JP3888768B2 - 圧電振動部品およびその製造方法 - Google Patents

圧電振動部品およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通信機器や携帯情報端末のクロック周波数の基準信号源等に用いられる高周波用の圧電振動部品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、移動体通信機器やPHS(パーソナル・ハンディホン・システム)等に代表される個人向け携帯電話の小型軽量化および高周波化にともない、それに用いられる圧電振動子やフィルタ等も、より一層の小型化および高周波化が求められている。また、パーソナルコンピュータに代表される情報機器においてもクロックの高周波化が急速に進んでいる。この要求に応えるため、従来の圧電デバイスでは、小型、薄型のパッケージの適用、圧電基板を薄く研磨する研磨精度の向上により、小型・薄型化および高周波化に対応してきた。
【0003】
従来のチップ型圧電振動部品の代表例として、圧電振動子の構成を図20に示す。図20において、圧電基板21は所望の周波数で発振する厚さまで薄板化されたものであり、その両面に励振電極22が設けられている。圧電基板21の端面部分は、導電性接着剤23によりパッケージ24に固着され、かつ励振電極22と引き出し電極25とが電気的に導通されている。一般に、圧電振動部品では、励振部がパッケージ基板等による拘束を受けず、極力自由であることが望ましく、そうでない場合は動作しないかまたは特性が悪くなる。従って、圧電基板21はその端面部分のみで支持され、パッケージ24のベース部26と蓋部27にそれぞれ凹部26a、27aが設けられ、振動空間が確保される構成となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来の圧電振動子の構成では、圧電基板21が薄くなると圧電基板21自体がたわみ、励振電極22等を形成のためのフォトリソグラフィ工程、成膜工程、実装工程等における作業性が低下する。そのため、これらの工程における作業性を低下させずに行おうとすると、圧電基板21の厚さは50μm程度が限界であった。また、圧電基板21は薄いうえに、小さいため、所定の厚さに研磨された圧電基板21を研磨機から取り外す際の労力は相当なものとなる。従って、このような従来の圧電振動子は大量生産に向かず、コストの上昇をまねくという問題点を有していた。さらに、従来の圧電振動子では、圧電基板21として一素子ずつでの取扱いを前提としており、大面積のウエハでの一括薄板化に適した形態にはなっていなかった。
【0005】
さらにまた、従来の圧電振動子等の圧電振動部品は、一般に不要な振動を防ぐために、外形の影響が少なくなるよう設計される。より具体的には、外形を円形に加工したり、端面を加工して特定の形状を持たせることが行われる。
【0006】
しかし、圧電振動子の共振周波数が高周波になり、薄く、小型になってくると、外形の形状加工は非常に困難となる。そのため、高周波帯においては、素子形状としては単純に切断分離の可能な、概ね長方形状を有するものが好ましいが、長方形状のものは外形寸法に起因する様々なスプリアス(不要振動)が生じるという問題が生ずる。
【0007】
さらにまた、これらのスプリアスを抑制するために、支持部の導電性接着剤23に振動吸収特性を持たせ、圧電基板21の支持部でその振動を吸収するということが行われるが、導電性接着剤23は流動性を有しているので、その形状や寸法の規制が困難でスプリアスの制御が困難であるばかりでなく、圧電基板21の振動部に流れ込んで、主要な振動までも阻害してしまい、不良を引き起こす原因となっていた。
【0008】
本発明は前記従来例の問題点を解決するためになされたものであり、高周波化に対応可能で信頼性が高く、しかもより小型で薄型の圧電振動部品を提供することを目的とする。
【0009】
本発明はまた、高周波化に対応可能で信頼性が高く、小型で薄型の圧電振動部品を、効率よく簡単に製造することができる圧電振動部品の製造方法を提供することをいま一つの目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段および作用】
前記問題点を解決するため、請求項に係る発明は、平板状の圧電基板母材の第1の主面上に、第1の励振電極および該第1の励振電極から引き出される第1の引出導体パターンをマトリックス状に形成する工程と、
前記圧電基板母材の第1の主面をカバー基板母材に対向させ、前記第1の励振電極の各々に対応する圧電振動部分との間に間隙を有して前記圧電基板母材とカバー基板母材とを固着する工程と、
前記カバー基板母材を裏打ちとし、前記圧電基板母材の第2の主面を研磨し、前記圧電基板母材を所定の厚さに研磨する工程と、
前記圧電基板母材の第2の主面上に前記第1の主面に形成した第1の励振電極と対向する第2の励振電極および該第2の励振電極から引き出された第2の引出導体パターンをマトリックス状に形成する工程と、
第1の励振電極の各々、第2の励振電極の各々、第1の引出導体パターンの各々および第2の引出導体パターンの各々を含んで前記圧電基板母材およびカバー基板母材をユニットに切断する工程と、
ベース基板母材の主面上に前記第1および第2の引出導体パターンの端部にそれぞれ対応するように第1および第2の端子電極をマトリックス状に形成する工程と、
前記各ユニットの切断された圧電基板母材の第2の主面を前記ベース基板母材に対向させ、前記第2の励振電極に対応する圧電振動部分との間に間隙を有して、切断された前記圧電基板母材とベース基板母材とを固着する工程と、 各ユニットの切断された圧電基板母材の第1および第2の引出導体パターンの端部をそれぞれベース基板母材の第1および第2の端子電極に電気的に接続する工程と、
前記ユニットを気密保護体で覆う工程と、
前記ユニットを個々に分離する工程と、
からなることを特徴とする。
【0027】
前記圧電基板はカバー基板が固着されて補強されており、カバー基板を裏打ちとして前記圧電基板は、一括して薄板化することが可能となる。また、薄板化した前記圧電基板は、保護基板が薄い圧電基板が補強された状態で取り扱うこことが可能になる。
【0028】
さらにまた、請求項に係る発明は、請求項に記載の圧電振動部品の製造方法において、前記カバー基板母材と圧電基板母材との固着もしくは前記ユニットの圧電基板と前記ベース基板母材との固着の少なくとも一方を直接接合によって行うことを特徴とする。前記直接接合により、カバー基板母材と圧電基板母材との固着もしくはユニットの圧電基板とベース基板母材との固着の工程が簡略化される。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下に、添付の図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0043】
(第1の実施の形態)
本発明の圧電振動部品およびその製造方法の第1の実施形態を、圧電振動子を例に、図1ないし図3を参照して説明する。図1は第1の実施形態に係る圧電振動子の構成を示し、図2は第1の実施形態に係る圧電振動子の外装を施す前の形態を示しており、図3は第1の実施の形態に係る圧電振動子の最終形態の一例を示している。
【0044】
図1に示すように、平板状の圧電基板1の第1及び第2の主面にはそれぞれ第1の励振電極2および第2の励振電極7が形成され、また第1の励振電極2および第2の励振電極7にはそれぞれ第1および第2の引出導体パターン3および、3’が圧電基板1の両端まで、それぞれ反対の方向に引き出されている。圧電基板1の第1の主面側には、圧電基板1に比べて厚みのあるカバー基板4が、振動吸収材6を介して固着されている。また、カバー基板4の下面には、振動空間5が振動吸収材6により形成されている。ベース基板8にも同様に振動空間9が振動吸収材10により形成され、両者は振動吸収材10により固着されている。振動吸収材の材料としては、さまざまな樹脂材料が適用され、ドライフィルムのような感光性樹脂やエポキシ樹脂など絶縁性を持つ樹脂を広く用いることができる。
【0045】
また、ベース基板8の上面には第1および第2の端子電極11および11’が第1および第2の引出導体パターン3および3’のほぼ端部(圧電基板1の端部に合致する。)に対応する位置にまで形成されており、これら第1および第2の端子電極11および11’の他端はそれぞれベース基板8の端部に形成されたスルーホール12および12’を通って、ベース基板8の下面にまで引き出されている。
【0046】
図1において示された構成を有する圧電振動子は、図2に示すように、第1および第2の引出導体パターン3および3’の端部と第1および第2の端子電極11および11’の端部が、例えば導電性樹脂13および13’により電気的に接続され、その出力をベース基板8の下面に取り出して用いられる。第1および第2の引出導体パターン3および3’と第1および第2の端子電極11および11’は圧電基板1の端部で近接するように形成されているので、導電性樹脂13,13’を圧電基板端面に塗布すれば容易に接続できるうえ、振動空間5および9は、振動吸収材6,10により保護されているため、導電性樹脂13,13の流れ込みにより、振動を阻害されることがない。また、不要な振動は、振動吸収特性を持つ振動吸収材6,10により抑制されているため、主要振動のみが振動空間内5,9に励振されるようになっている。
【0047】
さらに、図3のようにベース基板8上の構造のほぼ全面が、例えば封止樹脂15によりモールドされることで、圧電振動子の気密が保たれ、外部からの衝撃に強い構造が達成される。圧電振動子の気密は、振動吸収材6、11によっても確保されるが、最も信頼性の要求される電気的接続部をさらに封止樹脂50のような保護手段で覆うことで、さらに高い信頼性が得られる。
【0048】
次に、前記構成を有する圧電振動子の製造方法について図4を用いて説明する。なお、以下に説明するように、本発明に係る圧電振動部品はその構成要素が所定の大きさを有する母材をカットすることにより形成されているので、母材はそれにより構成される圧電振動部品の構成要素と同じ符号を付して示す。
【0049】
図4(a)に示すように、圧電基板母材1として、ニオブ酸リチウム基板を用い、その第1の主面側に、複数の第1の励振電極2および第1の引出導体パターン3をマトリクス状に配列形成する。次に、図4(b)に示すように、圧電基板母材1の第1の励振電極2を覆うように、振動吸収材6を形成する。該振動吸収部材6は例えば、感光性樹脂の皮膜によって形成される。また、この感光性樹脂としては、例えば、厚み30μmのフィルム状にされたものをラミネートして用いる。ラミネートされた感光性樹脂は、ガラスマスクを密着させ、露光、現像され、図4(c)に示すように、振動空間5と引出し電極3の端部が露出されるように、パターニングされる。なお、パターニングの際には、振動空間5の中心に第1の励振電極2が入るように位置合わせを行っている。
【0050】
このとき、感光性樹脂の表面は、粘着性を有するため、図4(d)に示すようにカバー基板母材4を固着させることができる。なお、振動空間5の深さは、例えば25μmとなるように感光性樹脂の厚みは管理されており、十分に振動を阻害しない深さを有している。
【0051】
なお、振動吸収材6の形成法としては、本実施の形態では主に感光性樹脂を用いた場合の例を示すが、その代わりに、予め成形加工され、転写された半硬化状態のエポキシ樹脂からなる樹脂シートを用いてもよいし、印刷により塗着された絶縁性樹脂を用いてもよい。印刷した樹脂を用いる際には、完全硬化しない状態まで半硬化してからカバー基板を圧接し接着することにより、印刷形状を維持したまま接着が可能であり、感光性樹脂を用いた場合ほど、形状の精密な制御は行えないものの加圧、加熱条件を最適化することで形状を制御することが可能である。
【0052】
また、カバー基板母材4としては、熱膨張率がニオブ酸リチウムと近い基板を用いることが接着性向上のためには好ましく、本実施の形態においては、ガラス基板を用いた。ガラス基板は熱膨張率が広く選択できるため、カバー基板として用いるのに都合がよいが、耐衝撃性などを考慮すると、アルミナ、セラミック等を選択してもよい。
【0053】
カバー基板4を固着された圧電基板母材1は強度がカバー基板母材4によりほぼされているため、カバー基板母材4を裏打ちとして、圧電基板母材1を一括して薄板化することができる。種々の検討の結果、圧電基板母材1をカバー基板母材4をベースとして厚さ10μmまで研磨を行っても圧電基板母材1が破損することはないことが確かめられている。
【0054】
このとき、圧電基板母材1の各振動空間部分は非常に小さいため、たとえ加工面下部に空洞があっても、研削、研磨などの機械的手段を用いて加工でき、圧電振動部周辺を感光性樹脂により支持された状態で、圧電基板母材1の平行度を維持したまま薄板化できる。なお、厚みの精度を維持したまま薄板化するためには、カバー基板母材4の厚みを厳密に管理しておく必要がある。
【0055】
そして、図4(e)に示すように、薄板化した圧電基板母材1の第2の主面側に下部励振電極7および第2の引出導体パターン3’を形成する。このとき、カバー基板母材4が薄い圧電基板1を補強しているため、薄板の圧電振動子を単体で取り扱う場合に生じる割れ、欠けなどの致命的な破損を防ぐことができる。なお、図4(e)は図4(d)の状態を裏面側から見た図である。
【0056】
以上の工程により、カバー基板母材4と圧電基板母材1が一体化された圧電振動子の主要部分が完成する。
【0057】
次に、ベース基板8側の製造工程を図5を用いて説明する。
まず、図5の(a)に示すように、ベース基板8として、アルミナ基板を用い、その上面側に、第1および第2の端子電極11、11’をマトリクス状に形成する。なお、これらの引出し線はスルーホール12、12’を通って、ベース基板8の裏面に引き出されている。スルーホール12,12’内部の電極の形成は、焼成前のシートにパンチングなどの手段で穴開けを行い焼成した後、スルーホール内部に、電極ペーストを印刷して埋め込むなどの手法で行われている。
【0058】
次に、図5(b)に示すように、ベース基板母材8の引出し線11,11’およびスルーホール12、12’を覆うように、感光性樹脂からなる振動吸収材10をラミネートする。該振動吸収材10は、圧電基板1上に振動空間5を形成したものと同様の材料であり、同様の手順で正確にパターニングが可能である。そのため、図5(c)に示すように、振動空間9と引出し電極11、11’の端部が露出されるように、選択的なパターニングをすることができる。
【0059】
以上の工程で、ベース基板母材8上に振動空間9が正確に形成される。最後に、図6(a)に示すように、図5の工程で得られたベース基板母材8と図4の工程で得られたカバー基板母材4と圧電基板母材1の一体化された基板をユニットに分割した個々の圧電振動子一体基板14を用意し、図6(b)に示すように、ベース基板母材8の上に、圧電基板1の第2の主面側を対向させ、第2の主面側の振動空間を阻害しないようにして固着して一括実装する。このとき、振動吸収材10は粘着性を有するため、位置決めした上で、密着させれば振動空間が正確に確保され、薄板化された圧電基板1も破損することがない。なお、固着の際には、振動空間9の中心に第2の励振電極7が入るように位置合わせを行っている。ベース基板母材8は、カバー基板4と同じ材質のものでもでよいが、平行度は特に必要としないので、アルミナ、ガラスエポキシなどの一般的な材料を厚みを管理せずに用いることが可能である。
【0060】
その後、図6(c)に示すように、導電性樹脂13、13’を用いて、圧電基板1上に形成された第1および第2の引出導体パターン3および3’とベース基板母材8上に形成された第1および第2の端子電極11および11’の接続を行う。このとき、導電性樹脂13、13’は個々の圧電振動子間にとどまり、振動空間5,9へ浸入することもなく、制御が容易である。また、第1および第2の引出導体パターン3および3’が異なる方向に引き出され、その近傍には、それと接続される第1および第2の端子電極11および11’があるのみで、他の電極と接触することがないため、信頼性の高い接続が行える。振動吸収材6,10は、パターニング可能であるため、接続部の形状についても、図14(a)に示すように、引き出し線3、3’の直上を開け、接触面積を大きくしたり、図14(c)に示すように、完全に両面を覆って強度重視の設計とすることもできる。図14(b)は両者の中間であり、強度と接続の容易さを両立した形になっている。接続部の形状は、これに限るものではないが、位置合わせの便宜を考えると、何らかのパターンを有することが好ましい。
【0061】
さらに、振動空間5、9の形状についても様々な設計が可能であり、図15(a)ないし(e)のように楕円形状(図15(a))、菱形形状(図15(b))、長方形形状(図15(c))、など様々な形状の他、空間内に不要振動抑制のための吸音部分を分離したり、特定の位置に選択的に振動吸収材を偏らせて配置することも可能である(図15(d)、(e))。これらの形状は、用いる圧電基板の種類や使用する振動モードにより決まる振動分布に応じて最適に設計することが必要であるが、従来の手法では、複雑な形状を正確に形成することが難しかった。しかし、感光性樹脂を用いることで複雑な形状が容易に作製できる。また、圧電基板1の第1の主面側の振動吸収材6とベース基板8上に形成される圧電基板1の第2の主面側の振動吸収材10のパターンについても本実施の形態では同一としたが、図16に示すように、表裏のパターンを変えてもよい。(一例として、図14(b)の接続部の形状を得るためのパターンの例を示す。)
【0062】
以上の工程は、本発明の全てにおいてほぼ共通の部分である。しかし、この後の工程は、主に電気接続部を気密に保護する気密保護体を形成する工程であるので、気密保護体に何を用いるかによって変わってくる。本実施の形態では、まず、モールド樹脂を気密保護体に用いた例を示す。
【0063】
以下に図6(c)の続きとなる、気密保護体形成工程を示す。
導電性樹脂13、13’を硬化した後、図6(d)に示すように、表面に気密保護体として封止樹脂15を流し込みモールドする。そして、図6(e)に示すようにユニットに分割することで、本発明の実施の形態1による圧電振動子16が完成する。
【0064】
なお、封止樹脂15は必ずしも全面に付着している必要はなく、ベース基板8の分割後、上面より肉厚に盛り、図3に示したようなドーム形状を有していても差し支えない。また、必ずしも一括実装を行う必要はなく、ベース基板8を個片に切断してから、組み上げても差し支えないことはいうまでもない。
【0065】
本実施の形態によって得られる圧電振動子によれば、前記カバー基板4と薄板化された圧電基板1が常に一体化した状態で取り扱えるため、超高周波の薄板振動子であっても、従来の振動子と同様なハンドリングが可能になる。
【0066】
また、振動吸収材は、例えば感光性樹脂などの手段を用いて、正確な寸法・位置に形成できるので、振動空間の確保、不要振動の抑制、導電性樹脂の流れ込み防止、カバー基板、ベース基板への固定、圧電振動部の気密確保などのさまざまな機能を兼ね備えることができる。
【0067】
さらに、端子の電気的接続も、第1および第2の引出導体パターン3、3’と第1および第2の端子電極11、11’の位置が同一微少空間内に集中した構造のため、接続が確実に行え、信頼性も高い。
【0068】
また、表面に形成された気密保護体は、さらに圧電共振子の耐衝撃性を高め、信頼性をさらに高めることができる。
【0069】
(第2の実施の形態)
次に、気密保護体にキャップ構造を採用した第2の実施の形態について、圧電振動子を例に、図7を参照して説明する。図7(a)ないし(c)は第2の実施の形態に係る圧電振動子の製造工程の一部を示し、図7(d)は本実施の形態に係る圧電振動子の構造を示している。
【0070】
図7(a)および(b)は図6に示した製造工程とほぼ同様であり、ベース基板8上に圧電振動子一体基板14を固着するまでの工程を示している。
【0071】
本実施の形態では、さらに、図7(c)に示すように、セラミック製のキャップ17が圧電振動子一体基板14周辺を覆うように装着している。該キャップ17は、図7(d)に断面図で示すように、エポキシ樹脂18を介してベース基板8上に接着している。
【0072】
本実施の形態によって得られる圧電振動子によれば、前記カバー基板4と薄板化された圧電基板1が常に一体化した状態で取り扱えるため、超高周波の薄板振動子であっても、従来の振動子と同様なハンドリングが可能になる。また、振動吸収材は、例えば感光性樹脂などの手段を用いて、正確な寸法・位置に形成できるので、振動空間の確保、不要振動の抑制、導電性樹脂の流れ込み防止、カバー基板、ベース基板への固定、圧電振動部の気密確保などのさまざまな機能を兼ね備えることができる。
【0073】
さらに、端子の電気的接続も、第1および第2の引出導体パターン3および3’(図1参照)と第1および第2の端子電極11および11’の位置が同一微少空間内に集中した構造のため、接続が確実に行え、信頼性も高い。
【0074】
また、表面に形成されたセラミック製のキャップ17は、実施の形態1における封止樹脂16の収縮による影響を圧電振動素子に与えず、さらに素子の耐衝撃性を高め、信頼性をも高めることができる。
【0075】
(第3の実施の形態)
次に、気密保護体として金属キャップを用いた第3の実施の形態について、圧電振動子を例に、図8を参照して説明する。図8(a)は第3の実施の形態に係る圧電振動子の製造工程の一部を示し、図8(b)は本実施の形態に係る圧電振動子の構造を示している。また、図8(c)は本実施の形態に係る圧電振動子のベース基板8の表面構造を示している。
【0076】
図8(a)は第1の実施形態の図6および第2の実施形態の図7に示された製造工程とほぼ同様の工程により得られるベース基板母材8を示しており、圧電振動子一体基板14を固着する前の状態を示している。
【0077】
本実施の形態においては振動吸収材10の構造に特徴がある。本実施の形態では、図8(b)に示すように、金属製のキャップ19がベース基板8上に導電性樹脂20を介して接着されている。ただし、第1の端子電極11側はキャップ19には接続されておらず、第2の端子電極11’側は金属キャップ19に接続されている。
【0078】
図8(c)に示すように、第2の端子電極11’側は、ベース基板8表面に、第2の引出導体パターン3’に接続される部分と金属キャップ19に接続される部分が露出しているが、第1の端子電極11側は、第1の引出導体パターン3に接続される部分のみがベース基板8表面に露出され、その部分のみに、導電性樹脂13の塗布範囲が規制されるため、金属キャップ19に触れることがない。
【0079】
一般に、圧電振動子においては、高周波のノイズが機器に悪影響を及ぼしたり、逆に、外部からの高周波ノイズからの影響を受けにくくする必要性から、電磁遮蔽を施されて用いられることが多い。また、圧電フィルタにおいては、電磁遮蔽は不可欠であり、より複雑な電極構成において、本実施の形態のように、アース電極と電磁遮蔽板を接続する必要が生じてくる。本実施の形態において示したように、振動吸収材10により選択的に接続部形成でき、金属キャップ19とアースを信頼性高く接続できる手法は、これらの素子の小型化や実装の容易性を著しく向上させることができる。
【0080】
(第4の実施の形態)
本発明の圧電振動部品およびその製造方法の第4の実施の形態について、モノリシック型圧電フィルタを例に、図9を参照して説明する。モノリシック型の圧電フィルタは、第1ないし第3の実施形態において説明した圧電振動子とほぼ同様の構成で実現されるが、第1の励振電極2が近接した2つの分割電極からなり、2つの端子を形成し、第2の励振電極7がアース電極として作用する点が異なる。図9(a)は第4の実施の形態に係る圧電フィルタに用いるベース基板8の表面構造を示している。また、図9(b)および(c)は本実施の形態に係る圧電フィルタの圧電基板1部分の表面および裏面の構造を示している。
【0081】
図9(a)に示すように、第1および第2の端子電極11および11’は、ベース基板8上の振動吸収材10のパターンによりそれぞれ別々の方向に引き出され、図9(b)および(c)に示す圧電フィルタの第1および第2の引出導体パターン3および3’に接続される。これにより、第2の励振電極7から導出される引出し線3’は、正しく第2の端子電極11’に接続され、最終的に金属キャップ19と接続され、接地されることになる。
【0082】
一方、分割電極によって構成される第1の励振電極2は、最終的に第1の端子電極の11側に引き出され、金属キャップ19に触れることなく、外部に取り出すことが可能になる。このため、外部からのノイズの影響を受けにくい圧電フィルタを構成するという目的が、金属キャップ19によりなる電磁シールドを施されて達成される。
【0083】
なお、上記のように、振動吸収材10により選択的に接続部を形成する手法は、端子部の増加にも対応が可能で、サイズの増化を最小限に抑えて、部品の複合化を可能にする。次にその実施形態を説明する。
【0084】
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態を、電圧可変型発振器を例に、図10を参照しながら説明する。該電圧可変型発振器は、圧電振動子およびその他の機能部品30が配線により接続された構造を有する。図10は第5の実施の形態に係る電圧可変型発振器に用いるベース基板8の表面構造を示している。
【0085】
図10に示すベース基板8上において、振動吸収材10のパターンによって圧電基板1が実装され、その周辺に、機能部品30が接続されて、一つの容器に実装されている。第1および第2の端子電極11および11’は振動吸収材10の下部を引き回され、個々の機能部品30に接続されている。これらの素子は、全面を封止樹脂でモールドされた形で用いることも可能で、圧電振動部品の複合化を容易にすることができる。さらに、圧電振動子を複数接続したラダー型フィルタについても同様の手法で構成が可能である。次にその実施形態を説明する。
【0086】
(第6の実施の形態)
本発明の第6の実施の形態について、ラダー型圧電フィルタを例に、図11を参照して説明する。ラダー型圧電フィルタは、圧電振動子が複数接続された構造を有するが、本実施の形態では、2つの圧電振動子を接続した例を示す。
【0087】
図11(a)は第6の実施の形態に係るラダー型圧電フィルタに用いるベース基板8の表面構造を示す上面図であり、図11(b)はその配線を示す回路図である。ベース基板8上の端子1、2、3と回路図上の端子1、2、3はそれぞれ対応している。端子1、2は入力端子であり、端子3はアース端子31として作用して、フィルタとして動作する。
【0088】
なお、アース端子31はベース基板8上に存在するが、圧電基板1上の第1および第2の引出導体パターン3,3’とは直接に接続されておらず、これまでに述べた第1および第2の端子電極11,11’とは対応しないため新たな番号を付与している。図11に示すベース基板8上において、振動吸収材10のパターンによって圧電基板1,1’が実装され、第2の端子電極11’を介して互いに接続されており、一つの容器に実装されている。これらの素子は、全面を封止樹脂でモールドされた形で用いることも可能で、さらに、接続を多段化して、帯域通過、高域通過等の様々な周波数弁別特性をもったフィルタを構成できる。これにL、C、Rなどの受動素子を組み込んだり、さらに特性にバリエーションをもたせることも可能であり、圧電振動部品全般に使用できる有用な構成である。また、LCRなどの受動素子はベース基板8上に限らず、基板積層技術を応用して、ベース基板内に内蔵することも可能である。次にその例を示す。
【0089】
(第7の実施の形態)
本発明の第7の実施の形態について、容量内蔵型発振器を例に、図12を参照して説明する。該容量内蔵型発振器は、圧電振動子に容量が接続され、発振回路の一部をあらかじめ構成したもので、一般に広く用いられている。
【0090】
図12は第7の実施の形態に係る容量内蔵型発振器を構成した断面図とその回路図を示している。ベース基板8はセラミック多層基板からなり、基板内に2つの容量素子Cを内蔵している。なお、断面図上の端子1,2,3と回路図上の端子1,2,3はそれぞれ対応している。端子1および2はそれぞれ入力端子および出力端子であり、端子3はアース端子として作用して、発振器として動作する。本実施の形態では通常のセラミック多層基板上に単一の圧電振動子を載せた最も単純な例を示したが、樹脂製の多層基板や、高密度多層基板を用いて構成することも可能であることはいうまでもない。また、前記のいくつかの実施の形態で述べたように、圧電振動子の数も複数でもよく、ベース基板8上に複数の機能素子、受動素子を組み込んで複合化することも容易であることは当然である。
【0091】
さらに、圧電基板を使用する圧電振動部品としても、本発明の実施の形態において示した、圧電基板の厚み全体が振動するバルク波を用いる素子に限るものではなく、その振動が圧電基板の一方の表面に集中する弾性表面波素子に適用することも可能であり、バルク波素子と弾性表面波素子の複合部品とすることも可能である。次に、最も単純な例として、本発明を単一の弾性表面波共振子に適用した例について述べる。
【0092】
(第8の実施の形態)
本発明の第8の実施の形態について、弾性表面波共振子を例に、図13を参照して説明する。弾性表面波共振子は、圧電基板の一方の面に櫛形電極34が形成され、櫛形電極34により励振された弾性表面波が、圧電基板1表面を伝搬し、同一基板上に形成された反射器35との間で定在波を生じさせて、圧電振動子と同様の共振現象を圧電基板1の表面だけで実現できる素子である。弾性表面波共振子は複数接続されてフィルタとして動作させることができるため、一般に広く用いられている。図13(a)は一般的な弾性表面波素子を示し、図13(b)は第8の実施の形態に係る弾性表面波共振子を示しており、図13(c)はその斜視図を示している。なお、図13(b)では、構成をわかりやすくするため、これまでの断面図では図示していなかった、振動吸収材32の層と引出し導体パターン33および櫛形電極34により構成される励振電極の層も図示している。
【0093】
弾性表面波共振子は、一般に、図13(a)に示すように、櫛形電極34と反射器35が圧電基板1の表面に平面配置されている。圧電的に励振された波動は、圧電基板1の表面のみに集中し、表面を伝搬する。伝搬した波動は、反射器35により反射され、定在波となり、共振現象が発生する。弾性表面波素子はこの現象を利用した素子である。
【0094】
弾性表面波素子において、本発明の構成を採用すれば、振動吸収材32が圧電基板1の平面上に正確に形成されるので、図13(b)および(c)に示すような構成とすることで、不要な波動が抑制され、反射器の役割が軽減され、より小型の弾性表面波素子が構成できる。弾性表面波素子の場合には振動空間が一方の主面にしか存在せず、圧電基板1の厚みも厚く、取り扱いも容易であるため、弾性表面波素子に本発明を適用したときの利点としては、不要振動の振動吸収と櫛形電極の保護が容易であるという点に限られるが、製造上はより容易となる。
【0095】
さらに、圧電基板1とベース基板8との固着に一切樹脂材料を用いない直接接合法を用いて本発明の圧電振動部品を構成することも可能である。次にその例を示す。
【0096】
(第9の実施の形態)
本発明の第9の実施形態について、圧電振動子を例に、図17、図18を参照して説明する。図17は第9の実施形態に係る圧電振動子の構成を示す分解斜視図を示しており、図18は図17の圧電振動子の製造方法を示している。
【0097】
図17の圧電振動子は、図1のものとほぼ構成が同じであり、異なる点は、カバー基板4と圧電基板1との固着が直接接合により行われ、樹脂材料を用いていない点である。
【0098】
第1ないし第8の実施の形態では、振動空間5および振動空間9は樹脂材料により形成されていたが、本実施の形態では、振動空間5のみが、圧電基板1上に加工された凹部により形成されている。その他の部分は、第1の実施の形態と同じである。
【0099】
直接接合とは、鏡面仕上げされ、清浄にされた面同士に働く引力を利用して2枚以上の基板を一体化した状態であり、接合面間に介在物がないため、エッチングや物理的な加工法を用いて形成される正確な寸法をもった振動空間を圧電基板1上に形成できるという利点がある。また、製造工程中に、カバー基板4を裏打ちとして圧電基板1を薄板化する際にも、樹脂の厚みを考慮する必要がなく、正確な厚みの圧電基板1を得やすい。なお、この振動空間は、カバー基板4側に形成しておいてから圧電基板1と接合しても同じ構造が得られる。
【0100】
図17において示された構成の圧電振動子は、図2に示したように、第1および第2の引出導体パターン3および3の端部と第1および第2の端子電極11および11’の端部が、例えば導電性樹脂により電気的に接続され、その出力をベース基板8の下面に取り出して用いられる。第1および第2の引出導体パターン3および3’と第1および第2の端子電極11および11’は圧電基板1の端部で近接するように形成されており、導電性樹脂を圧電基板1の端面に塗布すれば容易に接続できるうえ、振動空間5,9は、保護されているため、導電性樹脂の流れ込みにより、振動を阻害されることがない。
【0101】
また、不要振動の抑制はベース基板8側の振動吸収剤10により抑制される。なお、振動空間9も圧電基板1もしくはベース基板8上に凹部を形成して、直接接合してもよいが、直接接合できる基板の組み合わせには限界があるため、ベース基板8の材料は樹脂を用いた場合に比べて限られる。次に、前記構成を有する圧電振動子の製造方法について図18を用いて説明する。
【0102】
図18(a)に示すように、圧電基板1として、タンタル酸リチウム基板を用い、その第1の主面側に、エッチングにより振動空間5を形成する。このとき第1および第2の引出導体パターン3が形成される部分にも凹みを形成する。この凹みの深さは、電極厚みより大きい値であればよく、必要以上に深く形成する必要はない。ただし、この深さが不十分だと、カバー基板面と電極が接触して基板が変形し、直接接合されるべき面の接触を妨げるため、注意を要する。この点に注意すれば、直接接合された面は形状変形がほぼ零であり、所望の振動空間が得られる。
【0103】
次に図18(b)に示すように、第1の励振電極2および第1の引出導体パターン3をマトリクス状に配列形成する。その後、図18(c)に示すように、カバー基板4を圧電基板1上に直接接合する。直接接合は、次の工程で達成される。
【0104】
まず、接合される圧電基板1とカバー基板4の面を鏡面に仕上げる。その後、両者を清浄にし、表面に親水化処理を施す。親水化処理液を水洗すると、表面はOH基で終端される。その後両基板を接触させると基板間に働く静電的な引力により、両基板は密着する。このとき基板の接合強度は、すでに数10kg/cm2程度であり、容易には剥がれないが、界面に水分が浸入すると容易に剥がれる。しかし、その後、加熱処理を加えることで一部が原子レベルの接合に置き換わり、接合強度と化学的な安定性が向上する。
【0105】
カバー基板4が固着された圧電基板1は強度がカバー基板4により向上させられているため、カバー基板4を裏打ちとして、圧電基板1を一括して薄板化することができる。このとき、接合された基板全体の厚みは、接合面に何の異物もないため、正確にカバー基板の厚みに圧電基板の厚みを加えたものとなって、研磨時の厚みの管理が容易になる。
【0106】
また、このとき、圧電基板1の振動空間5の部分および引出し導体パターン3の部分の空間は非常に小さいため、たとえ加工面下部に空洞があっても、研削、研磨などの機械的手段を用いて加工でき、圧電振動部周辺をカバー基板4により支持された状態で、圧電基板1の平行度を維持したまま薄板化できる。
【0107】
そして、図18(d)に示すように、薄板化した圧電基板1の第2の主面側に第2の励振電極7およびもう一方の引出し線3’を形成する。このとき、保護基板4が薄い圧電基板1を補強しているため、薄板の圧電振動子を単体で取り扱う場合に生じる割れ、欠けなどの致命的な破損が防げる。なお、図18(d)は図18(c)の状態を裏面から見た状態を示している。
【0108】
ここまでで、カバー基板4と圧電基板1が一体化された圧電振動子の主要部分が完成する。この後の工程は、図5以降に示した工程と同様であるので省略する。
【0109】
(第10の実施の形態)
本発明の第10の実施の形態について、弾性表面波共振子を例に、図19を参照して説明する。図19(a)は本発明に用いられる一般的な弾性表面波素子を示し、図19(b)はその断面図を示している。
【0110】
弾性表面波共振子の構成は、図13に示したものと同様であるので詳細な説明は省略する。異なる点は、圧電基板の一方の面の櫛形の微細電極34が形成される面と引出し導体パターン33の部分が凹状に加工され、振動空間5を形成している点である。
【0111】
弾性表面波素子において、本発明の構成をとれば、振動空間5が基板平面上に正確に形成される上に、櫛形電極が保護できる。この振動空間はベース基板上に形成してもよい。
【0112】
本実施の形態では、ベース基板と圧電基板を直接接合しているため、先に述べたように利用できる基板材料が限られるが、振動空間の寸法の正確性に優れる。ただし、振動吸収剤による不要波の抑制は期待できないが、引出し導体パターン33の引出し位置を工夫すれば、導電性接着材13を波動の伝搬方向に配置して振動吸収効果を持たせることが可能であり、設計上なんら障害となるものではない。
【0113】
以上に説明した本発明の実施の形態において、圧電振動部品として様々な形態を示したが、これらに限るものではなく、機械的な振動を電気的な信号に変えて利用する部品すべてに広く適用できることはいうまでもなく、実施の形態の構成要素である電極形状、各々の基板形状についても多様に変形させることができることは当然であり、本発明は、以上述べた形態の組み合わせ、変形をすべて含んでいる。また、圧電基板1としても、何ら制限はなく、水晶やランガサイト、圧電セラミックなど、圧電性を有する基板を広く用いることができる。
【0114】
【発明の効果】
以上、詳述したことからも明らかなように、本発明によれば、圧電基板が、板厚の厚いカバー基板により補強されているため、カバー基板を裏打ちとして、圧電基板を一括して薄板化することができる。また、薄板化した圧電基板は、保護基板が薄い圧電基板が補強された状態で取り扱えるため、薄板の圧電振動子を単体で取り扱う場合に生じる割れ、欠けなどの致命的な破損を防ぐことができる。これにより、小型で高い周波数領域で使用可能であり、信頼性の高い圧電振動部品を得ることができる。
【0115】
また、圧電基板は、圧電振動部分との間に圧電振動部分の振動を保障する振動空間を構成する間隙を有してその周辺を振動吸収材料で覆っているために、不要な振動が抑制され、主要な振動のみが振動空間内に励振され、特性が向上する。
【0116】
さらに、振動吸収材は、たとえば感光性樹脂の皮膜によって形成されるため、圧電基板の圧電振動部分の振動を保障するための振動空間を正確に形成でき、主要振動を阻害することなく、選択的に不要な振動を抑制することも可能になる。
【0117】
さらにまた、圧電基板上の第1および第2の引出導体パターンとベース基板上の第1および第2の端子電極は圧電基板の端部で近接するように形成されており、導電性樹脂を圧電基板端面に塗布すれば容易に接続できるうえ、塗布した導電性樹脂は、振動吸収材に隔てられて、個々の圧電振動子間にとどまり、振動空間へ浸入することもなく、制御が容易である。
【0118】
さらにまた、より複雑な電極構成を持った圧電振動部品においても、第1および第2の引出導体パターンが別々の方向に引き出され、接続部には、それと接続される第1および第2の端子電極があるのみで、他の電極と接触することがないため、信頼性の高い接続が行える。
【0119】
さらにまた、これら接続部は、ベース基板上の構造のほぼ全面を覆う気密保護体で保護されるため、気密が保たれ、外部からの衝撃に強い構造が達成される。
【0120】
さらにまた、ベース基板上の振動空間と引出し電極の配置を適宜選んで、複数の圧電振動部品部品の複合化が容易に行える。同様に、受動部品との複合化も可能である。
【0121】
さらにまた、ベース基板に用いられる材料を選ばず、多層基板などの基板を用いれば、圧電振動部品をさらに小型化できる。
【0122】
さらにまた、圧電基板はカバー基板が固着されて補強されており、カバー基板を裏打ちとして圧電基板は、一括して薄板化することが可能で、また、薄板化した圧電基板は、保護基板が薄い圧電基板が補強された状態で取り扱うことができるので、信頼性が高く、小型で薄型の高周波化に対応可能な圧電振動部品を効率よく製造することができる。
【0123】
さらにまた、圧電基板のバルク波を利用する圧電振動部品と異なり、圧電基板の表面波を利用する弾性表面波素子のような圧電振動部品の場合には、振動空間が圧電基板の一方の主面にしか存在せず、圧電基板の厚みが厚く取り扱いも容易であるが、ベース基板により不要振動の振動吸収および櫛形電極の保護が容易であり、信頼性が高く良好な特性を有する小型の弾性表面波素子を得ることができる。
【0124】
さらにまた、端子電極をマトリックス状に形成したベース基板母材上に櫛形電極を形成した圧電基板を固着し、それを各々の圧電基板を含むユニットに切断することにより、多数の弾性表面波素子を簡単かつ効率よく製造することができる。
【0125】
さらにまた、櫛形電極を形成した表面圧電基板との固着に直接接合を用いた構成とすれば、素子の薄型化や寸法形状の精度をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の圧電振動部品の第1の実施形態の構成を示す斜視図である。
【図2】 本発明の圧電振動部品の第1の実施形態の外装を施す前の状態を示す斜視図である。
【図3】 本発明の圧電振動部品の第1の実施形態の最終形態の一例を示す断面正面図である。
【図4】 (a)から(e)はそれぞれ本発明の第1の実施形態の圧電振動部品の製造方法の一部の工程を示す工程説明図である。
【図5】 (a)から(c)はそれぞれ本発明の第1の実施形態の圧電振動部品の製造方法の一部の工程を示す工程説明図である。
【図6】 (a)から(e)はそれぞれ本発明の第1の実施形態の圧電振動部品の製造方法の一部の工程を示す工程説明図である。
【図7】 (a)から(d)はそれぞれ本発明の第2の実施形態の圧電振動部品およびその製造方法の工程説明図である。
【図8】 (a)から(c)はそれぞれ本発明の第3の実施形態の圧電振動部品の製造方法の工程説明図である。
【図9】 (a)から(c)はそれぞれ本発明の圧電振動部品の第4の実施形態の構成を示す説明図である。
【図10】 本発明の圧電振動部品の第5の実施形態の構成を示す説明図である。
【図11】 (a)および(b)はそれぞれ本発明の圧電振動部品の第6の実施形態の構成を示す説明図である。
【図12】 本発明の圧電振動部品の第7の実施形態の構成を示す説明図である。
【図13】 (a)から(c)はそれぞれ本発明の圧電振動部品の第8の実施形態の構成を示す説明図である。
【図14】 本発明の圧電振動部品の第1の実施形態の変形例の構成を示す説明図である。
【図15】 (a)から(e)はそれぞれ本発明の圧電振動部品の振動空間の変形例の構成を示す説明図である。
【図16】 本発明の圧電振動部品の第1の実施形態の変形例の構成を示す説明図である。
【図17】 本発明の圧電振動部品の第9の実施形態の構成を示す説明図である。
【図18】 (a)から(d)はそれぞれ本発明の第9の実施形態の圧電振動部品の製造方法の製造工程の説明図である。
【図19】 (a)から(b)本発明の圧電振動部品の第10の実施形態の構成を示す図である。
【図20】 従来の圧電振動子の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 圧電基板(圧電基板母材)
2 第1の励振電極
3 第1の引出導体パターン
3’ 第2の引出導体パターン
4 カバー基板(カバー基板母材)
5 振動空間
6 振動吸収材
7 第2の励振電極
8 ベース基板
9 振動空間
10 振動吸収材
11 第1の端子電極
11’ 第2の端子電極
12 スルーホール
12’ スルーホール
13 導電性樹脂
14 圧電振動子一体基板
15 封止樹脂
16 圧電振動子
17 セラミックキャップ
18 絶縁性樹脂
19 金属キャップ
20 導電性樹脂
30 機能部品
31 アース端子
32 振動吸収材
33 引出し導体パターン
34 櫛形電極
35 反射器

Claims (2)

  1. 平板状の圧電基板母材の第1の主面上に、第1の励振電極および該第1の励振電極から引き出される第1の引出導体パターンをマトリックス状に形成する工程と、
    前記圧電基板母材の第1の主面をカバー基板母材に対向させ、前記第1の励振電極の各々に対応する圧電振動部分との間に間隙を有して前記圧電基板母材とカバー基板母材とを固着する工程と、
    前記カバー基板母材を裏打ちとし、前記圧電基板母材の第2の主面を研磨し、前記圧電基板母材を所定の厚さに研磨する工程と、
    前記圧電基板母材の第2の主面上に前記第1の主面に形成した第1の励振電極と対向する第2の励振電極および該第2の励振電極から引き出された第2の引出導体パターンをマトリックス状に形成する工程と、
    第1の励振電極の各々、第2の励振電極の各々、第1の引出導体パターンの各々および第2の引出導体パターンの各々を含んで前記圧電基板母材およびカバー基板母材をユニットに切断する工程と、
    ベース基板母材の主面上に前記第1および第2の引出導体パターンの端部にそれぞれ対応するように第1および第2の端子電極をマトリックス状に形成する工程と、
    前記各ユニットの切断された圧電基板母材の第2の主面を前記ベース基板母材に対向させ、前記第2の励振電極に対応する圧電振動部分との間に間隙を有して、切断された前記圧電基板母材とベース基板母材とを固着する工程と、
    各ユニットの切断された圧電基板母材の第1および第2の引出導体パターンの端部をそれぞれベース基板母材の第1および第2の端子電極に電気的に接続する工程と、
    前記ユニットを気密保護体で覆う工程と、
    前記ユニットを個々に分離する工程と、
    からなることを特徴とする圧電振動部品の製造方法。
  2. 前記カバー基板母材と圧電基板母材との固着もしくは前記ユニットの圧電基板と前記ベース基板母材との固着の少なくとも一方を直接接合によって行うことを特徴とする請求項に記載の圧電振動部品の製造方法。
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