JP3886066B2 - 簡易式乗用型茶葉摘採機 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、茶樹畝を跨いで移動しながら茶葉摘採作業を行う乗用型の茶葉摘採機に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、作業者の高齢化に伴い、茶園を管理する様々な機械の自動化及び作業負担の軽減が急務とされてきている。これらの、要望に答えるべく、例えばレール軌道式の茶葉摘採機や、乗用型の茶葉摘採機が提案されている。
前記レール軌道式の茶葉摘採機は、畝間に沿って敷設された軌道レールの上を走行する軌道台車に茶畝を跨ぐように配設される門型フレームを配設し、該門型フレームに摘採装置を昇降自在に設けている。そして軌道台車を走行させながら、摘採装置を稼働させ、摘採した茶葉を摘採装置後方に設けた茶葉収容袋に収容するようにしている。これにより、比較的安価な装置で、茶葉を適正に摘採して収容することができる。
【0003】
また前記乗用型の茶葉摘採機は、茶畝を跨いでその両側の畝間を自走する乗用車体に、摘採装置と,大型の送風装置と,茶葉を収容する大型の収容装置とを設けている。そして乗用車体を畝間に乗り入れ、摘採装置を稼働して摘採作業を行い、摘採茶葉を、送風装置により圧送してダクト内にて上昇させ、収容装置内に収容するようにしている。これにより、極端な傾斜地でない限り、乗用型の摘採機を乗入れて摘採作業を行うことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した軌道レール式及び乗用型の茶葉摘採機のいずれも利点はあるものの、以下に述べるような欠点もある。
まず、軌道レール式の茶葉摘採機の場合、簡易な機器構成のため機器本体は比較的安価になるが、畝間全部に軌道レールを敷設しなければならず、その分の費用がかかり、結果として高価なものとなってしまう。そのため、レールを敷設する面積の少ない小規模,中規模の茶園では、そのメリットを十分に発揮するが、大規模程度の茶園では、レール敷設コストがかかり、このシステムを導入できないといった問題点がある。しかも、レールを敷設した場合には、耕耘作業や肥料散布などの茶園管理の際にレールが邪魔になり、茶園管理を維持することに障害がでる虞がある。
【0005】
また、乗用型の茶葉摘採機の場合、機器構成自体が大がかりなもので、価格自体が高価になってしまい、大きな茶園では、そのメリットを十分に発揮するが、小規模,中規模程度の茶園では、このシステムを導入できないといった問題点がある。しかも、乗用型の茶葉摘採機を用いた場合、摘採機の重量によっては地盤が締め固められることがあり、これによって、耕耘作業の際の掘り起こしが良好に行えず、管理作業が困難となる虞がある。
【0006】
一方、摘採された茶葉は、茶袋等の収容手段に取り込まれるようになっているが、収容手段中が茶葉で満たされた場合には、新たな収容手段に交換する作業が必要となる。このため、従来では、オペレータは、収容手段が満杯になるのを目視しながら摘採作業を行い、満杯になった時点で摘採作業を中断し、一旦摘採機から降りて収容体の交換作業を行っている。しかし、収容手段を交換する度に摘採機に対する乗降動作を繰り返すのは作業性が悪いばかりでなく、オペレータにとって苦痛となる。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、軌道レール式及び乗用型の茶葉摘採機の利点を生かしつつ、しかも、茶葉収容体の交換作業に要するオペレータの作業性を改善できる安価な簡易式の乗用型茶葉摘採機を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、茶樹畝を跨ぐ前後の門型フレームで構成される車体本体と、上記車体本体の左右基端部に連結され畝間を走行するクローラ型の走行装置と、上記前後の門型フレームの間に上下動可能に配設され、後方への送風手段を有した摘採装置と、上記前後の門型フレームに跨って固着される乗車板上に配設され、上記走行装置及び摘採機の操作を行うための操縦席と、上記摘採装置の後方に配設され、上記摘採装置により圧送された茶葉を収容する収容手段を搭載すると共に上記摘採装置に連動して上下動可能な荷台と、を備えたものであって、上記荷台の昇降駆動を行う昇降装置を、少なくとも上記荷台の幅方向一端に配置して、上記操縦席の後方、かつ上記荷台の上方、かつ上記後側の門型フレームの前方に、上記乗車板から荷台へ作業者が移動できる空間が形成されており、上記荷台は、茶畝方向に長い構成とされ、かつ上記摘採装置の後部側にヒンジ結合し、ヒンジ結合部分を支点として上方側に向かって折り曲げ可能となるように伸縮自在のシリンダによって支持されていることを特徴とする。
【0009】
【作用】
上記構成により、請求項1記載の発明による簡易式乗用型茶葉摘採機の作業形態として、まず作業者が摘採機に乗車し、適宜な茶畝を跨ぐようにして簡易式乗用型茶葉摘採機を乗入れる。そして摘採装置を上下動して摘採位置を決定し、該摘採装置を稼働して走行装置を走行させて摘採作業を行う。摘採装置により摘採された茶葉は、摘採装置に設けられた送風手段により後方に圧送され、荷台上に設けられた茶袋等の収容手段に収容されるようになる。
茶袋の交換に際しては、操縦席の後方、かつ荷台の上方、かつ後側の門型フレームの前方に、乗車板から荷台へ作業者が移動できる空間が形成されており、これにより、オペレータは、摘採機から降りなくても荷台上に移動することができる。
さらに、荷台は、茶畝方向に長く構成されているため、大型の茶袋等の収容手段を搭載することが可能となり、茶葉を多く収容することができる。また、茶畝間を移動するときには、ヒンジ結合部にて荷台を上方に折り曲げることができるため、荷台が収納され、狭い所でも旋回ができるようになる。
【0010】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
図1は本発明における簡易式乗用型茶葉摘採機の後方斜視図、図2は、図1に示した簡易式乗用型茶葉摘採機に用いられる油圧制御回路を説明するためのブロック図である。
簡易式乗用型茶葉摘採機1は、車体本体2と,走行装置3と,摘採装置4と,荷台5とを具備している。
【0011】
上記車体本体2は、車体の前後に配設される門型フレーム21,22と、該門型フレーム21,22の間に配設される昇降フレーム23と、門型フレーム21,22に跨って固着される乗車板24とで構成されている。
前記門型フレーム21,22は、茶畝を跨ぐように形成され、また、剛性を有する材質で形成されている。
また前記昇降フレーム23は、摘採装置4を昇降ガイドするための縦フレームで、該昇降フレーム23を門型フレーム21,22との間に配設することで、車体本体2の補強も兼ねている。
さらに前記乗車板24は、ある程度の厚みを有する剛性板で、該乗車板24の上には、乗員が座る操縦席25と、該操縦席25の前方に配設される操縦部26とが配設されている。
【0012】
上記走行装置3は、後端に配設された駆動輪31と先端に配設された従動輪32との間にゴムクローラ33を巻装している。また、駆動輪31と従動輪32とには補強フレーム34が連結されており、該補強フレーム34には複数の転輪35が枢支されていると共に、前記門型フレーム21,22及び昇降フレーム23の基端部が固着されていて、車体本体2の荷重を走行装置3の全体で受けるように構成されている。
また、該走行装置3の駆動輪31は、それぞれ油圧モータ62によって駆動されるようになっている。
【0013】
油圧モータ62に対する油圧制御回路は、図2に示す構成が用いられている。すなわち、本実施例における油圧制御回路は、走行装置3の駆動源として用いられるエンジン63(図1参照)を駆動源とするオイルポンプ64(図1参照)からのオイルを各油圧モータ62に対して給排制御する方向切り換え弁65と、油圧モータ62の正転、逆転および停止制御のための回転用方向切り換え弁66とを主要部として備え、各方向切り換え弁65、66は、マニホールドブロック(一点鎖線で示す部材)を介してオイルポンプ64に連通している。
方向切り換え弁65は、電磁駆動式4ポート2位置切り換え弁が用いられ、常態が、回転用方向切り換え弁66にオイルを供給できる状態とされている。
回転用方向切り換え弁66は、ブロックセンタ型の電磁パイロット式4ポート3位置切り換え弁が用いられている。
【0014】
上記摘採装置4は、支持フレーム41,41の両側端部に対をなす側板42,42を設け、この側板42,42間の下部前側に、円孤状のバリカン刃からなる刈刃43が往復動するように支持されている。また該摘採装置4の左右両端には、エンジン44,45が配設されており、該エンジン44,45には送風管46が連通されている。そしてエンジン44は前記刈刃43を往復動させると同時に送風管46に空気を送り込み、エンジン45は送風管46に空気を送込む専用のものである。この送風管46には、複数のノズル46aが設けられており、刈刃43の上方から、刈刃43の後方に向け圧力風を吹き付け、刈刃43により摘採された茶葉を後方に吹き飛ばすように,所定間隔に配設されている。また摘採装置4の後部開口部の底面として案内板49が着脱自在に連結されている。
【0015】
また上記摘採装置4には昇降体47が設けられており、該昇降体47はローラ47aを介して前記昇降フレーム23に嵌合している。そして、車体上部に伸張された昇降フレーム23の頂部に設けられた昇降モータ48の回転に伴い、昇降体47が上下動し、摘採装置4の摘採位置を決定することができる。
【0016】
前記荷台5は、所要幅(茶袋の幅程度)、また所要長さを有し、前記案内板49の左右のヒンジ部53にて結合されている。つまり、案内板49が摘採装置4の後部開口部の底面をなしているので、荷台5が摘採装置4の後部側にてヒンジ結合されていることになる。
また前記荷台5と同程度の大きさを有する荷台(図示せず)がノブ(図示せず)によって着脱自在に荷台5の後端部に連結されると、結果として荷台5は後方に長いものとなる。さらに、前記荷台5と案内板49とは伸縮自在のシリンダ55で連結されており、シリンダ55が伸長している時には、荷台5は略水平状態に展開して茶袋を搭載可能にしており、シリンダ55が収縮している時には、荷台5はヒンジ部53を支点に折れ曲がり、略垂直状態に収納されるようになる。さらに荷台5の幅方向両端には昇降体56が設けられており、ローラ56aを介して門型フレーム22に昇降自在に嵌合している。そのため、前記摘採装置4が昇降するに伴い、荷台5も一体に昇降するようになる。
【0017】
荷台5の幅方向両端に位置する昇降フレーム23は、荷台5に有する案内板49の幅方向両端にて、車体上部まで縦方向に伸張された状態でそれぞれ配置されており、その一部が門型フレーム21、22間で車体本体2の走行方向に沿って設けられている連結フレーム60に固定されている。
昇降フレーム23には、連結フレーム60によって支持されている昇降モータ48がそれぞれ配置されており、昇降体47の昇降駆動源とされている。本実施例では、昇降フレーム23の頂部にそれぞれ昇降モータ48が配置されている。なお、昇降モータ48は、各昇降フレーム23にそれぞれ配置することに限らず、一方の昇降フレーム23に対してのみに配置することも可能である。
昇降モータ48による昇降体47の昇降駆動機構としては、昇降体47に設けられているボールネジ(図示されず)に噛み合うように昇降フレーム23内に立設されているネジ棒(図示されず)に対して、減速機構61を介した昇降モータ48からの回転力を伝達することができる機構が用いられている。これにより、操縦席25の後方、かつ荷台5の上方、かつ後側の門型フレーム22の前方に、乗車板24から荷台5へ作業者が移動できる空間(図中、符号Sで示す範囲)が形成されている。
【0018】
次にこのように構成される簡易式乗用型摘採機1の作業形態を説明する。
まず、シリンダ55を伸長させ、荷台5を展開して、荷台5上に茶袋(図示せず)を搭載する。そして作業者が簡易式乗用型摘採機1に乗り込んで操縦席25に着席し、操縦部26を操作して、適宜な茶畝を跨いで簡易式乗用型茶葉摘採機1を茶園に乗入れる。
次に操縦部26を操作し、昇降モータ48を駆動して摘採装置4及び荷台5を上下動して摘採位置を決定し、エンジン44,45を始動させて摘採装置4を稼働する。摘採装置4の始動までの準備が終了すると、操縦部26において走行駆動用のエンジン63のアクセル開度を大きくしてオイルポンプ64からのオイルの供給圧力を上昇させ、油圧モータ62を駆動させて走行装置3を走行させながら摘採作業を行う。油圧モータ62による走行作業は、オイルの圧力を簡単に制御できるので、例えば、傾斜地を登坂することも可能である。また、走行装置3の旋回あるいは走行方向の切り換えは、操縦部26での操作指令に基づいて方向切り換え弁65および回転用方向切り換え弁66の態位設定によって行われる。
ここで摘採装置4により摘採された茶葉は、摘採装置4に設けられた送風管46のノズル46aからの圧送空気により後方に圧送され、荷台5上に設けられた茶袋に収容されるようになる。ここで、荷台5が長いため大型の茶袋を搭載することができ、1列の茶畝において茶袋を交換することなく、摘採作業を行うことができる。
そして茶畝を旋回移動する際に、特に旋回スペースが狭い場合には、シリンダ55を収縮させて荷台5を上方に折り曲げて次の茶畝に移動する。
【0019】
茶袋が満杯になった場合には、その茶袋の交換が行われる。
茶袋の交換に際しては、一旦、走行装置3の走行を停止し、オペレータが操縦席25から荷台5の案内板49へ移動する。つまり、操縦席25の後方、かつ荷台5の上方、かつ後側の門型フレーム22の前方に、乗車板24から荷台5へ作業者が移動できる空間Sが形成されており、これによって直接案内板49上に移動することができる。特に、昇降モータ48によって荷台5を昇降動作させて荷台5の高さ位置を操縦席25の高さ位置に近づけるように設定することにより、操縦席25と荷台5との間の高低差が小さくされて移動が容易な状態とすることができる。
茶袋の交換が終了すると、オペレータは、案内板49から操縦席25に移動し、再度、走行装置3を走行させて摘採作業を継続することができる。なお、荷台5を昇降させた場合には、荷台5を昇降動作前、つまり荷台5と一体的に昇降可能な摘採装置4を摘採態位に復帰させ、走行装置3による走行を再開する。
なお、前記実施例の説明において、摘採装置4をバリカン刃式の摘採装置として説明したが、これに限らず、シリンダ型のロータ刃摘採装置等の他の摘採装置を用いても良い。
また、走行装置3はゴムクローラ型として説明したが、キャタピラ式を用いても良い。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、従来の乗用型摘採機とレール軌道式摘採機の双方の利点を備えた簡易構成の摘採機を提供することができる。そのため、価格が安価になり、どのような規模の茶園にも使用することが出来るようになる。しかも、レール軌道式摘採機にみられたようなレールの存在による茶園管理の妨げがなくなるので、摘採作業だけでなく耕耘作業や肥料散布などを含めた茶園管理を適正且つ良好なものとすることができる。
また、茶袋の交換に際しては、操縦席の後方、かつ荷台の上方、かつ後側の門型フレームの前方に、乗車板から荷台へ作業者が移動できる空間が形成されており、これにより、オペレータは、摘採機から降りなくても荷台上に移動することができるようになる。そのため、交換の手間が簡略化され、摘採作業に係る作業性を向上させることが可能になる。特に、荷台を昇降動作させることにより乗車板と荷台との間の高低差を小さくできることにより、段差が少ない状態で移動することが可能になり、さらに作業性を改善することができる。
さらに、荷台は、茶畝方向に長く構成されているため、大型の茶袋等の収容手段を搭載することが可能となり、茶葉を多く収容することができる。また、茶畝間を移動するときには、ヒンジ結合部にて荷台を上方に折り曲げることができるため、荷台が収納され、狭い所でも旋回ができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における簡易式乗用型茶葉摘採機の後方斜視図である。
【図2】 図1に示した簡易式乗用型茶葉摘採機に用いられる油圧制御回路を説明するためのブロック図である。
【符号の説明】
1 簡易式乗用型茶葉摘採機
2 車体本体
21 門型フレーム
22 門型フレーム
23 昇降フレーム
24 乗車板
25 操縦席
26 操縦部
3 走行装置
31 駆動輪
32 従動輪
33 ゴムクローラ
34 補強フレーム
35 転輪
62 油圧モータ
4 摘採装置
41 支持フレーム
42 側板
43 刈刃
44 エンジン
45 エンジン
46 送風管
46a ノズル
47 昇降体
47a ローラ
48 昇降モータ
49 案内板
5 荷台
55 シリンダ
56 昇降体
56a ローラ
Claims (1)
- 茶樹畝を跨ぐ前後の門型フレームで構成される車体本体と、
上記車体本体の左右基端部に連結され畝間を走行するクローラ型の走行装置と、
上記前後の門型フレームの間に上下動可能に配設され、後方への送風手段を有した摘採装置と、
上記前後の門型フレームに跨って固着される乗車板上に配設され、上記走行装置及び摘採機の操作を行うための操縦席と、
上記摘採装置の後方に配設され、上記摘採装置により圧送された茶葉を収容する収容手段を搭載すると共に上記摘採装置に連動して上下動可能な荷台と、を備えたものであって、
上記荷台の昇降駆動を行う昇降装置を、少なくとも上記荷台の幅方向一端に配置して、上記操縦席の後方、かつ上記荷台の上方、かつ上記後側の門型フレームの前方に、上記乗車板から荷台へ作業者が移動できる空間が形成されており、上記荷台は、茶畝方向に長い構成とされ、かつ上記摘採装置の後部側にヒンジ結合し、ヒンジ結合部分を支点として上方側に向かって折り曲げ可能となるように伸縮自在のシリンダによって支持されていることを特徴とする簡易式乗用型茶葉摘採機。
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