると通常保温時間帯Rの設定ないしは保温制御にて通常保温時間帯Rの取り扱いとする。このときのカウントは所定の日時が複数日である場合はそれが終了するまで、該当時刻になると繰り返されるので、日単位を越えた累積結果をもって判断できることになる。しかし、具体的な設定操作はどのようにもできる。
【0053】
次に、非食事時につき時間ブロックB4で代表して示すと、開始時刻から終了時刻までに実使用Pがある都度、その時刻の読み込みとともに回数がカウントされ、終了時刻までに時間ブロックB1に対応する実使用の回数が基準値N4に達したかどうかを判定し、達していると省エネ時間帯の設定を行わず、通常保温時間帯を設定するかそのような取り扱いを行う。達していない場合、さらにそれよりも低いサブ基準値N4′以上であるかどうかを判定し、そうであると時間ブロックB4における実使用Pのあった時間帯以外、例えば図8の例の通常保温時間帯R3以外を省エネ時間帯、図8の例の省エネ時間帯Z2、Z3とする。この場合の通常保温時間帯R3は、時間ブロックB4における所定時間内での実使用時間帯よりも前後に適当な時間幅を持った余裕を見て設定するのが実使用の実態から外れないために好適である。このときのカウントも所定の日時が複数日である場合はそれが終了するまで、該当時刻になると繰り返されるので、日単位を越えた累積結果をもって判断できることになる。しかし、具体的な設定操作はどのようにもできる。
【0054】
上記保温処理サブルーチンは図12に示しているように、1つあるいは複数設定された省エネ時間帯Z1・・Znにおける省エネ開始時刻かどうかを、前記計時を基に判定し、そうでなければ、省エネ保温の手動操作があったかどうかを判定し、これもなければ通常保温時間帯Rとして選択された温度での通常保温を行う。省エネ保温の手動操作があると設定された省エネ保温を行うが、省エネ保温中に吐出があると省エネ保温を解除し、通常保温に戻る。設定された省エネ時間帯Z1・・Znにおける省エネ開始時刻になると、省エネ保温に移行してヒータ11をオフし断熱容器としての真空二重容器3によるいわゆる魔法瓶保温を行って省エネ保温を開始し、時間経過とともに保温温度は通常保温の場合よりも低下していく。しかし、魔法瓶保温であることによって急激な温度低下はなく、貯湯内容液71の量や直前での湯温の違いなどによって異なるが8時間程度では60〜70℃程度の温度を保持することができる。
【0055】
省エネ終了時刻になると省エネ保温中に通常保温温度よりも低くなっているので、湯沸しモードなどによる通常保温への立ち上げ処理を行って後通常保温に復帰する。もっとも、この立ち上げ処理は内容液温度を判定した結果行うようにすることができる。
【0056】
省エネ開始時刻から省エネ終了時刻までの間に吐出または再沸騰操作があると、省エネ設定処理でのやり直し制御とは別に、前記同様湯沸しモードなどによる立ち上げ処理をして通常保温への復帰、または沸騰処理による湯沸しをさせ、とりあえず吐出による実使用、または再沸騰による実使用の可能性に対応する。図14にこのような制御例とその場合の内容液の温度変化を示している。通常保温の加熱モードによる設定温度を保っている通常保温時間帯R1から省エネ時間帯Z1が設定された不使用時間帯R1に移行すると、次の通常保温時間帯R2まで加熱が停止されて魔法瓶保温による完全な省エネ保温状態となる。
【0057】
ここで、内容液温度は通常、次の通常保温時間帯R2に移行して通常保温の加熱モードによる立ち上げ時刻まで低下し続ける。このため、図14に示すように省エネ時間帯Z1の途中でユーザを行うと、通常保温での設定温度よりも低い温度の内容液が吐出され、ユーザに不満を与えたり、不満度によっては温度立ち上げのための再沸騰操作を行うといった措置を行わせるなどユーザに不便を与える。そこで、このような省エネ時間帯Z1中に吐出操作や再沸騰操作があった場合、湯沸しモードによる設定保温温度への早期立ち上げ、あるいは湯沸しを行い、かつ、所定の時間tの間通常保温での加熱モードで設定保温温度に保ち、飲料用などで複数回繰り返し使用されるようなことに自動的に対応するようにしている。所定の時間tはそのときの吐出回数や吐出量によって吐出操作が外れないように変更するのが好適である。
【0058】
なお、省エネ保温の場合、手動設定、自動設定にかかわらず、省エネランプ93やまほうびん保温表示110を点灯させておくのがよい。また前記のような立ち上げにおいても、手動設定、自動設定にかかわらず省エネランプ93またはおよび設定保温温度表示111、あるいは現時刻の温度表示112を点滅させておくと特別なモードでの昇温中であることを告知でき好都合である。
【0059】
以上のように省エネ時間帯Z1・・Znの途中に吐出操作があって、立ち上げ処理する場合、液晶表示している現在湯温を数秒間点滅させて告知したり、設定保温温度表示111の点滅と省エネランプ93とを点滅させて告知をしたり、また、それらとともに、あるいは単独でブザーにより100msを3回働かせるといった告知をしたりすることでユーザに制御を特別な立ち上げ処理であることを認知させることができる。
【0060】
また、省エネ時間帯Z1・・Znの途中における吐出操作に代えて、吐出のロック解除操作があったときに立ち上げ処理をしてもよい。吐出ロックは一定時間吐出がないことによって自動設定され、ロック解除は吐出操作に先立って行われるので、吐出に対する温度の立ち上げを早期に開始することができる。
【0061】
また、最初の途中吐出には温度の立ち上げが間にあいにくい場合、最初の吐出があって後に立ち上げ処理して所定時間tの間通常保温するようにもできる。
【0062】
これら、途中吐出や吐出ロックの解除によって立ち上げ処理し、あるいは再沸騰操作によって湯沸しをした後、所定時間tだけ通常保温した後は、再度省エネ保温に戻すのが省エネ上望ましい。省エネ保温に戻すには途中吐出などがある時間の間途絶えることで行うと、途中の使用実態に対応したものとすることができる。
【0063】
また、図12の制御において、省エネ時間帯Z1・・Zn中の吐出操作があったときは、省エネ設定カウンタを+1し、カウントが1回、あるいはそれ以上の所定回数に達したとき、省エネフラグを0にする。これによって、実情に合わなくなった省エネ設定を図10に示す制御にて再度やり直すことになる。この再設定は、設定済の省エネ時間帯の全体について行ってもよいが、そのような省エネ保温中の実使用に関連する特定の省エネ時間帯についてだけ補正するように行い、これが複数、ないしは所定数の省エネ時間帯について行うときは設定済の省エネ時間帯の全体について再設定するようにしてもよい。
【0064】
具体的には、途中吐出が省エネ時間帯Z1・・Znにおけるどのタイミング時刻かによって該当する時間帯を補正することが考えられる。例えば、前記タイミング時刻が該当する省エネ時間帯における通常保温時間帯と隣接する境目近くであるときは、そのタイミング時刻が通常保温時間帯に含まれるように隣接する通常保温時間帯を隣接側に増加し、該当する省エネ時間帯を前記隣接側で短くする。また、省エネ時間帯Z1・・Znにおける吐出タイミングが該当する省エネ時間帯のほぼ中間時刻であると、該当する省エネ時間帯の全体または途中所定時間の間、下限温度を設定した省エネ保温を設定して、設定保温温度への立上がりが早まるようにして以降の使用に対応することもできる。
【0065】
さらに、図12に示す省エネ保温のサブルーチンの具体例を図13に示している。この例では、省エネ保温の開始に際しまず、保温ヒータをオフして省エネ保温、つまり魔法瓶保温状態を開始する。続いて、現在の液量Qと現在の室温TRの取り込みを行う。これは現在の内容液が沸騰するまでに要する時間を判定する要素であって、既述したように内容液の加熱、加熱停止に伴う温度変化であってもよい。次に、図14に示す初期設定され、あるいはユーザが設定した所定時間tにて内容液を沸騰させられる省エネ保温温度T0を判定し、設定する。以降、内容液が設定した省エネ保温温度T0を下回る都度、保温ヒータをオンして省エネ保温温度T0を保つようにする。
【0066】
なお、省エネ保温温度T1は、最低温度を設定しておきどのような場合もこれを下回らないようにし、貯湯内容液71が極端に低温になってしまうのを防止することもできる。
【0067】
以下、本実施例の電気ポットの具体的な構成について、さらに詳述すると、真空二重容器3はステンレス鋼製の内筒4と外筒5により構成され、ヒータ11は既述したように真空二重容器3の一重底部3cに当てがって加熱効率が低下しないようにしている。ヒータ11は容量の違う湯沸しヒータと保温ヒータに分けて併用したり、個別使用したりすることができるが、1つのものを湯沸しモードと保温モードとでデューティー比を変えるなど既に知られた方法で発熱容量を違えて使用するようにもできる。真空二重容器3を収容した外装ケース2は合成樹脂製であって、底部および胴部が一体形成され、胴部の上端に別体の肩部6を嵌め合わせ一体にすることで、真空二重容器3を収容し保持している。真空二重容器3の一重底部には吐出系25が接続され、この吐出系25は真空二重容器3と外装ケース2との間を立ち上がり、器体1の前部に吐出口25dが臨んでいる。吐出系25の途中には遠心ポンプなどである電動ポンプ26が設けられ、吐出系25に流入する内容液を吐出口25dに向け送り出し、吐出するようにしている。しかし、電動ポンプの方式はくみ上げ式、加圧式などを問わず自由に選択することができる。併せ、真空二重容器3の口部に通じる器体1の器体開口12を開閉できるように覆う蓋13に手動ポンプ10が設けられ、押圧板61による押圧操作で真空二重容器3内に加圧空気を吹き込み貯湯内容液71を加圧して吐出系25を通じ押し出し外部に吐出させられるようにしている。手動ポンプ10は電源なしのところで貯湯内容液71を手動吐出して給湯できる利点がある。
【0068】
吐出系25の立上がり部25aは透明管としてそこでの液量が器体1の透明な液量表示窓62から透視できるようにしている。しかし、内容液の液量は立上がり部25aの液量をフォトカプラなどによって段階的に検出して表示し、また各種の制御のための液量データとして用いることもできる。また液量の自動検出は静電容量方式によってもよいし、貯湯内容液71をヒータ11で加熱するときの昇温特性や、ヒータ11の加熱を停止したときの降温特性によっても液量を自動検出することができる。
【0069】
蓋13は真空二重容器3からの蒸気を外部に逃がす蒸気通路17が形成され、蓋13の真空二重容器3内に面する位置の内側開口17aと、外部に露出する外面に形成された外側開口17bとの間で通じている。蒸気通路17の途中には、器体1が横転して貯湯内容液71が進入してきた場合にそれを一時溜め込み、あるいは迂回させて、外側開口17bに至るのを遅らせる安全経路17cを設けてある。これにより、器体1が横転して内容液が蒸気通路17を通じて外部に流出するまでに器体1を起こすなどの処置ができるようになる。また、蒸気通路17には器体1の横転時に、蒸気通路17に進入しようとし、あるいは進入した内容液が先に進むのを阻止するように自重などで働く転倒時止水弁18が適所に設けられている。図示する実施例では内側開口17aの直ぐ内側の一か所に設けてある。
【0070】
蓋13の前部には閉じ位置で肩部6側の係止部19に係合して蓋13を閉じ位置にロックするロック部材21が設けられ、蓋13が閉じられたときに係止部19に自動的に係合するようにばね22の付勢によってロック位置に常時突出するようにしている。これに対応して蓋13にはロック部材21を後退操作して前記ロックを解除するロック解除部材23が設けられている。ロック解除部材23は図1に示すように軸24によって蓋13に枢支されたレバータイプのものとされ、前端23aを親指などで押し下げて反時計回りに回動させることでロック部材21をばね22に抗して後退させてロックを解除し、続いてロック解除操作で起き上がった後端23bを他の指で引き上げることによりロックを解除された蓋13を持ち上げこれを開くことができる。
【0071】
外装ケース2の底と真空二重容器3の底部との間の空間には、前記電動ポンプ26とともに、電源・駆動系基板27を収容する回路ボックス28が設置されている。図示する実施例では回路ボックス28は外装ケース2の底の開口部に一体形成して設けてある。また、回路ボックス28は下向きに開口しこれを閉じる蓋60を設けてある。
【0072】
吐出系25の上部は器体1の突出部31と外装ケース2側のパイプカバー部2dとの間に入った部分で逆U字状のユニットである吐出口部25cを構成し、この吐出口部25cに転倒時止水弁34aおよび前傾時止水弁34bと吐出口25dを設けている。吐出口25dはパイプカバー部2dを通じて下向きに外部に開口している。
【0073】
外装ケース2の底部にある開口には下方から蓋板36を当てがってねじ止めや部分的な係合により取付け、蓋板36の外周部には回転座環37が回転できるように支持して設けられ、器体1がテーブル面などに定置されたときに回転座環37の上で軽く回転して向きを変えられるようにしてある。
【0074】
また、制御基板33に設けた吐出系センサ72は、吐出温度を検出していない間の検出温度を室温としてモニタし、貯湯内容液の湯沸し制御や保温制御、液量判定など各種の制御に用いることができる。
【0075】
なお、上記とは別の省エネ保温方法として、電気ポットにて貯湯内容液71を通常保温や通常保温よりも低い省エネ保温温度T1での省エネ保温をしながら使用状態を継続して吐出操作による実使用に供するのに、設定した省エネ時間帯Zになる都度、加熱を停止し、沸騰操作があると、その時刻の液量Qおよび内容液温度に応じ所定の時間tにて沸騰させられるように変えた加熱容量WHにて湯沸しを行うこともできる。このようにすると、電気ポットの使用継続状態にて設定した省エネ時間帯Zになる都度、加熱を停止して省エネを図りながら、加熱の停止によって貯湯内容液71が通常の保温温度よりも低く自然降温していくのに対しては、沸騰操作がある都度、貯湯内容液71を所定の時間で沸騰させられるよう現在の液量Qと内容液温度とに応じ加熱容量WHを変えて湯沸しを行うので、省エネ保温の時間帯による液量Qの違いや、省エネモード途中での沸騰操作時刻による内容液温度の違いがあっても、所定の所要時間tにて沸騰させることができ、湯沸し時間が不定であったり、湯沸し時間が長すぎたり、省エネ保温温度が一律に高くて省エネ効果を損なったりすることが解消される。
【0076】
もっとも、湯沸しモードは電気ポットの最大加熱容量で極力短時間にて行われるようにするのが普通であるが、以上のように液量Qに対して加熱容量を変えて沸騰までの時間を一定にする場合は、最大加熱容量にて常に湯沸しを行うようにはならない。そこで、一定以上の液量Qの場合に、一律な最大加熱容量としながら先の制御例のように液量Qに対応した省エネ保温温度T1を変更し、一定以下の液量の場合に、省エネ保温温度T1を変更しない加熱を停止した自然降温のままで、最大加熱容量以下の加熱容量の変化で対応するようにもできる。これにより、通常の最大加熱容量を上回るような設定を避けることができる。
【0077】
また、液量Qの判定は、貯湯内容液71が持つ静電容量の大小によって判定してもよいし、フォトセンサなどの水位センサによっても、また、所定水位からの流量や吐出量に基づく減算方式によっても判定することができる。
【0078】
また、過去の実使用Pの実績から省エネ時間帯が繰り返される頻度に対するランク付けを行い、具体的には、省エネ保温時間帯の繰り返しが1日であるのを最低ランク、1ヶ月であるのを最高ランクとし、最高ランクの場合には設定した省エネ時間帯の途中に実使用されることの確率が低いのを利用して、液量Qによる省エネ保温温度T1の変化は行わず、最低温度での省エネ保温制御または加熱停止を行うようにすると、不測な実使に対し不便となることを回避しながら省エネ効率を高めることができる。
【0079】
【発明の効果】
本発明の省エネ保温方法によれば、電気貯湯容器の使用継続状態にて設定した省エネ時間帯になる都度、通常保温温度よりも低い省エネ保温温度での省エネ保温を行うのに、内容液を所定の時間で沸騰させられるよう現在の液量に応じ省エネ保温温度を変えるので、省エネ保温の時間帯によって液量に違いがあっても、省エネ保温中の沸騰操作にて湯沸しを行う場合、湯沸しモードに設定している加熱容量で所定の所要時間にて沸騰させることができ、湯沸し時間が不定であったり、湯沸し時間が長すぎたり、省エネ保温温度が一律に高くて省エネ効果を損なったりすることが解消される。特に、省エネ保温中の吐出ロックのロック解除操作によってその後所定の時間だけ通常保温を行うのに、ロック解除は吐出操作に先立って行われるので、吐出に対する温度の立ち上げを早期に開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気貯湯容器の実施例に係る電気ポットの1つの例を示す断面図である。
【図2】図1の電気ポットの制御回路図である。
【図3】図1の電気ポットの操作部の平面図である。
【図4】図1の電気ポットの別の例を示す一部の断面図である。
【図5】図1の電気ポットの98度保温時の、貯湯内容液の吐出による吐出系各部の温度変化を示すグラフである。
【図6】図1の電気ポットの90度保温時の、貯湯内容液の吐出による吐出系各部の温度変化を示すグラフである。
【図7】液量および液温の違いによる内容液を沸騰させるのに要する時間を示す表である。
【図8】24時間単位での、食事時と非食事時との時間ブロックごとの実使用に関する1日分の実績経過から省エネ時間帯を設定する操作の手順を示す説明図である。
【図9】図2の制御回路の主な制御例を示すメインルーチンのフローチャートである。
【図10】図9における省エネ設定処理サブルーチンのフローチャートである。
【図11】図10における省エネ時間帯設定処理サブルーチンのフローチャートである。
【図12】図9における保温処理サブルーチンのフローチャートである。
【図13】図12の保温処理における省エネ保温処理サブルーチンのフローチャートである。
【図14】省エネ時間帯における途中吐出や再沸騰操作があったときの制御例と、それによる内容液の温度変化を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
D 操作部
1 器体
10 手動ポンプ
11 ヒータ
25 吐出系
26 電動ポンプ
32 操作パネル
33 制御基板
33a マイクロコンピュータ
71 貯湯内容液
72 吐出系センサ
73 実績判定手段
74 省エネ保温制御手段
75 記憶手段
76 バックアップ電源
77 時計手段
78 省エネ保温温度設定手段
82 吐出キー
85 再沸騰キー

Claims (1)

  1. 電気貯湯容器にて内容液を通常保温や通常保温温度よりも低い省エネ保温温度での省エネ保温をしながら使用状態を継続して吐出操作による実使用に供するのに、設定した省エネ時間帯になる都度、内容液を所定の時間で沸騰させられるように現在の液量に応じ省エネ保温温度を変えて省エネ保温を行い、省エネ保温中に吐出ロックのロック解除操作があると、その後所定の時間だけ通常保温を行うことを特徴とする省エネ保温方法。
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