JP3892114B2 - ポリアリーレンサルファイド樹脂成形品とポリカーボネートフィルムとの複合成形品 - Google Patents

ポリアリーレンサルファイド樹脂成形品とポリカーボネートフィルムとの複合成形品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリカーボネート(以下PCと略す)製フィルムとの密着性に優れたポリアリーレンサルファイド樹脂(以下PAS樹脂と略す)成形品、及びPAS樹脂成形品にPC製フィルムを密着せしめた複合成形品、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、表面平滑性が良好な外観部品、或いは、優れた光反射特性が要求される部品が求められるようになってきており、特に、ランプ用リフレクター用途でその傾向が高まっている。従来、このランプ用リフレクターは主に金属製であったが、軽量化等のを目的として、熱硬化性樹脂又は各種の高耐熱性熱可塑性樹脂が使われだしている。
これらの合成樹脂を用いて作られた成形品は、その組成物を構成する構成部材の選択やその配合比率により、目的を達成しようとするものである。ところが、ランプ用リフレクター等の光反射用樹脂製成形品に要求される機械特性、寸法精度、表面平滑性、耐熱性等の特性を満たすために、構成部材の配合比率を変えたり構成部材を変更したりすると、一つの特性は際立って向上するが、他の特性は低下する結果になるなど、組成物の構成部材の種類或いはその配合量によって各特性は相反する挙動を示し、全ての特性を満足させることは極めて困難である。このため、限られた構成部材の選択、組み合わせ、及びそれらの配合比率によって各特性をバランスさせ、かろうじて各特性の要求値を満たしているのが実状である。また、かかる成形品の使用は結果的に製品コストの上昇につながる場合が多く、更には、かかる従来の方法では本来望まれている軽量化等に対してもほとんど応えることができない。
そこで、かかる問題点を解決する方法として、PC製フィルムをPAS樹脂に密着させる方法(特開平2−8042号公報)が提案されているが、この方法もPC製フィルムとの密着性が悪いため、実用化には至っていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる問題に鑑み、機械特性、寸法精度、表面平滑性、耐熱性等の全ての特性を同時に満たす方法の一つとして提案されているPC製フィルムをPAS樹脂に金型内で密着させた成形品に対し、改良が望まれている両樹脂間の密着性を大幅に向上させることを目的としたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、PAS樹脂に特定の組成からなる共重合体と有機又は無機の充填材を配合することにより、PAS樹脂とPC製フィルムの間の密着性が飛躍的に向上し、かつ他の機械的物性、表面平滑性、耐熱性等の優れた光反射用部品を得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、
(A) 成分のポリアリーレンサルファイド樹脂 100重量部に対し、
(B) 成分として、a)不飽和カルボン酸又はその誘導体及び/又はマレイミドで変性したポリオレフィン重合体、b)不飽和カルボン酸又はその誘導体、マレイミド、ビニル化合物の1種又は2種以上で変性したポリカーボネート、c)エポキシ基含有熱可塑性エラストマーから選ばれた重合体の少なくとも一種1〜20重量部
(C) 成分として、有機充填材又は無機充填材5〜200 重量部
を配合してなる樹脂組成物からなるポリアリーレンサルファイド樹脂成形品にポリカーボネートフィルムを密着せしめた複合成形品である。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下本発明の構成成分について詳細に説明する。
まず本発明に用いる(A) 成分としてのPAS樹脂は、繰り返し単位として-(Ar-S)-(但しArはアリーレン基)で主として構成されたものである。アリーレン基としては、例えば、p−フェニレン基、m−フェニレン基、o−フェニレン基、置換フェニレン基、p,p'−ジフェニレンスルフォン基、p,p'−ビフェニレン基、p,p'−ジフェニレンエーテル基、p,p'−ジフェニレンカルボニル基、ナフタレン基などが使用できる。この場合、前記のアリーレン基から構成されるアリーレンサルファイド基の中で、同一の繰り返し単位を用いたポリマー、すなわちホモポリマーの他に、組成物の加工性という点から、異種繰り返し単位を含んだコポリマーが好ましい場合もある。
【0006】
ホモポリマーとしては、アリーレン基としてp−フェニレン基を用いた、p−フェニレンサルファイド基を繰り返し単位とするものが特に好ましく用いられる。又、コポリマーとしては、前記のアリーレン基からなるアリーレンサルファイド基の中で、相異なる2種以上の組み合わせが使用できるが、なかでもp−フェニレンサルファイド基とm−フェニレンサルファイド基を含む組み合わせが特に好ましく用いられる。このなかで、p−フェニレンサルファイド基を70モル%以上、好ましくは80モル%以上含むものが、耐熱性、成形性、機械的特性等の物性上の点から適当である。又、m−フェニレンサルファイド基は5〜30モル%、特に10〜20モル%含むものが共重合体としては好ましい。
この場合、成分の繰り返し単位がランダム状のものより、ブロック状に含まれているもの(たとえば特開昭61−14228 号公報に記載のもの)が、加工性に優れ、且つ耐熱性、機械的物性も優れており、好ましく使用できる。
【0007】
又、これらのPASの中で、2官能性ハロゲン芳香族化合物を主体とするモノマーから縮重合によって得られる実質的に直鎖状構造の高分子量ポリマーが、特に好ましく使用できる。かかる実質的に分岐を有しない直鎖状のPAS樹脂は流動性や機械的物性が優れ、本発明の目的から好適な対象樹脂である。尚、直鎖状構造のPAS以外にも、縮重合させる時に、3個以上のハロゲン置換基を有するポリハロ芳香族化合物等のモノマーを少量用いて、部分的に分岐構造または架橋構造を形成させたポリマーも使用できるし、低分子量の直鎖状構造ポリマーを酸素存在下、高温で加熱して、酸化架橋または熱架橋により溶融粘度を上昇させ、成形加工性を改良したポリマーも使用可能である。
【0008】
本発明に使用する基体樹脂としてのPAS樹脂の溶融粘度(310 ℃、ズリ速度1200 sec-1)は10〜500 Pa・s が好ましく、なかでも20〜300 Pa・s の範囲にあるものは、機械的物性と流動性のバランスが優れており特に好ましい。溶融粘度が過小の場合は、機械強度が十分でないため好ましくない。又、溶融粘度が500 Pa・s を越えるときは、射出成形時に樹脂組成物の流動性が悪く成形作業が困難になるため好ましくない。又、(A) 成分のPAS樹脂は、前記直鎖状PAS( 310℃、ズリ速度1200 sec-1)における粘度が20〜300 Pa・s )を主体とし、その一部(1〜30重量%、好ましくは2〜25重量%)が、比較的高粘度(300 〜3000Pa・s 、好ましくは 500〜2000Pa・s )の分岐又は架橋PAS樹脂との混合系も好適である。
【0009】
次に本発明で用いる(B) 成分は、a)不飽和カルボン酸又はその誘導体及び/又はマレイミドで変性したポリオレフィン重合体、b)不飽和カルボン酸又はその誘導体、マレイミド、ビニル化合物の1種又は2種以上で変性したPC、c)エポキシ基含有熱可塑性エラストマーから選ばれた重合体の少なくとも一種1〜20重量部であり、PC製フィルムとの密着性を向上させるために必須の成分であり、特に剛性等の面からa)或いはb)が好ましい。又、未変性のポリオレフィン重合体、PC、或いはエポキシ基が含有していない熱可塑性エラストマーを用いても、PAS樹脂との親和性に乏しく、機械物性の低下、表面剥離、PC製フィルムとPAS樹脂成形品との密着性の低下等の問題が生じる。
【0010】
a)不飽和カルボン酸又はその誘導体及び/又はマレイミドで変性したポリオレフィン重合体の具体例としては、a-1)エチレンと炭素数3以上のα−オレフィン(例えばプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等)との共重合体に不飽和カルボン酸又はその誘導体(例えばアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸又はこれらのアルキルエステル、グリシジルエステル、無水物等)、マレイミドを分岐又は架橋構造的に化学結合したグラフト共重合体、a-2)α−オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−オクテン、1−ブテン等)とα,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体(例えばアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸又はこれらのアルキルエステル、グリシジルエステル、無水物等)との共重合体、a-3)上記a-2)の共重合体にマレイミド、或いはスチレン、アクリロニトリル等のビニル化合物又はα,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体の少なくとも一種よりなる重合体又は共重合体が分岐又は架橋構造的に化学的に結合したグラフト共重合体等が挙げられる。
特に好ましい物質としては、エチレンとプロピレン又は1−ブテンとの共重合体に、前記一般式(1) 又は(2) で示される繰り返し単位で構成された重合体又は共重合体の1種又は2種以上を分岐又は架橋構造的に化学的に結合したグラフト共重合体、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸グリシジルエステルからなるオレフィン系共重合体およびこの共重合体に前記一般式(1) 、(2) 又は(3) で示される繰り返し単位で構成された重合体又は共重合体の1種又は2種以上を分岐又は架橋構造的に化学的に結合したグラフト共重合体等が挙げられる。一般式(3) で示される繰り返し単位で構成された重合体或いは二種以上共重合せしめた共重合体は、例えば、ポリメタアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸−2エチルヘキシル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリルスチレン共重合体、ポリアクリル酸ブチルとポリメタクリル酸の共重合体、ポリアクリル酸ブチルとポリスチレンの共重合体等が挙げられる。
これらのグラフト共重合体は、例えば、幹となる重合体又は共重合体と、グラフト鎖構成成分の単量体混合物を、ラジカル開始剤存在下の押出機中で溶融混練させることにより得ることができる。これらのa-1)〜a-3)のオレフィン系共重合体又はグラフト共重合体は、いずれか単独でも良く、又二種以上が混合したものでも良く、更には各々を段階的に(共)重合又はグラフト重合させた多層構造の重合体であってもよい。
【0011】
b)不飽和カルボン酸又はその誘導体、マレイミド、ビニル化合物の1種又は2種以上で変性したPCの具体例としては、b-1)PCに、α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体(例えばアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸又はこれらのアルキルエステル、グリシジルエステル、無水物等)、マレイミド、α−オレフィン、スチレン、アクリロニトリル等のビニル化合物が1種又は2種以上分岐又は架橋構造的に化学結合したグラフト共重合体、b-2)PCに、α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体からなるオレフィン系共重合体をグラフトしたグラフト共重合体等があげられる。これらのb-1)或いはb-2)のPC系共重合体又はグラフト共重合体はいずれか単独でも良く、又二種以上が混合したものであってもよい。この共重合体に一般式(1) 、(2) 又は(3) で示される繰り返し単位で構成された重合体又は共重合体の1種又は2種以上を分岐又は架橋構造的に化学的に結合してグラフトしてもかまわない。特に好ましい物質としては、PCに一般式(1) 、(2) 又は(3) で示される繰り返し単位で構成された重合体又は共重合体の1種又は2種以上を分岐又は架橋構造的に化学的に結合したグラフト共重合体、PCにエチレンとアクリル酸グリシジルエステル又はメタクリル酸グリシジルエステルを分岐又は架橋構造的に化学的に結合したグラフト共重合体等があげられる。
【0012】
c)エポキシ基含有熱可塑性エラストマーの具体例としては、スチレンとブタジエンの共重合体にアクリル酸グリシジルエステル等のα,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルがグラフトしたグラフト共重合体、スチレンとブタジエンの共重合体中の不飽和結合部分がエポキシ化された共重合体等が挙げられる。
【0013】
(B) 成分の、a)変性ポリオレフィン重合体、b)変性PC、c)エポキシ基含有熱可塑性エラストマーから選ばれた重合体の配合量は、PAS樹脂(A) 100 重量部に対し1〜20重量部、好ましくは2〜20重量部、特に好ましくは3〜15重量部である。過小の場合は効果がPCフィルムとの密着性が充分でなく、過大の場合は耐熱性・流動性に問題が生じる。
【0014】
次に、本発明には(C) 成分として、機械的強度、剛性、耐熱性、寸法安定性、電気的性質に優れた成形品を得るために有機または無機の充填材を配合する。これには目的に応じて繊維状、粉粒状、板状の充填材が用いられる。
このなかで、繊維状充填剤としては、アラミド繊維に代表される有機繊維の他、ガラス繊維、アスベスト繊維、カーボン繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維、硼素繊維、チタン酸カリ繊維、さらにステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属の繊維状物などの無機質繊維状物質があげられる。特に代表的な繊維状充填剤はガラス繊維、又はカーボン繊維である。
一方、粉粒状充填剤としてはカーボンブラック、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、硅酸カルシウム、硅酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー、硅藻土、ウォラストナイトの様な硅酸塩、又、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナの様な金属の酸化物、さらに炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの様な金属の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムの様な金属の硫酸塩、その他炭化硅素、窒化硅素、窒化硼素、各種金属粉末等が挙げられる。
又、板状充填剤としはマイカ、ガラスフレーク、各種の金属箔等が挙げられる。
又、中空状充填剤としては、シラスバルーン、金属バルーン、ガラスバルーン等が挙げられる。
これらの充填剤は一種又は二種以上併用することもできる。繊維状充填剤、特にガラス繊維又はチタン酸カリ繊維と粒状および/又は板状充填剤の併用は特に機械的強度と寸法精度、電気的性質等を兼備する上で好ましい組み合わせである。
充填剤の使用量はポリアリーレンサルファイド樹脂 100重量部あたり5〜200 重量部であり、好ましくは10〜200 重量部である。過小の場合は機械強度が十分でなく、過大の場合は成形作業が困難になるほか、成形品の機械的物性にも問題が生じ好ましくない。
これらの充填剤はエポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物等の官能性化合物又はポリマーで表面処理又は収束処理を施して用いるのが好ましい。これ等の化合物はあらかじめ表面処理又は収束処理を施して用いるか、又は材料調製の際同時に添加してもよい。
【0015】
また、本発明においては必ずしも必須ではないが、更に(D) 成分としてアルコキシシラン化合物を配合することが好ましい。アルコキシシランとしては、アミノアルコキシシラン、エポキシアルコキシシラン、メルカプトアルコキシシラン、ビニルアルコキシシラン等があげられ、中でもアミノアルコキシシランが好ましい。かかるアルコキシシランの配合量はPAS樹脂(A)100重量部に対し 0.1〜5重量部、好ましくは 0.1〜2重量部である。かかるシラン化合物は前述の如くガラス繊維等(C) に予め付着させて配合してもよく、又別に加えてもよく、両者を併合してもよい。
【0016】
更に、本発明に使用する組成物として、一般に熱可塑性樹脂に添加される公知の物質、すなわち酸化防止剤等の安定剤、難燃剤、染・顔料等の着色剤、潤滑剤および結晶化促進剤、結晶核剤等も要求性能に応じ適宜添加することができる。
【0017】
本発明の樹脂組成物の調製は、一般に合成樹脂組成物の調製に用いられる設備と方法により調製することができる。一般的には必要な成分を混合し、1軸又は2軸の押出機を使用して溶融混練し、押出して成形用ペレットとすることができる。また、樹脂成分を溶融押出し、その途中でガラス繊維の如き無機成分を添加配合するのも好ましい方法の1つである。
【0018】
このようにして得た材料ペレットは、射出成形等、一般に公知の熱可塑性樹脂用の成形法を用いて成形することができ、得られたPAS樹脂成形品にPC製フィルムを密着せしめることにより、本発明の目的とするPC製フィルム層が一体的に成形された複合成形品が得られる。ここで、複合成形品を得る上で、最も好ましいのはPC製フィルムを予め金型内に置き該PAS組成物を射出成形する、いわゆるインモールド成形である。その詳細な方法はたとえば特開平8−108482号公報に述べられている。このインモールド成形によってPC製フィルムをPAS樹脂組成物と密着させた成形品法において、本発明によるPAS樹脂組成物を用いることにより、PC製フィルムのPASへの密着を格段に向上させることができる。この場合のPC製フィルムについて特に制限はないが、 0.1〜 0.5mmの厚さが、成形工程の容易さ等の点から好ましい。
【0019】
【実施例】
次に実施例、比較例で本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例に用いた各(A) 、(B) 、(C) 、(D) の具体的物質は以下の通りである。
(A) ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、(呉羽化学工業(株)製フォートロンKPS)
(B) 変性重合体
(B-1) エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体にスチレン/アクリロニトリル共重合体をグラフトさせたグラフト共重合体(日本油脂(株)製モディパーA4400)
(B-2) エチレン/エチルアクリレート/無水マレイン酸共重合体にブチレンをグラフトさせたグラフト共重合体(日本油脂(株)製モディパーA8100)
(B-3) ポリカーボネートにスチレン/アクリロニトリル共重合体をグラフトさせたグラフト共重合体(日本油脂(株)製モディパーCH430)
(B-4) ポリカーボネートにグリシジルメタクリレート/スチレン重合体(75/ 25)をグラフトさせたグラフト共重合体
(B-5) エチレン/オクテン共重合体(テュポンダウエラストマー社製 Engage8 440 )(比較品)
(B-6) 未変性ポリカーボネート(三菱瓦斯化学(株)製ユーピロンS3000)(比較品)
(C) 無機充填材
(C-1) ガラス繊維、直径13μmφ
(C-2) 球殻状珪酸アルミニウム、直径6μm
(D) アルコキシシラン化合物
(D-1) γ−アミノプロピルトリエトキシシラン
(D-2) γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
成形
表1から表3の配合で原料を混合し、30mmの二軸押出機を用いて、 310℃で溶融混練し、ペレット化した。
厚さ 0.2mmのポリカーボネート製フィルムを密着成形用の金型(温度 120℃)内にセットした。その後金型を密閉し、 320℃で溶融した上記樹脂組成物を射出成形機で射出して平板状物を成形した。
密着性試験
ポリカーボネート製フィルムの一部に幅15mmの切り込みを入れてその一端を予めはがし、引張試験機を用いて50mm/分の速度で引き剥がして、ポリカーボネート製フィルムと基板樹脂組成物間の密着強度を測定した。
曲げ試験
上記樹脂組成物を用いて、樹脂温度 320℃にて射出成形により曲げ試験片を作製した。ASTM D 790号の曲げ試験を行い、曲げ弾性率を測定した。
写像性試験
ポリカーボネート製フィルムが密着した成形品に対し、写像性測定器(スガ試験機社製)を使用し、光学くし幅2mm、反射角45度の条件で写像性を測定した。
【0020】
実施例1〜6
表1に示す如く、(B) 成分の種類と量を変えた樹脂組成物を用いて、ポリカーボネート製フィルムを密着させた試料を作成し、上記試験を行った。
実施例7〜14
表2に示す如く、(C) 及び(D) 成分の種類と量を変えた樹脂組成物を用いて、ポリカーボネート製フィルムを密着させた試料を作成し、上記試験を行った。
比較例1〜6
表3に示す如く、本発明に必須の成分を含有しない場合、(B) 成分として本発明範囲外のものを用いた場合等について組成物を作成し同様に評価を行った。
【0021】
【表1】
Figure 0003892114
【0022】
【表2】
Figure 0003892114
【0023】
【表3】
Figure 0003892114
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリアリーレンサルファイド樹脂成形品とポリカーボネート製フィルムが良く密着し、できた成形品は優れた剛性・光反射特性を備えている。また、この成形品の製造方法として、いわゆるインモールド成形を採用することにより、上記特性を兼ね備えた成形品を効率的に製造することができる。

Claims (6)

  1. (A) 成分のポリアリーレンサルファイド樹脂 100重量部に対し、
    (B) 成分として、a)不飽和カルボン酸又はその誘導体及び/又はマレイミドで変性したポリオレフィン重合体、b)不飽和カルボン酸又はその誘導体、マレイミド、ビニル化合物の1種又は2種以上で変性したポリカーボネート、c)エポキシ基含有熱可塑性エラストマーから選ばれた重合体の少なくとも一種1〜20重量部
    (C) 成分として、有機充填材又は無機充填材5〜200 重量部
    を配合してなる樹脂組成物からなるポリアリーレンサルファイド樹脂成形品にポリカーボネートフィルムを密着せしめた複合成形品。
  2. (B) 成分の重合体a)が、
    a-1)エチレンとα−オレフィンからなる共重合体に、一般式(1) 、(2) 又は(3)で示される繰り返し単位で構成された重合体又は共重合体の1種又は2種以上をグラフトしたグラフト共重合体
    a-2)α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸グリシジルエステルからなるオレフィン系共重合体
    a-3)α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸グリシジルエステルからなるオレフィン系共重合体に、一般式(1) 、(2) 又は(3) で示される繰り返し単位で構成された重合体又は共重合体の一種又は二種以上をグラフトしたグラフト共重合体
    からなる群から選ばれた1種又は2種以上である請求項1記載の樹脂組成物からなるポリアリーレンサルファイド樹脂成形品にポリカーボネートフィルムを密着せしめた複合成形品。
    Figure 0003892114
  3. (B) 成分の重合体b)が、
    b-1)ポリカーボネートに、一般式(1) 、(2) 又は(3) で示される繰り返し単位で構成された重合体又は共重合体の一種又は二種以上をグラフトしたグラフト共重合体
    b-2)ポリカーボネートに、α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸グリシジルエステルからなるオレフィン系共重合体をグラフトしたグラフト共重合体
    からなる群から選ばれた1種又は2種以上である請求項1記載の樹脂組成物からなるポリアリーレンサルファイド樹脂成形品にポリカーボネートフィルムを密着せしめた複合成形 品。
    Figure 0003892114
  4. (A) 成分のポリアリーレンサルファイド樹脂 100重量部に対し、更に、(D) 成分としてアルコキシシラン化合物を 0.1〜5重量部配合してなる請求項1〜3の何れか1項記載の樹脂組成物からなるポリアリーレンサルファイド樹脂成形品にポリカーボネートフィルムを密着せしめた複合成形品。
  5. 内壁面にポリカーボネートフィルムが密着された金型内に、溶融したポリアリーレンサルファイド樹脂組成物を射出充填することにより形成させた請求項1〜4の何れか1項記載の複合成形品。
  6. 複合成形品が光反射用部品である請求項1〜4の何れか1項記載の複合成形品。
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