JP3892753B2 - 固体微粒子分散液の製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、メディアミルを用いた固体微粒子分散液の製造方法に関し、より詳しくは、メディアミルに用いられるビーズの性質を規定することによって、優れた固体微粒子分散性を有する固体微粒子分散液の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
顔料、磁性粉、セラミックス粉体等の固体微粒子の多くは、粒子間の凝集力に比べて他の物質、例えば、水、有機溶剤、有機高分子等との親和力が弱い。このため二次凝集が生じ、分散液の有する特性が変化しやすい。そこで、分散媒中に第三成分として分散剤を加え、性質が安定している固体微粒子分散液を形成する技術が各種開発されている。
【0003】
固体微粒子を分散させる手段としては、ビーズをメディアとして用いたメディアミル(ビーズミル)が広く利用されており、例えば特開2001−46899号公報には、撹拌漕上面や内壁の摩耗を抑制するためのガード手段を設けたビーズミルの一改良形態が開示されている。
【0004】
固体微粒子分散液(以下、「分散液」とも記載)の製造においては、製造される分散液における固体微粒子の分散性を向上させることが求められている。これまでのところ、分散剤の改良やメディアミルの動作条件の改良などによって、固体微粒子の分散性を向上させる技術が開発されている(例えば、特開2001−343517号公報)。しかしながら、メディアミルに用いられているビーズの状態と、分散液の品質との相関関係については、これまで特別の注意は払われていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、メディアミルに用いられるビーズと固体微粒子の分散性との相関性を解明し、優れた分散性を有する固体微粒子分散液の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明は、メディアミルを用いて分散媒中に固体微粒子を分散させる固体微粒子分散液の製造方法であって、前記メディアミルに用いられるビーズは、比表面積が0.10〜0.50m2/gであり、アルミナ、ジルコニア、鋼及びクロム鋼からなる群より選択される少なくとも1種であり、および平均直径が0.01〜10mmであり、前記固体微粒子は、絶縁性微粒子、半導電性微粒子または導電性微粒子である、固体微粒子分散液の製造方法である。
【0007】
本発明者らは、メディアミルに用いられるビーズと分散液における固体微粒子の分散性との相関関係を鋭意検討した結果、ビーズの比表面積と固体微粒子の分散性との間に相関性を見出した。即ち、メディアミルに用いられるビーズの比表面積が一定の範囲であると、優れた分散性を有する分散液となる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本願発明は、メディアミルを用いて分散媒中に固体微粒子を分散させる固体微粒子分散液の製造方法であって、前記メディアミルに用いられるビーズは、比表面積が0.10〜0.50m2/gであり、アルミナ、ジルコニア、鋼及びクロム鋼からなる群より選択される少なくとも1種であり、および平均直径が0.01〜10mmであり、前記固体微粒子は、絶縁性微粒子、半導電性微粒子または導電性微粒子である、固体微粒子分散液の製造方法である。
【0009】
本発明者らは、メディアミルに用いられるビーズの比表面積が一定値以上になると、分散液の分散性が向上することを見出した。ビーズの比表面積が分散性に与える直接的な要因は定かではないが、ビーズの比表面積が増大するとビーズによる分散力が増大し、結果として分散液の分散性が優れたものとなると推測できる。ビーズの比表面積は、小さすぎると分散性が不充分なものとなる恐れがあるため、0.10m2/g以上であることが必要である。また、より一層高い分散性を付与するためには、0.12m2/g以上であることが好ましい。ビーズの比表面積の上限は特に限定されるものではないが、比表面積の増大に要する手間を考慮すると0.50m2/g以下であることが好ましく、0.40m2/g以下であることがより好ましく、0.30m2/g以下であることが特に好ましい。なお、本願において「比表面積」とは、用いられるビーズの比表面積の平均値を意味し、各種市販の比表面積測定装置を用いることができる。例えば、カンタクローム株式会社製NOVA2000を用いて、N2−BET法により測定することができる。
【0010】
メディアミルに用いられるビーズの材質は特に限定されるものではないが、アルミナ、ジルコニア、鋼、クロム鋼など少なくとも1種の金属原子を含むビーズを好適に用いるとよい。この中では、比重に起因する運動エネルギーの大きさを考慮すると、比重の高いジルコニアビーズを用いることが好ましい。
【0011】
ビーズの形状も特に限定されるものではなく一般的には球形状のものが使用される。ただし、ビーズが小さすぎるとビーズの持つ運動エネルギーが小さくなり、分散が進行しない恐れがある。また、取り扱いが困難となるため、ビーズの平均直径が、0.01mm以上であることが好ましく、0.1mm以上であることがより好ましく、0.5mm以上であることが特に好ましい。一方、ビーズが大きすぎると取り扱いが困難になる他、単位体積あたりのビーズ個数が少なくなるため分散効率が低下する。このため、ビーズの平均直径が、10mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましく、3mm以下であることが特に好ましい。
【0012】
本願において用いられるビーズは各種公知手段によって調製することができる他、市販のビーズを用いてもよい。ビーズの比表面積の調整方法としては、ビーズミルにおける一定期間の使用により比表面積が好適な範囲となったビーズを適用する方法があり、当該方法を用いる場合は、本発明の効果を適用するほどの分散性が要求されない分散剤の分散に用いられたビーズを使い回せるため、経済性に優れたものとなる。ビーズの比表面積の調整は人為的に行ってもよく、この場合は低粘度液中でビーズ同士を混合するなどの手段を用いればよい。
【0013】
分散に用いられるメディアミルは特に限定されるものではなく、各種公知のメディアミルが適用できる。具体的には、各種公知のアトライター、サンドミル、ボールミルなどが挙げられる。図1には、本発明に係る固体微粒子の分散方法に用いられるメディアミルの一実施形態の断面模式図を示す。
【0014】
図1に示すメディアミルは、円筒型閉塞容器であるベッセル1を備えた縦型のアトライターである。このベッセル1には、回転軸2がベッセル外部よりベッセル内部空間へとベッセルの軸線に沿って密に挿通されている。そして、この回転軸2のベッセル内部空間に位置する部位には、円盤状の複数の撹拌子3がそれぞれ所定間隔離間されて回転軸2にほぼ垂直な方向に沿って取付けられており、ベッセル外部において回転軸2は駆動装置(図示せず)に連結されている。また、ベッセル1の内部には、多数の球状ビーズ4が充填されている。アトライターは、ヒーターを内設した湯浴5に浸漬されることによって、加熱できるようになっている。なお、分散液を冷却したい場合には湯浴5を水浴または氷浴で置き換えたアトライターを用いればよく、予備分散工程を設ける場合には湯浴5に内設されたヒーターを用いても、温度の異なる湯浴5に取り替える方式としてもよい。
【0015】
ビーズのベッセルへの充填割合はベッセルや撹拌子の形態等によって決定すればよく、特に限定されるものではないが、割合が低すぎると二次凝集状態にある固体微粒子の充分な解砕ができず優れた分散性が得られない恐れがある。このため、ベッセルの有効容積の20体積%以上とすることが好ましく、30体積%以上とすることがより好ましい。一方、割合が高すぎるとビーズの磨耗によるコンタミネーションの増大を引き起こす恐れがある。このため、90体積%以下であることが好ましく、80体積%以下であることがより好ましい。また、軸回転数、ベッセル内圧、モーター負荷等の操作条件は使用する分散剤に応じて適宜選択すればよい。
【0016】
固体微粒子を分散媒中に分散させるには、分散剤が用いられるが、分散剤は特に限定されるものではなく、各種公知の高分子分散剤などを用いうる。高分子分散剤の存在下で固体微粒子を分散させる際には、分散させる固体微粒子の表面を改質できるとよい。固体微粒子の表面を改質すると、メカニズムは不明であるが、固体微粒子の分散性が向上する効果がある。例えば、高分子分散剤としてポリビニルピロリドン、固体微粒子としてカーボンブラックを用いると、カーボンブラックの表面を効果的に改質することが可能である。高分子分散剤の形態は、ブロックポリマー、グラフトポリマー、くし形ポリマー等限定されるものではない。具体的には、ポリビニルピロリドン(以下「PVP」とも略記)、ポリビニルアルコール(以下「PVA」とも略記)、ポリエチレンオキサイド(以下「PEO」とも略記)、スチレン−アクリル酸コポリマー、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマー、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、PVP−アクリル酸グラフトポリマーなどが挙げられる。各種市販の高分子分散剤を用いてもよく、例えば、スチレンアクリル酸系共重合体(Johncryl株式会社製);(メタ)アクリル酸系共重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(いずれも共栄社油脂化学工業株式会社製);フロラードFc430、Fc431(いずれも住友スリーエム株式会社製);ソルスパース12000、13240、20000、24000、26000、28000などの各種ソルスパース分散剤(いずれもゼネカ株式会社製);ディスパースビック111、161、164、165(いずれもビックケミー株式会社製)などを用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0017】
高分子分散剤の合成方法も特に限定されるものではなく各種公知の方法で合成することができる。例えば、PVPにアクリル酸グラフトポリマーをグラフト重合させたPVP−アクリル酸グラフトポリマーは、水、アルコールなどを溶媒として、溶液中のPVP濃度を10質量%以上として重合させることにより、グラフト効率の高いPVP−アクリル酸グラフトポリマーを得ることができる。
【0018】
固体微粒子を分散させる分散媒も、分散剤が分散剤としての作用を果たす限り特に限定されるものではなく、使用用途、処理条件、用いる分散剤や固体微粒子の種類に応じて適宜選択すればよい。具体的には、水;N−メチルピロリドンなどのアミド類;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、アリルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル等のグリコールないしその誘導体類;グリセロール、グリセロールモノエチルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル等のグリセロールないしその誘導体類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;流動パラフィン、デカン、デセン、メチルナフタレン、デカリン、ケロシン、ジフェニルメタン、トルエン、ジメチルベンゼン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、プロピルベンゼン、シクロヘキサン、部分的に水が添加されたトリフェニル等の炭化水素類、ポリジメチルシロキサン、部分オクチル置換ポリジメチルシロキサン、部分フェニル置換ポリジメチルシロキサン、フルオロシリコーンオイル等のシリコーンオイル類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、クロロジフェニル、クロロジフェニルメタン等のハロゲン化炭化水素類;ダイルロル(ダイキン工業株式会社製)、デムナム(ダイキン工業株式会社製)等のふっ化物類;安息香酸エチル、安息香酸オクチル、フタル酸ジオクチル、トリメリット酸トリオクチル、セバシン酸ジブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ドデシル等のエステル化合物類などが挙げられる。
【0019】
分散させる固体微粒子は、特に限定されるものではなく、絶縁性微粒子、半導電性微粒子、導電性微粒子など各種微粒子を用いることができる。
【0020】
絶縁性微粒子としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム等が挙げられる。
【0021】
半導電性微粒子としては、鉄窒化物、酸化クロム、酸化亜鉛、チタンブラック、チタンイエロー、コバルトブルー等の複合酸化物微粒子が挙げられる。
【0022】
導電性微粒子としては、カーボンブラック、黒鉛、金、銀、白金、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、タングステン、ゲルマニウム、パラジウム、酸化鉄、酸化ルテニウム、酸化モリブデン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどが挙げられる。本願においては、上記の中ではカーボンブラックが最も好ましい。
【0023】
上記微粒子の他にも必要に応じて例えば、有機シラン、顔料、充填剤、摩滅剤、誘電体、潤滑剤等の各種公知の添加物を本発明の効果が損なわれない範囲で加えることができる。また、有機顔料、無機顔料、カーボンブラック、金属粒子などの表面をシリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア等で処理した微粒子を用いてもよい。
【0024】
固体微粒子の大きさは使用用途によって適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。例えば、各種導電材料に使用する場合においては、電気特性のばらつきを制御するためには、一次粒子に基づく平均粒径が1μm以下であることが好ましく、0.001〜0.5μmであることがより好ましい。
【0025】
固体微粒子に対する分散剤の配合割合は、使用する分散剤の種類、分散液の用途等に応じて左右されるため一概には規定できないが、分散剤が少なすぎると、固体微粒子が均一に分散されない恐れがある。このため、分散剤は、固体微粒子100質量部に対し、1質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましく、20質量部以上であることが特に好ましい。一方、高分子分散剤が多すぎると、固体微粒子の特性が発現しない恐れがある。このため、固体微粒子100質量部に対し、1000質量部以下であることが好ましく、500質量部以下であることがより好ましく、300質量部以下であることが特に好ましい。
【0026】
また、分散媒中の固体微粒子および高分子分散剤の合計配合量は、使用するメディアミルの種類、分散条件等に左右されるため、一概には規定できないが、合計配合量が少なすぎると、含有される固体微粒子量が少ないため、生産性が低下する恐れがある。このため、分散媒100質量部に対し、0.01質量部以上であることが好ましく、0.1質量部以上であることがより好ましく、1質量部以上であることが特に好ましい。一方、多すぎると分散液の増粘化を招来し、作業性が悪くなる恐れがある。このため、分散媒100質量部に対し、300質量部以下であることが好ましく、200質量部以下であることがより好ましく、100質量部以下であることが特に好ましい。
【0027】
メディアミルを用いた分散液製造の操業に関していえば、メディアミルを用いて分散を行う場合、同一のビーズを長期間使用しつづけると分散液の品質が変化する。このため、通常は、一定期間を経過する毎に、使用するビーズを交換することが多い。摩耗等によるビーズの変化が常に一定であれば、経験に基づいて定められたビーズの交換周期と、分散液の品質変化の周期とは、一致すると考えられる。しかしながら、摩耗等によるビーズの変化は、環境温度、雰囲気中の湿度、ビーズミルを用いる頻度など、多数のファクターに基づき変化する。従って、実際系においては、ビーズの交換周期と分散液の品質変化の周期とを一致させることは困難である。
【0028】
ここで、ビーズの交換周期を短くし、ビーズの劣化の影響が分散液に及ばないようにすることも可能である。しかしながら、ビーズの交換周期を短くすればするほど、分散液の製造コストは上昇してしまう。一方、分散液の品質変化が生じてからビーズを交換するものとすると、品質変化が生じた分散液が生じる分、分散液製造の歩留まり低下を招来してしまう。
【0029】
この問題は、ビーズの比表面積という定量可能なファクターを用いて分散液製造の操業条件を管理することによって、解決可能である。即ち、ビーズの比表面積という指標を用いて、ビーズの交換時期を管理することによって、メディアミルを用いた分散液製造の操業効率を最適化しうる。このことは、工業的生産過程においては、非常に有用である。
【0030】
ビーズの交換時期の指標として用いるビーズの比表面積の好適な範囲は、製造される分散液に求める品質の均一性に応じて決定する必要があり、特に限定されるものではない。ただし、得られる分散液の分散性を高めることや分散液の生産性などを考慮すると、ビーズの比表面積が、0.10〜0.50m2/gの範囲を逸脱したときに交換することが好ましく、0.10〜0.40m2/gの範囲を逸脱したときに交換することがより好ましく、0.12〜0.30m2/gの範囲を逸脱したときに交換することがさらにより好ましい。
【0031】
用いられるビーズの大きさ、分散剤の種類などについては、前述のとおりであるので、ここでは記載を省略する。
【0032】
【実施例】
<実施例1>
メディアミルとしてアトライター型ミル(ベッセル内容量1.2リットル)を準備し、この装置内部に、固体微粒子としてカーボンブラック100質量部(三菱化学株式会社社製、MA600)、高分子分散剤としてポリビニルピロリドン40質量部(K値:60)、および分散媒としてN−メチルピロリドン(NMP)360質量部を加え、混合した。なお、本願でいうK値とは、ポリビニルピロリドンを水に1質量%の濃度で溶解させ、その溶液の粘度を25℃において毛細管粘度計によって測定し、この測定値を用いて下記式(1):
【0033】
【数1】
【0034】
(式中、ηrelは溶媒に対する溶液の粘度を表し、Cは溶液100ml中のポリビニルピロリドンの質量(g)を表し、K=1000K0である)
で表されるフィケンチャー式から求められる粘性に関する数値である。
【0035】
次に、メディアミルに用いられるビーズとして、一定期間の使用により比表面積が0.2330m2/g(カンタクローム株式会社製NOVA2000を用いてN2−BET法により測定)となった粒子径1.0mmのジルコニアビーズ(東レ株式会社製:トレセラム)を2kg投入し、150℃にて2時間分散させた。その後、ビーズを分離させて、カーボンブラック分散液(1)を得た。
【0036】
<実施例2>
ビーズとして、一定期間の使用により比表面積が0.2186m2/gとなった粒子径1.0mmのジルコニアビーズ(ニッカド株式会社製:YTZボール)を用いた以外は、実施例1と同様にして、カーボンブラック分散液(2)を得た。
【0037】
<実施例3>
ビーズとして、一定期間の使用により比表面積が0.1244m2/gとなった粒子径1.0mmのジルコニアビーズ(ニッカド株式会社製:YTZボール)を用いた以外は、実施例1と同様にして、カーボンブラック分散液(3)を得た。
【0038】
<比較例1>
ビーズとして、比表面積が0.0722m2/gである粒子径1.0mmのジルコニアビーズ(東レ株式会社製:トレセラム)を用いた以外は、実施例1と同様にして、カーボンブラック分散液(4)を得た。
【0039】
<比較例2>
ビーズとして、比表面積が0.0853m2/gである粒子径1.0mmのジルコニアビーズ(ニッカド株式会社製:YTZボール)を用いた以外は、実施例1と同様にして、カーボンブラック分散液(5)を得た。
【0040】
<分散液の分散性評価>
カーボンブラック分散液(1)〜(5)それぞれについて、B型粘度計を用いて25℃で粘度を測定した。また、分散性を評価するため、以下の処理を施した。
【0041】
カーボンブラック分散液を準備し、ホットプレート上で溶剤を揮発させ、乾燥固化させた。この14gの固化物に対し、NMP(200g)を用いて、ソックスレー抽出をおこない、抽出液中のPVP量を測定した。結果を表1に示す。PVPのカーボンブラックへの付着量が多く強固であるほど、カーボンブラックへ付着していないフリーのPVPが少なくなり、分散液の粘度が低下すると推察される。従って、分散液粘度が低いことは、PVPのカーボンブラックへの付着量が多く、強固であることを示唆している。また、ソックスレー抽出によって抽出されたPVP量が少ないほど、PVPのカーボンブラックへの付着量が多く、両者の結合が強固であることを示す。従って、ソックスレー抽出によって抽出されたPVP量が少ないほど、カーボンブラックの分散が良好であることを示していると言える。又、表面改質の効率も優れているとも推察できる。
【0042】
【表1】
【0043】
表1に示されるように、本発明の方法によって製造された固体微粒子分散液においては、分散液が低粘度であり、抽出液中にPVP量が少なかった。したがって、本発明の方法を用いて製造された固体微粒子分散液は、固体微粒子の分散が良好で、高い表面改質効果を有しているといえる。
【0044】
【発明の効果】
上記説明したように、比表面積が一定の範囲であるビーズを用いることによって、分散液中の固体微粒子の分散性を高めることができ、また、固体微粒子の表面改質を効率的に行うことができる。本発明に係る方法を用いて調製された分散液は、優れた分散性を有するため、固体微粒子分散液を必要とする各種用途における品質向上が図れる。例えば、遮光率、電気抵抗率、電磁波吸収率等の特性を長期間に渡って一定に維持することによって、製品の耐久性向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 メディアミルの一実施形態の断面模式図である。
【符号の説明】
1 ベッセル
2 回転軸
3 撹拌子
4 ビーズ
5 湯浴
Claims (4)
- メディアミルを用いて分散媒中に固体微粒子を分散させる固体微粒子分散液の製造方法であって、
前記メディアミルに用いられるビーズは、比表面積が0.10〜0.50m2/gであり、アルミナ、ジルコニア、鋼及びクロム鋼からなる群より選択される少なくとも1種であり、および平均直径が0.01〜10mmであり、
前記固体微粒子は、絶縁性微粒子、半導電性微粒子または導電性微粒子である、固体微粒子分散液の製造方法。 - 前記ビーズは、ジルコニアビーズである、請求項1に記載の製造方法。
- 前記固体微粒子はカーボンブラックである、請求項1または2に記載の製造方法。
- 高分子分散剤の存在下で前記固体微粒子を分散させて、前記固体微粒子の表面を改質する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
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