JP3074058B2 - 農業用積層フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

農業用積層フィルムおよびその製造方法

Info

Publication number
JP3074058B2
JP3074058B2 JP04072707A JP7270792A JP3074058B2 JP 3074058 B2 JP3074058 B2 JP 3074058B2 JP 04072707 A JP04072707 A JP 04072707A JP 7270792 A JP7270792 A JP 7270792A JP 3074058 B2 JP3074058 B2 JP 3074058B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
ethylene
parts
laminated film
vinyl acetate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP04072707A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06126911A (ja
Inventor
陽一 川崎
敏一 伊藤
Original Assignee
日本ユニカー株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 日本ユニカー株式会社 filed Critical 日本ユニカー株式会社
Priority to JP04072707A priority Critical patent/JP3074058B2/ja
Publication of JPH06126911A publication Critical patent/JPH06126911A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3074058B2 publication Critical patent/JP3074058B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、農業用積層フィルムお
よびその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は
耐熱性、耐衝撃性、耐摩擦性、耐引裂性、耐突き刺し
性、耐寒性に優れ、かつ高透明性であり、特に防曇効果
および霧発生防止効果の持続性に優れた農業用積層フィ
ルムおよびその製造方法に関し、そして本発明のフィル
ムは農業用の促成栽培を目的としたハウス栽培、トンネ
ル栽培およびマルチ栽培等に用いられる。
【0002】
【従来の技術】従来、ハウス栽培やトンネル栽培等に用
いられてきた農業用のフィルムとしては、ポリ塩化ビニ
ルフィルム、高圧法低密度ポリエチレンフィルム、直鎖
状低密度ポリエチレンフィルム等を主として挙げること
ができる。
【0003】ポリ塩化ビニルフィルムは透明性、強靱
性、耐久性、保温性、経済性、作業性等に優れている
が、可塑剤を含有するために長期間使用しているとフィ
ルム表面にブリードし、ここにほこりが吸着し、光の透
過性を低下させ、また汚れた感じを与え望ましくない。
さらに、ポリ塩化ビニルフィルムは使用後焼却によって
処理しようとすると、塩化水素ガスが発生し、公害問題
を引き起こすおそれがあり、また突起部による突き刺し
破れに弱く、ハウス骨材との摩擦破れに対して弱く、耐
寒性も劣り、使用条件によっては問題となることが多か
った。
【0004】高圧法低密度ポリエチレンフィルムはポリ
塩化ビニルフィルムのように、焼却時塩化水素ガスを発
生せず、可塑剤も使用しないので、公害問題、光透過性
低下、ほこり付着による汚れ等を引き起こさない利点は
あるが、40%程度の結晶化度であるので、やや光透過
性(透明性)が劣る。また、フィルムの帯電やフィルム
表面に水分が付着したりするので、帯電防止剤や防曇剤
を配合すると、これがフィルム表面にブリードし、ほこ
りを吸着して光透過性を低下させる欠点がある。
【0005】直鎖状低密度ポリエチレンフィルムは高圧
法低密度ポリエチレンフィルムと上記の性質においては
類似するものの、機械的強度において優れているので、
フィルムの厚さを低減でき、経済的効果が大きいので、
農業用フィルムとして多く使用されるようになってきた
が、結晶化度が高いので光透過性が低いという問題があ
る。また、これらポリエチレン系フィルムは分子内に極
性基を持たないので赤外線吸収能力がなく、従って、夜
間温室内の植物や土壌から放射される赤外線エネルギー
を外界に放散させてしまい、保温性に欠ける欠点があ
る。
【0006】本出願人は、従来農業用フィルムとして使
用されてきたポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレン系
フィルムの長所を保持したまま、それらの欠点を改良し
た農業用フィルム、すなわち焼却時に有害ガスを発生せ
ず、可塑剤を使用せずにすみ、耐突き刺し性、耐摩擦破
れ性、耐寒性、光透過性(高透明性)、機械的強度、加
工性に優れた農業用フィルムおよびその製造方法に関し
て先に出願した(特願平3−25752号)。しかしな
がら、この先の出願に係る発明では、防曇性および霧発
生防止性については全く配慮されておらず、これらの点
については不十分であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記先の出
願に係る農業用フィルムの優れた性質を保持しつつ、さ
らに防曇効果および霧発生防止効果の持続性を付与し、
農業用フィルムとしての利用価値をさらに高めた農業用
フィルムおよびその製造方法の提供を課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、超低密度
エチレン−α−オレフィン共重合体(以下、VLDPE
とも記載する)を中間層とし、エチレン−酢酸ビニル共
重合体(以下、EVAとも記載する)を両外層とする積
層フィルム(特願平3−25752号の発明に相当す
る)の防曇性および霧発生防止性の改善を図るため、該
両外層に防曇剤および霧発生防止剤をEVA100重量
部に対して0.5〜5重量部配合したが、その効果はフ
ィルム使用開始から数カ月は認められたものの、その後
は不十分であった。その効果の持続性を図るため、上記
薬剤を5重量部以上配合したところ、フィルムのブロッ
キングを起こし、またフィルム表面に防曇剤、霧発生防
止剤等が移行して白化し、透明性が低下し、目的を達す
ることができなかった。そこで本発明者等は、さらに鋭
意研究の結果、中間層に高濃度に防曇剤および霧発生防
止剤等を配合し、内側層に中間層より低濃度にそれらを
配合することにより、防曇効果および霧発生防止効果の
持続性が高められることを見出し、本発明を完成させ
た。
【0009】すなわち本発明は、メルトインデックス
0.5〜5g/10分、酢酸ビニル含有量5〜15重量
%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる外側
層、密度0.910g/ml以下、融点116℃以上、
1%モジュラス1200kg/cm2 以下、n−ヘキサ
ン抽出分10重量%以下、メルトインデックス0.8〜
10g/10分である超低密度エチレン−α−オレフィ
ン共重合体100重量部と防曇剤および/または霧発生
防止剤2〜8重量部とからなる中間層、およびメルトイ
ンデックス0.5〜5g/10分、酢酸ビニル含有量5
〜15重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体10
0重量部と防曇剤および/または霧発生防止剤0.5〜
3重量部とからなる内側層から構成される積層フィルム
であって、中間層の厚さは積層フィルム全体の厚さの少
なくとも35〜90%を占め、積層フィルム全体の厚さ
は50〜200μmであることを特徴とする農業用積層
フィルムに関する。なお、本発明の農業用積層フィルム
は、ハウス栽培等への実際の適用において、土壌や作物
に内側層が向けられて使用される。
【0010】また、本発明は、メルトインデックス0.
5〜5g/10分、酢酸ビニル含有量5〜15重量%で
あるエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる外側層、密
度0.910g/ml以下、融点116℃以上、1%モ
ジュラス1200kg/cm2 以下、n−ヘキサン抽出
分10重量%以下、メルトインデックス0.8〜10g
/10分である超低密度エチレン−α−オレフィン共重
合体100重量部と防曇剤および/または霧発生防止剤
2〜8重量部とからなる中間層、およびメルトインデッ
クス0.5〜5g/10分、酢酸ビニル含有量5〜15
重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体100重量
部と防曇剤および/または霧発生防止剤0.5〜3重量
部とからなる内側層を共押出法により製造することを特
徴とする農業用積層フィルムの製造方法に関する。
【0011】本発明において、上記超低密度エチレン−
α−オレフィン共重合体は以下のエチレン共重合体の連
続製造方法:流動床反応帯域中で10〜80℃の温度か
つ7000kPa以下の圧力にて、(a)高級α−オレ
フィン:エチレンのモル比が0.35:1〜8.0:1
である、エチレンおよび炭素原子数3〜8の少なくとも
1種の高級α−オレフィンと、(b)少なくとも25モ
ル%の少なくとも1種の希釈ガスとを含有する気体混合
物を、次式: Mgm Ti(OR)n p 〔ED〕q (式中、Rは炭素原子数1〜14の脂肪族もしくは芳香
族炭化水素基または基COR’を表し、R’は炭素原子
数1〜14の脂肪族または芳香族炭化水素基を表し、X
は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子およびその混合物か
らなる群から選択され、EDは脂肪族または芳香族酸の
アルキルエステル、脂肪族エーテル、環式エーテルおよ
び脂肪族ケトンからなる群から選択される有機電子供与
化合物を表し、mは0.5〜56であり、nは0、1ま
たは2であり、pは2〜116であり、qは2〜85で
ある。)で表される先駆体組成物からなる触媒系の粒子
と連続的に接触させ、前記先駆体組成物を不活性キャリ
ア材料で希釈すると共に次式: Al(R')d X' e f (式中、X’は塩素原子または基OR”を表し、R’お
よびR”は炭素原子数1〜14の飽和炭化水素基を表
し、eは0〜1.5であり、fは0または1であり、d
+e+f=3である。)で表される有機アルミニウム化
合物で完全に活性化させ、上記活性化化合物を前記反応
帯域中おける全アルミニウム:チタンのモル比が10:
1〜400:1となるような量で使用する、により製造
されたものであることが好ましい。
【0012】本発明において、超低密度エチレン−α−
オレフィン共重合体(VLDPE)とは、本発明者等が
属し、本願出願人である日本ユニカー株式会社が技術提
携しているアメリカ合衆国のユニオンカーバイド ケミ
カル アンド プラスチックカンパニーが開発した特殊
なポリエチレン系樹脂であり、その製法は特開昭59−
230011号公報に詳細に説明されている。
【0013】本発明において使用されるVLDPEの密
度は0.910g/ml以下であり、これを越えると結
晶化度が上昇し、フィルムの透明性が悪くなり、望まし
くない。また、VLDPEの融点は116℃以上であ
り、これ未満であると耐熱性が不十分であり、機械的強
度も不十分となる。VLDPEの1%モジュラスは12
00kg/cm2 以下であり、これを越えると耐摩擦性
が悪化する。さらにVLDPEのn−ヘキサン抽出分は
10重量%以下であり、これを越えると積層フィルム表
面に低分子量重合体がブリードし、そこにほこりが付着
して光透過性を阻害し望ましくない。また、VLDPE
のメルトインデックスは0.8〜10g/10分であ
り、0.8g/10分未満では押出特性が悪く、一方1
0g/10分を越えると機械的特性が悪化し望ましくな
い。
【0014】本発明において使用される上記エチレン−
酢酸ビニル共重合体(EVA)のメルトインデックスは
0.5〜5g/10分であり、0.5g/10分未満で
は押出特性が悪く、一方5g/10分を越えると機械的
特性が悪化し望ましくない。また、その酢酸ビニル含有
量は5〜15重量%であり、5重量%未満では積層フィ
ルムの透明性が悪くなり、15重量%を越えると積層フ
ィルムがブロッキングし望ましくない。
【0015】また、本発明において使用されるEVAの
融点(MP,単位℃)と酢酸ビニル含有量(VA,単位
重量%)との関係は次式 MP=114−1.44VA で表され、分子量分布(Mw /Mn )が4未満であるも
のが特に望ましく、この数値範囲のものは同一の酢酸ビ
ニル含有量で上記範囲外のEVAと比較し、融点が2〜
5℃高く、耐熱性および機械的強度に優れている。
【0016】本発明において防曇剤とは、フィルム適用
時、土壌中からの水蒸気がフィルム内面に凝縮して小さ
な水滴を形成するのを防ぐために中間層および内側層に
配合する界面活性剤である。上記水滴は光透過性を悪化
させて太陽光を遮ることにより、また作物上に落下する
ことにより、作物に悪影響を及ぼすものである。上記防
曇剤としては、例えばポリエチレングリコールノニルフ
ェニルエーテル、ポリエチレングリコールステアリルエ
ーテル、ポリエチレングリコールステアレート、ポリエ
チレングリコールジラウレート、グリセリンモノステア
レート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリ
ステアレート、N,N−ジ−(ヒドロキシエチル)−ラ
ウリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)−ステ
アロアミド、ラウリルリン酸ナトリウム、ポリオキシエ
チレン−ラウリルリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナト
リウム、ステアリルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベ
ンゼンスルホン酸トリエタノールアミン塩、ラウリルト
リメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0017】本発明において霧発生防止剤とは、フィル
ム適用時、フィルムの内面近傍において発生する霧を防
止するために中間層および内側層に配合するものであ
る。なお、霧が発生すると作物を濡らし病害発生の原因
となる。上記霧発生防止剤にはポリシロキサン−ポリオ
キシアルキレン共重合体、フッ素系界面活性剤等があ
り、例えば特開昭57−12070号、同57−146
48号、同63−162760号、同63−16276
1号等に開示されているものがある。
【0018】本発明において、防曇剤および/または霧
発生防止剤は、外側層/中間層/内側層からなる積層フ
ィルムにおいて、中間層と内側層に配合する。中間層に
は、VLDPE100重量部に対して2〜8重量部配合
する。2重量部未満であると、濃度勾配の度合いが低く
なり、内側層を通して表面へ移行する量が少なくなり、
持続効果がなくなり望ましくない。また、8重量部を越
えると、移行量が多くなりすぎ、ブロッキングや表面白
化を起こし、望ましくない。内側層にはEVA100重
量部に対して0.5〜3重量部配合する。0.5重量部
未満では効果がなく、3重量部を越えるとブロッキング
や表面白化を起こし、望ましくない。ここで、防曇剤お
よび/または霧発生防止剤は、内側層に比べ中間層によ
り高濃度で配合して、濃度勾配をもたせるようにするこ
とが重要である。さもないと、効果の持続性が不十分と
なり、望ましくない。なお、外側槽にも防曇剤および/
または霧発生防止剤を内側槽と同様配合してもよい。
【0019】本発明の農業用積層フィルムは、外側層、
中間層および内側層となる各樹脂組成物を用いて共押出
成形機により製造でき、この際、例えばサーキュラーダ
イを用いるインフレーション法、フラットダイを用いる
Tダイ法等が適用可能である。本発明において外側層/
中間層/内側層からなる3層構造とした理由を以下に記
載する。まず、VLDPE単独で成膜しようとしても、
押出加工性が悪く、仮に押出せたとしてもメルトフラク
チャーが起こり、表面が平滑なフィルムは得られず、ま
た製造されたフィルムはブロッキングが激しく取扱が困
難であった。本発明者等はVLDPEを中間層としてそ
の両側に樹脂層を共押出すれば、単独では成膜困難なV
LDPEが成膜可能となることを見出し、これを中間層
に採用した。次に、VLDPE中間層の内外層として特
定のEVAを採用したのは、EVAが高圧法低密度ポリ
エチレン等と比較し、透明性に優れているからである。
ただし、EVAの場合、酢酸ビニル(VA)含有量が増
加するほど透明性や耐寒性は高まるが、ブロッキング性
および機械的特性が悪化するので、上記の数値範囲とし
た。
【0020】本発明の積層フィルムの厚さは、50〜2
00μmであり、50μm未満であると機械的強度が不
足し、またフィルムの取扱が困難となり、200μmを
越えると過剰品質となり、経済性が悪く望ましくない。
また、中間層の積層フィルム全体に占める割合、すなわ
ち厚さの割合は35〜90%であり、35%未満である
と透明性、機械的特性、耐寒性、耐摩擦性、経済性等が
悪くなり、90%を越えると共押出が不可能となる。内
外層の各々の厚さは同じであっても、異なっていてもよ
いが、共押出を可能とするために、それぞれ積層フィル
ム全体の厚さの少なくとも5%を占めることが肝要であ
る。
【0021】本発明の積層フィルムの保温性はポリ塩化
ビニルフィルムと比べるとやや劣るが、主としてEVA
からなる内外層の厚さを増加すればするほど保温性は高
まる。さらに高い保温性が要求される場合は、一般に保
温剤として使用されている下記の無機化合物粒体:酸化
ケイ素、無水アルミノケイ酸塩、リン酸塩、硫酸塩、炭
酸塩、水酸基含有マグネシウム、アルミン酸塩等を原料
樹脂に配合する。具体的に、含水シリカ、無水シリカ、
合成シリカ、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化
ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ホ
ウ素、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸
化カルシウム、水酸化リチウム、リン酸カルシウム、リ
ン酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸アルミニウム、炭酸
カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸リ
チウム、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム、硫酸カリウム、
硫酸カルシウム、硫酸ジルコニウム、硫酸バリウム、硫
酸マグネシウム、アルミニウムシリケートゲル、アルミ
ノシリケートゲル等が保温剤の例であり、その粒度は1
〜10μm程度であり、原料樹脂に対する配合量は10
%以下が望ましい。これらの保温剤は配合量を増加させ
れば保温性は高まるが、光透過性(透明性)が低下する
ので、両者のバランスを考慮して配合することが肝要で
ある。本発明に使用されるVLDPEは他のポリオレフ
ィン系樹脂と比較し、防曇剤、霧発生防止剤、その他の
無機化合物粒体等の充填性に優れ、それらの添加により
機械的強度の低下が少ない利点があり、本発明の効果の
一つとなっている。
【0022】
【実施例】次に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に
説明する。 実施例1原料 ・外側層:メルトインデックス(MI)2g/10分、
酢酸ビニル(VA)含有量10重量%、融点99.6
℃、分子量分布3.5であるエチレン−酢酸ビニル共重
合体を高圧法ポリエチレン製造装置を用いて準備した。 ・中間層:密度0.903g/ml、融点117℃、1
%モジュラス(1%Md)950kg/cm2 、n−ヘ
キサン抽出分(nHeq)2.8重量%、MI2g/10
分であるエチレン−ブテン−1共重合体を特開昭59−
230011号に記載の方法に従って得、該共重合体1
00重量部に防曇剤ポリエチレングリコールジラウレー
トを5重量部配合して樹脂組成物を準備した。 ・内側層:MI2g/10分、VA含有量10重量%、
融点99.6℃、分子量分布3.5であるエチレン−酢
酸ビニル共重合体を高圧法ポリエチレン製造装置により
得、該共重合体100重量部に対してポリエチレングリ
コールジラウレートを3重量部配合して樹脂組成物を準
備した。積層フィルムの製造 下記の装置および条件で急冷却してインフレーションフ
ィルムを製造した。 ・押出装置:株式会社プラコー製のインフレーションフ
ィルム加工装置(口径40mm×3台,L/D28) ・環状3層ダイ:φ150mm,ダイキャップ1.5m
m ・冷却装置:シングルリップストレートおよびコニカル
カラー付 ・吐出量:60kg/hr ・ダイス温度:190℃ ・ブロー比:3.0製造された積層フィルム 中間層の厚さが80μmであり、外側層および内側層の
厚さが共に10μmである。農業用積層フィルムの評価 ・引裂強度:縦方向110kg/cm,横方向126k
g/cmであり、実用性は十分ある。 ・霞度(JIS K−6714に従って測定):4.5
であり、透明性は十分である。 ・耐熱性(外気温80℃の環境下で測定した引張強
度):45g/cm2 であり、実用性は十分ある。な
お、80℃という外気温は真夏に農業用ハウスの鉄骨材
付近のフィルムが晒される温度である。 ・ブロッキング防止性:荷重4kg/100cm2 、5
0℃、7日の条件で測定したところ、75g/100c
2 であり、十分ブロッキング防止性がある。 ・防曇性:促進テスト、50℃、6ヵ月の条件で測定し
たところ、水滴付着はなく、防曇効果の持続性が十分認
められた。
【0023】比較例1 防曇剤ポリエチレングリコールジラウレートを中間層に
全く配合しなかった以外は実施例1と同様の操作を行い
フィルムを得、その評価を行った。その結果、防曇性は
促進テストにより50℃、4ヵ月で水滴付着が認めら
れ、効果の持続性が不十分であった。
【0024】実施例2 防曇剤ポリエチレングリコールジラウレートを中間層に
2重量部、内側層に0.5重量部配合した以外は実施例
1と同様の操作を行いフィルムを得、その評価を行っ
た。その結果、防曇性は促進テストにより50℃、6ヵ
月で水滴付着が認められず、効果の持続性が十分認めら
れた。
【0025】比較例2 防曇剤ポリエチレングリコールジラウレートを中間層に
1.5重量部、内側層に0.5重量部配合した以外は実
施例1と同様の操作を行いフィルムを得、その評価を行
った。その結果、防曇性は促進テストにより50℃、3
ヵ月で水滴付着が認められ、効果の持続性が不十分であ
った。
【0026】比較例3 防曇剤ポリエチレングリコールジラウレートを中間層に
10重量部、内側層に0.5重量部配合した以外は実施
例1と同様の操作を行いフィルムを得、その評価を行っ
た。その結果、防曇性持続作用は十分認められたが、フ
ィルム製造5ヵ月後にブロッキングと表面白化が認めら
れた。
【0027】実施例3 実施例1において使用した防曇剤に代えて、次式: (CH3 3 SiO〔Si(CH3 ){C3 6 O(C
2 4 O)6 CH3 }O〕3 {Si(CH3 2 O}20
Si(CH3 3 の霧発生防止剤を中間層および内側層にそれぞれ5重量
部および3重量部配合した以外は、実施例1と同様の操
作を行いフィルムを得、下記の霧発生試験により評価を
行った。その結果、フィルム内表面(内側層)近傍にお
いて、霧の発生は認められなかった。 霧発生試験:四方を木板で囲んだ霧観察用フレームの天
井傾斜面に試験フィルムを張り、予め用意した水温約4
0℃の水槽上に、フィルム内側層が水槽に面するように
載せ、25℃の室温で1週間放置する。次に、水浴を4
0℃に保持したまま、室温を5℃に下げ、1時間後にフ
ィルムを内表面(水槽に面した側の表面)近傍における
霧の発生状況を目視で観察する。
【0028】比較例4 実施例3における霧発生防止剤を中間層に配合しなかっ
た以外は、実施例3と同様の操作を行いフィルムを得、
その評価を行ったところ、フィルム内表面近傍に霧の発
生が認められた。
【0029】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の農
業用積層フィルムは、特定の超低密度エチレン−α−オ
レフィン共重合体からなる中間層と、特定のエチレン−
酢酸ビニル共重合体からなる外側層および内側層とから
構成したことにより、超低密度エチレン−α−オレフィ
ン共重合体とエチレン−酢酸ビニル共重合体の両方の優
れた性質を具備するもので、引裂強度、透明性、耐熱性
等をバランスよく有し、かつ中間層と内側層に防曇剤お
よび/または霧発生防止剤を、中間層に高濃度に、内側
層に低濃度に濃度勾配をもたせて配合してあるので、防
曇効果および霧発生防止効果の持続性があり、しかもフ
ィルムのブロッキングや表面白化を発生することがな
い。
【0030】従って、本発明は、ハウス栽培、トンネル
栽培およびマルチ栽培等に適した、耐熱性、耐衝撃性、
耐摩擦性、耐引裂性、耐突き刺し性、耐寒性、高透明性
に優れ、かつ防曇効果や霧発生防止効果が長期間持続す
る農業用積層フィルムおよびその製造方法の提供を可能
とした。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メルトインデックス0.5〜5g/10
    分、酢酸ビニル含有量5〜15重量%であるエチレン−
    酢酸ビニル共重合体からなる外側層、 密度0.910g/ml以下、融点116℃以上、1%
    モジュラス1200kg/cm2 以下、n−ヘキサン抽
    出分10重量%以下、メルトインデックス0.8〜10
    g/10分である超低密度エチレン−α−オレフィン共
    重合体100重量部と防曇剤および/または霧発生防止
    剤2〜8重量部とからなる中間層、およびメルトインデ
    ックス0.5〜5g/10分、酢酸ビニル含有量5〜1
    5重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体100重
    量部と防曇剤および/または霧発生防止剤0.5〜3重
    量部とからなる内側層から構成される積層フィルムであ
    って、 中間層の厚さは積層フィルム全体の厚さの少なくとも3
    5〜90%を占め、積層フィルム全体の厚さは50〜2
    00μmであることを特徴とする農業用積層フィルム。
  2. 【請求項2】 超低密度エチレン−α−オレフィン共重
    合体が以下のエチレン共重合体の連続製造方法:流動床
    反応帯域中で10〜80℃の温度かつ7000kPa以
    下の圧力にて、(a)高級α−オレフィン:エチレンの
    モル比が0.35:1〜8.0:1である、エチレンお
    よび炭素原子数3〜8の少なくとも1種の高級α−オレ
    フィンと、(b)少なくとも25モル%の少なくとも1
    種の希釈ガスとを含有する気体混合物を、次式: Mgm Ti(OR)n p 〔ED〕q (式中、 Rは炭素原子数1〜14の脂肪族もしくは芳香族炭化水
    素基または基COR’を表し、R’は炭素原子数1〜1
    4の脂肪族または芳香族炭化水素基を表し、 Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子およびその混合物
    からなる群から選択され、 EDは脂肪族または芳香族酸のアルキルエステル、脂肪
    族エーテル、環式エーテルおよび脂肪族ケトンからなる
    群から選択される有機電子供与化合物を表し、 mは0.5〜56であり、 nは0、1または2であり、 pは2〜116であり、 qは2〜85である。)で表される先駆体組成物からな
    る触媒系の粒子と連続的に接触させ、前記先駆体組成物
    を不活性キャリア材料で希釈すると共に次式: Al(R')d X' e f (式中、 X’は塩素原子または基OR”を表し、 R’およびR”は炭素原子数1〜14の飽和炭化水素基
    を表し、 eは0〜1.5であり、 fは0または1であり、 d+e+f=3である。)で表される有機アルミニウム
    化合物で完全に活性化させ、上記活性化化合物を前記反
    応帯域中おける全アルミニウム:チタンのモル比が1
    0:1〜400:1となるような量で使用する、により
    製造されたものである請求項1記載の農業用積層フィル
    ム。
  3. 【請求項3】 メルトインデックス0.5〜5g/10
    分、酢酸ビニル含有量5〜15重量%であるエチレン−
    酢酸ビニル共重合体からなる外側層、 密度0.910g/ml以下、融点116℃以上、1%
    モジュラス1200kg/cm2 以下、n−ヘキサン抽
    出分10重量%以下、メルトインデックス0.8〜10
    g/10分である超低密度エチレン−α−オレフィン共
    重合体100重量部と防曇剤および/または霧発生防止
    剤2〜8重量部とからなる中間層、およびメルトインデ
    ックス0.5〜5g/10分、酢酸ビニル含有量5〜1
    5重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体100重
    量部と防曇剤および/または霧発生防止剤0.5〜3重
    量部とからなる内側層を共押出法により製造することを
    特徴とする農業用積層フィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 超低密度エチレン−α−オレフィン共重
    合体が以下のエチレン共重合体の連続製造方法:流動床
    反応帯域中で10〜80℃の温度かつ7000kPa以
    下の圧力にて、(a)高級α−オレフィン:エチレンの
    モル比が0.35:1〜8.0:1である、エチレンお
    よび炭素原子数3〜8の少なくとも1種の高級α−オレ
    フィンと、(b)少なくとも25モル%の少なくとも1
    種の希釈ガスとを含有する気体混合物を、次式: Mgm Ti(OR)n p 〔ED〕q (式中、 Rは炭素原子数1〜14の脂肪族もしくは芳香族炭化水
    素基または基COR’を表し、R’は炭素原子数1〜1
    4の脂肪族または芳香族炭化水素基を表し、 Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子およびその混合物
    からなる群から選択され、 EDは脂肪族または芳香族酸のアルキルエステル、脂肪
    族エーテル、環式エーテルおよび脂肪族ケトンからなる
    群から選択される有機電子供与化合物を表し、 mは0.5〜56であり、 nは0、1または2であり、 pは2〜116であり、 qは2〜85である。)で表される先駆体組成物からな
    る触媒系の粒子と連続的に接触させ、前記先駆体組成物
    を不活性キャリア材料で希釈すると共に次式: Al(R')d X' e f (式中、 X’は塩素原子または基OR”を表し、 R’およびR”は炭素原子数1〜14の飽和炭化水素基
    を表し、 eは0〜1.5であり、 fは0または1であり、 d+e+f=3である。)で表される有機アルミニウム
    化合物で完全に活性化させ、上記活性化化合物を前記反
    応帯域中おける全アルミニウム:チタンのモル比が1
    0:1〜400:1となるような量で使用する、により
    製造されたものである請求項3記載の農業用積層フィル
    ムの製造方法。
JP04072707A 1992-02-21 1992-02-21 農業用積層フィルムおよびその製造方法 Expired - Lifetime JP3074058B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04072707A JP3074058B2 (ja) 1992-02-21 1992-02-21 農業用積層フィルムおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04072707A JP3074058B2 (ja) 1992-02-21 1992-02-21 農業用積層フィルムおよびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06126911A JPH06126911A (ja) 1994-05-10
JP3074058B2 true JP3074058B2 (ja) 2000-08-07

Family

ID=13497095

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP04072707A Expired - Lifetime JP3074058B2 (ja) 1992-02-21 1992-02-21 農業用積層フィルムおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3074058B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000025171A (ja) * 1998-07-07 2000-01-25 Nippon Unicar Co Ltd 農業用積層フィルムおよびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06126911A (ja) 1994-05-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3074058B2 (ja) 農業用積層フィルムおよびその製造方法
JP3343374B2 (ja) 農業用フィルム
JP3074061B2 (ja) 農業用積層フィルムおよびその製造方法
JP2582678B2 (ja) 農業用高透明積層フィルムおよびその製造方法
JP4225521B2 (ja) 農業用多層フィルム
JP2563007B2 (ja) 表面特性の改良された農業用積層フィルム及びその製造方法
JP2005047097A (ja) 農業用ポリオレフィン系多層フィルム
JP4179523B2 (ja) 農業用多層フィルム
JP4222531B2 (ja) 農業用多層フィルム
JP3880364B2 (ja) 農園芸用積層フィルム
JPH089222B2 (ja) 農業用積層フィルムおよびその製造方法
JP3443527B2 (ja) 農業用積層フィルムおよびその製造方法
JP3074059B2 (ja) 農業用積層フィルムおよびその製造方法
JPH0466187B2 (ja)
JPH0465780B2 (ja)
JPH0994930A (ja) 農業用積層フィルム
JP2000025171A (ja) 農業用積層フィルムおよびその製造方法
JPH0995573A (ja) 農業用フィルム
JPH11334003A (ja) 農業用積層被覆材
JPH09235420A (ja) ポリオレフィン系樹脂組成物およびその用途
JPH0999528A (ja) 農業用ポリオレフィン系多層フィルム
JPH0466185B2 (ja)
JPH11138723A (ja) 農業用積層フィルムおよびその製造方法
JP2000238201A (ja) 農業用多層フィルム
JP2002030224A (ja) 熱可塑性樹脂組成物及びそれを用いた農業用熱可塑性樹脂フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080602

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090602

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090602

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100602

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100602

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110602

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110602

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120602

Year of fee payment: 12

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120602

Year of fee payment: 12