JP3890927B2 - 他ノードを管理する通信装置及び他ノードに管理される通信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、統括ノードと末端ノードを持つ通信装置に関し、より詳しくは、他のノードを管理することが出来る統括ノードと、該統括ノードによって管理される末端ノードに関する。
【0002】
【従来の技術】
大容量高速転送が可能なシリアルインターフェイスの規格として、IEEE1394が知られている。このIEEE1394規格に準拠したインターフェイス又は該インターフェイスを有する機器(以下、まとめてIEEE1394デバイスと呼ぶ)は、それぞれが1つのノードとしてハードウェアからなるIEEE1394バスプロトコル(下位層)と、その上にデバイスのコントロールやアイソクロナス転送のコントロールなどのプロトコル(上位層)をソフトウェアで実装している。
【0003】
図9は、mLAN(商標)上位層を実装した一般的なAV(オーディオ・ビジュアル)装置のプロトコルスタックの一例を表す概念図である。mLANとは、IEEE1394規格に準拠し、その上位に位置するアプリケーションで、音楽のためのデジタルネットワークシステムである。
【0004】
下位層は、例えば、物理層(Physical Layer)、リンク層(Link Layer)、トランザクション層(Transaction Layer)及びバス管理(Serial Bus Management)の各層を含んで構成される。
【0005】
物理層では、物理的・電気的なインターフェイスが規定されている。物理層は、一般的にハードウェアで構成されている。
【0006】
リンク層では、サブアクションと呼ばれる一方向の転送サービス、及びパケットの送受信に関するサービス(Packet Handler)が提供される。リンク層も、物理層と同様、一般的にはハードウェアで構成される。リンク層では、例えば、アシンクロナス(非同期)転送(Asyncronous Transmission)、及びアイソクロナス転送(Isochronous Transmission)に関するサービスが提供される。
【0007】
また、特に、アイソクロナス転送については、オーディオ信号やビデオ信号等の高速な処理を必要とする信号を扱うので、ハードウェアであるリンク層で、全てのサービスを提供している。
【0008】
トランザクション層では、アシンクロナス転送に関する処理が行われる。トランザクションとは、要求−応答型のデータ転送であり、読み込み(Read)トランザクション、書き込み(Write)トランザクション、ロック(Lock)トランザクションの三種類がある。
【0009】
読み込みトランザクションは、ターゲットの特定アドレス空間からデータの読み出しを行うためのトランザクションであり、書き込みトランザクションは、ターゲットの特定アドレス空間へのデータの書き込みを行うためのトランザクションである。ロックトランザクションは、参照データに基づき、ターゲット上の特定アドレス空間のデータを更新するためのトランザクションである。
【0010】
バス管理は、バス上の資源を集中的に管理するためのモジュールである。バス管理では、電源供給の管理、トポロジーマップとスピードマップの管理、アイソクロナス・リソースの管理等が行われる。
【0011】
上位層は、下位層及びノード全体を管理するためのソフトウェアであり、例えば、1394AVプロトコル(IEC−61883)、及びmLAN上位層により構成されている。
【0012】
1394AVプロトコルでは、アイソクロナス・パケットのデータ内容を表現するためのCIP(Common Isochronous Packet)フォーマット、仮想的な「プラグ」を定義してコネクションの管理を行うためのCMP(Connection Management Protocol)、IEEE1394バスに接続される他の機器を管理するためのFCP(Function Control Protocol)等が定義されている。
【0013】
mLAN上位層は、IEEE1394規格上でオーディオ/音楽情報の転送を行うためのプロトコル階層である。mLAN上位層は、オーディオ/音楽情報転送プロトコルとコネクション管理プロトコルから構成されており、どちらのプロトコルも1394AVプロトコルに準拠している。
【0014】
オーディオ/音楽情報転送プロトコルは、CIPの定義にオーディオ/音楽情報の転送のためのフォーマットを追加するものである。コネクション管理プロトコルは、CMPをインテリジェント化し、各ノード上での自律的なコネクション管理を行うためのプロトコルである。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
これら上位層及び下位層は、その機能に多少の差はあっても、IEEE1394バスに接続される全てのIEEE1394デバイスに実装されている。
【0016】
上位層は、下位層に比べて複雑であるため、上位層を実装するために必要なハードウェア資源が下位層に比べて多くなってしまう。このため、全てのIEEE1394デバイスに、上位層を実装すると製造コストが上がってしまう。
【0017】
また、上位層は、下位層に比べてユーザインターフェイスに関係する場合が多いため、ユーザからの改善要求をフィードバックする機会が多くなり、新しい仕様に容易に変更できる構造が望ましいが、全てのIEEE1394デバイスの上位層を、容易にアップグレードできる構造にすると製造コストを上げる要因になってしまう。
【0018】
本発明の目的は、製造コストをおさえたIEEE1394規格に準拠した機器を提供することである。
【0019】
また、本発明の他の目的は、他のノードを管理することができるIEEE1394規格に準拠した機器を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の一観点によれば、それぞれ他のノードと信号を送受信する通信手段を有する下位層を備えた複数のノードが接続されたネットワークにおける1つのノードを構成する通信装置は、前記下位層を管理する第1の上位層と、前記ネットワークに接続された他のノードのうち特定の末端ノードの下位層を前記ネットワーク越しに管理する第2の上位層と、管理対象である前記特定の末端ノードの機能に関する情報を記憶する記憶手段とを備えたことを特徴とする。
【0022】
さらに、本発明の他の観点によれば、通信システムは、ネットワークに接続された他のノードと信号を送受信する通信手段を有する下位層と、該下位層に対する信号を前記通信手段が受信した場合には、該信号に応じた処理を行う処理手段と、前記通信手段が上位層に対する信号を受信したときは、上位層を備えていないことを前記他のノードに通知する通知手段とを有し、前記ネットワーク上の1つのノードを構成する末端ノードと、前記ネットワークに接続された他のノードと信号を送受信する通信手段を有する下位層と、該下位層を管理する第1の上位層と、前記末端ノードの下位層を前記ネットワークを介して管理する第2の上位層とを有し、前記ネットワーク上の1つのノードを構成する統括ノードとを有する。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施例によるIEEE1394バス1の一例を表すブロック図である。
【0024】
本発明の実施例によるIEEE1394バス1は、例えば、上位層及び下位層を実装する一般ノード2a及び一般ノード2b、上位層を持たない末端ノード3a、上位層及び下位層及び他のノード(末端ノード3a、3b)の上位層を実装する統括ノード4をIEEE1394ケーブルで接続することにより構成される。
【0025】
一般ノード2a及び2bは、IEEE1394インターフェイスを有する電子楽器、音響機器、AV機器、パーソナルコンピュータ、又は各種外部記憶装置等のいずれか1つである。一般ノード2a及び2bは、それぞれ上位層A、下位層A、上位層E、下位層Eを実装している。
【0026】
末端ノード3aは、IEEE1394インターフェイスを有する電子楽器、音響機器、AV機器、パーソナルコンピュータ、又は各種外部記憶装置等のいずれか1つであり、例えば、パワードスピーカ等である。末端ノード3aは、上位層を実装しておらず、下位層Bのみを実装している。末端ノード3aは、上位層を実装していないので、単体では、一般ノード2a又は2bと上位層で定義されるプロトコルによる正常な通信を行うことが出来ない。
【0027】
このように、末端ノード3aは、上位層を実装していないので、通常上位層で処理される1394AVプロトコルに基づくコマンドやmLAN規格に基づくコマンドを単体で処理することは出来ないが、各種トランザクションやアイソクロナス転送などは下位層に実装されているので、単体で処理することが出来る。
【0028】
例えば、末端ノード3aが、パワードスピーカである場合は、発音するための音声信号等は、通常アイソクロナス転送により送信されるので、下位層だけで処理することが出来る。一方、受信チャンネル等のコネクションの設定、ボリュームコントロールなどは、通常、上位層によりコマンドが受付けられ、該コマンドに対応する機能レジスタに書き込みが行われるので、下位層しか持たない末端ノード3a単体では処理することが出来ない。
【0029】
末端ノード3aは、自ノードが末端ノードであって、それを統括するノードに必要な上位層の種類を特定するIDを、後述のCSR(Control andStatus Registers)メモリに記録している。また、現在、自ノードを統括している統括ノードのGUID(Grobal Unique Identifier)をCSRメモリに記録する。
【0030】
統括ノード4は、IEEE1394インターフェイスを有する電子楽器、音響機器、AV機器、パーソナルコンピュータ、又は各種外部記憶装置等のいずれか1つであり、例えば外部記憶装置を有するパーソナルコンピュータにより構成される。統括ノード4は、下位層Cと、自身の上位層Cに加えて、末端ノード3a及び3bの下位層を管理するための上位層B及びDを実装している。これらの上位層B及びDが、末端ノード3a及び3bの上位層の代理をして、一般ノード2a又は2bと、上位層で定義されるプロトコルによる通信を行うことが出来る。
【0031】
統括ノード4は、自己が統括することが出来る末端ノードのGUIDを、該末端ノードを管理するためのソフトウェア(上位層)と関連付けて記録している。
【0032】
末端ノード3bは、末端ノード3aとほぼ同様の構成であるが、上位層D’及び下位層Dを実装している。末端ノード3bは、実装している上位層D’の機能を停止して、統括ノード4の上位層Dにより管理することができる。なお、末端ノード3bの上位層D’を、一部の機能しか管理しないものにして、不足する機能を統括ノード4の上位層Dにより管理してもよい。実装している上位層D’の機能は、外部からのコマンドにより実行又は停止することが出来る。
【0033】
末端ノード3bも、末端ノード3aと同様に、自ノードが末端ノードであって、それを統括するノードに必要な上位層の種類を特定するIDを、CSRメモリに記録している。また、実装している上位層D’の機能を停止する場合には、現在、自ノードを統括している統括ノードのGUIDをCSRメモリに記録する。
【0034】
図2は、本実施例による末端ノード3a(又は3b)のCSRメモリの一例を表す概念図である。
【0035】
末端ノード3a(又は3b)のCSRメモリは、例えば、CSRコアレジスタ、シリアルバスレジスタ、Yアドレス情報を有するコンフィグROM、及びAV/C領域とY領域を有する機器固有レジスタを含んで構成される。
【0036】
CSRコアレジスタ及びシリアルバスレジスタは周知のIEEE1394デバイスのものと同様の構成である。
【0037】
Yアドレス情報は、他のノード(特に統括ノード)に対して、Y領域に含まれるリードオンリ領域、リードライト領域、及びリードライト領域内の統括ノードID、下位層機能レジスタ領域、その他領域のアドレスを公開している。
【0038】
統括ノードIDには、自機を管理している統括ノードのGUIDを記録する。
【0039】
統括ノードIDにGUIDを記録されたノード(統括ノード)は、このYアドレス情報を読み込むことにより、末端ノードを管理するために必要なレジスタのアドレスを検出することが出来る。
【0040】
また、統括ノードIDにGUIDを記録されたノードのみが機器固有レジスタに対する書き込みを出来るように設定してもよい。このようにすると、統括ノードIDにGUIDを記録されていない統括ノードが同一バス上に存在する場合にも、統括ノード同士が競合する事を防止できる。
【0041】
図3は、本実施例による統括ノード4のCSRメモリの一例を表す概念図である。
【0042】
統括ノード4のCSRメモリは、例えば、CSRコアレジスタ、シリアルバスレジスタ、コンフィグROM、及びAV/C領域を有する機器固有レジスタを含んで構成される。
【0043】
CSRコアレジスタ及びシリアルバスレジスタは周知のIEEE1394デバイスのものと同様の構成であり、その他の構成についても図2の末端ノード3a(又は3b)のCSRメモリとほぼ同様である。
【0044】
この統括ノード4のCSRメモリの特徴は、コンフィグROM内に自身の情報以外に、管理下にある末端ノードの機能に関する情報を記録していることである。これらの管理下にある末端ノードの機能をコンフィグROMに追加することにより、他のノードからは、統括ノードが末端ノードの機能を有しているように見える。
【0045】
図4は、一般ノード2aと一般ノード2b間の通信を表すブロック図である。
【0046】
まず、末端ノード3aが一般ノード2a(送信側)から、上位層Eの機能に対応するアドレスに対するコマンド書き込み命令(パケット1)を受信する。次に、一般ノード2b(受信側)の下位層Eは、上記書き込み命令に基づき、上位層Eの機能に対するアドレスへのコマンド書き込みを実行する。
【0047】
その後、一般ノード2bの上位層Eは、書き込み命令(パケット1)を受付け、上記コマンドに対応するレジスタ(機能レジスタ)への書き込み命令を下位層Eに対して行う。すなわち、上位層Eは、受信したコマンドを解釈し、当該コマンドが管理しようとする機能に対応する下位層Eのレジスタ(機能レジスタ)に、当該コマンドの内容に応じた制御データを書き込む。以上により、下位層Eは、レジスタに書き込まれた制御データに基づいて一般ノード2aの送信したコマンドに対応した動作を行うことが出来る。
【0048】
正常に書き込みが行われたら、一般ノード2bの下位層Eは、一般ノード2aに対して、上記書き込み命令が正常に行われたことを示すパケット2を送信する。
【0049】
このように、上位層を持つノード同士では、上位層を介すことにより、機能レジスタへの書き込みを行い、お互いに他の機器を管理することが出来る。
【0050】
図5は、本実施例による一般ノード2aと末端ノード3a間の通信を表すブロック図である。なお、この例では統括ノード4がIEEE1394バス1上に存在しないものとする。
【0051】
まず、一般ノード2a(送信側)から、上位層の機能に対応するアドレスに対するコマンド書き込み命令(パケット1)を受信する。次に、末端ノード3a(受信側)の下位層Bは、上記書き込み命令に応じて、書き込みを実行しようとする。しかし、末端ノード3aには、上位層が実装されていないため、該上位層の機能に対応するアドレスが存在せず、下位層Bは、エラー(パケット2)を一般ノード2aに対して送信する。すなわち、末端ノード3aには上位層がないので、受信したパケット2に応じたコマンドの書き込みは失敗し、したがって、そのコマンドに応じた下位層Bに対する制御が行われることはない。
【0052】
このように、末端ノード3aは、上位層の機能に対応するコマンドに対してエラーを帰すので、末端ノード3aが上位層を実装してないことがわかる。
【0053】
そこで、本実施例では、図6に示すように統括ノード4が、末端ノード3aの上位層を実装して、一般ノード2aとの通信を代理して行う。
【0054】
図6は、本実施例による統括ノード4を介した一般ノード2aと末端ノード3a間の通信を表すブロック図である。なお、統括ノード4は、後述の末端ノード管理設定処理により、末端ノード3aを管理するように設定されている。
【0055】
まず、統括ノード4の下位層Cは、一般ノード2a(要求元)から、末端ノード3aの上位層Bの機能に対応するアドレスに対するコマンド書き込み命令(パケット1)を受信する。
【0056】
次に、統括ノード4の下位層Cは、該受信した書き込み命令に基づき、上位層Bの機能に対応するアドレスに対してコマンドを書き込む。その後、上位層Bは、該コマンドで指示された機能に対応する末端ノード3a内の下位層Bの機能レジスタのアドレスを検出し、該検出したアドレスに対する該コマンドに応じた制御データの書き込み命令(パケット2)を末端ノード3aに対して送信する。
【0057】
その後、末端ノード3aの下位層Bは、受け取った書き込み命令(パケット2)を実行し、すなわち、下位層Bの該機能レジスタに相当するアドレスへ該制御データを書き込み、その結果(パケット3)を、統括ノード4に対して送信する。下位層Bは、書き込まれた制御データに基づいて、一般ノード2aが統括ノード4の上位層Bに対して送信したコマンドに対応した動作を行う。
【0058】
末端ノード3aからの処理結果(パケット3)を受信した統括ノードは、要求の発行元である(コマンドを送ってきた)一般ノード2aに対して、当初のコマンドに対する応答(パケット4)を送信する。
【0059】
一般ノード2aは、統括ノード4からの応答(パケット4)を受信して、処理が正常に行われたことを認識する。
【0060】
このように、統括ノード4が、本来末端ノードの上位層が果たすべき役割を代理して行い、上位層で処理すべき信号を下位層で処理できるフォーマットで末端ノードに送信してやることにより、上位層を持たない末端ノードに対するコマンドの書き込み等を行うことが出来る。
【0061】
図7は、本実施例の統括ノード4における末端ノードの管理設定処理を表すフローチャートである。この末端ノード管理設定処理は、通常のバスリセット(新たなノードがバスに接続されたり、これまで接続されていたノードがバスから外される等のトポロジー変化が起きた時に発生する)が実行されるごとに起動される。
【0062】
ステップSA1では、末端ノード管理設定処理を開始して次のステップSA2に進む。
【0063】
ステップSA2では、末端ノード管理処理を初期化する。ここでは、例えば、統括ノードのコンフィグROM内に記載された末端ノードの上位層に対応する機能等をクリアする。その後、次のステップSA3に進む。
【0064】
ステップSA3では、管理すべき末端ノードのGUIDを書き換え可能な記憶装置から読み出す。本実施例の統括ノードには、以下の説明の便宜上、予め管理すべき末端ノードのGUIDが1つ記録されているものとする。なお、実際には、1つとは限らず、複数である場合もあるし、1つもない場合もある。
【0065】
また、管理すべき末端ノードのGUIDは、ユーザが入力するようにしてもよい。また、図5に示したように末端ノードに上位層の機能に対応するアドレスに対する書き込み命令を送信し、エラーが帰された末端ノードのGUIDを末端ノードのコンフィグROMから読み出すようにしてもよい。管理すべき末端ノードのGUIDを読み出したら、次のステップSA4に進む。
【0066】
ステップSA4では、IEEE1394バス1に接続されたノードのGUIDを読み出す。なお、ここでは1つのノードのGUIDを読み出すが、このステップSA4を繰り返すことにより全てのノードのGUIDを読み出す。その後、次のステップSA5に進む。
【0067】
ステップSA5では、ステップSA4で読み込んだGUIDが、ステップSA3で読み込んだ管理すべき末端ノードのGUIDと等しいか否かを判断する。ステップSA4で読み込んだGUIDが、ステップSA3で読み込んだ管理すべき末端ノードのGUIDと等しい場合は、YESの矢印で示すステップSA6に進み、等しくない場合は、NOの矢印で示すステップSA10に進む。
【0068】
ステップSA6では、ステップSA5で管理すべき末端ノードのGUIDとGUIDが一致した末端ノードのコンフィグROMから、該末端ノードの管理に必要な情報を読み込む。その後、次のステップSA7に進む。
【0069】
ステップSA7では、ステップSA6で読み込んだ情報に基づき、自機(統括ノード)の上位層内に管理すべき末端ノードに対応するソフトウェアインスタンス(管理する末端ノードのための上位層)を作成する。その後、次のステップSA8に進む。
【0070】
ここで、末端ノードに対応するソフトウェアインスタンスを作成するというのは、本来末端ノードの上位層が受付けるべきコマンド(例えば、AV/Cコマンド等)を、末端ノードに代わって統括ノードの上位層が受付ける状態にすることである。すなわち、このステップSA7の処理以降は、統括ノードが、自身の管理する末端ノードに対する他のノードからのコマンドを受付けることができる。
【0071】
ステップSA8では、末端ノードの統括ノードGUID記憶領域(図2)に、自身のGUIDを書き込み、該末端ノードを管理する統括ノードであることを示す。その後、次のステップSA9に進む。
【0072】
管理する末端ノードに自身のGUIDを書き込むことにより、他の統括ノードに対して、該末端ノードが既に管理されていることを示すことが出来る。
【0073】
ステップSA9では、自身のコンフィグROMに、末端ノードの機能の情報を追記することで、末端ノードが持つ機能の追記が行われる。このようにすることで、他のノードからは、統括ノードが管理する末端ノードの機能を持っているかのように見せかけることが出来る。その後、次のステップSA10に進む。
【0074】
統括ノードのコンフィグROMには、統括ノードが予め備えている上位層の内、管理する末端ノードのある上位層(バスに接続されている末端ノードに対応する上位層)に対応する機能が書き込まれ、管理する末端ノードの無い上位層(バスに接続されていない末端ノードに対応する上位層)に対応する機能は書き込まれない。
【0075】
ステップSA10では、IEEE1394バス1に接続されている全てのノードのGUIDを読み込んだか否かが判断される。全てのノードのGUIDを読み込んだらYESの矢印で示すステップSA11に進む。全てのノードのGUIDを読み込んでいなければNOの矢印で示すステップSA4に戻り、その後の処理を繰り返す。
【0076】
ステップSA11では、他のノードに末端ノードを管理していることを認識させるために末端ノード管理設定完了通知を発行する。その後、次のステップSA12に進み末端ノード管理設定処理を終了する。
【0077】
これにより、統括ノードが末端ノードの機能を持っているように認識させることが出来る。なお、このステップSA11で、バスリセットを発行して、統括ノードと同一のIEEE1394バス1に接続された他のノードに、統括ノードの上位層に作成されたソフトウェアインスタンスを認識させることにより、あたかも上位層を備えた末端ノード3aが存在するように認識させるようにしてもよい。
いずれにしても、管理される末端ノードの上位層の機能に対応するコマンドは、統括ノードに対して送信されるようになる。
【0078】
なお、アイソクロナス転送による通信は、下位層が直接処理することが出来るので、統括ノードを介さずに直接末端ノードに送信する。
【0079】
以上の末端ノード管理設定処理を行うことにより、統括ノードは、自身が管理している末端ノードの上位層に対するアクセスを全て処理し、必要に応じて対応する末端ノードに対して定められたトランザクションを発行し、末端ノード動作状況を確認又は変更することが出来る。
【0080】
また、新たな末端ノードがバスに参加した場合、及び、いずれかの末端ノードがバスから外れた場合にも、発生したバスリセットに応じて統括ノードが図7の処理を実行する。そして、新たに参加した末端ノードの機能の記述が該統括ノードのコンフィグROMに現れ、あるいは、外れた末端ノードの機能の記述が同コンフィグROMから消える。
【0081】
図8は、図6に示す通信を行うための各ノードにおける処理の概念の理解を助けるためのフローチャートである。なお、統括ノードにおいて、図7に示す末端ノード管理設定処理が既に行われているものとする。また、図中点線の矢印はパケットの送信を表す。
【0082】
ステップSB1〜SB4は要求発行元(図6の一般ノード2a)での処理である。
【0083】
ステップSB1では、要求発行元処理を開始して、次のステップSB2に進む。
【0084】
ステップSB2では、末端ノードの機能に相当するソフトウェアインスタンス(図6の統括ノード4の上位層B)に対する要求を送信する。その後、次のステップSB3に進む。なお、ここで送信される要求は、後述するステップSB6で統括ノードにより受信される。
【0085】
ステップSB3では、後述するステップSB9で統括ノードから送信される末端ノードの処理結果を受信する。その後、次のステップSB4に進み、要求発行元処理を終了する。
【0086】
ステップSB5〜SB10は統括ノード(図6の統括ノード4)での処理である。
【0087】
ステップSB5では、統括ノード処理を開始して、次のステップSB6に進む。
【0088】
ステップSB6では、統括ノード上位層内に作成した末端ノードの機能に相当するソフトウェアインスタンス(図6の統括ノード4の上位層B)に対する要求を受信する。その後、次のステップSB7に進む。
【0089】
ステップSB7では、末端ノードの機能レジスタに対して書き込み命令を送信する。その後、次のステップSB8に進む。なお、統括ノードは、前述したように、自己の管理下にある末端ノードの機能をコンフィグROM内に記憶している。また、統括ノードは、末端ノードを制御するための各種情報(末端ノードの機能に関する情報、その機能に対応した末端ノードの機能レジスタのアドレス等)を統括ノード内のワークメモリに記録している。ここで送信される書き込み命令は後述するステップSB12で末端ノードによって受信される。
【0090】
ステップSB8では、後述するステップSB14で送信される末端ノードにおける処理結果を受信する。その後、次のステップSB9に進む。
【0091】
ステップSB9では、ステップSB8で受信した末端ノードでの処理結果に基づき、末端ノードでの処理結果を元の要求発行元に送信する。その後、次のステップSB10に進み統括ノード処理を終了する。
【0092】
ステップSB11〜SB15の処理は末端ノード(図6の末端ノード3a)での処理である。
【0093】
ステップSB11では、末端ノード処理を開始して次のステップSB12に進む。
【0094】
ステップSB12では、ステップSB7で統括ノードから送信された機能レジスタに対する書き込み命令を受信し、機能レジスタに書き込む。書き込み命令の送受信及び、書き込み命令に基づく処理は、下位層であるトランザクション層により行われるので、上位層を持たない末端ノードにおいても正常に行うことが出来る。その後、次のステップSB13に進む。
【0095】
ステップSB13では、該機能レジスタに対応する機能を実行する。例えば、機能レジスタに対して一定の値等を書き込む。その後、次のステップSB14に進む。
【0096】
ステップSB14では、統括ノードに対して、該書き込み命令の処理結果を送信する。その後、次のステップSB15に進み、末端ノード処理を終了する。
【0097】
以上、本実施例によれば、統括ノードとなるIEEE1394デバイスにより、IEEE1394規格を使った上位層を実装しない機器(末端ノード)を管理することが出来る。
【0098】
これにより、統括ノードを介することにより、一般ノードに相当するIEEE1394デバイスからも上位層を持たない末端ノードを制御することが出来る。
【0099】
また、1つの統括ノードにより複数の末端ノードを管理することが出来る。これにより、ユーザインターフェイス等のIEEE1394規格を使った上位層の更新(「上位プロトコルの更新」だけでなく「バグの修正」や「性能の向上」のために行われる場合も含む)を各機器ごとに行う必要がなく、簡単に行うことが出来る。
【0100】
また、本実施例によれば、上位層を統括ノードに実装することにより、IEEE1394規格を使った上位層と交換性を保ったまま、上位層のないノードを提供することが出来る。
【0101】
さらに、末端ノードから上位層を省くことにより、上位層を実装するためのハードウェア及びソフトウェア資源を節約することが出来、末端ノードを低価格で提供することが出来る。
【0102】
また、本実施例によれば、一部又は全部の上位層を実装した末端ノードの上位層の機能を停止して、統括ノードにより管理することが出来る。この場合、統括ノードの上位層を更新することにより、末端ノードに実装されている上位層を更新したのと同様の効果を得ることが出来る。
【0103】
また、本実施例によれば、新しいIEEE1394規格を使った上位層が規定された場合などに、統括ノードの上位層のみを更新することにより、末端ノードを新しい規格に対応させることが出来る。
【0104】
なお、統括ノードがパーソナルコンピュータ等であり、末端ノードを管理するためのソフトウェア(上位層)を複数同時に実行する能力がある場合には、各実行中のソフトウェアがそれぞれ管理している末端ノードのGUIDを管理、記録して、複数のソフトウェアで1つの末端ノードを管理するような競合状態を避けるようにする。
【0105】
また、本実施例では、IEEE1394バス1上に1つの統括ノードだけが存在する場合を説明したが、複数の統括ノードがIEEE1394バス1に接続されていてもよい。複数の統括ノードが同一IEEE1394バス1上に接続される場合に、統括ノードで管理する末端ノードが重複しないように調整する必要がある。
【0106】
なお、本実施例は、本実施例に対応するコンピュータプログラム等をインストールした市販のコンピュータ等によって、実施させるようにしてもよい。
【0107】
その場合には、本実施例に対応するコンピュータプログラム等を、CD−ROMやフロッピーディスク等の、コンピュータが読み込むことが出来る記憶媒体に記憶させた状態で、ユーザに提供してもよい。
【0108】
そのコンピュータ等が、LAN、インターネット、電話回線等の通信ネットワークに接続されている場合には、通信ネットワークを介して、コンピュータプログラムや各種データ等をコンピュータ等に提供してもよい。
【0109】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組合せ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【0110】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、製造コストをおさえたIEEE1394規格に準拠した機器を提供することができる。
【0111】
また、本発明によれば、他のノードを管理することができるIEEE1394規格に準拠した機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例によるIEEE1394バス1の一例を表すブロック図である。
【図2】 本実施例による末端ノード3a(又は3b)のCSRメモリの一例を表す概念図である。
【図3】 本実施例による統括ノード4のCSRメモリの一例を表す概念図である。
【図4】 一般ノード2aと一般ノード2b間の通信を表すブロック図である。
【図5】 本実施例による一般ノード2aと末端ノード3a間の通信を表すブロック図である。
【図6】 本実施例による統括ノード4を介した一般ノード2aと末端ノード3a間の通信を表すブロック図である。
【図7】 本実施例の統括ノード4における末端ノードの管理設定処理を表すフローチャートである。
【図8】 図6に示す通信を行うための各ノードにおける処理を表すフローチャートである。
【図9】 mLAN上位層を実装した一般的なAV(オーディオ・ビジュアル)装置のプロトコルスタックの一例を表す概念図である。
【符号の説明】
1…IEEE1394バス、2…一般ノード、3…末端ノード、4…統括ノード
Claims (20)
- それぞれ他のノードと信号を送受信する通信手段を有する下位層を備えた複数のノードが接続されたネットワークにおける1つのノードを構成する通信装置であって、
前記下位層を管理する第1の上位層と、
前記ネットワークに接続された他のノードのうち特定の末端ノードの下位層を前記ネットワーク越しに管理する第2の上位層と、
管理対象である前記特定の末端ノードの機能に関する情報を記憶する記憶手段とを備えたことを特徴とする通信装置。 - 前記第2の上位層は、前記通信手段が受信する命令に基づき、前記特定の末端ノードの下位層を制御するための制御信号を生成する生成手段とを有する請求項1記載の通信装置。
- 前記第2の上位層は、さらに前記特定の末端ノードの下位層に、前記ネットワークを介して前記制御信号を書き込む制御信号書込み手段とを有する請求項2記載の通信装置。
- 前記生成手段は、前記命令を記憶し、前記記憶した命令を解釈することにより前記制御信号を生成する請求項2又は3記載の通信装置。
- 前記記憶手段は、前記ネットワークに接続された他のノードからアクセス可能である請求項1〜4のいずれか1つに記載の通信装置。
- さらに、管理対象である前記特定の末端ノードが前記ネットワークに接続された時に、当該末端ノードの機能に関する情報を前記記憶手段に書き込む情報書込み手段を有する請求項1〜5のいずれか1つに記載の通信装置。
- さらに、管理対象である前記特定の末端ノードが前記ネットワークから切断された時に、当該末端ノードの機能に関する情報を前記記憶手段から削除する情報削除手段を有する請求項1〜6のいずれか1つに記載の通信装置。
- さらに、前記特定の末端ノードが有する自機を管理するノードの情報を記憶する管理ノード記憶手段に前記管理するノードの情報を書き込む管理ノード情報書込み手段を有する請求項1〜7のいずれか1つに記載の通信装置。
- 前記第1の上位層は、前記下位層が行う他のノードとの通信コネクションの設定を管理するものであり、
前記第2の上位層は、前記特定の末端ノードの下位層が行う他のノードとの通信コネクションの設定を管理するものである請求項1〜8のいずれか1つに記載の通信装置。 - ネットワークに接続された他のノードと信号を送受信する通信手段を有する下位層と、該下位層に対する信号を前記通信手段が受信した場合には、該信号に応じた処理を行う処理手段と、前記通信手段が上位層に対する信号を受信したときは、上位層を備えていないことを前記他のノードに通知する通知手段とを有し、前記ネットワーク上の1つのノードを構成する末端ノードと、
前記ネットワークに接続された他のノードと信号を送受信する通信手段を有する下位層と、該下位層を管理する第1の上位層と、前記末端ノードの下位層を前記ネットワークを介して管理する第2の上位層とを有し、前記ネットワーク上の1つのノードを構成する統括ノードと
を有する通信システム。 - 前記統括ノードの第2の上位層は、前記通信手段が受信する命令に基づき、前記末端ノードの下位層を制御するための制御信号を生成する生成手段を有する請求項10記載の通信システム。
- 前記統括ノードの第2の上位層は、さらに前記末端ノードの下位層に、前記ネットワークを介して前記制御信号を書き込む制御信号書込み手段を有する請求項11記載の通信システム。
- 前記生成手段は、前記命令を記憶し、前記記憶した命令を解釈することにより前記制御信号を生成する請求項11又は12記載の通信システム。
- 前記統括ノードは、さらに、前記末端ノードの機能に関する情報を記憶する記憶手段を有する請求項10〜13のいずれか1つに記載の通信システム。
- 前記記憶手段は、前記ネットワークに接続された他のノードからアクセス可能である請求項14記載の通信システム。
- 前記統括ノードは、さらに、前記末端ノードが前記ネットワークに接続された時に、当該末端ノードの機能に関する情報を前記記憶手段に書き込む情報書込み手段を有する請求項14又は15記載の通信システム。
- 前記統括ノードは、さらに、前記末端ノードが前記ネットワークから切断された時に、当該末端ノードの機能に関する情報を前記記憶手段から削除する情報削除手段を有する請求項14〜16のいずれか1つに記載の通信システム。
- 前記末端ノードは、前記統括ノードの情報を記憶する統括ノード記憶手段を有する請求項10〜17のいずれか1つに記載の通信システム。
- 前記統括ノードは、さらに、前記末端ノードが有する前記統括ノード記憶手段に前記ネットワークを介して前記統括ノードの情報を書き込むノード情報書込み手段を有する請求項18記載の通信システム。
- 前記統括ノードの第1の上位層は、前記統括ノードの下位層が行う他のノードとの通信コネクションの設定を管理するものであり、
前記統括ノードの第2の上位層は、前記特定の末端ノードの下位層が行う他のノードとの通信コネクションの設定を管理するものである請求項10〜19のいずれか1つに記載の通信システム。
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