JP3880364B2 - 農園芸用積層フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハウス、トンネル栽培に用いる農園芸用フィルムに関するものである。
特に、防曇性に優れ、衝撃強度、引張強度、保温性も良好な農園芸用積層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
農業上の促成栽培を目的としたハウス栽培、トンネル栽培及びマルチ栽培などでは、一般に被覆資材として各種熱可塑性樹脂からなる農業用フィルムが多量に使用されている。主に使用されているフィルムとして、例えばポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム等があり、なかでもポリ塩化ビニルフィルムは、透明性、強靱性、保温性、防曇持続性等に優れており最も多く使用されている。
【0003】
しかしながら、ポリ塩化ビニルフィルムの場合は、同一体積でのフィルム重量が重く、かつベタツキがあるということから、ハウス展張作業性の面で劣る上、可塑剤への塵埃付着によりフィルムの透明性が悪化する、いわゆる防塵性が劣るという問題や廃棄焼却時に有毒ガスを発生するという問題がある。
一方、ポリエチレンフィルムは、ポリ塩化ビニルフィルムに比べ、価格、展張作業性、防塵性および廃棄処理の点で優れているものの、防曇持続性、透明性、強靱性、保温性が劣るという問題がある。
【0004】
なかでも、エチレン系重合体からなる農ポリは、極性基を持たないことから防曇性の付与及び防曇持続性に問題があった。一般に、防曇性を付与していない農業用フィルムをハウスまたはトンネル等の被覆資材として用いた場合、土壌中から蒸発した水分が被覆フィルム内外の温度差によりフィルム内面に凝縮して水滴を形成し、この水滴によりフィルムが曇って太陽光線の一部を反射するためフィルムを透過する光線量が減少することからハウスまたはトンネル内の温度上昇効果を低下させる。また、フィルム内面に凝縮した水滴は、栽培作物上に落下し、幼芽、幼苗を痛めたり、また、病害発生の原因となるなどの悪影響がある。これらの悪影響に対し、フィルムに防曇剤の作用を示す界面活性剤を練り混んだものが用いられており、この防曇剤は、蒸発した水分がフィルム表面に水滴として滞留するのを防ぎ、水滴を膜状に広げ、フィルム内側表面に沿って流下させる作用を行うものである。防曇性を有する農業用フィルムは、練り込まれた防曇剤が、フィルム内部より表面に沿って拡散浸出し、フィルム表面に配位されて表面活性作用を発揮するものである。しかし、フィルム表面に配位した防曇剤は使用中に水滴によって流されてしまうので、フィルムの防曇性を持続させるには防曇剤を常にフィルム内部より表面に向かって移行させる必要がある。防曇性フィルムはこの防曇効果が長いほど、即ち防曇持続性に富んだものほど実際上好ましい。
【0005】
この様な防曇効果の長いフィルムを製造するためには、一般にフィルム製造時に防曇剤を多量に添加するか、またはフィルム成膜後にフィルム内部より表面への移行速度の緩やかな防曇剤を選択使用することが試みられている。しかしながら前者すなわちフィルム製造時に防曇剤を多量添加する方法は、防曇性持続上有効ではあるが、フィルム成膜後に表面への移行量が激しく、防曇剤の白化に起因する透明性の低下やフィルム同士のベタツキ等の問題があり、実際にはある一定量以上に増やすことは困難であり、また、後者の方法の場合も、防曇効果があり、かつ、この防曇効果が長期にわたって持続されるような防曇剤は、実際には見いだされていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、透明性、衝撃強度、耐引裂強度、とりわけ防曇性に優れた農園芸用フィルムを提供することにある。
本発明者等は、従来の合成樹脂フィルムについて研究し、エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂フィルム及びエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂フィルムの特性に着目し、それらに配合する防曇剤等の添加剤の種類、配合割合を特定することにより、前記目的が達成されるとの見通しを得て、研究を重ね本発明を完成するに至ったものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内層、中間層及び外層からなる農業用積層フィルムであり、内層が、エチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとの共重合体100重量部に、ソルビタンステアレート/ソルビタンパルミテート/ソルビタンオレエート/グリセリンオレエートの混合比が、重量比で2〜5:2〜5:1〜3:0.1〜1である多価アルコール脂肪酸エステルを0.1〜2.0重量部配合してなる樹脂組成物で形成されており、中間層が、酢酸ビニル含有量が5〜25重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に、ソルビタンステアレート/ソルビタンパルミテート/ソルビタンオレエート/グリセリンオレエートの混合比が、重量比で2〜5:2〜5:1〜3:0.1〜1の多価アルコール脂肪酸エステルを0.5〜5.0重量部、及びMg、Ca、Al、LiおよびSiの群より選ばれる少なくとも1種の原子を含有する無機化合物を1〜20重量部配合してなる樹脂組成物で形成されており、外層が、酢酸ビニル含有量が1〜10重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に、ソルビタンステアレート/ソルビタンパルミテート/ソルビタンオレエート/グリセリンオレエートの混合比が、重量比で2〜5:2〜5:1〜3:0.1〜1の多価アルコール脂肪酸エステルを0.5〜5.0重量部配合してなる樹脂組成物で形成されていることを特徴とする農園芸用積層フィルムを要旨とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の積層フィルムの内層フィルムを構成するエチレン−α−オレフィン共重合体は、種々の方法により製造することが出来るが、好ましくは特開昭58−19309号、特開昭59−95292号、特開昭60−35005号、特開昭60−35006号、特開昭60−35007号、特開昭60−35008号、特開昭60−35009号、特開昭61−130314号、特開平3−163088号の各公報、ヨーロッパ特許出願公開第420,436号明細書、米国特許第5,055,438号明細書、および国際公開公報W091/04257号明細書等に記載されているようなメタロセン触媒、メタロセン/アルモキサン触媒を使用したりして、主成分のエチレンと従成分のα−オレフィンとを共重合させることにより製造できる。
【0009】
また、共重合される炭素数3〜18のα−オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4−ジメチル−1−ペンテン等が挙げられるが、これらα−オレフィンの中で、好ましくは炭素数4〜12のもの、特に好ましくは炭素数6〜10のものが望ましい。このα−オレフィンは、多くの場合、上記のものを1種選んで用いるが、所望に応じて2種以上を同時に併用することもできる。また該α−オレフィンをエチレンと共重合させる場合には、該α−オレフィン2〜50重量%、好ましくは3〜35重量%、特に好ましくは5〜25重量%と、エチレン50〜98重量%、好ましくは75〜97重量%、特に好ましくは75〜95重量%とを共重合させるのが望ましい。
【0010】
また、共重合の方法としては、気相法、スラリー法、溶液法、高圧イオン重合法等を挙げることができる。これらの中では、溶液法およぴ高圧イオン重合法が好ましく、本発明の効果を更に大きく発揮することができる高圧イオン重合法が特に好ましい。
この高圧イオン重合法とは、特開昭56−18607号、特開昭58−225106号の各公報に記載されている方法であり、具体的には、圧力が100kg/cm2以上、好ましくは300〜2,000kg/cm2、温度が125℃以上、好ましくは130〜250℃、特に好ましくは150〜200℃の反応条件下に行われるエチレン系重合体の製造方法である。
【0011】
本発明に用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体としては、特に以下の▲1▼〜▲3▼の物性を示すものが好ましい。
▲1▼ MFR
JIS−K7210による190℃、荷重2.16kgでのMFR(メルトフローレート)は、0.1〜10g/10分、好ましくは0.3〜6g/10分、より好ましくは0.5〜4g/10分である。該MFRが上記範囲より大きいと、強度が低下し且つ、フィルムの成膜が不安定となる。また、該MFRが上記範囲より小さいと、樹脂圧力が高くなり、成形加工性が悪くなることに加え、フィルム外観が悪くなる。
▲2▼ 密度
JIS−K7112による密度は、0.880〜0.928g/cm3、好ましくは0.885〜0.926g/cm3、より好ましくは0.890〜0.924g/cm3、である。該密度が上記範囲より大きいと、透明性、衝撃強度が不良となる。また、密度が小さすぎると、フィルムの腰が悪化したり、フィルム表面にベタつきが生じるので好ましくない。
▲3▼ 示差走査熱量測定法(DSC)によって得られる微分融解曲線に見られる融解ピークは1つであり、該融解ピークの補外融解終了温度(Tem)は50〜130℃、好ましくは60〜127℃、特に好ましくは70〜124℃の範囲である。更に該温度(Tem)と該共重合体自体の密度(D1)との関係については、次の関係式、Tem≦286D1−137を満たすことが必要である。好ましくはTem≦429D1−271、最も好ましくはTem≦571D1−404を満たすことが望ましい。
【0012】
上記微分融解曲線にピークがない場合は、フィルムにしたときにベタつきが生じるので好ましくない。上記微分融解曲線のピークは、好ましくは1本であり、ピークが2つ以上の場合は、透明性、衝撃強度、引張強度が不良となるので好ましくない。
上記ピークの補外融解終了温度(Tem)が上記範囲より小さい場合は、フィルムにしたときにブロッキングが生じ易くなる。また、該温度が上記範囲より大きい場合は、透明性、衝撃強度、引張強度が不良となるので好ましくない。
【0013】
尚、該ピークの融解温度以外においては融解する成分が認められる場合があるが、非常に融解挙動が緩やかであるものはピークとして認めないものとする。
次に、本発明の積層フィルムの中間層を構成するエチレン−酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニル含有量が5〜25重量%の共重合体である。
酢酸ビニル含有量が5重量%より少ないと長波長域の赤外線遮光効果が悪くなり、夜間ハウス内の保温性能が低下する。25重量%を上まわるとフィルム成形加工時の熱安定性に問題を生じ、フィッシュアイ、ゲルの発生を招く事に加え、ハウス展張時、パイプ接触部等の耐熱性に問題を生じる。
【0014】
また、本発明の積層フィルムの外層を構成するエチレン−酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニル含有量が3〜10重量%の共重合体である。
酢酸ビニル含有量が3重量%より少ないと、防曇性能の発現が不充分であり、また10重量%を上まわると、ハウス裾巻き上げ時等にフィルムの融着トラブルを生じる。
【0015】
次に、各層フィルムに配合してなる防曇剤としての多価アルコール脂肪酸エステルは、すべてソルビタンステアレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンオレエート及びグリセリンオレエートの混合物であり、それぞれの混合割合は総て重量比で2〜5:2〜5:1〜3:0.1〜1である。
【0016】
この混合割合は本発明の積層フィルムが防曇性を発揮するのに好適な範囲であり、この範囲を逸脱すると防曇持続性、低温防曇性、防曇剤ブリード白化の何れかの性能が損なわれる。
これらの防曇剤としての多価アルコール脂肪酸エステルの内層、中間層及び外層それぞれのフィルムへの配合割合は、内層には樹脂成分100重量部当り、0.1〜2.0重量部、中間層及び外層にはそれぞれ樹脂成分100重量部当り0.5〜5.0重量部とする。
【0017】
これらの配合割合を外れて少ない場合には防曇性の発現が充分でなく、反対に多過ぎるとブリードを引き起し、ベタつきや透明性低下等種々の弊害を招く。
さらに、上記中間層樹脂に添加される、Mg、Ca、Al、Li及びSiの群より選ばれる少なくとも1種の原子を含有する無機化合物としては、その酸化物、水酸化物または複合化合物のいずれの形態でもよく、具体的には、SiO2、Al2O3、MgO、CaO、LiO、Al(OH)3、Mg(OH)2、Ca(OH)2、LiOH、また以下の一般式(I)及び(II)で表される化合物や、その焼成物等が挙げられる。
【0018】
【化1】
一般式 M2+ 1-xAlx(OH)2(An-)x/n・mH2O (I)
式中、M2+はMg、CaおよびZnよりなる群から選ばれた二価金属イオンを示し、そして、xおよびmは、次の条件を満足するものである。
【0019】
0<x<0.5、 0≦m≦2
【0020】
【化2】
一般式 Li+(Al3+)2(OH)6・(An-)1/n・mH2O (II)
式中、An-はn価のアニオンを示し、nは1〜4の整数を示し、mは次の条件を満足するものである。
【0021】
0≦m≦3
なお、これらの無機化合物は、1つまたは2つ以上を併用することができる。これら無機化合物は、平均粒径が10μm以下、好ましくは5μm以下、特に好ましくは3μm以下であるのが望ましい。平均粒径が大きすぎるとフィルムの透明性が損なわれるので好ましくない。
【0022】
本発明の積層フィルムを形成するエチレン−α−オレフィン共重合体及びエチレン−酢酸ビニル共重合体には、必要に応じて一般に樹脂組成物用として用いらている公知の各種補助添加成分、例えば、酸化防止剤(中でも、フェノール系およびリン系酸化防止剤が好ましい)、アンチブロッキング剤、スリップ剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、中和剤、着色剤、核剤等を配合することができる。
【0023】
また、フィルムを成形する際の成形性をより良好なものとするために、エチレン重合体、例えば高圧法低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等を必要に応じ添加することができる。この場合、その添加量は、ベースとなるエチレン−α−オレフィン共重合体の強靱性、エチレン−酢酸ビニル共重合体の透明性や保温性を実用上損なわない範囲として、5〜15重量%が好ましい。
【0024】
本発明の農業用フィルムは、所定の添加剤を配合した各種共重合体樹脂を公知の成形方法、即ち、空冷インフレーションフィルム成形、Tダイフィルム成形、水冷インフレーションフィルム成形等で製造することができる。
フィルムの厚みは、外層の厚みが5〜100μm、好ましくは10〜80μm、さらに好ましくは15〜60μmの範囲にあり、中間層の厚みが10〜150μm、好ましくは20〜120μm、さらに好ましくは30〜100μmの範囲にあり、内層の厚みが、5〜100μm、好ましくは10〜80μm、さらに好ましくは15〜60μmの範囲にあるものが好ましい。
【0025】
本発明のフィルムには、必要に応じてコロナ放電処理、フレーム処理、延伸処理、液剤塗布処理等の各種処理を行うことができる。
【0026】
【実施例】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
〔I〕物性の測定方法と評価方法
(1)ヘイズ
JIS−K7105に準拠して測定した。この値が小さいほど透明性があり、防曇剤のブリードによる弊害が少なく、優れていることを意味する。
(2)打ち抜き衝撃強度
JIS−P8134に準拠し、振り子の弧状の腕の先端に13mmの半球状の鏡面光沢を持った金属製の貫通部を取り付けて測定した。
(3)エルメンドルフ引裂き強度
JIS−Z1702に準拠し、フィルムのタテ方向の引き裂き強度を測定した。
(4)防曇持続性
500mlのトールビーカーに水を400ml入れ、テストフィルムにて密閉する。50℃に制御された恒温水槽にこれらのビーカーを入れ、フィルム内面の水滴の付着状態を経時観察し、防曇持続性評価とした。
【0027】
<3段階評価>
○:フィルム内面全面に水膜を形成し、流滴状態を保持。
△:フィルム内面の一部に大粒の水滴が付着。
×:フィルム内面のほぼ全面に細かい水滴が付着し、流滴機能を喪失。
(5)低温防曇性
500mlのトールビーカーに水を400ml入れ、テストフィルムにて密閉する。5℃の低温室内に設置された10℃に制御された恒温水槽にこれらのビーカーを入れ、フィルム内面の水膜形成時間を測定し、低温防曇性評価とした。
【0028】
水膜形成時間の短いもの程、低温時の防曇性に優れる。
〔II〕エチレン−α−オレフィン共重合体の調整
(1)触媒の調整
触媒の調整は、特開昭61−130314号公報に記載された方法で実施した。すなわち、錯体エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド2.0ミリモルに、東洋ストウファー製メチルアルモキサンを、該錯体に対し1,000モル倍加え、トルエンで10リットルに希釈して触媒溶液を調整した。
【0029】
(2)重合
内容積1.5リットルの攪拌式オートクレーブ型連続反応器に、エチレンと1−ヘキセンとの混合物を1−ヘキセンの組成が75重量%となるように供給し、反応器内の圧力を1300kg/cm2 に保ち、150℃の温度で反応を行った。
【0030】
反応終了後、MFRが2.2g/10分、密度が0.910g/cm3 で、示差走査熱量測定法(DSC)による融解ピークが1つであり、補外融解終了温度(Tem)が108℃であるエチレン−1−ヘキセン共重合体を得た。
(3)配合
得られた共重合体に、酸化防止剤としてイルガノックス1076(チバガイギー社製)およびP−EPQ(サンド社製)、耐候安定剤としてキマソーブ944LD(チバガイギー社製)を適当量配合し、エチレン−α−オレフィン共重合体を調整した。
【0031】
〔III〕防曇剤の調整
防曇剤各成分をそれぞれの融点以上に加温、溶融状態で各成分を所定割合量混合した後、常温まで冷却固化をさせ、それを微粉砕したものを使用した。
防曇剤A;ソルビタンステアレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンオレエート/グリセリンオレエートを重量比で、4:4:2:0.5の比率で混合した。
【0032】
防曇剤B;防曇剤Aと同様成分のものを、重量比で2:2:2:1の比率で混合した。
防曇剤C;防曇剤Aと同様成分のものを、重量比で2:2:1:0の比率で混合した。
防曇剤D;防曇剤Aと同様成分のものを、重量比で4:0:2:1の比率で混合した。
【0033】
防曇剤E;防曇剤Aと同様成分のものを、重量比で6:6:1:0.5の比率で混合した。
防曇剤F;ソルビタンステアレート/グリセリンステアレートを重量比で1:1の比率で混合した。
実施例1
内層樹脂として、エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂100重量部に、防曇剤Aを1.0重量部配合した樹脂を用い、中間層樹脂として、EVA(ノバテックEVA LV420、酢酸ビニル含量15重量%、日本ポリケム(株)製)100重量部に、防曇剤A2.0重量部と、無機化合物としてハイドロタルサイト(商品名:DHT4A、協和化学工業(株)製)10重量部を配合した樹脂を用い、外層樹脂として、EVA(ノバテックEVA LV242、酢酸ビニル含量7.5重量%、日本ポリケム(株)製)100重量部に、防曇剤Aを1.5重量部配合した樹脂を用い、180℃の温度で三菱化学エンジニアリング(株)製多層インフレーションフィルム成形機にて成形することにより、内層20μm、中間層60μm、外層20μmからなる三層インフレーションフィルムを得た。この三層フィルムについて評価を行い、その結果を表1に示す。
【0034】
実施例2
内層樹脂に添加される防曇剤Aを0.5重量部とし、中間層樹脂へ添加される防曇剤Aを1.5重量部とし、外層樹脂へ添加される防曇剤Aを2.0重量部とした点を除き、実施例1と同様に成形し三層インフレーションフィルムを得た。この三層フィルムについて評価を行い、その結果を表1に示す。
【0035】
実施例3
中間層樹脂へ添加される無機化合物を、リチウム−アルミニウム系包接化合物(商品名:ミズカラック、水澤化学工業社製)とした点を除き、実施例1と同様に成形し三層インフレーションフィルムを得た。この三層フィルムについて評価を行い、その結果を表1に示す。
【0036】
実施例4
内層樹脂及び、中間層樹脂及び、外層樹脂に添加される防曇剤を防曇剤Bとした点を除き、実施例1と同様に成形し三層インフレーションフィルムを得た。この三層フィルムについて評価を行い、その結果を表1に示す。
比較例1
内層樹脂に添加される防曇剤Aを0.1重量部とし、中間層樹脂及び、外層樹脂へ添加される防曇剤Aを0.3重量部とした点を除き、実施例1と同様に成形し三層インフレーションフィルムを得た。この三層フィルムについて評価を行い、その結果を表1に示す。
【0037】
比較例2
内層樹脂及び、中間層樹脂及び、外層樹脂に添加される防曇剤を防曇剤Cとした点を除き、実施例1と同様に成形し三層インフレーションフィルムを得た。この三層フィルムについて評価を行い、その結果を表1に示す。
比較例3
内層樹脂及び、中間層樹脂及び、外層樹脂に添加される防曇剤を防曇剤Dとした点を除き、実施例1と同様に成形し三層インフレーションフィルムを得た。この三層フィルムについて評価を行い、その結果を表1に示す。
【0038】
比較例4
内層樹脂及び、中間層樹脂及び、外層樹脂に添加される防曇剤を防曇剤Eとした点を除き、実施例1と同様に成形し三層インフレーションフィルムを得た。この三層フィルムについて評価を行い、その結果を表1に示す。
比較例5
内層樹脂及び、中間層樹脂及び、外層樹脂に添加される防曇剤を防曇剤Fとした点を除き、実施例1と同様に成形し三層インフレーションフィルムを得た。この三層フィルムについて評価を行い、その結果を表1に示す。
【0039】
比較例6
内層樹脂を高圧法低密度ポリエチレン(ノバテックLD LF240、MFR0.7g/10分、密度0.924g/cm3 、日本ポリケム(株)製)とした点を除き、実施例1と同様に成形し三層インフレーションフィルムを得た。この三層フィルムについて評価を行い、その結果を表1に示す。
【0040】
比較例7
中間層樹脂を高圧法低密度ポリエチレン(ノバテックLD LF240、MFR0.7g/10分、密度0.924g/cm3 、日本ポリケム(株)製)とした点を除き、実施例1と同様に成形し三層インフレーションフィルムを得た。この三層フィルムについて評価を行い、その結果を表1に示す。
【0041】
比較例8
外層樹脂を高圧法低密度ポリエチレン(ノバテックLD LF240、MFR0.7g/10分、密度0.924g/cm3 、日本ポリケム(株)製)とした点を除き、実施例1と同様に成形し三層インフレーションフィルムを得た。この三層フィルムについて評価を行い、その結果を表1に示す。
【0042】
比較例9
中間層樹脂に添加される無機化合物を除いた点以外は、実施例1と同様に成形した三層インフレーションフィルムを得た。この三層フィルムについて評価を行い、その結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】
本発明の農園芸用積層フィルムは耐衝撃強度、透明性に優れ、特に防曇性に優れており、ハウスやトンネルに展張が容易であり、焼却されても生活環境に害を及ぼす恐れもなく、ハウス、トンネル等の施設農園芸栽培に貢献するところ大である。
Claims (3)
- 内層、中間層及び外層からなる農業用積層フィルムであり、内層が、エチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとの共重合体100重量部に、ソルビタンステアレート/ソルビタンパルミテート/ソルビタンオレエート/グリセリンオレエートの混合比が、重量比で2〜5:2〜5:1〜3:0.1〜1である多価アルコール脂肪酸エステルを0.1〜2.0重量部配合してなる樹脂組成物で形成されており、中間層が、酢酸ビニル含有量が5〜25重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に、ソルビタンステアレート/ソルビタンパルミテート/ソルビタンオレエート/グリセリンオレエートの混合比が、重量比で2〜5:2〜5:1〜3:0.1〜1の多価アルコール脂肪酸エステルを0.5〜5.0重量部、及びMg、Ca、Al、LiおよびSiの群より選ばれる少なくとも1種の原子を含有する無機化合物を1〜20重量部配合してなる樹脂組成物で形成されており、外層が、酢酸ビニル含有量が1〜10重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に、ソルビタンステアレート/ソルビタンパルミテート/ソルビタンオレエート/グリセリンオレエートの混合比が、重量比で2〜5:2〜5:1〜3:0.1〜1の多価アルコール脂肪酸エステルを0.5〜5.0重量部配合してなる樹脂組成物で形成されていることを特徴とする農園芸用積層フィルム。
- 内層に使用されるエチレン−α−オレフィン共重合体がメタロセン触媒を用いて製造されている請求項1記載の農業用積層フィルム。
- 請求項1又は2に記載の農園芸用積層フィルムの外層面をハウスの内面として展張した施設農園芸ハウス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001325689A JP3880364B2 (ja) | 2001-10-23 | 2001-10-23 | 農園芸用積層フィルム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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